JP7370068B2 - 包装用組立てトレーとそのブランクシート - Google Patents
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Description
この種のトレーは、被包装物である物品の一部などに対して立体部が係合して、その物品の固定を助けるために包装用容器の内部に配置されたり、場合によってはトレーのままや、トレーに蓋材を組み合わせるだけで、使用されたりしている。
組立てトレーは、使用しない場合にはフラットな状態で保管や移送をすることができ、使用する時に素早く組み立てることができることが好ましいし、さらに廃棄処分を行う場合にも簡単に減容できることが望ましい。
ところが今日実用化されている多くの組立てトレーは、立体部の組み立てに手間を要したり、構造がいたずらに複雑になったりするなどして、ワンタッチで組み立てられると言えるものではなかった。
また組み立てることができたと作業者が思っても、組み立てが完了しておらず、必要な部分の係止が不十分な場合もあり、組み立て完了が容易に確認できることが望ましい。
本発明の他の課題は、組み立て完了が容易に確認できること、特に視覚以外の方法で組み立て完了を知ることができる包装用組立てトレーの提供を図ることにある。
さらに本発明は、廃棄時に容易に減容することができる包装用組立てトレーの提供を図ることを課題とする。
また本発明は、このような課題を解決することができる組立てトレー用のブランクシートを提供せんとするものである。
前記境界折り目線は前記底面部と前記立体部との間に配置された谷折り目線であり、前記境界折り目線を超えて、前記立体部から前記底面部の底面シートに向けて伸びる差し込み片を備える。前記差し込み片には、前記境界折り目線の折り目が形成されておらず、前記底面部は、前記底面シートと、前記底面シートの裏側に配置された裏シートとの少なくとも2枚のシートを備える。前記裏シートは、前記差し込み片と係合する係止穴を備え、前記フラット状態から前記立体状態に前記立体部が組み立てられる組み立て過程で、前記差し込み片が前記係止穴に係合して前記立体部の前記立体状態が維持されるものである。
本発明の実施に際しては、前記底面シートの前後少なくともいずれか一辺から前記境界折り目線を介して前記立体部を構成する立体シートが延設されており、前記底面シートの左右少なくともいずれか一辺から折り返し折り目線を介して前記裏シートが延設されており、前記立体シートは、前記フラット状態から前記立体状態へ移行する際に、前記底面シートと前記裏シートとの間に挟まれた状態で前後方向へ摺動するスライドシート部を備えたものとすることができる。特に、本発明の実施の形態では、ロック前記差し込み片が前記係止穴に係合してロック状態となるときにパチンと音がするため、視覚による確認ができることはもちろん、聴覚でもロック状態を確認することができる。
前記スライドシート部は、前記差し込み片の通過を許す通過穴を備え、前記組み立て過程において、前記差し込み片は、前記通過穴を通過して、前記係止穴に係合する。
また、前記立体部は、前記包装用容器に収納される物品に対する係合部を備えており、前記裏シートは、前記スライドシート部と干渉しない部分で、前記底面シートに貼り付けられているものとすることもできる。
また、本発明は、底面部よりも立ち上がっている横筒状の立体部が、少なくとも一方の端辺に沿って設けられた包装用組立てトレーのブランクを提供する。
この包装用組立てトレーのブランクは、中央に配置された底面シートと、前記底面シートの前後少なくともいずれか一辺から境界折り目線を介して配置された立体シートと、前記底面シートの左右少なくともいずれか一辺から折り返し折り目線を介して配置された裏シートとを備える。前記立体シートは組立状態において前記立体部を構成するものであり、前記境界折り目線を超えて底面シートへ伸びる差し込み片を備え、前記差し込み片には、前記境界折り目線による折り目線が形成されておらず、前記立体シートは、前記立体状態において前記底面シートと前記裏シートとの間に挟まれるスライドシート部を備え、前記組立状態において、前記差し込み片が通過する通過穴をスライドシート部が備え、前記差し込み片と係合する係止穴を前記裏シートが備えたものとする。
また本発明は、組み立て完了が容易に確認できること、特に視覚以外の方法で組み立て完了を知ることができる包装用組立てトレーとそのブランクシートの提供を図ることができたものである。
さらに本発明は、廃棄時に容易に減容することができる包装用組立てトレーとそのブランクシートの提供を図ることができたものである。
この実施の形態に係る包装用組立てトレーは、図2に示すフラット状態から、図1に示す立体状態へ、簡単に組み立てることができる紙製のトレーである。この包装用組立てトレーは例えば紙製包装用容器の容器本体の底に置くなどして取り付けられるが、容器本体がなくてもそれ自身で立体形状を保つことができるため、簡単な蓋材で蓋をするだけで、場合によっては蓋がなくても包装用組立てトレーのみで、被収納物などの物品を固定収納することができる。
この包装用組立てトレーは、立体状態において、横方向に伸びる横筒状の立体部20を、底面部10の前後にそれぞれ備えている。立体部20は係合部26を複数個備えており、前後の立体部20の係合部26が物品の前後と係合することによって、物品を保持することができる。
物品としては、チューブやアンプル瓶などを例示することができるが、物品の種類は特に限定されるものではなく、係合部26の形状も物品の形状に合わせて種々変更して実施することができるし、係合部26を設けずに実施することもできる。また、前後いずれか一方の立体部20のみで実施することもできる。
この包装用組立てトレーは、図3に示す紙製のブランクシートから構成されている。
ブランクシートは、中央に横長の矩形状の底面シート11が配置されており、底面シート11の上下に立体シート21が配置されており、底面シート11の左右に裏シート31が配置されている。
底面シート11は、この上に物品が並べられるもので、この例では横長矩形状となっているが、縦長のものであっても構わないし、物品や包装用容器の形態に応じて種々変更して実施することができる。
またこの例では、底面シート11の上下方向のほぼ中央に表側糊付け部12が設けられている。この表側糊付け部12は、後述する裏シート31が裏側へ折り返された時に、その裏側糊付け部33と合致するものであって、裏側糊付け部33と表側糊付け部12とは糊などの接着剤や両面接着テープなどで貼り合わされる。
立体シート21は、内壁シート部22と外壁シート部23とスライドシート部24の3つの横長の矩形状のパートを備えている。
内壁シート部22は、底面シート11の上下辺から境界折り目線41(谷折り目線)を介して延設されている。この内壁シート部22には、物品を保持するための適宜数の係合部26を形成するための切り目が設けられている。使用に際しては、切り目からシートを折り曲げるなどして係合部26が形成される。
また、上記の境界折り目線41に沿って、差し込み片25を形成するための切り込みが設けられている。この差し込み片25は、境界折り目線41を超えて内壁シート部22から底面シート11に向けて形成されているが、この差し込み片25には境界折り目線41が形成されておらず、フラット状態から立体状態にかけての組み立て過程において、弾性変形することはあっても、折り曲がってしまうことはない。
さらにこの例では、底面シート11から容易に差し込み片25が外れるように打ち抜き穴13が底面シート11に形成されている。
内壁シート部22の上下辺からは、第1山折り目線42を介して、外壁シート部23が延設されている。なおこの例では、立体部20が側面視3角形であるため、内壁シート部22と外壁シート部23の二つの面のみで実施されているが、立体部20を側面視台形などの4角形以上の多角形とする場合には、さらに壁シート部を増やして実施することもできる。なお、この例では立体状態の立体部20において、内壁シート部22が斜面をなす直角三角形となるようにするため、外壁シート部23はスライドシート部24よりも、その前後幅が長く設定されているが、外壁シート部23とスライドシート部24の前後幅を等しくして二等辺三角形となるようにするなど、様々に変更して実施することができる。
外壁シート部23の上下辺からは、第2山折り目線43を介して、スライドシート部24が延設されている。なおこの例では、第2山折り目線43に沿って脚部28を形成するための切り込みが設けられている。この脚部28は、第2山折り目線43を超えて外壁シート部23からスライドシート部24に向けて形成されているが、この脚部28には第2山折り目線43が形成されておらず、フラット状態から立体状態にかけての組み立て過程において、折り曲がってしまうことはない。この脚部28は、立体状態において底面部10から僅かに下方へ突出して、底面部10の全体が包装容器の底面などに面接触してしまうことを抑制するが、脚部28を設けずに実施しても構わない。
この外壁シート部23には、差し込み片25に対応する位置(左右方向において同じ位置)に、通過穴27が形成されている。通過穴27は、組み立て過程から立体状態において差し込み片25の通過を許すための穴である。通過穴27は、差し込み片25の通過を許せば、その形状や大きさは種々変更して実施することができるが、この例では差し込み片25と比べて一回り大きく、且つ平行に形成されている。
さらにこの例では、通過穴27の横に凹部29が形成されている。この凹部29は、スライドシート部24が、後述する表側糊付け部12と裏側糊付け部33との貼り合わせ箇所を避けるために設けられたものである。すなわち、凹部29は接着部分との干渉を避けてスライドシート部24が組み立て過程においてスライドすることができるようにしたものであり、スライドシート部24のスライドが可能であれば凹部29を省略して実施しても構わない。
底面シート11の左右辺からは、折り返し折り目線44を介して、裏シート31が延設されている。この折り返し折り目線44は、山折り目線であり、組み立てに際しては、裏シート31は折り返し折り目線44から底面シート11の裏側へ折り返される。
この境界折り目線41には、差し込み片25に対応する位置(上下方向において同じ位置)に、係止穴32が形成されている。係止穴32は、立体状態において差し込み片25を係止するための穴である。係止穴32は、差し込み片25の一部と係合できるものであれば、その形状や大きさは種々変更して実施することができるが、この例では差し込み片25と比べて一回り大きく、且つ平行に形成されている。また、この例では前述の通過穴27と同じ大きさに形成されている。
またこの例では、裏シート31のほぼ中央に裏側糊付け部33が設けられている。この裏側糊付け部33は、裏シート31が裏側へ折り返された時に、前述の表側糊付け部12と合致するものであって、裏側糊付け部33と表側糊付け部12とは糊などの接着剤や両面接着テープなどで貼り合わされる。なお、この貼り合わせ箇所以外では底面シート11と裏シート31とは接着されておらず、両者の間にスライドシート部24が前後方向に摺動可能に挿入される。
フラット状態の包装用組立てトレーは、上述のブランクシートについて、まず第1山折り目線42を山折りにして折り返し、その次に折り返し折り目線44を山折りにして折り返して、表側糊付け部12と裏側糊付け部33とを貼り合わせたものである。他の折り目線はこの段階では折り曲げられずに伸ばされた状態にある。
これによって、スライドシート部24は、底面シート11と裏シート31との間に前後方向に摺動可能に挟まれた状態となっている。
この包装用組立てトレーを実際に使用する場合には、立体部20を、横長筒状の立体状態に組み立てる。
この組み立て作業は、単に、スライドシート部24を前後方向(外方向)に引き出すだけで完了する。このスライドシート部24の引き出しに伴って、境界折り目線41と第2山折り目線43とが徐々に降り曲がり、側面視三角形の立体状態の立体部20が完成する。
この組み立て過程における、差し込み片25の動きを図5を参照しながら説明する。
。具体的には、差し込み片25は下方へ突き出すように傾斜しようとする。ところが、差し込み片25の下方にはスライドシート部24と裏シート31があるために、これらが互いに押し合って弾性変形する。
このように差し込み片25が係止穴32に係合してしまうと、簡単には外れない状態となる。すなわち、スライドシート部24を今までと同じ方向にスライドさせると、差し込み片25と係止穴32との係合が深まるだけであるし、逆の方向にスライドさせると、通過穴27に押されるようにして差し込み片25がさらに立ち上がった状態となってしまい、係止穴32から抜け出せなくなってしまう。なお、この状態でも、スライドシート部24の通過穴27が正面側からでも裏面側からでも見えるため、視覚を通して確認することができるし、図1、図2で示したように、例えば星印などの目印をスライドシート部24の正面側や裏面側に記載しておけば、図5(E)の所定の位置までスライドシート部24をスライドさせると、打ち抜き穴13から目印が見えるようになって、組み立て状態の確認が容易となる。
廃棄するときなどに、この包装用組立てトレーを減容するには、裏シート21で覆われていない部分のスライドシート部24と、底面シート11との間から指先を挿入して、外側に引っ張ることによって、差し込み片25の係合を比較的小さな力で解除することができるため、容易に減容することができる。
以上説明したように、この実施の形態に係る包装用組立てトレーは、実質的にワンタッチで容易に組み立てることができるものであるとともに、簡単な操作で減容をすることができるものであるが、本発明は、この実施の形態に限定して理解されるべきではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々に変更して実施することができる。
11 底面シート
12 表側糊付け部
13 打ち抜き穴
20 立体部
21 立体シート
22 内壁シート部
23 外壁シート部
24 スライドシート部
25 差し込み片
26 係合部
27 通過穴
28 脚部
29 凹部
31 裏シート
32 係止穴
33 裏側糊付け部
41 境界折り目線
42 第1山折り目線
43 第2山折り目線
44 折り返し折り目線
Claims (4)
- 底面部よりも立ち上がっている横筒状の立体部が、前後少なくとも一方の端辺に沿って設けられた包装用組立てトレーにおいて、
前記立体部は、横方向に伸びる境界折り目線を含む複数の折り目線を備え、前記境界折り目線が伸ばされて前記底面部とほぼ同じ高さのフラット状態から、折り曲げられた前記境界折り目線に沿って横方向へ伸びる横筒状の立体状態に組み立てられるものであり、
前記境界折り目線は前記底面部と前記立体部との間に配置された谷折り目線であり、
前記境界折り目線を超えて、前記立体部から前記底面部の底面シートに向けて伸びる差し込み片を備え、
前記差し込み片には、前記境界折り目線の折り目が形成されておらず、
前記底面部は、前記底面シートと、前記底面シートの裏側に配置された裏シートとの少なくとも2枚のシートを備え、
前記裏シートは、前記差し込み片と係合する係止穴を備え、
前記立体部は、前記境界折り目線を介して設けられたスライドシート部を備え、
前記フラット状態において、前記底面シートの一部分と前記裏シートの一部分とが貼り合わされており、且つ、前記底面シートと前記裏シートとの間に、前記スライドシート部が前後方向に摺動可能に挿入されており、
前記立体部は、前記スライドシート部が前後方向に摺動させられることによって、前記境界折り目線が折り曲げられると共に、前記差し込み片が前記係止穴に係合して前記立体部の前記立体状態が維持されるように構成されたことを特徴とする包装用組立てトレー。 - 底面シートの前後少なくともいずれか一辺から境界折り目線を介して立体部を構成する立体シートが延設されており、
前記底面シートの左右少なくともいずれか一辺から折り返し折り目線を介して裏シートが延設されており、
前記立体シートは、フラット状態から立体状態へ移行する際に、前記底面シートと前記裏シートとの間に挟まれた状態で前後方向へ摺動するスライドシート部を備え、
前記境界折り目線を超えて、前記立体部から前記底面シートに向けて伸びる差し込み片を備え、
前記裏シートは、前記差し込み片と係合する係止穴を備え、
前記スライドシート部は、前記差し込み片の通過を許す通過穴を備え、
組み立て過程において、前記差し込み片は、前記通過穴を通過して、前記係止穴に係合するように構成されたことを特徴とする包装用組立てトレー。 - 前記立体部は、包装用容器に収納される物品に対する係合部を備えており、
前記裏シートは、前記スライドシート部と干渉しない部分で、前記底面シートに貼り付けられていることを特徴とする請求項2記載の包装用組立てトレー。 - 底面部よりも立ち上がっている横筒状の立体部が、少なくとも一方の端辺に沿って設けられた包装用組立てトレーのブランクにおいて、
中央に配置された底面シートと、
前記底面シートの前後少なくともいずれか一辺から境界折り目線を介して配置された立体シートと、
前記底面シートの左右少なくともいずれか一辺から折り返し折り目線を介して配置された裏シートとを備え、
前記立体シートは組立状態において前記立体部を構成するものであり、前記境界折り目線を超えて前記底面シートへ伸びる差し込み片を備え、
前記差し込み片には、前記境界折り目線による折り目線が形成されておらず、
前記立体シートは、立体状態において前記底面シートと前記裏シートとの間に挟まれるスライドシート部を備え、
前記組立状態において、前記差し込み片が通過する通過穴を前記スライドシート部が備え、前記差し込み片と係合する係止穴を前記裏シートが備えたことを特徴とする組立てトレー用ブランク。
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