JP2019190448A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】PNの発生を抑制しつつもポート噴射弁から噴射された燃料が霧化する時間を極力確保できるようにした内燃機関の制御装置を提供する。【解決手段】CPU62は、充填効率に基づき、空燃比を目標空燃比に制御するためのベース噴射量を算出する。CPU62は、パージバルブ56を操作してキャニスタ54から吸気通路12に流入する燃料蒸気の量を制御するとともに、燃焼室24内に流入する燃料蒸気の量に応じてベース噴射量を減量補正してポート噴射弁16に噴射させる。CPU62は、充填効率が下限値以上である場合、吸気バルブ18の開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射の噴射量と、吸気同期噴射よりも進角側のタイミングで燃料を噴射する吸気非同期噴射の噴射量とに、上記補正されたベース噴射量を分割する。CPU62は、下限値を、ベース噴射量の減量補正量が大きい場合に大きい値とする。【選択図】図1

Description

本発明は、吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁を備える内燃機関に適用される内燃機関の制御装置に関する。
たとえば下記特許文献1には、内燃機関の気筒内に充填される空気量に基づき定まる要求噴射量を、吸気行程における噴射であるリーディング噴射と、その後の燃焼行程における噴射であるトレーディング噴射とに分割する制御装置が記載されている。
特開平5−256172号公報
発明者は、排気中の粒子状物質(PM)の数であるPNを減少させるべく、要求噴射量の燃料を全て吸気行程よりも前に噴射する吸気非同期噴射によって噴射する代わりに、要求噴射量の一部を、吸気バルブの開弁期間に同期して噴射する吸気同期噴射によって噴射することを検討した。しかし、吸気同期噴射を実行する場合、吸気非同期噴射と比較して、噴射開始時期と燃焼行程との時間間隔が短くなるため、燃料を霧化させるうえで不利となる。
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
1.内燃機関の制御装置は、吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁を備える内燃機関に適用され、吸気バルブの開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射と、前記吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射とを前記吸気非同期噴射および前記吸気同期噴射の順に実行するマルチ噴射処理と、前記吸気非同期噴射のみによって燃料を噴射するシングル噴射処理との2つの処理のうちのいずれを実行するかを選択する選択処理と、前記選択処理に従って前記ポート噴射弁を操作することにより前記マルチ噴射処理および前記シングル噴射処理のいずれかを実行する操作処理と、1燃焼サイクルにおいて前記内燃機関の燃焼室内に充填される燃料量のうち前記1燃焼サイクル内に前記ポート噴射弁から噴射された燃料以外の燃料である外乱燃料の割合が大きい場合に小さい場合よりも前記操作処理によって前記1燃焼サイクル内において前記ポート噴射弁から噴射させる燃料量を減量させる減量補正処理と、を実行し、前記選択処理は、所定の充填効率において、前記割合が第1の割合である場合に前記マルチ噴射処理を選択し、前記第1の割合よりも大きい第2の割合である場合に前記シングル噴射処理を選択する処理を含む。
上記シングル噴射処理によれば、吸気バルブの開弁前に燃料を極力噴射することにより、燃料を霧化させることができる一方、噴射される燃料量が多くなると吸気通路内に付着する燃料量が多くなり、ひいてはPNの増加を招くおそれがある。そこで上記構成では、充填効率が大きいためにポート噴射弁から1燃焼サイクル内に噴射すべき燃料量が大きくなる場合、マルチ噴射処理を実行する。これにより、吸気通路の燃料の付着量を増加させやすい吸気非同期噴射によって噴射される燃料量を減量することができるため、PNの増加を抑制することができる。一方、マルチ噴射処理は、吸気同期噴射をすることによってポート噴射弁から噴射された燃料が霧化される時間が短くなるため、排気中の未燃燃料が増加する懸念がある。しかし、充填効率が大きい領域では、マルチ噴射処理を実行することが排気特性を良好に保つうえで有利である。
ところで、ポート噴射弁から1燃焼サイクル内に燃焼室内に供給される燃料以外の燃料は、十分に霧化された状態の燃料である傾向にあり、この燃料は燃焼行程において燃焼に寄与する。このため、上記構成では、減量補正処理によって、1燃焼サイクル内において前記ポート噴射弁から噴射させる燃料量を減量させる。減量補正がなされる場合、充填効率が同一であっても吸気通路内に付着する燃料量が減少することからシングル噴射処理をした場合のPNが小さくなる。このため、上記構成では、所定の充填効率においてポート噴射弁から噴射された燃料以外の燃料の割合が小さい第1の割合の場合にマルチ噴射処理を選択する一方、割合が大きい第2の割合の場合にはシングル噴射処理を選択する。これにより、所定の充填効率において常時マルチ噴射処理を実行する場合と比較すると、PNの発生を抑制しつつも極力シングル噴射処理を実行することができ、ひいてはポート噴射弁から噴射された燃料が霧化する時間を確保することができる。
2.上記1記載の内燃機関の制御装置において、前記ポート噴射弁から噴射される燃料を貯蔵する燃料タンク内の燃料蒸気を捕集するキャニスタと、前記キャニスタから前記吸気通路に流入する流体の流量を調整する調整装置と、を備えた内燃機関に適用され、前記調整装置を操作して前記キャニスタから前記吸気通路に流入する燃料蒸気の流量を制御するパージ制御処理を実行し、前記減量補正処理は、前記外乱燃料の割合としての前記燃料蒸気の割合が大きい場合に小さい場合よりも前記操作処理によって前記1燃焼サイクル内において前記ポート噴射弁から噴射させる燃料量を減量させる処理を含む。
上記構成では、キャニスタから吸気通路へと流入する燃料蒸気の量に基づき減量補正を実行することにより燃料蒸気の量の大小によって燃焼室内に供給される燃料量が変動することを抑制できる。
3.上記1または2記載の内燃機関の制御装置において、前記燃焼室に充填される新気量が大きい場合に小さい場合よりもベース噴射量を大きい値に算出するベース噴射量算出処理を実行し、前記減量補正処理は、前記ベース噴射量を減量補正する処理であり、前記マルチ噴射処理は、前記減量補正処理によって補正されたベース噴射量の燃料を、前記吸気非同期噴射の噴射量と前記吸気同期噴射の噴射量とに分割する処理を含む。
上記構成では、ベース噴射量を減量補正処理によって減量補正することにより、マルチ噴射処理によってポート噴射弁から噴射される燃料量を、燃焼室に充填される新気量にとって適切な値に制御することができる。
4.上記2または3記載の内燃機関の制御装置において、前記内燃機関の燃焼室に流入する新気量に関する情報を取得する取得処理を実行し、前記選択処理は、前記取得処理よって取得した情報に基づく新気量が規定量以上である場合にマルチ噴射処理を選択する処理と、前記規定量を前記割合が大きい場合に小さい場合よりも大きい値に設定する処理と、を含む。
上記割合が大きい場合には小さい場合よりも上記減量補正処理によってポート噴射弁から噴射される燃料量が減量される。このため、PNが顕著となるときの上記新気量がより大きくなる。そこで上記構成では、規定量を上記割合に応じて設定することにより、シングル噴射処理を極力選択することができる。
5.上記3記載の内燃機関の制御装置において、前記減量補正処理によって補正されたベース噴射量を取得する取得処理を実行し、前記選択処理は、前記補正されたベース噴射量が規定量以上である場合に前記マルチ噴射処理を選択する処理を含む。
上記構成では、減量補正のなされたベース噴射量に基づきマルチ噴射処理を選択するため、ポート噴射弁から実際に噴射される燃料量に応じてマルチ噴射処理を選択することができる。このため、PNが顕著となるか否かを高精度に把握しつつマルチ噴射処理を選択することができる。
第1の実施形態にかかる制御装置および内燃機関を示す図。 同実施形態にかかる制御装置が実行する処理の一部を示すブロック図。 (a)および(b)は、同実施形態にかかるシングル噴射処理およびマルチ噴射処理を示すタイムチャート。 同実施形態にかかる噴射弁操作処理の手順を示す流れ図。 同実施形態にかかるシングル噴射処理によるPN発生率と充填効率との関係を示す図。 第2の実施形態にかかる噴射弁操作処理の手順を示す流れ図。 第3の実施形態にかかる噴射弁操作処理の手順を示す流れ図。 (a)および(b)は、マルチ噴射処理の到達終了時期と、PNおよびHCの発生量との関係を示す図。
<第1の実施形態>
以下、内燃機関の制御装置にかかる第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示す内燃機関10の吸気通路12には、スロットルバルブ14が設けられており、スロットルバルブ14の下流には、ポート噴射弁16が設けられている。吸気通路12に吸入された空気とポート噴射弁16から噴射された燃料とは、吸気バルブ18の開弁に伴って、シリンダ20およびピストン22によって区画された燃焼室24に流入する。燃焼室24において、燃料と空気との混合気は、点火装置26の火花放電によって燃焼に供され、その際生成される燃焼エネルギは、ピストン22を介してクランク軸28の回転エネルギに変換される。燃焼に供された混合気は、排気バルブ30の開弁に伴って、排気として排気通路32に排出される。排気通路32には、触媒34が設けられている。
クランク軸28の回転動力は、タイミングチェーン38を介して、吸気側カム軸40および排気側カム軸42に伝達される。なお、本実施形態では、吸気側カム軸40には、吸気側バルブタイミング調整装置44を介してタイミングチェーン38の動力が伝達される。吸気側バルブタイミング調整装置44は、クランク軸28と吸気側カム軸40との回転位相差を調整することによって、吸気バルブ18の開弁タイミングを調整するアクチュエータである。
ポート噴射弁16により噴射される燃料は、燃料タンク50に貯蔵されており、燃料タンク50に貯蔵されている燃料は、燃料ポンプ52によって汲み上げられてポート噴射弁16に向けて吐出される。燃料タンク50内で生じた燃料蒸気は、キャニスタ54に捕集される。キャニスタ54と吸気通路12とはパージ通路58によって接続されており、パージ通路58における流体の流路断面積は、パージバルブ56によって調節可能となっている。
制御装置60は、内燃機関10を制御対象とし、その制御量(トルク、排気成分等)を制御するために、上記スロットルバルブ14や、ポート噴射弁16、点火装置26、吸気側バルブタイミング調整装置44、パージバルブ56等の内燃機関10の操作部を操作する。この際、制御装置60は、クランク角センサ70の出力信号Scrや、触媒34の上流側に設けられた空燃比センサ72によって検出される空燃比Af、吸気側カム角センサ74の出力信号Sca参照する。また、制御装置60は、エアフローメータ76によって検出される吸入空気量Gaや、水温センサ78によって検出される内燃機関10の冷却水の温度(水温THW)を参照する。
制御装置60は、CPU62、ROM64および制御装置60内の各箇所に電力を供給する電源回路66を備えており、ROM64に記憶されたプログラムをCPU62が実行することにより、上記制御量の制御を実行する。
図2に、制御装置60が実行する処理の一部を示す。図2に示す処理は、ROM64に記憶されたプログラムをCPU62が実行することにより実現される。
吸気位相差算出処理M10は、クランク角センサ70の出力信号Scrと吸気側カム角センサ74の出力信号Scaとに基づき、クランク軸28の回転角度に対する吸気側カム軸40の回転角度の位相差である吸気位相差DINを算出する処理である。目標吸気位相差算出処理M12は、内燃機関10の動作点に基づき、目標吸気位相差DIN*を可変設定する処理である。なお、本実施形態では、回転速度NEと充填効率ηとによって動作点を定義している。ここで、CPU62は、回転速度NEを、クランク角センサ70の出力信号Scrに基づき算出し、充填効率ηを回転速度NEおよび吸入空気量Gaに基づき算出する。なお、充填効率ηは、燃焼室24内に充填される新気量を定めるパラメータである。
吸気位相差制御処理M14は、吸気位相差DINを目標吸気位相差DIN*に制御するために吸気側バルブタイミング調整装置44を操作すべく、操作信号MS4を出力する処理である。
目標パージ率算出処理M16は、充填効率ηや後述のパージ濃度学習値Lpに基づき、目標パージ率Rpを算出する処理である。ここで、パージ率とは、キャニスタ54から吸気通路12に流入する流体の流量を吸入空気量Gaで割った値であり、目標パージ率Rpは、制御上のパージ率の目標値である。
パージバルブ操作処理M18は、吸入空気量Gaに基づき、パージ率が目標パージ率Rpになるように、パージバルブ56を操作すべく、パージバルブ56に操作信号MS5を出力する処理である。ここで、パージバルブ操作処理M18は、目標パージ率Rpが同一である場合、吸入空気量Gaが小さいほど、パージバルブ56の開口度を小さい値とする処理となっている。これは、吸入空気量Gaが小さいほど、吸気通路12内の圧力がキャニスタ54内の圧力よりも低くなるため、キャニスタ54から吸気通路12に流体が流動しやすいためである。
ベース噴射量算出処理M20は、充填効率ηに基づき、燃焼室24内の混合気の空燃比を目標空燃比とするための燃料量のベース値であるベース噴射量Qbを算出する処理である。詳しくは、ベース噴射量算出処理M20は、たとえば充填効率ηが百分率で表現される場合、充填効率ηの1%当たりの、空燃比を目標空燃比とするための燃料量QTHに、充填効率ηを乗算することによりベース噴射量Qbを算出する処理とすればよい。ベース噴射量Qbは、燃焼室24内に充填される新気量に基づき、空燃比を目標空燃比に制御するために算出された燃料量である。ちなみに、目標空燃比は、たとえば理論空燃比とすればよい。
フィードバック処理M24は、空燃比Afを目標値Af*にフィードバック制御するための操作量であるフィードバック操作量としてのベース噴射量Qbの補正比率δに「1」を加算したフィードバック補正係数KAFを算出して出力する処理である。詳しくは、フィードバック処理M24は、空燃比Afと目標値Af*との差を入力とする比例要素および微分要素の各出力値と、同差に応じた値の積算値を出力する積分要素の出力値との和を補正比率δとする。
パージ濃度学習処理M26は、上記補正比率δに基づき、パージ濃度学習値Lpを算出する処理である。パージ濃度学習値Lpは、キャニスタ54から燃焼室24への燃料蒸気の流入に起因した、目標空燃比に制御する上で必要な噴射量に対するベース噴射量Qbのずれを補正する補正比率を、パージ率の1%当たりに換算した値である。ここで、本実施形態では、目標パージ率Rpが「0」よりも大きい値に制御されているときのフィードバック補正係数KAFが「1」からずれる要因を、すべてキャニスタ54から燃焼室24に流入した燃料蒸気によるものとみなす。すなわち、補正比率δを、キャニスタ54から吸気通路12への燃料蒸気の流入に起因した、目標空燃比に制御する上で必要な噴射量に対するベース噴射量Qbのずれを補正する補正比率とみなす。しかし、補正比率δは、パージ率に依存するものであることから、本実施形態では、パージ濃度学習値Lpをパージ率の1%当たりの値「δ/Rp」とする。
具体的には、前回のパージ濃度学習値Lp(n−1)と、パージ率の1%当たりの補正比率「δ/Rp」との指数移動平均処理値を、今回のパージ濃度学習値Lp(n)とする。図2には、前回のパージ濃度学習値Lp(n−1)と、パージ率の1%当たりの値「δ/Rp」とのそれぞれの重み係数α,βを図示している。ここで、「α+β=1」である。
吸気圧推定処理M28は、回転速度NEおよび吸入空気量Gaに基づき、吸気通路12のうちのスロットルバルブ14の下流の圧力である吸気圧Pmを算出する処理である。吸気圧推定処理M28は、たとえば、インマニモデルおよび吸気弁モデルを用いて吸気圧Pmを算出する処理とすればよい。ここで、インマニモデルは、閉弁時流入空気量と、吸入空気量Gaとに基づき、吸気圧Pmを算出する。閉弁時流入空気量は、1燃焼サイクルにおける燃焼室24への流入空気量のうち吸気バルブ18の閉弁時期までに吸気通路12に吹き戻された量を除いた値である。具体的には、インマニモデルは、吸入空気量Gaを1気筒当たりの量に換算した量から閉弁時流入空気量を減算した値が大きい場合に小さい場合よりも吸気圧Pmの増加速度が大きくなるように上記吸気圧Pmを算出する。一方、吸気弁モデルは、吸気圧Pmと、回転速度NEとに基づき、上記閉弁時流入空気量を算出する。吸気弁モデルは、吸気圧Pmが高い場合に低い場合よりも閉弁時流入空気量を大きい値に算出する。
予測パージ率算出処理M30は、目標パージ率Rpと、吸気圧Pmと、回転速度NEと、に基づき、予測パージ率Rpeを算出する処理である。ここで、予測パージ率Rpeは、ポート噴射弁16の付近における流体に関するパージ率である。すなわち、パージバルブ56によってパージ率を制御したとしても、ポート噴射弁16付近の流体のパージ率は、直ちに変化せず応答遅れを生じる。この応答遅れを考慮したものが予測パージ率Rpeである。なお、応答遅れ時間は、吸気圧Pmや回転速度NEに基づき設定される。
パージ補正比率算出処理M32は、パージ濃度学習値Lpに予測パージ率Rpeを乗算することによって、パージ補正比率Dpを算出する処理である。パージ補正比率Dpは、燃料蒸気の量だけベース噴射量Qbを減量補正する上で要求される補正比率であり、負の値を有する。
パージ補正係数算出処理M34は、パージ補正比率Dpに「1」を加算することによって、ベース噴射量Qbの補正係数であるパージ補正係数Kpを算出する処理である。パージ補正係数Kpは、「1」以下の値となる。
補正処理M36は、ベース噴射量Qbにフィードバック補正係数KAFとパージ補正係数Kpとを乗算することによって、要求噴射量Qdを算出する処理である。
噴射弁操作処理M38は、要求噴射量Qdに基づき、ポート噴射弁16を操作すべく、ポート噴射弁16に操作信号MS2を出力する処理である。
本実施形態では、燃料噴射処理として、図3(a)に例示する処理と、図3(b)に例示する処理との2通りの処理を有する。
図3(a)は、吸気バルブ18の開弁前に燃料の噴射を開始し、吸気バルブ18の開弁前に燃料の噴射を終了させる単一の噴射を実行するシングル噴射処理である。
図3(b)は、吸気バルブ18の開弁期間に同期して噴射開始時期Isに燃料の噴射を開始する吸気同期噴射と、吸気同期噴射よりも進角側の噴射開始時期Insにて燃料の噴射を開始する吸気非同期噴射との2つの燃料噴射を実行するマルチ噴射処理である。本実施形態において、吸気同期噴射の噴射開始時期Isは、吸気バルブ18の開弁タイミングよりも微小時間ΔTだけ進角側に設定されている。ここで、微小時間ΔTは、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達するのに要する時間に設定されている。これは、噴射された燃料を、吸気バルブ18の開弁に伴って極力早期に燃焼室24に流入させる設定である。なお、図3(a)に示した処理は、吸気非同期噴射のみを実行する処理であるため、噴射開始時期を「噴射開始時期Ins」と記載している。
本実施形態においてマルチ噴射処理は、PNを低減することを狙って実行される。すなわち、水温THWがある程度低い場合、充填効率ηがある程度大きい領域においてシングル噴射処理を実行すると、PNが増加する傾向がある。これは、充填効率ηが大きい場合には小さい場合よりも要求噴射量Qdが大きい値となり、結果、吸気通路12に付着する燃料量が多くなることに起因していると考えられる。詳しくは、吸気通路12に付着した燃料量がある程度多くなる場合、付着した燃料のせん断によって、付着した燃料の一部が液滴のまま燃焼室24に流入するためであると推察される。そこで本実施形態では、充填効率ηがある程度大きい領域においては、要求噴射量Qdの一部を、吸気同期噴射によって噴射することにより吸気通路12に付着する燃料量を要求噴射量Qdが多い割に少なくし、ひいてはPNの低減を図る。
図4に、噴射弁操作処理M38の処理の手順を示す。図4に示す処理は、ROM64に記憶されたプログラムを、CPU62が、たとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、以下では、先頭に「S」が付与された数字によって各処理のステップ番号を表現する。
図4に示す一連の処理において、CPU62は、まず要求噴射量Qdを取得する(S10)。次にCPU62は、内燃機関10の動作点を規定する一対のパラメータである充填効率ηと回転速度NEとを取得する(S12)。そしてCPU62は、充填効率ηおよび回転速度NEによって定まる動作点が、マルチ噴射処理を実行する領域にあるか否かを判定する(S14)。この処理は、ROM64に、充填効率ηおよび回転速度NEによって定まるマルチ噴射領域を記憶しておき、CPU62により、現在の動作点がその領域に入るか否かを判定する処理となる。マルチ噴射処理の領域は、充填効率ηがある程度大きい領域である。ただし、充填効率ηが大きい領域においても回転速度NEが大きい領域は除かれている。これは、回転速度NEが大きい場合には小さい場合よりも単位クランク角度の回転に要する時間が短くなることから吸気非同期噴射と吸気同期噴射との間の時間間隔を確保しにくくなることに鑑みたものである。
CPU62は、マルチ噴射処理の領域であると判定する場合(S14:YES)、マルチ噴射処理を実行する旨暫定で定めて、パージ補正比率Dpが負の値である規定比率Dpthよりも小さいか否かを判定する(S16)。この処理は、パージ補正比率Dpの絶対値が大きいことから要求噴射量Qdが充填効率ηが大きい割にかなり小さい値となりうるか否かを判定する処理である。CPU62は、規定比率Dpth以上であると判定する場合(S16:NO)、パージ補正比率Dpによるベース噴射量Qbの減少補正量がさほど大きくないと判定し、充填効率ηの下限値ηLに、基準値ηrを代入する(S18)。これに対し、CPU62は、規定比率Dpthよりも小さいと判定する場合(S16:YES)、下限値ηLに,基準値ηrよりも大きい割増値ηpを代入する(S20)。
CPU62は、S18,S20の処理が完了する場合、充填効率ηが下限値ηL以上であるか否かを判定する(S22)。この処理は、マルチ噴射処理を実行するか否かを判定する処理である。CPU62は、下限値ηL以上であると判定する場合(S22:YES)、要求噴射量Qdを、吸気非同期噴射の噴射量である非同期噴射量Qnsと吸気同期噴射の噴射量である同期噴射量Qsとに分割する(S24)。ここで、CPU62は、回転速度NE、充填効率η、水温THWおよび吸気位相差DINに応じて、要求噴射量Qdを分割する。詳しくは、回転速度NE、充填効率η、水温THWおよび吸気位相差DINを入力変数とし、同期噴射量Qsを出力変数とするマップデータが予めROM64に記憶された状態で、CPU62により同期噴射量Qsがマップ演算される。そしてCPU62は、非同期噴射量Qnsを、要求噴射量Qdから同期噴射量Qsを減算した値とする。
なお、マップデータとは、入力変数の離散的な値と、入力変数の値のそれぞれに対応する出力変数の値と、の組データである。またマップ演算は、たとえば、入力変数の値がマップデータの入力変数の値のいずれかに一致する場合、対応するマップデータの出力変数の値を演算結果とし、一致しない場合、マップデータに含まれる複数の出力変数の値の補間によって得られる値を演算結果とする処理とすればよい。
そして、CPU62は、吸気非同期噴射、吸気同期噴射の順に燃料噴射を実行し、それぞれ非同期噴射量Qns、同期噴射量Qsの燃料を噴射すべく、ポート噴射弁16に操作信号MS2を出力してポート噴射弁16を操作する(S26)。
これに対しCPU62は、S14,S22の処理において否定判定する場合には、シングル噴射処理を実行することとし(S28)、一度の燃料噴射によって要求噴射量Qdの燃料を噴射すべくポート噴射弁16に操作信号MS2を出力してポート噴射弁16を操作する(S26)。
なお、CPU62は、S26の処理が完了する場合、図4に示す一連の処理を一旦終了する。
ここで、本実施形態の作用および効果について説明する。
CPU62は、パージバルブ56を操作することによってパージ率を制御し、この際、パージ補正比率Dpに応じてベース噴射量Qbを減量補正する。キャニスタ54から吸気通路12へと流入する燃料蒸気は、霧化されており、燃焼室24において燃焼に供されるため、パージ補正比率Dpによってベース噴射量Qbをフィードフォワード補正することにより、空燃比の制御性を高く維持することができる。
またCPU62は、充填効率ηが下限値ηL以上であることを条件に、マルチ噴射処理を実行する。この際、CPU62は、パージ補正比率Dpの絶対値が大きい場合には、下限値ηLを大きい値に設定する。これにより、パージ補正比率Dpの絶対値が小さい場合にはマルチ噴射処理を実行すべき充填効率ηであっても、同絶対値が大きい場合にはシングル噴射処理を実行することとなる。
これは、図5に示すように、パージ補正比率Dpが小さいほど、すなわちパージ補正比率Dpの絶対値が大きいほど、1点鎖線にて示すPNの許容上限値PNthに達する充填効率ηが大きい値となることに鑑みたものである。本実施形態によれば、パージ補正比率Dpが小さい場合には、充填効率ηの大きさの割にポート噴射弁16から噴射される燃料量が少なく吸気通路12に付着する燃料量が少ないことに鑑み、極力シングル噴射処理を実行できる。このため、充填効率ηが基準値ηr以上である場合にマルチ噴射処理を実行する場合と比較して、吸気同期噴射に起因した燃料の霧化不足によって排気中の未燃燃料濃度が大きくなることを抑制できる。
なお、図5に示す例では、基準値ηrよりも大きく割増値ηpよりも小さい所定の充填効率η0において、パージ補正比率Dpが規定比率Dpthよりも絶対値が小さい第1の比率Dp1である場合には、マルチ噴射処理が実行され、規定比率Dpthよりも絶対値が大きい第2の比率Dp2である場合には、シングル噴射処理が実行される。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図6に、本実施形態にかかる噴射弁操作処理M38の処理の手順を示す。図6に示す処理は、ROM64に記憶されたプログラムをCPU62がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、図6において図4に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一のステップ番号を付している。
図6に示す一連の処理において、CPU62は、マルチ噴射処理の領域であると判定する場合(S14:YES)、下限値ηLを、パージ補正比率Dpに応じて可変設定する(S18a)。詳しくは、CPU62は、パージ補正比率Dpが小さい場合に大きい場合よりも下限値ηLが大きくなるように、パージ補正比率Dpに応じて下限値ηLを連続的に可変設定する。この処理は、たとえば、パージ補正比率Dpを入力変数とし下限値ηLを出力変数とするマップデータが予めROM64に記憶された状態でCPU62により下限値ηLがマップ演算される処理とすればよい。
なお、CPU62は、下限値ηLを設定する処理が完了すると、S22の処理に移行する。
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図7に、本実施形態にかかる噴射弁操作処理M38の処理の手順を示す。図7に示す処理は、ROM64に記憶されたプログラムをCPU62がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、図7において図4に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一のステップ番号を付している。
図7に示す一連の処理において、CPU62は、マルチ噴射処理の領域であると判定する場合(S14:YES)、要求噴射量Qdが下限値Qth以上であるか否かを判定する(S22a)。ここで、下限値Qthは、シングル噴射処理を実行したのでは、PNが許容範囲から外れるおそれがある値に応じて設定されている。CPU62は、下限値Qth以上であると判定する場合(S22a)、マルチ噴射処理を実行すべくS24の処理に移行する一方、下限値Qth未満であると判定する場合(S22a:NO)、S28の処理に移行する。
このように本実施形態によれば、マルチ噴射処理を実行するか否かを、要求噴射量Qdに基づき判定することにより、ポート噴射弁16が実際に噴射する噴射量に基づき、マルチ噴射処理を実行するか否かを判定することができる。
ちなみに、充填効率ηがたとえば図5に示した所定の充填効率η0であるときのベース噴射量Qbを下限値Qthとするなら、所定の充填効率η0において、フィードバック補正係数KAFが「1」であってパージ補正比率Dpがゼロである場合、マルチ噴射処理がなされる。また、フィードバック補正係数KAFが「1」であってパージ補正比率Dpがゼロよりも小さい場合には、シングル噴射処理がなされる。このように、充填効率ηが同一であっても、パージ補正比率Dpの絶対値の大きさによってシングル噴射処理が実行されたり、マルチ噴射処理が実行されたりする。
<対応関係>
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。[1]選択処理は、図4のS14〜S24,28の処理、図6のS14,S18a、S22〜S24,S28の処理、図7のS14,S22a,S24,S28の処理に対応する。操作処理は、S26の処理に対応する。減量補正処理は、パージ補正比率算出処理M32、パージ補正係数算出処理M34および補正処理M36に対応する。第1の割合は、図5の第1の比率Dp1によって定まる割合に対応し、第2の割合は、第2の比率Dp2によって定まる割合に対応する。[2]調整装置は、パージバルブ56に対応し、パージ制御処理は、目標パージ率算出処理M16およびパージバルブ操作処理M18に対応する。[3]補正されたベース噴射量は、要求噴射量Qdに対応し、分割する処理は、S24の処理に対応する。[4]取得処理は、S12の処理に対応する。[5]取得処理は、S10の処理に対応する。
<その他の実施形態>
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・「減量補正処理について」
上記実施形態では、ベース噴射量Qbを減量補正する減量補正処理として、パージ補正比率Dpによる減量補正処理を例示したが、これに限らない。たとえば、内燃機関として、クランクケース内のブローバイガスを吸気通路に放出することが可能な構成のものを採用する場合、ブローバイガス中の燃料に応じてベース噴射量を補正する希釈補正処理を減量補正処理として採用してもよい。希釈補正処理は、具体的には、ブローバイガス中の燃料濃度に応じて学習することができる。ここで、燃料濃度は、たとえばパージバルブ56が閉弁されているときにおける空燃比フィードバック制御による補正比率δに基づき、パージ濃度学習値Lpの学習処理と同様に実行することができる。ただし、ここでは、「δ/Rp」に代えて、「δ/REF」を用いる。ここで反映率REFは、吸入空気量Gaが大きい場合に小さい場合よりも小さくなるパラメータであり、これにより、ブローバイガス中の燃料濃度が同一であっても吸入空気量Gaが大きい場合には小さい場合よりも燃焼室24内におけるクランクケースから流入した燃料の割合が小さくなることを反映する。また、希釈補正処理によるベース噴射量Qbの補正比率は、学習された燃料濃度に反映率REFを乗算することによって算出すればよい。
・「外乱燃料の割合の取得手法について」
1燃焼サイクル内において燃焼室24に充填される燃料のうちのポート噴射弁16から噴射された燃料以外に燃焼室24に流入する燃料である外乱燃料の割合を補正比率δに基づき取得することは必須ではない。たとえば、パージ通路58内にHC濃度センサと流量センサとを備え、それらセンサの検出値に基づき外乱燃料の流量を算出し、これに基づき外乱燃料の割合を算出してもよい。
・「選択処理について」
上記実施形態では、充填効率ηおよび回転速度NEによって、マルチ噴射処理を実行する領域を定め、この領域に入る場合であっても、パージ補正比率Dpや要求噴射量Qdに応じてシングル噴射処理を実行するか否かを判定することとしたが、これに限らない。たとえば、充填効率ηが、回転速度NEに応じて定まる閾値ηH以上である場合にシングル噴射処理を選択するとともに、充填効率ηが閾値ηH未満の場合にシングル噴射処理とマルチ噴射処理とのいずれを選択するかを判定する処理としてS22やS22aの処理を利用してもよい。ここで、閾値ηHは、吸気非同期噴射の噴射終了時期と吸気同期噴射の噴射開始時期との間の時間間隔を確保できる最小限の間隔に設定されるものとする。
上記実施形態では、マルチ噴射処理を実行するか否かの基本的な判定としてS14の処理のみを例示したがこれに限らない。たとえば、シングル噴射処理によってはPNの発生が顕著となるのが内燃機関の低温時であることに鑑み、水温THWが規定温度(たとえば「70℃」)以下であることを、マルチ噴射処理の実行条件に加え、水温THWが規定温度以下であるか否かの判定処理を加えてもよい。
・「要求噴射量Qdについて」
要求噴射量Qdとしては、ベース噴射量Qbがフィードバック補正係数KAFによって補正されたものであることは必須ではない。またたとえば、要求噴射量Qdを、ベース噴射量Qbがフィードバック補正係数KAFと、学習値LAFとによって補正されたものとしてもよい。ちなみに、学習値LAFの算出処理は、フィードバック補正係数KAFを入力とし、フィードバック補正係数KAFによるベース噴射量Qbの補正比率が小さくなるように学習値LAFを更新する処理である。なお、学習値LAFは、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリに記憶されることが望ましい。ちなみに、その場合、目標パージ率Rpを「0」よりも大きくする処理は、学習値LAFが収束した後に実行することが望ましい。これにより、パージ濃度学習値Lpの更新処理が、学習値LAFが収束した後に実行されることとなることから、パージ濃度学習値Lpの更新精度が向上する。
また、要求噴射量Qdを、水温THWが低い場合に高い場合よりもより増量させる増量係数によってベース噴射量Qbが補正されたものとしてもよい。
・「吸気同期噴射について」
上記実施形態では、吸気同期噴射として、吸気バルブ18が開弁する直前に噴射開始時期Isが設定されるものを例示したがこれに限らず、吸気バルブ18の開弁開始時期後であって吸気バルブ18が開弁しているときに噴射開始時期Isが設定されるものであってもよい。
なお、吸気同期噴射としては、噴射開始時期Isを算出し、その後、噴射開始時期Isによって噴射終了時期が定まる処理であってもよいが、これに限らない。たとえば、ポート噴射弁16から噴射された燃料のうち最も遅いタイミングで噴射された燃料が吸気バルブ18の閉弁期間における位置に到達するタイミングの目標値である到達終了時期を算出し、到達終了時期と同期噴射量Qsと回転速度NEとに基づき、噴射開始時期Isを算出してもよい。この場合であっても、吸気同期噴射は、吸気バルブ18の開弁期間に同期して燃料を噴射するものである。
詳しくは、吸気同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間が吸気バルブ18の開弁期間に収まるように燃料を噴射するものである。ここで、「到達する期間」の始点は、ポート噴射弁16から噴射された燃料のうちの最も早いタイミングで噴射された燃料が開弁前の位置に到達するタイミングであり、終点は、ポート噴射弁16から噴射された燃料のうちの最も遅いタイミングで噴射された燃料が開弁前の位置に到達するタイミングである。これに対し、吸気非同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18が開弁する前に吸気バルブ18に到達するように燃料を噴射するものである。換言すれば、吸気非同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が、吸気バルブ18が開弁するまでは吸気通路12内で滞留し、開弁した後に燃焼室24内に流入する噴射である。なお、吸気非同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間が吸気バルブ18の閉弁期間に収まるように燃料を噴射するものであることが望ましい。
なお、図8(a)には、吸気非同期噴射や吸気同期噴射の上記到達終了時期を変化させたときのPNを示し、図8(b)は、吸気非同期噴射や吸気同期噴射の上記到達終了時期を変化させたときのHC発生量を示す。ここで、白抜きのプロットは、吸気非同期噴射の到達終了時期を固定し、吸気同期噴射の到達終了時期を変化させたときのものであり、黒塗りのプロットは、吸気同期噴射の到達終了時期を固定し、吸気非同期噴射の到達終了時期を変化させたときのものである。また、○印、ひし形、四角、三角のプロットのそれぞれは、非同期噴射量Qnsと同期噴射量Qsとの割合が、「8:2」,「7:3」,「6:4」,「5:5」のそれぞれに対応する。
図8の白抜きのプロットに示されるように、吸気同期噴射の到達終了時期の変化によって、PNやHCの発生量が大きく変化する。
・「シングル噴射処理について」
上記実施形態では、シングル噴射処理を、吸気バルブ18の開弁前にすべての燃料の噴射を終了するものとしたがこれに限らない。たとえば、要求噴射量Qdが大きい場合には、噴射の終了タイミングが吸気バルブ18の開弁タイミングよりも遅角側となることがあってもよい。ただし、噴射期間の中央が少なくとも吸気バルブ18の開弁タイミングよりも前に位置することが望ましく、要求噴射量Qdが過度に大きくない限り、吸気非同期噴射とすることが望ましい。
・「要求噴射量Qdの分割手法について」
上記実施形態では、回転速度NE、充填効率η、水温THWおよび吸気位相差DINに基づき、要求噴射量Qdの燃料を、同期噴射量Qsと非同期噴射量Qnsとに分割したが、これに限らない。たとえば、燃焼室24内に充填される空気量を示すパラメータである負荷パラメータとして、充填効率ηに代えて、要求噴射量Qdを用いてもよい。また、負荷パラメータと回転速度NEと水温THWと吸気位相差DINとの4つのパラメータについては、それらのうちの3つパラメータのみに基づき可変設定したり、2つのパラメータのみに基づき可変設定したり、1つのパラメータのみに基づき可変設定したりしてもよい。なお、上記4つのパラメータ以外にたとえば、吸気圧や、吸入空気の流速を用いてもよい。ただし、上記4つのパラメータによれば、吸気圧や吸入空気の流速を把握することができる。
・「パージ制御処理について」
上記実施形態では、目標パージ率Rpを、充填効率ηに応じて可変設定したが、目標パージ率Rpを可変設定するパラメータとしては、充填効率ηに限らない。また、目標パージ率Rpを固定値としてもよい。また、パージバルブ56の開口度を全閉または所定の開口度に2値的に制御するものであってもよい。
・「調整装置について」
キャニスタから吸気通路への流体の流量を調節する調節装置としては、パージバルブ56に限らない。たとえば、キャニスタ54内の流体を吸引して吸気通路12に吐出するポンプを備えて調節装置を構成してもよい。ポンプを備える構成は、内燃機関10が過給機を備える場合に特に有効である。
・「吸気バルブの特性可変装置について」
吸気バルブ18の特性を変更する特性可変装置としては、吸気側バルブタイミング調整装置44に限らない。たとえば、吸気バルブ18のリフト量を変更するものであってもよい。この場合、吸気バルブ18のバルブ特性を示すパラメータは、吸気位相差DINに代えて、リフト量等となる。
・「制御装置について」
制御装置がCPU62とROM64とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、制御装置は、以下の(a)〜(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア処理回路や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。すなわち、上記処理は、1または複数のソフトウェア処理回路および1または複数の専用のハードウェア回路の少なくとも一方を備えた処理回路によって実行されればよい。
・「そのほか」
内燃機関10が吸気バルブ18の特性を変更する特性可変装置を備えることは必須ではない。内燃機関10がスロットルバルブ14を備えることは必須ではない。
10…内燃機関、12…吸気通路、14…スロットルバルブ、16…ポート噴射弁、18…吸気バルブ、20…シリンダ、22…ピストン、24…燃焼室、26…点火装置、28…クランク軸、30…排気バルブ、32…排気通路、34…触媒、38…タイミングチェーン、40…吸気側カム軸、42…排気側カム軸、44…吸気側バルブタイミング調整装置、50…燃料タンク、52…燃料ポンプ、54…キャニスタ、56…パージバルブ、58…パージ通路、60…制御装置、62…CPU、64…ROM、66…電源回路、70…クランク角センサ、72…空燃比センサ、74…吸気側カム角センサ、76…エアフローメータ、78…水温センサ。

Claims (5)

  1. 吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁を備える内燃機関に適用され、
    吸気バルブの開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射と、前記吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射とを前記吸気非同期噴射および前記吸気同期噴射の順に実行するマルチ噴射処理と、前記吸気非同期噴射のみによって燃料を噴射するシングル噴射処理との2つの処理のうちのいずれを実行するかを選択する選択処理と、
    前記選択処理に従って前記ポート噴射弁を操作することにより前記マルチ噴射処理および前記シングル噴射処理のいずれかを実行する操作処理と、
    1燃焼サイクルにおいて前記内燃機関の燃焼室内に充填される燃料量のうち前記1燃焼サイクル内に前記ポート噴射弁から噴射された燃料以外の燃料である外乱燃料の割合が大きい場合に小さい場合よりも前記操作処理によって前記1燃焼サイクル内において前記ポート噴射弁から噴射させる燃料量を減量させる減量補正処理と、を実行し、
    前記選択処理は、所定の充填効率において、前記割合が第1の割合である場合に前記マルチ噴射処理を選択し、前記第1の割合よりも大きい第2の割合である場合に前記シングル噴射処理を選択する処理を含む内燃機関の制御装置。
  2. 前記ポート噴射弁から噴射される燃料を貯蔵する燃料タンク内の燃料蒸気を捕集するキャニスタと、前記キャニスタから前記吸気通路に流入する流体の流量を調整する調整装置と、を備えた内燃機関に適用され、
    前記調整装置を操作して前記キャニスタから前記吸気通路に流入する燃料蒸気の流量を制御するパージ制御処理を実行し、
    前記減量補正処理は、前記外乱燃料の割合としての前記燃料蒸気の割合が大きい場合に小さい場合よりも前記操作処理によって前記1燃焼サイクル内において前記ポート噴射弁から噴射させる燃料量を減量させる処理を含む請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記燃焼室に充填される新気量が大きい場合に小さい場合よりもベース噴射量を大きい値に算出するベース噴射量算出処理を実行し、
    前記減量補正処理は、前記ベース噴射量を減量補正する処理であり、
    前記マルチ噴射処理は、前記減量補正処理によって補正されたベース噴射量の燃料を、前記吸気非同期噴射の噴射量と前記吸気同期噴射の噴射量とに分割する処理を含む請求項1または2記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記内燃機関の燃焼室に流入する新気量に関する情報を取得する取得処理を実行し、
    前記選択処理は、前記取得処理よって取得した情報に基づく新気量が規定量以上である場合にマルチ噴射処理を選択する処理と、前記規定量を前記割合が大きい場合に小さい場合よりも大きい値に設定する処理と、を含む請求項2または3記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記減量補正処理によって補正されたベース噴射量を取得する取得処理を実行し、
    前記選択処理は、前記補正されたベース噴射量が規定量以上である場合に前記マルチ噴射処理を選択する処理を含む請求項3記載の内燃機関の制御装置。
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