JP2005139975A - コモンレール式燃料噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ECU5は、エンジン1の始動時に学習値が記憶手段にない場合、エンジン1の始動中に得られた積分補正値をリセットせず、その積分補正値を始動完了後においても保持継続する。これによって、ポンプ吐出量がバラツキ下限側であっても、始動完了後において吐出量を増加させる方向の積分補正値がそのまま保持継続されるため、始動直後に実レール圧が低下する不具合がなく、エンジン1の始動完了の直後にコモンレール圧の不足によってエンジン1が停止しない。
【選択図】 図5
Description
このように学習値が記憶されていない場合で、且つ制御装置から与えられる駆動電流値に対してポンプ吐出量が下限側にバラツク場合(バラツキ下限)では、エンジンの始動直後にエンジンが停止する可能性がある。
なお、この図9の例では、エンジンの始動中(スタータスイッチのON中)は、駆動電流値を補正する電流方向制御を実施し、エンジンの始動後の運転中は、ポンプ吐出量を補正し、そのポンプ吐出量に応じた駆動電流値を算出する吐出量方向制御(燃料量方向制御)を実施するものである。また、この図9(a)は、エンジンの始動時で、学習値が記憶されておらず、且つサプライポンプがバラツキ下限側の場合を示すものであり、図中ではスタータスイッチ(図中、スタータSW)のON-OFF、レール圧(図中、目標圧は一点鎖線、実圧は実線)、エンジン回転数、電流方向制御における積分補正値(図中、電流F/B積分値)、吐出量方向制御における積分補正値(図中、燃料量F/B積分値)、吸入調量弁の駆動電流値(図中、吸入調量弁通電電流)の時系列変化を示す。
実レール圧が上昇してエンジンの始動が完了すると(スタータスイッチOFF )、電流方向制御から吐出量方向制御に切り替わり、積分補正値が一旦ゼロにリセットされる。この結果、吸入調量弁の駆動電流値が、補正を行わない駆動電流値に一旦戻される(図中、j2 参照)。
エンジンが始動すると、吐出量方向制御が開始されて、新たに積分補正値の算出を開始し、積分補正値がゼロから上昇を開始する(図中、j3 参照)。
このように、ポンプ吐出量がバラツキ下限側であるにもかかわらず、スタータスイッチがOFF されると、電流方向制御から吐出量方向制御に切り替えられて積分補正値が一旦ゼロに戻されてしまうため、スタータスイッチOFF の直後にポンプ吐出量の不足が生じ、実レール圧が低下してエンジンが停止する可能性がある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両の生産直後や、メンテナンス等によって制御装置の記憶手段にポンプ吐出量のバラツキを補正するための学習値が記憶されていない場合で、例えポンプ吐出量がバラツキ下限側であっても、エンジンの始動後にエンジンが停止する不具合が発生しないコモンレール式燃料噴射装置の提供にある。
請求項1の手段を採用するコモンレール式燃料噴射装置の制御装置は、エンジンの始動時に学習値が記憶手段に記憶されていないと判定した場合、エンジンの始動完了後においても、F/B制御手段で得られた積分補正値をリセットせずに保持継続するものである。 このため、車両の生産直後や、メンテナンス等によって制御装置の記憶手段にポンプ吐出量のバラツキを補正するための学習値が記憶されていない場合で、例えポンプ吐出量がバラツキ下限側であっても、エンジンの始動後にエンジンが停止する不具合が発生しない。
請求項2の手段を採用するコモンレール式燃料噴射装置のF/B制御手段は、補正手段を兼ねるものであり、学習値を記憶する条件(例えば、エンジンの停止時、またはアイドリングなどエンジンの安定状態等)が成立すると、F/B制御手段で求めた積分補正値を学習値として記憶手段に記憶する。
請求項3の手段を採用するコモンレール式燃料噴射装置の積分補正値保持手段は、エンジンが始動完了すると、エンジンの始動完了時の積分補正値をそのまま(100%)保持継続するものである。
請求項4の手段を採用するコモンレール式燃料噴射装置の積分補正値保持手段は、エンジンが始動完了すると、エンジンの始動完了時の積分補正値の所定の割合分を保持継続するものである。
請求項5の手段を採用するコモンレール式燃料噴射装置のF/B制御手段は、エンジンの始動中と記憶手段に学習値が記憶されていない時は始動に適した目標レール圧あるいはエンジンの運転状態に応じた目標レール圧に、実レール圧が一致するように駆動電流値を算出する電流方向制御を実施する。
また、記憶手段に学習値が記憶されており、且つエンジンの始動後の運転中はエンジンの運転状態に応じた目標レール圧に、実レール圧が一致するようにポンプ吐出量を算出し、そのポンプ吐出量に応じた駆動電流値を算出する吐出量方向制御を実施する。
このように、エンジンの始動中は電流方向制御を実施し、エンジンの運転中は吐出量方向制御を実施するような場合であっても、記憶手段に学習値が記憶されていない時は、電流方向制御を継続して、積分補正値をリセットせずに保持することで、例えポンプ吐出量がバラツキ下限側であっても、エンジンの始動後にエンジンが停止する不具合が発生しない。
この制御装置は、エンジンの運転状態に応じた目標レール圧と、コモンレールの実際の圧力である実レール圧との差圧に基づいて比例補正値および積分補正値を求め、この比例補正値および積分補正値を用いて駆動電流値(またはサプライポンプのポンプ吐出量)を求めるF/B制御手段、駆動電流値に対するポンプ吐出量のバラツキを補正するための補正値を求める補正手段、学習値を記憶する条件が成立すると補正値を学習値として記憶する記憶手段、この記憶手段に記憶された学習値に基づいて駆動電流値(またはポンプ吐出量)を補正する学習補正手段を備える。
そして、制御装置は、エンジンの始動時に学習値が記憶手段に記憶されているか否かを判定する学習値有無判定手段と、エンジンの始動時に学習値が記憶手段に記憶されていないと判定された場合に、エンジンの始動完了後においても、少なくても記憶手段が学習値を記憶するまでの間、F/B制御手段で得られた積分補正値をリセットせずに保持継続する積分補正値保持手段とを備える。
まず、コモンレール式燃料噴射装置の構成を図5、図6を参照して説明する。
コモンレール式燃料噴射装置は、例えばディーゼルエンジン(以下、エンジン)1に燃料噴射を行う装置であり、コモンレール2、インジェクタ3、サプライポンプ4、ECU5(エンジン・コントロール・ユニットの略:制御装置に相当する)等から構成されている。
なお、インジェクタ3からのリーク燃料は、リーク配管(燃料還流路)7を経て燃料タンク8に戻される。
また、コモンレール2から燃料タンク8へのリリーフ配管(燃料還流路)9には、プレッシャリミッタ11が取り付けられている。このプレッシャリミッタ11は、コモンレール2内の燃料圧が限界設定圧を超えた際に開弁して、コモンレール2の燃料圧を限界設定圧以下に抑えるための圧力安全弁である。
このサプライポンプ4は、コモンレール2へ高圧に圧縮した燃料を送るものであり、フィードポンプ12(図中では90°展開した状態で開示される)、レギュレータバルブ13、吸入調量弁14、2つの高圧ポンプ15等から構成される。
なお、カムシャフト16はポンプ駆動軸であり、図5に示されるように、エンジン1のクランク軸18によって回転駆動されるものである。
この吸入調量弁14は、フィードポンプ12から高圧ポンプ15へ燃料を導く燃料通路21の開度を変更するバルブ23と、ECU5から与えられる駆動電流によってバルブ23の弁開度を調整するためのリニヤソレノイド24(アクチュエータに相当する)とを有するものであり、実施例1では、ソレノイド24の通電が停止されると弁開度が全閉状態となるノーマリクローズタイプを例に説明する。
プランジャ25は、カムシャフト16のエキセンカム28の周囲に装着されたカムリング29にスプリング30によって押し付けられており、カムシャフト16が回転するとカムリング29の偏心動作に伴ってプランジャ25が往復動する。
プランジャ25が下降して加圧室22の圧力が低下すると、吐出弁27が閉弁するとともに、吸入弁26が開弁して吸入調量弁14で調量された燃料が加圧室22内に供給される。
逆に、プランジャ25が上昇して加圧室22の圧力が上昇すると吸入弁26が閉弁する。そして、加圧室22で加圧された圧力が所定圧力に達すると吐出弁27が開弁して加圧室22で加圧された高圧燃料がコモンレール2へ向けて吐出される。
なお、ECU5に接続されるセンサ類は、図5に示されるように、アクセル開度を検出するアクセルセンサ41、エンジン回転数を検出する回転数センサ42、エンジン1の冷却水温度を検出する水温センサ43、エンジン1に吸入される吸気温度を検出する吸気温度センサ44、実レール圧を検出するレール圧センサ45、インジェクタ3に供給される燃料温度を検出する燃料温度センサ46、およびその他のセンサ類47がある。
ECU5による吸入調量弁14の開度制御について説明する。
吸入調量弁14の開度は、ECU5から与えられる駆動電流値によって制御される。
ECU5は、ソレノイド24に与える駆動電流値を算出する駆動電流値算出手段を有する。
この駆動電流値算出手段は、エンジン1の始動中、始動に適した目標レール圧に実レール圧が一致するように駆動電流値を算出する電流方向制御を実施する。また、エンジン1の始動後の運転中は、エンジン1の運転状態に応じた目標レール圧に、実レール圧が一致するようにポンプ吐出量を算出し、そのポンプ吐出量に応じた駆動電流値を算出する吐出量方向制御を実施する。
F/F制御手段は、インジェクタ3から噴射される噴射量と、インジェクタ3からリークされるリーク量(静リーク量+動リーク量)とを加算して基本要求吐出量を求め、その基本要求吐出量からベース駆動電流値を算出するものである。
なお、高圧ポンプ15が1圧送してインジェクタ3からエンジン1へ2回噴射する1圧送2噴射の場合は、基本要求吐出量(またはベース駆動電流値)を2倍(×2)するものであり、1圧送3噴射の場合は3倍(×3)するものである。
電流方向制御は、目標レール圧と実レール圧の差圧ΔPCに基づいて比例補正値(電流値)および積分補正値(電流値)を求め、この比例補正値および積分補正値を用いて駆動電流値を求めるものである。
一方、吐出量方向制御は、目標レール圧と実レール圧の差圧ΔPCに基づいて比例補正値(ポンプ吐出量)および積分補正値(ポンプ吐出量)を求め、この比例補正値および積分補正値を用いてポンプ吐出量を求め、このポンプ吐出量から駆動電流値を求めるものである。
なお、この実施例では、F/B制御手段で求める積分補正値(電流値)をバラツキ補正の補正値として用いるが、アイドリング時など所定の学習条件が成立した際に所定のバラツキ量検出運転を実施し、その運転で得られたバラツキ量を基に補正値を求めても良い。ここで、本実施例とは異なるバラツキ量検出手段の一例を示すと、アイドリング時などに吸入調量弁14の吸入量ゼロが保証されている開度から徐々に開度を拡大し、レール圧の変化量が所定値以上となった時の駆動電流値(吸入開始駆動電流値)を求め、その吸入開始駆動電流値に基づき補正値を求めても良い(特開2002−82230号公報参照)。
具体的に、この実施例では、エンジン1の始動中の他に、記憶手段に学習値が記憶されていない時も、エンジン1が始動してその後エンジン1の運転が停止し、積分補正値(電流値)を学習値として記憶するまでの間(1トリップ間と称す)にわたり電流方向制御を実施し、エンジン1の始動中で得られた積分補正値を、エンジン始動後の運転中もそのまま(100%)保持継続するように設けられている。
上記の制御を図2〜図4を参照して説明する。
まず、学習値有無判定手段の判断制御を図2を参照して説明する。
イグニッションキーがONされ、吸入調量弁14の制御タイミングになると(スタート)、ECU5内の記憶手段に学習値(図中、機差補正量)が記憶されていないか否かの判断を行う(ステップS1 )。
このステップS1 の判断結果がYES (学習値が記憶されていない)の場合、1トリップ間にわたって電流方向制御を実施する(ステップS10:図3参照)。
また、ステップS1 の判断結果がNO(学習値が記憶されている)の場合、学習値を用いて通常の制御を実施する(ステップS20:図4参照)。
上記ステップS1 の判断結果がYES の場合(スタート:エンジン1の始動時に学習値が記憶されていない場合)、目標レール圧(始動中であれば始動に適した目標レール圧であり、運転中であれば運転状態に応じて算出された目標レール圧)と、実レール圧(レール圧センサ45によって検出された圧力)との差圧ΔPCから比例補正値(電流値)を算出する(ステップS11)。
次に、目標レール圧と実レール圧の差圧ΔPCから積分補正値(電流値)を算出する(ステップS12)。
次に、ステップS11とステップS12で求めた比例補正値と積分補正値とを加算して最終F/B量(電流値)を算出する(ステップS13)。
次に、噴射量とリーク量(静リーク量+動リーク量)とを加算して基本要求吐出量を求め、その基本要求吐出量からベース駆動電流値を算出する(ステップS14)。なお、1圧送2噴射の場合、2倍した基本要求吐出量からベース駆動電流値を算出するものである。 次に、ステップS13で求めた最終F/B量(電流値)と、ステップS14で求めたベース駆動電流値とを加算して、最終的な駆動電流値を算出する(ステップS15)。この駆動電流値は駆動デューティに換算され、吸入調量弁14の開弁に適したタイミングにおいて吸入調量弁14に与えられる。
このステップS17の実行後、あるいはステップS16の判断結果がNOの場合は、イグニッションスイッチがOFF されたか否か、即ちエンジン1が停止したか否かの判断を行う(ステップS18)。
このステップS18の判断結果がNO(エンジン運転)の場合は、ステップS11へ戻り、エンジン1が停止するまで上記の制御を繰り返す。
このステップS18の判断結果がYES (エンジン停止)の場合は、積分補正値(電流値)を学習値として記憶手段に記憶させる(ステップS19)。この時、運転中に学習値が記憶されている場合は、エンジン停止時の積分補正値に基づいて学習値を更新する。その後、吸入調量弁14の開度制御を終了する(エンド)。
上記ステップS1 の判断結果がNOの場合(スタート:エンジン1の始動時に学習値が記憶されている場合)、エンジン1の始動が完了しているか否かの判断を行う。即ち、スタータスイッチがOFF しているか否かの判断を行う(ステップS21)。
このステップS21の判断結果がNO(始動中)の場合は、ステップS22〜S26において電流方向制御を実施し、判断結果がYES (運転中)の場合は、ステップS27〜S31において吐出量方向制御を実施する。
次に、目標レール圧と実レール圧の差圧ΔPCから積分補正値(電流値)を算出する(ステップS23)。
次に、ステップS22とステップS23で求めた比例補正値と積分補正値とを加算して最終F/B量(電流値)を算出する(ステップS24)。
次に、噴射量とリーク量(静リーク量+動リーク量)とを加算して基本要求吐出量を求め、その基本要求吐出量からベース駆動電流値を算出する(ステップS25)。なお、1圧送2噴射の場合は、2倍した基本要求吐出量からベース駆動電流値を算出するものである。
次に、ステップS24で求めた最終F/B量(電流値)と、ステップS25で求めたベース駆動電流値と、記憶手段に記憶された学習値(サプライポンプ4のバラツキを補正する電流値)とを加算して、最終的な駆動電流値を算出する(ステップS26)。この駆動電流値は駆動デューティに換算され、吸入調量弁14の開弁に適したタイミングで吸入調量弁14に与えられる。上記ステップS22〜S26の制御はスタータスイッチがOFF されるまで繰り返される。
次に、目標レール圧と実レール圧の差圧ΔPCから積分補正値(ポンプ吐出量)を算出する(ステップS28)。
次に、ステップS27とステップS28で求めた比例補正値と積分補正値とを加算して最終F/B量(ポンプ吐出量)を算出する(ステップS29)。
次に、噴射量とリーク量(静リーク量+動リーク量)とを加算して基本要求吐出量を求め、その基本要求吐出量とステップS29で求めた最終F/B量(ポンプ吐出量)とを加算し、その加算した値(ポンプ吐出量)からベース駆動電流値を算出する(ステップS30)。なお、1圧送2噴射の場合は、基本要求吐出量を2倍にして算出するものである。
次に、ステップS30で求めたベース駆動電流値と、記憶手段に記憶された学習値(サプライポンプ4のバラツキを補正する電流値)とを加算して、最終的な駆動電流値を算出する(ステップS31)。この駆動電流値は駆動デューティに換算され、吸入調量弁14の開弁に適したタイミングで吸入調量弁14に与えられる。上記ステップS27〜S31の制御はイグニッションスイッチがOFF されるまで繰り返される。
学習値が記憶手段に記憶されていない時の作動例を図1を参照して説明する。
なお、この図1(a)は、エンジン1の始動時で、学習値が記憶されておらず、且つサプライポンプ4がバラツキ下限側の場合を示すものであり、図中ではスタータスイッチ(図中、スタータSW)のON-OFF、レール圧(図中、目標圧は一点鎖線、実圧は実線)、エンジン回転数、電流方向制御における積分補正値(図中、電流F/B積分値)、吐出量方向制御における積分補正値(図中、燃料量F/B積分値)、吸入調量弁14の駆動電流値(図中、吸入調量弁通電電流)の時系列変化を示す。
実レール圧が上昇してエンジン1の始動が完了(スタータスイッチOFF )しても、電流方向制御が継続され、吐出量方向制御には切り替わらない。そして、積分補正値(電流値)はリセットされずに、始動中の積分補正値(電流値)がそのまま保持継続される(図中、a2 参照)。
このため、ポンプ吐出量がバラツキ下限側であっても、エンジン1の始動完了後において、始動中にポンプ吐出量を増加させる積分補正値(電流値)がそのまま保持継続される(図中、a3 参照)。この結果、実レール圧が低下する不具合がなく、エンジン1の始動完了の直後に実レール圧の不足によってエンジン1が停止する不具合が発生しない。
このように、本実施例のコモンレール式燃料噴射装置は、車両の生産直後や、メンテナンス等によってECU5の記憶手段にポンプ吐出量のバラツキを補正するための学習値が記憶されていない場合で、例えポンプ吐出量がバラツキ下限側であっても、エンジン1の始動後にエンジン1が停止する不具合が発生しない。
しかるに、本発明を適用する実施例1では、学習値が記憶されておらず、ポンプ吐出量がバラツキの上限側であっても、始動中の積分補正値(吐出量を減らす側の値)が始動直後にリセットされずに保持継続されるため、減圧弁を搭載しなくても、始動直後のオーバーシュートを抑えることができ、コモンレール圧のオーバーシュートにより発生する燃焼騒音や、エンジン停止などの不具合の発生を抑えることができる。
これに対し、この実施例2は、エンジン1が始動を完了(スタータスイッチOFF )すると、エンジン1の始動完了時の積分補正値(電流値)の所定の割合分を保持継続するものである。
なお、所定の割合は、ポンプ吐出量がバラツキ下限側であっても、エンジン1の運転が停止しない実レール圧を維持できる割合であれば良く、例えば、始動完了時の積分補正値(電流値)の50%、70%など、サプライポンプ4のバラツキ範囲などに応じて適宜設定されるものである。
上記の実施例では、ソレノイド24の通電が停止されると弁開度が全閉状態となるノーマリクローズタイプの吸入調量弁14を例に示したが、逆にソレノイド24の通電が停止されると弁開度が全開状態となるノーマリオープンタイプの吸入調量弁14を用いても良い。その場合、ソレノイド24の駆動電流値を上げると吸入調量弁14の開度が小さくなるため、ソレノイド24の駆動電流値の増減制御は上記実施例とは逆に行うものである。
2 コモンレール
3 インジェクタ
4 サプライポンプ
5 ECU(制御装置:補正手段を兼ねるフィードバック制御手段、記憶手段、学習補正手段、学習値有無判定手段、積分補正値保持手段を有する)
14 吸入調量弁
15 高圧ポンプ
22 加圧室
23 バルブ
24 ソレノイド(アクチュエータ)
Claims (5)
- (a)高圧燃料を蓄圧するコモンレールと、
(b)このコモンレールに蓄えられた高圧燃料を噴射するインジェクタと、
(c)燃料を吸引して加圧する加圧室を有し、加圧した高圧燃料を前記コモンレールに供給する高圧ポンプを備えたサプライポンプと、
(d)前記加圧室に吸入される流量を調整するバルブ、このバルブを駆動するアクチュエータを備え、このアクチュエータに与えられる駆動電流値によって前記バルブの開度が調整される吸入調量弁と、
(e1 )内燃機関の運転状態に応じた目標レール圧と前記コモンレールの実際の圧力である実レール圧との差圧に基づいて比例補正値および積分補正値を求め、この比例補正値および積分補正値を用いて駆動電流値、または前記サプライポンプのポンプ吐出量を求めるフィードバック制御手段、
(e2 )駆動電流値に対するポンプ吐出量のバラツキを補正するための補正値を求める補正手段、
(e3 )学習値を記憶する条件が成立すると前記補正値を学習値として記憶する記憶手段、
(e4 )この記憶手段に記憶された学習値に基づいて駆動電流値、またはポンプ吐出量を補正する学習補正手段を備えた制御装置と、
を具備するコモンレール式燃料噴射装置において、
前記制御装置は、
前記内燃機関の始動時に学習値が前記記憶手段に記憶されているか否かを判定する学習値有無判定手段と、
前記内燃機関の始動時に学習値が前記記憶手段に記憶されていないと判定された場合に、前記内燃機関の始動完了後においても、前記記憶手段が学習値を記憶するまでの間、前記フィードバック制御手段で得られた積分補正値をリセットせずに保持継続する積分補正値保持手段と、
を備えることを特徴とするコモンレール式燃料噴射装置。 - 請求項1に記載のコモンレール式燃料噴射装置において、
前記フィードバック制御手段は、前記補正手段を兼ねるものであり、
学習値を記憶する条件が成立すると前記フィードバック制御手段で求めた積分補正値を学習値として前記記憶手段に記憶することを特徴とするコモンレール式燃料噴射装置。 - 請求項1または請求項2に記載のコモンレール式燃料噴射装置において、
前記積分補正値保持手段は、前記内燃機関が始動を完了すると、前記内燃機関の始動完了時の積分補正値をそのまま保持継続することを特徴とするコモンレール式燃料噴射装置。 - 請求項1または請求項2に記載のコモンレール式燃料噴射装置において、
前記積分補正値保持手段は、前記内燃機関が始動を完了すると、前記内燃機関の始動完了時の積分補正値の所定の割合分を保持継続することを特徴とするコモンレール式燃料噴射装置。 - 請求項1〜請求項4のいずれかに記載のコモンレール式燃料噴射装置において、
前記フィードバック制御手段は、
前記内燃機関の始動中と前記記憶手段に学習値が記憶されていない時は始動に適した目標レール圧あるいは前記内燃機関の運転状態に応じた目標レール圧に、実レール圧が一致するように駆動電流値を算出する電流方向制御を実施するとともに、
前記記憶手段に学習値が記憶されており、且つ前記内燃機関の始動後の運転中は前記内燃機関の運転状態に応じた目標レール圧に、実レール圧が一致するようにポンプ吐出量を算出し、そのポンプ吐出量に応じた駆動電流値を算出する吐出量方向制御を実施することを特徴とするコモンレール式燃料噴射装置。
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