JP7476665B2 - 燃料供給システムの制御装置 - Google Patents

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この発明は燃料供給システムの制御装置に関するものである。
特許文献1には、予め記憶したフィードポンプの駆動に関する特性、具体的にはフィードポンプにおける駆動電圧と吐出量と吐出圧との関係に基づいて、そのときの状況に応じて目標圧力を設定する燃料供給システムが開示されている。目標圧力は、フィードパイプ内の燃料の圧力であるフィード圧がベーパの発生を防止する上で必要な圧力よりも高い圧力になるように設定される。そして、この燃料供給システムの制御装置は、目標圧力を実現するように、上記の予め記憶したフィードポンプの駆動に関する特性に基づいてフィードポンプを制御するフィード圧制御を実行する。
特開2010-255501号公報
ところで、フューエルカット中には、燃料噴射を行わないため、フィードポンプの駆動は停止される。その結果、フィードポンプのインペラの単位時間当たりの回転数であるポンプ回転数やフィードポンプにおける電流であるポンプ電流など、フィード圧を推定する上で必要な情報が得られなくなってしまう。
フューエルカット中のフィード圧の変化が確認できないと、フューエルカット終了後のフィード圧の推定値が実際のフィード圧から乖離してしまう。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するための燃料供給システムの制御装置は、燃料タンクから燃料を汲み上げる電動のフィードポンプと、前記フィードポンプから吐出された燃料が流れるフィードパイプと、前記フィードパイプを通じて供給された燃料を加圧する高圧燃料ポンプと、前記高圧燃料ポンプによって加圧された燃料を蓄えるデリバリパイプと、前記デリバリパイプ内に蓄えられた燃料をエンジンの気筒内に噴射する筒内燃料噴射弁と、を備える燃料供給システムに適用される。この制御装置は、前記フィードポンプのインペラの単位時間当たりの回転数であるポンプ回転数及び前記フィードポンプにおける電流値であるポンプ電流値を用いて前記フィードパイプ内の燃料の圧力であるフィード圧を推定するフィード圧推定処理と、推定したフィード圧と要求フィード圧との偏差を小さくするように前記フィードポンプへの供給電力を制御する圧力調整処理と、を実行する実行装置を備えている。この制御装置では、前記実行装置は、前記エンジンにおける燃料噴射及びフィードポンプの駆動を停止するフューエルカット中には、前記燃料タンク内の燃料の温度を含む複数箇所の温度を用いて、フィードパイプ内の燃料の温度変化の指標値を算出する指標値算出処理と、前記指標値算出処理を通じて算出された指標値に基づいて、フィードパイプ内の燃料の温度が上昇していると推定されるときほど大きな値をフィード圧の変化量である圧力変化量として出力する圧力変化量算出処理と、を実行し、前記圧力変化量算出処理を通じて算出した圧力変化量を加算してフィード圧を更新する。
フューエルカット中は、燃料噴射が行われず、フィードポンプの駆動も行われないため、フィードパイプ内の燃料の増減や移動はほとんど生じない。しかし、外気との熱交換や他の部分からの熱の伝達によってフィードパイプ内の燃料の温度は変化する。そして、温度が変化することによってフィード圧が変化する。
圧力変化量算出処理では、フューエルカットが行われるまでフィードパイプ内に供給されていた燃料の温度である燃料タンク内の燃料の温度を含む複数箇所の温度を用いてフィードパイプ内の燃料の温度変化の指標値を算出する。そして、その指標値に基づいてフィードパイプ内の燃料の温度が上昇していると推定されるときほど大きな値を圧力変化量として算出する。そのため、圧力変化量算出処理では、フューエルカット中のフィード圧の変化の要因になっている燃料温度の変化の情報に基づいてフィード圧の変化量を算出することができる。
上記構成では、こうした圧力変化量算出処理を通じて算出した圧力変化量を加算することによってフィード圧を更新している。そのため、フィードポンプのインペラの単位時間当たりの回転数であるポンプ回転数やフィードポンプにおける電流であるポンプ電流などの情報が得られないフューエルカット中であっても、フィード圧の推移を把握することができる。したがって、フューエルカット終了後のフィード圧の推定値が実際のフィード圧から乖離してしまうことを抑制できる。
カム駆動式の高圧燃料ポンプはカムとの摺動部がオイルで潤滑されている。そのため、高圧燃料ポンプは高温のオイルから受熱してフィードパイプ内の燃料よりも温度が高くなりやすい。フィードパイプは高圧燃料ポンプに接続されている。そのため、フィードパイプ内の燃料の入れ替えが起こらないフューエルカット中には高圧燃料ポンプ側からの熱の伝達によってフィードパイプ内の燃料が温められやすい。
そこで、前記高圧燃料ポンプが前記エンジンの出力軸の回転に同期してプランジャが往復動するカム駆動式のポンプになっている燃料供給システムに適用される制御装置の一態様では、前記実行装置が、前記指標値算出処理において、前記指標値として、前記燃料タンク内の燃料温度の変化量と前記高圧燃料ポンプ内の燃料温度の変化量との加重平均値を算出する。
こうした構成によれば、高圧燃料ポンプ側からの伝熱の影響を反映させたかたちで指標値を算出し、フィード圧の変化量を算出することができる。したがって、高圧燃料ポンプ側からの伝熱の影響を反映させたかたちでフィード圧を推定することができる。
実施形態の制御装置と同制御装置の制御対象である燃料供給システムの構成を示す模式図。 同実施形態の制御装置が実行する圧力調整処理にかかる処理を示すブロック図。 燃料温度と要求フィード圧の関係を示すグラフ。 燃料温度Tfを推定する温度推定処理にかかるルーチンの一連の処理の流れを示すフローチャート。 燃料温度Tpを推定する温度推定処理にかかるルーチンの一連の処理の流れを示すフローチャート。 フューエルカット中のフィード圧推定処理にかかるルーチンの一連の処理の流れを示すフローチャート。 加重平均値ΔTaveと圧力変化量ΔPfの関係を示すグラフ。
以下、燃料供給システムの制御装置の一実施形態について、図1~図7を参照して説明する。
図1は、本実施形態の制御装置が適用される車載エンジンの燃料供給システムの構成を示している。すなわち、本実施形態の制御装置100は、車載エンジンの燃料供給システムに適用される。
図1に示すように、この制御装置100が適用される燃料供給システムには、燃料タンク51内に設置されたフィードポンプ52と、燃料タンク51外に設置された高圧燃料ポンプ60と、の2つの燃料ポンプが設けられている。フィードポンプ52は、ブラシレスモータによってインペラを回転させる電動式のポンプである。また、この燃料供給システムには、筒内燃料噴射弁44とポート燃料噴射弁30とが設けられている。筒内燃料噴射弁44は、エンジンの各気筒に設けられ、気筒内に直接燃料を噴射する。筒内燃料噴射弁44は、燃料の蓄圧容器である高圧側デリバリパイプ71に接続されている。また、ポート燃料噴射弁30は、エンジンの各気筒に繋がる吸気ポート内に燃料を噴射する。ポート燃料噴射弁30は燃料の蓄圧容器である低圧側デリバリパイプ31に接続されている。なお、この燃料供給システムが搭載されたエンジンは直列4気筒のエンジンであり、高圧側デリバリパイプ71には4つの筒内燃料噴射弁44が接続されている。また、低圧側デリバリパイプ31にも4つのポート燃料噴射弁30が接続されている。
そして、この燃料供給システムには、フィードポンプ52から高圧燃料ポンプ60及び低圧側デリバリパイプ31に燃料を送る燃料通路であるフィードパイプ57と、高圧燃料ポンプ60から高圧側デリバリパイプ71に燃料を送る燃料通路である高圧燃料パイプ72と、が設けられている。なお、フィードパイプ57は、途中で分岐し、一方が高圧燃料ポンプ60に接続されており、もう一方が低圧側デリバリパイプ31に接続されている。
高圧側デリバリパイプ71には、内部に蓄えられている燃料の圧力である高圧側燃料圧力を検出する燃料圧力センサ132が設置されている。燃料圧力センサ132は大気圧を基準としたゲージ圧で燃料圧力を示す。
フィードポンプ52は、給電に応じて燃料タンク51内の燃料を、上流側フィルタ53を介して吸引してフィードパイプ57に送出する。フィードパイプ57における燃料タンク51の内部に位置する部分には、フィードポンプ52によりフィードパイプ57に送出された燃料の圧力、すなわちフィードパイプ57内の燃料の圧力であるフィード圧Pfが既定の開弁圧力を超えたときに開弁してフィードパイプ57から燃料タンク51に燃料をリリーフするリリーフ弁56が設けられている。
また、フィードパイプ57におけるリリーフ弁56が設けられている部分よりも上流側の部分には、フィードポンプ側を下方にして配設され、弁体が下方に位置する弁座に自重で着座しており、フィードポンプ52から吐出される燃料の流れによって開弁するチェック弁59が設けられている。チェック弁59は、フィードポンプ52が停止して燃料の供給が停止すると閉弁する。
そして、フィードパイプ57は、フィードパイプ57を流れる燃料中の不純物を濾過する下流側フィルタ58とフィードパイプ57内の燃料圧力の脈動を低減するためのパルセーションダンパ61とを介して高圧燃料ポンプ60に接続されている。
高圧燃料ポンプ60は、プランジャ62、燃料室63、電磁スピル弁64、チェック弁65及びリリーフ弁66を備えている。プランジャ62は、エンジンのカムシャフト42に設けられたポンプカム67により往復駆動され、その往復駆動に応じて燃料室63の容積を変化させる。燃料室63は、電磁スピル弁64を介してフィードパイプ57に接続されている。なお、ポンプカム67の摺動部には、オイルジェットからエンジンの各部を潤滑するオイルが吹き掛けられている。これにより、高圧燃料ポンプ60とポンプカム67との摺動部はオイルによって潤滑されている。
電磁スピル弁64は、通電に応じて閉弁して、燃料室63とフィードパイプ57との間の燃料の流通を遮断するとともに、通電の停止に応じて開弁して、燃料室63とフィードパイプ57との間の燃料の流通を許容する。チェック弁65は、燃料室63から高圧側デリバリパイプ71への燃料の吐出を許容する一方、高圧側デリバリパイプ71から燃料室63への燃料の逆流を禁止する。リリーフ弁66は、チェック弁65を迂回する通路に設けられており、高圧側デリバリパイプ71側の圧力が過剰に高くなったときに開弁して燃料室63側への燃料の逆流を許容する。
以上のように構成された高圧燃料ポンプ60の燃料の加圧動作について説明する。高圧燃料ポンプ60では、プランジャ62の往復動に応じて燃料室63の容積が変化する。以下の説明では、燃料室63の容積が拡大する方向へのプランジャ62の動作をプランジャ62の下降と記載し、これとは逆に燃料室63の容積が縮小する方向へのプランジャ62の動作をプランジャ62の上昇と記載する。
高圧燃料ポンプ60において、電磁スピル弁64が開弁した状態でプランジャ62が下降を開始すると、燃料室63の容積の拡大に伴って、フィードパイプ57から燃料室63に燃料が流入する。プランジャ62が下降から上昇に転じた後も電磁スピル弁64が開弁した状態を維持すると、プランジャ62の下降中に燃料室63に流入した燃料がフィードパイプ57に押し戻される。プランジャ62の上昇中に電磁スピル弁64を閉弁し、その後にプランジャ62が上昇から下降に転じるまで、電磁スピル弁64の閉弁を維持すると、プランジャ62の上昇に伴う燃料室63の容積の縮小により、燃料室63内の燃料が加圧される。そして、燃料室63内の燃料圧力が高圧燃料パイプ72内の燃料圧力を上回ると、チェック弁65が開弁して、燃料室63内の加圧された燃料が高圧燃料パイプ72に送出される。こうして高圧燃料ポンプ60は、プランジャ62の往復動毎に、フィードパイプ57内の燃料を加圧して高圧燃料パイプ72に送出する。なお、プランジャ62の上昇中における電磁スピル弁64の閉弁時期を変えることで、高圧燃料ポンプ60が加圧動作毎に高圧燃料パイプ72に送出する燃料の量が増減される。
こうした燃料供給システムを備えるエンジンは、制御装置100により制御される。制御装置100は、エンジンの制御装置であり、エンジンの燃料供給システムの制御も司る。すなわち、制御装置100は燃料供給システムの制御装置でもある。
制御装置100は、各種演算処理を実行する実行装置101と、制御用のプログラムやデータが記憶された記憶装置102と、ソークタイマ103と、を備えている。そして、制御装置100は、実行装置101が記憶装置102に記憶されたプログラムを読み込んで実行することで、燃料供給システムの制御を含んだエンジンの制御を行っている。
なお、制御装置100には、エンジンの運転状態を検出するための各種センサの検出信号が入力されている。図1に示すように、制御装置100には、アクセルポジションセンサ142によって運転者のアクセルの操作量の検出信号が入力され、車速センサ141によって車両の走行速度である車速の検出信号が入力されている。
さらに、制御装置100には、他にも各種のセンサの検出信号が入力されている。例えば、図1に示すように、制御装置100には、高圧側デリバリパイプ71内の燃料圧力を検出する燃料圧力センサ132の他に、エアフロメータ133、クランクポジションセンサ134、カムポジションセンサ135、冷却水温センサ136、油温センサ140が接続されている。また、制御装置100には、車両のメインスイッチ143も接続されている。
エアフロメータ133は、エンジンの吸気通路を通じて気筒内に吸入される空気の温度と、吸入される空気の質量である吸入空気量を検出する。クランクポジションセンサ134は、エンジンの出力軸であるクランクシャフトの回転位相の変化に応じたクランク角信号を出力する。制御装置100は、クランクポジションセンサ134から入力されるクランク角信号に基づいて単位時間あたりのクランクシャフトの回転数である機関回転数NEを算出する。
カムポジションセンサ135は、カムシャフト42の回転位相の変化に応じたカム角信号を出力する。冷却水温センサ136は、エンジンの冷却水の温度である機関冷却水温THWを検出する。油温センサ140は、エンジンの各部を潤滑するオイルの温度である油温THOを検出する。
また、制御装置100には、燃料タンク51内の燃料の液面の高さの水準を検知して燃料の残量を示す検出信号を出力する燃料レベルセンサ138と、外気温THAを検出する外気温センサ139も接続されている。
また、制御装置100には、フィードポンプ52のインペラの単位時間当たりの回転数であるポンプ回転数Npを制御するフィードポンプ制御装置200が接続されている。フィードポンプ制御装置200は、制御装置100からの指令に基づき、フィードポンプ52への供給電力をパルス幅変調により調整することで、ポンプ回転数Npを増減している。なお、フィードポンプ制御装置200は、フィードポンプ52に供給されている電流であるポンプ電流Ip、及びポンプ回転数Npの情報を制御装置100に送信している。
制御装置100は、エンジン制御の一環として、燃料噴射量制御、燃料圧力可変制御、及びフィード圧制御を実行している。
燃料噴射量制御に際して制御装置100はまず、機関回転数NEやエンジンの負荷率などのエンジン運転状態に応じて筒内燃料噴射弁44、ポート燃料噴射弁30の燃料噴射量の要求値である要求噴射量をそれぞれ演算する。続いて制御装置100は、要求噴射量分の燃料噴射に要する筒内燃料噴射弁44、ポート燃料噴射弁30の開弁時間をそれぞれ演算する。そして、制御装置100は、演算した開弁時間に相当する期間の間、燃料を噴射すべく各気筒の筒内燃料噴射弁44、ポート燃料噴射弁30を操作する。また、制御装置100は、燃料噴射制御の一環として、アクセルの操作量が「0」になっている減速中などに、燃料の噴射を停止してエンジンの燃焼室への燃料の供給を停止し、燃料消費率の低減を図るフューエルカットも行う。
燃料圧力可変制御に際して制御装置100は、エンジンの負荷率などに基づき、高圧側燃料圧力の目標値を算出する。高圧側燃料圧力の目標値は基本的には、エンジンの負荷率が低いときには低い圧力に、エンジンの負荷率が高いときには高い圧力に設定される。そして、制御装置100は、燃料圧力センサ132による高圧側燃料圧力の検出値と高圧側燃料圧力の目標値との偏差を縮小すべく、高圧燃料ポンプ60の燃料送出量を調整する。具体的には、高圧側燃料圧力の検出値が目標値よりも低い場合には、プランジャ62の上昇期間における電磁スピル弁64の閉弁時期を早くして、高圧燃料ポンプ60の燃料送出量を増加させる。また、高圧側燃料圧力の検出値が目標値よりも高いときには、プランジャ62の上昇期間における電磁スピル弁64の閉弁時期を遅くして、高圧燃料ポンプ60の燃料送出量を減少させる。
続いて、フィード圧制御の一環として実行する圧力調整処理の詳細を説明する。圧力調整処理は、次の目的で行われる。フィードポンプ52から送出されてフィードパイプ57を流れる燃料がエンジンの熱を受けて高温となると、フィードパイプ57内にベーパが発生して、高圧側デリバリパイプ71、低圧側デリバリパイプ31への燃料の供給が滞ることがある。燃料の圧力が高いほど、燃料の気化温度は高くなるため、フィードパイプ57でのベーパの発生を防止するには、フィードパイプ57へのフィードポンプ52の燃料送出量を多くしてフィード圧Pfを高くすればよい。しかしながら、燃料送出量を増加させれば、その分、フィードポンプ52の電力消費量が増えてしまう。そこで、圧力調整処理では、ベーパの発生を防止可能な限りにおいてフィード圧Pfを低い圧力に維持すべく、フィードポンプ52の燃料吐出量を調整することで、電力消費を抑えつつ、ベーパの発生を防止している。
図2に、制御装置100の実行装置101が実行する圧力調整処理に係る処理の流れを示す。図2に示すように圧力調整処理は、要求圧力設定処理M200、要求ポンプ回転数算出処理M210、フィード圧推定処理M220、及びフィード圧フィードバック処理M230の各処理を通じて行われる。
要求圧力設定処理M200では、実行装置101は、温度推定処理M110を通じて推定した燃料温度Tfに基づいてフィード圧Pfの目標値である要求フィード圧Pf*を算出する。なお、温度推定処理M110は、制御装置100の実行装置101が実行する処理である。温度推定処理M110についての詳細は後述する。
図3に二点鎖線で示すように、この制御装置100では、燃料温度Tfに応じて3段階に要求フィード圧Pf*を切り替える。図3には、二点鎖線で示した要求フィード圧Pf*の他に、燃料の飽和蒸気圧と燃料温度Tfとの関係を、実線と一点鎖線と破線とで示している。なお、実線はガソリンの飽和蒸気圧と燃料温度Tfとの関係を示しており、一点鎖線はガソリンとエタノールとの混合燃料のうち、エタノールを容積比で20%含むE20燃料の飽和蒸気圧と燃料温度Tfとの関係を示している。また、破線はガソリンとメタノールとの混合燃料のうち、メタノールを容積比で15%含むM15燃料の飽和蒸気圧と燃料温度Tfとの関係を示している。
制御装置100では、使用が想定される燃料のうち、最も飽和蒸気圧が高くなる燃料を使用した場合であっても要求フィード圧Pf*が、飽和蒸気圧を下回ることがないように、燃料温度Tfが高いときほど、要求フィード圧Pf*を高くする。具体的には、実行装置101は、要求圧力設定処理M200において、図3に示すように、燃料温度Tfが「T1」未満のときには、要求フィード圧Pf*として「P1」を算出する。そして、実行装置101は、燃料温度Tfが「T1」以上であり、且つ「T1」よりも高い「T2」未満のときには、要求フィード圧Pf*として「P1」よりも高い「P2」を算出する。また、実行装置101は、燃料温度Tfが「T2」以上のときには、要求フィード圧Pf*として「P2」よりも高く且つリリーフ弁56の開弁圧力Pxよりも僅かに低い「P3」を算出する。
要求ポンプ回転数算出処理M210では、実行装置101は、燃料噴射量Qfと、要求圧力設定処理M200を通じて算出した要求フィード圧Pf*とに基づいて、ポンプ回転数Npの目標値である要求ポンプ回転数Np*を算出する。なお、燃料噴射量Qfは、燃料噴射量制御の一環として実行する要求噴射量算出処理M100を通じて算出された要求噴射量、すなわち筒内燃料噴射弁44に対する要求燃料噴射量とポート燃料噴射弁30に対する要求燃料噴射量との和に基づいて把握できる。
制御装置100では、要求ポンプ回転数算出処理M210において、実行装置101が、燃料噴射制御の実行による燃料の消費量を考慮した上で要求フィード圧Pf*を実現するために必要なポンプ回転数Npを、要求ポンプ回転数Np*として算出する。
具体的には、実行装置101は、記憶装置102に記憶されている回転数算出用写像データを用いて要求ポンプ回転数Np*を算出する。回転数算出用写像データは、図2に示すように、要求フィード圧Pf*と燃料噴射量Qfとを入力として要求ポンプ回転数Np*を出力する演算マップである。この演算マップは、例えば、ガソリンを燃料として使用した実験の結果に基づいて要求ポンプ回転数Np*を算出できるように作成されている。図2には、要求ポンプ回転数Np*の等高線を図示している。この演算マップでは、要求フィード圧Pf*が高く、燃料噴射量Qfが多いときほど、出力される要求ポンプ回転数Np*が大きくなる。
フィード圧推定処理M220では、実行装置101は、フィードポンプ制御装置200から受信したポンプ回転数Np及びポンプ電流Ipと、燃料温度Tfとに基づいてフィード圧Pfの推定値を算出する。
具体的には、実行装置101は、記憶装置102に記憶されている推定用写像データを用いてフィード圧Pfの推定値を算出する。推定用写像データは、図2に示すようにポンプ回転数Npとポンプ電流Ipとを入力としてフィード圧Pfを出力する演算マップである。記憶装置102には、推定用写像データとして、対応する燃料温度Tfの水準が異なる3つの演算マップが記憶されている。3つの演算マップは、例えば、「-30℃」に対応する演算マップと、「70℃」に対応する演算マップと、「25℃」に対応する演算マップであり、それぞれ、車両の使用環境下で想定される燃料温度の下限、上限、中央付近に対応する演算マップである。
これら演算マップは、例えば、対応する燃料温度Tfのガソリンを燃料として使用した実験の結果に基づいてフィード圧Pfを算出できるようにそれぞれ作成されている。図2には、フィード圧Pfの等高線を図示している。この演算マップでは、ポンプ回転数が高く、ポンプ電流が大きいときほど、出力されるフィード圧Pfが高くなる。
フィード圧推定処理M220では、まず、実行装置101は、記憶装置102に記憶されている演算マップのうち、2つの演算マップを用いて現在の燃料温度Tfに対応した写像を導出する。
例えば、現在の燃料温度Tfが30℃である場合、30℃よりも低い25℃に対応する推定用写像データと、30℃よりも高い70℃に対応する推定用写像データとから30℃に対応する写像を導出する。ここでは、線形補間によって30℃に対応する写像を導出する。
フィード圧推定処理M220では、実行装置101は、こうして補間により導出した写像に、現在のポンプ回転数Np及びポンプ電流Ipを入力することにより、現在のフィード圧Pfの推定値を算出する。
フィード圧フィードバック処理M230では、実行装置101は、要求圧力設定処理M200を通じて算出された要求フィード圧Pf*と、フィード圧推定処理M220を通じて算出されたフィード圧Pfの推定値とに基づいて要求ポンプ回転数Np*の補正量ΔNを算出する。具体的には、フィード圧フィードバック処理M230では、実行装置101は、フィード圧Pfの推定値が要求フィード圧Pf*よりも小さいときには、補正量ΔNを所定量大きくする。一方で、実行装置101は、フィード圧Pfの推定値が要求フィード圧Pf*よりも大きいときには、補正量ΔNを所定量小さくする。そして、実行装置101は、算出した補正量ΔNを、要求ポンプ回転数算出処理M210を通じて算出された要求ポンプ回転数Np*に加算して要求ポンプ回転数Np*を補正する。これにより、フィードポンプ制御装置200には、フィード圧フィードバック処理M230を通じて算出された補正量ΔNによって補正された後の要求ポンプ回転数Np*が入力される。そして、フィードポンプ制御装置200は、入力された要求ポンプ回転数Np*を実現するようにフィードポンプ52への供給電力を制御する。
要求ポンプ回転数Np*を大きくすると、単位時間当たりにフィードポンプ52から吐出される燃料の量が増えるため、フィード圧Pfが高くなる。一方で、要求ポンプ回転数Np*を小さくすると、単位時間当たりにフィードポンプ52から吐出される燃料の量が減るため、フィード圧Pfが低くなる。すなわち、フィード圧フィードバック処理M230は、推定値と要求フィード圧Pf*との偏差を小さくするように要求ポンプ回転数Np*を補正する処理である。
このようにこの実施形態の燃料供給システムでは、フィード圧Pfを検出するセンサを設けずに、燃料温度Tfとポンプ回転数Npとポンプ電流Ipとに基づいてフィード圧Pfの推定値を算出し、算出した推定値を用いてフィード圧Pfをフィードバック制御している。実行装置101は、こうした圧力調整処理を通じて要求フィード圧Pf*を実現するように写像データを用いてフィードポンプ52への供給電力を制御する。
また、この実施形態の燃料供給システムでは、フィード圧Pfだけでなく、燃料温度Tfについても、燃料温度Tfを検出するセンサを設けずに、推定している。
次に燃料温度Tf推定する温度推定処理M110について、図4を参照して説明する。図4は、温度推定処理M110にかかるルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。このルーチンは、制御装置100に電力が供給されており、制御装置100が稼働しているときに実行装置101によって所定の周期で繰り返し実行される。なお、この制御装置100では、燃料温度Tfとして燃料タンク51内の燃料の温度を推定している。
実行装置101は、このルーチンを開始すると、まずステップS100の処理において、燃料への入熱量Qinを算出する。この制御装置100では、このステップS100の処理において、温度を推定する対象である燃料タンク51内の燃料への入熱量Qinを算出する。
具体的には、エンジンが運転されているときには、エンジンの負荷率及び機関回転数NEに基づいて入熱量Qinを算出する。負荷率が高いほど、また機関回転数NEが高いほど、エンジンで発生する熱が多くなるため、燃料タンク51内の燃料に対する入熱量Qinも多くなる。そこで、このステップS100の処理では、エンジンが運転されているときには、実行装置101は、負荷率が高いほど、また機関回転数NEが高いほど、入熱量Qinが大きくなるように、負荷率及び機関回転数NEに基づいて入熱量Qinを算出する。
また、エンジンの運転が停止しているときには、燃焼による熱は発生しないものの、エンジン側からの伝熱により燃料タンク51内の燃料の温度が上昇する。そこで、このステップS100の処理では、エンジンの運転が停止しているときには、実行装置101は、エンジンが停止する前の入熱量Qinとエンジン停止からの経過時間とに基づいて入熱量Qinを算出する。例えば、実行装置101は、エンジンが停止する前の入熱量Qinが多いときほど入熱量Qinが大きくなるように、また、エンジン停止からの経過時間が長くなるほど入熱量Qinが小さくなるように、入熱量Qinを算出する。なお、フューエルカット中にも、燃焼による熱は発生しないためエンジンの運転が停止しているときと同様に入熱量Qinを算出する。
次に、実行装置101は、処理をステップS110へと進める。そして、実行装置101は、ステップS110の処理において、放熱量Qoutを算出する。この制御装置100では、このステップS110の処理において、温度を推定する対象である燃料タンク51内の燃料からの放熱量Qoutを算出する。
具体的には、実行装置101は、燃料温度Tfの推定値と、外気温センサ139によって検出されている外気温THAと、車速とに基づいて放熱量Qoutを算出する。燃料温度Tfから外気温THAを引いた差が大きいほど、すなわち外気温THAが燃料温度Tfより低いほど放熱量Qoutは多くなる。また、車速が高いほど、外気との熱交換が促進されるため、放熱量Qoutは多くなる。そこで、ステップS110の処理では、実行装置101は、燃料温度Tfから外気温THAを引いた差が大きいほど、また車速が高いほど、放熱量Qoutが大きくなるように、放熱量Qoutを算出する。
次に、実行装置101は、処理をステップS120へと進める。そして、実行装置101は、ステップS120の処理において、補正係数Kfを算出する。この補正係数Kfは、燃料タンク51内の燃料の残量が多いほど、熱容量が大きくなり、入熱量Qin及び放熱量Qoutに応じた燃料の温度変化が小さくなることを、温度変化量ΔTfの算出に反映させるための係数である。そのため、このステップS120の処理では、実行装置101は、燃料の残量が多いほど小さくなるように、補正係数Kfを算出する。
次に、実行装置101は、処理をステップS130へと進める。そして、ステップS100~S120の処理を通じて算出した入熱量Qinと放熱量Qoutと補正係数Kfとを用いて温度変化量ΔTfを算出する。
具体的には、実行装置101は、入熱量Qinから放熱量Qoutを引いた差を入放熱量Qとして算出する。そして、この入放熱量Qに補正係数Kfを乗じる。こうして算出した積が温度変化量ΔTfである。
次に、実行装置101は、処理をステップS140へと進める。そして、ステップS140の処理において、燃料温度Tfを更新する。
具体的には、前回の制御周期における温度推定処理M110を通じて推定した燃料温度Tfに、温度変化量ΔTfを加算した和を新たな燃料温度Tfにする。こうして燃料温度Tfを更新すると、実行装置101は、このルーチンを一旦終了させる。
このように制御装置100では、このルーチンを実行することにより、燃料タンク51内の燃料に対する入放熱量Qと燃料の残量とに基づいて温度変化量ΔTfを算出し、燃料温度Tfを更新する。つまり、この制御装置100では、このルーチンを繰り返し実行することにより、温度変化量ΔTfを積算することによって燃料温度Tfを推定する温度推定処理M110を実現している。
ところで、フューエルカット中には、燃料噴射を行わないため、フィードポンプ52の駆動は停止される。その結果、ポンプ回転数Npやポンプ電流Ipなど、フィード圧Pfを推定する上で必要な情報が得られなくなってしまう。
そこで、この制御装置100では、フューエルカット中には、燃料タンク51内の燃料の温度である燃料温度Tfと、高圧燃料ポンプ60内の燃料の温度である燃料温度Tpを用いて、フィードパイプ57内の燃料の温度変化の指標値を算出する指標値算出処理を実行する。そして、この制御装置100では、フューエルカット中には、指標値算出処理を通じて算出された指標値に基づいてフィード圧Pfの変化量である圧力変化量ΔPfを算出する圧力変化量算出処理を実行し、圧力変化量算出処理を通じて算出した圧力変化量ΔPfを加算してフィード圧Pfを算出するようにしている。
以下、図5~図7を参照して、フューエルカット中のフィード圧Pfの算出について説明する。
まずは、図5を参照してフューエルカット中にフィード圧Pfを算出するために必要な高圧燃料ポンプ60内の燃料温度Tpの算出処理について説明する。このルーチンは、制御装置100に電力が供給されており、制御装置100が稼働しているときに実行装置101によって所定の周期で繰り返し実行される。すなわち、このルーチンは、温度推定処理M110と並行して実行装置101によって繰り返し実行される。
実行装置101は、このルーチンを開始すると、まずステップS200の処理において、冷却水温センサ136が検出した機関冷却水温THWを取得する。次に、実行装置101はステップS210の処理において、油温センサ140が検出した油温THOを取得する。次に、実行装置101は、ステップS220の処理において外気温THAを取得する。次に、実行装置101は、ステップS230の処理において機関回転数NEを取得し、ステップS240の処理において単位時間当たりに高圧燃料ポンプ60に流入する燃料の流量Fhpを取得する。なお、高圧燃料ポンプ60に流入する燃料の流量は、筒内燃料噴射弁44からの単位時間当たりの燃料噴射量とほぼ等しい。そのため、この制御装置100では、ステップS240の処理において、筒内燃料噴射弁44に対する要求燃料噴射量を高圧燃料ポンプ60に流入する燃料の流量Fhpとして取得する。
こうして、ステップS200~S240の処理を通じて、機関冷却水温THW、油温THO、外気温THA、機関回転数NE及び流量Fhpを取得すると、実行装置101は処理をステップS250へと進める。そして、ステップS250の処理において、機関冷却水温THW、油温THO、外気温THA、機関回転数NE及び流量Fhpを用いて高圧燃料ポンプ60内の燃料温度Tpを算出する。
具体的には、実行装置101は、下記の式(1)に示す関係を用いて燃料温度Tpを算出する。
なお、Tpold[K]は前回のステップS250の処理において算出した燃料温度Tp[K]であり、NEMAX[rpm]はエンジンの許容最高回転数であり、QhpMAX[J/s]は許容最高回転数NEMAXにおいて高圧燃料ポンプ60で発生する単位時間当たりの最大発熱量である。
また、Kahp、Kfhp、Kohp、Khp、Kpfhp及びKnは適合値である。
ここで、上記の式(1)の導出過程を説明することにより、式(1)を用いることによって燃料温度Tpを算出する根拠について説明する。
高圧燃料ポンプ60とポンプカム67の摺動部には、オイルが供給されているため、高圧燃料ポンプ60にはオイルからの受熱による熱伝達が起きて高圧燃料ポンプ60の温度は上昇する。このオイルからの受熱による熱伝達量を熱伝達量Qo[J/s]とする。
また、高圧燃料ポンプ60から周囲の空気には放熱による熱伝達が起きて高圧燃料ポンプ60の温度が低下する。この放熱による熱伝達量を熱伝達量[J/s]Qaとする。
また、高圧燃料ポンプ60に流入した燃料によって高圧燃料ポンプ60は冷却されるため、高圧燃料ポンプ60の温度が低下する。こうした高圧燃料ポンプ60内に流入する燃料の熱量と高圧燃料ポンプ60内から流出した燃料の熱量との差を熱量差ΔQ[J/s]とする。
また、高圧燃料ポンプ60からは熱が発生するため、このときの単位時間当たりの発熱量を発熱量Qhp[J/s]とする。
そして、高圧燃料ポンプ60内の燃料温度Tpは高圧燃料ポンプ60の温度とほぼ等しくなることから、高圧燃料ポンプ60での熱授受は、上記の各熱伝達量、熱量差、発熱量、及び燃料温度Tp等を使った下記の式(2)に示すモデル式で表すことができる。
なお、Mhp[g]は高圧ポンプの質量である。Chp[J/(g・K)]は高圧燃料ポンプ60の比熱である。Tp[K]は現在の高圧燃料ポンプ60内の燃料温度であり、Tpold[K]は前回算出した高圧燃料ポンプ60内の燃料温度である。
オイルから高圧燃料ポンプ60に伝わる熱伝達量Qoは、下記の式(3)で表すことができる。なお、式(3)から分かるように、オイルの温度である油温THO[K]が燃料温度Tpよりも高いときには、熱伝達量Qoは正の値になる。
なお、Koil[J/(m・K・s)]はオイルと高圧燃料ポンプ60との間の熱伝達係数である。Sp1[m]はオイルと高圧燃料ポンプとが接触する部分の表面積である。
高圧燃料ポンプ60から周囲の空気に伝わる熱伝達量Qaは、次式(4)で表すことができる。
なお、Kair[J/(m・K・s)]は高圧燃料ポンプ60と周囲の空気との間の熱伝達係数である。Sp2[m]は高圧燃料ポンプ60と周囲の空気とが接触する部分の表面積である。Tahp[K]は高圧燃料ポンプ60の周囲の空気の温度、いわゆる雰囲気温度である。
上記の式(4)から分かるように、燃料温度Tpが雰囲気温度Tahpよりも高いときには、熱伝達量Qaは負の値になる。また、エンジンが搭載された車両が走行しているときには、高圧燃料ポンプ60の周囲に存在する空気の流速が車速に変化に合わせて変化する。そのため、高圧燃料ポンプ60と周囲の空気との間の熱伝達係数Kairは、車速に応じて変化する。
ここで、雰囲気温度Tahpは、下記の式(5)に基づき、外気温THA及び機関冷却水温THWを利用して推定可能であるため、上記の式(4)に下記の式(5)を代入すると、上記の式(4)は下記の式(6)になる。なお、式(5)の重み付け係数Khpの値については、雰囲気温度Tahpが実際の温度に近づくように適合試験等を行い、その結果から得られた適合値が設定されている。
なお、Khpは重み付け係数である。THA[K]は外気温センサ139によって検出される外気温である。THW[K]は冷却水温センサ136によって検出される機関冷却水温である。
熱量差ΔQは、高圧燃料ポンプ60に流入する燃料の温度Tpinと前回算出した燃料温度Tpoldとの差、及び高圧燃料ポンプ60に流入する燃料の流量Fhpに相関するため、下記の式(7)で表すことができる。
なお、Cfu[J/(g・K)]は燃料の定圧比熱である。Tpin[K]は高圧燃料ポンプ60に流入する燃料の温度である。Fhp[g/s]は単位時間当たりに高圧燃料ポンプ60に流入する燃料の流量である。上述したように、この制御装置100では、筒内燃料噴射弁44からの単位時間当たりの燃料噴射量[g/s]を、流量Fhpとして代用している。
なお、通常は、前回算出した高圧燃料ポンプ60内の燃料の温度である燃料温度Tpold、つまり高圧燃料ポンプ60から流出した燃料の温度よりも、高圧燃料ポンプ60に新たに流入してくる燃料の温度Tpinの方が低い。そのため、上記の式(7)から分かるように、熱量差ΔQは基本的に負の値になる。
高圧燃料ポンプ60に流入する燃料の温度Tpinは、フィードパイプ57における燃料の熱授受をモデル化した式を構築し、その構築した式を使って推定することができる。また、高圧燃料ポンプ60に流入する燃料の温度Tpinは、温度センサを使って実際に検出することも可能である。なお、高圧燃料ポンプ60に流入する燃料の温度Tpinは外気温THAと相関を有している。そこで、ここでは、高圧燃料ポンプ60に流入する燃料の温度Tpinとして、簡易的に外気温THAを代用するようにしており、上記の式(7)の「Tpin」を「THA」に置き換えると、式(7)は下記の式(8)になる。
高圧燃料ポンプ60での発熱量Qhpは、次のようにして求めることができる。
プランジャ62が往復動するときには、プランジャ62が摺動することによって摩擦熱が発生する。また、プランジャ62の往復動の速度は機関回転数NEに依存し、機関回転数NEが高くなるほど摩擦熱の発生量は多くなる。そのため、この摩擦熱による単位時間当たりの発熱量を発熱量Qhp[J/s]とすると、発熱量Qhpは、下記の式(9)で表すことができる。
なお、Khは適合係数であり、NE[rpm]は1分間当たりのクランクシャフトの回転数、すなわち機関回転数である。Knは適合係数である。
ここで、上記の式(9)に示されるように、発熱量Qhpは機関回転数NEに相関する関数になっている。そこで、機関回転数NEをエンジンにおける許容最高回転数NEMAXにまで上昇させた状態での高圧燃料ポンプ60での単位時間当たりの発熱量を予めの実験等を通じて計測しておき、その計測値を、高圧燃料ポンプ60で発生する単位時間当たりの最大発熱量QhpMAXとして設定する。そして、許容最高回転数NEMAXに対する現状の機関回転数NEの比率(NE/NEMAX)を算出し、その算出された比率を上記最大発熱量QhpMAXに乗算する。
こうした演算を行うことにより、現状の機関回転数NEにおける発熱量Qhpを簡易的に求めることができる。なお、こうし演算を行う際には、その演算に用いる式に予め設定された適合係数を組み込むことにより、発熱量Qhpの算出値を実際の発熱量により一層近づけることができる。そこで、制御装置100では、上記の式(9)を使った高圧燃料ポンプ60での発熱量Qhpの算出に代えて、下記の式(10)に基づいて発熱量Qhpを求めている。
なお、Kpfhp1は適合係数である。また、ここでは適合係数Knを「1」に設定して適合係数Kpfhp1を設定している。
そして、上記の式(2)に上記の式(3)、上記の式(6)、上記の式(8)、上記の式(10)を代入する。また、適合係数Kohp、Kahp、Kfhp、Kpfhpを、「Kohp=(Koil・Sp1)/(Mhp・Chp)」、「Kahp=(Kair・Sp2)/(Mhp・Chp)」、「Kfhp=Cfu/(Mhp・Chp)」、「Kpfhp=Kpfhp1/(Mhp・Chp)」と定義する。そうすることで、式(2)は上記の式(1)に変形することができる。
そのため、制御装置100では、ステップS250の処理において、実行装置101が、上記の式(1)を用いて燃料温度Tpを算出する。
すなわち、前回の周期で算出した燃料温度Tpoldと、今回の周期において取得した値であって燃料温度Tpに相関して種々変化する各種パラメータ、すなわち機関冷却水温THW、油温THO、外気温THA、機関回転数NE、及び高圧燃料ポンプ60に流入する燃料の流量Fhpを用いて燃料温度Tpを算出する。
なお、上記実行装置101は、機関始動時には、そのときに取得した機関冷却水温THW及び油温THO及び外気温THAのうちでもっと高い温度を、機関始動時における燃料温度Tpの初期値として用いる。
次に、実行装置101が、図2を参照して説明したフィード圧推定処理M220に替えて、フューエルカット中に実行する燃料温度Tfと燃料温度Tpを用いたフィード圧推定処理にかかるルーチンについて図6を参照して説明する。なお、図6に示すルーチンは、実行装置101によってフューエルカット中に所定の制御周期で繰り返し実行される。
図6に示すように、実行装置101は、このルーチンを開始すると、まずステップS300の処理において、燃料タンク51内の燃料の温度である燃料温度Tfを推定する。なお、この燃料温度Tfの推定処理は、図4を参照して説明したルーチンによる処理、すなわち温度推定処理M110と同じ処理である。
こうしてステップS300の処理を通じて燃料温度Tfを算出すると、処理をステップS310へと進める。そして、ステップS310の処理において、燃料温度Tfに基づいて燃料タンク51内の燃料の温度の変化量として変化量ΔTtを算出する。具体的には、実行装置101は、ステップS300の処理を通じて算出した燃料温度Tfから前回算出した燃料温度Tfを減算した差を、変化量ΔTtとする。
次に、実行装置101は、ステップS320の処理において、高圧燃料ポンプ60内の燃料の温度である燃料温度Tpを推定する。この燃料温度Tpの推定処理は、図5を参照して説明したルーチンによる処理である。
こうしてステップS320の処理を通じて燃料温度Tpを算出すると、処理をステップS320へと進める。そして、ステップS330の処理において、燃料温度Tpの変化量ΔTpを算出する。具体的には、実行装置101は、ステップS320の処理を通じて算出した燃料温度Tpから前回算出した燃料温度Tpを減算した差を、変化量ΔTpとする。
次に、実行装置101は、ステップS340の処理において、加重平均値ΔTaveを算出する。加重平均値ΔTaveは、ステップS310の処理を通じて算出した変化量ΔTtと、ステップS330の処理を通じて算出した変化量ΔTpとの加重平均値である。この加重平均値ΔTaveの算出における変化量ΔTtと変化量ΔTpとのそれぞれに対する重みの大きさはあらかじめ行う実験の結果に基づいて設定する適合値である。
加重平均値ΔTaveを算出すると、実行装置101は、処理をステップS350へと進める。そして、実行装置101は、ステップS350の処理において、加重平均値ΔTaveに基づいて圧力変化量ΔPfを算出する。具体的には、実行装置101は、記憶装置102に記憶されている演算マップを参照して前回の周期から今回このルーチンを実行するまでのフィード圧Pfの変化量である圧力変化量ΔPfを算出する。
図7に示すように、この演算マップは、入力された加重平均値ΔTaveの値に対応する圧力変化量ΔPfの値を出力するものである。この演算マップは、あらかじめ行う実験などの結果に基づいて作成されており、この制御装置100では、図7に示すように、加重平均値ΔTaveが「0」であるときには、圧力変化量ΔPfが「0」になっている。そして、この演算マップでは、加重平均値ΔTaveの値が大きな値であるほど、出力される圧力変化量ΔPfの値も大きくなる。そのため、このステップS350の処理では、前回の周期から今回このルーチンを実行するまでの間において燃料温度Tfや燃料温度Tpが変化していて加重平均値ΔTaveが「0」よりも大きくなっているほど、圧力変化量ΔPfがより大きな正の値になる。
なお、高圧燃料ポンプ60はフューエルカット中にも稼働しており、摩擦熱による発熱やオイルからの受熱が生じ続ける。一方で、燃料噴射は停止しているため、高圧燃料ポンプ60内の燃料の入れ替えは生じない。そのため、フューエルカット中には高圧燃料ポンプ60内の燃料の温度である燃料温度Tpは上昇しやすく、加重平均値ΔTaveも増大しやすい。
こうして圧力変化量ΔPfを算出すると、実行装置101は、処理をステップS360へと処理を進める。そして、ステップS360の処理において、実行装置101はフィード圧Pfを更新する。具体的には、実行装置101は、前回算出したフィード圧PfにステップS350を通じて算出した圧力変化量ΔPfを加算して、その和をフィード圧Pfとして算出する。こうしてステップS360の処理を通じてフィード圧Pfを更新すると、実行装置101は、このルーチンを終了させる。
本実施形態の作用について説明する。
この制御装置100では、フューエルカット中には、図6を参照して説明したルーチンを実行して、燃料タンク51内の燃料の温度である燃料温度Tfと、高圧燃料ポンプ60内の燃料の温度である燃料温度Tpを用いてフィードパイプ57内の燃料の温度変化の指標値として加重平均値ΔTaveを算出する(ステップS300~S340)。すなわち、制御装置100では、ステップS300~S340の処理が指標値算出処理になっている。
そして、制御装置100は、加重平均値ΔTaveに基づいてフィード圧Pfの変化量である圧力変化量ΔPfを出力する(ステップS350)。図7を参照して説明したように、ステップS350の処理では、圧力変化量ΔPfは、加重平均値ΔTaveが「0」よりも大きくなっており、フィードパイプ57内の燃料の温度が上昇していると推定されるときほど大きな値として算出される。すなわち、この制御装置100では、ステップS350の処理が圧力変化算出処理になっている。
また、制御装置100は、算出した圧力変化量ΔPfを、前回算出したフィード圧Pfに加算することによって、フィード圧Pfを更新する(ステップS360)。
フューエルカット中は、燃料噴射が行われず、フィードポンプ52の駆動も行われないため、フィードパイプ57内の燃料の増減や移動はほとんど生じない。しかし、外気との熱交換や他の部分からの熱の伝達によってフィードパイプ57内の燃料の温度は変化する。そして、温度が変化することによってフィード圧Pfが変化する。
圧力変化量算出処理では、フューエルカットが行われるまでフィードパイプ57内に供給されていた燃料の温度である燃料タンク51内の燃料の温度、すなわち燃料温度Tfに加え、燃料温度Tpを用いてフィードパイプ57内の燃料の温度変化の指標値である加重平均値ΔTaveを算出する。そして、加重平均値ΔTaveに基づいてフィードパイプ57内の燃料の温度が上昇していると推定されるときほど大きな値を圧力変化量ΔPfとして算出する。そのため、圧力変化量算出処理では、フューエルカット中のフィード圧Pfの変化の要因になっている燃料温度の変化の情報に基づいてフィード圧Pfの変化量である圧力変化量ΔPfを算出することができる。
本実施形態の効果について説明する。
(1)制御装置100では、上記のような圧力変化量算出処理を通じて算出した圧力変化量ΔPfを加算することによってフィード圧Pfを更新している。そのため、フィードポンプのインペラの単位時間当たりの回転数であるポンプ回転数Npやフィードポンプ52における電流であるポンプ電流Ipなどの情報が得られないフューエルカット中であっても、フィード圧Pfの推移を把握することができる。したがって、フューエルカット終了後のフィード圧Pfの推定値が実際のフィード圧Pfから乖離してしまうことを抑制できる。
(2)クランクシャフトと連動するポンプカム67によって駆動されるカム駆動式の高圧燃料ポンプ60はポンプカム67との摺動部がオイルで潤滑されている。そのため、高圧燃料ポンプ60は高温のオイルから受熱してフィードパイプ57内の燃料よりも温度が高くなりやすい。フィードパイプ57は高圧燃料ポンプ60に接続されている。そのため、フィードパイプ57内の燃料の入れ替えが起こらないフューエルカット中には高圧燃料ポンプ60側からの熱の伝達によってフィードパイプ57内の燃料が温められやすい。
そこで、制御装置100では、実行装置101が、指標値算出処理において、指標値として、燃料タンク51内の燃料の温度の変化量ΔTtと高圧燃料ポンプ60内の燃料温度Tpの変化量ΔTpとの加重平均値ΔTaveを算出する。
こうした構成によれば、高圧燃料ポンプ60側からの伝熱の影響を反映させたかたちで指標値を算出し、フィード圧Pfの変化量である圧力変化量ΔPfを算出することができる。したがって、高圧燃料ポンプ60側からの伝熱の影響を反映させたかたちでフィード圧Pfを推定することができる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・高圧燃料ポンプ60での発熱量Qhpを式(10)から求めるようにした。この他、式(10)に代えて、式(9)を使って発熱量Qhpを求めるようにしてもよい。
・高圧燃料ポンプ60に流入する燃料の温度Tpinを外気温THAで代用した。この他、デリバリパイプ71での燃料の熱授受をモデル化した式を構築し、その構築した式を使って高圧燃料ポンプ60に流入する燃料の温度Tpinを推定することにより、温度Tpinの精度を高めるようにしてもよい。この場合には、熱量差ΔQの算出式が式(8)ではなく、式(7)になる。そのため、上記式(1)に示した「Kfhp×Fhp×THP」の項は、「Kfhp×Fhp×Tpin」に変わることになる。
・高圧燃料ポンプ60内の燃料温度Tpを上記の実施形態の態様とは異なる態様で推定してもよい。
・燃料タンク51内の燃料の温度を上記の実施形態の態様とは異なる態様で推定してもよい。
・燃料タンク51内の燃料の温度をそのまま燃料温度Tfとして算出し、要求圧力設定処理やフィード圧制御などに使用する例を示した。これに対して、要求圧力設定処理やフィード圧制御などに使用する燃料温度Tfは燃料タンク51内の燃料の温度そのものでなくてもよい。例えば、フィードパイプ57内の燃料の温度を燃料温度Tfとして算出する場合には、燃料タンク51内の燃料の温度に加えて、高圧燃料ポンプ60内の燃料の温度を用いることが考えられる。すなわちフィードパイプ57には燃料タンク51内の燃料が供給されるため、フィードパイプ57内の燃料の温度は燃料タンク51内の燃料の温度に基づいて決まるが、フィードパイプ57は高圧燃料ポンプ60に接続されている。高圧燃料ポンプ60はポンプカム67が高温のオイルによって潤滑されているため、高圧燃料ポンプ60内の燃料は燃料タンク51内の燃料の温度よりも高くなりやすい。そのため、フィードパイプ57内の燃料は、高圧燃料ポンプ60側からの熱の伝達により燃料タンク51内の燃料よりも温度が高くなる。そこで、こうした高圧燃料ポンプ60側からの伝熱の影響を考慮するため、燃料タンク51内の燃料の温度に加えて、高圧燃料ポンプ60内の燃料の温度を用いて燃料温度Tfとしてフィードパイプ57内の温度を推定する温度推定処理M110を実行する。
・また、入熱量Qinと放熱量Qoutをいずれも正の値で表現した例を示したが、入熱量Qin及び放熱量Qoutの正負はこうした組み合わせに限らない。例えば、燃料における熱の増減の方向にあわせて入熱量Qinを正の値で表現する一方で、放熱量Qoutを負の値で表現するようにしてもよい。この場合には、入放熱量Qは、入熱量Qinと放熱量Qoutを加算した和になる。
・上記実施形態では、フィード圧制御では、フィード圧を3段階に変更するようにしたが、2段階に変更したり、4段階以上に変更したりしてもよい。また、要求圧力設定処理を通じて要求フィード圧Pf*を可変設定することなく、要求フィード圧Pf*を固定してフィード圧制御を行うようにしてもよい。
・現在の燃料温度Tfに対応した写像を、複数の推定用写像データからの補間によって導出する例を示したが、こうした態様でなくてもよい。例えば、燃料噴射量Qfと要求フィード圧Pf*とに加えて、燃料温度Tfを入力とした1つの推定用写像データを使って要求ポンプ回転数Np*を算出するようにしてもよい。
・上記実施形態では、推定用写像データの例として、演算マップを例示したが、写像データは、演算マップに限らない。例えば、数式で表現される演算モデルであってもよい。すなわち、係数を実験の結果に基づいて適合した適合済み演算モデルや、機械学習を用いて作成した機械学習済みモデルであってもよい。
エンジンが筒内燃料噴射弁44や高圧側デリバリパイプ71、高圧燃料ポンプ60などを含む高圧燃料供給系とポート燃料噴射弁30や低圧側デリバリパイプ31などからなる低圧燃料供給系とを備えている例を示した。しかし、この制御装置100が適用されるエンジンは必ずしも燃料供給系を2つ備えていなくてもよい。例えば、制御装置100を適用するエンジンは、低圧側デリバリパイプ31やポート燃料噴射弁30を備えておらず、高圧燃料供給系に相当する燃料供給系のみを備えていてもよい。この場合でも高圧燃料ポンプ60よりも上流側のフィードパイプ57内の燃料圧力であるフィード圧Pfを的確に制御するために、上記の実施形態の構成を採用することが有用である。もちろん、低圧燃料供給系のみを備えているエンジンにこの制御装置100を適用することもできる。
・燃料温度Tfを推定する例を示したが、図1に破線で示すように、燃料温度Tfを検出する燃料温度センサ137を備えた燃料供給システムに制御装置100と同様の構成を適用することもできる。その場合には、温度推定処理M110を実行する必要がなくなる。また、燃料温度センサ137によって検出した燃料温度Tfを用いて変化量ΔTt及び加重平均値ΔTaveを算出するようにすればよい。なお、高圧燃料ポンプ60内の燃料温度Tpを検出する燃料温度センサ137を設け、燃料温度センサ137によって燃料温度Tpを検出するようにしてもよい。
・また、デリバリパイプ31内の燃料の温度を検出する燃料温度センサ137を設け、燃料タンク51内の燃料の温度の変化量ΔTtと、高圧燃料ポンプ60内の燃料温度Tpの変化量ΔTpと、燃料温度センサ137によって検出したデリバリパイプ31内の燃料温度の変化量との加重平均値を算出して指標値にしてもよい。
・指標値は、各部の温度の変化量の加重平均値に限らない。指標値はフィードパイプ57内の燃料の温度の変化を表すものであればよい。物理モデル式を作成して、その物理モデル式を利用して算出したり、機械学習済みの演算モデルを用いて算出したりしてもよい。
・制御装置100が、フィードポンプ制御装置200を通じてフィードポンプ52を制御する例を示したが、制御装置100とフィードポンプ制御装置200の機能を兼ね備えた1つの制御装置になっている構成を採用してもよい。また、3つ以上のユニットによって制御装置が構成されていてもよい。
・実行装置101は、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、実行装置101は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア実行装置や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。
44…筒内燃料噴射弁
51…燃料タンク
52…フィードポンプ
57…フィードパイプ
60…高圧燃料ポンプ
62…プランジャ
67…ポンプカム
100…制御装置
101…実行装置
102…記憶装置
103…ソークタイマ
136…冷却水温センサ
139…外気温センサ
140…油温センサ
141…車速センサ
200…フィードポンプ制御装置

Claims (1)

  1. 燃料タンクから燃料を汲み上げる電動のフィードポンプと、
    前記フィードポンプから吐出された燃料が流れるフィードパイプと、
    エンジンの出力軸の回転に同期してプランジャが往復動するカム駆動式のポンプであって前記フィードパイプを通じて供給された燃料を加圧する高圧燃料ポンプと、
    前記高圧燃料ポンプによって加圧された燃料を蓄えるデリバリパイプと、
    前記デリバリパイプ内に蓄えられた燃料を前記エンジンの気筒内に噴射する筒内燃料噴射弁と、を備える燃料供給システムに適用され、
    前記フィードポンプのインペラの単位時間当たりの回転数であるポンプ回転数及び前記フィードポンプにおける電流値であるポンプ電流値を用いて前記フィードパイプ内の燃料の圧力であるフィード圧を推定するフィード圧推定処理と、
    推定したフィード圧と要求フィード圧との偏差を小さくするように前記フィードポンプへの供給電力を制御する圧力調整処理と、を実行する実行装置を備えた前記燃料供給システムの制御装置であり、
    前記実行装置は、前記エンジンにおける燃料噴射及びフィードポンプの駆動を停止するフューエルカット中には、前記燃料タンク内の燃料の温度を含む複数箇所の温度を用いて、フィードパイプ内の燃料の温度変化の指標値として前記燃料タンク内の燃料温度の変化量と前記高圧燃料ポンプ内の燃料温度の変化量との加重平均値を算出する指標値算出処理と、前記指標値算出処理を通じて算出された指標値に基づいて、フィードパイプ内の燃料の温度が上昇していると推定されるときほど大きな値をフィード圧の変化量である圧力変化量として出力する圧力変化量算出処理と、を実行し、前記圧力変化量算出処理を通じて算出した圧力変化量を加算してフィード圧を更新する
    燃料供給システムの制御装置。
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