JP7400615B2 - 燃料供給システムの制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は燃料供給システムの制御装置に関するものである。
特許文献1には、予め記憶したフィードポンプの駆動に関する特性、具体的にはフィードポンプにおける駆動電圧と吐出量と吐出圧との関係に基づいて、そのときの状況に応じて目標圧力を設定する燃料供給システムが開示されている。目標圧力は、フィードパイプ内の燃料の圧力がベーパの発生を防止する上で必要な圧力よりも高い圧力になるように設定される。そして、この燃料供給システムの制御装置は、目標圧力を実現するように、上記の予め記憶したフィードポンプの駆動に関する特性に基づいてフィードポンプを制御するフィード圧制御を実行する。
特開2010-255501号公報
ところで、ベーパの発生を防止する上で必要な燃料の圧力は燃料の温度によって変化する。また、燃料の温度によって燃料の粘性なども変化するため、フィードポンプを同じだけ駆動しても実現できる燃料の吐出量は燃料の温度によって変化する。そのため、フィード圧制御を実行する上では、燃料の温度を把握する必要がある。そこで、燃料タンク内の燃料の温度を推定し、推定した燃料の温度を用いてフィード圧制御を実行することが考えられる。
しかし、給油が行われると燃料タンク内の燃料の温度が変化し、燃料の温度の推定が難しくなる。実際の温度と大きく乖離した推定温度を用いると、フィード圧制御を通じてフィードパイプ内の燃料の圧力を適切に制御できなくなる。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するための燃料供給システムの制御装置は、燃料タンクから燃料を汲み上げる電動のフィードポンプと、前記フィードポンプから吐出された燃料が流れるフィードパイプと、前記フィードパイプを通じて供給された燃料を加圧する高圧燃料ポンプと、前記高圧燃料ポンプによって加圧された燃料を蓄えるデリバリパイプと、前記デリバリパイプ内に蓄えられた燃料をエンジンの気筒内に噴射する筒内燃料噴射弁と、前記フィードパイプに設けられ、同フィードパイプ内の燃料圧力であるフィード圧が既定の開弁圧力以上になると開弁して前記フィードパイプ内の燃料を前記燃料タンク内に戻し、前記フィード圧の過剰な上昇を抑制するリリーフ弁と、を備える燃料供給システムに適用される。この制御装置は、前記燃料タンク内の燃料の温度の変化量を積算して燃料温度を推定する温度推定処理と、推定した燃料温度を用いて要求フィード圧を設定する要求圧力設定処理と、推定した燃料温度及び前記フィードポンプのインペラの単位時間当たりの回転数であるポンプ回転数及び前記フィードポンプにおける電流値であるポンプ電流値を用いて前記フィード圧を推定するフィード圧推定処理と、推定したフィード圧と要求フィード圧との偏差を小さくするように前記フィードポンプへの供給電力を制御する圧力調整処理と、を実行する実行装置を備えている。そして、この実行装置は、給油が行われると前記温度推定処理を停止して、給油からの経過時間が予め定めた時間に達したことを条件に前記温度推定処理を再開し、前記温度推定処理を再開するまでの間は、前記圧力調整処理に替えて前記フィード圧を前記開弁圧力に維持する圧力維持処理を実行する。
給油が行われると、燃料タンク内の燃料の温度が温度推定処理を通じて推定した燃料温度から乖離して、燃料温度を適切に把握できなくなる。燃料温度を把握できていないと、適切な要求フィード圧を設定することができないばかりか、フィード圧を適切に推定することもできない。その結果、圧力調整処理を通じてフィード圧を適切に調整することができなくなってしまう。
フィード圧が開弁圧力以上になると、リリーフ弁が開弁してフィードパイプから燃料が燃料タンク内に排出される。そのため、フィード圧を開弁圧力に維持するためには、フィード圧が開弁圧力以上になるようにフィードポンプを稼働させ続ける必要がある。すなわち、給油が行われ、燃料タンク内の燃料温度が適切に把握できなくなっているときに、圧力維持処理を実行すれば、燃料温度が正確に把握できておらず、フィード圧推定処理を通じてフィード圧を適切に推定できない状態であっても、フィード圧は開弁圧力と等しい圧力に維持される。したがって、上記構成のように給油が行われたあとに圧力維持処理を実行するようにすれば、フィード圧を把握できない状態に陥ることを抑制することができる。ひいては、フィード圧が開弁圧力に維持されるものとして燃料噴射量などを適切に制御することができる。
なお、給油による温度の急変の影響は、外気との熱交換などの進行により給油からの時間の経過とともに小さくなる。したがって、給油が行われてから十分な時間が経過すれば、燃料タンク内の燃料の温度は、外気温に近い値に収束する。そこで、上記構成では、給油が行われると、給油からの経過時間が予め定めた時間に到達するまでは、圧力調整処理を行わず、替わりに圧力維持処理を実行する。すなわち、給油による温度の急変の影響が大きい間は圧力維持処理を実行して、燃料噴射量などの制御への影響を抑制できる。
燃料供給システムの制御装置の一態様では、前記実行装置は、給油が行われるときに推定されていた燃料温度から給油が行われたときの外気温を引いた差が大きいほど、前記温度推定処理の再開の要件になる経過時間を長くする。
給油が行われるときに推定されていた燃料温度よりも給油が行われたときの外気温が低く、推定されていた燃料温度から外気温を引いた差が大きいときほど、外気との熱交換により燃料タンク内の燃料の温度が収束するまでに要する時間は長くなる。そこで、上記構成のように、燃料温度から外気温を引いた差が大きいほど、再開の要件になる経過時間を長くする構成を採用すれば、燃料タンク内の燃料の温度が収束するまでに要する時間の長さに応じて再開の要件になる経過時間の長さを設定することができる。
また、給油が完了したときの燃料の残量に対する給油によって増大した燃料の量の割合が高いほど、給油による温度の変化の影響は大きくなる。
そこで、燃料供給システムの制御装置の一態様では、前記実行装置は、給油が完了したときの燃料の残量に対する給油によって増大した燃料の量の割合が高いほど、前記温度推定処理の再開の要件になる経過時間を長くする。
こうした構成を採用すれば、給油による温度の変化の影響が大きく、燃料タンク内の燃料の温度が収束するまでに要する時間が長くなると推定されるときほど、温度推定処理の再開の要件になる経過時間の長さを長くすることができる。
燃料供給システムの制御装置の一態様では、前記実行装置は、給油からの経過時間が前記温度推定処理の再開の条件になっている時間に達するまでの間は、前記燃料タンク内の燃料に対する入放熱量を積算する積算処理を実行し、給油からの経過時間が前記温度推定処理の再開の要件になっている時間に達して前記温度推定処理を再開するときには、前記積算処理を通じて積算した入放熱量に基づいて算出した前記燃料タンク内の燃料の温度変化量を外気温に加えた和を初期値にして燃料温度の推定を再開する。
上記構成によれば、温度推定処理を停止していた期間における入放熱量の影響を加味したかたちで、燃料温度の推定を再開することができる。
燃料供給システムの制御装置の一態様では、前記実行装置は、給油からの経過時間が前記温度推定処理の再開の要件になっている時間に達するまでの間は、前記燃料タンク内の燃料に対する入放熱量と燃料の残量とに基づいて算出する前記燃料タンク内の燃料の温度の変化量を積算する積算処理を実行し、給油からの経過時間が前記温度推定処理の再開の要件になっている時間に達して前記温度推定処理を再開するときには、前記積算処理を通じて積算した温度変化量を外気温に加えた和を初期値にして前記燃料タンク内の燃料温度の推定を再開する。
入放熱による燃料タンク内の燃料温度の変化量は、燃料タンク内の燃料の残量に応じて変化する。
上記構成では、温度推定処理を停止している期間の間、入放熱量と燃料の残量とに基づいて算出した燃料温度の変化量を積算している。そのため、その期間における燃料の残量の変化による影響も考慮したかたちで外気温に加える温度変化量を算出することができる。したがって、温度推定処理を停止していた期間における入放熱量の影響をより正確に加味したかたちで、燃料温度の推定を再開することができる。
燃料供給システムの制御装置の一態様では、前記入放熱量は入熱量から放熱量を引いた差であり、前記実行装置が、エンジンの負荷率が高いほど、前記入熱量として大きな値を算出する。
エンジンの負荷率が高いほど、より多くの熱が発生するため、燃料タンク内の燃料に対する入熱量は大きくなる。上記構成によれば、こうした傾向を反映させて、入放熱量を算出することができる。
燃料供給システムの制御装置の一態様では、前記入放熱量は入熱量から放熱量を引いた差であり、前記実行装置が、車速が高いほど、前記放熱量として大きな値を算出する。
車速が高いほど、外気との熱交換は促進されるため、燃料タンク内の燃料からの放熱量は大きくなる。上記構成によれば、こうした傾向を反映させて、入放熱量を算出することができる。
実施形態の制御装置と同制御装置の制御対象である燃料供給システムの構成を示す模式図。 同実施形態の制御装置が実行する圧力調整処理にかかるルーチンの一連の処理の流れを示すブロック図。 燃料温度と要求フィード圧の関係を示すグラフ。 温度推定処理にかかるルーチンの一連の処理の流れを示すフローチャート。 マスク時間の設定及び圧力維持処理への切り替えにかかるルーチンの一連の処理の流れを示すフローチャート。 温度差ΔTと給油割合とマスク時間との関係を示すグラフ。 積算温度変化量ΣΔTfの算出及び燃料温度Tfの初期値の算出にかかるルーチンの一連の処理の流れを示すフローチャート。 給油から温度推定処理の再開までの燃料温度の変化と、積算温度変化量ΣΔTfとの関係を示すグラフ。 変更例の制御装置における温度変化量ΔTfの算出及び燃料温度Tfの初期値の算出にかかるルーチンの一連の処理の流れを示すフローチャート。
以下、燃料供給システムの制御装置の一実施形態について、図1~図8を参照して説明する。
図1は、本実施形態の制御装置が適用される車載エンジンの燃料供給システムの構成を示している。すなわち、本実施形態の制御装置100は、車載エンジンの燃料供給システムに適用される。
図1に示すように、この制御装置100が適用される燃料供給システムには、燃料タンク51内に設置されたフィードポンプ52と、燃料タンク51外に設置された高圧燃料ポンプ60と、の2つの燃料ポンプが設けられている。フィードポンプ52は、ブラシレスモータによってインペラを回転させる電動式のポンプである。また、この燃料供給システムには、筒内燃料噴射弁44とポート燃料噴射弁30とが設けられている。筒内燃料噴射弁44は、エンジンの各気筒に設けられ、気筒内に直接燃料を噴射する。筒内燃料噴射弁44は、燃料の蓄圧容器である高圧側デリバリパイプ71に接続されている。また、ポート燃料噴射弁30は、エンジンの各気筒に繋がる吸気ポート内に燃料を噴射する。ポート燃料噴射弁30は燃料の蓄圧容器である低圧側デリバリパイプ31に接続されている。なお、この燃料供給システムが搭載されたエンジンは直列4気筒のエンジンであり、高圧側デリバリパイプ71には4つの筒内燃料噴射弁44が接続されている。また、低圧側デリバリパイプ31にも4つのポート燃料噴射弁30が接続されている。
そして、この燃料供給システムには、フィードポンプ52から高圧燃料ポンプ60及び低圧側デリバリパイプ31に燃料を送る燃料通路であるフィードパイプ57と、高圧燃料ポンプ60から高圧側デリバリパイプ71に燃料を送る燃料通路である高圧燃料パイプ72と、が設けられている。なお、フィードパイプ57は、途中で分岐し、一方が高圧燃料ポンプ60に接続されており、もう一方が低圧側デリバリパイプ31に接続されている。
高圧側デリバリパイプ71には、内部に蓄えられている燃料の圧力である高圧側燃料圧力を検出する燃料圧力センサ132が設置されている。燃料圧力センサ132は大気圧を基準としたゲージ圧で燃料圧力を示す。
フィードポンプ52は、給電に応じて燃料タンク51内の燃料を、上流側フィルタ53を介して吸引してフィードパイプ57に送出する。フィードパイプ57における燃料タンク51の内部に位置する部分には、フィードポンプ52によりフィードパイプ57に送出された燃料の圧力、すなわちフィードパイプ57内の燃料の圧力であるフィード圧Pfが既定の開弁圧力を超えたときに開弁してフィードパイプ57から燃料タンク51に燃料をリリーフするリリーフ弁56が設けられている。
また、フィードパイプ57におけるリリーフ弁56が設けられている部分よりも上流側の部分には、フィードポンプ側を下方にして配設され、弁体が下方に位置する弁座に自重で着座しており、フィードポンプ52から吐出される燃料の流れによって開弁するチェック弁59が設けられている。チェック弁59は、フィードポンプ52が停止して燃料の供給が停止すると閉弁する。
そして、フィードパイプ57は、フィードパイプ57を流れる燃料中の不純物を濾過する下流側フィルタ58とフィードパイプ57内の燃料圧力の脈動を低減するためのパルセーションダンパ61とを介して高圧燃料ポンプ60に接続されている。
高圧燃料ポンプ60は、プランジャ62、燃料室63、電磁スピル弁64、チェック弁65及びリリーフ弁66を備えている。プランジャ62は、エンジンのカムシャフト42に設けられたポンプカム67により往復駆動され、その往復駆動に応じて燃料室63の容積を変化させる。燃料室63は、電磁スピル弁64を介してフィードパイプ57に接続されている。
電磁スピル弁64は、通電に応じて閉弁して、燃料室63とフィードパイプ57との間の燃料の流通を遮断するとともに、通電の停止に応じて開弁して、燃料室63とフィードパイプ57との間の燃料の流通を許容する。チェック弁65は、燃料室63から高圧側デリバリパイプ71への燃料の吐出を許容する一方、高圧側デリバリパイプ71から燃料室63への燃料の逆流を禁止する。リリーフ弁66は、チェック弁65を迂回する通路に設けられており、高圧側デリバリパイプ71側の圧力が過剰に高くなったときに開弁して燃料室63側への燃料の逆流を許容する。
以上のように構成された高圧燃料ポンプ60の燃料の加圧動作について説明する。高圧燃料ポンプ60では、プランジャ62の往復動に応じて燃料室63の容積が変化する。以下の説明では、燃料室63の容積が拡大する方向へのプランジャ62の動作をプランジャ62の下降と記載し、これとは逆に燃料室63の容積が縮小する方向へのプランジャ62の動作をプランジャ62の上昇と記載する。
高圧燃料ポンプ60において、電磁スピル弁64が開弁した状態でプランジャ62が下降を開始すると、燃料室63の容積の拡大に伴って、フィードパイプ57から燃料室63に燃料が流入する。プランジャ62が下降から上昇に転じた後も電磁スピル弁64が開弁した状態を維持すると、プランジャ62の下降中に燃料室63に流入した燃料がフィードパイプ57に押し戻される。プランジャ62の上昇中に電磁スピル弁64を閉弁し、その後にプランジャ62が上昇から下降に転じるまで、電磁スピル弁64の閉弁を維持すると、プランジャ62の上昇に伴う燃料室63の容積の縮小により、燃料室63内の燃料が加圧される。そして、燃料室63内の燃料圧力が高圧燃料パイプ72内の燃料圧力を上回ると、チェック弁65が開弁して、燃料室63内の加圧された燃料が高圧燃料パイプ72に送出される。こうして高圧燃料ポンプ60は、プランジャ62の往復動毎に、フィードパイプ57内の燃料を加圧して高圧燃料パイプ72に送出する。なお、プランジャ62の上昇中における電磁スピル弁64の閉弁時期を変えることで、高圧燃料ポンプ60が加圧動作毎に高圧燃料パイプ72に送出する燃料の量が増減される。
こうした燃料供給システムを備えるエンジンは、制御装置100により制御される。制御装置100は、エンジンの制御装置であり、エンジンの燃料供給システムの制御も司る。すなわち、制御装置100は燃料供給システムの制御装置でもある。
制御装置100は、各種演算処理を実行する実行装置101と、制御用のプログラムやデータが記憶された記憶装置102と、を備えている。そして、制御装置100は、実行装置101が記憶装置102に記憶されたプログラムを読み込んで実行することで、燃料供給システムの制御を含んだエンジンの制御を行っている。
なお、制御装置100には、エンジンの運転状態を検出するための各種センサの検出信号が入力されている。図1に示すように、制御装置100には、アクセルポジションセンサ142によって運転者のアクセルの操作量の検出信号が入力され、車速センサ141によって車両の走行速度である車速の検出信号が入力されている。
さらに、制御装置100には、他にも各種のセンサの検出信号が入力されている。例えば、図1に示すように、制御装置100には、高圧側デリバリパイプ71内の燃料圧力を検出する燃料圧力センサ132の他に、エアフロメータ133、クランクポジションセンサ134、カムポジションセンサ135、冷却水温センサ136が接続されている。
エアフロメータ133は、エンジンの吸気通路を通じて気筒内に吸入される空気の温度と、吸入される空気の質量である吸入空気量を検出する。クランクポジションセンサ134は、エンジンの出力軸であるクランクシャフトの回転位相の変化に応じたクランク角信号を出力する。制御装置100は、クランクポジションセンサ134から入力されるクランク角信号に基づいて単位時間あたりのクランクシャフトの回転数である機関回転数を算出する。
カムポジションセンサ135は、カムシャフト42の回転位相の変化に応じたカム角信号を出力する。冷却水温センサ136は、エンジンの冷却水の温度である冷却水温を検出する。
また、制御装置100には、燃料タンク51内の燃料の液面の高さの水準を検知して燃料の残量を示す検出信号を出力する燃料レベルセンサ138と、外気温を検出する外気温センサ139も接続されている。
また、制御装置100には、フィードポンプ52のインペラの単位時間当たりの回転数であるポンプ回転数Npを制御するフィードポンプ制御装置200が接続されている。フィードポンプ制御装置200は、制御装置100からの指令に基づき、フィードポンプ52への供給電力をパルス幅変調により調整することで、ポンプ回転数Npを増減している。なお、フィードポンプ制御装置200は、フィードポンプ52に供給されている電流であるポンプ電流Ip、及びポンプ回転数Npの情報を制御装置100に送信している。
制御装置100は、エンジン制御の一環として、燃料噴射量制御、燃料圧力可変制御、及びフィード圧制御を実行している。
燃料噴射量制御に際して制御装置100はまず、機関回転数やエンジンの負荷率などのエンジン運転状態に応じて筒内燃料噴射弁44、ポート燃料噴射弁30の燃料噴射量の要求値である要求噴射量をそれぞれ演算する。続いて制御装置100は、要求噴射量分の燃料噴射に要する筒内燃料噴射弁44、ポート燃料噴射弁30の開弁時間をそれぞれ演算する。そして、制御装置100は、演算した開弁時間に相当する期間の間、燃料を噴射すべく各気筒の筒内燃料噴射弁44、ポート燃料噴射弁30を操作する。また、制御装置100は、燃料噴射制御の一環として、アクセルの操作量が「0」になっている減速中などに、燃料の噴射を停止してエンジンの燃焼室への燃料の供給を停止し、燃料消費率の低減を図るフューエルカット制御も行う。
燃料圧力可変制御に際して制御装置100は、エンジンの負荷率などに基づき、高圧側燃料圧力の目標値を算出する。高圧側燃料圧力の目標値は基本的には、エンジンの負荷率が低いときには低い圧力に、エンジンの負荷率が高いときには高い圧力に設定される。そして、制御装置100は、燃料圧力センサ132による高圧側燃料圧力の検出値と高圧側燃料圧力の目標値との偏差を縮小すべく、高圧燃料ポンプ60の燃料送出量を調整する。具体的には、高圧側燃料圧力の検出値が目標値よりも低い場合には、プランジャ62の上昇期間における電磁スピル弁64の閉弁時期を早くして、高圧燃料ポンプ60の燃料送出量を増加させる。また、高圧側燃料圧力の検出値が目標値よりも高いときには、プランジャ62の上昇期間における電磁スピル弁64の閉弁時期を遅くして、高圧燃料ポンプ60の燃料送出量を減少させる。
続いて、フィード圧制御の一環として実行する圧力調整処理の詳細を説明する。圧力調整処理は、次の目的で行われる。フィードポンプ52から送出されてフィードパイプ57を流れる燃料がエンジンの熱を受けて高温となると、フィードパイプ57内にベーパが発生して、高圧側デリバリパイプ71、低圧側デリバリパイプ31への燃料の供給が滞ることがある。燃料の圧力が高いほど、燃料の気化温度は高くなるため、フィードパイプ57でのベーパの発生を防止するには、フィードパイプ57へのフィードポンプ52の燃料送出量を多くしてフィード圧Pfを高くすればよい。しかしながら、燃料送出量を増加させれば、その分、フィードポンプ52の電力消費量が増えてしまう。そこで、圧力調整処理では、ベーパの発生を防止可能な限りにおいてフィード圧Pfを低い圧力に維持すべく、フィードポンプ52の燃料吐出量を調整することで、電力消費を抑えつつ、ベーパの発生を防止している。
図2に、制御装置100の実行装置101が実行する圧力調整処理に係る処理の流れを示す。図2に示すように圧力調整処理は、要求圧力設定処理M200、要求ポンプ回転数算出処理M210、フィード圧推定処理M220、及びフィード圧フィードバック処理M230の各処理を通じて行われる。
要求圧力設定処理M200では、実行装置101は、温度推定処理M110を通じて推定した燃料温度Tfに基づいてフィード圧Pfの目標値である要求フィード圧Pf*を算出する。なお、温度推定処理M110は、制御装置100の実行装置101が実行する処理である。温度推定処理M110についての詳細は後述する。
図3に二点鎖線で示すように、この制御装置100では、燃料温度Tfに応じて3段階に要求フィード圧Pf*を切り替える。図3には、二点鎖線で示した要求フィード圧Pf*の他に、燃料の飽和蒸気圧と燃料温度Tfとの関係を、実線と一点鎖線と破線とで示している。なお、実線はガソリンの飽和蒸気圧と燃料温度Tfとの関係を示しており、一点鎖線はガソリンとエタノールとの混合燃料のうち、エタノールを容積比で20%含むE20燃料の飽和蒸気圧と燃料温度Tfとの関係を示している。また、破線はガソリンとメタノールとの混合燃料のうち、メタノールを容積比で15%含むM15燃料の飽和蒸気圧と燃料温度Tfとの関係を示している。
制御装置100では、使用が想定される燃料のうち、最も飽和蒸気圧が高くなる燃料を使用した場合であっても要求フィード圧Pf*が、飽和蒸気圧を下回ることがないように、燃料温度Tfが高いときほど、要求フィード圧Pf*を高くする。具体的には、実行装置101は、要求圧力設定処理M200において、図3に示すように、燃料温度Tfが「T1」未満のときには、要求フィード圧Pf*として「P1」を算出する。そして、実行装置101は、燃料温度Tfが「T1」以上であり、且つ「T1」よりも高い「T2」未満のときには、要求フィード圧Pf*として「P1」よりも高い「P2」を算出する。また、実行装置101は、燃料温度Tfが「T2」以上のときには、要求フィード圧Pf*として「P2」よりも高く且つリリーフ弁56の開弁圧力Pxよりも僅かに低い「P3」を算出する。
要求ポンプ回転数算出処理M210では、実行装置101は、燃料噴射量Qfと、要求圧力設定処理M200を通じて算出した要求フィード圧Pf*とに基づいて、ポンプ回転数Npの目標値である要求ポンプ回転数Np*を算出する。なお、燃料噴射量Qfは、燃料噴射量制御の一環として実行する要求噴射量算出処理M100を通じて算出された要求噴射量、すなわち筒内燃料噴射弁44に対する要求燃料噴射量とポート燃料噴射弁30に対する要求燃料噴射量との和に基づいて把握できる。
制御装置100では、要求ポンプ回転数算出処理M210において、実行装置101が、燃料噴射制御の実行による燃料の消費量を考慮した上で要求フィード圧Pf*を実現するために必要なポンプ回転数Npを、要求ポンプ回転数Np*として算出する。
具体的には、実行装置101は、記憶装置102に記憶されている回転数算出用写像データを用いて要求ポンプ回転数Np*を算出する。回転数算出用写像データは、図2に示すように、要求フィード圧Pf*と燃料噴射量Qfとを入力として要求ポンプ回転数Np*を出力する演算マップである。この演算マップは、例えば、ガソリンを燃料として使用した実験の結果に基づいて要求ポンプ回転数Np*を算出できるように作成されている。図2には、要求ポンプ回転数Np*の等高線を図示している。この演算マップでは、要求フィード圧Pf*が高く、燃料噴射量Qfが多いときほど、出力される要求ポンプ回転数Np*が大きくなる。
フィード圧推定処理M220では、実行装置101は、フィードポンプ制御装置200から受信したポンプ回転数Np及びポンプ電流Ipと、燃料温度Tfとに基づいてフィード圧Pfの推定値を算出する。
具体的には、実行装置101は、記憶装置102に記憶されている推定用写像データを用いてフィード圧Pfの推定値を算出する。推定用写像データは、図2に示すようにポンプ回転数Npとポンプ電流Ipとを入力としてフィード圧Pfを出力する演算マップである。記憶装置102には、推定用写像データとして、対応する燃料温度Tfの水準が異なる3つの演算マップが記憶されている。3つの演算マップは、例えば、「-30℃」に対応する演算マップと、「70℃」に対応する演算マップと、「25℃」に対応する演算マップであり、それぞれ、車両の使用環境下で想定される燃料温度の下限、上限、中央付近に対応する演算マップである。
これら演算マップは、例えば、対応する燃料温度Tfのガソリンを燃料として使用した実験の結果に基づいてフィード圧Pfを算出できるようにそれぞれ作成されている。図2には、フィード圧Pfの等高線を図示している。この演算マップでは、ポンプ回転数が高く、ポンプ電流が大きいときほど、出力されるフィード圧Pfが高くなる。
フィード圧推定処理M220では、まず、実行装置101は、記憶装置102に記憶されている演算マップのうち、2つの演算マップを用いて現在の燃料温度Tfに対応した写像を導出する。
例えば、現在の燃料温度Tfが30℃である場合、30℃よりも低い25℃に対応する推定用写像データと、30℃よりも高い70℃に対応する推定用写像データとから30℃に対応する写像を導出する。ここでは、線形補間によって30℃に対応する写像を導出する。
フィード圧推定処理M220では、実行装置101は、こうして補間により導出した写像に、現在のポンプ回転数Np及びポンプ電流Ipを入力することにより、現在のフィード圧Pfの推定値を算出する。
フィード圧フィードバック処理M230では、実行装置101は、要求圧力設定処理M200を通じて算出された要求フィード圧Pf*と、フィード圧推定処理M220を通じて算出されたフィード圧Pfの推定値とに基づいて要求ポンプ回転数Np*の補正量ΔNを算出する。具体的には、フィード圧フィードバック処理M230では、実行装置101は、フィード圧Pfの推定値が要求フィード圧Pf*よりも小さいときには、補正量ΔNを所定量大きくする。一方で、実行装置101は、フィード圧Pfの推定値が要求フィード圧Pf*よりも大きいときには、補正量ΔNを所定量小さくする。そして、実行装置101は、算出した補正量ΔNを、要求ポンプ回転数算出処理M210を通じて算出された要求ポンプ回転数Np*に加算して要求ポンプ回転数Np*を補正する。これにより、フィードポンプ制御装置200には、フィード圧フィードバック処理M230を通じて算出された補正量ΔNによって補正された後の要求ポンプ回転数Np*が入力される。そして、フィードポンプ制御装置200は、入力された要求ポンプ回転数Np*を実現するようにフィードポンプ52への供給電力を制御する。
要求ポンプ回転数Np*を大きくすると、単位時間当たりにフィードポンプ52から吐出される燃料の量が増えるため、フィード圧Pfが高くなる。一方で、要求ポンプ回転数Np*を小さくすると、単位時間当たりにフィードポンプ52から吐出される燃料の量が減るため、フィード圧Pfが低くなる。すなわち、フィード圧フィードバック処理M230は、推定値と要求フィード圧Pf*との偏差を小さくするように要求ポンプ回転数Np*を補正する処理である。
このようにこの実施形態の燃料供給システムでは、フィード圧Pfを検出するセンサを設けずに、燃料温度Tfとポンプ回転数Npとポンプ電流Ipとに基づいてフィード圧Pfの推定値を算出し、算出した推定値を用いてフィード圧Pfをフィードバック制御している。実行装置101は、こうした圧力調整処理を通じて要求フィード圧Pf*を実現するように写像データを用いてフィードポンプ52への供給電力を制御する。
また、この実施形態の燃料供給システムでは、フィード圧Pfだけでなく、燃料温度Tfについても、燃料温度Tfを検出するセンサを設けずに、推定している。
次に燃料温度Tf推定する温度推定処理M110について、図4を参照して説明する。図4は、温度推定処理M110にかかるルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。このルーチンは、制御装置100に電力が供給されており、制御装置100が稼働しているときに実行装置101によって所定の周期で繰り返し実行される。なお、この制御装置100では、燃料温度Tfとして燃料タンク51内の燃料の温度を推定している。
実行装置101は、このルーチンを開始すると、まずステップS100の処理において、燃料への入熱量Qinを算出する。この制御装置100では、このステップS100の処理において、温度を推定する対象である燃料タンク51内の燃料への入熱量Qinを算出する。
具体的には、エンジンが運転されているときには、エンジンの負荷率及び機関回転数に基づいて入熱量Qinを算出する。負荷率が高いほど、また機関回転数が高いほど、エンジンで発生する熱が多くなるため、燃料タンク51内の燃料に対する入熱量Qinも多くなる。そこで、このステップS100の処理では、エンジンが運転されているときには、実行装置101は、負荷率が高いほど、また機関回転数が高いほど、入熱量Qinが大きくなるように、負荷率及び機関回転数に基づいて入熱量Qinを算出する。
また、エンジンの運転が停止しているときには、燃焼による熱は発生しないものの、エンジン側からの伝熱により燃料タンク51内の燃料の温度が上昇する。そこで、このステップS100の処理では、エンジンの運転が停止しているときには、実行装置101は、エンジンが停止する前の入熱量Qinとエンジン停止からの経過時間とに基づいて入熱量Qinを算出する。例えば、実行装置101は、エンジンが停止する前の入熱量Qinが多いときほど入熱量Qinが大きくなるように、また、エンジン停止からの経過時間が長くなるほど入熱量Qinが小さくなるように、入熱量Qinを算出する。
次に、実行装置101は、処理をステップS110へと進める。そして、実行装置101は、ステップS110の処理において、放熱量Qoutを算出する。この制御装置100では、このステップS110の処理において、温度を推定する対象である燃料タンク51内の燃料からの放熱量Qoutを算出する。
具体的には、実行装置101は、燃料温度Tfの推定値と、外気温センサ139によって検出されている外気温と、車速とに基づいて放熱量Qoutを算出する。燃料温度Tfから外気温を引いた差が大きいほど、すなわち外気温が燃料温度Tfより低いほど放熱量Qoutは多くなる。また、車速が高いほど、外気との熱交換が促進されるため、放熱量Qoutは多くなる。そこで、ステップS110の処理では、実行装置101は、燃料温度Tfから外気温を引いた差が大きいほど、また車速が高いほど、放熱量Qoutが大きくなるように、放熱量Qoutを算出する。
次に、実行装置101は、処理をステップS120へと進める。そして、実行装置101は、ステップS120の処理において、補正係数Kfを算出する。この補正係数Kfは、燃料タンク51内の燃料の残量が多いほど、熱容量が大きくなり、入熱量Qin及び放熱量Qoutに応じた燃料の温度変化が小さくなることを、温度変化量ΔTfの算出に反映させるための係数である。そのため、このステップS120の処理では、実行装置101は、燃料の残量が多いほど小さくなるように、補正係数Kfを算出する。
次に、実行装置101は、処理をステップS130へと進める。そして、ステップS100~S120の処理を通じて算出した入熱量Qinと放熱量Qoutと補正係数Kfとを用いて温度変化量ΔTfを算出する。
具体的には、実行装置101は、入熱量Qinから放熱量Qoutを引いた差を入放熱量Qとして算出する。そして、この入放熱量Qに補正係数Kfを乗じる。こうして算出した積が温度変化量ΔTfである。
次に、実行装置101は、処理をステップS140へと進める。そして、ステップS140の処理において、燃料温度Tfを更新する。
具体的には、前回の制御周期における温度推定処理M110を通じて推定した燃料温度Tfに、温度変化量ΔTfを加算した和を新たな燃料温度Tfにする。こうして燃料温度Tfを更新すると、実行装置101は、このルーチンを一旦終了させる。
このように制御装置100では、このルーチンを実行することにより、燃料タンク51内の燃料に対する入放熱量Qと燃料の残量とに基づいて温度変化量ΔTfを算出し、燃料温度Tfを更新する。つまり、この制御装置100では、このルーチンを繰り返し実行することにより、温度変化量ΔTfを積算することによって燃料温度Tfを推定する温度推定処理M110を実現している。
ところで、給油が行われると燃料タンク51内の燃料の温度が変化する。実際の燃料温度と大きく乖離した推定値を用いて図2を参照して説明した圧力調整処理を実行すると、フィード圧Pfを適切に制御できなくなってしまう。そこで、この制御装置100では、給油が行われた場合には、図4を参照して説明した温度推定処理M110を停止し、図2を参照して説明した圧力調整処理を実行せずに、フィード圧Pfをリリーフ弁56の開弁圧力Pxに維持するようにフィードポンプ52を駆動させる圧力維持処理を実行する。
次に図5~図8を参照して、温度推定処理M110を再開する際の燃料温度Tfの初期値の算出と、圧力維持処理について説明する。
図5は、温度推定処理M110を停止して圧力維持処理を実行する期間の長さであるマスク時間の設定と、圧力維持処理への切り替えにかかるルーチンの一連の処理の流れを示すフローチャートである。このルーチンは、制御装置100への電力の供給が開始され、制御装置100が起動される度に、実行装置101によって実行される。
このルーチンを開始すると、実行装置101は、まずステップS200の処理において、給油が行われたか否かを判定する。なお、制御装置100は、車両のメインスイッチがOFFにされ、制御装置100の稼働が停止されるときに、そのときの燃料タンク51内の燃料の残量を記憶装置102に記憶する。そして、車両のメインスイッチがONにされ、制御装置100の稼働が開始されたときに、そのときの燃料タンク51内の燃料の残量が記憶装置102に記憶されている残量よりも既定量以上多いときに給油が行われたと判定する。なお、既定量の大きさは、予め行う実験などの結果に基づき、残量が既定量以上増えていることに基づいて、給油が行われたことを適切に判定することのできる大きさに設定されている。
ステップS200の処理において、給油が行われたと判定した場合(ステップS200:YES)には、実行装置101は、処理をステップS210へと進める。そして、実行装置101は、ステップS210の処理において、温度推定処理M110を停止して圧力維持処理を実行する期間の長さであるマスク時間を設定する。具体的には、実行装置101は、このステップS210の処理において、車両のメインスイッチがOFFにされ、制御装置100の稼働が停止されるときに推定されていた燃料温度Tfと外気温と給油割合に基づいてマスク時間を設定する。なお、給油割合は、給油が完了したときの燃料の残量に対する給油によって増大した燃料の量の割合のことであり、メインスイッチがOFFにされて制御装置100が稼働を停止するときの燃料の残量と、メインスイッチがONにされて制御装置100が稼働を再開したときの燃料の残量と、に基づいて算出することができる。
制御装置100の稼働が停止されるときに推定されていた燃料温度Tfは給油が行われるときに推定されていた燃料温度Tfである。給油が行われるときに推定されていた燃料温度Tfから給油が行われたときの外気温を引いた差である温度差ΔTが大きいほど、給油直前の燃料温度Tfが外気温よりも高く、外気との熱交換により燃料タンク51内の燃料の温度が収束するまでに要する時間は長くなりやすい。
そこで、図6に示すように、このステップS210の処理では、温度差ΔTが大きいほど、マスク時間が長くなるように、マスク時間を設定する。また、給油割合が高く、給油によって増大した燃料の量の割合が高いほど、給油による温度の変化の影響は大きくなる。そのため、給油割合が高いほど、外気との熱交換により燃料タンク51内の燃料の温度が収束するまでに要する時間は長くなりやすい。そこで、図6に示すように、このステップS210の処理では、給油割合が高いほど、マスク時間が長くなるように、マスク時間を設定する。
こうしてマスク時間を設定すると、実行装置101は、処理をステップS220へと進め、温度推定処理M110を停止する。そして、次に実行装置101は、処理をステップS230へと進め、燃料温度Tfに基づくフィード圧推定処理M220を停止する。
そして、実行装置101は、ステップS240の処理においてフィード圧制御の内容を圧力調整処理から圧力維持処理に切り替える。圧力維持処理では、実行装置101は、ポンプ回転数Npを増大させてフィードポンプ52を駆動し続け、フィード圧Pfが開弁圧力Px以上になってリリーフ弁56が開弁された状態に維持する。こうしてリリーフ弁56が開弁した状態を維持するようにフィードポンプ52を駆動し続けることにより、フィード圧Pfはリリーフ弁56の開弁圧力Pxに維持される。
なお、こうして圧力維持処理を実行している間は、制御装置100はフィード圧Pfが開弁圧力Pxと等しいとみなして燃料噴射制御などを実行する。
ステップS240の処理を通じて、フィード圧制御を圧力調整処理から圧力維持処理に切り替えると、実行装置101は、処理をステップS250へと進める。そして、ステップS250の処理において実行装置101は、給油が行われてからの経過時間の計測を開始する。そして、経過時間の計測を開始すると、実行装置101はこの一連のルーチンを終了させる。
一方で、ステップS100の処理において給油が行われていないと判定した場合(ステップS200:NO)には、実行装置101は、ステップS210~S250の処理を実行せずに、そのままこのルーチンを終了させる。すなわち、給油が行われていない場合には、実行装置101は、温度推定処理M110及びフィード圧推定処理M220を停止させずに、フィード圧推定処理M220を通じて推定されたフィード圧Pfを要求フィード圧Pf*に近づけるようにフィードバック制御する圧力調整処理を実行する。
図5を参照して説明したルーチンにおけるステップS250の処理を通じて給油からの経過時間の計測が開始され、経過時間の計測が行われている間は、実行装置101は、図7に示すルーチンを繰り返し実行する。
このルーチンを開始すると、実行装置101は、まずステップS300~S320の処理を通じて、入熱量Qinと、放熱量Qoutと、補正係数Kfとを算出し、ステップS330の処理を通じて温度変化量ΔTfを算出する。ステップS300~S330の処理は、図4を参照して説明したステップS100~S130の処理と同じ内容の処理である。具体的には、実行装置101は、ステップS300の処理において、ステップS100の処理と同様に入熱量Qinを算出する。また、実行装置101は、ステップS310の処理では、ステップS110の処理と同様に燃料温度Tfの推定値と、外気温と、車速とに基づいて放熱量Qoutを算出する。そして、実行装置101は、ステップS320の処理では、ステップS120の処理と同様に燃料の残量に基づいて補正係数Kfを算出する。ステップS330の処理は、ステップS130の処理と同様の処理であり、実行装置101はステップS330の処理において、ステップS300~S320の処理を通じて算出した入熱量Qinと放熱量Qoutと補正係数Kfとを用いて温度変化量ΔTfを算出する。
次に、実行装置101は、処理をステップS340へと進める。ステップS340の処理では、実行装置101は、積算温度変化量ΣΔTfを更新する。積算温度変化量ΣΔTfは給油からの経過時間の計測が行われてこのルーチンが繰り返されている間にステップS330の処理を通じて算出した温度変化量ΔTfを積算した値である。このステップS340の処理では、実行装置101は、ステップS330を通じて算出した温度変化量ΔTfを前回算出した積算温度変化量ΣΔTfに加算した和を新たな積算温度変化量ΣΔTfにすることによって積算温度変化量ΣΔTfを更新する。なお、積算温度変化量ΣΔTfは後述するように、給油からの経過時間がマスク時間に到達し、燃料温度Tfの算出が完了したときに「0」にリセットされる。
次に、実行装置101は、処理をステップS350へと進める。ステップS350の処理では、実行装置101は、給油からの経過時間がマスク時間以上であるか否か、すなわち、経過時間がマスク時間に到達したか否かを判定する。
ステップS350の処理において、経過時間がマスク時間未満であると判定した場合(ステップS350:NO)、すなわち経過時間がマスク時間に到達していない場合には、実行装置101は、そのままこの一連のルーチンを一旦終了させる。要するに、実行装置101は、経過時間がマスク時間に到達するまでは、このルーチンを繰り返し実行することにより、温度変化量ΔTfを算出してそれを積算し、積算温度変化量ΣΔTfを更新する。
一方で、ステップS350の処理において、経過時間がマスク時間以上であると判定した場合(ステップS350:YES)、すなわち経過時間がマスク時間に到達した場合には、実行装置101は、処理をステップS360へと進める。
ステップS360の処理では、実行装置101は、経過時間の計測を終了させる。そして、次のステップS370の処理において、実行装置101は、燃料温度Tfを算出する。具体的には、実行装置101は、ステップS370の処理において、外気温センサ139によって検出した外気温に積算温度変化量ΣΔTfを加算することにより、その和を燃料温度Tfとして算出する。
こうしてステップS370の処理を通じて燃料温度Tfを算出すると、実行装置101は、処理をステップS380へと進める。そして、ステップS380の処理において、実行装置101は、温度推定処理M110を再開させる。なお、温度推定処理M110を再開すると、ステップS370の処理を通じて算出した燃料温度Tfを初期値にして温度推定処理M110が再開される。
次に、実行装置101は、処理をステップS390へと進め、フィード圧推定処理M220を再開し、ステップS400の処理において、フィード圧制御を圧力維持処理から圧力調整処理に切り替える。こうしてフィード圧制御を圧力維持処理に切り替えると、実行装置101は、この一連の処理を終了させる。
本実施形態の作用について説明する。
上記のように、制御装置100では、給油が行われると(ステップS200:YES)、給油が行われる前に推定されていた燃料温度Tfと外気温との差である温度差ΔTと、給油割合とに基づいてマスク時間を設定する(ステップS210)。そして、給油からの経過時間がマスク時間に到達するまでの間、温度推定処理M110及びフィード圧推定処理M220を停止し(ステップS220及びステップS230)、フィード圧制御を圧力維持処理に切り替える(ステップS240)。
そして、制御装置100では、圧力維持処理を実施している間は、燃料タンク51内の燃料に対する入放熱量Qを算出して温度変化量ΔTfを算出し(ステップS300~S330)、算出した温度変化量ΔTfを積算して積算温度変化量ΣΔTfを算出している(ステップS340)。
こうして圧力維持処理を実施しながら、積算温度変化量ΣΔTfを算出している間に、給油からの経過時間がマスク時間に到達すると、制御装置100では、外気温に積算温度変化量ΣΔTfを加算して燃料温度Tfの初期値を算出する(ステップS370)。そして、実行装置101は、温度推定処理M110及びフィード圧推定処理M220を再開させ(ステップS380及びステップS390)、フィード圧制御を圧力調整処理に切り替える(ステップS400)。
図8は、給油が行われたときの燃料タンク51内の実際の燃料温度の推移を示すグラフである。なお、このグラフは、給油が行われたあと、エンジンの運転を継続した状態での実験結果を示している。
図8に示すように、時刻t10において給油が行われると、燃料タンク51内に温度の低い新たな燃料が補充されるため、燃料温度が急低下する。給油によって補充される燃料の温度は正確には分からない。また、補充される燃料の量によっても給油による燃料タンク51内の燃料温度の低下量は変化する。そのため、給油直後に、給油後の燃料タンク51内の燃料温度を推定することは難しい。
こうして燃料タンク51内の燃料の温度が温度推定処理M110を通じて推定した燃料温度Tfから乖離して、燃料温度を適切に把握できなくなる。燃料温度を把握できていないと、適切な要求フィード圧Pf*を設定することができないばかりか、フィード圧Pfを適切に推定することもできない。その結果、圧力調整処理を通じてフィード圧Pfを適切に調整することができなくなってしまう。
これに対して、フィード圧Pfが開弁圧力Px以上になると、リリーフ弁56が開弁してフィードパイプ57から燃料が燃料タンク51内に排出される。そのため、フィード圧Pfを開弁圧力Pxに維持するためには、フィード圧Pfが開弁圧力Px以上になるようにフィードポンプ52を稼働させ続ける必要がある。すなわち、給油が行われ、燃料タンク51内の燃料温度が適切に把握できなくなっているときに、圧力維持処理を実行すれば、燃料温度が正確に把握できておらず、フィード圧推定処理M220を通じてフィード圧Pfを適切に推定できない状態であっても、フィード圧Pfは開弁圧力Pxと等しい圧力に維持される。したがって、上記のように給油が行われたあとに圧力維持処理を実行するようにすれば、フィード圧Pfを把握できない状態に陥ることを抑制することができる。ひいては、フィード圧Pfが開弁圧力Pxに維持されるものとして燃料噴射量などを適切に制御することができる。
なお、給油による温度の急変の影響は、外気との熱交換などの進行により給油からの時間の経過とともに小さくなる。したがって、給油が行われてから十分な時間が経過すれば、燃料タンク51内の燃料温度は、外気温に近い値に収束する。
図8における破線は、こうした時間の経過による燃料温度の収束を示している。そこで制御装置100では、給油が行われると、給油からの経過時間がマスク時間に到達するまでは、圧力調整処理を行わず、替わりに圧力維持処理を実行する。
図8においては、時刻t20において時間の経過による燃料温度の収束が完了する例を示している。制御装置100では、ステップS210の処理において設定するマスク時間がこの時間の経過による燃料温度の収束にかかる時間を下回らないように、マスク時間の算出処理が設計されている。
また、制御装置100では、給油からの経過時間がマスク時間に到達し、温度算出処理及びフィード圧推定処理M220を再開するまでの間の入放熱量Qと燃料の残量に基づいて積算温度変化量ΣΔTfを算出している。この積算温度変化量ΣΔTfは、図8における網掛けで表示されている分の温度差を算出するものである。制御装置100では、経過時間がマスク時間に到達したときに、外気温に積算温度変化量ΣΔTfを加算してその和を、温度推定処理M110を再開する際の燃料温度Tfの初期値にする。
すなわち、制御装置100では、図8に矢印で示すように、経過時間がマスク時間に到達したときに、外気温に積算温度変化量ΣΔTfを加算して網掛けで示したマスク時間における燃料温度の変化量を反映させ、燃料温度Tfを算出する。
本実施形態の効果について説明する。
(1)給油が行われ、燃料タンク51内の燃料温度が適切に把握できなくなっているときに、圧力維持処理を実行する。そのため、燃料温度が正確に把握できておらず、フィード圧推定処理M220を通じてフィード圧Pfを適切に推定できない状態であっても、フィード圧Pfは開弁圧力Pxと等しい圧力に維持される。したがって、制御装置100では、フィード圧Pfが把握できない状態に陥ることを抑制することができる。ひいては、フィード圧Pfが開弁圧力Pxに維持されるものとして燃料噴射量などを適切に制御することができる。なお、給油が行われると、給油からの経過時間がマスク時間に到達するまでは、圧力調整処理を行わず、替わりに圧力維持処理を実行する。すなわち、給油による温度の急変の影響が大きい間は圧力維持処理を実行して、燃料噴射量などの制御への影響を抑制できる。
(2)制御装置100では、給油が行われるときに推定されていた燃料温度Tfから給油が行われたときの外気温を引いた差である温度差ΔTが大きいほど、長いマスク時間を設定し、温度推定処理M110の再開の要件になる経過時間を長くする。そのため、燃料タンク51内の燃料温度が収束するまでに要する時間の長さに応じて温度推定処理M110の再開の要件になる経過時間の長さを設定することができる。
(3)制御装置100では、給油が完了したときの燃料の残量に対する給油によって増大した燃料の量の割合である給油割合が高いほど、長いマスク時間を設定し、温度推定処理M110の再開の要件になる経過時間を長くする。そのため、これによっても、給油による燃料温度の変化の影響が大きく、燃料タンク51内の燃料の温度が収束するまでに要する時間が長くなると推定されるときほど、温度推定処理M110の再開の要件になる経過時間の長さを長くすることができる。
(4)入放熱による燃料タンク51内の燃料温度の変化量は、燃料タンク51内の燃料の残量に応じて変化する。制御装置100では、温度推定処理M110を停止している期間の間、入放熱量Qと燃料の残量とに基づいて算出した温度変化量ΔTfを積算している。そのため、その期間における燃料の残量の変化による影響も考慮したかたちで外気温に加える積算温度変化量ΣΔTfを算出することができる。したがって、温度推定処理M110を停止していた期間における入放熱量Qの影響をより正確に加味したかたちで、燃料温度Tfの推定を再開することができる。
(5)制御装置100では、エンジンの負荷率が高いほど、入熱量Qinとして大きな値を算出している。エンジンの負荷率が高いほど、より多くの熱が発生するため、燃料タンク51内の燃料に対する入熱量Qinは大きくなる。制御装置100によれば、こうした傾向を反映させて、入放熱量Qを算出することができる。
(6)制御装置100では、車速が高いほど、放熱量Qoutとして大きな値を算出している。車速が高いほど、外気との熱交換は促進されるため、燃料タンク51内の燃料からの放熱量Qoutは大きくなる。制御装置100によれば、こうした傾向を反映させて、入放熱量Qを算出することができる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・温度推定処理M110を再開する際の燃料温度Tfの初期値の算出態様は、外気温にマスク時間における温度変化量を加算するものであればよい。その具体的な算出態様は、適宜変更することができる。上記の実施形態では、入放熱量Qを用いて算出した温度変化量ΔTfを積算して積算温度変化量ΣΔTfを算出し、外気温に積算温度変化量ΣΔTfを加算することによって燃料温度Tfの初期値を算出する例を示した。これに対して、例えば、経過時間がマスク時間に到達するまでの間の入放熱量Qを積算して、経過時間がマスク時間に到達したときに温度変化量を算出してこれを外気温に加算することによって燃料温度Tfを算出するようにしてもよい。図9はこうした態様で燃料温度Tfを算出する変更例におけるルーチンの流れを示すフローチャートである。
この変更例の制御装置100では、実行装置101が、上記の図7を参照して説明したルーチンに替えて、図9に示すルーチンを実行する。
図9に示すように、このルーチンを開始すると、実行装置101は、まずステップS500及びステップS510の処理を通じて、入熱量Qinと、放熱量Qoutとを算出する。ステップS500及びステップS510の処理は、図4を参照して説明したステップS100及びステップS110の処理と同じ内容の処理である。具体的には、実行装置101は、ステップS500の処理において、ステップS100の処理と同様に入熱量Qinを算出する。また、実行装置101は、ステップS510の処理では、ステップS110の処理と同様に燃料温度Tfの推定値と、外気温と、車速とに基づいて放熱量Qoutを算出する。
次に、実行装置101は、処理をステップS520へと進める。ステップS520の処理では、実行装置101は、積算入放熱量ΣQを更新する。積算入放熱量ΣQは給油からの経過時間の計測が行われてこのルーチンが繰り返されている間に算出した入放熱量Qを積算した値である。入放熱量Qは、入熱量Qinから放熱量Qoutを引いた差である。ステップS520の処理では、実行装置101は、入熱量Qinから放熱量Qoutを減算して入放熱量Qを算出し、算出した入放熱量Qを前回算出した積算入放熱量ΣQに加算した和を新たな積算入放熱量ΣQにすることによって積算入放熱量ΣQを更新する。なお、積算入放熱量ΣQは後述するように、給油からの経過時間がマスク時間に到達し、燃料温度Tfの算出が完了したときに「0」にリセットされる。
次に、実行装置101は、処理をステップS530へと進める。ステップS530の処理では、実行装置101は、給油からの経過時間がマスク時間以上であるか否か、すなわち経過時間がマスク時間に到達したか否かを判定する。
ステップS530の処理において、経過時間がマスク時間未満であると判定した場合(ステップS530:NO)、すなわち経過時間がマスク時間に到達していない場合には、実行装置101は、そのままこの一連のルーチンを一旦終了させる。要するに、実行装置101は、経過時間がマスク時間に到達するまでは、このルーチンを繰り返し実行することにより、入放熱量Qを算出してそれを積算し、積算入放熱量ΣQを更新する。
一方で、ステップS530の処理において、経過時間がマスク時間以上であると判定した場合(ステップS530:YES)、すなわち経過時間がマスク時間に到達した場合には、実行装置101は、処理をステップS540へと進める。
ステップS540の処理では、実行装置101は、経過時間の計測を終了させる。そして、次のステップS550の処理において、実行装置101は、温度変化量ΔTfを算出する。このステップS550の処理では、実行装置101は、積算入放熱量ΣQに燃料の残量に応じた補正係数Kfを乗じて温度変化量ΔTfを算出する。
次に、実行装置101は、処理をステップS560へと進める。ステップS560の処理では、実行装置101は、燃料温度Tfを算出する。具体的には、実行装置101は、ステップS560の処理において、外気温センサ139によって検出した外気温に温度変化量ΔTfを加算することにより、その和を燃料温度Tfとして算出する。
こうしてステップS560の処理を通じて燃料温度Tfを算出すると、実行装置101は、処理をステップS570へと進める。そして、ステップS570の処理において、実行装置101は、温度推定処理M110を再開させる。なお、温度推定処理M110を再開すると、ステップS560の処理を通じて算出した燃料温度Tfを初期値にして温度推定処理M110が再開される。
次に、実行装置101は、処理をステップS580へと進め、フィード圧推定処理M220を再開し、ステップS590の処理において、フィード圧制御を圧力維持処理から圧力調整処理に切り替える。こうしてフィード圧制御を圧力維持処理に切り替えると、実行装置101は、この一連の処理を終了させる。
こうした態様で燃料温度Tfを算出するようにした場合にも、温度推定処理M110を停止していた期間における入放熱量Qの影響を加味したかたちで、燃料温度Tfの推定を再開することができる。
・温度変化量ΔTfを算出するときに、そのときの燃料の残量に応じた補正係数Kfを乗じて温度変化量ΔTfを算出する例を示したが、燃料の残量によらずに一定の係数を乗算して温度変化量ΔTfを算出するようにしてもよい。こうした場合には、燃料の残量に応じた熱量量の変化による影響を反映させることはできないものの、温度推定処理M110を停止していた期間における入放熱量Qの影響を反映させたかたちで燃料温度Tfの初期値を算出することができる。
・制御装置100の稼働が停止されるときに推定されていた燃料温度Tfと外気温との温度差ΔTと、給油割合とに基づいてマスク時間を設定する例を示したが、温度差ΔT及び給油割合のうちいずれか一方に基づいてマスク時間を設定してもよい。また、マスク時間を可変にせず、一定のマスク時間を設定してもよい。例えば、入熱などの影響を除いて燃料温度が外気温に収束するまでにかかる時間を下回らないように、マスク時間を長めに設定すれば、マスク時間を可変設定しなくても、算出する燃料温度Tfと実際の燃料温度との乖離を抑制することができる。
・燃料タンク51内の燃料の温度をそのまま燃料温度Tfとして算出し、要求圧力設定処理やフィード圧制御などに使用する例を示した。これに対して、要求圧力設定処理やフィード圧制御などに使用する燃料温度Tfは燃料タンク51内の燃料の温度そのものでなくてもよい。例えば、フィードパイプ57内の燃料の温度を燃料温度Tfとして算出する場合には、燃料タンク51内の燃料の温度に加えて、高圧燃料ポンプ60内の燃料の温度を用いることが考えられる。すなわちフィードパイプ57には燃料タンク51内の燃料が供給されるため、フィードパイプ57内の燃料の温度は燃料タンク51内の燃料の温度に基づいて決まるが、フィードパイプ57は高圧燃料ポンプ60に接続されている。高圧燃料ポンプ60はポンプカム67が高温のオイルによって潤滑されているため、高圧燃料ポンプ60内の燃料は燃料タンク51内の燃料の温度よりも高くなりやすい。そのため、フィードパイプ57内の燃料は、高圧燃料ポンプ60側からの熱の伝達により燃料タンク51内の燃料よりも温度が高くなる。そこで、こうした高圧燃料ポンプ60側からの伝熱の影響を考慮するため、燃料タンク51内の燃料の温度に加えて、高圧燃料ポンプ60内の燃料の温度を用いて燃料温度Tfとしてフィードパイプ57内の温度を推定する温度推定処理M110を実行する。この場合にも、燃料温度Tfを算出するために燃料タンク51内の燃料の温度を算出する必要がある。そのため、上記の実施形態と同様に、給油が行われてからの一連の処理を実行して給油からの経過時間がマスク時間に到達したときに燃料タンク51内の燃料の温度の初期値を算出すればよい。
・なお、上記の実施形態では、温度変化量ΔTfを、温度が上昇する場合に正の値になる態様で表現していたが、温度変化量ΔTfは、温度が低下する場合に正の値になる値であってもよい。この場合には、外気温から温度変化量ΔTfを減算した差を燃料温度Tfの初期値にすることになる。こうした構成を採用した場合にも同様の効果は得られる。
・また、入熱量Qinと放熱量Qoutをいずれも正の値で表現した例を示したが、入熱量Qin及び放熱量Qoutの正負はこうした組み合わせに限らない。例えば、燃料における熱の増減の方向にあわせて入熱量Qinを正の値で表現する一方で、放熱量Qoutを負の値で表現するようにしてもよい。この場合には、入放熱量Qは、入熱量Qinと放熱量Qoutを加算した和になる。
・上記実施形態では、フィード圧制御では、フィード圧を3段階に変更するようにしたが、2段階に変更したり、4段階以上に変更したりしてもよい。また、要求圧力設定処理を通じて要求フィード圧Pf*を可変設定することなく、要求フィード圧Pf*を固定してフィード圧制御を行うようにしてもよい。
・現在の燃料温度Tfに対応した写像を、複数の推定用写像データからの補間によって導出する例を示したが、こうした態様でなくてもよい。例えば、燃料噴射量Qfと要求フィード圧Pf*とに加えて、燃料温度Tfを入力とした1つの推定用写像データを使って要求ポンプ回転数Np*を算出するようにしてもよい。
・上記の実施形態や変更例では、フィード圧制御においてフィード圧フィードバック処理M230を実行する例を示したが、フィード圧Pfについてのフィードバック処理を実行しない制御装置において、上記の実施形態や変更例と同様の構成を採用することもできる。例えば、フィード圧制御において、要求フィード圧Pf*を入力とするオープン制御によってフィードポンプ52を制御することもできる。この場合にも、要求圧力設定処理M200に用いる燃料温度Tfを算出する必要があるため、上記の実施形態や変更例と同様の構成を採用できる。
・上記実施形態では、推定用写像データの例として、演算マップを例示したが、写像データは、演算マップに限らない。例えば、数式で表現される演算モデルであってもよい。すなわち、係数を実験の結果に基づいて適合した適合済み演算モデルや、機械学習を用いて作成した機械学習済みモデルであってもよい。
・制御装置100が、フィードポンプ制御装置200を通じてフィードポンプ52を制御する例を示したが、制御装置100とフィードポンプ制御装置200の機能を兼ね備えた1つの制御装置になっている構成を採用してもよい。また、3つ以上のユニットによって制御装置が構成されていてもよい。
・実行装置101は、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、実行装置101は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア実行装置や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。
51…燃料タンク
52…フィードポンプ
56…リリーフ弁
57…フィードパイプ
100…制御装置
101…実行装置
102…記憶装置
132…燃料圧力センサ
134…クランクポジションセンサ
138…燃料レベルセンサ
141…車速センサ
200…フィードポンプ制御装置

Claims (7)

  1. 燃料タンクから燃料を汲み上げる電動のフィードポンプと、
    前記フィードポンプから吐出された燃料が流れるフィードパイプと、
    前記フィードパイプを通じて供給された燃料を加圧する高圧燃料ポンプと、
    前記高圧燃料ポンプによって加圧された燃料を蓄えるデリバリパイプと、
    前記デリバリパイプ内に蓄えられた燃料をエンジンの気筒内に噴射する筒内燃料噴射弁と、
    前記フィードパイプに設けられ、同フィードパイプ内の燃料圧力であるフィード圧が既定の開弁圧力以上になると開弁して前記フィードパイプ内の燃料を前記燃料タンク内に戻し、前記フィード圧の過剰な上昇を抑制するリリーフ弁と、を備える燃料供給システムに適用され、
    前記燃料タンク内の燃料の温度の変化量を積算して燃料温度を推定する温度推定処理と、推定した燃料温度を用いて要求フィード圧を設定する要求圧力設定処理と、推定した燃料温度及び前記フィードポンプのインペラの単位時間当たりの回転数であるポンプ回転数及び前記フィードポンプにおける電流値であるポンプ電流値を用いて前記フィード圧を推定するフィード圧推定処理と、推定したフィード圧と要求フィード圧との偏差を小さくするように前記フィードポンプへの供給電力を制御する圧力調整処理と、を実行する実行装置を備えた前記燃料供給システムの制御装置であり、
    前記実行装置は、給油が行われると前記温度推定処理を停止して、給油からの経過時間が予め定めた時間に達したことを条件に前記温度推定処理を再開し、前記温度推定処理を再開するまでの間は、前記圧力調整処理に替えて前記フィード圧を前記開弁圧力に維持する圧力維持処理を実行する燃料供給システムの制御装置。
  2. 前記実行装置は、給油が行われるときに推定されていた燃料温度から給油が行われたときの外気温を引いた差が大きいほど、前記温度推定処理の再開の要件になる経過時間を長くする
    請求項1に記載の燃料供給システムの制御装置。
  3. 前記実行装置は、給油が完了したときの燃料の残量に対する給油によって増大した燃料の量の割合が高いほど、前記温度推定処理の再開の要件になる経過時間を長くする
    請求項1又は請求項2に記載の燃料供給システムの制御装置。
  4. 前記実行装置は、
    給油からの経過時間が前記温度推定処理の再開の条件になっている時間に達するまでの間は、前記燃料タンク内の燃料に対する入放熱量を積算する積算処理を実行し、
    給油からの経過時間が前記温度推定処理の再開の要件になっている時間に達して前記温度推定処理を再開するときには、前記積算処理を通じて積算した入放熱量に基づいて算出した前記燃料タンク内の燃料の温度変化量を外気温に加えた和を初期値にして燃料温度の推定を再開する
    請求項1~3のいずれか一項に記載の燃料供給システムの制御装置。
  5. 前記実行装置は、
    給油からの経過時間が前記温度推定処理の再開の要件になっている時間に達するまでの間は、前記燃料タンク内の燃料に対する入放熱量と燃料の残量とに基づいて算出する前記燃料タンク内の燃料の温度の変化量を積算する積算処理を実行し、
    給油からの経過時間が前記温度推定処理の再開の要件になっている時間に達して前記温度推定処理を再開するときには、前記積算処理を通じて積算した温度変化量を外気温に加えた和を初期値にして前記燃料タンク内の燃料温度の推定を再開する
    請求項1~3のいずれか一項に記載の燃料供給システムの制御装置。
  6. 前記入放熱量は入熱量から放熱量を引いた差であり、
    前記実行装置が、エンジンの負荷率が高いほど、前記入熱量として大きな値を算出する
    請求項4又は請求項5に記載の燃料供給システムの制御装置。
  7. 前記入放熱量は入熱量から放熱量を引いた差であり、
    前記実行装置が、車速が高いほど、前記放熱量として大きな値を算出する
    請求項4~6のいずれか一項に記載の燃料供給システムの制御装置。
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