JP2018115582A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関の低温駆動時にフィードバック制御をする場合であっても、蓄圧室内の圧力が過度に高くなることを抑制できるようにした内燃機関の制御装置を提供する。【解決手段】CPU82は、高圧デリバリパイプ70内の圧力を検出する燃圧センサ92による検出値に基づくフィルタ処理値を目標値にフィードバック制御するために高圧燃料ポンプ50の吐出調量弁58を操作する。CPU82は、フィルタ処理値の前回値と比較して最新の検出値の方が低いことを条件に、高い場合よりも、フィルタ処理値への最新の検出値の寄与率を低減する。【選択図】図1

Description

本発明は、燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁に供給する燃料を蓄える蓄圧室と、前記蓄圧室に燃料を圧送する高圧燃料ポンプとを備える内燃機関を制御対象とする内燃機関の制御装置に関する。
たとえば下記特許文献1には、デリバリパイプ(蓄圧室)内の圧力を検出する圧力センサの検出値を目標値にフィードバック制御すべく高圧燃料ポンプを操作する制御装置が記載されている(「0035」)。
特開2001−295725号公報
ところで、高圧燃料ポンプから蓄圧室に圧送される燃料の体積弾性率は温度が低いほど高くなるため、高圧燃料ポンプの操作量が同一であっても、温度が高い場合と比較して低い場合には、蓄圧室内の圧力が上昇しやすい。このため、内燃機関の低温駆動時においては、上記フィードバック制御によって高圧燃料ポンプを操作すると、蓄圧室内の圧力が過度に高くなるおそれがある。
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、内燃機関の低温駆動時にフィードバック制御をする場合であっても、蓄圧室内の圧力が過度に高くなることを抑制できるようにすることである。
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
1.内燃機関の制御装置は、燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁に供給する燃料を蓄える蓄圧室と、前記蓄圧室に燃料を圧送する高圧燃料ポンプと、を備える内燃機関を制御対象とし、前記蓄圧室内の圧力の検出値であって時系列的に前後する複数の検出値を入力とし、前記検出値のフィルタ処理値を算出するフィルタ処理と、前記フィルタ処理値を前記蓄圧室内の圧力の目標値にフィードバック制御するために前記高圧燃料ポンプを操作する操作処理と、を実行し、前記フィルタ処理は、当該フィルタ処理への最新の入力となる前記検出値が当該検出値の当該フィルタ処理への入力前の前記フィルタ処理値よりも低いことを条件に、前記最新の入力となる前記検出値に基づき更新される前記フィルタ処理値への当該検出値の寄与率を低減する低減処理を含む。
上記構成では、フィルタ処理値を目標値にフィードバック制御し、しかも、フィルタ処理への最新の入力となる検出値がフィルタ処理値よりも低いことを条件に、最新の入力となる検出値がこの検出値に基づき更新されるフィルタ処理値に寄与する度合い(寄与率)を低減する。このため、低減しない場合と比較してフィルタ処理値の落ち込みが抑制される。したがって、目標値に対してフィルタ処理値が過度に低い値となることを抑制できることから、フィードバック制御による高圧燃料ポンプの吐出量が過度に多くなることを抑制できる。このため、内燃機関の低温駆動時にフィードバック制御をする場合であっても、蓄圧室内の圧力が過度に高くなることを抑制できる。
2.上記1記載の内燃機関の制御装置において、前記フィルタ処理は、前記フィルタ処理値に第1係数を乗算したものと前記最新の前記検出値に第2係数を乗算したものとの和によって前記フィルタ処理値を更新するものであり、前記第1係数と前記第2係数との和は、「1」であり、前記低減処理は、前記フィルタ処理値よりも前記検出値の方が低いことを条件に、前記第2係数の大きさを低減する処理である。
上記構成では、第1係数および第2係数の操作によって、簡易に低減処理を実現できる。
3.上記1または2記載の内燃機関の制御装置において、前記低減処理は、前記内燃機関の温度が高い場合と比較して低い場合に前記寄与率を低減する。
内燃機関の温度が低い場合には燃料の温度も低い傾向がある。そして燃料の温度が低い場合には高い場合と比較して燃料の体積弾性率が高くなることから、フィードバック制御のゲインが同一であるなら、フィードバック制御による蓄圧室内の圧力の上昇がより大きくなるおそれがある。これに対し、上記構成では、燃料の温度が低い場合に高い場合よりも検出値の寄与率を低減することによって、低減しない場合と比較してフィルタ処理値の落ち込みが抑制される。したがって、目標値に対してフィルタ処理値が過度に低い値となることを抑制できる。
4.上記1または2記載の内燃機関の制御装置において、前記内燃機関の始動時において前記内燃機関の温度が所定温度以下であることを条件に、前記蓄圧室内の圧力の目標値を時間に応じて漸増させる漸増処理と、前記漸増処理における前記目標値の初期値を、前記内燃機関の温度が低い場合に高い場合よりも小さい値に設定する初期値設定処理と、を実行する。
内燃機関の始動時においては、蓄圧室内の圧力が低く、これを上昇させていくにはある程度時間がかかる。このため、始動直後から蓄圧室内の圧力の目標値を大きい値とする場合には、蓄圧室内の圧力が目標値よりも過度に低くなり、フィードバック制御による高圧燃料ポンプからの燃料の圧送量が過度に多くなるおそれがある。これに対し、上記構成では、漸増処理を実行することにより、蓄圧室内の圧力と目標値との乖離を抑制することができる。
特に、上記構成では、目標値の初期値を、内燃機関の温度が低い場合に高い場合よりも小さい値とすることにより、体積弾性率が高くなることにより蓄圧室内の圧力が過度に上昇しやすい低温時ほど、フィルタ処理値に対して目標値が過度に高くなることを抑制することができる。
5.上記4記載の内燃機関の制御装置において、前記漸増処理は、前記内燃機関の温度が低い場合に高い場合よりも前記目標値の漸増速度を小さくする。
内燃機関の温度が低い場合には高い場合よりも燃料の体積弾性率が高いために、フィードバック制御のゲインが同一であってフィルタ処理値と目標値との差が同一であるなら、温度が低い場合には高い場合よりも、蓄圧室内の圧力が上昇しやすい。そこで上記構成では、内燃機関の温度が低い場合に高い場合よりも目標値の漸増速度を小さくすることにより、実際の圧力が目標値よりも過度に低くなることを抑制でき、ひいてはフィルタ処理値と目標値との差が過度に大きくなることを抑制できる。
6.上記1〜5のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置において、前記操作処理は、前記内燃機関の温度が低い場合に高い場合よりも前記フィードバック制御のゲインを小さくする。
内燃機関の温度が低い場合には高い場合よりも燃料の体積弾性率が高いために、フィードバック制御のゲインが同一であってフィルタ処理値と目標値との差が同一であるなら、温度が低い場合には高い場合よりも、蓄圧室内の圧力が上昇しやすい。そこで上記構成では、温度が低い場合に高い場合よりもフィードバック制御のゲインを小さくすることにより、蓄圧室内の圧力が過度に上昇することを抑制する。
7.上記1〜6のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置において、前記内燃機関は、複数の気筒を有し、前記高圧燃料ポンプによる前記蓄圧室への燃料の圧送と、前記複数の気筒のそれぞれにおける燃料噴射とが1対1に対応付けられており、前記操作処理に利用される前記フィルタ処理値は、前記高圧燃料ポンプの圧送期間における値であり、前記操作処理は、前記燃料噴射弁から噴射される噴射量に応じた開ループ操作量と、前記フィードバック制御のための操作量であるフィードバック操作量との双方に基づき前記高圧燃料ポンプを操作する。
上記構成では、燃料噴射によって蓄圧室から流出する量の燃料が開ループ制御によって高圧燃料ポンプから供給される。このため、フィードバック操作量は、開ループ制御の制御誤差を補償する値となる。ただし、上記構成において、フィードバック制御量となるフィルタ処理値は、圧送期間における値であり、開ループ制御によって供給される燃料量が完全には蓄圧室に供給されきっていないときの圧力の検出値に基づく値となりやすい。このため、検出値の寄与率が高い場合には、低い場合と比較してフィルタ処理値が過度に低い値となり、ひいては目標値を過度に下回るおそれがある。このため、低減処理の利用価値が特に大きい。
一実施形態にかかる制御装置および内燃機関を示す図。 同実施形態にかかる高圧燃料ポンプの操作信号を生成する処理を示すブロック図。 同実施形態にかかる目標燃圧の設定処理の手順を示す流れ図。 同実施形態にかかる高圧燃料ポンプの動作を示すタイムチャート。
以下、内燃機関の制御装置にかかる一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、内燃機関10の吸気通路12に吸入された空気は、吸気バルブ14の開動作に伴ってシリンダ16およびピストン18によって区画された燃焼室20に吸入される。燃焼室20には、燃料噴射弁22および点火装置24が突出している。そして、燃焼室20内において、吸気通路12から流入した空気と燃料噴射弁22から噴射された燃料との混合気は、点火装置24によって着火されることにより燃焼に供される。燃焼室20内における混合気の燃焼エネルギは、ピストン18を介してクランク軸26の回転エネルギに変換される。燃焼に供された混合気は、排気バルブ28の開動作に伴って、排気として排気通路30に排出される。なお、クランク軸26には、初期回転を付与する電動機(スタータ27)が取付けられている。
燃料噴射弁22から噴射される燃料は、燃料タンク40内に貯蔵されている。燃料タンク40内の燃料は、フィードポンプ42によって汲み上げられ、高圧燃料ポンプ50に供給される。
高圧燃料ポンプ50は、フィードポンプ42から送られた燃料を更に加圧して、燃料噴射弁22に燃料を供給する高圧デリバリパイプ70に吐出する。高圧燃料ポンプ50は、プランジャ54を備えており、プランジャ54が、ポンプ駆動用のカム56により往復動することにより、加圧室52内の容積が膨張および縮小を繰り返す。カム56は、内燃機関10のカム軸32に連結されており、カム軸32には、タイミングチェーン34および可変バルブタイミング装置36を介してクランク軸26の回転動力が伝達される。
フィードポンプ42から吐出された燃料は、電子制御式の吐出調量弁58が開弁しているときに、加圧室52に吸入される。そして、加圧室52内に吸入された燃料は、加圧室52内の容積が縮小する期間において吐出調量弁58が閉弁することによって加圧される。加圧室52内で加圧された燃料は、逆止弁60を介して、高圧デリバリパイプ70に圧送される。逆止弁60は、加圧室52内が高圧デリバリパイプ70内よりも高圧となった場合、開弁して加圧室52から高圧デリバリパイプ70への燃料吐出を許容するとともに、高圧デリバリパイプ70内が加圧室52内よりも高圧となった場合、閉弁して高圧デリバリパイプ70から加圧室52への燃料の逆流を規制する。
なお、本実施形態では、内燃機関10として4気筒のものを想定している。また、カム56として、1燃焼サイクルに4度、燃料を吐出するようにプランジャ54を駆動するものを例示している。すなわち、本実施形態では、高圧燃料ポンプ50による高圧デリバリパイプ70への燃料の圧送と、複数の気筒のそれぞれにおける燃料噴射とが1対1に対応付けられている。ちなみに、高圧デリバリパイプ70には、その内部の圧力が過上昇したときに開弁して、その内部の燃料を、燃料タンク40内にリリーフする機械式のリリーフ弁72が取り付けられている。
電子制御装置(ECU80)は、内燃機関10を制御対象とし、その制御量(トルク、排気成分)を制御するために、燃料噴射弁22、点火装置24、可変バルブタイミング装置36、および吐出調量弁58等の各種アクチュエータを操作する。ECU80は、この際、吸入空気量Gaを検出するエアフローメータ90、高圧デリバリパイプ70内の圧力を検出する燃圧センサ92、クランク軸26の回転角度を検出するクランク角センサ94、および内燃機関10の冷却水の温度(水温THW)を検出する水温センサ96の出力信号を参照する。なお、以下では、燃圧センサ92によって検出される圧力を、検出値PFと表記する。
ECU80は、CPU82や、ROM84、RAM86を備えており、ROM84に記憶されたプログラムをCPU82が実行することにより、上記制御量の制御を実行する。
図2に、ROM84に記憶されたプログラムをCPU82が実行することにより実現される処理の一部を示す。図2に示す処理は、特に、内燃機関10の始動時に実行される処理の一部を示している。
ベース噴射量設定処理部M10は、クランク角センサ94の出力信号(クランク信号Scr)に基づき算出される回転速度NEと、吸入空気量Gaとに基づき、燃料噴射弁22に対する噴射量指令値のベース値(ベース噴射量Qb)を算出する。ここで、ベース噴射量Qbは、燃焼室20内に充填される空気量に基づき、燃焼室20内の空燃比を目標空燃比に開ループ制御するための操作量(開ループ操作量)である。なお、目標空燃比は、たとえば理論空燃比とすればよい。
低温増量処理部M12は、水温THWに基づき内燃機関10の温度が低い場合に、空燃比を目標空燃比とするうえで必要な噴射量に対して実際の噴射量を増量するための補正係数である増量係数KBを算出して出力する。乗算処理部M14は、ベース噴射量Qbに増量係数KBを乗算することによって、噴射量指令値Q*を算出する。増量係数KBは、時間に応じて「1」に向けて漸減するものであり、その漸減速度は水温THWが低い場合に高い場合よりも小さくなっている。なお、増量係数KBの初期値は、次のような大きな補正量となっている。すなわち、水温THWが氷点下の所定温度Tth(たとえば「−10°C」)以下である場合に、噴射量指令値Q*を、内燃機関10の暖機後においてとりうる最大値よりも大きい値とする補正量となっている。噴射弁操作処理部M16は、噴射量指令値Q*の燃料を燃料噴射弁22から噴射するための燃料噴射弁22の操作信号MSdを算出して出力する。
目標値設定処理部M20は、後に詳述する処理により高圧デリバリパイプ70内の圧力の目標値PF*を設定する。偏差算出処理部M22は、時系列的に前後する複数の検出値PFに基づき算出されるフィルタ処理値PFcから目標値PF*を減算した値を算出し、出力する。乗算処理部M24は、偏差算出処理部M22の出力値に、比例ゲインKpを乗算する。
開ループ操作量算出処理部M26は、噴射量指令値Q*の量の燃料が高圧デリバリパイプ70の中から外に流出する場合に、これを補うように高圧燃料ポンプ50から高圧デリバリパイプ70に燃料を圧送するための吐出調量弁58の開ループ制御のための操作量である開ループ操作量Tbを算出して出力する。
加算処理部M28は、乗算処理部M24の出力値である比例要素の出力値に、開ループ操作量Tbを加算して出力する。ポンプ操作処理部M30は、加算処理部M28の出力値に基づき、吐出調量弁58を操作する操作信号MSsを算出して出力することにより、高圧燃料ポンプ50から高圧デリバリパイプ70に圧送する燃料量を操作する。
次に、内燃機関10の低温始動時において、高圧デリバリパイプ70内の圧力が過度に高くなることを抑制する処理について説明する。
加算処理部M28には、内燃機関10の始動から所定期間が経過することを条件に、偏差算出処理部M22の出力値に基づく積分要素M32の出力値が加算される。図2は、主に始動時の処理を示すことから、積分要素M32から加算処理部M28へと進む破線の矢印を記載し、これによって、始動時には、積分要素M32の出力値がポンプ操作処理部M30が操作信号MSsを生成する際に利用されないことを示した。
比例ゲイン設定処理部M36は、噴射量指令値Q*に応じて比例ゲインKpを可変設定する。詳しくは、比例ゲイン設定処理部M36は、比例ゲインKpを2段階で設定し、噴射量指令値Q*が内燃機関10の暖機後においてとりうる最大値よりも大きい規定値以上である場合に、規定値に満たない場合よりも小さい値に設定する。これは、上記増量係数KBによって噴射量指令値Q*が大きい値とされている領域を、高圧デリバリパイプ70内の圧力が過度に高くなる領域とみなして、比例ゲインKpを小さい値とする設定である。
図3に、目標値設定処理部M20の処理を示す。図3に示す処理は、ROM84に記憶されたプログラムをCPU82が所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、以下では、先頭に「S」が付与された数字によってステップ番号を表現する。
図3に示す一連の処理において、CPU82は、まずフラグFが「1」であるか否かを判定する(S10)。フラグFは、「1」である場合に、始動に伴って高圧デリバリパイプ70内の圧力が過度に高くなることを抑制するための目標値PF*の設定処理である漸増処理をしていることを示し、「0」である場合に漸増処理をしていないことを示す。CPU82は、フラグFが「0」であると判定する場合(S10:NO)、スタータ27がオフ状態からオン状態に切り替わったか否かを判定する(S12)。そして、CPU82は、切り替わったと判定する場合(S12:YES)、フラグFを「1」とする(S14)。そしてCPU82は、スタータがオン状態に切り替わってからの経過時間を計時するカウンタCの計時動作を開始する(S16)。そしてCPU82は、目標値PF*の上限ガード値Pthを、水温THWが低い場合に高い場合よりも小さい値に設定する(S18)。詳しくは、CPU82は、水温THWが上記所定温度Tth以下である場合に、水温THWが低い場合に高い場合よりも上限ガード値Pthを小さい値に設定し、所定温度Tthよりも高い場合には、上限ガード値Pthを通常時の固定値PthDに設定する。
次に、CPU82は、目標値PF*を始動時目標値PF0*に設定する(S20)。始動時目標値PF0*は、始動後に可変設定される目標値PF*の取りうる最大値に設定される。これは、始動時において燃料噴射弁22から噴射される燃料の霧化を促進するための設定である。なお、この最大値は、上記固定値PthDよりも小さい値とされる。
一方、CPU82は、フラグFが「1」であると判定する場合(S10:YES)やS20の処理が完了する場合には、カウンタCが、上昇開始値Cs以上であるか否かを判定する(S22)。この処理は、上限ガード値Pthを上昇させる処理を開始するか否かを判定するためのものである。ここで、上昇開始値Csは、水温THWが低い場合に高い場合よりも大きい値に設定される。
CPU82は、上昇開始値Csに達していないと判定する場合(S22:NO)、S18の処理に移行する。一方、CPU82は、上昇開始値Cs以上であると判定する場合(S22:YES)、カウンタCが上昇終了値Ce以上であることと、目標値PF*が上限ガード値Pth未満であることとの論理和が真であるか否かを判定する(S24)。この処理は、目標値PF*の上昇処理を終了するか否かを判定するためのものである。上昇終了値Ceは、水温THWが低い場合に高い場合よりも大きい値に設定される。
CPU82は、論理和が偽であると判定する場合(S24:NO)、上限ガード値Pthを、上昇量ΔPthだけ増加補正する(S26)。ここで、上昇量ΔPthは、水温THWが低い場合に高い場合よりも小さい値とされる。ちなみに、S24の処理において、上昇終了値Ceが水温THWが低い場合に高い場合よりも大きい値に設定されるのは、水温THWが低い場合に高い場合よりも上昇量ΔPthが小さい値とされることから、上限ガード値Pthの値が大きくなるのにより長い時間を要することに鑑みたものである。
次に、CPU82は、上限ガード値Pthが固定値PthDよりも大きいか否かを判定する(S28)。そしてCPU82は、固定値PthDよりも大きいと判定する場合(S28:YES)、上限ガード値Pthに固定値PthDを代入する(S30)。CPU82は、S30の処理が完了する場合や、S28において否定判定する場合には、目標値PF*が上限ガード値Pthよりも大きいか否かを判定する(S32)。そしてCPU82は、上限ガード値Pthよりも大きいと判定する場合(S32:YES)、目標値PF*に上限ガード値Pthを代入する(S34)。
一方、CPU82は、論理和が真であると判定する場合(S24:YES)、フラグFを「0」とする(S36)。そしてCPU82は、S36の処理が完了する場合や、S12の処理において否定判定する場合には、上限ガード値Pthに固定値PthDを代入する(S38)。そしてCPU82は、目標値PF*を、回転速度NEおよび吸入空気量Gaに応じて可変設定する(S40)。ここでCPU82は、燃焼室20内の充填空気量が多いほど目標値PF*を高い値に設定する。そしてCPU82は、S40の処理が完了する場合、S32の処理に移行する。
なお、CPU82は、S34の処理が完了する場合や、S32の処理において否定判定する場合には、図3に示す一連の処理を一旦終了する。なお、S34の処理によって定まる目標値PF*またはS32において否定判定された目標値PF*が目標値設定処理部M20によって設定される目標値PF*である。
図2に戻り、偏差算出処理部M40は、検出値PFからフィルタ処理値PFcを減算した値である偏差Δを算出する。なまし回数算出処理部M42は、噴射量指令値Q*と、偏差Δとに基づき、なまし回数mを算出する。すなわち、噴射量指令値Q*が、内燃機関10の暖機後においてとりうる最大値よりも大きい上記規定値以上である場合、偏差Δが負の閾値Δthよりも小さいときには、なまし回数mを第1なまし値m1とし、閾値Δth以上である場合には、第2なまし値m2とする。ここで、閾値Δthは、負の値であり、第1なまし値m1は第2なまし値m2よりも大きい値である。ちなみに、本実施形態では、第2なまし値m2をたとえば「1」とし、第1なまし値m1を「1」よりも大きい整数とする。また、噴射量指令値Q*が上記規定値未満である場合、偏差Δの値にかかわらず、なまし回数mを第2なまし値m2とする。
除算処理部M38は、偏差Δをなまし回数mで除算した値を出力する。加算処理部M44は、除算処理部M38の出力値にフィルタ処理値PFcを加算することによって、フィルタ処理値PFcを更新する。
すなわち、最新の検出値PF(n)、最新のフィルタ処理値PFc(n)、前回のフィルタ処理値PFc(n−1)を用いると、最新のフィルタ処理値PFc(n)は、以下の式にて表現される。
PFc(n)={(m−1)/m}・PFc(n−1)+(1/m)・PF(n)
ここで、なまし回数mは、「PF(n)−PFc(n−1)」に基づき算出された値である。上述したように、本実施形態では、「PF(n)−PFc(n−1)」が閾値Δth以上である場合、なまし回数mが「1」とされるため、フィルタ処理値PFc(n)は、検出値PF(n)となる。
なお、本実施形態において、ポンプ操作処理部M30に入力される加算処理部M28の出力値の更新周期は、180°CAであり、ポンプ操作処理部M30に入力される上記出力値の入力タイミング(更新タイミングTim)は、図4に示すように、高圧燃料ポンプ50から高圧デリバリパイプ70への燃料の圧送期間となっている。図4において、「TOP」は、加圧室52の容積が最小となる位置にプランジャ54が位置することを示し、「BTM」は、加圧室52の容積が最大となる位置にプランジャ54が位置することを示す。すなわち、プランジャ54が「BTM」から「TOP」に変位する期間が、高圧燃料ポンプ50からの燃料の圧送行程となりうる期間である。
図4に示すように、本実施形態では、更新タイミングTimは、燃料噴射期間TQの後に設定されている。なお、始動時には、可変バルブタイミング装置36による吸気バルブ14の開弁タイミングは固定されているため、プランジャ54が「BTM」から「TOP」に変位する期間と各気筒の圧縮上死点との間のクランク角度間隔も固定されている。ちなみに、フィードバック制御量となるフィルタ処理値PFcは、更新タイミングTimにおける検出値PFを用いて算出された値と見なせるものとされる。これは、たとえば、内燃機関10の回転速度NEとして取りうる最大値においても、180°CAの回転に要する時間と比較して短い時間周期で検出値PFおよびフィルタ処理値PFcを更新することで実現できる。
ここで、本実施形態の作用を説明する。
内燃機関10の低温始動時には、燃料の温度が低いことから燃料の体積弾性率が大きい。このため、高圧燃料ポンプ50から高圧デリバリパイプ70への燃料の圧送によって、高圧デリバリパイプ70内の圧力が過度に上昇しやすい。高圧デリバリパイプ70内の圧力が過度に上昇する場合、リリーフ弁72が開弁し、高圧デリバリパイプ70内の燃料が燃料タンク40に戻されることによって燃料噴射弁22に供給される燃料の圧力を制御できなくなり、ひいては空燃比制御の制御性が低下するおそれがある。
一方、燃料噴射弁22から噴射される燃料の圧力が高い場合には低い場合よりも燃料の霧化が促進される。このため、高圧デリバリパイプ70内の圧力の過度の上昇を抑制する上で、目標値PF*を低く抑えることは、燃料噴射弁22から噴射される燃料が微粒化されにくくなり、ひいては空燃比制御の制御性の低下を招くおそれがある。
ここで、本実施形態では、燃料の温度を検出する手段を備えておらず、燃料の温度に応じて比例ゲインKpを変更するなどして吐出調量弁58の操作を変更する処理を設けていない。これは、燃料の温度に応じて制御を変更することは、制御系を複雑化することを理由の1つとする。
そこで本実施形態では、目標値PF*を徐々に上昇させることによって、最初から始動時目標値PF0*とする場合と比較して、検出値PFが目標値PF*を大きく下回る事態が生じることを抑制する。これにより、比例要素の出力値が高圧燃料ポンプ50の吐出量を過度に大きくする値となり、ひいては高圧燃料ポンプ50から燃料が高圧デリバリパイプ70に圧送されることによって、高圧デリバリパイプ70内の圧力が過度に高くなることを抑制する。
また本実施形態では、検出値PFがフィルタ処理値PFcを下回る量が閾値Δthよりも大きくなる場合、フィルタ処理値PFcを検出値PFとする代わりに、なまし回数mを第1なまし値m1とするなまし値とした。すなわち、フィルタ処理値PFcへの最新の検出値PF(n)の寄与率を低減した。これにより、フィルタ処理値PFcが目標値PF*を大きく下回る事態が生じることを抑制できる。
以上説明した本実施形態によれば、さらに以下に記載する効果が得られる。
(1)噴射量指令値Q*が内燃機関10の暖機後においてとりうる最大値よりも大きい上記規定値以上である場合であっても、偏差Δが閾値Δth以上である場合には、フィルタ処理値PFcを、検出値PFとした。これにより、高圧デリバリパイプ70内の圧力が上昇した場合に、フィルタ処理値PFcが目標値PF*を迅速に上回るようにすることができることから、比例要素の出力値に基づく高圧燃料ポンプ50から高圧デリバリパイプ70への燃料の圧送量を迅速に減少させることができる。
(2)水温THWが所定温度Tth以下であることを条件に、上限ガード値Pthの初期値を、水温THWが低いほど小さい値に設定した。これにより、体積弾性率が高くなることにより高圧デリバリパイプ70内の圧力が過度に上昇しやすくなる低温時ほど、目標値PF*に対して検出値PFやフィルタ処理値PFcが低くなって比例要素の出力値が高圧燃料ポンプ50の吐出量を大きくする値となることを抑制することができる。
(3)水温THWが所定温度Tth以下である場合、内燃機関10の温度が低いほど目標値PF*の漸増速度を小さくした。これにより、体積弾性率が高くなることにより高圧デリバリパイプ70内の圧力が過度に上昇しやすくなる低温時ほど、目標値PF*に対して検出値PFやフィルタ処理値PFcが低くなって比例要素の出力値が高圧燃料ポンプ50の吐出量を大きくする値となることを抑制することができる。
(4)噴射量指令値Q*が内燃機関10の暖機後においてとりうる最大値よりも大きい上記規定値以上である場合、規定値未満である場合と比較して、比例ゲインKpを小さい値に設定した。これにより、体積弾性率が高いために高圧デリバリパイプ70内の圧力が大きく上昇しやすいときに、比例要素の出力値を制限することができる。これにより、比例ゲインKpを小さくしない場合と比較して、高圧燃料ポンプ50から吐出される燃料量を制限することができ、ひいては、高圧デリバリパイプ70内の圧力が過度に上昇することを抑制できる。
(5)高圧燃料ポンプ50の圧送期間におけるフィルタ処理値PFcを目標値PF*にフィードバック制御した。これにより、フィルタ処理値PFcは、開ループ操作量Tbによって供給されるべき燃料量が完全には高圧デリバリパイプ70に供給されきっていないときの検出値PFに基づく値となりやすい。このため、フィルタ処理値PFcへの検出値PFの寄与率が高い場合には、低い場合と比較してフィルタ処理値PFcが過度に低い値となり、ひいては目標値PF*を過度に下回るおそれがある。このため、なまし回数mの可変設定処理の利用価値が特に大きい。
<対応関係>
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。
[1]フィルタ処理は、偏差算出処理部M40、除算処理部M38、なまし回数算出処理部M42の処理および加算処理部M44の処理に対応する。ちなみに、偏差Δが定常的に閾値Δth以上である場合、m2=1であればフィルタ処理値PFcは、検出値PF自体となるものの、今回のフィルタ処理値PFc(n)を今回の検出値PF(n)とするうえで、今回の検出値PF(n)と前回のフィルタ処理値PFc(n−1)である前回の検出値PF(n−1)との偏差Δに基づく処理を行っている。このため、この場合であっても、フィルタ処理値PFcは、時系列的に前後する複数の検出値を入力として算出された値である。操作処理は、偏差算出処理部M22、乗算処理部M24およびポンプ操作処理部M30の処理に対応する。低減処理は、なまし回数算出処理部M42の処理に対応する。蓄圧室は、高圧デリバリパイプ70に対応する。[2]第1係数は、「m−1/m」に対応し、第2係数は、「1/m」に対応する。[4]漸増処理は、S26の処理に対応し、初期値設定処理は、S18の処理に対応する。
<その他の実施形態>
なお、上記実施形態の各事項の少なくとも1つを、以下のように変更してもよい。
「操作処理について」
上記実施形態では、噴射量指令値Q*が上記規定値以上である場合、高圧燃料ポンプ50の吐出量を制限するために、規定値未満である場合と比較して、比例ゲインKpを小さい固定値に設定したが、これに限らない。たとえば、規定値以上である領域において、噴射量指令値Q*が大きいほど、高圧燃料ポンプ50の吐出量をより制限するために、比例ゲインKpを小さい値に可変設定してもよい。また、比例ゲインKpを可変設定するための入力パラメータが噴射量指令値Q*であることは必須ではない。たとえば、水温THWが所定温度Tth以下である場合、所定温度Tthよりも高い場合と比較して、比例ゲインKpを小さい固定値に設定してもよい。またたとえば、水温THWが所定温度Tth以下である領域において、比例ゲインKpを固定値とする代わりに、水温THWが低い場合に高い場合よりも比例ゲインKpを小さい値に可変設定してもよい。
上記実施形態では、低温始動時には、比例要素のみを用いてフィードバック制御器を構築したが、これに限らない。たとえば微分要素を含めてもよい。また、たとえば積分要素を含めてもよい。ただし積分要素を含める場合、始動完了前には始動完了後と比較して積分ゲインKiを小さい値とすることが望ましい。さらに、始動完了前において水温THWが所定温度Tth以下である場合に所定温度Tthよりも高い場合と比較して、積分ゲインKiを小さい値とすることがより望ましい。
「フィルタ処理について」
上記実施形態では、フィルタ処理値PFcの更新周期をフィードバック制御量の更新周期(加算処理部M28の出力値のポンプ操作処理部M30への入力周期)よりも短い時間周期としたが、これに限らない。たとえば、フィードバック制御量の更新周期よりも短い回転角度間隔の周期であってもよい。
上記実施形態では、噴射量指令値Q*が上記規定値未満である場合、偏差Δにかかわらずなまし回数mを「1」としたがこれに限らない。たとえば、偏差Δが閾値Δthよりも小さい場合に閾値Δth以上である場合よりも大きい値としてもよい。
上記実施形態では、噴射量指令値Q*が上記規定値以上である場合、偏差Δが閾値Δth以上であるなら、なまし回数mを「1」としたが、これに限らず、「2」以上であって閾値Δth未満のときよりも小さい値としてもよい。
なまし回数mを、噴射量指令値Q*に応じて可変設定する代わりに、たとえば水温THWが所定温度Tth以下であるか否かに応じて可変設定するなど、水温THWに応じて可変設定してもよい。
上記実施形態では、指数移動平均処理のうち、特にフィルタ処理値PFcに乗算される係数が整数「m」を用いて「m−1/m」と表記できるものを用いたが、これに限らない。
フィルタ処理としては、指数移動平均処理に限らない。たとえば、時系列的に隣り合うN1個の検出値PFの単純移動平均処理値P1の前回値を今回の検出値PF(n)が下回る量が閾値Δthよりも大きい場合に、今回の単純移動平均処理値P1をフィルタ処理値とし、そうでない場合に、時系列的に隣り合うN2(<N1)個の検出値の今回の単純移動平均処理値P2をフィルタ処理値としてもよい。なお、ここで、単純移動平均処理値P1をフィルタ処理値とする処理は、低減処理ともなっている。
「漸増処理について」
上記実施形態では、所定時間の周期で上限ガード値を段階的に上昇させたが、これに限らず、たとえば所定の回転角度周期で上限ガード値を段階的に上昇させてもよい。上記実施形態では、上限ガード値を段階的に上昇させるときの1回の上昇量ΔPthを水温THWに応じて可変設定したが、上昇量ΔPthを固定とする代わりに、水温THWに応じて段階的に上昇させるための上記所定時間を水温THWが低い場合に高い場合よりも長くしてもよい。上記実施形態では、上限ガード値を段階的に上昇させるときの上昇速度を水温THWに応じて可変設定したが、これに限らず、固定値としてもよい。
漸増処理としては、上限ガード値Pthを漸増させる処理に限らず、たとえば、上限ガード値Pthを固定値PthDとし、始動時目標値PF0*を漸増させる処理であってもよい。
「オーバーシュート対策の開始条件について」
上記実施形態では、なまし回数mを変更する温度領域と、比例ゲインKpを小さくする温度領域と、上限ガード値Pthの初期値を小さくする温度領域とを同一としたが、これに限らない。たとえば、なまし回数mを第1なまし値m1としているときであっても比例ゲインKpが通常時と同じ値である領域を有して且つそれよりも温度が低くなることによって比例ゲインKpを小さい値に設定することとしてもよい。
「高圧燃料ポンプの操作量の更新タイミングについて」
上記実施形態では、噴射量指令値Q*の燃料噴射の完了後に更新タイミングTimを設定したが、これに限らない。たとえば、燃料噴射弁22のノズルニードルのリフト量が最大となるフルリフト噴射の後にリフト量が最大に達しないパーシャルリフト噴射を実行することとし、フルリフト噴射の完了後であって、パーシャルリフト噴射の開始前に更新タイミングTimを設定してもよい。なお、この場合、フルリフト噴射の噴射量とパーシャルリフト噴射の噴射量との合計が上述の噴射量指令値Q*となるようにする。
高圧燃料ポンプの操作量の更新タイミングとしては、図4に示した更新タイミングTimに限らない。たとえば、圧送期間の終了後であってもよい。この場合であっても、たとえば燃料噴射に起因した圧力脈動の影響が顕著となりうるのであれば、検出値PFを直接、フィルタ処理値とする場合には、フィルタ処理値が目標値PF*を過度に下回り、高圧燃料ポンプ50から高圧デリバリパイプ70への圧送量が過度に多くなるおそれがあるため、フィルタ処理値を用いることが有効である。
「圧送および噴射の設定について」
上記実施形態では、1回の燃料噴射に対して1回の圧送行程を割り振ったがこれに限らず、たとえば、2回の燃料噴射に1回の圧送行程を割り振ってもよい。
「内燃機関について」
内燃機関10としては、燃焼室20に燃料を噴射する筒内噴射弁のみを備えるものに限らず、たとえば、吸気通路12に燃料を噴射するポート噴射弁を更に備えるものであってもよい。この場合であっても、内燃機関10の温度が所定温度Tth以下である場合に、筒内噴射弁を用いて内燃機関を始動させる場合には、燃料の体積弾性率が高いことに起因して高圧デリバリパイプ70内の圧力が過度に高くなるおそれがある。このため、フィルタ処理値PFcをフィードバック制御量としたり、目標値PF*を漸増させたり、比例ゲインKpを小さくしたりすることは有効である。なお、ポート噴射弁を備える場合には、内燃機関の始動時であって特に水温THWが低い場合には、ポート噴射弁と筒内噴射弁との双方から燃料を噴射させてもよい。これにより、低温増量が過度に大きくなることに起因して高圧燃料ポンプ50からの燃料の流出量が過度に多くなり高圧デリバリパイプ70内の圧力を上昇させる妨げとなることを抑制できる。
内燃機関の気筒数としては、4気筒に限らず、たとえば6気筒等、5気筒以上の内燃機関であってもよく、またたとえば3気筒以下の内燃機関であってもよい。
内燃機関としては、火花点火式の内燃機関に限らず、たとえば圧縮着火式の内燃機関であってもよい。この場合であっても、筒内噴射弁に燃料を供給する蓄圧室内の圧力が過度に上昇することを抑制する上では、上記実施形態やその変形例の適用が有効である。
「制御装置について」
CPU82とROM84とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、制御装置は、以下の(a)〜(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア処理回路や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。すなわち、上記処理は、1または複数のソフトウェア処理回路および1または複数の専用のハードウェア回路の少なくとも一方を備えた処理回路によって実行されればよい。
「そのほか」
上記実施形態では、燃料の温度に応じて制御パラメータを変更する処理を実行しなかったが、これに限らない。たとえば、燃料の温度の推定値に基づき比例ゲインKpを可変設定してもよい。この場合であっても、推定値の誤差によって体積弾性率の値を正確に把握できない場合には、比例要素の出力値が高圧燃料ポンプ50の吐出量を過度に大きくする値となり高圧デリバリパイプ70内の圧力が過度に高くなるおそれがある。そのため、フィルタ処理値PFcをフィードバック制御量とすることが有効である。さらに、燃料の温度を検出する温度センサを備え、これによって検出される温度に基づき比例ゲインKpを可変設定してもよい。この場合であっても、たとえば吐出調量弁58の閉弁タイミングが同一であっても吐出量が回転速度NEに応じて変動することや、高圧燃料ポンプ50の公差や経年変化等によって、比例ゲインKpが必ずしも適切な値とならないことなどが懸念されうるのであれば、フィルタ処理値PFcをフィードバック制御量とすることが有効である。
高圧燃料ポンプとしては、吐出調量弁58を備えることは必須ではなく、たとえば吸入調量弁を備えてもよい。もっとも、機関駆動式であることも必須ではなく、電動式のポンプであってもよい。
リリーフ弁72を備えることは必須ではない。リリーフ弁72を備えない場合であっても、高圧デリバリパイプ70内の圧力が高い場合には、燃料噴射弁22を開弁させるうえで必要な力が大きくなることから、燃料噴射弁22を適切に開弁できなくなることが懸念されるため、上記フィルタ処理値PFc等をフィードバック制御量とすることは有効である。
なお、フィルタ処理値PFcをフィードバック制御量とするうえで、目標値PF*を漸増させる漸増処理や、比例ゲインKpを可変設定する処理をさらに加えることは必須ではない。
10…内燃機関、12…吸気通路、14…吸気バルブ、16…シリンダ、18…ピストン、20…燃焼室、22…燃料噴射弁、24…点火装置、26…クランク軸、27…スタータ、28…排気バルブ、30…排気通路、32…カム軸、34…タイミングチェーン、36…可変バルブタイミング装置、40…燃料タンク、42…フィードポンプ、50…高圧燃料ポンプ、52…加圧室、54…プランジャ、56…カム、58…吐出調量弁、60…逆止弁、70…高圧デリバリパイプ、72…リリーフ弁、80…ECU、82…CPU、84…ROM、86…RAM、90…エアフローメータ、92…燃圧センサ、94…クランク角センサ、96…水温センサ。

Claims (7)

  1. 燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁に供給する燃料を蓄える蓄圧室と、前記蓄圧室に燃料を圧送する高圧燃料ポンプと、を備える内燃機関を制御対象とし、
    前記蓄圧室内の圧力の検出値であって時系列的に前後する複数の検出値を入力とし、前記検出値のフィルタ処理値を算出するフィルタ処理と、
    前記フィルタ処理値を前記蓄圧室内の圧力の目標値にフィードバック制御するために前記高圧燃料ポンプを操作する操作処理と、を実行し、
    前記フィルタ処理は、当該フィルタ処理への最新の入力となる前記検出値が当該検出値の当該フィルタ処理への入力前の前記フィルタ処理値よりも低いことを条件に、前記最新の入力となる前記検出値に基づき更新される前記フィルタ処理値への当該検出値の寄与率を低減する低減処理を含む内燃機関の制御装置。
  2. 前記フィルタ処理は、前記フィルタ処理値に第1係数を乗算したものと前記最新の前記検出値に第2係数を乗算したものとの和によって前記フィルタ処理値を更新するものであり、
    前記第1係数と前記第2係数との和は、「1」であり、
    前記低減処理は、前記フィルタ処理値よりも前記検出値の方が低いことを条件に、前記第2係数の大きさを低減する処理である請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記低減処理は、前記内燃機関の温度が高い場合と比較して低い場合に前記寄与率を低減する請求項1または2記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記内燃機関の始動時において前記内燃機関の温度が所定温度以下であることを条件に、前記蓄圧室内の圧力の目標値を時間に応じて漸増させる漸増処理と、
    前記漸増処理における前記目標値の初期値を、前記内燃機関の温度が低い場合に高い場合よりも小さい値に設定する初期値設定処理と、を実行する請求項1または2記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記漸増処理は、前記内燃機関の温度が低い場合に高い場合よりも前記目標値の漸増速度を小さくする請求項4記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記操作処理は、前記内燃機関の温度が低い場合に高い場合よりも前記フィードバック制御のゲインを小さくする請求項1〜5のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  7. 前記内燃機関は、複数の気筒を有し、
    前記高圧燃料ポンプによる前記蓄圧室への燃料の圧送と、前記複数の気筒のそれぞれにおける燃料噴射とが1対1に対応付けられており、
    前記操作処理に利用される前記フィルタ処理値は、前記高圧燃料ポンプの圧送期間における値であり、
    前記操作処理は、前記燃料噴射弁から噴射される噴射量に応じた開ループ操作量と、前記フィードバック制御のための操作量であるフィードバック操作量との双方に基づき前記高圧燃料ポンプを操作する請求項1〜6のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
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