JP7360557B2 - アクリル酸製造用触媒とその製造方法およびアクリル酸の製造方法 - Google Patents

アクリル酸製造用触媒とその製造方法およびアクリル酸の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アクロレインからアクリル酸を製造するための触媒とその製造方法、および当該触媒を用いたアクリル酸の製造方法に関する。
アクリル酸は様々な工業品の原料として広く用いられている。アクリル酸の製造方法は、現在、固定床反応器を用いて触媒の存在下でプロピレンを気相酸化する方法が一般的であり、当該製造方法によれば、前段反応でプロピレンを接触気相酸化させてアクロレイン含有ガスを得て、これをさらに後段反応で接触気相酸化させることよりアクリル酸が得られる。ここで用いられる触媒としては、モリブデンを必須成分として含有する触媒が一般的である。このうち、アクロレインからアクリル酸を製造する後段反応に用いられる触媒としては、触媒活性成分としてモリブデンとバナジウムを含む触媒、すなわち、Mo-V系複合酸化物を含む触媒が知られている。一般に触媒の性能は、触媒活性成分を構成する金属の種類やそれらの含有割合だけでなく、触媒活性成分の結晶構造にも大きく依存することが知られており、例えば特許文献1~5には、X線回折分析において様々なX線回折プロファイルを示す結晶構造を有する触媒が開示されている。
触媒活性成分の結晶構造は、一般に、触媒の製造方法および製造時の条件によって大きく変わることも知られている。例えば上記の特許文献1~5では、原料化合物の混合液を乾燥後焼成して担体に被覆する方法(特許文献1)、水性媒体中で原料化合物を反応させる工程において酸素含有ガスを吹き込む方法(特許文献2)、出発原料の混合液を得る工程、前記混合液を乾燥して乾燥物を得る、または前記乾燥物をさらに焼成して焼成物を得る工程、および、前記乾燥物または焼成物を成形または不活性担体に担持する工程のいずれかにおいて、出発原料とは異なる含窒素化合物を添加する方法(特許文献3)、出発原料の混合液を得る工程、前記混合液を乾燥して乾燥物を得る工程、および、前記乾燥物を不活性担体に担持する工程のいずれかにおいて、出発原料とは異なる添加物を添加する方法(特許文献4)、モリブデンおよびバナジウムを含む混合液と、アンチモン化合物と塩基性水溶液との混合液を別に調製した後、前記二液を混合する方法(特許文献5)が開示されており、それぞれ上述したように様々なX線回折プロファイルを示す結晶構造を有する触媒が得られている。
触媒活性成分の結晶構造は、製造時の焼成工程における条件によっても影響を受けると考えられ、上記特許文献1~5では総じて、250~660℃の温度範囲で適宜調整している。一方、特許文献6には、Mo、VおよびCuを含有する触媒活性多種元素酸化物材料を製造するために、出発物質を含有する均一乾燥混合物を製造し、これを最終的に380~450℃の温度でか焼した後に、均一乾燥混合物を5時間以内に温度100℃以下に冷却させる方法が開示されている。
特開平8-299797号公報 特開平11-285637号公報 特開2015-120133号公報 特開2016-59898号公報 特開2018-43197号公報 特表2006-526495号公報
上記文献に開示された様々な結晶構造を有する触媒は、アクロレインからアクリル酸を製造するための実用触媒としてある程度高い性能を発揮してはいるものの、いまだ改良の余地は残されており、さらなる性能向上、具体的には、高選択率化や高収率化が求められている。本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、アクロレインからアクリル酸を製造するための触媒であって、高いアクリル酸選択率または高いアクリル酸収率を示す触媒を提供すること、また高いアクリル酸選択率または高いアクリル酸収率を示す触媒を容易に得ることができる製造方法を提供することにある。本発明はまた、本発明の触媒または本発明の製造方法により得られた触媒を用いたアクロレインからのアクリル酸の製造方法を提供する。
本発明者は、上記目的を達成すべく、触媒活性成分の結晶構造を最適化することに着目して、また、最適な結晶構造を有する触媒活性成分を得るための方法として、特に焼成工程後の冷却条件に着目して、様々な検討を行った。その結果、X線回折分析において特定の回折角に回折ピークを有し、かつ、各ピーク強度比が所定の範囲の値を示す触媒活性成分を含む触媒であれば、アクロレインを接触気相酸化してアクリル酸を製造する際に、高いアクリル酸選択率や高いアクリル酸収率を示す触媒となることを見出すとともに、そのような触媒活性成分を有する触媒を得るためには、焼成工程後の冷却の際に、冷却時間やガス雰囲気を適切に設定することが有効であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下の発明を含むものである。
[1]アクロレインからアクリル酸を製造するための触媒であって、触媒活性成分として、モリブデン、バナジウムおよび銅を含有し、前記触媒活性成分は、Cu-Kα線を用いたX線回折分析において、2θ=22.2°±0.3°、28.2°±0.3°、31.5°±0.3°、32.6°±0.3°に回折ピークを有し、2θ=28.2°±0.3°のピーク強度と2θ=22.2°±0.3°のピーク強度の比I(28.2°)/I(22.2°)が0.20以上0.50以下であり、2θ=31.5°±0.3°のピーク強度と2θ=22.2°±0.3°のピーク強度の比I(31.5°)/I(22.2°)が0.03以上0.20以下であり、2θ=32.6°±0.3°のピーク強度と2θ=22.2°±0.3°のピーク強度の比I(32.6°)/I(22.2°)が0.03以上0.40以下であるアクリル酸製造用触媒。
[2]前記触媒活性成分は、X線回折分析において、2θ=33.4°±0.3°に回折ピークをさらに有し、2θ=33.4°±0.3°のピーク強度と2θ=22.2°±0.3°のピーク強度の比I(33.4°)/I(22.2°)が0.06以上0.40以下であり、2θ=5°~10°の範囲で最も高い強度と2θ=22.2°±0.3°のピーク強度の比I(5°-10°)/I(22.2°)が0.06以下である[1]に記載のアクリル酸製造用触媒。
[3]前記触媒活性成分は、X線回折分析において、2θ=27.3°±0.3°に回折ピークをさらに有し、2θ=27.3°±0.3°のピーク強度と2θ=22.2°±0.3°のピーク強度の比I(27.3°)/I(22.2°)が0.10以上0.60以下である[1]または[2]に記載のアクリル酸製造用触媒。
[4]前記触媒活性成分は、下記式(1)で表される組成を有する[1]~[3]のいずれかに記載のアクリル酸製造用触媒。
MoCu ・・・(1)
(式中、Moはモリブデン、Vはバナジウム、Cuは銅、Aはタングステン、ニオブおよびタンタルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、Bはアンチモンおよびスズよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、Cはクロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ジルコニウム、テルル、セリウムおよびビスマスよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、Dはアルカリ金属およびアルカリ土類金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、Eはケイ素、アルミニウムおよびチタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、Oは酸素を表し、a~iはそれぞれMo、V、Cu、A、B、C、D、EおよびOの原子比を表し、a=12のとき、2≦b≦14、0<c≦5、0<d≦10、0<e≦5、0≦f≦5、0≦g≦3、0≦h≦30であり、iは各元素の酸化状態によって定まる数値である。)
[5]アクロレインからアクリル酸を製造するための触媒の製造方法であって、モリブデン、バナジウムおよび銅を含む原料混合液を得る工程と、前記原料混合液を乾燥して乾燥物を得る工程と、前記乾燥物を成型または不活性担体に担持して成型体または担持体を得る工程と、前記成型体または担持体を380℃以上460℃以下の温度Tで焼成する工程と、前記焼成後、酸素濃度5容量%超21容量%以下の雰囲気下で、前記温度Tから100℃までの冷却時間を5時間以上かけて冷却する工程とを有するアクリル酸製造用触媒の製造方法。
[6]アクロレインからアクリル酸を製造するための触媒の製造方法であって、モリブデン、バナジウムおよび銅を含む原料混合液を得る工程と、前記原料混合液を乾燥して乾燥物を得る工程と、前記乾燥物を380℃以上460℃以下の温度Tで焼成する工程と、前記焼成後、酸素濃度5容量%超21容量%以下の雰囲気下で、前記温度Tから100℃までの冷却時間を5時間以上かけて冷却する工程と、前記冷却工程を経て得られた焼成物を成型または不活性担体に担持する工程とを有するアクリル酸製造用触媒の製造方法。[7]前記冷却工程において、前記温度Tから300℃までの冷却時間を3時間以上かけて冷却する[5]または[6]に記載のアクリル酸製造用触媒の製造方法。
[8][1]~[4]のいずれかに記載の触媒、または、[5]~[7]のいずれかに記載の製造方法により得られた触媒の存在下、アクロレインを接触気相酸化させてアクリル酸を得る工程を有するアクリル酸の製造方法。
本発明のアクリル酸製造用触媒は、高いアクリル酸選択率または高いアクリル酸収率を示す。また、本発明のアクリル酸製造用触媒の製造方法によれば、本発明のアクリル酸製造用触媒を容易に得ることができ、得られた触媒は高いアクリル酸選択率または高いアクリル酸収率を示す。
本発明は、アクリル酸製造用触媒とその製造方法に関し、詳細には、アクロレインを接触気相酸化反応させてアクリル酸を製造するための触媒と、その製造方法に関するものである。本発明の触媒は、触媒活性成分として、モリブデン、バナジウムおよび銅を含有するものであり、詳細には、モリブデンとバナジウムと銅の各元素を含む複合酸化物を含有するものである。本発明では、モリブデンとバナジウムと銅の各元素を含む複合酸化物を触媒に使用することができる。以下、モリブデンとバナジウムと銅の各元素を含む複合酸化物を「Mo-V-Cu複合酸化物」と称するが、当該記載は、MoとVとCu以外の元素を含むことを除外するものではない。Mo-V複合酸化物系触媒は、アクロレインを酸化してアクリル酸を生成する触媒として工業的に広く用いられており、本発明に係る触媒は、MoとVにさらにCuを含ませたMo-V-Cu複合酸化物を含有する。Cuを含ませたMo-V-Cu複合酸化物とすることにより、アクリル酸選択率を高めることができる。
本発明の触媒は、触媒活性成分として、モリブデン、バナジウムおよび銅に加えて、さらに他の金属元素や半金属元素を含有していてもよい。他の金属元素や半金属元素としては、例えばタングステン、ニオブ、タンタル、アンチモン、スズ、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ジルコニウム、テルル、セリウム、ビスマス、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ケイ素、アルミニウム、チタン等が挙げられ、触媒活性成分となるMo-V-Cu複合酸化物が、これらから選ばれる少なくとも1種の元素をさらに含んでいることが好ましい。なかでも、本発明の触媒は、触媒活性成分として、モリブデン、バナジウムおよび銅に加えて、タングステンおよび/またはアンチモンをさらに含有することが好ましく、すなわち、Mo-V-Cu複合酸化物がタングステンおよび/またはアンチモンをさらに含むことが好ましい。
本発明の触媒は、触媒活性成分として、例えば下記式(1)で表される組成を有することが好ましい。
MoCu ・・・(1)
上記式(1)において、Moはモリブデン、Vはバナジウム、Cuは銅、Aはタングステン、ニオブおよびタンタルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、Bはアンチモンおよびスズよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、Cはクロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ジルコニウム、テルル、セリウムおよびビスマスよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、Dはアルカリ金属およびアルカリ土類金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、Eはケイ素、アルミニウムおよびチタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、Oは酸素を表し、a~iはそれぞれMo、V、Cu、A、B、C、D、EおよびOの原子比を表し、a=12のとき、2≦b≦14、0<c≦5、0<d≦10、0<e≦5、0≦f≦5、0≦g≦3、0≦h≦30であり、iは各元素の酸化状態によって定まる数値である。上記式(1)において、a=12のとき、bの値は3以上が好ましく、また10以下が好ましく、8以下がより好ましい。cの値は0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、また4以下が好ましい。dの値は0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましく、また6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下がさらに好ましい。eの値は0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、また3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1以下がさらに好ましい。fの値は4以下が好ましく、3以下がより好ましく、0であってもよい。gの値は2以下が好ましく、1以下がより好ましく、0であってもよい。hの値は20以下が好ましく、10以下がより好ましく、0であってもよい。
上記式(1)において、Aはタングステンであることが好ましく、Bはアンチモンであることが好ましい。すなわち、本発明の触媒は、触媒活性成分として、モリブデン、バナジウムおよび銅に加えて、タングステンおよびアンチモンをさらに含有することが好ましい。
上記式(1)において、fとgとhの値は0であってもよい。この場合、本発明の触媒は、触媒活性成分として、下記式(2)で表される組成を有することが好ましい。下記式(2)において、Mo、V、Cu、A、B、O、a~e、iは上記と同じ意味を表す。
MoCu ・・・(2)
また、上記式(2)において、Aはタングステンであることが好ましく、Bはアンチモンであることが好ましいことから、本発明の触媒は、触媒活性成分として、下記式(3)で表される組成を有することがより好ましい。下記式(3)において、Mo、V、Cu、O、a~e、iは上記と同じ意味を表し、Wはタングステンを表し、Sbはアンチモンを表す。
MoCuSb ・・・(3)
触媒活性成分の組成、すなわち触媒組成は、ICP発光分光分析装置や原子吸光装置や蛍光X線分析装置を用いて、触媒に含まれる金属成分を測定することにより求めることができる。あるいは、触媒調製時に原料として使用した金属成分の量および/または触媒に実際に取り込まれた金属成分の量から、触媒組成を求めてもよい。
触媒活性成分は、Cu-Kα線を用いたX線回折分析において、2θ=22.2°±0.3°、28.2°±0.3°、31.5°±0.3°、32.6°±0.3°に回折ピークを有する。本発明の触媒は、これらの回折角において所定のピーク強度を示す点が、アクリル酸製造用触媒として従来公知のMo-V複合酸化物系触媒とは異なる。具体的には、2θ=28.2°±0.3°のピーク強度と2θ=22.2°±0.3°のピーク強度の比I(28.2°)/I(22.2°)が0.20以上0.50以下であり、2θ=31.5°±0.3°のピーク強度と2θ=22.2°±0.3°のピーク強度の比I(31.5°)/I(22.2°)が0.03以上0.20以下であり、2θ=32.6°±0.3°のピーク強度と2θ=22.2°±0.3°のピーク強度の比I(32.6°)/I(22.2°)が0.03以上0.40以下である。前記比I(28.2°)/I(22.2°)は、0.22以上が好ましく、0.23以上がより好ましい。前記比I(31.5°)/I(22.2°)は、0.18以下が好ましく、0.16以下がより好ましい。前記比I(32.6°)/I(22.2°)は、0.38以下が好ましく、0.35以下がより好ましい。
本発明の触媒は、触媒活性成分が上記のようにX線回折分析において特定の回折角に回折ピークを有し、かつ、上記の各ピーク強度比が所定の範囲の値を示すことにより、アクロレインを接触気相酸化してアクリル酸を製造する際に、高いアクリル酸選択率や高いアクリル酸収率を示すものとなる。これについて詳しく説明すると、2θ=22.2°±0.3°の回折ピークはVMo11と帰属でき、アクロレインからアクリル酸への反応に対して有効な構造であることが従来から知られている。2θ=28.2°±0.3°の回折ピークは主にVMo11と帰属でき(ただし2θ=22.2°±0.3°の回折ピークとは結晶面が異なる)、2θ=31.5°±0.3°および2θ=32.6°±0.3°の回折ピークはそれぞれ主に(V0.07Mo0.9314およびV0.95Mo0.97と帰属でき、2θ=22.2°±0.3°の回折ピークとは結晶構造自体が異なるものとなっている。本発明者が検討した結果、この2θ=22.2°±0.3°の回折ピークに帰属される構造とは異なる結晶面や結晶構造が触媒活性成分中に過剰または過少に存在すると、アクロレインからアクリル酸への反応において低活性となること、および/または、アクリル酸への選択性が低位となることが分かった。しかし本発明の触媒は、触媒活性成分中に、2θ=22.2°±0.3°の回折ピークに帰属される構造とは異なる複数の結晶面や結晶構造が、2θ=22.2°±0.3°の回折ピークに帰属される構造に対して所定範囲の比で存在することで、おそらく、アクロレインからアクリル酸の接触気相酸化反応における酸素移動能やアクロレイン、アクリル酸などの吸脱着能が向上し、触媒の活性や選択性の性能が向上するものと推定される。なお、上記の回折角の帰属は、粉末回折・結晶構造データベース(ICDD)に基づく。
本発明の触媒は、触媒活性成分のCu-Kα線を用いたX線回折分析において、2θ=33.4°±0.3°に所定の強度の回折ピークをさらに有することが好ましい。具体的には、2θ=33.4°±0.3°のピーク強度と2θ=22.2°±0.3°のピーク強度の比I(33.4°)/I(22.2°)が0.06以上0.40以下であることが好ましい。前記比I(33.4°)/I(22.2°)は、0.38以下がより好ましく、0.35以下がさらに好ましい。触媒活性成分はまた、Cu-Kα線を用いたX線回折分析において、2θ=5°~10°の範囲の最も高い強度が2θ=22.2°±0.3°のピーク強度に比べて所定値以下であることが好ましい。具体的には、2θ=5°~10°の範囲で最も高い強度と2θ=22.2°±0.3°のピーク強度の比I(5°-10°)/I(22.2°)が0.06以下であることが好ましく、0.05以下がより好ましい。なおここで「2θ=5°~10°の範囲で最も高い強度」とは、当該回折角の範囲に明確なピークが発現する場合であっても明確なピークが存在しない場合であっても、その範囲における最も高い強度の値であることを意味する。本発明の触媒は、触媒活性成分がこのようなX線回折プロファイルを示すことにより、アクロレインを接触気相酸化してアクリル酸を製造する際に、より確実に高いアクリル酸選択率や高いアクリル酸収率を示すものとなる。
触媒活性成分は、触媒活性成分のCu-Kα線を用いたX線回折分析において、2θ=27.3°±0.3°に回折ピークをさらに有するものであってもよい。例えば、2θ=27.3°±0.3°のピーク強度と2θ=22.2°±0.3°のピーク強度の比I(27.3°)/I(22.2°)が0.10以上0.60以下であってもよい。前記比I(27.3°)/I(22.2°)は0.14以上であってもよく、0.16以上であってもよく、0.20以上であってもよく、また0.50以下であってもよく、0.40以下であってもよい。本発明の触媒は、触媒活性成分がこのようなX線回折プロファイルを示すことにより、アクロレインを接触気相酸化してアクリル酸を製造する際に、より確実に高いアクリル酸選択率や高いアクリル酸収率を示すものとなる。
触媒の形状は特に限定されず、例えば、粒状、球状、柱状、リング状、鞍状、ハニカム状、不定形状等が挙げられる。触媒の粒径は、1.0mm以上が好ましく、2.0mm以上がより好ましく、2.5mm以上がさらに好ましく、また30.0mm以下が好ましく、20.0mm以下がより好ましく、15.0mm以下がさらに好ましい。
本発明の触媒は、Mo-V-Cu複合酸化物を含有する触媒活性成分が担体に担持された担持型の触媒であってもよく、触媒活性成分が担体に担持されない非担持型の触媒であってもよい。担体は、アクロレインやアクリル酸に不活性なものであることが好ましく、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の無機酸化物や複合酸化物;ゼオライト等の結晶性メタロシリケート;ステンレス、アルミニウム等の金属や合金;活性炭、炭化ケイ素等の無機炭素化合物等を用いることができる。なかでも、担体としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、またはこれらの複合酸化物を用いることが好ましい。
担体の粒径は特に限定されず、例えば(多)管式反応器の反応管内に触媒を充填する場合は、担持型触媒としたときに反応管内に充填可能な、上述した所望の粒径となればよく、すなわち担持型触媒の粒径が反応管の内径未満となるように適宜設定すればよい。
担持型触媒における担持率は、反応器での運転制御を容易にすること、および/または、触媒寿命を制御する観点などから適宜調整すればよく、例えば10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、また300質量%以下が好ましく、200質量%以下がより好ましい。担持型触媒の担持率は、次式から求めることができる:担持型触媒の担持率(%)=担持された触媒活性成分の質量/担体の質量×100。
次に本発明に係る触媒の製造方法について説明する。本発明の触媒は、以下に説明する本発明に係るアクリル酸製造用触媒の製造方法により製造することが好ましい。以下の製造方法により、本発明の触媒を容易に製造することができる。本発明の触媒は、以下に説明する本発明に係るアクリル酸製造用触媒の製造方法により得られるものであってもよい。
本発明に係る触媒の製造方法は、アクロレインからアクリル酸を製造するための触媒の製造方法であって、モリブデン、バナジウムおよび銅を含む原料混合液を得る工程と、前記原料混合液を乾燥して乾燥物を得る工程と、前記乾燥物を成型または不活性担体に担持して成型体または担持体を得る工程と、前記成型体または担持体を380℃以上460℃以下の温度Tで焼成する工程と、前記焼成後、酸素濃度5容量%超21容量%以下の雰囲気下で、温度Tから100℃までの冷却時間を5時間以上かけて冷却する工程とを有するものである(以下、「第1の製造方法」と称する)。また、本発明に係る触媒の製造方法は、アクロレインからアクリル酸を製造するための触媒の製造方法であって、モリブデン、バナジウムおよび銅を含む原料混合液を得る工程と、前記原料混合液を乾燥して乾燥物を得る工程と、前記乾燥物を380℃以上460℃以下の温度Tで焼成する工程と、前記焼成後、酸素濃度5容量%超21容量%以下の雰囲気下で、温度Tから100℃までの冷却時間を5時間以上かけて冷却する工程と、前記冷却工程を経て得られた焼成物を成型または不活性担体に担持する工程とを有するものでもある(以下、「第2の製造方法」と称する)。以下、本発明に係る触媒の製造方法について詳しく説明する。
原料混合液を得る工程では、触媒活性成分の原料として、モリブデン、バナジウムおよび銅を含む原料混合液を調製する。上記に説明したように、触媒活性成分が、モリブデン、バナジウムおよび銅に加え、さらに他の金属元素や半金属元素を含有する場合は、原料混合液は、これらの金属元素や半金属元素をさらに含むことが好ましい。
原料混合液は、原料化合物としてのモリブデン化合物、バナジウム化合物および銅化合物を溶媒に溶解または分散媒に分散することにより調製することができる。原料混合液の溶媒または分散媒は特に限定されないが、水を用いることが簡便である。従って、原料混合液は、モリブデン化合物、バナジウム化合物および銅化合物を水に溶解した水溶液または水に分散した分散液(スラリー)として得ることが好ましく、当該水溶液または分散液はさらに他の金属元素の化合物や半金属元素の化合物が溶解または分散していてもよい。
モリブデン化合物、バナジウム化合物および銅化合物の形態は特に限定されず、酸化物;水酸化物;塩化物、臭化物、ヨウ化物等のハロゲン化物;硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩等の無機塩;ギ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩等の有機酸塩;オキソ酸またはオキソ酸塩(例えば、オキソ酸のアンモニウム塩やアルカリ金属塩)等の任意の形態の化合物を使用することができる。このうち、モリブデン化合物としては、オキソ酸またはオキソ酸塩が好ましく、パラモリブデン酸またはパラモリブデン酸アンモニウムがより好ましい。バナジウム化合物としては、オキソ酸またはオキソ酸塩が好ましく、メタバナジン酸またはメタバナジン酸アンモニウムがより好ましい。銅化合物としては、無機塩が好ましく、硝酸銅がより好ましい。触媒活性成分が、モリブデン、バナジウムおよび銅に加え、さらに他の金属元素や半金属元素を含有する場合は、これらの金属元素や半金属元素についても、任意の形態の化合物を使用することができる。これらの各化合物は、溶媒への溶解性なども考慮して適宜選定すればよい。原料混合液は適宜撹拌および/または加熱することにより、溶解性を高めてもよい。
モリブデン化合物、バナジウム化合物および銅化合物の使用量は、触媒活性成分の所望する組成に応じて適宜設定すればよい。例えば、原料混合液中、モリブデン(Mo)とバナジウム(V)のモル比Mo/Vは、0.8以上が好ましく、1.2以上がより好ましく、1.5以上がさらに好ましく、また6.0以下が好ましく、4.0以下がより好ましい。また、原料混合液中、モリブデン(Mo)と銅(Cu)のモル比Mo/Cuは、2.4以上が好ましく、3.0以上がより好ましく、また240以下が好ましく、120以下がより好ましく、60以下がさらに好ましい。
触媒活性成分が、モリブデン、バナジウムおよび銅に加え、さらに他の金属元素や半金属元素を含有する場合は、これら金属元素の化合物や半金属元素の化合物の使用量も、所望する触媒活性成分の組成に応じて適宜設定すればよい。本発明においては、触媒活性成分がタングステンおよび/またはアンチモンをさらに含有することが好ましい。例えば触媒活性成分がタングステンをさらに含有する場合は、モリブデン(Mo)とタングステン(W)のモル比Mo/Wは、1.2以上が好ましく、2.0以上がより好ましく、4.0以上がさらに好ましく、6.0以上がさらにより好ましく、また240以下が好ましく、120以下がより好ましく、40以下がさらに好ましく、24以下がさらにより好ましい。触媒活性成分がさらにアンチモンを含有する場合は、モリブデン(Mo)とアンチモン(Sb)のモル比Mo/Sbは、2.4以上が好ましく、3.0以上がより好ましく、4.0以上がさらに好ましく、また240以下が好ましく、120以下がより好ましく、60以下がさらに好ましい。
触媒活性成分がタングステンおよび/またはアンチモンをさらに含有する場合、原料化合物としてのタングステン化合物、アンチモン化合物の形態は特に限定されず、上述した任意の形態の化合物を使用することができる。このうち、タングステン化合物としては、オキソ酸またはオキソ酸塩が好ましく、パラタングステン酸またはパラタングステン酸アンモニウムがより好ましい。アンチモン化合物としては三酸化アンチモンが好ましい。
原料混合液を得る工程では、モリブデン化合物、バナジウム化合物および銅化合物を一括で溶解または分散して原料混合液を調製してもよく、化合物ごとに溶液または分散液を調製して、それらを混合して原料混合液を調製してもよい。また、モリブデン化合物、バナジウム化合物および銅化合物のうちの1種または2種の化合物の単独もしくは混合溶液または単独もしくは混合分散液を調製し、残りの1種または2種の化合物の単独もしくは混合溶液または単独もしくは混合分散液を調製し、それらを混合して原料混合液を調製してもよい。触媒活性成分が、モリブデン、バナジウムおよび銅に加え、さらに他の金属元素や半金属元素を含有する場合も同様に、各化合物の溶解および混合方法は特に限定されず、最終的に原料化合物の全てまたは一部が溶解した原料混合液が得られればよい。
原料混合液を得る工程で得られた原料混合液は、調製後すぐに次工程の乾燥工程を行ってもよく、撹拌を継続してから乾燥工程を行ってもよい。原料混合液の撹拌は加熱を伴うものであってもよい。原料混合液の撹拌を行う際の温度は特に制限はなく、20℃以上が好ましく、25℃以上がより好ましく、30℃以上がさらに好ましく、また100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましい。原料混合液の撹拌を継続して行う場合の撹拌時間は特に限定されず、1時間以上、5時間以上または10時間以上であってもよく、また360時間以下、240時間以下または120時間以下であってもよい。
原料混合液を得る工程に続いて、原料混合液を乾燥させる乾燥工程を行う。原料混合液を乾燥処理することにより乾燥物が得られる。乾燥方法としては、加熱や減圧等の公知の方法を採用すればよい。例えば、スプレードライヤーやドラムドライヤー等を用いて原料混合液を加熱して、粉末状の乾燥物を得てもよく、箱型乾燥機やトンネル型乾燥機等を用いて、原料混合液を気流下または無通気下で加熱して、ブロック状またはフレーク状の乾燥物を得てもよい。気流下で流通させるガスまたは無通気下における雰囲気ガスとしては、窒素等の不活性ガス、空気等の酸素を含有したガス等が挙げられる。また、一旦、原料混合液を濃縮および/または蒸発乾固してケーキ状の固形物を得て、この固形物をさらに加熱することにより乾燥物を得てもよい。加熱により乾燥を行う場合は、例えば60℃~180℃の温度で乾燥処理を行うことが好ましい。乾燥時間は特に制限されないが、触媒の製造効率の観点から、1時間以上が好ましく、2時間以上がより好ましく、また48時間以下が好ましく、24時間以下がより好ましい。減圧により乾燥を行う場合は、真空乾燥機等を用いて原料混合液を減圧により乾燥させ、ブロック状または粉末状の乾燥物を得てもよい。
得られた乾燥物は、必要に応じて粉砕処理および/または分級処理を行い、適当な粒度に調整してもよい。当該粒度は特に限定されないが、例えば、目開き500μmの篩の通過粒分が90質量%以上となる粒度が好ましく、目開き300μmの篩の通過粒分が90質量%以上となる粒度がより好ましい。なお、乾燥物を粉砕処理および/または分級処理を行ったものも、本発明における乾燥物に含まれる。
第1の製造方法では、次いで、乾燥工程で得られた乾燥物を成型または不活性担体に担持し、成型体または担持体を得る工程(以下、「第1の成型・担持工程」と称する場合がある)を行う。乾燥物を成型する場合は、押し出し成型法や打錠成型法等の公知の成型方法により乾燥物を一定の形状に成型すればよい。成型体の形状は特に限定されず、球状、柱状、リング状、鞍状、不定形等が挙げられる。乾燥物を不活性担体に担持させる場合は、一定の形状を有する任意の不活性担体上に乾燥物を担持させて担持体を得ればよい。乾燥物を担持させるのに使用する不活性担体の材料は上記に説明した通りである。不活性担体の形状は特に限定されず、粒状、球状、柱状、リング状、鞍状、ハニカム状、不定形状等が挙げられる。
乾燥物を成型または担持する際には、乾燥物の成型性や担持性を向上させるための成型補助剤やバインダー、触媒に適度な細孔を形成させるための気孔形成剤など、一般に触媒の製造においてこれらの効果を目的として使用される物質(以下、「補助物質」と称する場合がある)を用いることができ、なかでもバインダーを使用することが好ましい。バインダーの具体例としては、エチレングリコール、グリセリン、プロピオン酸、マレイン酸、ベンジルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、フェノール類、セルロース類(例えば、セルロースやエチルセルロース)などの有機化合物、水、硝酸、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウムなどが挙げられる。これらは1種のみで用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。また、補助物質とは別に触媒の機械的強度を向上させる目的で、補強剤を用いることもできる。補強剤の具体例としては、シリカ、アルミナ、セラミック繊維、ガラス繊維、炭素繊維、鉱物繊維、金属繊維、炭化ケイ素や窒化ケイ素などの各種ウィスカ等が挙げられ、その結晶構造も多結晶質でも単結晶質でも非晶質でもよいが、多結晶質または単結晶質が好ましい。また、触媒の形状や所望する機械的強度に応じて、繊維径、繊維長、材質等の異なる複数の補強剤を用いてもよい。補強剤は、原料混合液に添加しておいてもよいし、成型または担持の際に乾燥物に配合してもよい。
乾燥物を不活性担体に担持させるのに使用する装置については特に制限はなく、従来公知の混合装置を用いることができる。例えば、特開昭63-200839号公報に記載の遠心流動コーティング法や、特開2004-136267号公報に記載のロッキングミキサー法により、乾燥物を不活性担体に担持させることが好ましい。
第1の製造方法では、次いで、第1の成型・担持工程で得られた成型体または担持体を380℃以上460℃以下の温度Tで焼成する焼成工程を行う。焼成工程における焼成温度Tは、390℃以上が好ましく、450℃以下が好ましい。焼成工程において、所定の温度まで昇温させるまでの昇温速度は、0.1℃/分以上が好ましく、0.5℃/分以上がより好ましく、また、15℃/分以下が好ましく、10℃/分以下がより好ましい。焼成温度Tでの焼成の時間は、例えば0.5時間~12時間の間で適宜調整すればよい。焼成における雰囲気は特に限定されず、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気、水素等の還元ガス雰囲気、空気等の酸素含有ガス雰囲気で行うことができる。なかでも、酸素含有ガス雰囲気で行うことが好ましい。また、その際の酸素濃度は、1容量%以上が好ましく、また21容量%以下が好ましい。
第2の製造方法では、乾燥工程で乾燥処理した乾燥物、あるいはさらに粉砕処理および/または分級処理した乾燥物を、380℃以上460℃以下の温度Tで焼成する焼成工程を行う。第2の製造方法における焼成工程に関する説明は、第1の製造方法における焼成工程の説明が参照される。
第1または第2の製造方法の焼成工程で使用される焼成炉は特に限定されず、一般的に使用される箱型焼成炉やトンネル型焼成炉等を用いることができる。焼成温度の計測方法については後述する。
第1または第2の製造方法では、焼成工程において焼成を行った後、冷却工程を行う。具体的には、乾燥物、成型体または担持体を焼成後、冷却工程において、酸素濃度5容量%超21容量%以下の雰囲気下で、温度Tから100℃までの冷却時間を5時間以上かけて冷却する。このように冷却することにより、本発明の触媒、すなわち、上記に説明したように触媒活性成分のX線回折分析において特定の回折角に回折ピークを有し、かつ所定のピーク強度比を示す触媒を、容易に得ることができる。そのため、本発明に係る触媒の製造方法により得られる触媒は、アクロレインを接触気相酸化してアクリル酸を製造する際に高いアクリル酸選択率や高いアクリル酸収率を示すものとなる。なお、冷却工程は焼成工程に続けて行うことが好ましく、焼成炉内にて乾燥物、成型体または担持体の焼成を行った後、当該炉内にて引き続き冷却を行うことが好ましい。
冷却工程では、冷却時間や炉内ガス雰囲気が、得られる触媒活性成分の結晶構造に大きな影響を与える。これについて詳しく説明すると、焼成工程では焼成の際に固相反応によって結晶成長が進むが、焼成後の冷却工程においても直ちに温度は下がらないため、固相反応が継続することでさらに結晶成長が進む。このとき、冷却工程の冷却時間および酸素濃度を上記のように制御することにより、焼成後の(冷却工程での)結晶成長が緩やかになることで、上記に説明したような特定の回折角に回折ピークを有し、かつ所定のピーク強度比を示す触媒を得ることができると考えられる。例えば、冷却工程において、温度Tから100℃までの冷却時間を5時間以上かけて冷却することにより、得られる触媒の触媒活性成分はX線回折分析におけるピーク強度比I(31.5°)/I(22.2°)が0.03以上を有するものとなり、高いアクリル酸選択率や高いアクリル酸収率を示すものとなる。冷却工程における雰囲気中の酸素濃度を5容量%超とすることにより、得られる触媒の触媒活性成分はピーク強度比I(28.2°)/I(22.2°)が0.50以下を有するものとなり、高いアクリ酸選択率や高いアクリル酸収率を示すものとなる。冷却工程における雰囲気中の酸素濃度を21容量%以下とすることにより、得られる触媒の触媒活性成分はピーク強度比I(32.6°)/I(22.2°)が0.40以下を示すものとなる。この触媒は活性が高く、反応温度を比較的低く設定することができるため、結果としてアクリル酸選択率を高めることができる。また、焼成工程における焼成温度を460℃以下とすることにより、得られる触媒の触媒活性成分は、ピーク強度比I(31.5°)/I(22.2°)が0.20以下、かつピーク強度比I(32.6°)/I(22.2°)が0.40以下を有するものとなる。この触媒は活性が高く、反応温度を比較的低く設定することができるため、結果としてアクリル酸選択率を高めることができる。
冷却工程において、雰囲気中の酸素濃度は6容量%以上であることが好ましく、8容量%以上がより好ましく、10容量%以上がさらに好ましい。また、雰囲気中の酸素濃度の上限は、20容量%以下が好ましく、18容量%以下がより好ましい。
冷却工程において、温度Tから100℃までの冷却時間は5時間超であることが好ましく、5.2時間以上であることがより好ましく、6時間以上がさらに好ましい。温度Tから100℃までの冷却時間の上限は特に限定されないが、触媒の製造効率を高める観点から、12時間以下が好ましく、10時間以下がより好ましい。
冷却工程では、温度Tから300℃までの冷却時間を3時間以上かけて冷却することも好ましく、3.5時間以上がより好ましい。これにより、本発明の触媒を容易に得ることができ、また得られた触媒が高いアクリル酸選択率や高いアクリル酸収率を示すものとなる。温度Tから300℃までの冷却時間の上限は特に限定されないが、触媒の製造効率を高める観点から、10時間以下が好ましく、8時間以下がより好ましく、6時間以下がさらに好ましい。
冷却工程における冷却時間は、例えば、炉内を無風状態で保持する、炉内に冷風を送る、ヒーターの加熱を調節する、雰囲気を制御したガスを炉内に流通させて流量を制御することなどにより、容易に調整することができる。焼成温度Tから100℃までの冷却時の平均降温速度は、0.38℃/分以上が好ましく、0.43℃/分以上がより好ましく、また1.2℃/分以下が好ましく、1.0℃/分以下がより好ましい。また、焼成温度Tから300℃までの冷却時の平均降温速度は、0.1℃/分以上が好ましく、0.2℃/分以上がより好ましく、また1.0℃/分以下が好ましく、0.9℃/分以下がより好ましい。
焼成工程における焼成温度と冷却工程における冷却温度は、次のようにして求めることができる。たとえば、焼成対象物となる乾燥物、成型体または担持体を焼成炉内に積載して配置し、温度測定センサーを乾燥物、成型体または担持体の層の中心付近に設置し、この状態で焼成工程と冷却工程を行い、各工程での温度を計測することにより、焼成温度と冷却温度を求めることができる。
第1の製造方法では、冷却工程を経て得られた焼成物をそのまま触媒として使用することができる。第1の製造方法では、乾燥物を成型または不活性担体に担持した後に温度Tで焼成しているため、焼成工程および冷却工程を経て得られた触媒は成型触媒または担持触媒として得られる。
第2の製造方法では、冷却工程の後、冷却工程を経て得られた焼成物を成型または不活性担体に担持する工程(以下、「第2の成型・担持工程」と称する場合がある)を行う。これにより、第2の製造方法においても、成型触媒または担持触媒として触媒を得ることができる。第2の成型・担持工程における成型方法や担持方法に関する説明は、第1の製造方法の第1の成型・担持工程における成型方法や担持方法の説明が参照される。
第2の製造方法では、第2の成型・担持工程で得られた成型体または担持体を、温度T以下で熱処理してもよい。このときの熱処理の加熱温度(T)は、温度T以下であれば特に限定されないが、T-30℃以下が好ましく、また100℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましい。熱処理の時間は、例えば0.5時間~12時間の間で適宜調整すればよい。熱処理における雰囲気は特に限定されず、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気、水素等の還元ガス雰囲気、空気等の酸素含有ガス雰囲気で行うことができる。なかでも、熱処理は酸素含有ガス雰囲気で行うことが好ましい。
第2の製造方法において、第2の成型・担持工程後の熱処理は、触媒活性成分の結晶構造の成長を制御することを目的に行うのではなく、例えば、成型や担持の際に用いたバインダーを必要に応じて揮発または分解させることを目的として行う。第2の成型・担持工程後の熱処理はこのように触媒活性成分の結晶構造の成長の制御を目的として行うものではないため、熱処理後の冷却の際の冷却時間や冷却速度については特に制限されない。ただし、触媒製造効率の観点から、100℃より高い温度Tで熱処理をする場合、温度Tから100℃までの冷却時間は、12時間以下が好ましく、10時間以下がより好ましく、8時間以下がさらに好ましい。また、このときの冷却速度は、0.45℃/分以上が好ましく、0.55℃/分以上がより好ましく、0.68℃/分以上がさらに好ましい。上記熱処理後の冷却の際の雰囲気は特に限定されず、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気、水素等の還元ガス雰囲気、空気等の酸素含有ガス雰囲気で行うことができる。
本発明の触媒および本発明の製造方法により得られた触媒は、アクロレインからアクリル酸を製造するための触媒として有用である。本発明のアクリル酸の製造方法は、本発明の触媒または本発明の触媒の製造方法により得られた触媒の存在下、アクロレインを接触気相酸化させてアクリル酸を得る工程を有するものである。本発明のアクリル酸の製造方法は、本発明の製造方法により触媒を得る工程と、前記工程で得られた触媒の存在下、アクロレインを接触気相酸化させてアクリル酸を得る工程を有するものであってもよい。本発明のアクリル酸の製造方法によれば、アクロレインからアクリル酸を高収率で製造できる。
本発明のアクリル酸の製造方法の反応条件には特に制限はなく、この種の反応に一般に用いられている条件であれば、いずれも実施することが可能である。原料ガスとしては、例えば、1~15容量%、好ましくは4~12容量%のアクロレイン、0.5~25容量%、好ましくは2~20容量%の分子状酸素、0~30容量%、好ましくは0~25容量%の水蒸気、残部が窒素等の不活性ガスからなる混合ガスを用いることができる。また、グリセリンの脱水反応やプロピレンの接触気相酸化反応によって得られるアクロレイン含有ガス、または当該アクロレイン含有ガスに必要に応じて空気または酸素を添加した混合ガスを、原料ガスとして使用することもできる。反応温度としては、200℃~400℃の温度範囲で適宜設定すればよい。加熱手段としては、溶融塩や電熱ヒーターなどの公知の加熱手段を用いることができる。
反応器は、固定床反応器((多)管式反応器)、流動床反応器、移動床反応器等、公知の反応器を用いることができ、これらの反応器に触媒を配置または充填して用いることができる。反応器として固定床反応器を用いる場合、固定床反応器へ導入する原料ガスの空間速度は300hr-1以上が好ましく、500hr-1以上がより好ましく、1000hr-1以上がさらに好ましく、また10000hr-1以下が好ましく、8000hr-1以下がより好ましく、5000hr-1以下がさらに好ましい。なお、ここでいう空間速度は、触媒層を通過する原料ガスの単位時間当たりの量(0℃、1バールの標準状態(standard temperature and pressure:STP)での換算値)を意味する。
上記の反応により、反応生成物として、アクリル酸含有ガスが得られる。このアクリル酸含有ガスを冷却凝縮や溶剤捕集することにより、粗アクリル酸含有液が得られる。粗アクリル酸含有液は、必要に応じて公知の精製手段(例えば、蒸留、晶析、放散、抽出)により精製してもよく、これにより高純度のアクリル酸を得ることができる。
本願は、2020年9月3日に出願された日本国特許出願第2020-148124号に基づく優先権の利益を主張するものである。2020年9月3日に出願された日本国特許出願第2020-148124号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記の実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下の説明では特に断らない限り、「部」は「質量部」を表す。
(1) 触媒の調製
(1-1) 調製例1(実施例1で使用する触媒1の調製例)
純水1000部を撹拌しながら加熱し、そこにパラモリブデン酸アンモニウム100部、メタバナジン酸アンモニウム22.1部、パラタングステン酸アンモニウム12.8部を溶解した。別に純水100部を撹拌しながら加熱し、そこに硝酸銅11.4部を溶解した。得られた2つの溶液を混合し、そこに三酸化アンチモン4.1部を添加して、原料混合液を得た。この原料混合液を噴霧乾燥させ、得られた乾燥物を250μm以下の大きさに篩分けし、乾燥粉末を得た。遠心流動コーティング装置に平均粒径4mmのα-アルミナからなる球形担体300部を投入し、次いでバインダーとして純水を投入し担体に含浸させてから、乾燥粉末を担体に担持させた後、約90℃の熱風で乾燥して触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体をルツボに入れ、箱型焼成炉に入れた。炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、室温から2℃/分で昇温した後380℃で6.0時間焼成した。その後、炉内の酸素濃度を18容量%に調整し、380℃から300℃までの冷却を3.0時間、380℃から100℃までの冷却を5.3時間かけて行い、触媒1を得た。この触媒1の担持率は30質量%であり、酸素を除く金属元素組成はMo124.01.0Cu1.0Sb0.6であった。なお、担持率は次式:担持率(質量%)=(担持された触媒粉体の質量(g))/(用いた担体の質量(g))×100から求めた。
(1-2) 調製例2(実施例2で使用する触媒2の調製例)
調製例1において、原料として、パラモリブデン酸アンモニウム100部、メタバナジン酸アンモニウム24.9部、パラタングステン酸アンモニウム17.9部、硝酸銅17.1部、三酸化アンチモン3.4部を使用した以外は、調製例1と同様にして触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体をルツボに入れ、箱型焼成炉内で、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、室温から2℃/分で昇温した後400℃で6.0時間焼成した。その後、炉内の酸素濃度を14容量%に調整し、400℃から300℃までの冷却を3.5時間、400℃から100℃までの冷却を6.0時間かけて行い、触媒2を得た。この触媒2の担持率は30質量%であり、酸素を除く金属元素組成はMo124.5Cu1.51.4Sb0.5であった。
(1-3) 調製例3(実施例3で使用する触媒3の調製例)
調製例1において、原料として、パラモリブデン酸アンモニウム100部、メタバナジン酸アンモニウム22.1部、パラタングステン酸アンモニウム15.3部、硝酸銅6.8部、三酸化アンチモン4.8部を使用した以外は、調製例1と同様にして触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体をルツボに入れ、箱型焼成炉内で、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、室温から2℃/分で昇温した後410℃で6.0時間焼成した。その後、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、410℃から300℃までの冷却を4.0時間、410℃から100℃までの冷却を6.5時間かけて行い、触媒3を得た。この触媒3の担持率は30質量%であり、酸素を除く金属元素組成はMo124.0Cu0.61.2Sb0.7であった。
(1-4) 調製例4(実施例4で使用する触媒4の調製例)
調製例1において、原料として、パラモリブデン酸アンモニウム100部、メタバナジン酸アンモニウム22.1部、パラタングステン酸アンモニウム12.8部、硝酸銅14.8部、三酸化アンチモン3.4部を使用した以外は、調製例1と同様にして触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体をルツボに入れ、箱型焼成炉内で、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、室温から2℃/分で昇温した後400℃で6.0時間焼成した。その後、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、400℃から300℃までの冷却を3.5時間、400℃から100℃までの冷却を6.0時間かけて行い、触媒4を得た。この触媒4の担持率は30質量%であり、酸素を除く金属元素組成はMo124.0Cu1.31.0Sb0.5であった。
(1-5) 調製例5(実施例5で使用する触媒5の調製例)
調製例1において、原料として、パラモリブデン酸アンモニウム100部、メタバナジン酸アンモニウム24.9部、パラタングステン酸アンモニウム15.3部、硝酸銅18.3部、三酸化アンチモン4.1部を使用した以外は、調製例1と同様にして触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体をルツボに入れ、箱型焼成炉内で、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、室温から2℃/分で昇温した後420℃で6.0時間焼成した。その後、炉内の酸素濃度を12容量%に調整し、420℃から300℃までの冷却を4.5時間、420℃から100℃までの冷却を7.0時間かけて行い、触媒5を得た。この触媒5の担持率は30質量%であり、酸素を除く金属元素組成はMo124.5Cu1.61.2Sb0.6であった。
(1-6) 調製例6(実施例6で使用する触媒6の調製例)
調製例1において、原料として、パラモリブデン酸アンモニウム100部、メタバナジン酸アンモニウム22.1部、パラタングステン酸アンモニウム12.8部、硝酸銅20.5部、三酸化アンチモン3.4部を使用した以外は、調製例1と同様にして触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体をルツボに入れ、箱型焼成炉内で、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、室温から2℃/分で昇温した後430℃で6.0時間焼成した。その後、炉内の酸素濃度を12容量%に調整し、430℃から300℃までの冷却を5.0時間、430℃から100℃までの冷却を7.5時間かけて行い、触媒6を得た。この触媒6の担持率は30質量%であり、酸素を除く金属元素組成はMo124.0Cu1.81.0Sb0.5であった。
(1-7) 調製例7(実施例7で使用する触媒7の調製例)
調製例1において、原料として、パラモリブデン酸アンモニウム100部、メタバナジン酸アンモニウム19.3部、パラタングステン酸アンモニウム12.8部、硝酸銅34.2部、三酸化アンチモン3.4部を使用した以外は、調製例1と同様にして触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体をルツボに入れ、箱型焼成炉内で、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、室温から2℃/分で昇温した後420℃で6.0時間焼成した。その後、炉内の酸素濃度を21容量%に調整し、420℃から300℃までの冷却を4.5時間、420℃から100℃までの冷却を7.0時間かけて行い、触媒7を得た。この触媒7の担持率は30質量%であり、酸素を除く金属元素組成はMo123.5Cu3.01.0Sb0.5であった。
(1-8) 調製例8(実施例8で使用する触媒8の調製例)
調製例1において、原料として、パラモリブデン酸アンモニウム100部、メタバナジン酸アンモニウム33.1部、パラタングステン酸アンモニウム12.8部、硝酸銅22.8部、三酸化アンチモン2.8部を使用した以外は、調製例1と同様にして触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体をルツボに入れ、箱型焼成炉内で、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、室温から2℃/分で昇温した後400℃で6.0時間焼成した。その後、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、400℃から300℃までの冷却を3.5時間、400℃から100℃までの冷却を6.0時間かけて行い、触媒8を得た。この触媒8の担持率は30質量%であり、酸素を除く金属元素組成はMo126.0Cu2.01.0Sb0.4であった。
(1-9) 調製例9(実施例9で使用する触媒9の調製例)
調製例1において、原料として、パラモリブデン酸アンモニウム100部、メタバナジン酸アンモニウム16.6部、パラタングステン酸アンモニウム10.2部、硝酸銅3.4部、三酸化アンチモン2.1部を使用した以外は、調製例1と同様にして触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体をルツボに入れ、箱型焼成炉内で、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、室温から2℃/分で昇温した後440℃で6.0時間焼成した。その後、炉内の酸素濃度を20容量%に調整し、440℃から300℃までの冷却を6.0時間、440℃から100℃までの冷却を8.5時間かけて行い、触媒9を得た。この触媒9の担持率は30質量%であり、酸素を除く金属元素組成はMo123.0Cu0.30.8Sb0.3であった。
(1-10) 調製例10(実施例10で使用する触媒10の調製例)
調製例3と同様にして触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体をルツボに入れ、箱型焼成炉内で、炉内の酸素濃度を1容量%に調整し、室温から2℃/分で昇温した後400℃で6.0時間焼成した。その後、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、400℃から300℃までの冷却を3.5時間、400℃から100℃までの冷却を6.0時間かけて行い、触媒10を得た。この触媒10の担持率は30質量%であり、酸素を除く金属元素組成はMo124.0Cu0.61.2Sb0.7であった。
(1-11) 調製例11(実施例11で使用する触媒11の調製例)
調製例8と同様にして触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体をルツボに入れ、箱型焼成炉内で、炉内の酸素濃度を21容量%に調整し、室温から2℃/分で昇温した後400℃で6.0時間焼成した。その後、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、400℃から300℃までの冷却を3.5時間、400℃から100℃までの冷却を6.0時間かけて行い、触媒11を得た。この触媒11の担持率は30質量%であり、酸素を除く金属元素組成はMo126.0Cu2.01.0Sb0.4であった。
(1-12) 調製例12(実施例12で使用する触媒12の調製例)
調製例6と同様にして触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体をルツボに入れ、箱型焼成炉内で、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、室温から2℃/分で昇温した後420℃で1.0時間焼成した。その後、炉内の酸素濃度を6容量%に調整し、420℃から300℃までの冷却を4.5時間、420℃から100℃までの冷却を7.0時間かけて行い、触媒12を得た。この触媒12の担持率は30質量%であり、酸素を除く金属元素組成はMo124.0Cu1.81.0Sb0.5であった。
(1-13) 調製例13(実施例13で使用する触媒13の調製例)
純水1000部を撹拌しながら加熱し、そこにパラモリブデン酸アンモニウム100部、メタバナジン酸アンモニウム33.1部、パラタングステン酸アンモニウム12.8部を溶解した。別に純水100部を撹拌しながら加熱し、そこに硝酸銅22.8部を溶解した。得られた2つの溶液を混合し、そこに硝酸コバルト8.2部と三酸化アンチモン2.8部を添加して、原料混合液を得た以外は、調製例1と同様にして触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体をルツボに入れ、箱型焼成炉内で、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、室温から2℃/分で昇温した後390℃で6.0時間焼成した。その後、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、390℃から300℃までの冷却を3.5時間、390℃から100℃までの冷却を6.0時間かけて行い、触媒13を得た。この触媒13の担持率は30質量%であり、酸素を除く金属元素組成はMo126.0Cu2.01.0Sb0.4Co0.6であった。
(1-14) 調製例14(実施例14で使用する触媒14の調製例)
調製例13において、硝酸コバルト8.2部の代わりに酸化マグネシウム0.4部を使用した以外は、調製例13と同様にして触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体をルツボに入れ、箱型焼成炉内で、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、室温から2℃/分で昇温した後400℃で6.0時間焼成した。その後、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、400℃から300℃までの冷却を3.5時間、400℃から100℃までの冷却を6.0時間かけて行い、触媒14を得た。この触媒14の担持率は30質量%であり、酸素を除く金属元素組成はMo126.0Cu2.01.0Sb0.4Mg0.2であった。
(1-15) 調製例15(実施例15で使用する触媒15の調製例)
純水1000部を撹拌しながら加熱し、そこにパラモリブデン酸アンモニウム100部、メタバナジン酸アンモニウム22.1部、パラタングステン酸アンモニウム12.8部を溶解した。別に純水100部を撹拌しながら加熱し、そこに硝酸銅20.5部を溶解した。得られた2つの溶液を混合し、そこに酸化アルミニウム6.3部と三酸化アンチモン3.4部を添加して、原料混合液を得た以外は、調製例1と同様にして触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体をルツボに入れ、箱型焼成炉内で、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、室温から2℃/分で昇温した後400℃で6.0時間焼成した。その後、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、400℃から300℃までの冷却を3.5時間、400℃から100℃までの冷却を6.0時間かけて行い、触媒15を得た。この触媒15の担持率は30質量%であり、酸素を除く金属元素組成はMo124.0Cu1.81.0Sb0.5Al1.3であった。
(1-16) 調製例16(実施例16で使用する触媒16の調製例)
調製例1において、原料として、パラモリブデン酸アンモニウム100部、メタバナジン酸アンモニウム33.1部、パラタングステン酸アンモニウム12.8部、硝酸銅22.8部、三酸化アンチモン2.8部を使用した以外は、調製例1と同様にして乾燥粉末を得た。得られた乾燥粉末をルツボに入れ、箱型焼成炉内で、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、室温から2℃/分で昇温した後400℃で6.0時間焼成した。その後、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、400℃から300℃までの冷却を3.5時間、400℃から100℃までの冷却を6.0時間かけて行い、焼成物を得た。得られた焼成物をボールミルを用いて粉砕し、焼成粉末を得た。遠心流動コーティング装置に平均粒径4mmのα-アルミナからなる球形担体300部を投入し、次いでバインダーとして1質量%ヒドロキシエチルセルロース溶液を投入し担体に含浸させてから、焼成粉末を担体に担持させた後、約90℃の熱風で乾燥して担持物を得た。得られた担持物をルツボに入れ、箱型焼成炉内で、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、室温から2℃/分で昇温した後300℃で2.0時間焼成し、300℃から100℃までの冷却を2.5時間かけて行い、触媒16を得た。この触媒16の担持率は30質量%であり、酸素を除く金属元素組成はMo126.0Cu2.01.0Sb0.4であった。
(1-17) 調製例17(比較例1で使用する触媒17の調製例)
調製例9と同様にして触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体をルツボに入れ、箱型焼成炉内で、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、室温から2℃/分で昇温した後440℃で6.0時間焼成した。その後、炉内の酸素濃度を21容量%に調整し、440℃から300℃までの冷却を2.0時間、440℃から100℃までの冷却を4.0時間かけて行い、触媒17を得た。この触媒17の担持率は30質量%であり、酸素を除く金属元素組成はMo123.0Cu0.30.8Sb0.3であった。
(1-18) 調製例18(比較例2で使用する触媒18の調製例)
調製例9と同様にして触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体をルツボに入れ、箱型焼成炉内で、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、室温から2℃/分で昇温した後440℃で6.0時間焼成した。その後、炉内の酸素濃度を25容量%に調整し、440℃から300℃までの冷却を6.0時間、440℃から100℃までの冷却を8.5時間かけて行い、触媒18を得た。この触媒18の担持率は30質量%であり、酸素を除く金属元素組成はMo123.0Cu0.30.8Sb0.3であった。
(1-19) 調製例19(比較例3で使用する触媒19の調製例)
調製例9と同様にして触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体をルツボに入れ、箱型焼成炉内で、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、室温から2℃/分で昇温した後440℃で6.0時間焼成した。その後、炉内の酸素濃度を30容量%に調整し、440℃から300℃までの冷却を6.0時間、440℃から100℃までの冷却を8.5時間かけて行い、触媒19を得た。この触媒19の担持率は30質量%であり、酸素を除く金属元素組成はMo123.0Cu0.30.8Sb0.3であった。
(1-20) 調製例20(比較例4で使用する触媒20の調製例)
調製例8と同様にして触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体をルツボに入れ、箱型焼成炉内で、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、室温から2℃/分で昇温した後420℃で6.0時間焼成した。その後、炉内の酸素濃度を5容量%に調整し、420℃から300℃までの冷却を4.5時間、420℃から100℃までの冷却を7.0時間かけて行い、触媒20を得た。この触媒20の担持率は30質量%であり、酸素を除く金属元素組成はMo126.0Cu2.01.0Sb0.4であった。
(1-21) 調製例21(比較例5で使用する触媒21の調製例)
調製例8と同様にして触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体をルツボに入れ、箱型焼成炉内で、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、室温から2℃/分で昇温した後480℃で6.0時間焼成した。その後、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、480℃から300℃までの冷却を7.0時間、480℃から100℃までの冷却を9.5時間かけて行い、触媒21を得た。この触媒21の担持率は30質量%であり、酸素を除く金属元素組成はMo126.0Cu2.01.0Sb0.4であった。
(1-22) 調製例22(比較例6で使用する触媒22の調製例)
調製例8と同様にして触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体をルツボに入れ、箱型焼成炉内で、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、室温から2℃/分で昇温した後370℃で6.0時間焼成した。その後、炉内の酸素濃度を10容量%に調整し、370℃から300℃までの冷却を3.0時間、370℃から100℃までの冷却を5.0時間かけて行い、触媒22を得た。この触媒22の担持率は30質量%であり、酸素を除く金属元素組成はMo126.0Cu2.01.0Sb0.4であった。
上記各調製例における触媒の調製条件および触媒組成を表1および表2に示す。
(2) 触媒活性成分のX線回折分析
各調製例で得られた触媒を密閉容器内で振とうし、担体表面に担持された触媒活性成分を剥離した後、篩分けを行って、150μm以下の大きさの粉体を得た。得られた粉体を、X線回折装置(PHILIPS社製X’pertPRO)を用いて、Cu-Kα放射線(X線出力:40mA-45kV、Kα1線波長:1.5406Å)により、X線回折分析を行った。各触媒における触媒活性成分のX線回折分析結果を表3および表4に示す。
(3) アクロレインからのアクリル酸の製造
全長300mm、内径18mmのSUS製U字反応管に、層長が100mmとなるように触媒を充填した。そこに、アクロレイン2容量%、酸素3容量%、水蒸気10容量%、窒素85容量%からなる混合ガスを空間速度5000hr-1(STP)で導入し、アクロレイン酸化反応を行った。反応温度は、アクロレインの転化率が93.5%前後となるように調整した。各触媒の性能評価結果を表3および表4に示す。
Figure 0007360557000001
Figure 0007360557000002
Figure 0007360557000003
Figure 0007360557000004
実施例で使用した触媒1~16は、Cu-Kα線を用いたX線回折分析において、触媒活性成分が2θ=22.2°±0.3°、28.2°±0.3°、31.5°±0.3°、32.6°±0.3°に回折ピークを有し、ピーク強度比I(28.2°)/I(22.2°)が0.20以上0.50以下であり、ピーク強度比I(31.5°)/I(22.2°)が0.03以上0.20以下であり、ピーク強度比I(32.6°)/I(22.2°)が0.03以上0.40以下であった。一方、比較例で使用した触媒17~22は、Cu-Kα線を用いたX線回折分析において、触媒活性成分が2θ=22.2°±0.3°、28.2°±0.3°、31.5°±0.3°、32.6°±0.3°に回折ピークを有していたが、触媒17はピーク強度比I(31.5°)/I(22.2°)が0.03未満であり、触媒18と触媒19はピーク強度比I(32.6°)/I(22.2°)が0.40を超え、触媒20はピーク強度比I(28.2°)/I(22.2°)が0.50を超え、触媒21はピーク強度比I(31.5°)/I(22.2°)が0.20を超え、ピーク強度比I(32.6°)/I(22.2°)が0.40を超え、触媒22はピーク強度比I(28.2°)/I(22.2°)が0.20を下回った。その結果、各触媒を用いてアクロレインを接触気相酸化反応させてアクリル酸を製造したところ、実施例1~16は比較例1~6よりも高いアクリル酸選択率および高いアクリル酸収率を示した。
実施例で使用した触媒1~16は、触媒調製の際、触媒活性成分の原料混合液を乾燥した後、380℃以上460℃以下の温度Tで焼成し、その後、酸素濃度5容量%超21容量%以下の雰囲気下で、温度Tから100℃までの冷却時間を5時間以上かけて冷却した。また温度Tから300℃までの冷却時間を3時間以上かけて冷却した。その結果、上記に説明したように、高いアクリル酸選択率および高いアクリル酸収率を示す触媒が得られた。一方、比較例で使用した触媒17は、触媒調製の際、焼成後の冷却工程で、温度Tから100℃までの冷却時間を5時間未満で行い、温度Tから300℃までの冷却時間を3時間未満で行った。触媒18~20は、触媒調製の際、焼成後の冷却工程を酸素濃度5容量%未満または21容量%超の条件で行った。触媒21は、触媒調製の際、焼成工程の温度Tを460℃よりも高い温度とした。触媒22は、触媒調製の際、焼成工程の温度Tを380℃よりも低い温度とした。その結果、上記に説明したように、得られた触媒は、実施例よりも低いアクリル酸選択率およびアクリル酸収率を示すものとなった。
本発明の触媒は、アクロレインからアクリル酸を製造することができる。得られたアクリル酸は、アクリル酸エステル、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル樹脂等の各種アクリル酸誘導体製品の原料として用いることができる。

Claims (8)

  1. アクロレインからアクリル酸を製造するための触媒であって、
    触媒活性成分として、モリブデン、バナジウムおよび銅を含有し、
    前記触媒活性成分は、Cu-Kα線を用いたX線回折分析において、2θ=22.2°±0.3°、28.2°±0.3°、31.5°±0.3°、32.6°±0.3°、33.4°±0.3°に回折ピークを有し、
    2θ=28.2°±0.3°のピーク強度と2θ=22.2°±0.3°のピーク強度の比I(28.2°)/I(22.2°)が0.20以上0.50以下であり、
    2θ=31.5°±0.3°のピーク強度と2θ=22.2°±0.3°のピーク強度の比I(31.5°)/I(22.2°)が0.03以上0.20以下であり、
    2θ=32.6°±0.3°のピーク強度と2θ=22.2°±0.3°のピーク強度の比I(32.6°)/I(22.2°)が0.03以上0.40以下であり、
    2θ=33.4°±0.3°のピーク強度と2θ=22.2°±0.3°のピーク強度の比I(33.4°)/I(22.2°)が0.06以上0.40以下であり、
    2θ=5°~10°の範囲で最も高い強度と2θ=22.2°±0.3°のピーク強度の比I(5°-10°)/I(22.2°)が0.06以下であることを特徴とするアクリル酸製造用触媒。
  2. アクロレインからアクリル酸を製造するための触媒であって、
    触媒活性成分が下記式(1)で表される組成を有し、
    Mo Cu ・・・(1)
    (式中、Moはモリブデン、Vはバナジウム、Cuは銅、Aはタングステン、ニオブおよびタンタルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、Bはアンチモンおよびスズよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、Cはクロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ジルコニウム、テルル、セリウムおよびビスマスよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、Dはアルカリ金属およびアルカリ土類金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、Eはケイ素、アルミニウムおよびチタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、Oは酸素を表し、a~iはそれぞれMo、V、Cu、A、B、C、D、EおよびOの原子比を表し、a=12のとき、2≦b≦14、0<c≦5、0<d≦10、0<e≦5、0≦f≦5、0≦g≦3、0≦h≦30であり、iは各元素の酸化状態によって定まる数値である。)
    前記触媒活性成分は、Cu-Kα線を用いたX線回折分析において、2θ=22.2°±0.3°、28.2°±0.3°、31.5°±0.3°、32.6°±0.3°に回折ピークを有し、
    2θ=28.2°±0.3°のピーク強度と2θ=22.2°±0.3°のピーク強度の比I(28.2°)/I(22.2°)が0.20以上0.50以下であり、
    2θ=31.5°±0.3°のピーク強度と2θ=22.2°±0.3°のピーク強度の比I(31.5°)/I(22.2°)が0.03以上0.20以下であり、
    2θ=32.6°±0.3°のピーク強度と2θ=22.2°±0.3°のピーク強度の比I(32.6°)/I(22.2°)が0.03以上0.40以下であることを特徴とするアクリル酸製造用触媒。
  3. 前記触媒活性成分は、X線回折分析において、2θ=33.4°±0.3°に回折ピークをさらに有し、
    2θ=33.4°±0.3°のピーク強度と2θ=22.2°±0.3°のピーク強度の比I(33.4°)/I(22.2°)が0.06以上0.40以下であり、
    2θ=5°~10°の範囲で最も高い強度と2θ=22.2°±0.3°のピーク強度の比I(5°-10°)/I(22.2°)が0.06以下である請求項に記載のアクリル酸製造用触媒。
  4. 前記触媒活性成分は、X線回折分析において、2θ=27.3°±0.3°に回折ピークをさらに有し、
    2θ=27.3°±0.3°のピーク強度と2θ=22.2°±0.3°のピーク強度の比I(27.3°)/I(22.2°)が0.10以上0.60以下である請求項1~3のいずれか一項に記載のアクリル酸製造用触媒。
  5. アクロレインからアクリル酸を製造するための触媒の製造方法であって、
    モリブデン、バナジウムおよび銅を含む原料混合液を得る工程と、
    前記原料混合液を乾燥して乾燥物を得る工程と、
    前記乾燥物を成型または不活性担体に担持して成型体または担持体を得る工程と、
    前記成型体または担持体を380℃以上460℃以下の温度Tで焼成する工程と、
    前記焼成後、酸素濃度5容量%超21容量%以下の雰囲気下で、前記温度Tから100℃までの冷却時間を5時間以上かけて冷却する工程とを有することを特徴とするアクリル酸製造用触媒の製造方法。
  6. アクロレインからアクリル酸を製造するための触媒の製造方法であって、
    モリブデン、バナジウムおよび銅を含む原料混合液を得る工程と、
    前記原料混合液を乾燥して乾燥物を得る工程と、
    前記乾燥物を380℃以上460℃以下の温度Tで焼成する工程と、
    前記焼成後、酸素濃度5容量%超21容量%以下の雰囲気下で、前記温度Tから100℃までの冷却時間を5時間以上かけて冷却する工程と、
    前記冷却工程を経て得られた焼成物を成型または不活性担体に担持する工程とを有することを特徴とするアクリル酸製造用触媒の製造方法。
  7. 前記冷却工程において、前記温度Tから300℃までの冷却時間を3時間以上かけて冷却する請求項5または6に記載のアクリル酸製造用触媒の製造方法。
  8. 請求項1~4のいずれか一項に記載の触媒、または、請求項5~7のいずれか一項に記載の製造方法により得られた触媒の存在下、アクロレインを接触気相酸化させてアクリル酸を得る工程を有することを特徴とするアクリル酸の製造方法。
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