JP7031431B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁を備える内燃機関に適用される内燃機関の制御装置に関する。
たとえば下記特許文献1には、内燃機関の気筒内に充填される新気量に基づき定まる要求噴射量を、吸気行程における噴射であるリーディング噴射と、その後の燃焼行程における噴射であるトレーディング噴射とに分割する制御装置が記載されている。詳しくは、同制御装置は、充填される新気量に応じた噴射量を水温補正することによって要求噴射量を算出しており、また要求噴射量を分割比によって分割した後、補正処理を施したものを最終的なリーディング噴射の噴射量としている。
特開平5-256172号公報
発明者は、排気中の粒子状物質(PM)の数であるPNを減少させるべく、要求噴射量の燃料を全て吸気行程よりも前に噴射する吸気非同期噴射によって噴射する代わりに、要求噴射量の一部を、吸気バルブの開弁タイミングに同期して噴射する吸気同期噴射によって噴射することを検討した。そして、充填される新気量に応じた噴射量が様々な要因によって補正されることに起因して吸気同期噴射の噴射量が変化すると、PNを十分に減少させることが困難となるおそれがあることを見出した。
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
1.内燃機関の制御装置は、吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁を備える内燃機関に適用され、前記内燃機関の気筒内に充填される新気量に比例した噴射量であるベース噴射量を算出するベース噴射量算出処理と、吸気バルブの開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射の噴射量である同期噴射量と、前記吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射の噴射量である非同期噴射量とに、前記ベース噴射量を分割する分割処理と、前記ベース噴射量の補正要求量を出力する補正要求量出力処理と、前記補正要求量に応じて前記非同期噴射量を補正し、前記同期噴射量を補正しない選択的補正処理と、前記同期噴射量および前記補正のなされた非同期噴射量に応じて前記ポート噴射弁を操作する操作処理と、を実行する。
上記構成では、補正要求量に応じて非同期噴射量を補正するものの、同期噴射量については補正しない。このため、補正要求量に応じて非同期噴射量とともに同期噴射量を補正する場合と比較すると、同期噴射量を、PNを低減する上で適切な値に維持しやすい。
2.上記1記載の内燃機関の制御装置において、前記補正要求量は、1燃焼サイクル内において前記内燃機関の燃焼室に流入する燃料量のうちの前記ポート噴射弁から噴射される燃料以外に前記燃焼室に流入する燃料量の割合である外乱燃料割合に基づくフィードフォワード制御によって、前記外乱燃料割合が大きい場合に小さい場合よりも前記ベース噴射量の減量量を大きくするための要求量を含む。
ポート噴射弁から噴射される燃料以外に燃焼室に流入する燃料が存在する場合、その燃料に起因して、燃焼室内に供給される燃料量が燃焼室内に充填される新気量にとって過剰となるおそれがある。そこで上記構成では、外乱燃料割合に応じてベース噴射量を減量する補正要求量を出力することにより、ポート噴射弁から噴射される燃料以外に燃焼室に流入する燃料の影響をフィードフォワード制御によって補償することができる。特に、上記構成では、フィードフォワード制御によって非同期噴射量が補正されるため、同期噴射量が上記フィードフォワード制御によって変動することを抑制できる。
3.上記2記載の内燃機関の制御装置において、前記内燃機関は、前記ポート噴射弁から噴射される燃料を貯蔵する燃料タンクからの燃料蒸気を捕集するキャニスタと、前記キャニスタ内の流体の前記吸気通路への流入量を調整する調整装置と、を備え、前記調整装置を操作して、前記キャニスタから前記吸気通路に流入する燃料蒸気の流量を制御する流量制御処理を実行し、前記補正要求量は、前記外乱燃料割合としての前記吸気通路内の流体に占める燃料蒸気の流量の割合である蒸気割合が大きい場合に小さい場合よりも前記ベース噴射量の減量量を大きくするための要求量を含む。
キャニスタから吸気通路に流入する燃料蒸気は、燃焼室に流入する燃料量が、ベース噴射量に対して過剰となる要因となる。このため、上記構成では、フィードフォワード制御によって、蒸気割合に応じてベース噴射量を減量する。特に、上記構成では、フィードフォワード制御によって非同期噴射量が補正されるため、同期噴射量が上記フィードフォワード制御によって変動することを抑制できる。
4.上記1~3のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置において、前記補正要求量は、前記内燃機関の温度が低い場合に高い場合よりも前記ベース噴射量の増量量を大きくするための要求量を含む。
ポート噴射弁から噴射される燃料量が同一であっても、内燃機関の温度が低い場合には高い場合と比較して、燃焼室内において実際に燃焼に供される燃料量が少なくなる。このため、上記構成では、温度が低い場合にフィードフォワード制御によって噴射量を増量すべく、ベース噴射量の増量量を大きくする補正要求量を出力する。特に、上記構成では、フィードフォワード制御によって非同期噴射量が補正されるため、同期噴射量が上記フィードフォワード制御によって変動することを抑制できる。
5.上記1~4のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置において、前記補正要求量は、前記内燃機関の排気通路に設けられた空燃比センサの検出値を目標値にフィードバック制御するための操作量に応じて前記ベース噴射量を補正するための要求量を含む。
上記構成では、フィードバック補正量によって非同期噴射量のみが補正されるため、同期噴射量がフィードバック制御によって変動することを抑制できる。
6.上記1~5のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置において、前記補正要求量は、前記充填される新気量が変化する過渡時において、前記新気量の変化に応じて前記ベース噴射量を補正するための要求量を含む。
充填される新気量が変化する場合には、吸気通路に付着する燃料量が変化することに起因して燃焼室内に流入する燃料量がベース噴射量に対してずれを生じる。そこで、上記構成では、過渡時においてはこのずれをフィードフォワード制御によって補償する。特に、上記構成では、フィードフォワード制御によって非同期噴射量が補正されるため、同期噴射量が上記フィードフォワード制御によって変動することを抑制できる。
7.内燃機関の制御装置は、吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁を備える内燃機関に適用され、前記内燃機関の気筒内に充填される新気量に基づき、空燃比を目標空燃比に制御するための要求噴射量を設定する要求噴射量設定処理と、吸気バルブの開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射の噴射量である同期噴射量と、前記吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射の噴射量である非同期噴射量とに、前記要求噴射量を分割し、前記非同期噴射量の燃料および前記同期噴射量の燃料を順次噴射すべく前記ポート噴射弁を操作する操作処理と、を実行し、前記操作処理は、前記内燃機関の温度が低い場合に高い場合よりも前記要求噴射量を増量し、前記内燃機関の温度が高い場合に対して低い場合の前記非同期噴射量の増量比率よりも前記内燃機関の温度が高い場合に対して低い場合の前記同期噴射量の増量比率を小さくする処理を含む。
ポート噴射弁から噴射される燃料量が同一であっても、内燃機関の温度が低い場合には高い場合と比較して、燃焼室内において実際に燃焼に供される燃料量が少なくなる。このため、上記構成では、温度が低い場合に要求噴射量を増量することにより、実際に燃焼に供される燃料量が不足することを抑制する。その際、上記構成では、同期噴射量の増量比率を非同期噴射量の増量比率よりも小さくする。これにより、内燃機関の温度が低いことに起因して要求噴射量を増量する場合であっても、同期噴射量の変化を抑制することができ、ひいては同期噴射量をPNを低減する狙いにとって適切な値に設定しやすい。
8.上記7記載の内燃機関の制御装置において、前記操作処理は、1燃焼サイクル内において前記内燃機関の燃焼室に流入する燃料量のうちの前記ポート噴射弁から噴射される燃料以外に前記燃焼室に流入する燃料量の割合である外乱燃料割合が大きい場合に小さい場合よりも前記要求噴射量を減量し、前記外乱燃料割合が小さい場合に対する大きい場合の前記非同期噴射量の減量比率よりも前記外乱燃料割合が小さい場合に対する大きい場合の前記同期噴射量の減量比率を小さくする処理を含む。
ポート噴射弁から噴射される燃料以外に燃焼室に流入する燃料が存在する場合、その燃料に起因して、燃焼室内に供給される燃料量が燃焼室内に充填される新気量にとって過剰となるおそれがある。そこで上記構成では、外乱燃料割合に応じて要求噴射量を減量することにより、ポート噴射弁から噴射される燃料以外に燃焼室に流入する燃料の影響を補償することができる。その際、同期噴射量を非同期噴射量の減量比率よりも小さくすることによって、要求噴射量を減量する場合であっても、同期噴射量の変化を抑制することができ、ひいては同期噴射量をPNを低減する狙いにとって適切な値に設定しやすい。
9.上記8記載の内燃機関の制御装置において、前記ポート噴射弁から噴射される燃料を貯蔵する燃料タンクからの燃料蒸気を捕集するキャニスタと、前記キャニスタ内の流体の前記吸気通路への流入量を調整する調整装置と、を備える内燃機関に適用され、前記調整装置を操作して、前記キャニスタから前記吸気通路に流入する燃料蒸気の流量を制御する流量制御処理を実行し、前記操作処理は、前記外乱燃料割合としての前記吸気通路内の流体の流量に占める燃料蒸気の流量の割合である蒸気割合が大きい場合に小さい場合よりも前記要求噴射量を減量し、前記蒸気割合が小さい場合に対する大きい場合の前記非同期噴射量の減量比率よりも前記蒸気割合が小さい場合に対する大きい場合の前記同期噴射量の減量比率を小さくする処理を含む。
キャニスタから吸気通路に流入する燃料蒸気は、燃焼室に流入する燃料量が、要求噴射量に対して過剰となる要因となる。このため、上記構成では、蒸気割合に応じて要求噴射量を減量する。特に、上記構成では、非同期噴射量の減量比率よりも同期噴射量の減量比率を小さくすることにより、要求噴射量を減量する場合であっても、同期噴射量の変化を抑制することができ、ひいては同期噴射量をPNを低減する狙いにとって適切な値に設定しやすい。
10.内燃機関の制御装置は、吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁を備える内燃機関に適用され、前記内燃機関の気筒内に充填される新気量に基づき、空燃比を目標空燃比に制御するための要求噴射量を設定する要求噴射量設定処理と、吸気バルブの開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射の噴射量である同期噴射量と、前記吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射の噴射量である非同期噴射量とに、前記要求噴射量を分割し、前記非同期噴射量の燃料および前記同期噴射量の燃料を順次噴射すべく前記ポート噴射弁を操作する操作処理と、を実行し、前記操作処理は、1燃焼サイクル内において前記ポート噴射弁から噴射される燃料以外に前記内燃機関の燃焼室に流入する燃料量の割合である外乱燃料割合が大きい場合に小さい場合よりも前記要求噴射量を減量し、前記外乱燃料割合が小さい場合に対する大きい場合の前記非同期噴射量の減量比率よりも前記外乱燃料割合が小さい場合に対する大きい場合の前記同期噴射量の減量比率を小さくする処理を含む。
ポート噴射弁から噴射される燃料以外に燃焼室に流入する外乱燃料は、燃焼室に流入する燃料量が、要求噴射量に対して過剰となる要因となる。このため、上記構成では、外乱燃料割合に応じて要求噴射量を減量する。特に、上記構成では、非同期噴射量の減量比率よりも同期噴射量の減量比率を小さくすることにより、要求噴射量を減量する場合であっても、同期噴射量の変化を抑制することができ、ひいては同期噴射量をPNを低減する狙いにとって適切な値に設定しやすい。
11.上記7~9のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置は、前記操作処理は、前記充填される新気量が変化する過渡時において前記要求噴射量を補正し、前記過渡時における前記非同期噴射量の補正比率の絶対値よりも前記過渡時における前記同期噴射量の補正比率の絶対値を小さくする処理を含む。
12.上記内燃機関の制御装置において、吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁を備える内燃機関に適用され、前記内燃機関の気筒内に充填される新気量に基づき、空燃比を目標空燃比に制御するための要求噴射量を設定する要求噴射量設定処理と、吸気バルブの開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射の噴射量である同期噴射量と、前記吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射の噴射量である非同期噴射量とに、前記要求噴射量を分割し、前記非同期噴射量の燃料および前記同期噴射量の燃料を順次噴射すべく前記ポート噴射弁を操作する操作処理と、を実行し、前記操作処理は、前記充填される新気量が変化する過渡時において前記要求噴射量を補正し、前記過渡時における前記非同期噴射量の補正比率の絶対値よりも前記過渡時における前記同期噴射量の補正比率の絶対値を小さくする処理を含む。
充填される新気量が変化する場合には、吸気通路に付着する燃料量が変化することに起因して燃焼室内に流入する燃料量が過剰または不足するおそれがある。そこで、上記11および12の構成では、過渡時においてはこのずれを補償すべく要求噴射量を補正する。特に、上記11および12の構成では、非同期噴射量の補正比率の絶対値よりも同期噴射量の補正比率の絶対値を小さくすることにより、要求噴射量を補正する場合であっても、同期噴射量の変化を抑制することができ、ひいては同期噴射量をPNを低減する狙いにとって適切な値に設定しやすい。
一実施形態にかかる内燃機関の制御装置および内燃機関を示す図。 同実施形態にかかる制御装置が実行する処理の一部を示すブロック図。 (a)および(b)は、同実施形態にかかるシングル噴射処理とマルチ噴射処理とを示すタイムチャート。 同実施形態にかかる噴射弁操作処理の手順を示す流れ図。 (a)および(b)は、同実施形態にかかる到達終了時期の設定手法を示す図。 (a)および(b)は、同実施形態の効果を示す図。 (a)および(b)は、同実施形態の効果を示すタイムチャート。 (a)および(b)は、同実施形態の効果を示すタイムチャート。 同実施形態の効果を示すタイムチャート。
以下、内燃機関の制御装置にかかる一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示す内燃機関10の吸気通路12には、スロットルバルブ14が設けられており、スロットルバルブ14の下流には、ポート噴射弁16が設けられている。吸気通路12に吸入された空気とポート噴射弁16から噴射された燃料とは、吸気バルブ18の開弁に伴って、シリンダ20およびピストン22によって区画された燃焼室24に流入する。燃焼室24において、燃料と空気との混合気は、点火装置26の火花放電によって燃焼に供され、その際生成される燃焼エネルギは、ピストン22を介してクランク軸28の回転エネルギに変換される。燃焼に供された混合気は、排気バルブ30の開弁に伴って、排気として排気通路32に排出される。排気通路32には、触媒34が設けられている。
クランク軸28の回転動力は、タイミングチェーン38を介して、吸気側カム軸40および排気側カム軸42に伝達される。なお、本実施形態では、吸気側カム軸40には、吸気側バルブタイミング調整装置44を介してタイミングチェーン38の動力が伝達される。吸気側バルブタイミング調整装置44は、クランク軸28と吸気側カム軸40との回転位相差を調整することによって、吸気バルブ18の開弁タイミングを調整するアクチュエータである。
クランクケース50は、ブローバイガス通路52を介して吸気通路12に接続されている。ブローバイガス通路52には、その流路断面積を調整するPCVバルブ54が設けられている。PCVバルブ54は、クランクケース50側の圧力が吸気通路12側の圧力よりも所定圧以上高くなることにより開弁する機械式の弁体である。
ポート噴射弁16により噴射される燃料は、燃料タンク60に貯蔵されており、燃料タンク60に貯蔵されている燃料は、燃料ポンプ62によって汲み上げられてポート噴射弁16に向けて吐出される。燃料タンク60内で生じた燃料蒸気は、キャニスタ64に捕集される。キャニスタ64と吸気通路12とはパージ通路68によって接続されており、パージ通路68における流体の流路断面積は、パージバルブ66によって調節可能となっている。
制御装置70は、内燃機関10を制御対象とし、その制御量(トルク、排気成分等)を制御するために、上記スロットルバルブ14や、ポート噴射弁16、点火装置26、吸気側バルブタイミング調整装置44等の内燃機関10の操作部を操作する。この際、制御装置70は、クランク角センサ80の出力信号Scrや、触媒34の上流側に設けられた空燃比センサ82によって検出される空燃比Af、吸気側カム角センサ84の出力信号Scaを参照する。また、制御装置70は、エアフローメータ86によって検出される吸入空気量Gaや、水温センサ88によって検出される内燃機関10の冷却水の温度(水温THW)を参照する。
制御装置70は、CPU72、ROM74、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリ76、および制御装置70内の各箇所に電力を供給する電源回路78を備えており、ROM74に記憶されたプログラムをCPU72が実行することにより、上記制御量の制御を実行する。
図2に、制御装置70が実行する処理の一部を示す。図2に示す処理は、ROM74に記憶されたプログラムをCPU72が実行することにより実現される。
吸気位相差算出処理M10は、クランク角センサ80の出力信号Scrと吸気側カム角センサ84の出力信号Scaとに基づき、クランク軸28の回転角度に対する吸気側カム軸40の回転角度の位相差である吸気位相差DINを算出する処理である。目標吸気位相差算出処理M12は、内燃機関10の動作点に基づき、目標吸気位相差DIN*を可変設定する処理である。なお、本実施形態では、回転速度NEと充填効率ηとによって動作点を定義している。ここで、CPU72は、回転速度NEを、クランク角センサ80の出力信号Scrに基づき算出し、充填効率ηを回転速度NEおよび吸入空気量Gaに基づき算出する。なお、充填効率ηは、燃焼室24内に充填される新気量を定めるパラメータである。
吸気位相差制御処理M14は、吸気位相差DINを目標吸気位相差DIN*に制御するために吸気側バルブタイミング調整装置44を操作すべく、操作信号MS4を出力する処理である。
目標パージ率算出処理M16は、充填効率ηや後述のパージ濃度学習値Lpに基づき、目標パージ率Rpを算出する処理である。ここで、パージ率とは、キャニスタ64から吸気通路12に流入する流体の流量を吸入空気量Gaで割った値であり、目標パージ率Rpは、制御上のパージ率の目標値である。
パージバルブ操作処理M18は、吸入空気量Gaに基づき、パージ率が目標パージ率Rpになるように、パージバルブ66を操作すべく、パージバルブ66に操作信号MS5を出力する処理である。ここで、パージバルブ操作処理M18は、目標パージ率Rpが同一である場合、吸入空気量Gaが小さいほど、パージバルブ66の開口度を小さい値とする処理となっている。これは、吸入空気量Gaが小さいほど、吸気通路12内の圧力がキャニスタ64内の圧力よりも低くなるため、キャニスタ64から吸気通路12に流体が流動しやすいためである。
吸気圧推定処理M20は、回転速度NEおよび吸入空気量Gaに基づき、吸気通路12のうちのスロットルバルブ14の下流の圧力である吸気圧Pmを算出する処理である。吸気圧推定処理M20は、たとえば、インマニモデルおよび吸気弁モデルを用いて吸気圧Pmを算出する処理とすればよい。ここで、インマニモデルは、閉弁時流入空気量と、吸入空気量Gaとに基づき、吸気圧Pmを算出する。閉弁時流入空気量は、1燃焼サイクルにおける燃焼室24への流入空気量のうち吸気バルブ18の閉弁時期までに吸気通路12に吹き戻された量を除いた値である。具体的には、インマニモデルは、吸入空気量Gaを1気筒当たりの量に換算した量から閉弁時流入空気量を減算した値が大きい場合に小さい場合よりも吸気圧Pmの増加速度が大きくなるように上記吸気圧Pmを算出する。一方、吸気弁モデルは、吸気圧Pmと、回転速度NEとに基づき、上記閉弁時流入空気量を算出する。吸気弁モデルは、吸気圧Pmが高い場合に低い場合よりも閉弁時流入空気量を大きい値に算出する。
予測パージ率算出処理M22は、目標パージ率Rpと、吸気圧Pmと、回転速度NEと、に基づき、予測パージ率Rpeを算出する処理である。ここで、予測パージ率Rpeは、ポート噴射弁16の付近における流体に関するパージ率である。すなわち、パージバルブ66によってパージ率を制御したとしても、ポート噴射弁16付近の流体のパージ率は、直ちに変化せず応答遅れを生じる。この応答遅れを考慮したものが予測パージ率Rpeである。なお、応答遅れ時間は、吸気圧Pmや回転速度NEに基づき設定される。
ベース噴射量算出処理M30は、充填効率ηに基づき、燃焼室24内の混合気の空燃比を目標空燃比とするための燃料量のベース値であるベース噴射量Qbを算出する処理である。詳しくは、ベース噴射量算出処理M30は、たとえば充填効率ηが百分率で表現される場合、充填効率ηの1%当たりの空燃比を目標空燃比とするための燃料量QTHに、充填効率ηを乗算することによりベース噴射量Qbを算出する処理とすればよい。ベース噴射量Qbは、燃焼室24内に充填される新気量に基づき、空燃比を目標空燃比に制御するために算出された燃料量である。ちなみに、目標空燃比は、たとえば理論空燃比とすればよい。
フィードバック処理M32は、空燃比Afを目標値Af*にフィードバック制御するための操作量であるフィードバック操作量としてのベース噴射量Qbの補正比率δに「1」を加算したフィードバック補正係数KAFを算出して出力する処理である。詳しくは、フィードバック処理M32は、空燃比Afと目標値Af*との差を入力とする比例要素および微分要素の各出力値と、同差に応じた値の積算値を保持し出力する積分要素の出力値との和を補正比率δとする。
空燃比学習処理M34は、目標パージ率Rpがゼロである等の空燃比学習条件が成立する場合、フィードバック補正係数KAFの「1」に対するずれが小さくなるように、不揮発性メモリ76に記憶される空燃比学習値LAFを更新する処理である。なお、空燃比学習処理M34は、空燃比学習値LAFの更新処理によって補正比率δの絶対値が所定値以下となる場合、空燃比学習値LAFが収束したと判定する処理を含む。
パージ濃度学習処理M36は、空燃比学習値LAFが収束した旨の判定がなされている場合、上記補正比率δに基づき、パージ濃度学習値Lpを算出する処理である。パージ濃度学習値Lpは、キャニスタ64から燃焼室24への燃料蒸気の流入に起因した、目標空燃比に制御する上で必要な噴射量に対するベース噴射量Qbのずれを補正する補正比率を、パージ率の1%当たりに換算した値である。ここで、本実施形態では、目標パージ率Rpが「0」よりも大きい値に制御されているときのフィードバック補正係数KAFが「1」からずれる要因を、すべてキャニスタ64から燃焼室24に流入した燃料蒸気によるものとみなす。すなわち、補正比率δを、キャニスタ64から吸気通路12への燃料蒸気の流入に起因した、目標空燃比に制御する上で必要な噴射量に対するベース噴射量Qbのずれを補正する補正比率とみなす。しかし、補正比率δは、パージ率に依存するものであることから、本実施形態では、パージ濃度学習値Lpをパージ率の1%当たりの値「δ/Rp」とする。
具体的には、前回のパージ濃度学習値Lp(n-1)と、パージ率の1%当たりの補正比率「δ/Rp」との指数移動平均処理値を、今回のパージ濃度学習値Lp(n)とする。図2には、前回のパージ濃度学習値Lp(n-1)と、パージ率の1%当たりの値「δ/Rp」とのそれぞれの重み係数α,βを図示している。ここで、「α+β=1」である。
パージ補正比率算出処理M38は、パージ濃度学習値Lpに予測パージ率Rpeを乗算することによって、パージ補正比率Dpを算出する処理である。パージ補正比率Dpは、燃料蒸気の量だけベース噴射量Qbを減量補正する上で要求される補正比率であり、負の値を有する。
反映率設定処理M40は、吸入空気量Gaを入力とし、吸気通路12内のブローバイガスの流量に応じた値を有する反映率REFを算出する処理である。吸入空気量Gaが少ない場合に多い場合よりも吸気通路12内のブローバイガスの流量が大きくなることに鑑み、反映率設定処理M40により、吸入空気量Gaが少ない場合に多い場合よりも反映率REFが大きい値に算出される。
希釈学習処理M42は、空燃比学習値LAFが収束した旨の判定がなされていて且つ目標パージ率Rpがゼロであるときに、上記補正比率δに基づき、希釈濃度学習値Ldを算出する処理である。希釈濃度学習値Ldは、ブローバイガス通路52から燃焼室24への燃料蒸気の流入に起因した、目標空燃比に制御する上で必要な噴射量に対するベース噴射量Qbのずれを補正する補正比率を、反映率REFの1%当たりに換算した値である。ここで、本実施形態では、目標パージ率Rpが「0」であるときに、フィードバック補正係数KAFが「1」からずれる要因を、ブローバイガス通路52から燃焼室24に流入した燃料蒸気によるものとみなす。すなわち、補正比率δを、ブローバイガス通路52から吸気通路12への燃料蒸気の流入に起因した、目標空燃比に制御する上で必要な噴射量に対するベース噴射量Qbのずれを補正する補正比率とみなす。しかし、補正比率δは、ブローバイガス通路52から吸気通路12に流入するブローバイガスの流量に依存するものであることから、本実施形態では、希釈濃度学習値Ldを反映率REFの1%当たりの値「δ/REF」とする。
具体的には、前回の希釈濃度学習値Ld(n-1)と、反映率REFの1%当たりの補正比率「δ/REF」との指数移動平均処理値を、今回の希釈濃度学習値Ld(n)とする。
希釈補正比率算出処理M44は、希釈濃度学習値Ldに、反映率REFを乗算することによって、希釈補正比率Ddを算出する処理である。希釈補正比率Ddは、燃料蒸気の量だけベース噴射量Qbを減量補正する上で要求される補正比率であり、負の値を有する。
減量係数算出処理M46は、パージ補正比率Dpと希釈補正比率Ddと「1」とを加算した値を、減量係数Kdとして出力する処理である。
乗算処理M48は、フィードバック補正係数KAFと空燃比学習値LAFと減量係数Kdとを乗算することによって、補正係数Kcを算出する処理である。
低温補正処理M50は、水温THWが規定温度(たとえば70℃)未満の場合、ベース噴射量Qbを増量すべく、低温増量係数Kwを「1」よりも大きい値に算出する処理である。詳しくは、低温増量係数Kwは、水温THWが低い場合に高い場合よりも大きい値に算出される。
過渡補正処理M52は、充填効率ηが変化する過渡時において、吸気通路12に付着する燃料量の変化によって燃焼室24内に流入する燃料量が変化することを抑制するフィードフォワード補正量としての過渡補正量ΔQを算出する処理である。過渡補正量ΔQは、充填効率ηが減少する場合、吸気通路12に付着する燃料量が減少することに起因して燃焼室24内に流入する燃料量がベース噴射量Qbに対して過剰となることから、負の値に算出される。また、過渡補正量ΔQは、充填効率ηが増加する場合、吸気通路12に付着する燃料量が増加することに起因して燃焼室24内に流入する燃料量がベース噴射量Qbに対して不足することから、正の値に算出される。詳しくは、過渡補正処理M52は、充填効率η、水温THW、回転速度NEおよび吸気位相差DINと、後述するマルチ噴射処理であるかシングル噴射処理であるかに基づき、過渡補正量ΔQを算出する処理である。詳しくは、吸気通路12に付着する燃料量が水温THWが低い場合に高い場合よりも多くなることから、過渡補正量ΔQは、水温THWが低い場合に高い場合よりも絶対値が大きくなる。なお、過渡補正量ΔQは、定常時にはゼロとなる。
噴射弁操作処理M54は、ベース噴射量Qb、補正係数Kc、低温増量係数Kwおよび過渡補正量ΔQに基づき、ポート噴射弁16を操作すべく、ポート噴射弁16に操作信号MS2を出力する処理である。詳しくは、ポート噴射弁16から1燃焼サイクル内に1つの気筒に供給することが要求される燃料量である要求噴射量Qdをポート噴射弁16から噴射させる処理である。ここで、要求噴射量Qdは、「Kc・Kw・Qb+ΔQ」である。
本実施形態では、燃料噴射処理として、図3(a)に例示する処理と、図3(b)に例示する処理との2通りの処理を有する。
図3(a)は、吸気バルブ18の開弁前に燃料の噴射を開始し、吸気バルブ18の開弁前に燃料の噴射を終了させる単一の噴射を実行するシングル噴射処理である。
図3(b)は、吸気バルブ18の開弁期間に同期して同期噴射開始時期Isに燃料の噴射を開始する吸気同期噴射と、吸気同期噴射よりも進角側の非同期噴射開始時期Insに燃料の噴射を開始する吸気非同期噴射との2つの燃料噴射を実行するマルチ噴射処理である。詳しくは、吸気同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間が吸気バルブ18の開弁期間となるように燃料を噴射するものである。これに対し、吸気非同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間が吸気バルブ18の閉弁期間となるように燃料を噴射するものである。なお、図3(a)に示した処理は、吸気非同期噴射のみを実行する処理であるため、噴射開始時期を「Ins」と記載している。
本実施形態においてマルチ噴射処理は、PNを低減することを狙って実行される。すなわち、水温THWがある程度低い場合、充填効率ηがある程度大きい領域においてシングル噴射処理を実行すると、PNが増加する傾向がある。これは、充填効率ηが大きい場合には小さい場合よりも要求噴射量Qdが大きい値となり、結果、吸気通路12に付着する燃料量が多くなることに起因していると考えられる。詳しくは、吸気通路12に付着した燃料量がある程度多くなる場合、付着した燃料のせん断によって、付着した燃料の一部が液滴のまま燃焼室24に流入するためであると推察される。そこで本実施形態では、充填効率ηがある程度大きい領域においては、要求噴射量Qdの一部を、吸気同期噴射によって噴射することにより吸気通路12に付着する燃料量を要求噴射量Qdが多い割に少なくなり、ひいてはPNの低減を図る。
図4に、噴射弁操作処理M54の処理の手順を示す。図4に示す処理は、ROM74に記憶されたプログラムをCPU72がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、以下では、先頭に「S」が付与された数字によって各処理のステップ番号を表現する。
図4に示す一連の処理において、CPU72は、まずマルチ噴射処理を実行する要求があるか否かを判定する(S10)。ここでCPU72は、充填効率ηが所定値以上である旨の条件(ア)と、充填効率ηが所定値よりも大きい規定値であって回転速度NEが高い場合に低い場合よりも大きい値になる規定値未満である旨の条件(イ)と、水温THWが上記規定温度以下である旨の条件(ウ)との論理積が真である場合、マルチ噴射処理を実行する要求があると判定する。ここで条件(イ)は、吸気非同期噴射の終了タイミングと同期噴射開始時期Isとの時間間隔をポート噴射弁16の構造から定まる所定時間以上に確保できる旨の条件である。そして、CPU72は、要求がないと判定する場合(S10:NO)、シングル噴射処理を実行することとして要求噴射量Qdを算出する(S12)。次にCPU72は、図3(a)に示した非同期噴射開始時期Insを算出する(S14)。そして、CPU72は、非同期噴射開始時期Insにおいて要求噴射量Qdの燃料を噴射すべくポート噴射弁16に操作信号MS2を出力してポート噴射弁16を操作する(S16)。
一方、CPU72は、マルチ噴射処理の実行要求があると判定する場合(S10:YES)、ベース噴射量Qbに占める同期噴射量Qsの割合である同期噴射割合Ksを算出する(S18)。ここで、CPU72は、回転速度NE、充填効率η、水温THWおよび吸気位相差DINに応じて、同期噴射割合Ksを算出する。詳しくは、回転速度NE、充填効率η、水温THWおよび吸気位相差DINを入力変数とし、同期噴射割合Ksを出力変数とするマップデータが予めROM74に記憶された状態で、CPU72により同期噴射割合Ksがマップ演算される。
なお、マップデータとは、入力変数の離散的な値と、入力変数の値のそれぞれに対応する出力変数の値と、の組データである。またマップ演算は、たとえば、入力変数の値がマップデータの入力変数の値のいずれかに一致する場合、対応するマップデータの出力変数の値を演算結果とし、一致しない場合、マップデータに含まれる複数の出力変数の値の補間によって得られる値を演算結果とする処理とすればよい。
次にCPU72は、要求噴射量Qdから過渡補正量ΔQを除いたものに対する同期噴射量Qsの割合として非同期噴射割合Knsを算出する(S20)。詳しくは、CPU72は、「1」から「Ks/(Kc・Kw)」を減算することによって、非同期噴射割合Knsを算出する。次に、CPU72は、ベース噴射量Qbに同期噴射割合Ksを乗算した値を、同期噴射量Qsに代入する(S22)。次にCPU72は、要求噴射量Qdから過渡補正量ΔQを除いた値「Kc・Kw・Qb」に非同期噴射割合Knsを乗算した値と過渡補正量ΔQとの和を、非同期噴射量Qnsに代入する(S24)。
これにより、非同期噴射量Qnsは、以下の値となる。
Ksn・Kc・Kw・Qb+ΔQ=Kc・Kw・Qb-Ks・Qb+ΔQ
このため、非同期噴射量Qnsと同期噴射量Qsとの和は、「Kc・Kw・Qb+ΔQ」となり、これは要求噴射量Qdに等しい。
次にCPU72は、回転速度NE、充填効率η、水温THWおよび吸気位相差DINに基づき同期噴射開始時期Isを算出する(S26)。詳しくは、CPU72は、まず、回転速度NE、充填効率η、水温THWおよび吸気位相差DINに基づき、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の閉弁期間における位置に到達する期間の終点の目標値である到達終了時期を算出する。ここで、「期間の終点」とは、ポート噴射弁16から噴射された燃料のうち最も遅いタイミングで噴射された燃料が吸気バルブ18の閉弁期間における位置に到達するタイミングである。そしてCPU72は、到達終了時期と同期噴射量Qsと回転速度NEとに基づき、同期噴射開始時期Isを算出する。ここで、CPU72は、同期噴射量Qsが大きい場合に小さい場合よりも同期噴射開始時期Isをより進角側の値に算出する。また、CPU72は、回転速度NEが大きい場合に小さい場合よりも同期噴射開始時期Isをより進角側の値とする。次にCPU72は、同期噴射開始時期Isに基づき、非同期噴射開始時期Insを算出する(S28)。ここでは、吸気非同期噴射の噴射終了時期と同期噴射開始時期Isとの時間間隔が上記所定時間以上となるようにする。
上記処理により、同期噴射開始時期Isが、非同期噴射開始時期Insとは独立に設定される。これは、吸気同期噴射の上記到達終了時期が排気中のPNやHCに特に影響されやすいためである。
図5(a)には、吸気非同期噴射や吸気同期噴射の上記到達終了時期を変化させたときのPNを示し、図5(b)は、吸気非同期噴射や吸気同期噴射の上記到達終了時期を変化させたときのHC発生量を示す。ここで、白抜きのプロットは、吸気非同期噴射の到達終了時期を固定し、吸気同期噴射の到達終了時期を変化させたときのものであり、黒塗りのプロットは、吸気同期噴射の到達終了時期を固定し、吸気非同期噴射の到達終了時期を変化させたときのものである。また、○印、ひし形、四角、三角のプロットのそれぞれは、非同期噴射量Qnsと同期噴射量Qsとの割合が、「8:2」,「7:3」,「6:4」,「5:5」のそれぞれに対応する。
図5の白抜きのプロットに示されるように、吸気同期噴射の到達終了時期の変化によって、PNやHCの発生量が大きく変化する。このため、本実施形態では、吸気同期噴射の到達終了時期を、PNやHCの発生量を低減できる適切な値に設定する。
図4に戻り、CPU72は、同期噴射開始時期Isにおいて同期噴射量Qsの燃料を噴射し、非同期噴射開始時期Insにおいて非同期噴射量Qnsの燃料を噴射すべく、ポート噴射弁16に操作信号MS2を出力してポート噴射弁16を操作する(S16)。
なお、CPU72は、S16の処理が完了する場合、図7に示す一連の処理を一旦終了する。
ここで、本実施形態の作用および効果について説明する。
CPU72は、同期噴射割合Ksにベース噴射量Qbを乗算することによって、同期噴射量Qsを算出する。このため、同期噴射量Qsは、補正係数Kcや低温増量係数Kw、過渡補正量ΔQによって変動することがない。
図6(a)に、本実施形態にかかる同期噴射量Qsと非同期噴射量Qnsとを示す。図6(a)に示すように、本実施形態において、ベース噴射量Qbに対する補正量「Qb・(Kc・Kw-1)+ΔQ」は、その値によらずに全て非同期噴射量Qnsに含められる。このため、補正量「Qb・(Kc・Kw-1)+ΔQ」がいかなる値となるかに応じて、同期噴射量Qsの値が変動することがない。このため、同期噴射量Qsを、PNの低減を狙った値とすることが容易である。
図6(b)には、本実施形態の比較例として、上記同期噴射割合Ksを、要求噴射量Qdの分割比とした場合を示す。この場合、補正量「Qb・(Kc・Kw-1)+ΔQ」のうち同期噴射割合Ksの分だけ、同期噴射量Qsが補正されることとなる。
本実施形態によれば、CPU72は、図7(a)に示す水温THWが高い場合に対して図7(b)に示す水温THWが低い場合には、低温増量係数Kwに応じて、吸気非同期噴射Q1の噴射量である非同期噴射量Qnsを増量させることとなる。また、CPU72は、図8(a)に示すパージ補正比率Dpの絶対値が小さい場合に対して図8(b)に示すパージ補正比率Dpの絶対値が大きい場合には、パージ補正比率Dpに応じて、吸気非同期噴射Q1の噴射量である非同期噴射量Qnsを減量させることとなる。さらに、CPU72は、充填効率ηが大きく変化する過渡時においては、過渡補正量ΔQに応じて、定常時に対して吸気非同期噴射Q1の噴射量である非同期噴射量Qnsを変化させることとなる。特に、この変化量の絶対値は、水温THWが低い場合に高い場合よりも大きくなる。
<対応関係>
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。[1]分割処理は、S18の処理に対応する。補正要求量は、フィードバック補正係数KAF、パージ補正比率Dp、希釈補正比率Dd、空燃比学習値LAF、過渡補正量ΔQに対応する。補正要求量出力処理は、パージ補正比率算出処理M38、希釈補正比率算出処理M44、減量係数算出処理M46、フィードバック処理M32、空燃比学習処理M34、乗算処理M48、低温補正処理M50および過渡補正処理M52に対応する。選択的補正処理は、S20,S24の処理に対応する。操作処理は、S28の処理から移行したS16の処理に対応する。[2]パージ補正比率算出処理M38、希釈補正比率算出処理M44、および減量係数算出処理M46に対応する。[3]調整装置は、パージバルブ66に対応し、流量制御処理は、目標パージ率算出処理M16およびパージバルブ操作処理M18の処理に対応する。蒸気割合は、パージ補正比率Dpに対応する。なお、パージ補正比率Dpと蒸気割合とは同一ではないが、1対1対応の関係を有し、パージ補正比率Dpに応じた補正要求は、キャニスタからの蒸気割合に応じた補正要求とみなせる。[7]要求噴射量設定処理は、ベース噴射量算出処理M30、パージ補正比率算出処理M38、希釈補正比率算出処理M44、減量係数算出処理M46、フィードバック処理M32、空燃比学習処理M34、乗算処理M48、低温補正処理M50および過渡補正処理M52に対応する。すなわち、要求噴射量は、「Kc・Kw・Qb+ΔQ」であり、これは、ベース噴射量Qb、補正係数Kc、低温増量係数Kw、および過渡補正量ΔQを算出することによって設定されたとみなせる。操作処理は、S28の処理から移行したS16の処理とS24の処理とに対応し、また、図7の処理に対応する。[8,9]図8の処理に対応する。なお、蒸気割合は、パージ補正比率Dpに対応する。ここで、パージ補正比率Dpとキャニスタからの蒸気割合とは同一ではないが、1対1対応の関係を有する。[10]要求噴射量設定処理は、ベース噴射量算出処理M30、パージ補正比率算出処理M38、希釈補正比率算出処理M44、減量係数算出処理M46、フィードバック処理M32、空燃比学習処理M34、乗算処理M48、低温補正処理M50および過渡補正処理M52に対応する。すなわち、要求噴射量は、「Kc・Kw・Qb+ΔQ」であり、これは、ベース噴射量Qb、補正係数Kc、低温増量係数Kw、および過渡補正量ΔQを算出することによって設定されたとみなせる。操作処理は、S28の処理から移行したS16の処理とS24の処理とに対応し、また、図8の処理に対応する。[11,12]要求噴射量設定処理は、ベース噴射量算出処理M30、パージ補正比率算出処理M38、希釈補正比率算出処理M44、減量係数算出処理M46、フィードバック処理M32、空燃比学習処理M34、乗算処理M48、低温補正処理M50および過渡補正処理M52に対応する。すなわち、要求噴射量は、「Kc・Kw・Qb+ΔQ」であり、これは、ベース噴射量Qb、補正係数Kc、低温増量係数Kw、および過渡補正量ΔQを算出することによって設定されたとみなせる。操作処理は、S28の処理から移行したS16の処理とS24の処理とに対応し、また、図9の処理に対応する。
<その他の実施形態>
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・「補正要求量出力処理について」
上記実施形態では、パージ補正比率Dp、希釈補正比率Dd、フィードバック補正係数KAF、空燃比学習値LAF、低温増量係数Kw、および過渡補正量ΔQを、ベース噴射量Qbの補正要求量としたが、これに限らない。たとえば、それら6つのパラメータに関しては、それらのうちの5つのみを補正要求量としてもよく、またたとえば4つのみを補正要求量としてもよい。またたとえば、3つのみを補正要求量としてもよく、またたとえば、2つのみを補正要求量としてもよく、さらにたとえば、1つのみを補正要求量としてもよい。
・「吸気非同期噴射について」
上記実施形態では、吸気非同期噴射を、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間が吸気バルブ18の閉弁期間となるように燃料を噴射するものとしたが、これに限らない。たとえば非同期噴射量Qnsが過度に多い場合、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間の一部が吸気バルブ18の開弁期間と重複してもよい。
・「吸気同期噴射について」
上記実施形態では、回転速度NE、充填効率η、水温THWおよび吸気位相差DINに基づき、到達終了時期を設定したが、これに限らない。たとえば、回転速度NE、充填効率η、水温THWおよび吸気位相差DINに基づき同期噴射開始時期Isを設定してもよい。また、負荷を示すパラメータとして、充填効率ηに代えて、たとえばベース噴射量Qbを用いてもよい。また、回転速度NE、負荷、水温THWおよび吸気位相差DINの4つのパラメータに関しては、そのうちの3つのパラメータのみに基づき、到達終了時期や同期噴射開始時期Isを可変設定したり、2つのパラメータのみに基づき可変設定したり、1つのパラメータのみに基づき可変設定したりしてもよい。
・「シングル噴射処理について」
上記実施形態では、シングル噴射処理を、吸気バルブ18の開弁前にすべての燃料の噴射を終了するものとしたがこれに限らない。たとえば、要求噴射量Qdが大きい場合には、噴射の終了タイミングが吸気バルブ18の開弁タイミングよりも遅角側となることがあってもよい。なお、シングル噴射処理を実行することは必須ではない。
・「要求噴射量の分割手法について」
上記実施形態では、回転速度NE、充填効率η、水温THWおよび吸気位相差DINに基づき、ベース噴射量Qbのうちの同期噴射量Qsの占める割合を示す同期噴射割合Ksを可変設定したが、これに限らない。たとえば、燃焼室24内に充填される新気量を示すパラメータである負荷パラメータとして、充填効率ηに代えて、要求噴射量Qdを用いてもよい。また、負荷パラメータと回転速度NEと水温THWと吸気位相差DINとの4つのパラメータについては、それらのうちの3つパラメータのみに基づき可変設定したり、2つのパラメータのみに基づき可変設定したり、1つのパラメータのみに基づき可変設定したりしてもよい。なお、この際、負荷パラメータおよび水温THWのうちの少なくとも1つを極力用いて可変設定することが望ましい。また、上記4つのパラメータ以外にたとえば、吸気圧や、吸入空気の流速を用いてもよい。ただし、上記4つのパラメータによれば、吸気圧や吸入空気の流速を把握することができる。
また、非同期噴射割合Knsを、要求噴射量から過渡補正量ΔQを除いた値のうちの非同期噴射量Qnsが占める割合を示す量とすること自体必須ではない。たとえば、非同期噴射割合Knsを、ベース噴射量Qbのうちの非同期噴射量Qnsが占める割合を示す量としてもよい。この場合、「Kns+Ks=1」が成立する。なお、この場合、最終的な非同期噴射量Qnsは、「Qb・Kns+Qb・(Kc・Kw-1)+ΔQ」とすればよい。
また、同期噴射割合Ksを定めること自体、必須ではない。たとえば上記実施形態やその変形例において同期噴射割合Ksを定めたパラメータに基づき、同期噴射量Qsを算出してもよい。この場合、非同期噴射量Qnsは、「Qb・Kc・Kw+ΔQ-Qs」とすればよい。
・「外乱燃料割合、蒸気割合」
たとえば、パージ濃度学習値Lpや希釈濃度学習値Ldを算出する代わりに、パージ通路68およびブローバイガス通路52の少なくとも一方に、流量センサとHCセンサとを備えて、それら一対のセンサの検出値に基づき、燃料蒸気の流量を算出し、これに基づき、燃焼室24内に流入する燃料量に対する燃料蒸気の割合を算出してもよい。この場合であっても、燃料蒸気の割合に応じて、ベース噴射量Qbの減量補正係数や減量補正比率、減量補正量を算出することができる。
・「操作処理について」
図7には、水温THWが高い場合に対する低い場合の非同期噴射量Qnsの増量比率がゼロよりも大きく、且つ同期噴射量Qsの増量比率がゼロである場合を例示したがこれに限らない。たとえば、低温増量係数Kwによる増量量「(Kw-1)・Kc・Qb」のうちの1パーセントに限って、同期噴射量Qsに割り振ってもよい。
図8には、キャニスタ64から燃焼室24内に流入した燃料蒸気の割合が小さい場合に対する大きい場合の非同期噴射量Qnsの減量比率がゼロよりも大きく、同期噴射量Qsの減量比率がゼロである場合を例示したが、これに限らない。たとえば、パージ補正比率Dpのうちの1パーセントに限って、同期噴射量Qsに割り振ってもよい。
図9には、定常時に対する過渡時の非同期噴射量Qnsの補正比率の絶対値をゼロよりも大きくし、同期噴射量Qsの補正比率の絶対値をゼロとしたが、これに限らない。たとえば過渡補正量ΔQの1パーセントに限って、同期噴射量Qsに割り振ってもよい。
・「パージ制御処理について」
上記実施形態では、目標パージ率Rpを、充填効率ηに応じて可変設定したが、目標パージ率Rpを可変設定するパラメータとしては、充填効率ηに限らない。また、目標パージ率Rpを固定値としてもよい。また、パージバルブ66の開口度を全閉または所定の開口度に2値的に制御するものであってもよい。
・「調整装置について」
キャニスタから吸気通路への流体の流量を調節する調節装置としては、パージバルブ66に限らない。たとえば、キャニスタ64内の流体を吸引して吸気通路12に吐出するポンプを備えて調節装置を構成してもよい。ポンプを備える構成は、内燃機関10が過給機を備える場合に特に有効である。
・「吸気バルブの特性可変装置について」
吸気バルブ18の特性を変更する特性可変装置としては、吸気側バルブタイミング調整装置44に限らない。たとえば、吸気バルブ18のリフト量を変更するものであってもよい。この場合、吸気バルブ18のバルブ特性を示すパラメータは、吸気位相差DINに代えて、リフト量等となる。
・「制御装置について」
制御装置がCPU72とROM74とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、制御装置は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア処理回路や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。すなわち、上記処理は、1または複数のソフトウェア処理回路および1または複数の専用のハードウェア回路の少なくとも一方を備えた処理回路によって実行されればよい。
・「そのほか」
内燃機関10が吸気バルブ18の特性を変更する特性可変装置を備えることは必須ではない。内燃機関10がスロットルバルブ14を備えることは必須ではない。
10…内燃機関、12…吸気通路、14…スロットルバルブ、16…ポート噴射弁、18…吸気バルブ、20…シリンダ、22…ピストン、24…燃焼室、26…点火装置、28…クランク軸、30…排気バルブ、32…排気通路、34…触媒、38…タイミングチェーン、40…吸気側カム軸、42…排気側カム軸、44…吸気側バルブタイミング調整装置、50…クランクケース、52…ブローバイガス通路、54…PCVバルブ、60…燃料タンク、62…燃料ポンプ、64…キャニスタ、66…パージバルブ、68…パージ通路、70…制御装置、72…CPU、74…ROM、76…不揮発性メモリ、78…電源回路、80…クランク角センサ、82…空燃比センサ、84…吸気側カム角センサ、86…エアフローメータ、88…水温センサ。

Claims (12)

  1. 吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁を備える内燃機関に適用され、
    前記内燃機関の気筒内に充填される新気量に比例した噴射量であるベース噴射量を算出するベース噴射量算出処理と、
    吸気バルブの開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射の噴射量である同期噴射量と、前記吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射の噴射量である非同期噴射量とに、前記ベース噴射量を分割する分割処理と、
    前記ベース噴射量の補正要求量を出力する補正要求量出力処理と、
    前記補正要求量に応じて前記非同期噴射量を補正し、前記同期噴射量を補正しない選択的補正処理と、
    前記同期噴射量および前記補正のなされた非同期噴射量に応じて前記ポート噴射弁を操作する操作処理と、を実行する内燃機関の制御装置。
  2. 前記補正要求量は、1燃焼サイクル内において前記内燃機関の燃焼室に流入する燃料量のうちの前記ポート噴射弁から噴射される燃料以外に前記燃焼室に流入する燃料量の割合である外乱燃料割合に基づくフィードフォワード制御によって、前記外乱燃料割合が大きい場合に小さい場合よりも前記ベース噴射量の減量量を大きくするための要求量を含む請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記内燃機関は、前記ポート噴射弁から噴射される燃料を貯蔵する燃料タンクからの燃料蒸気を捕集するキャニスタと、前記キャニスタ内の流体の前記吸気通路への流入量を調整する調整装置と、を備え、
    前記調整装置を操作して、前記キャニスタから前記吸気通路に流入する燃料蒸気の流量を制御する流量制御処理を実行し、
    前記補正要求量は、前記外乱燃料割合としての前記吸気通路内の流体に占める燃料蒸気の流量の割合である蒸気割合が大きい場合に小さい場合よりも前記ベース噴射量の減量量を大きくするための要求量を含む請求項2記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記補正要求量は、前記内燃機関の温度が低い場合に高い場合よりも前記ベース噴射量の増量量を大きくするための要求量を含む請求項1~3のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記補正要求量は、前記内燃機関の排気通路に設けられた空燃比センサの検出値を目標値にフィードバック制御するための操作量に応じて前記ベース噴射量を補正するための要求量を含む請求項1~4のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記補正要求量は、前記充填される新気量が変化する過渡時において、前記新気量の変化に応じて前記ベース噴射量を補正するための要求量を含む請求項1~5のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  7. 吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁を備える内燃機関に適用され、
    前記内燃機関の気筒内に充填される新気量に基づき、空燃比を目標空燃比に制御するための要求噴射量を設定する要求噴射量設定処理と、
    吸気バルブの開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射の噴射量である同期噴射量と、前記吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射の噴射量である非同期噴射量とに、前記要求噴射量を分割し、前記非同期噴射量の燃料および前記同期噴射量の燃料を順次噴射すべく前記ポート噴射弁を操作する操作処理と、を実行し、
    前記操作処理は、前記内燃機関の温度が低い場合に高い場合よりも前記要求噴射量を増量し、前記内燃機関の温度が高い場合に対して低い場合の前記非同期噴射量の増量比率よりも前記内燃機関の温度が高い場合に対して低い場合の前記同期噴射量の増量比率を小さくする処理を含む内燃機関の制御装置。
  8. 前記操作処理は、1燃焼サイクル内において前記内燃機関の燃焼室に流入する燃料量のうちの前記ポート噴射弁から噴射される燃料以外に前記燃焼室に流入する燃料量の割合である外乱燃料割合が大きい場合に小さい場合よりも前記要求噴射量を減量し、前記外乱燃料割合が小さい場合に対する大きい場合の前記非同期噴射量の減量比率よりも前記外乱燃料割合が小さい場合に対する大きい場合の前記同期噴射量の減量比率を小さくする処理を含む請求項7記載の内燃機関の制御装置。
  9. 前記内燃機関は、前記ポート噴射弁から噴射される燃料を貯蔵する燃料タンクからの燃料蒸気を捕集するキャニスタと、前記キャニスタ内の流体の前記吸気通路への流入量を調整する調整装置と、を備え、
    前記調整装置を操作して、前記キャニスタから前記吸気通路に流入する燃料蒸気の流量を制御する流量制御処理を実行し、
    前記操作処理は、前記外乱燃料割合としての前記吸気通路内の流体の流量に占める燃料蒸気の流量の割合である蒸気割合が大きい場合に小さい場合よりも前記要求噴射量を減量し、前記蒸気割合が小さい場合に対する大きい場合の前記非同期噴射量の減量比率よりも前記蒸気割合が小さい場合に対する大きい場合の前記同期噴射量の減量比率を小さくする処理を含む請求項8記載の内燃機関の制御装置。
  10. 吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁を備える内燃機関に適用され、
    前記内燃機関の気筒内に充填される新気量に基づき、空燃比を目標空燃比に制御するための要求噴射量を設定する要求噴射量設定処理と、
    吸気バルブの開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射の噴射量である同期噴射量と、前記吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射の噴射量である非同期噴射量とに、前記要求噴射量を分割し、前記非同期噴射量の燃料および前記同期噴射量の燃料を順次噴射すべく前記ポート噴射弁を操作する操作処理と、を実行し、
    前記操作処理は、1燃焼サイクル内において前記ポート噴射弁から噴射される燃料以外に前記内燃機関の燃焼室に流入する燃料量の割合である外乱燃料割合が大きい場合に小さい場合よりも前記要求噴射量を減量し、前記外乱燃料割合が小さい場合に対する大きい場合の前記非同期噴射量の減量比率よりも前記外乱燃料割合が小さい場合に対する大きい場合の前記同期噴射量の減量比率を小さくする処理を含む内燃機関の制御装置。
  11. 前記操作処理は、前記充填される新気量が変化する過渡時において前記要求噴射量を補正し、前記過渡時における前記非同期噴射量の補正比率の絶対値よりも前記過渡時における前記同期噴射量の補正比率の絶対値を小さくする処理を含む請求項7~9のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  12. 吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁を備える内燃機関に適用され、
    前記内燃機関の気筒内に充填される新気量に基づき、空燃比を目標空燃比に制御するための要求噴射量を設定する要求噴射量設定処理と、
    吸気バルブの開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射の噴射量である同期噴射量と、前記吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射の噴射量である非同期噴射量とに、前記要求噴射量を分割し、前記非同期噴射量の燃料および前記同期噴射量の燃料を順次噴射すべく前記ポート噴射弁を操作する操作処理と、を実行し、
    前記操作処理は、前記充填される新気量が変化する過渡時において前記要求噴射量を補正し、前記過渡時における前記非同期噴射量の補正比率の絶対値よりも前記過渡時における前記同期噴射量の補正比率の絶対値を小さくする処理を含む内燃機関の制御装置。
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