JP3772745B2 - 車体骨格フレームの補強構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車の車体骨格フレームの補強構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動車の車体骨格フレームの補強構造としては、例えば特開2001−180518号公報に示されているように、車体骨格フレームの上下方向の骨格部材を構成するピラー構造を、ピラー本体の内部にリインフォースを設置して、このリインフォースを、ピラー本体の内側全体を覆うように広い範囲で一体的に形成することにより、軽量かつ効率的にピラー本体を補強するようにしたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の車体骨格フレームの補強構造では、リインフォースをピラー本体の内面の凹凸形状に沿った形状としているため、リインフォース単体の強度を高めることはできるが、ピラー本体とリインフォースの曲げ変形に対する最低強度部が一致することにより、衝突荷重が入力してピラー本体の曲げ変形が進行すると、これと同時にリインフォースが変形して荷重が急に落ち込む可能性があった。
【0004】
そこで、本発明は衝突荷重の入力によりピラー本体に発生した変形が、直接リインフォースに伝わるのを抑制して、荷重の減少を遅らせることができる車体骨格フレームの補強構造を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明にあっては、車体骨格フレームのピラー構造は、その中空のピラー本体の内部にリインフォースを設置してあって、このリインフォースを、車両衝突時における前記ピラー本体の曲げ変形に対する最低強度部以外の部分でこれと接合し、且つ、ピラー本体の最低強度部とリインフォースとの間に両者の曲げ変形に対する逃げ代を形成してある。
【0006】
【発明の効果】
本発明の構成によれば、ピラー構造に衝突荷重が作用すると、ピラー本体はその曲げ変形に対する最低強度部(以下、単に最低強度部と称する)が曲げ変形するが、この最低強度部の近傍ではピラー本体とリインフォースとが接合されておらず、しかも、それらの間に両者の曲げ変形に対する逃げ代を形成してあるため、ピラー本体に発生した変形が、直ちにリインフォースへ伝わることを防ぐことができる。
【0007】
また、ピラー本体とリインフォースとがピラー本体の最低強度部以外の部分で接合されているため、両者間での荷重伝達は、ピラー本体の曲げ変形の度合いが大きな最低強度部近傍のみならず、そこから離れた接合部位においても行われることになり、ピラー構造の広い範囲に荷重・変形を分散することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0009】
図1は本発明の対象とする自動車の車体骨格フレームを示しており、フロントピラー100は、車両前方に配置されるフードリッジメンバ400の後端と、車室天井500の側方に配置されるルーフレール600の前端とを斜め前後方向に連結する部材である。
【0010】
センターピラー200は、ルーフレール600の略中央部と、車室床面700の両側を通るボディサイドシル800の略中央部とを連結する部材である。
【0011】
リヤピラー300は、ルーフレール600の後端と、車両後側方に配置されるトランクリッジメンバ900の前端とを連結する部材である。
【0012】
これらの骨格部材は、一般的な乗用車の車体に共通なものである。
【0013】
本発明は前述のどのピラー構造(100,200,300)へも適用可能であるが、以下ではフロントピラー100を中心に説明する。
【0014】
本発明の構成を説明するのに先立って、図17により一般的なフロントピラー構造を比較例として説明する。
【0015】
図17は一般的なフロントピラー構造の外観側面と断面を示したものである。
【0016】
ピラー本体(フロントピラー100と同符号を付して示す)はアウタ101とインナ102の2枚のパネル材で構成されており、それぞれのパネル材に設けたフランジ部101aと102aおよび101bと102bとをスポット溶接することにより閉断面を形成している。
【0017】
図17は側方から見たものであるため、インナ102は隠れて表示されていない。
【0018】
ピラー本体100の内部に設置されるリインフォース103も側方外観では見られないが、分かりやすくするためにピラー本体100の上に並べて図示してある。
【0019】
リインフォース103の全体形状はピラー本体100の前記アウタ101の内壁に沿うように成形され、フランジ部103aおよび103bをアウタ101とインナ102のフランジ部101aと102aおよび101bと102bに挟み込んだ状態でスポット溶接により接合されている。
【0020】
図17中の破線は接合の位置をおおまかに示しており、ピラー本体100の前端付近での断面A−A’、中央付近での断面B−B’、後端付近での断面C−C’のいずれの場所でもリインフォース103のフランジ部103aはアウタ101のフランジ部101aとインナ102のフランジ部102aの間に、フランジ部103bはフランジ部101bと102bの間に挟み込まれている。
【0021】
図18はこの比較例のフロントピラー構造が車両衝突時に変形した様子を図17と同様に外観側面と断面とを併記して示したものである。
【0022】
この比較例の構造では、前面衝突によりピラー本体100の前端付近(断面A−A’付近)が図中矢印方向に後退した結果、ピラー本体100が中央付近(断面B−B’近傍)において折れ曲がり変形を生じている。
【0023】
この中央付近において折れ曲がり変形が生じる理由は、ピラー本体100の前端と後端とでは断面形状が異なっており、断面二次モーメントの変化部がこの略中央付近にあって、ここが最低強度部となっているためである。
【0024】
ピラー本体100の曲げ強度は内部に設置したリインフォース103により補強されているわけであるが、ピラー本体100とリインフォース103とが密着しているために、ピラー本体100の中央付近(断面B−B’付近)においてピラー本体100に生じた変形は、フランジ部101aおよび102aを介してリインフォース103のフランジ部103aおよび103bを同時に変形させるため、リインフォース103はピラー本体100と同じ位置(断面B−B’近傍)において折れ曲がることとなる。
【0025】
フロントピラー全体としての荷重変位曲線は図4のb線に示すように表される。荷重の最大ピーク点では、ピラー本体100とリインフォース103とがほぼ同時に変形し始めることになる。その結果、ピラー本体100の内側に密着したリインフォース103の補強効果により荷重の最大値こそ高くなるものの、限界を超えた後では両者が同時に変形するため支持力が急に減少することになる。
【0026】
図2は本発明の第1実施形態を示しており、前述の比較例の構造と同一部分に同一符号を付してある。
【0027】
ピラー本体100は前記比較例の構造と同様にアウタ101とインナ102の2枚のパネル材で構成されており、それぞれのパネル材に設けたフランジ部101aと102aおよび101bと102bとをスポット溶接することにより閉断面を形成している。
【0028】
ピラー本体100の内部にはリインフォース103が設置され、その全体形状はピラー本体100の前記アウタ101の内壁に概ね沿うように成形されている。
【0029】
図2中の破線は接合位置を示しており、本実施形態ではリインフォース103の後端部近傍、すなわち、断面C−C’付近にのみフランジ部103aおよび103bが形成されており、ピラー本体100の最低強度部以外の部分である前記断面C−C’付近でのみアウタ101とインナ102のフランジ部101aと102aおよび101bと102bに挟み込まれている。
【0030】
リインフォース103の前半部分、すなわち、断面A−A’からB−B’にかけてはフランジ部103a、103bがなく、ピラー本体100のアウタ101の内面に接しているだけである。
【0031】
但し、稜線の数を増やして十分な強度剛性を確保するために、この範囲のリインフォース103の側端部はピラー本体101のフランジ接合位置を超えて回り込むような略C字形の開断面を形成していて、断面変形が容易な側面方向をピラー本体100の曲げ変形方向と一致させている。
【0032】
両者の境目は断面C−C’よりやや前方にあり、図中拡大表示したように、フランジ部103aおよび103bに切れ込みを入れて折り返すことにより形成している。
【0033】
このように、本実施形態ではリインフォース103の一部のみをピラー本体100の最低強度部以外の部分で接合することと、リインフォース103の開断面の断面変形が容易な方向をピラー本体100の曲げ変形方向と一致させることによって、これらピラー本体100とリインフォース103との間に曲げ変形に対する逃げ代S(図3の断面B−B’参照)を形成している。
【0034】
図3は本実施形態のフロントピラー構造が車両衝突時に変形した様子を示したものである。
【0035】
本実施形態の構造でも前記比較例と同様にピラー本体100は断面二次モーメントの変化部に相当する中央付近(断面B−B’近傍)において折れ曲がり変形を生じている。
【0036】
この部分ではピラー本体100とリインフォース103とは接合密着していないため、補強効果は前記比較例より小さく図4の荷重変位曲線のa線で示すように最大荷重値も低くなる。
【0037】
しかしながら、この非接合部分では曲げ変形に対する力学的な逃げ代Sが形成されていることにより、図3の断面B−B’に示すようにピラー本体100の最低強度部付近でピラー本体100に生じた変形は、リインフォース103の開断面を僅かに圧縮変形させるにとどまり、この位置ではリインフォース103に全体的な折れ変形は生じない。
【0038】
むしろ、衝突端に近い先端付近(断面A−A’付近)において折れ変形が生じる。つまり、ピラー本体100において曲げ変形が生じても、それは直ちにリインフォース103の曲げ変形には結びつかない。
【0039】
その結果、図4の荷重変位曲線でa線に示すように、ピラー本体100が変形しても直ちに荷重が減少するのではなく、その後でリインフォース103が変形し始めてから荷重が転じることになる。すなわち、ピラー本体100に入力される負荷が限界を超えた後の荷重の減少を遅らせることができる。
【0040】
ここで、本実施形態では前述のようにアウタ101とインナ102の2枚のパネル材を溶接して構成したピラー本体100に適用したことにより、多くの乗用車で用いられているモノコック車体構造に適応することができる。
【0041】
また、ピラー本体100の断面二次モーメント変化部を最低強度部と見なしているため、強度剛性のみならず意匠や視認性の観点から設計されるピラー形状にも柔軟に対応することができる。
【0042】
さらに、内部に設置するリインフォース103を、ピラー本体100の最低強度部以外においてこれと溶接したことにより、両者の最低強度部を一致させず、且つ、ピラー本体100の変形が直接リインフォース103に伝達されにくくすることができる。
【0043】
図5は本発明の第2実施形態を示している。本実施形態でもピラー本体100はアウタ101とインナ102の2枚のパネル材で構成されており、それぞれのパネル材に設けたフランジ部101aと102aおよび101bと102bとをスポット溶接することにより閉断面を形成している。
【0044】
本実施形態ではピラー本体100の内部に設置されるリインフォース103が、ピラー本体100より小さな曲率(大きな曲率半径)をもつように成形されている。
【0045】
すなわち、前端近傍(断面A−A’付近)と後端近傍(断面C−C’付近)ではリインフォース103とピラー本体100の内壁との間で曲率半径中心方向側に間隙があり、最低強度部である中央近傍(断面B−B’付近)では外側方向に間隙があり、これが曲げ変形に対する逃げ代Sとなっている。
【0046】
さらに、リインフォース103の前端近傍(断面A−A’付近)と後端近傍(断面C−C’付近)にのみフランジ部103aが形成され、これがアウタ101とインナ102のフランジ部101aと102aに挟み込まれている。
【0047】
フランジ部103aがない中央付近(断面B−B’付近)は、リインフォース103の断面は略C字形となっており、断面端部はピラー本体100のフランジ接合位置を超えて回り込んでいる。
【0048】
図6は本実施形態のフロントピラー構造が車両衝突時に変形した様子を示したものである。
【0049】
本実施形態でもピラー本体100は断面二次モーメントの変化部に相当する中央付近(断面B−B’近傍)において折れ曲がりを生じている。
【0050】
ピラー本体100の曲げ強度はリインフォース103により補強されているが、この中央付近(断面B−B’近傍)ではピラー本体100とリインフォース103とは接合密着していないため補強効果は前記比較例より小さくなる。
【0051】
しかしながら、この非接合部分では曲げ変形に対する逃げ代Sが形成されていることにより、図6の断面B−B’に示すようにピラー本体100の最低強度部付近でピラー本体100に生じた変形は、同位置におけるリインフォース103の断面を殆ど変形させることなく、相対的に曲率半径外側方向へ移動して、ピラー本体100で生じた断面変形は前記逃げ代Sに吸収されて直ちにリインフォース103を圧迫するのを防ぐことができる。
【0052】
その結果、ピラー本体100が断面B−B’近傍において折れ曲がり変形を生じる際の荷重は、リインフォース103とピラー本体100とが接合される2点(断面A−A’および断面B−B’近傍)の間のリインフォース103の曲げ強度剛性で支えられる。
【0053】
これを図示したのが図7である。同図の(1)に示すように、ピラー本体100とリインフォース103とが密着している比較例では、ピラー本体100が折れ曲がる際の荷重Fや変形は直接リインフォース103に伝わるため、ピラー本体100に生じた変形部位と同じ位置でリインフォース103も折れ曲がり変形することになる。
【0054】
同図の(2)は本実施形態を模式的に表示したものであり、ピラー本体100の最低強度部近傍ではピラー本体100とリインフォース103とが密着しておらず、且つ、ピラー本体100の最低強度部以外の前、後端部2箇所において両者が接合されていることにより、ピラー本体100が折れ曲がる際の荷重Fや変形は2箇所の接合部位に分散されてリインフォース103に伝わるため(1/2F)、ピラー本体100において折れ曲がり変形した後もリインフォース103が抵抗力を発生する。
【0055】
このときの荷重変位曲線を示したのが図8であり、a’線で示すように本実施形態ではピラー本体100が限界に達した以降もリインフォース103が抵抗力を発生することにより、荷重の急激な低下を抑制するとともに暫くの間は高い荷重レベルを保つことができる。
【0056】
このように本実施形態では、リインフォース103の全体形状をピラー本体100と異なる曲率にしたため、リインフォース103の最低強度部がピラー本体100の最低強度部と異なる場所になり、両者の折れ変形は別々な場所で発生することになる。さらに、ピラー本体100の最低強度部近傍では、ピラー本体100とリインフォース103との間に間隙による曲げ変形に対する逃げ代Sが形成されているため、ピラー本体100で生じた断面変形はこの逃げ代Sに吸収されて直ちにリインフォース103を圧迫するのを防ぐことができる。
【0057】
図9,図10は本発明の第3実施形態を示している。
【0058】
本実施形態ではピラー本体100が略矩形断面のアルミ製の押し出し材などのパイプ材で構成されており、その前端末と後端末は鋳物製のジョイントJに挿入固定して、該ジョイントJを介して隣接する他の骨格部材に結合するようにしており、中央付近は曲げ加工が施されている。
【0059】
本実施形態のリインフォース103にはH型鋼材が用いられており、ピラー本体100の前記中央付近の変曲点Pを最低強度部と見なし、該変曲点Pを跨ぐように内挿されている。
【0060】
このリインフォース103にも曲げ加工が施されているが、全体的に均一な曲率とし且つピラー本体100より大きな曲率半径が与えられている。
【0061】
すなわち、この実施形態の場合も前記第2実施形態と同様にピラー本体100の前端近傍と後端近傍ではリインフォース103とピラー本体100の内壁との間で曲率半径中心方向側に間隙があり、最低強度部である変曲点P近傍では外側方向に間隙があり、これが曲げ変形に対する逃げ代Sとなっている。
【0062】
リインフォース103の前端と後端には、ピラー本体100の内壁と接するようなフランジ部103aおよび103bが形成されており、ねじ切り加工された穴103cが複数個設けられている。
【0063】
ピラー本体100にも前記の穴103Cに対応する位置に穴100Cが複数個設けられており、ボルト104によりリインフォース103の両端が固定される構成となっている。
【0064】
図11は本実施形態のフロントピラー構造が車両衝突時に変形した様子を示したものである。
【0065】
ピラー本体100は、曲げ加工が施された中央付近の変曲点Pにおいて折れ曲がり変形を生じている。
【0066】
ピラー本体100の折れ曲がり変形が進むにつれてリインフォース103も湾曲させられるが、ピラー本体100とリインフォース103とは中央付近(図10の断面B)において密着していないため、リインフォース103の曲げ抵抗力は両端のフランジ部103aおよび103bを介してピラー本体100へ伝わることになる。
【0067】
すなわち、初期状態におけるピラー本体100の最低強度部は中央付近(変曲点p)であるけれども、折れ曲がり変形が始まってからは変形による荷重が変曲点P(断面B)とリインフォース103の両端の接合点(断面A,断面C)との合計3箇所に分散されることと、断面Bではピラー本体100に生じた変形は、同位置におけるリインフォース103の断面を殆ど変形させることなく、相対的に曲率半径外側方向へ移動して、ピラー本体100で生じた断面変形は前記逃げ代Sに吸収されて直ちにリインフォース103を圧迫するのを防ぐことができる。
【0068】
その結果、限界以降にピラー強度が急激に低下する現象を抑えることができる。
【0069】
また、リインフォース103にH型鋼材を用いたことで、少ない重量で折れ曲がり変形に対する抵抗力を効果的に高めることができる。
【0070】
更に、ピラー本体として押し出し材などのパイプ材を用いているため、一部の車両で用いられているスペースフレーム車体に対応することができる。
【0071】
この第3実施形態では、リインフォースの前端と後端をフランジ部103a、103bでピラー本体100に締結固定しているが、これらフランジ部103a、103bをピラー本体100の内壁に圧着(圧接)させておくだけでもよく、この場合、この圧着部がずれることによりピラー本体100に生じた曲げ変形が直接リインフォース103に伝達されにくくすることができる。
【0072】
図12は本発明の第4実施形態を示している。
【0073】
本実施形態の構成は前記第1実施形態と同様であるが、ピラー本体100の中央付近(断面B近傍)は別なる骨格部材と接合するために三つ又構造となっており、インナ102側に開口部102Cが形成されている。
【0074】
リインフォース103も第1実施形態と同様に全体形状がピラー本体100の内壁に概ね沿うように成形されているが、その前端近傍(断面A)および後端近傍(断面C)にのみフランジ部103aおよび103bが形成され、アウタ101とインナ102のフランジ部に挟み込まれて溶接されている。
【0075】
リインフォース103の中央部(断面B)にはフランジ部がなく、略C字形断面とすることにより稜線部を構成している。この稜線はインナ102の開口部102Cを含む範囲で連続している。
【0076】
本実施形態のフロントピラー構造が車両衝突時に変形したときの変形モードや荷重変位線図は前記第1実施形態と同様であり、従って、ピラー本体とルーフレールやクロスメンバなど他の骨格部材とを接続するために三つ又や四つ又構造を含む場合や、スピーカやシートベルト用固定器具などの内装部品をピラー本体100上に固定するためにピラー本体100に開口部102cが設けられる場合などに、当該部位近傍に変形が集中することなく荷重や変形を分散することができる。
【0077】
図13は本発明の第5実施形態を示している。
【0078】
本実施形態の基本的な構成は前記第2実施形態と同様である。
【0079】
すなわち、ピラー本体100の内部に設置されるリインフォース103がピラー本体100より小さな曲率となるように成形されているが、中央近傍(断面B−B’付近)では内側と外側の両側に間隙があって、これが曲げ変形に対する逃げ代Sとなっている。
【0080】
リインフォース103の前端近傍(断面A−A’付近)と後端近傍(断面C−C’付近)にのみフランジ部103aが形成され、これらピラー本体100のフランジ部101aと102aに挟み込まれて溶接されている点も第2実施形態と同様であるが、両端から僅かに中央寄りに脆弱部としての折れビード103dおよび103eが形成されている点が異なる。
【0081】
図14は本実施形態のフロントピラー構造が車両衝突時に変形した様子を示したものであり、ピラー本体100の最低強度部である中央付近(断面B−B’近傍)で折れ曲がり変形した際に前記第2実施形態と同様の効果が得られる他に、リインフォース103の最低強度部がピラー本体100の最低強度部から前後方向に離れた折れビード103d,103eとなって、これら折れビード103d,103eを起点に強制的に折れ変形を生じさせ、ピラー本体100とリインフォース103との曲げ変形部位を一致させないようにすることができるため、ピラー本体100の最低強度部近傍においてピラー本体とリインフォース103との間に十分な間隙がとれない場合に有効である。
【0082】
図15は本発明の第6実施形態を示しており、センターピラー200に適用したものである。
【0083】
ピラー本体200(センターピラー200と同符号を付して示す)はアウタ201とインナ202の2枚のパネル材で構成されており、両者をスポット溶接することにより閉断面を形成している。
【0084】
一般にセンターピラーは側面衝突において曲げ変形方向の負荷入力を受けるが、乗員との干渉に配慮して、ピラー形状が略鉛直もしくは乗員の体型と略平行を保つように変形モードがコントロールされる。
【0085】
本実施形態ではアウタ201の上部および下部に脆弱部としての折れビード201aおよび201bを形成することにより、前記の変形モード制御を実現している。
【0086】
ピラー本体200の内部にはリインフォース203が設置され、その全体形状はアウタ201の内壁に概ね沿うように成形されているが、両者の間には全体にわたり曲げ変形に対する逃げ代Sとなる僅かな間隙が設けられている。
【0087】
アウタ201とリインフォース203の接合部位は上端と下端のみであり、アウタ201上に形成された折れビード201aから中央部を経て201bに至る範囲では接合されていない。さらに、リインフォース203の中央には脆弱部としての折れビード203aが形成されている。
【0088】
図16は本実施形態のセンターピラー構造が車両衝突時に変形した様子を示したものである。
【0089】
ピラー本体200はアウタ201上に形成した折れビード位置201aおよび201bにおいて折れ曲がり変形している。
【0090】
これら2つの折れビード201a、201bの間では、ピラー本体200とリインフォース203は接合されておらず、且つ、両者の間には僅かな間隙の逃げ代Sがあるため、ピラー本体200の折れ変形が直ちにリインフォース203を圧迫することはない。
【0091】
一方、リインフォース203は折れビード203aにおいて変形し始めるため、ピラー本体200とは異なる変形モードとなり、両者の間に生じる干渉がピラー本体200の変形モードの進行を制御することになる。
【0092】
これにより、ピラー本体200の変形モードが変化することはないが、折れ曲がり変形が進むあいだピラー強度の低下を抑えることが期待できる。
【0093】
また、本実施形態ではピラー本体200に設けられた脆弱部としての折れビード201a、201bを最低強度部と見なしているため、側面衝突時における変形モードをコントロールするために設置されたこれら折れビード201a、201bが、他の衝突条件において荷重低下の要因となってしまうことを防ぐことができる。
【0094】
更に、この実施形態の場合も、ピラー本体200の最低強度部201a,201b以外の場所において、リインフォース203に脆弱部203aを形成したため、ピラー本体200の最低強度部近傍においてピラー本体200とリインフォース203との間に十分な間隙がとれない場合に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の対象とする自動車の車体骨格フレームを示す外観斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態を示す外観側面図およびA−A’線、B−B’線、C−C’線に沿う各断面図。
【図3】本発明の第1実施形態の変形状態を示す図2と同様の外観側面図および断面図。
【図4】本発明の第1実施形態における衝突時の荷重変位曲線を比較例と共に示すグラフ。
【図5】本発明の第2実施形態を示す図2と同様の外観側面図および断面図。
【図6】本発明の第2実施形態の変形状態を示す図3と同様の外観側面図および断面図。
【図7】本発明の第2実施形態における衝突時の変形モードを比較例と共に示す概念図。
【図8】本発明の第2実施形態における衝突時の荷重変位曲線を比較例とともに示すグラフ。
【図9】本発明の第3実施形態を示す外観側面図。
【図10】本発明の第3実施形態の要部を示す斜視図およびA線、B線、C線に沿う各断面図。
【図11】本発明の第3実施形態の変形状態を示す外観側面図。
【図12】本発明の第4実施形態を示す斜視図およびA線、B線、C線に沿う各断面図。
【図13】本発明の第5実施形態を示す外観側面図およびA−A’線、B−B’線、C−C’線に沿う各断面図。
【図14】本発明の第5実施形態の変形状態を示す図13と同様の外観側面図および断面図。
【図15】本発明の第6実施形態を示す斜視図。
【図16】本発明の第6実施形態における衝突時の変形モードを示す正面説明図。
【図17】本発明の比較例を示す外観側面図およびA−A’線、B−B’線、C−C’線に沿う各断面図。
【図18】本発明の比較例の変形状態を示す図17と同様の外観側面図および断面図。
【符号の説明】
100 フロントピラー(ピラー本体・上下方向の骨格部材)
200 センターピラー(ピラー本体・上下方向の骨格部材)
300 リヤピラー(上下方向の骨格部材)
103,203 リインフォース
S 逃げ代
P ピラー本体の変曲点
102c ピラー本体に設けた開口部
103d,103e リインフォースに設けた脆弱部
201a、201b ピラー本体に設けた脆弱部

Claims (9)

  1. 車体骨格フレームの上下方向の骨格部材を構成するピラー構造を、中空のピラー本体と、その内部に設置するリインフォースとで構成し、該リインフォースを車両衝突時におけるピラー本体の曲げ変形に対する最低強度部以外の部分でこれと接合し、且つ、ピラー本体の前記最低強度部とリインフォースとの間に両者の曲げ変形に対する逃げ代を形成したことを特徴とする車体骨格フレームの補強構造。
  2. 前記請求項1において、複数のパネル材を組み合わせて溶接することにより構成したピラー本体の断面形状等の変化により断面二次モーメントが変化する断面二次モーメント変化部を最低強度部と見なし、内部に設置するリインフォースを、ピラー本体の最低強度部以外の部分でこれと溶接したことを特徴とする車体骨格フレームの補強構造。
  3. 前記請求項1において、押し出し材などのパイプ材によりピラー本体を構成し、その外観上の変曲点を最低強度部と見なし、内部に設置するリインフォースを、ピラー本体の最低強度部以外の部分でこれと圧着したことを特徴とする車体骨格フレームの補強構造。
  4. 前記請求項1において、ピラー本体と、車体骨格フレームを構成する他の骨格部材とを接続する目的やピラー本体上の内装部品を固定する目的で、該ピラー本体に設けられる開口部を最低強度部と見なし、内部に設置するリインフォースを、ピラー本体の最低強度部以外の部分でこれと溶接したことを特徴とする車体骨格フレームの補強構造。
  5. 前記請求項1において、ピラー本体に設けられた脆弱部を最低強度部と見なし、内部に設置するリインフォースを、ピラー本体の最低強度部以外の部分でこれと接合したことを特徴とする車体骨格フレームの補強構造。
  6. 前記請求項1において、リインフォースの全体形状をピラー本体と異なる曲率となるように構成し、ピラー本体の最低強度部において、ピラー本体とリインフォースとの間に間隙が形成されるようにして曲げに対する逃げ代を形成したことを特徴とする車体骨格フレームの補強構造。
  7. 前記請求項1において、内部に設置するリインフォースの一部のみをピラー本体と接合することにより、ピラー本体とリインフォースとの間に曲げ変形に対する逃げ代を形成することを特徴とする車体骨格フレームの補強構造。
  8. 前記請求項1において、内部に設置するリインフォースを開断面構造とし、断面変形が容易な方向をピラー本体の曲げ変形方向と一致させることにより、ピラー本体とリインフォースとの間に曲げ変形に対する逃げ代を形成したことを特徴とする車体骨格フレームの補強構造。
  9. 前記請求項1において、ピラー本体の最低強度部以外の部分において、内部に設置するリインフォースに脆弱部を形成したことを特徴とする車体骨格フレームの補強構造。
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