JP7155884B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
またたとえば下記特許文献2には、触媒装置(排気浄化装置)の暖機要求がある場合、一部の気筒を、空燃比が理論空燃比よりもリッチであるリッチ燃焼気筒とし、残りの気筒を、空燃比が理論空燃比よりもリーンであるリーン燃焼気筒とするディザ制御処理を実行する制御装置が記載されている。
以下、第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示す内燃機関10において、吸気通路12には、ポート噴射弁14が設けられている。吸気通路12から吸入された空気やポート噴射弁14から噴射された燃料は、吸気バルブ16の開弁に伴って、気筒#1~#4のそれぞれの燃焼室18に流入する。燃焼室18には、火花放電を生じさせる点火装置20が設けられている。燃焼室18において、空気と燃料との混合気は、燃焼に供され、燃焼に供された混合気は、排気バルブ22の開弁に伴って、排気として、排気通路24に排出される。排気通路24には、酸素吸蔵能力を有した三元触媒26が設けられている。
ベース噴射量算出処理M10は、充填効率ηに基づき、燃焼室18内の混合気の空燃比を目標空燃比とするための燃料量のベース値であるベース噴射量Qbを算出する処理である。詳しくは、ベース噴射量算出処理M10は、たとえば充填効率ηが百分率で表現される場合、空燃比を目標空燃比とするための充填効率ηの1%当たりの燃料量QTHに、充填効率ηを乗算することによりベース噴射量Qbを算出する処理とすればよい。ベース噴射量Qbは、燃焼室18内に充填される空気量に基づき、空燃比を目標空燃比に制御するために算出された燃料量である。ちなみに、目標空燃比は、たとえば理論空燃比とすればよい。なお、充填効率ηは、燃焼室18内に充填される空気量を示すパラメータであり、CPU32により、吸入空気量Gaおよび回転速度NEに基づき算出される。なお、回転速度NEは、CPU32により、クランク角センサ42の出力信号Scrに基づき算出される。
分割比率算出処理M16は、要求噴射量Qdの燃料を、吸気非同期噴射と吸気同期噴射とによって噴射する際の吸気同期噴射量の割合である分割比率Kを算出する処理である。
図2に戻り、分割後第1噴射量算出処理M18は、要求噴射量Qdに「1-K」を乗算することによって、1回目の噴射量(分割後第1噴射量)を算出する処理である。分割後第2噴射量算出処理M20は、要求噴射量Qdに分割比率Kを乗算することによって、2回目の噴射量(分割後第2噴射量)を算出する処理である。分割後第1噴射量は、常時、気筒#1~#4の吸気非同期噴射の噴射量指令値(非同期噴射量指令値Qns*)となる。
噴射弁操作処理M42は、吸気非同期噴射の噴射時期においてポート噴射弁14に操作信号MS1を出力し、ポート噴射弁14から噴射される燃料量が非同期噴射量指令値Qns*となるようにポート噴射弁14を操作する処理である。また、噴射弁操作処理M42は、リッチ燃焼気筒とされる気筒#wの吸気同期噴射の噴射時期においてポート噴射弁14に操作信号MS1を出力し、ポート噴射弁14から噴射される燃料量が同期噴射量指令値Qs*(#w)に応じた量となるようにポート噴射弁14を操作する処理である。さらに、噴射弁操作処理M42は、リーン燃焼気筒とされる気筒#x,#y,#zの吸気同期噴射の噴射時期において操作信号MS1をポート噴射弁14に出力し、ポート噴射弁14から噴射される燃料量が同期噴射量指令値Qs*(#x,#y,#z)に応じた量となるようにポート噴射弁14を操作する処理である。
Qs*(#x,#y,#z)=K・Qd-(α/3)・Qd…(c1)
したがって、同期噴射量指令値Qs*(#x,#y,#z)が最小噴射量Qmin以上である旨の条件は、下記の式(c2)となる。
上記の式(c2)により、分割比率Kが満たすべき条件は、下記の式(c3)となる。
K≧{Qmin+(α/3)・Qd}/Qd…(c3)
したがって、分割比率Kを「{Qmin+(α/3)・Qd}/Qd」とすることにより、リーン燃焼気筒とされる気筒#x,#y,#zにおける同期噴射量指令値Qs*(#x,#y,#z)を最小噴射量Qmin以上とする条件下、分割比率Kを最小とすることができる。
ここで、本実施形態の作用および効果について説明する。
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
このように、本実施形態によれば、分割比率Kを第1の実施形態の場合よりも大きくしつつも、プラグ被りが生じる場合には、分割比率Kを減少させることによって、プラグにカーボンが付着するいわゆるプラグ燻りが生じることを抑制できる。
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。[1,2,5]排気浄化装置は、三元触媒26に対応する。ディザ制御処理は、噴射量補正要求値αが「0」よりも大きい場合における、要求値出力処理M30、リッチ側ディザ補正量算出処理M32、リッチ側ディザ補正処理M34、乗算処理M36、リーン側ディザ補正量算出処理M38、リーン側ディザ補正処理M40、および噴射弁操作処理M42に対応する。増加処理は、図4のS14の処理や、図5のS22の処理に対応する。[3]同期側優先処理は、分割後第2噴射量「K・Qd」が噴射量補正要求値αによって補正されている一方、分割後第1噴射量「(1-K)・Qd」が噴射量補正要求値αによって補正されていないことに対応する。[4]判定処理は、S30の処理に対応し、減少処理は、S32の処理に対応する。
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
図4の処理では、分割比率Kを、リーン燃焼気筒とされる気筒#x,#y,#zにおける同期噴射量指令値Qs*(#x,#y,#z)を最小噴射量Qmin以上とする条件下、分割比率Kを最小とする値に算出したが、これに限らない。たとえば、内燃機関10の動作点を規定する回転速度NEおよび充填効率ηに応じて分割比率Kを可変設定してもよい。
上記実施形態では、分割された要求噴射量である分割後第1噴射量「(1-K)・Qd」に対するリッチ燃焼気筒の増量補正量を「0」とし、分割後第2噴射量「K・Qd」に対するリッチ燃焼気筒の増量補正量を「α・Qd」としたが、これに限らない。たとえば、リッチ燃焼気筒における要求噴射量Qdに対する増量補正量「α・Qd」のうちの「0」以上「1/2」未満の所定量については、分割後第1噴射量「(1-K)・Qd」に対するリッチ燃焼気筒の非同期噴射量指令値Qns*(#w)の増量補正量としてもよい。
上記実施形態では、燃焼室18における混合気の着火性の低下の有無を、回転変動量Δωに基づき判定したが、これに限らない。たとえば、燃焼室18内の圧力を検出する筒内圧センサを備え、筒内圧センサの検出値に基づき、着火性の低下の有無を判定してもよい。
上記実施形態では、着火性の低下がある旨判定される場合、リーン燃焼気筒の噴射量が最小噴射量となるまで分割比率Kを段階的に減少させたが、これに限らない。たとえば、分割比率Kを、一度のみ、ステップ的に減少させてもよい。
要求噴射量算出処理としては、開ループ操作量としてのベース噴射量Qbを算出するベース噴射量算出処理M10と、フィードバック操作量を算出するフィードバック処理M12とからなるものに限らない。たとえば、ベース噴射量算出処理M10のみから構成してもよい。
噴射量補正要求値αを、回転速度NEおよび充填効率ηに加えて、水温THWに基づき可変設定してもよい。またたとえば、回転速度NEおよび水温THW、または充填効率ηおよび水温THWの2つのパラメータのみに基づいて可変設定してもよく、またたとえば、上記3つのパラメータのうちの1つのパラメータのみに基づいて可変設定してもよい。また、たとえば内燃機関10の動作点を規定するパラメータとして回転速度NEおよび充填効率ηを用いる代わりに、負荷としての充填効率ηに代えて、たとえば負荷としてのアクセル操作量を用いてもよい。また、回転速度NEおよび負荷に代えて、吸入空気量Gaに基づき可変設定してもよい。
上記実施形態では、リッチ燃焼気筒の数よりもリーン燃焼気筒の数を多くしたが、これに限らない。たとえば、リッチ燃焼気筒の数とリーン燃焼気筒の数とを同一としてもよい。またたとえば、全ての気筒#1~#4を、リーン燃焼気筒かリッチ燃焼気筒かにするものに限らず、たとえば1つの気筒の空燃比を目標空燃比としてもよい。さらに、クランク軸が2回転する期間において気筒#1~#4のそれぞれに充填される空気量が同一であるなら内燃機関10の気筒#1~#4のそれぞれにおいて燃焼対象となる混合気を1つに集めた場合の空燃比が目標空燃比と同一となる制御であることも必須ではない。たとえば、5ストローク内に燃焼行程となる気筒のそれぞれに充填される空気量が同一であるなら5ストローク内に燃焼行程となる気筒のそれぞれにおいて燃焼対象となる混合気を1つに集めた場合の空燃比が目標空燃比と同一となる制御であってもよい。またたとえば3ストローク内に燃焼行程となる気筒に充填される空気量が同一であるならそれら3ストローク内に燃焼行程となる3つの気筒のそれぞれにおいて燃焼対象となる混合気を1つに集めた場合の空燃比が目標空燃比と同一となる制御であってもよい。ただし、リッチ燃焼気筒の燃焼行程とリーン燃焼気筒の燃焼行程との双方が出現する期間が少なくともクランク軸が4回転する期間に1回以上は生じることが望ましい。換言すれば、所定期間において燃焼行程となる気筒に充填される空気量が同一であるならそれら気筒のそれぞれにおいて燃焼対象となる混合気を1つに集めた場合の空燃比が目標空燃比と同一となる制御において、所定期間をクランク軸が4回転する期間以下とすることが望ましい。ここで、たとえば所定期間をクランク軸が4回転する期間として4回転する間に1度だけリッチ燃焼気筒の燃焼行程が出現する場合、リッチ燃焼気筒の燃焼行程とリーン燃焼気筒の燃焼行程との出現順序は、リッチ燃焼気筒をR、リーン燃焼気筒をLとすると、たとえば「R,L,L,L,L,L,L,L」となる。この場合、所定期間よりも短いクランク軸が2回転する期間であって「R,L,L,L」となる期間が設けられており、気筒#1~#4のうちの一部がリッチ燃焼気筒であり、別の気筒がリーン燃焼気筒となっている。
ディザ制御処理による昇温要求としては、上記実施形態において例示したものに限らない。たとえば、「排気浄化装置について」の欄に記載したように、GPFを備える場合、GPFの昇温要求であってもよい。またたとえば、排気通路24への凝縮水の付着を抑制すべく排気通路24を昇温するためにディザ制御による排気の昇温要求を生じさせてもよい。ただし、ディザ制御処理による昇温要求を生じさせる機会を増加させる場合、ディザ制御処理をする都度、マルチ噴射処理とするなど、分割比率Kを増加させることは必須ではない。たとえば、ディザ制御処理を実行して且つ吸気系の温度が規定温度以下の場合に限って、分割比率Kを増加させてもよい。
排気浄化装置としては、三元触媒26のみからなるものに限らない。たとえば、三元触媒26の下流にガソリンパティキュレートフィルタ(GPF)を備えてもよい。また、たとえば、GPFの下流に三元触媒を備えるものであってもよい。またたとえば、GPFのみを備えるものであってもよい。ただしGPFの上流に酸素吸蔵能力を有する触媒を備えない場合、ディザ制御による昇温能力を高めるうえでは、GPFに酸素吸蔵能力を付与することが望ましい。
制御装置としては、CPU32とROM34とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、制御装置は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア処理回路や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。すなわち、上記処理は、1または複数のソフトウェア処理回路および1または複数の専用のハードウェア回路の少なくとも一方を備えた処理回路によって実行されればよい。
内燃機関としては、4気筒の内燃機関に限らない。たとえば直列6気筒の内燃機関であってもよい。またたとえば、V型の内燃機関等、第1の排気浄化装置と第2の排気浄化装置とを備え、それぞれによって排気が浄化される気筒が異なるものであってもよい。また、過給機を備えるものであってもよい。ちなみに、過給機を備える内燃機関の場合、排気中の熱が過給機で奪われることによってその下流に位置する排気浄化装置の温度が上昇しにくいことから、ディザ制御を利用することが特に有効である。
Claims (4)
- 吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁と、複数の気筒から排出された排気を浄化する排気浄化装置と、を備える内燃機関を制御対象とし、
空燃比を目標空燃比に制御するために1燃焼サイクル内に要求される噴射量である要求噴射量の燃料を算出する要求噴射量算出処理と、
前記複数の気筒のうちの一部の気筒を、前記要求噴射量を増量補正することによって空燃比が理論空燃比よりもリッチであるリッチ燃焼気筒とし、前記複数の気筒のうちの前記一部の気筒とは別の気筒を、前記要求噴射量を減量補正することによって空燃比が理論空燃比よりもリーンであるリーン燃焼気筒とすべく、前記ポート噴射弁を操作するディザ制御処理と、
1燃焼サイクルにおいて実行されうる燃料噴射である、吸気バルブの開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射と、前記吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射とに前記要求噴射量の燃料が割り振られた場合の前記吸気同期噴射に割り振られた噴射量の比率である分割比率を、前記ディザ制御処理を実行する場合に増加させる増加処理と、を実行し、
前記増加処理は、前記リーン燃焼気筒および前記リッチ燃焼気筒の双方の燃料噴射に対して実行される内燃機関の制御装置。 - 前記ディザ制御処理を実行しない場合に前記分割比率を「0」とし、
前記増加処理は、前記ディザ制御処理を実行する場合に、前記分割比率を、「0」から「0」よりも大きく「1」よりも小さい値に増加させる処理である請求項1記載の内燃機関の制御装置。 - 前記吸気非同期噴射と前記吸気同期噴射とに分割された要求噴射量の前記リッチ燃焼気筒における増量補正量を、前記吸気同期噴射の方が前記吸気非同期噴射よりも大きくする同期側優先処理を実行する請求項1または2記載の内燃機関の制御装置。
- 前記ディザ制御処理は、前記複数の気筒のうちの一部の気筒を前記リッチ燃焼気筒とし、前記複数の気筒のうちの前記一部の気筒とは別の気筒を前記リーン燃焼気筒とする期間を含んだ所定期間において、前記リーン燃焼気筒における前記要求噴射量に対する減量比率の前記リーン燃焼気筒の燃焼行程の出現回数分の和と、前記リッチ燃焼気筒における前記要求噴射量に対する増量比率の前記リッチ燃焼気筒の燃焼行程の出現回数分の和とが等しくなるようにする処理であり、
前記増加処理は、前記リーン燃焼気筒の前記吸気同期噴射の噴射量が前記ポート噴射弁の最小噴射量となるように前記分割比率を増加させる処理を含む請求項2記載の内燃機関の制御装置。
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