ところで、上記スイッチ操作によりジャッキが伸長した状態では、オペレータが当該ジャッキを縮小させるために再度スイッチ操作をしようとしても、ジャッキの伸長により上記スイッチが高所に移動してしまい、手が届かずに操作が困難になるおそれがある。しかも、上記ON/OFF動作のため、ジャッキの動作開始時及び動作終了時にて衝撃が発生し、車体が振動するという不都合がある。
この不都合は、たとえば電磁比例弁によりジャッキへの油圧供給を制御することにより解消される。しかしながら、積載型トラッククレーンは、一般に安価なグレードであるから、高価な油圧装置を搭載することはできない。また、上記トグルスイッチに代えて上記操作レバーが採用されることにより上記不都合は回避される。しかしながら、上記ジャッキの伸長により操作レバーが高所へ移動してしまうという問題は避けられない。もっとも、この問題は、ジャッキが伸長した場合でもオペレータが操作可能となるように操作レバーのサイズが設計されれば解決されるが、その場合には、走行時(ジャッキが収納された状態)において操作レバーが車体側方に突出してしまうおそれがある。
本発明はかかる背景のもとになされたものであって、その目的は、オペレータが手動にて滑らかなセルフローダ機能の操作をすることができる安価でコンパクトなレバー装置を搭載した積載型トラッククレーンを提供することである。
(1) 本発明に係る積載型トラッククレーンは、シャシーフレーム、当該シャシーフレームの前方側を持ち上げて荷台を傾斜させるジャッキ、当該ジャッキに油圧を供給するバルブ及び当該バルブを操作するレバー装置を有する。上記レバー装置は、中立位置を基準に正回転位置と逆回転位置との間で変位するように第1支持軸に支持されると共に、第1連結部及び第2連結部が設けられた第1回動アームと、当該第1回動アームよりも下方に配置され、中立位置を基準に正回転位置と逆回転位置との間で変位するように第2支持軸に支持されると共に、第3連結部が設けられた第2回動アームと、上記第1連結部及び第3連結部を連結し、上記第1回動アーム及び第2回動アームの変位を同調させる同調リンクと、上記第1回動アームに連結され、上記中立位置において上記ジャッキの外縁よりも上記シャシーフレーム側に配置される第1操作ハンドルと、上記第2回動アームに上記第1操作ハンドルよりも下方に延びるように連結され、上記中立位置において上記ジャッキの外縁よりも上記シャシーフレーム側に配置される第2操作ハンドルと、上記第2連結部に連結されたメインロッドと、当該メインロッドに連結され、上記バルブのスプールを駆動するスプール駆動リンクとを備えている。
この構成によれば、オペレータは、レバー装置を操作してジャッキを伸長させることにより、トラッククレーンの荷台を傾けることができる。具体的には、オペレータがジャッキを伸長させるために、たとえば第2操作ハンドルを操作すると、第2回動アームが第2支持軸を中心に正回転位置側へ回動する。第2回動アームは、同調リンクにより第1回動アームと連結されているから、第2回動アームの回動に連動して第1回動アームも第1支持軸を中心に正回転位置側へ回動する。オペレータが第1操作ハンドルを操作した場合も同様に、第1回動アームが正回転位置側へ回動すると共に、これに連動して第2回動アームが正回転位置側へ回動する。すなわち、オペレータは、第1操作ハンドル又は第2操作ハンドルのいずれを操作しても、第1回動アーム及び第2回動アームがそれぞれ正回転位置側へ回動する。第1回動アームが正回転位置側へ回動することに応じてメインロッドが所定方向へ変位する。この変位は、スプール駆動リンクを介して上記バルブのスプールをスライドさせる変位に変換され、ジャッキが伸長する。また、オペレータがジャッキを縮小させるために、第1操作ハンドル又は第2操作ハンドルを逆向きに操作した場合、前述と同様にして第1回動アーム及び第2回動アームが逆回転位置側へ回動する。第1回動アームが逆回転位置側へ回動することに応じてメインロッドが反所定方向へ変位すると共に、スプール駆動リンクを介して上記スプールが逆向きにスライドされ、ジャッキが縮小する。
第1操作ハンドルが上方に設けられ、第2操作ハンドルが下方に設けられているから、ジャッキが伸長した状態であっても、オペレータは第2操作ハンドルに手が届く。もし、第2操作ハンドルよりも上方に位置する第1操作ハンドルの方がオペレータにとって操作しやすい場合は、第1操作ハンドルが使用される。上記バルブのスプールは、前述のようにリンク機構を介して手動にてスライドされるので、オペレータの手加減によりジャッキの作動及び停止が緩やかに行われる。しかも、上記レバー装置は、上記リンク機構を含む簡単な構造であるので、コスト安価である。
(2) 上記第1操作ハンドルが操作されるときの上記第1回動アームの回転モーメントアームが、上記第2操作ハンドルが操作されるときの上記第1回転アームの回転モーメントアームに等しくなるように、上記第2操作ハンドル及び同調リンクがレイアウトされているのが好ましい。
この構成では、オペレータは、第1操作ハンドル及び第2操作ハンドルのいずれを操作した場合であっても、操作感が変わらない。したがって、オペレータは、ジャッキの作動及び停止の緩やかな動作を簡単に行うことができる。
(3) 上記第1回動アーム、第2回動アーム、同調リンク、第1操作ハンドル及び第2操作ハンドルが上記シャシーフレームの左右に設けられており、 上記メインロッドは、各第1回動アームの第2連結部同士を連結しているのが好ましい。
この構成では、オペレータは、車体の左右両側からジャッキ操作をすることができる。
(4) 上記第1操作ハンドル又は第2操作ハンドルの自重による上記第1回動アーム又は第2回動アームの変位を所定の弾性力で規制する回動規制部材が設けられていてもよい。
この構成では、回動規制部材の弾性力が、第1操作ハンドル又は第2操作ハンドルの自重による上記第1回動アーム又は第2回動アームの変位を規制し、オペレータの意図しないジャッキの伸縮動作が防止される。
(5) また、他の観点に基づく本願発明は、上記積載型トラッククレーンに適用されるレバー装置として構成される。このレバー装置は、中立位置を基準に正回転位置と逆回転位置との間で変位するように第1支持軸に支持されると共に、第1連結部及び第2連結部が設けられた第1回動アームと、当該第1回動アームよりも下方に配置され、中立位置を基準に正回転位置と逆回転位置との間で変位するように第2支持軸に支持されると共に、第3連結部が設けられた第2回動アームと、上記第1連結部及び第3連結部を連結し、上記第1回動アーム及び第2回動アームの変位を同調させる同調リンクと、上記第1回動アームに連結され、上記中立位置において上記ジャッキの外縁よりも上記シャシーフレーム側に配置される第1操作ハンドルと、上記第2回動アームに上記第1操作ハンドルよりも下方に延びるように連結され、上記中立位置において上記ジャッキの外縁よりも上記シャシーフレーム側に配置される第2操作ハンドルと、上記第2連結部に連結されたメインロッドと、当該メインロッドに連結され、上記バルブのスプールを駆動するスプール駆動リンクとを備える。
(6) 上記第1操作ハンドルが操作されるときの上記第1回動アームの回転モーメントアームが、上記第2操作ハンドルが操作されるときの上記第1回転アームの回転モーメントアームに等しくなるように、上記第2操作ハンドル及び同調リンクがレイアウトされているのが好ましい。
(7) 上記第1回動アーム、第2回動アーム、同調リンク、第1操作ハンドル及び第2操作ハンドルが上記シャシーフレームの左右に設けられており、 上記メインロッドは、各第1回動アームの第2連結部同士を連結しているのが好ましい。
(8) 上記第1操作ハンドル又は第2操作ハンドルの自重による上記第1回動アーム又は第2回動アームの変位を所定の弾性力で規制する回動規制部材が設けられていてもよい。
この発明によれば、レバー装置を操作するハンドルが上下に設けられているから、セルフローダ作業においてオペレータが容易にレバー装置を扱うことができる。また、オペレータが手動でレバー装置を扱うから、滑らかなジャッキ操作が可能である。加えて、レバー装置がリンク機構を採用した機械式であるから、レバー装置が安価でコンパクトなものとなり、ひいては積載型トラッククレーンのコストアップが抑えられる。
以下、本発明の好ましい実施形態が、適宜図面が参照されつつ説明される。なお、本実施の形態は、本発明に係る積載型トラッククレーンの一態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様が変更されてもよいことは言うまでもない。
<積載型トラッククレーンの概略構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る積載型トラッククレーン10の側面図である。
この積載型トラッククレーン10は、シャシー11と、これに艤装された荷台12、アウトリガー装置13及びクレーン装置14とを有する。シャシー11は、シャシーフレーム15及びキャビン16を備えている。上記荷台12及びアウトリガー装置13は、シャシーフレーム15に固定されている。
図2は、図1におけるII-II矢視図であり、アウトリガー装置13の正面図である。図3は、アウトリガー装置13の斜視図である。図4は、図3におけるIV-矢視図であり、アウトリガー装置13の平面図である。
アウトリガー装置13は、外箱17及び一対の内箱18を備える。外箱17は、シャシーフレーム15にボルト等により固定されている。各内箱18が外箱17に対して車幅方向(左右方向)19に沿ってスライドする。各内箱18の先端にジャッキ20が設けられている。なお、内箱18のスライド機能が省略されてもよいし、その場合、内箱18が省略され、外箱17にジャッキ20が設けられてもよい。本実施形態では、ジャッキ20はロングストロークタイプである。このジャッキ20が伸長して接地し、さらに伸長することにより、シャシーフレーム15を前後方向21に対して傾斜させる。すなわち、荷台12が図1において右下がりに傾斜し、たとえば重機等が容易に荷台12に積載される。このような荷台12の傾斜機能は、セルフローダ機能と称される。また、上記外箱17に旋回ポスト22が設けられており、この旋回ポスト22にクレーン装置14が取り付けられている。クレーン装置14は、旋回ポスト22を中心に旋回し、クレーン作業を行うことができる。なお、クレーン装置14が省略されていてもよいし、その場合、上記旋回ポスト22も省略され得る。
積載型トラッククレーン10は、アウトリガー装置13及びクレーン装置14を駆動する油圧装置を備えている。この油圧装置は、図2~図4が示すように、バルブユニット23を有する。バルブユニットは、6つの油圧操作バルブ24~29を備えている。各油圧操作バルブ24~29は、図3が示すように上下に積み重ねるように配置されており、上から順にジャッキ操作バルブ24、クレーン操作バルブ24~28及びアウトリガー伸縮操作バルブ29である。これらは、スプールを内蔵しており、このスプールのスライドにより流路切換及び流量制御を行う。油圧操作バルブ25~29に、それぞれ、上記スプールをスライドさせる操作レバー30~34が設けられている。これら操作レバー30~34は、車幅方向19の両側に配置されており、連結棒35により連結されている。これにより、一方側の操作レバー30~34が操作されることにより他方側の操作レバー30~34が連動するようになっている。
<積載型トラッククレーンの特徴点>
本実施形態に係る積載型トラッククレーン10の特徴とするところは、ジャッキ操作バルブ24を操作するレバー装置40が設けられている点である。このレバー装置40は、図2において実線(太線)で示されたとおりの構造であり、後述のようなリンク機構を構成している。オペレータは、手動にてレバー装置40の操作ハンドル(後述の操作ハンドル44、45)を操作することにより、ジャッキ操作バルブ24の繊細な操作を行うことができるようになっている。以下、レバー装置40について詳述される。
<レバー装置の構成>
図5及び図6は、それぞれ、図2におけるV-拡大図、図3におけるVI-拡大図である。図7、図8は、それぞれ、図5の要部拡大図である。
図2、図5及び図6が示すように、レバー装置40は、回動アーム41(特許請求の範囲に記載された「第1回動アーム」に相当)及び回動アーム42(特許請求の範囲に記載された「第2回動アーム」に相当)と、これらを繋ぐ同調リンク43と、回動アーム41、42にそれぞれ設けられた操作ハンドル44(特許請求の範囲に記載された「第1操作ハンドル」に相当)及び操作ハンドル45(特許請求の範囲に記載された「第2操作ハンドル」に相当)と、回動アーム41に連結されたメインロッド46と、これに連結されたスプール駆動リンク47とを備えている。図2が示すように、本実施形態では、回動アーム41、42、同調リンク43、操作ハンドル44、45が左右(車幅方向19の両端側)に設けられており、上記メインロッド46は、回動アーム41の所定部位同士を連結している。なお、回動アーム41、42、同調リンク43、操作ハンドル44、45が車幅方向19の両端側のいずれか一方のみに設けられていてもよい。
1.回動アーム
図5及び図6が示すように、回動アーム41は、メインアーム48及びサブアーム49を有する。これらはブラケット50を介してアウトリガー装置13の外箱17に取り付けられている。具体的には、ブラケット50に支持軸51(特許請求の範囲に記載された「第1支持軸」に相当)が固定されており、メインアーム48及びサブアーム49は、支持軸51に回動自在に支持されている。メインアーム48は、たとえば鋼板が屈曲されることにより形成されており、基部52及び作用部53(特許請求の範囲に記載された「第2連結部」に相当)を有する。サブアーム49もたとえば鋼板が屈曲されることにより形成され、基部54及び作用部55(特許請求の範囲に記載された「第1連結部」に相当)を有する。メインアーム48の基部52及びサブアーム49の基部54が重ねられ(図6参照)、これら基部52、54に支持軸51が貫通している。本実施形態では、メインアーム48及びサブアーム49が別部材として構成され、上記基部52、54が溶接等により固着されているが、これらが一体的に形成されていてもよい。
回動アーム42は、回動アーム41よりも下方に配置されている。これらの高低差77(図5参照)は、本実施形態では380mmに設定されているが、特に限定されるものではない。固定柱74、同調リンク43、回動アーム42及び作用部55の長さが調整され、これらにより構成されるリンク比が適切に設定されることにより、上記高低差77は容易に変更される。回動アーム42は、ブラケット56を介してアウトリガー装置13の外箱17に取り付けられている。具体的には、ブラケット56に支持軸57(特許請求の範囲に記載された「第2支持軸」に相当)が固定されており、回動アーム42は、支持軸57に回動自在に支持されている。回動アーム42は、たとえば鋼板が屈曲されることにより形成されており、基部58及び作用部59(特許請求の範囲に記載された「第3連結部」に相当)を有する。上記基部58に支持軸57が貫通している。
本実施形態では、回動アーム41及び回動アーム42は、鋼板が折り曲げられることにより図6が示す形状に形成されているが、これらの材質や外形形状は特に限定されるものではない。回動アーム41は、上記支持軸51に支持される基部52、54、上記同調リンク43が連結される作用部53及び上記メインロッド46が連結される作用部55が形成されていればよい。回動アーム42は、上記支持軸57に支持される基部58及び上記同調リンク43が連結される作用部59が形成されていればよい。また、上記ブラケット56もたとえば鋼板から構成されるが、鋼板以外の材料が採用されてもよい。このブラケット56の形状は、本実施形態では全体として略L字状を呈する。すなわち、ブラケット56は、底板部73及び固定柱74を備える。底板部73は、ジャッキ20側に固定され、車幅方向19の内向きに延びる。固定柱74は、底板部73の内側端部及びアウトリガー装置13の外箱17側に固定され、両者間に掛け渡すように上下方向に延びている。このようにブラケット56の形状は複雑であるが、特に限定されるものではない。
2.同調リンク
同調リンク43は、丸棒状を呈し、たとえば鋼からなる。同調リンク43は、上記サブアーム49の作用部55と、回動アーム42の作用部59とを連結している。同調リンク43の外形形状及び材質は、特に限定されるものではない。同調リンク43の上端部60及び下端部61にクレビスが形成されている(図6参照)。この上端部60及び下端部61は、それぞれ、上記作用部55及び作用部59とクレビスピン62、63を介して連結されている。図7が示すように、本実施形態では、同調リンク43は、本体64及び伸縮ロッド65と、ロックナット66とを備える。本体64の上部が上記上端部60を構成し、伸縮ロッド65の下部が上記下端部61を構成している。伸縮ロッド65が本体64と螺合しており、伸縮ロッド65が回転されることにより本体64に対して長さ方向に伸縮する。したがって、伸縮ロッド65が回転されることにより、同調リンク43の全体の長さが調整される。ロックナット66は、伸縮ロッド65を本体64に対して位置決めし、これにより、同調リンク43の長さが固定される。
3.メインロッド
メインロッド46は、たとえば鋼の丸棒からなる。図6及び図8が示すように、メインロッド46の左端部67(車幅方向19の左側)は、回動アーム41のメインアーム48に連結されている。メインロッド46の左端部67にクレビスが形成されている(図6参照)。この左端部67が上記メインアーム48の作用部53とクレビスピン68を介して連結されている。メインロッド46の右端部については、後述される。メインロッド46の左端部67に連結片76が突設されている。この連結片76は、同図が示すように屈曲された平板からなり、後述のスプール駆動リンク47が連結される。なお、メインロッド46及び連結片76の外形形状及び材質は、特に限定されるものではない。
4.操作ハンドル
図5及び図6が示すように、操作ハンドル44は、シャフト69及びグリップ70を備え、回動アーム41に設けられている。具体的には、シャフト69の一端がメインアーム48の基部52に固定されており、車幅方向19の外側へ延びている。シャフト69の他端にグリップ70が設けられている。操作ハンドル45は、操作ハンドル44の下方に配置されている。操作ハンドル45は、シャフト71及びグリップ72を備え、回動アーム42に設けられている。具体的には、シャフト71の一端が回動アーム42の基部58に固定されており、斜め下方へ向かって車幅方向19の外側へ延びている。シャフト71の他端にグリップ72が設けられている。シャフト69及びシャフト71は、本実施形態では金属製の丸棒からなり、略S字状に形成されている。また、グリップ70、72は樹脂からなる。ただし、これらの材質や形状は特に限定されるものではない。
操作ハンドル44が図5及び図6において反時計回り(正回転)に操作されると、回動アーム41は、反時計回りに回動し、所定の正回転位置まで変位する。また、操作ハンドル44が同図において時計回り(逆回転)に操作されると、回動アーム41は、時計回りに回動し、所定の逆回転位置まで変位する。すなわち、回動アーム41は、同図に示された位置を中立位置として、支持軸51を中心に正回転位置あるいは逆回転位置まで回動変位する。図5が示すように、回動アーム41が中立位置にあるとき、上記操作ハンドル44は、ジャッキ20の外縁75よりも車幅方向19の内側(シャシーフレーム15側)に配置されている。すなわち、グリップ70がジャッキ20の外縁75よりも車幅方向19の外側に突出しないように、シャフト69の長さ(サイズ及び形状)が設計されている。
同様に、操作ハンドル45が反時計回り(正回転)に操作されると、回動アーム42は、反時計回りに回動し、所定の正回転位置まで変位する。また、操作ハンドル45が時計回り(逆回転)に操作されると、回動アーム42は、時計回りに回動し、所定の逆回転位置まで変位する。すなわち、回動アーム42は、同図に示された位置を中立位置として、支持軸57を中心に正回転位置あるいは逆回転位置まで回動変位する。回動アーム42が中立位置にあるとき、上記操作ハンドル45は、ジャッキ20の外縁75よりも車幅方向19の内側に配置されている。すなわち、グリップ72がジャッキ20の外縁75よりも車幅方向19の外側に突出しないように、シャフト71の長さ(サイズ及び形状)が設計されている。
操作ハンドル44の操作により回動アーム41が回動変位し、操作ハンドル45の操作により回動アーム42が回動変位するが、前述のように、同調リンク43が回動アーム41及び回動アーム42を連結しているから、回動アーム41、42のうち一方の回動変位が、他方の回動変位に同調される。たとえば、図5において、操作ハンドル45が上向き(時計回り)に回動されると、回動アーム42が中立位置から正回転位置側へ回動変位する。これにより、回動アーム42の作用部59が支持軸57を中心に時計回りに移動し、同調リンク43が押し上げられる。この同調リンク43の動きにより、回動アーム41の作用部55が支持軸51を中心に時計回りに移動する。つまり、回動アーム41は、中立位置から正回転位置側へ回動変位する。このことは、操作ハンドル45が逆回転された場合も同様であるし、操作ハンドル44が操作された場合も同様である。
図9は、図2におけるIX-拡大図である。
前述のように、回動アーム41、42、同調リンク43、操作ハンドル44、45は、車幅方向19の右側にも設けられている(図2参照)。本実施形態では、これらは左右対称に配置されている。上記メインロッド46は、一対の回動アーム41の各作用部53同士を連結している。前述のように回動アーム41、42が回動すると、メインロッド46は車幅方向19にスライドする。
ただし、図9が示すように、回動アーム41のメインアーム48は、上下方向に反転して配置されている。このため、左右のいずれか一方側の操作ハンドル44、45が操作されると、他方側の操作ハンドル44、45も操作されるが、一方側の回動アーム41の回動方向は、他方側の回動アーム41の回動方向と逆になる。したがって、一方側の操作ハンドル44、45がジャッキ20の外側に向かって回動操作されると、他方側の操作ハンドル44、45も同様に外側に向かって回動する。このように、車幅方向19の両端側に設けられたそれぞれの操作ハンドル44、45の操作方向が同じであるので、オペレータにとって左右の操作ハンドル44、45の操作感が統一される。
図10は、図2におけるX-拡大図である。
同図が示すように、本実施形態では、車幅方向19の右側に配置された回動アーム42にばね78(特許請求の範囲に記載された「回動規制部材」に相当)が設けられている。具体的には、ばね78はいわゆる引きスプリングであり、一端36がブラケット56の固定柱74に連結され、他端37が回動アーム42の作用部59に連結されている。これにより、回動アーム42は、ばね78の弾性力により支持軸57を中心として反時計回りに付勢される。
操作ハンドル44、45及び回動アーム41、42並びに同調リンク43は、図2が示すようにレイアウトされているので、操作ハンドル44、45の自重の影響により、車幅方向19の左側の回動アーム41、42は、支持軸51、57を中心に反時計回りに、車幅方向19の右側の回動アーム41、42は、支持軸51、57を中心に時計回りに、トルクを受ける。本実施形態では、上記ばね78が設けられているので、上記トルクが相殺され、操作ハンドル44、45の自重により回動アーム41、42が回動することが規制される。ばね78の弾性力が調整されることにより、回動アーム41、42は、常時上記中立位置に保持される。もっとも、油圧操作バルブ24(図2参照)は、上記スプールを中立位置に保持するためのスプリングを内蔵しているため、上記トルクが作用した場合であっても上記スプールは中立位置に保持される。したがって、上記ばね78は省略され得るが、このばね78が設けられることにより、オペレータが意図しない上記スプールの変位及び油圧操作バルブ24の誤作動が確実に防止される。
5.スプール駆動リンク
図11は、図2におけるXI-拡大図であり、図12は、図11におけるXII-拡大矢視図である。図13は、図2におけるXIII-拡大図であり、図14は、図13におけるXIV-拡大矢視図である。
スプール駆動リンク47は、揺動リンク79(図2及び図11参照)と、変換リンク80(図13及び図14参照)とを備えている。スプール駆動リンク47は、前述のようにメインロッド46が車幅方向19にスライドしたとき(図2参照)、このスライド動作をジャッキ操作バルブ24のスプールのスライド動作に変換する。
図2、図11及び図12が示すように、揺動リンク79は、支持フレーム81及び回動ロッド82とを有する。支持フレーム81は、たとえば鋼板からなり、ブラケット83を介してアウトリガー装置13の外箱17に取り付けられている。具体的には、支持フレーム81は、ブラケット83に突設された支持軸84に回動可能に支持されている。支持フレーム81は、対向する一対の鋼板85、86からなる。鋼板85、86は屈曲されており、それぞれ、基部87、88及びアーム部89、90を有する。基部87及び基部88が突き合わせられ、上記支持軸84が各基部87、88を貫通し支持している。鋼板85のアーム部89は下方に、鋼板86のアーム部90は上方に延びており、それぞれの端部91、92が回動ロッド82に固定されている。なお、支持フレーム81の材質は特に限定されるものではなく、上記基部87、88のように支持軸84によって支持される部位が形成されていれば、外形形状は特に限定されない。
回動ロッド82は、たとえば鋼からなる棒状部材である。図2及び図8が示すように、回動ロッド82の下端部93が上記メインロッド46の連結片76に連結されている。この下端部93にクレビスが形成されている(図6参照)。この下端部93は、クレビスピン94を介して上記連結片76に連結されている。なお、回動ロッド82を構成する材料は鋼に限定されるものではない。上記メインロッド46が車幅方向19にスライドすれば(図2参照)、回動ロッド82は、支持軸84を中心に矢印97の方向に沿って揺動する。
図13及び図14が示すように、回動ロッド82の上端部95は、ピロボールジョイント96を介して変換リンク80と連結されている。回動ロッド82の上端部95は、支持軸84を中心とする円弧上を移動することになるが、回動ロッド82の長さ寸法は十分に大きいので、図13においては、上記上端部95は、略直線上を移動する。ピロボールジョイント96の一端部98が回動ロッド82の上端部95と連結され、ピロボールジョイント96の他端部99が変換リンク80と連結されている。この他端部99にクレビスが形成されている。この他端部99は、クレビスピン100を介して変換リンク80に連結されている。なお、ピロボールジョイント96は既知の連結機構であるため、その詳しい説明は省略される。また、本実施形態では、ピロボールジョイント96が採用されているが、これに限定されるものではなく、回動ロッド82の上端部95と変換リンク80とを連結する機構であれば、他の機構が採用され得る。
変換リンク80は、鋼板が屈曲されることにより形成されている。図14が示すように、変換リンク80は、支持軸101を介してジャッキ操作バルブ24の本体103に取り付けられている。変換リンク80は、支持軸101を中心にして、矢印102の方向に回動することができる。変換リンク80の一端部104が上記クレビスピン100によりピロボールジョイント96に連結されている。変換リンク80の他端部105は、ジャッキ操作バルブ24のスプール106に連結されている。前述のようにピロボールジョイント96の他端部99が矢印97の方向に移動すれば、上記支持軸101を中心に変換リンク80が揺動し、その結果、上記スプール106が矢印107の方向に沿ってスライドする。その結果、ジャッキ操作バルブ24が開閉し、ジャッキ20が伸縮する。なお、変換リンク80の材料及び外形形状は特に限定されるものではない。
6.操作ハンドル及び同調リンクのレイアウト
本実施形態では(図5参照)、操作ハンドル44の操作感及び操作ハンドル45の操作感が同じになるように、操作ハンドル44、45の長さや同調リンク43のピン位置(支持軸57、クレビスピン62、63の位置)がレイアウトされている。換言すれば、オペレータが操作ハンドル44を操作したときの回動アーム41の回転モーメントアームが、操作ハンドル45を操作したときも同じになるように設計されている。これが実現されるための要素は、操作ハンドル44、45の長さ(支持軸51から操作ハンドル44の外縁までの距離、支持軸57から操作ハンドル45の外縁までの距離)、支持軸57からクレビスピン68までの距離、支持軸57からクレビスピン63(図6参照)までの距離、クレビスピン62、63間の距離である。これら要素は、様々に設計変更され得る。
<作業要領>
現場にてオペレータは、レバー装置40を操作してジャッキ20を伸長させて接地させることにより、積載型トラッククレーン10が安定し、安全にクレーン装置14による作業並びにセルフローダ作業が行われる。クレーン作業が行われる場合、オペレータは、ジャッキ20を接地させ、トラッククレーンを安定させた状態で、操作レバー30~34を操作する。
セルフローダ作業が行われる場合、オペレータが操作ハンドル45を操作(図5において反時計回りに回動)すると、回動アーム42が正回転位置側へ回動すると共に、これに連動して回動アーム41も正回転位置側へ回動する。オペレータが操作ハンドル44を操作した場合も同様である。すなわち、オペレータが操作ハンドル44、45のいずれを操作しても、回動アーム41、42は正回転位置側へ回動する。これにより、メインロッド46がスライドし、スプール駆動リンク47(図2参照)を介してジャッキ操作バルブ24のスプール106がスライドする。ジャッキ操作バルブ24が開き、ジャッキ20が伸長し、トラッククレーンの荷台12が傾斜する。なお、ジャッキ20を縮小させる場合、オペレータは、操作ハンドル44、45を逆向きに操作する。
図5及び図6が示すように、操作ハンドル44が上方に設けられ、操作ハンドル45が下方に設けられているから、ジャッキ20が伸長した状態であっても、オペレータは操作ハンドル45に手が届く。ただし、オペレータにとって操作ハンドル44の方が操作しやすい場合、たとえば、積載型トラッククレーン10の荷台12を傾けない通常のクレーン作業時は、操作ハンドル44がオペレータにとって操作しやすい位置に配置されるので、操作ハンドル44が使用される。ジャッキ操作バルブ24のスプール106は、前述のようなリンク機構を介して手動にてスライドされるので、オペレータの手加減によりスプール106のスライドがリニアに細かく調整され、ジャッキ20の作動及び停止が緩やかに行われる。本実施形態では、レバー装置40は、上記リンク機構を含む簡単な構造であるので、コスト安価に実現されるという利点がある。
本実施形態では、操作ハンドル44、45の長さや、同調リンク43のピン位置(支持軸57、クレビスピン62、63の位置)等が所定のレイアウトとなっているので、オペレータは、操作ハンドル44、45のいずれを操作した場合であっても、操作感が変わらず、ジャッキ20の操作をより簡単に行うことができる。
本実施形態では、回動アーム41、42、同調リンク43、操作ハンドル44、45がシャシーフレーム15の左右に設けられているから、オペレータは、車幅方向19の左右両側からジャッキ20の操作をすることができるという利点がある。
本実施形態では、図10が示すように、操作ハンドル44、45の自重による回動アーム41、42の変位をばね78の弾性力により規制している。したがって、オペレータの意図しないジャッキ20の伸縮動作が防止される。