JP7397824B2 - 車体構造 - Google Patents
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Description
たとえば、特許文献1に提案された車体構造では、バンパービーム取り付け部材を、筒状のバンパービームエクステンションと、板状の取り付けプレートとで構成し、MIG溶接を用いて接合する技術が提案されている。
T字接手は、MIG溶接による付合接手、重ね隅肉接手と比較して溶接強度が低くなる傾向にある。
このため、要求される溶接強度を得るために、溶接個所の長さを延長する、板厚を増大させる等の対応が必要となり、重量増とコスト増をもたらす恐れがある。
また、バンパービーム中央に荷重が加わった場合、バンパービームの側方端部に前方へ移動するような荷重が相対的に加わることが判明している。そして、このような前方へ移動するような荷重が掛かった際には、T字接手部分が、分裂する可能性がある。
本発明の第1実施形態の車体構造S1について、図1~図5を参照して詳細に説明する。
なお、説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
また、以下の説明においては、「車両前後方向外側」とは、相対的に車室から離れる方向を指し、「車両前後方向車室側」とは、相対的に車室に近づく方向を指している。
なお、車室は、車両中央に設定され、乗員が乗車するための空間である。
また、荷室は、エンジンなどの動力源となる機器が主に収容される空間であり、所謂エンジンルームである。
フロントサイドフレーム(サイドフレーム)は、荷室内における両側部に配置されており、車室に支持されつつ、車両前後方向に沿って延在する構造材である。
フロントサイドフレームには、エンジン(図示せず)等の機器が設置されている。
バンパービームBBは、ビーム本体B1、ビームフランジB2、ビーム側帯接合片B3を備えている。
ビーム本体B1は、矩形溝形状を有しており、矩形溝が車両前方(車両前後方向外側)に向かって開口しつつ、溝底部B4が車両後方に面するとともに、車幅方向に沿って延在するように配置されている。
また、ビームフランジB2は、ビーム本体B1の溝開口縁から溝外側に向かって延出されている。
これによって、バンパービームBBは、ビームフランジB2とビーム本体B1とによって、断面略ハット形状を呈している。
ビーム側帯接合片B3は、バンパービームBBの車幅方向の両端部から車両後方に向かって平板状に延出されている。
このため、エクステンションEXは、バンパービームBBの溝底部B4に接合されつつ、フロントサイドフレームの突端に、ボルトBLT等を用いて、交換可能に設置されている。
つまり、エクステンションEXは、バンパービームBBとフロントサイドフレームとの間に挟持されている。
固定板10は、板状部材からなり、車両前後方向に面して配置されている(図1~図4参照)。
固定板10は、固定本体11、固定フランジ12、固定側帯接合片13、回し込み部14、固定本体側帯接合部15を備えている。
固定本体11は、平板形状を呈しつつ、後述する圧潰体20の筒孔に連通するように、作業孔11aが開口している。
作業孔11aは、スポット溶接に使用する電極が挿通可能な孔形状に設定されている。
固定フランジ12は、固定本体11の上縁部と下縁部とに設定されており、複数のボルト挿通孔12aが開口している。
固定フランジ12は、ボルト挿通孔12aを貫通するボルトBLT等をフロントサイドフレームの前端部(突端)に螺着することで、フロントサイドフレームに固定される。
固定側帯接合片13は、固定本体11の車幅方向外側縁部から、前方(車両前後方向外側)に向かって延出している。
つまり、固定側帯接合片13は、固定本体11とともに、断面略L字形状を形成している。
固定側帯接合片13の前方への延出量は、スポット溶接が可能な寸法に設定されている。
回し込み部14は、角部分の後方に膨らみつつ、円弧状に湾曲している。
これによって、回し込み部14と圧潰体20との間には、隙間が形成されている。
固定本体側帯接合部15は、連結帯30の後端部(車両前後方向における車室側端部)の接合部位として、回し込み部14を挟んで、固定側帯接合片13の反対側(固定本体11側)に設定されている。
圧潰体20は、圧潰本体21、圧潰側フランジ接合片22、圧潰側ビーム接合片23、圧潰側帯接合片24を備えている。
圧潰本体21は、折り曲げ加工が施された複数の板状部材を一体に接合することで構成されている。
また、圧潰本体21は、連結帯30と一体に接合されて、略角筒形状を形成している。
そして、圧潰本体21は、筒孔が車両前後方向に沿って通じるように、固定本体11の前方に面した板面上に配置されている。
圧潰本体21の後端部は、固定本体11の前方に面した板面上に突き当てられた状態で、MIG溶接されている。
つまり、圧潰本体21と固定板10とは、T字接手で接合されている。
圧潰本体21は、圧潰ビード21aを備えている。
圧潰ビード21aは、圧潰本体21へのプレス加工によって形成される凹凸で構成されている。
圧潰側ビーム接合片23は、バンパービームBBの溝底部B4、および溝壁部B5に接合(スポット溶接)される部位として設定されている。
圧潰側帯接合片24は、連結帯30に接合(スポット溶接)される部位として設定されており、圧潰本体21の車幅方向外側縁部に形成されている。
連結帯30は、板状部材からなり、車幅方向に面しつつ、車両前後方向に延在している。
また、連結帯30は、エクステンションEXの車幅方向外側の壁部を構成し、圧潰本体21とともに筒形状を形成している。
連結帯30は、連結本体31、帯側ビーム接合片32、帯側圧潰接合片33、帯側固定接合片34、帯側固定本体接合片35、帯側回し込み部36を備えている。
連結ビード31aは、所定の荷重が車両前後方向に沿って入力された場合に、前述の圧潰ビード21aとともに、潰れる起点になる部位として設定されている。
連結ビード31aは、連結本体31へのプレス加工によって形成され、車幅方向に突没しつつ、上下方向に沿って畝状に延在するように形成されている。
つまり、連結ビード31aと圧潰ビード21aとは、車幅方向に並んで配置されている。
帯側圧潰接合片33は、圧潰体20の圧潰側帯接合片24に接合(スポット溶接)される部位として設定されており、連結本体31の上縁部、および下縁部に形成されている。
帯側固定接合片34は、固定板10の固定側帯接合片13に接合(スポット溶接)される部位として設定されている。
帯側固定接合片34は、連結本体31の後縁部から後方へ延在している。
帯側固定本体接合片35は、帯側固定接合片34の後縁部から車幅方向内側へ延出している。
帯側固定本体接合片35は、帯側固定接合片34とともに、略L字形状を形成している。
つまり、連結帯30には、固定板10に対する接合点が、2箇所に設定されている。
帯側回し込み部36は、回し込み部14の外周面に倣って円弧状に湾曲しつつ、重ねられている。
まず、固定板10の回し込み部14に、外周側から連結帯30の帯側回し込み部36を重ねる。
そして、固定本体側帯接合部15と帯側固定本体接合片35とをスポット溶接するとともに、固定側帯接合片13と帯側固定接合片34とをスポット溶接する。
そして、圧潰側帯接合片24と帯側圧潰接合片33とをスポット溶接する。
また、圧潰体20と固定板10の前方に面した板面とがT字接手となるように、MIG溶接を行う。
ここまでの工程で、エクステンションEXの組立てが完成する。
そして、ビーム側帯接合片B3と帯側ビーム接合片32とをスポット溶接する。
また、固定板10の作業孔11aにスポット溶接の電極を挿入しつつ、ビームフランジB2と圧潰側ビーム接合片23とをスポット溶接する。
ここまでの工程で、バンパービームBBへのエクステンションEXの設置が完了する。
以上の工程で、フロントサイドフレームへのバンパービームBB、およびエクステンションEXの設置が完了する。
本実施形態の車体構造S1では、バンパービームBBとフロントサイドフレーム(図示せず)との間に、エクステンションEXが配置されている。
そして、バンパービームBBの車幅方向外側端部と、エクステンションEXの固定板10の車幅方向外側端部とが、連結帯30によって一体に連続している。
つまり、固定板10、連結帯30、バンパービームBBが、一枚板のように連続するとともに、圧潰体20を車幅方向外側から前後に跨ぐように屈曲した状態で配置されている。
また、バンパービームBBに対して、固定板10から離間する方向(後方から前方)に作用する荷重(引っ張り荷重)が入力された場合、連結帯30を介して、固定板10に作用する。
これによって、バンパービームBBに対して、引っ張り荷重が作用した場合であっても、圧潰体20と固定板10との間の接合が保持され、固定板10からの圧潰体20の離脱を抑制することができる。
そして、帯側固定接合片34の後端部に設けられた帯側固定本体接合片35が車幅方向内側へ略L字形状に屈曲しつつ、車幅方向外側から固定板10に重ねられている。
帯側固定本体接合片35は、固定板10の車両後方に面した板面(車室側に面した板面)に設定された固定本体側帯接合部15に接合されている。
これによって、引っ張り荷重が分散し、帯側固定接合片34に作用する荷重を低減することができる。
また、固定板10は、固定側帯接合片13が車両前方へ屈曲し、車幅方向外側への張り出しが抑制されていることから、荷室内におけるレイアウト性が向上する。
これによって、組立作業性を損なうことなく、帯側固定本体接合片35と固定本体側帯接合部15との接合を行うことができる。
これによって、重量の増加、製造コストの増大をもたらすことなく、引っ張り荷重に対してより強力な接合強度を発揮することができる。
そして、回し込み部14には、後側へ膨出しつつ屈曲し、圧潰体20との間に隙間が形成されている。
このような構成によって、バンパービームBBを介して、連結帯30に引っ張り荷重が作用した際に、回し込み部14の変形が許容され、連結帯30の断裂が抑制される。
これによって、エクステンションEXは、設定された荷重特性を発揮することができる。
このような構成によって、連結帯30とバンパービームBBとのスポット溶接、連結帯30と固定板10とのスポット溶接を行うことができる。
これによって、組立作業性を損なうことなく、接合作業を行うことができる。
このような構成とすることによって、バンパービームBBを介して、エクステンションEXに車両前方からの衝突荷重が入力された際に、連結ビード31aをきっかけにして圧潰体20をスムーズに潰すことができる。
また、バンパービームBBを介して、エクステンションEXに引っ張り荷重が作用した場合、連結ビード31aが引き伸ばされて、連結帯30の断裂が抑制される。
これによって、圧縮荷重、および引っ張り荷重のどちらが入力された場合であっても、エクステンションEXは、設定された荷重特性を発揮することができる。
そして、連結ビード31aは、圧潰ビード21aと車幅方向に並んで配置されている。
このような構成によって、衝突荷重が入力された際に、圧潰ビード21aと連結ビード31aとが起点となって、圧潰体20が精度よく、スムーズに潰されて、衝突荷重を吸収することができる。
たとえば、図6に示すように、帯側ビーム接合片32にビーム側帯接合片B3が重なる部位に対してMIG溶接を行い、重ね隅肉接手とする手法を採用することが可能である。
そして、このような形態であっても、本実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
たとえば、車室の後方に設定された荷室の後端部の構造に採用することが可能であり、本実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
次に、本発明の第2実施形態について、図7を参照して説明する。
なお、説明において、前述の第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態の車体構造S2では、固定板10、および連結帯30の構成が、前述の第1実施形態の車体構造S1と異なる。
これに対して、本実施形態では、連結帯が、固定板10の一部分を構成することで、一体に連続する構成となっている。
つまり、固定板10には、固定側帯接合片13の代わりに、連結本体41が回し込み部14の車幅方向外側端部から前方に向かって延出している。
そして、帯側ビーム接合片42は、ビーム側帯接合片B3に接合され、帯側圧潰接合片43は、圧潰側帯接合片24に接合されている。
また、連結本体41が、固定板10から延出する構成となっていることから、部品点数の削減、および接合工程の削減を図ることができる。
次に、本発明の第3実施形態について、図8を参照して説明する。
なお、説明において、前述の第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態の車体構造S3では、固定板10、および連結帯30の構成が、前述の第1実施形態の車体構造S1と異なる。
これにより、固定板10と連結帯30とを接合する接合点が、第1実施形態よりも減少するため、固定側帯接合片13が車両前方へ延長されている。
そして、固定側帯接合片13が延長されたことで、固定側帯接合片13と帯側固定接合片34との重なる面積が増加するため、第1実施形態と同様の強度で接合することができる。
このような構成によって、前述の第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
次に、本発明の第4実施形態について、図9を参照して説明する。
なお、説明において、前述の第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態の車体構造S4では、固定板10、および連結帯30の構成が、前述の第1実施形態の車体構造S1と異なる。
これに対して、本実施形態では、連結帯が、バンパービームBBの一部分を構成することで一体に連続する構成となっている。
つまり、バンパービームBBには、ビーム側帯接合片B3の代わりに、連結本体51が車両後方に向かって延出している。
そして、帯側圧潰接合片53は、圧潰側帯接合片24に接合され、帯側固定接合片54は、固定側帯接合片13に接合されている。
なお、本実施形態では、回し込み部14、固定本体側帯接合部15に相当する構成が設定されていない。
そして、固定側帯接合片13を延長することで、固定側帯接合片13と帯側固定接合片54との重なる面積が増加するため、第1実施形態と同様の接合強度で接合することができる。
このような構成によって、前述の第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、連結本体51が、バンパービームBBから延出する構成となっていることから、部品点数の削減、接合工程の削減を図ることができる。
BB バンパービーム
EX エクステンション
10 固定板
11 固定本体
11a 作業孔
13 固定側帯接合片
20 圧潰体
21a 圧潰ビード
30 連結帯
31a 連結ビード
Claims (7)
- 車幅方向に延在するバンパービームと、車両前後方向に延在するサイドフレームと、の間に挟持されるエクステンションを備え、
該エクステンションは、
板状部材からなり、車両前後方向に面しつつ、該サイドフレームの突端に固定される固定板と、
該固定板上に配置される圧潰体と、
車両前後方向に沿って延在する板状部材からなり、該固定板の車幅方向外側端部と該バンパービームの車幅方向外側端部とを繋ぎつつ、一体に連続する連結帯と、
を備え、
該固定板は、
車両前後方向に面して配置される固定本体と、
該固定本体の車幅方向外側端部から車両前後方向における車外側に向かって延出する固定側帯接合片と、
を有し、
該圧潰体は、
バンパービームに接合され、該連結帯と一体に接合され筒形状を形成する圧潰本体を有し、
該圧潰本体は、
該固定側帯接合片の車幅方向内側面に突き当てられた状態で該固定板に設置され、
該連結帯は、
車両前後方向の車室側に設けられる帯側固定接合片と、該帯側固定接合片の車両前後方向における車室側が車幅方向内側へ屈曲することで形成される帯側固定本体接合片と、からなる略L字形状を有し、
該帯側固定本体接合片は、
該固定板に車幅方向外側から重ねられつつ、該固定板の車両前後方向における車室側に面した板面に接合された
ことを特徴とする車体構造。 - 前記連結帯と、前記圧潰体とは、
別部材で構成され、接合によって一体に連続している
ことを特徴とする請求項1に記載の車体構造。 - 前記固定側帯接合片は、
前記圧潰体と前記連結帯との間に接合された
ことを特徴とする請求項2に記載の車体構造。 - 前記固定本体と前記固定側帯接合片との間の略L字形状の角部分が、
角部後側へ膨出しつつ屈曲し、前記圧潰体との間に隙間が形成された
ことを特徴とする請求項3に記載の車体構造。 - 前記固定板は、
前記圧潰体の筒形状内部に連通する作業孔を備えた
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の車体構造。 - 前記連結帯は、
畝状に延在する連結ビードを備えた
ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の車体構造。 - 前記圧潰体は、
前後方向に通じる筒形状を有し、
筒壁上を突没する圧潰ビードを備え、
前記連結ビードは、
該圧潰ビードと車幅方向に並んで配置された
ことを特徴とする請求項6に記載の車体構造。
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