以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。図2は本発明の第1実施形態に係るジャッキ装置を備えた高所作業車1を示している。この高所作業車1は、走行用車輪11,11,…を備えて運転キャビン12から走行運転が可能なトラック式の走行体10と、走行体10上に設けられた旋回台20と、この旋回台20から上方に延びて設けられた支柱21の上部にフートピン22を介して基端部が支持されたブーム(伸縮ブーム)30と、このブーム30の先端部に取り付けられた作業者搭乗用の作業台40とを有して構成されている。
旋回台20は走行体10の後部に上下軸まわり360度回動自在に取り付けられている。走行体10の内部には旋回モータ(油圧モータ)23が設けられており、この旋回モータ23を回転作動させることにより、図示しないギヤを介して旋回台20を水平旋回動させることができる。ブーム30は基端ブーム31、中間ブーム32及び先端ブーム33が入れ子式に構成されており、内部に設けられた伸縮シリンダ(油圧シリンダ)34の伸縮作動により各ブーム31,32,33を相対的に移動させてブーム30全体を軸方向に伸縮動させることができる。また、基端ブーム31と旋回台20の支柱21との間には起伏シリンダ(油圧シリンダ)24が跨設されており、この起伏シリンダ24を伸縮作動させることによりブーム30全体を上下面内で起伏動させることができる。
先端ブーム33の先端部には垂直ポスト保持金具35が取り付けられており、この垂直ポスト保持金具35には揺動ピン36を介して垂直ポスト37の下端部が取り付けられている。この垂直ポスト37はブーム30内に設けられた図示しないレベリング装置により、ブーム30の起伏角度によらず常時垂直姿勢が保持される構成となっている。
作業台40は箱形状を有しており、外部に突出して設けられた作業台保持ブラケット41を介して垂直ポスト37の上端部に回動自在に取り付けられている。作業台保持ブラケット41の内部には首振りモータ(油圧モータ)42が設けられており、この首振りモータ42を回転作動させることにより、作業台40全体を垂直ポスト37まわりに首振り動(水平旋回動)させることができる。ここで、垂直ポスト37は上述のように常時垂直姿勢が保たれるため、結果として作業台40の床面はブーム30の起伏角度によらず常時水平に保持される。
作業台40には操作ボックス44が設けられており、ここにはブーム30の旋回、起伏、伸縮操作を行うためのブーム操作レバー45、作業台40の首振り操作を行うための作業台首振り操作レバー46及び後述する第2ジャッキ操作装置47が設けられている(図1参照)。ブーム操作レバー45の操作状態は図示しない操作状態検出器(例えばポテンショメータ)により検出され、信号(この信号をブーム操作信号と称する)に変換されて走行体10内に設置されたコントローラ50のブーム作動制御部51に入力される。コントローラ50のブーム作動制御部51は上記操作状態検出器より出力されたブーム操作信号に基づいて旋回モータ23に対応する第1制御バルブV1、起伏シリンダ24に対応する第2制御バルブV2及び伸縮シリンダ34に対応する第3制御バルブV3の各スプール(図示せず)を電磁駆動する。また、作業台首振り操作レバー46は首振りモータ42に対応する第4制御バルブV4のスプール(図示せず)を直接駆動する。
走行体10内に設けられたエンジン13の動力はパワーテイクオフ(動力取り出し装置。以下、PTOと記す)14によりその一部を取り出すことが可能であり、取り出した動力を油圧ポンプPに伝達させることにより油圧ポンプPを回転駆動して上記第1〜第4制御バルブV1,V2,V3,V4経由で旋回モータ23、起伏シリンダ24、伸縮シリンダ34及び首振りモータ42に作動油を供給することができるようになっている。このため旋回モータ23、起伏シリンダ24及び伸縮シリンダ34はブーム操作レバー45の操作により所望に作動させることができ、首振りモータ42は作業台首振り操作レバー46の操作により所望に作動させることができる。
本高所作業車1は上記のような構成であるため、作業台40に搭乗した作業者は、ブーム操作レバー45及び作業台首振り操作レバー46の操作により作業台40を移動させて任意の高所位置での作業を行うことが可能である。なお、走行体10の前後左右4箇所には下方に張り出して走行体10を安定支持させるためのアウトリガジャッキ60,60、・・・が設けられているが、このアウトリガジャッキ60の構成については後述する。
コントローラ50のブーム作動制御部51は、ブーム30の先端部が走行体10を転倒させる位置に位置しないように、すなわちブーム30を伸長等させることにより発生した転倒モーメントにより走行体10が転倒することがないように規制を働かせつつブーム30の作動制御を行う。コントローラ50のブーム作動制御部51は走行体10内に設けられてブーム30の(旋回体20の)旋回角度を検出する旋回角度検出器54a、ブーム30の基端部に設けられてブーム30の起伏角度を検出する起伏角度検出器54b及びブーム30内に設けられてブーム30の長さを検出する長さ検出器54cの3つの検出器(これら3つの検出器を位置検出器54と総称して図1に示す)からの検出情報に基づいて走行体10の基準位置に対するブーム30の先端部の位置(或いは作業台40の位置。以下同じ)を算出し、このブーム30先端部の位置がコントローラ50のブーム作動制御部51において設定される許容作業範囲内に収まるように第1〜第3制御バルブV1,V2,V3のスプール動作をコントロールする。
このようなブーム30の作動規制は、具体的には、ブーム30の先端部の位置を許容作業範囲から逸脱させるブーム操作レバー45の操作に対応するブーム操作信号をコントローラ50のブーム作動制御部51が無視することにより行われる(或いは、コントローラ50のブーム作動制御部51が図示しないアンロードバルブを駆動して旋回モータ23、起伏シリンダ24、伸縮シリンダ34が作動しないようにする)。これにより転倒モーメントが過大になって走行体10が転倒に至るような事態が未然に防止される。なお、コントローラ50のブーム作動制御部51において設定される許容作業作業範囲は常に一定なわけではなく、アウトリガジャッキ60が張り出されているか否かなど走行体10の安定度に応じてその広狭が切り替えられる。
すなわち、アウトリガジャッキ60が張り出されておらず、走行体10が走行用車輪11,11,・・・のみで支持されている状態では許容作業範囲は極めて狭い範囲に限定される(このとき設定される許容作業範囲をR3とする)が、アウトリガジャッキ60が少なくとも接地状態になるまで張り出されている状態では、許容作業範囲はアウトリガジャッキ60が張り出されていない状態よりも広げられる。また、同じアウトリガジャッキ60が張り出されている状態であっても、アウトリガジャッキ60が単に接地している状態と、アウトリガジャッキ60が地面に対して突っ張るように伸長されて走行体10が持ち上げ支持されている状態とでも許容作業範囲は異なり、走行体10が持ち上げ支持されている状態における許容作業範囲(このとき設定される許容作業範囲をR1とする)は、アウトリガジャッキ60が単に接地している状態における許容作業範囲(このとき設定される許容作業範囲をR2とする)よりも広げることができる(上記許容作業範囲R1,R2,R3の関係はR1>R2>R3となる)。
次に、図3〜図7を併用して本高所作業車1に備えられたジャッキ装置について説明する。図3〜図7では前後左右各箇所に備えられた4つのアウトリガジャッキ60のうち1つのみを取り出して示すが、その構成は他の3つのアウトリガジャッキ60についても同じである。
アウトリガジャッキ60は図3に示すように、走行体10より側方に延びて設けられたジャッキ取り付けフレーム15に上端部が支持されて下方に延びて設けられたピストンロッド部62及びこのピストンロッド部62に対して軸方向(上下方向)相対移動自在に設けられたシリンダチューブ部63からなるジャッキシリンダ61と、シリンダチューブ部63の中間部とジャッキ取り付けフレーム15との間に跨設された連結部材64と、シリンダチューブ部63の下端部に揺動自在に取り付けられた接地板65とを有して構成されている。また図4に示すように、シリンダチューブ部63内に形成される上方油室63a及び下方油室63bはそれぞれ油路L1,L2を介して電磁制御バルブ66に繋がっており、前述の油圧ポンプPからの圧油はこの電磁制御バルブ66のスプール(図示せず)の位置に応じて上方油室63a或いは下方油室63bに供給されるようになっている。
各アウトリガジャッキ60に対応する電磁制御バルブ66はコントローラ50のジャッキ作動制御部52(図1参照)と繋がっており、このジャッキ作動制御部52は、走行体10上に設けられた第1ジャッキ操作装置18或いは作業台40に設けられた上述の第2ジャッキ操作装置47よりジャッキシリンダ61の伸長(張出)操作或いは収縮(格納)操作が行われると、これに応じて出力されたジャッキ作動信号に基づいて電磁制御バルブ66のスプールを電磁駆動するようになっている。具体的には、第1ジャッキ操作装置18或いは第2ジャッキ操作装置47よりアウトリガジャッキ60の伸長(張出)操作入力が行われると、コントローラ50のジャッキ作動制御部52は電磁制御バルブ66のスプールを図4の左方位置PS2に位置させ、第1ジャッキ操作装置18或いは第2ジャッキ操作装置47よりアウトリガジャッキ60の収縮(格納)操作入力が行われると、コントローラ50のジャッキ作動制御部52は電磁制御バルブ66のスプールを図4の右方位置PS1に位置させる。
ここで、電磁制御バルブ66のスプールが図4の左方位置PS2に位置すると、油圧ポンプPからの圧油は油路L2を介してシリンダチューブ部63の下方油室63b内に供給されるとともに、上方油室63a内の作動油が油路L1を介して油タンクTに排出されるので、シリンダチューブ部63は下方へ移動する(ジャッキシリンダ61の伸長動作)。また、電磁制御バルブ66のスプールが図4の右方位置PS1に位置すると、油圧ポンプPからの圧油は油路L1を介してシリンダチューブ部63の上方油室63a内に供給されるとともに、下方油室63b内の作動油が油路L2を介して油タンクTに排出されるので、シリンダチューブ部63は上方へ移動する(ジャッキシリンダ61の収縮動作)。なお、電磁制御バルブ66はクローズドセンタ形であるとともに、油路L1,L2の途中にはダブルパイロットチェックバルブCVが介装されているので、電磁制御バルブ66のスプールを中立位置PS0に位置させたときには、ジャッキシリンダ61はその時点における長さが保持される。
図1はこのようなコントローラ50のジャッキ作動制御部52、電磁制御バルブ66、油圧ポンプP及び各ジャッキシリンダ61の間の信号・動力伝達関係を示しているが、この図1では、4つのジャッキシリンダ61のうち、走行体10の前方左側に備えられたものの符号を61a、走行体10の前方右側に備えられたものの符号を61b、走行体10の後方左側に備えられたものの符号を61c、走行体10の後方右側に備えられたものの符号を61dとして記している。また、4つの電磁制御バルブ66のうちジャッキシリンダ61aに対応するものの符号を66a、ジャッキシリンダ61bに対応するものの符号を66b、ジャッキシリンダ61cに対応するものの符号を66c、ジャッキシリンダ61dに対応するものの符号を66dとして記している。
図3及び図5に示すように、ジャッキシリンダ61のピストンロッド部62の上端部は揺動ピンP1を介してジャッキ取り付けフレーム15に取り付けられている。ここで、ジャッキシリンダ61側に設けられた揺動ピンP1への係止部は上下に延びた長穴16からなっているため、アウトリガジャッキ60が図3(A)のような全縮状態(格納状態)から図3(B)の接地状態に至るまでの間では揺動ピンP1はジャッキシリンダ61の自重により長穴16の下縁16aに上方から当接しているが、図3(B)の接地状態から図3(C)の走行体10が持ち上げ支持される状態(以下、この走行体10が持ち上げ支持されるアウトリガジャッキ6の状態を「地切り状態」と称する)までの間ではジャッキシリンダ61が地面Gからの反力を受けて押し上げられることにより、揺動ピンP1は長穴16の上縁16bに下方から当接するようになる。本高所作業車1では、このことを利用してアウトリガジャッキ60の接地状態を検出する接地状態検出器67が設けられている。
この接地状態検出器67はリミットスイッチからなっており、図5に示すようにジャッキ取り付けフレーム15に取り付けられている。その具体的な取り付け位置は、揺動ピンP1が長穴16の下縁16aに当接している状態では操作片67pが揺動ピンP1に接しておらずオフ信号を出力しているが(図5(A)参照)、揺動ピンP1が長穴16の上縁16bに当接している状態では操作片67pが揺動ピンP1により押し上げられてオン信号を出力する(図5(B)参照)位置である。このように接地状態検出器67は、アウトリガジャッキ60が地面Gに接地していない状態ではオフ信号を出力し、アウトリガジャッキ60が地面Gに接地している状態ではオン信号を出力するようになっており、コントローラ50のジャッキ作動制御部52は各接地状態検出器67からのオンオフ信号に基づいて、対応するアウトリガジャッキ60が現在接地状態にあるか否かを判断するようになっている。図1にはこのようなコントローラ50のジャッキ作動制御部52と各ジャッキシリンダ61に対応する接地状態検出器67との間の信号伝達関係を示しているが、ここでは4つの接地状態検出器67のうち、ジャッキシリンダ61aに対応するものの符号を67a、ジャッキシリンダ61bに対応するものの符号を67b、ジャッキシリンダ61cに対応するものの符号を67c、ジャッキシリンダ61dに対応するものの符号を67dとして記している。
図3及び図6に示すように、ジャッキシリンダ61のシリンダチューブ部63の中間部とリンク部材64とは揺動ピンP2を介して相対回転自在に結合されているのであるが、シリンダチューブ部63側には揺動ピンP2を中心とするカム部材71が固定して設けられるとともに、リンク部材64側には、アウトリガジャッキ60が図3(A)のような全縮状態(格納状態)から図3(B)の接地状態に至るまでの間、及び図3(B)の接地状態から図3(C)の地切り状態に至るまでの間では操作片68pがカム部材71の突起部71aに当接せず伸長状態でオフ信号を出力しているが(図6(A)参照)、アウトリガジャッキ60が図3(C)の地切り状態になったとき(シリンダチューブ部63がストロークエンドに達したときとしてもよい)には操作片68pがカム部材71の突起部71aにより押し込まれてオン信号を出力する(図6(B)参照)地切り状態検出器68が設けられている。
このように地切り状態検出器68は、アウトリガジャッキ60が地切り状態になっていないときにはオフ信号を出力し、アウトリガジャッキ60が地切り状態になっているときにはオン信号を出力するようになっており、コントローラ50のジャッキ作動制御部52は各地切り状態検出器68からのオンオフ信号に基づいて、対応するアウトリガジャッキ60が現在地切り状態にあるか否かを判断するようになっている。図1にはこのようなコントローラ50のジャッキ作動制御部52と各ジャッキシリンダ61に対応する地切り状態検出器68との間の信号伝達関係を示しているが、ここでは4つの地切り状態検出器68のうち、ジャッキシリンダ61aに対応するものの符号を68a、ジャッキシリンダ61bに対応するものの符号を68b、ジャッキシリンダ61cに対応するものの符号を68c、ジャッキシリンダ61dに対応するものの符号を68dとして記している。
図3及び図7に示すように、ジャッキ取り付けフレーム15とリンク部材64とは揺動ピンP3を介して相対回転自在に結合されているのであるが、ジャッキ取り付けフレーム15側には揺動ピンP3を中心とするカム部材72が固定して設けられるとともに、リンク部材64側には、アウトリガジャッキ60が図3(C)のような地切り状態から図3(B)の接地状態に至るまでの間、及び図3(B)の接地状態から図3(A)の全縮状態(格納状態)に至るまでの間では操作片69pが伸長状態でオフ信号を出力しているが(図7(A)参照)、アウトリガジャッキ60が図3(A)の全縮状態になったときに操作片69pがカム部材72の突起部72aにより押し込まれてオン信号を出力する(図7(B)参照)格納状態検出器69が設けられている。
このように各格納状態検出器69は、アウトリガジャッキ60が格納(全縮)状態になっていないときにはオフ信号を出力し、アウトリガジャッキ60が格納状態になっているときにはオン信号を出力するようになっており、コントローラ50のジャッキ作動制御部52は各格納状態検出器69からのオンオフ信号に基づいて、対応するアウトリガジャッキ60が現在格納状態にあるか否かを判断するようになっている。図1にはこのようなコントローラ50のジャッキ作動制御部52と各ジャッキシリンダ61に対応する格納状態検出器69との間の信号伝達関係を示しているが、ここでは4つの格納状態検出器69のうち、ジャッキシリンダ61aに対応するものの符号を69a、ジャッキシリンダ61bに対応するものの符号を69b、ジャッキシリンダ61cに対応するものの符号を69c、ジャッキシリンダ61dに対応するものの符号を69dとして記している。
続いて、高所作業車1に備えられたアウトリガジャッキ60の作動について説明する。はじめに、作業者が予め作業現場に本高所作業車1をジャッキアップさせた(アウトリガジャッキ60により走行体10を持ち上げ支持させた)状態で高所作業を始める場合について説明する。この場合には先ず運転キャビン12内に乗り込んだ作業者が運転手となって運転し、本高所作業車1を作業現場へ移動させる。高所作業車1を作業現場に停車させたら、作業者は運転キャビン12内に設けられたPTOスイッチ(図示せず)を操作して油圧ポンプPがPTO14を介してエンジン13により駆動されるようにする。そして、作業台40に搭乗する前に、走行体10上に備えられた第1ジャッキ操作装置18よりアウトリガジャッキ60の伸長(張出)操作入力を行う。そして、この操作入力を受けたコントローラ50のジャッキ作動制御部52は電磁制御バルブ66を図4の左方位置PS2に位置させて、各ジャッキシリンダ61を伸長作動させる。
コントローラ50のジャッキ作動制御部52は、第1ジャッキ操作装置18の操作に基づいて各ジャッキシリンダ61を伸長作動させるときには、その伸長操作入力が行われている間だけ各ジャッキシリンダ61を伸長作動させ、伸長操作入力が停止されたときには各ジャッキシリンダ61の伸長作動を停止させる(電磁制御バルブ66を図4の中立位置PS0に位置させる)が、ジャッキシリンダ61の接地板65が地面Gに接地した後も第1ジャッキ操作装置18の操作を持続した場合には、ジャッキシリンダ61が地切り状態になって(或いはシリンダチューブ部63がストロークエンドに達して)地切り状態検出器68からの出力信号がオフからオンに切り換わったところで電磁制御バルブ66のスプールを中立位置PS0に戻すようになっている。この場合には、全てのジャッキシリンダ61は接地状態を超えて地切り状態まで伸長されることとなり、走行体10は4つのアウトリガジャッキ60により持ち上げ支持された状態となる。走行体10がこのように持ち上げ支持された状態となったら、作業者は作業台40に乗り込んでブーム操作レバー45及び作業台首振り操作レバー46を操作し、作業台40を作業位置に位置させて所要の高所作業を行う。なお、このときコントローラ50のブーム作動制御部51においては最大の許容作業範囲R1が設定される。
高所作業が終ったら、作業者はブーム操作レバー45及び作業台首振り操作レバー46を操作してブーム30及び作業台40を所定の格納位置に位置させ、作業台40から降りた後、第1ジャッキ操作装置18よりアウトリガジャッキ60の収縮(格納)操作入力を行う。そして、この操作入力を受けたコントローラ50のジャッキ作動制御部52は電磁制御バルブ66を図4の右方位置PS1に位置させて各ジャッキシリンダ61を収縮作動させ、対応する格納状態検出器69からの出力信号がオフからオンに切り換わったところで電磁制御バルブ66のスプールを中立位置PS0に戻す。これにより4つのアウトリガジャッキ60は全て格納(完全収縮)状態となる。作業者は、全てのアウトリガジャッキ60が格納状態となったことを確認した後、運転キャビン12内に乗り込み、PTOスイッチを操作してエンジン13とPTO14との間の動力伝達経路を切り離す。これにより車両を運転して走行移動できる状態となる。
次に、作業者が本高所作業車1をジャッキアップさせることなく作業台40に乗り込んで高所作業を始めた後(このときコントローラ50のブーム作動制御部51においては最小の許容作業範囲R3が設定されている)、走行体10の安定のためにアウトリガジャッキ60の張り出しを行う必要を感じた場合について、図8を参照して説明する。なお、図8のフローチャートは、第2ジャッキ操作装置47によるアウトリガジャッキ60の伸長操作入力が行われたときに、コントローラ50のジャッキ作動制御部52が1つのアウトリガジャッキ60に対して行う作動制御の内容を示している。このとき作業者は、作業台40上の操作ボックス44内に設けられた第2ジャッキ操作装置47よりアウトリガジャッキ60の伸長操作入力を行う。そして、この操作入力を受けたコントローラ50のジャッキ作動制御部52は電磁制御バルブ66を図4の左方位置PS2に位置させて、各ジャッキシリンダ61を伸長作動させる(ステップS11)。
コントローラ50のジャッキ作動制御部52は、第2ジャッキ操作装置47の操作に基づいて各ジャッキシリンダ61を伸長作動させるときには、その伸長操作入力が行われている間だけ各ジャッキシリンダ61を伸長作動させ、伸長操作入力が停止されたときには各ジャッキシリンダ61の伸長作動を停止させる(電磁制御バルブ66を図4の中立位置PS0に位置させる)が、ジャッキシリンダ61を伸長作動させている途中においては、接地状態検出器67からの出力に基づいてそのアウトリガジャッキ60が接地したか否かの判断を行い(ステップS12)、接地状態検出器67からの出力信号がオフのままであり、アウトリガジャッキ60がまだ接地していないと判断したときには伸長作動を継続し、接地状態検出器67からの出力信号がオフからオンに切り換わり、アウトリガジャッキ60が接地した(具体的にはジャッキシリンダ61の接地板65が地面Gに接地した)と判断したときには、その時点で電磁制御バルブ66のスプールを中立位置PS0に戻してアウトリガジャッキ61の伸長作動を停止させる(ステップS13)。すなわち、第2ジャッキ操作装置47からアウトリガジャッキ60の伸長操作を行った場合には、その伸長操作が持続されていても、各ジャッキシリンダ61は接地状態になったところでその伸長作動が停止される。
これにより4つのアウトリガジャッキ60はいずれも接地状態となるが、このように4つのアウトリガジャッキ60が地面Gに接地している状態では、走行体10が4つの走行用車輪11,11,・・・のみで支持されている状態よりは走行体10の転倒に対する安定度は高められており、コントローラ50のブーム作動制御部51において設定する許容作業範囲は最大のR1よりは狭いが最小のR3よりは広いR2とすることができるので、各アウトリガジャッキ60を全く張り出さなかったときに比べて広い範囲での高所作業を行うことが可能となる。
高所作業が終ったら、作業台40上の作業者は第2ジャッキ操作装置47よりアウトリガジャッキ60の収縮操作入力を行う。そして、この操作入力を受けたコントローラ50のジャッキ作動制御部52は、電磁制御バルブ66を図4の右方位置PS1に位置させて各ジャッキシリンダ61を収縮作動させ、対応する格納状態検出器69からの出力信号がオフからオンに切り換わったところで電磁制御バルブ66のスプールを中立位置PS0に戻す。これにより4つのアウトリガジャッキ60は全て格納された状態となる。
このように第1実施形態に係るジャッキ装置では、各アウトリガジャッキ60の張り出し状態を検出するジャッキ張り出し状態検出手段として、各アウトリガジャッキ60の接地状態を検出する接地状態検出器67を備える。そして、コントローラ50のジャッキ作動制御部52は、第1ジャッキ操作装置18による各アウトリガジャッキ60の伸長操作入力が行われたときには第1ジャッキ操作装置18の伸長操作入力に応じて各アウトリガジャッキ60を伸長作動させ、第2ジャッキ操作装置47による各アウトリガジャッキ60の伸長操作入力が行われたときには第2ジャッキ操作装置47の伸長操作入力に応じて各アウトリガジャッキ60を伸長作動させ、ジャッキ張り出し状態検出手段により検出される各アウトリガジャッキ60の張り出し状態が所定状態になったときに各アウトリガジャッキ60の伸長作動を停止させるようになっている。ここで「所定状態」とは、各アウトリガジャッキ60が接地した状態であり、コントローラ50のジャッキ作動制御部52は、第2ジャッキ操作装置47による各アウトリガジャッキ60の伸長操作入力中、接地状態検出器67により各アウトリガジャッキ60の接地状態が検出されたときには、各アウトリガジャッキ60の伸長作動を停止させる。
このような構成では、第1ジャッキ操作装置18により各アウトリガジャッキ60の伸長操作入力を行った場合には、各アウトリガジャッキ60を所望の長さまで張り出して走行体10をジャッキアップする(持ち上げ支持する)ことができる一方で、第2ジャッキ操作装置47より各アウトリガジャッキ60の伸長操作を行った場合には、各アウトリガジャッキ60は地面Gに接地するまでしか伸長しない(接地するまでは所望の長さまで伸長させることができるが、接地したときにはそのとき点で伸長作動が停止される)ため走行体10は持ち上げ支持されず、ジャッキアップをしたときのように走行体10が大きく揺れたり傾いたりすることがない。このため、作業台40上に作業者がいるときであっても、その作業者に不安を抱かせない。そして、このように走行体10が持ち上げ支持されない場合でも、各アウトリガジャッキ60が地面Gに接地していることにより、走行体10の転倒に対する安定性はアウトリガジャッキ60を全く張り出していない(伸長させていない)状態よりも格段に向上するため、ブーム30の作動、すなわち作業台40の許容移動範囲は拡大し、より広い範囲での高所作業を行うことが可能となる。
なお、この高所作業車1では、作業台40上から走行体10の走行運転を行うことができる構成であるとはしていなかったが、作業台上から走行体10の走行運転ができ、走行体10を走行移動させた後停車させては作業をし、また移動しては作業をするといった形態の高所作業を行うことができる車両においては、走行移動ごとに必要となるアウトリガジャッキの張出作業を、作業台上の作業者が不安を抱くことなく(したがって、停車のたびに作業者がいちいち作業台から降りることなく)行うことができるようになる。
次に、本発明の第2実施形態に係るジャッキ装置について説明する。この第2実施形態に係るジャッキ装置は、上述の第1実施形態に係るジャッキ装置のジャッキ作動制御部52にタイマ53(53a〜53d)が備えられたものとなっている(図9参照)。これらタイマ53a〜53dは4つのアウトリガジャッキ60それぞれに対応しており、オンにされたときからの経過時間が予め定めた所定時間に達したときにオフとなる構成を有している。この第2実施形態に係るジャッキ装置では、コントローラ50のジャッキ作動制御部52は、第1ジャッキ操作装置18による各アウトリガジャッキ60の伸長操作入力に対しては第1実施形態の場合と同様、地面Gに接地するか否かに関係なく、第1ジャッキ操作装置18の操作に応じた各アウトリガジャッキ60の伸長作動制御を行うが、第2ジャッキ操作装置47によるアウトリガジャッキ60の伸長操作入力に対しては、各アウトリガジャッキ60の張り出し手順が第1実施形態の場合とは異なる。
図10は、この第2実施形態に係るジャッキ装置において、第2ジャッキ操作装置47によるアウトリガジャッキ60の伸長操作入力が行われたときに、コントローラ50のジャッキ作動制御部52が1つのアウトリガジャッキ60に対して行う作動制御の内容を示すフローチャートである。この図に示すように、コントローラ50のジャッキ作動制御部52は、第2ジャッキ操作装置47によるアウトリガジャッキ60の伸長操作入力が行われたときにはアウトリガジャッキ60を伸長作動させる(ステップS21)。そして、その伸長作動の途中においては、接地状態検出器67からの出力に基づいてアウトリガジャッキ60が接地したか否かの判断を行い(ステップS22)、接地状態検出器67からの出力信号がオフのままであり、アウトリガジャッキ60がまだ接地していないと判断したときには伸長作動を継続し、接地状態検出器67からの出力信号がオフからオンに切り換わり、アウトリガジャッキ60が接地したと判断したときには、その時点でアウトリガジャッキ60の伸長作動を一旦停止させる(ステップS23)。
ステップS23において地面Gに接地したアウトリガジャッキ60の伸長作動を一旦停止させたら、その後すぐに(或いは一定時間経過後に)、そのアウトリガジャッキ60を再伸長作動させる(ステップS24)。再伸長作動の開始後は、アウトリガジャッキ60の再伸長開始後の伸長時間が予め定めた所定時間(例えば、アウトリガジャッキ60が接地後20mm伸びるのに要する時間)に達したか否かの判断を行い(ステップS25)、アウトリガジャッキ60の再伸長開始後の伸長時間が上記所定時間に達していないと判断したときには伸長作動を継続し、再伸長開始後の伸長量が上記所定時間に達したと判断したときには伸長作動を停止させる(ステップS26)。なお、上記ステップS25での判断は、具体的には、アウトリガジャッキ60の再伸長の開始と同時にそのアウトリガジャッキ60に対応するタイマ53をオンにし、そのタイマ53がオフになったか否か(タイマ53がオンにされてから、設定した所定時間が経過したか否かにより)により行う。
このように第2実施形態に係るジャッキ装置では、アウトリガジャッキ60の張り出し状態を検出するジャッキ張り出し状態検出手段として、各アウトリガジャッキ60の接地状態を検出する接地状態検出器67及び各アウトリガジャッキ60の伸長時間を検出するタイマ53を備える。そして、コントローラ50のジャッキ作動制御部52は、第1ジャッキ操作装置18による各アウトリガジャッキ60の伸長操作入力が行われたときには第1ジャッキ操作装置18の伸長操作入力に応じて各アウトリガジャッキ60を伸長作動させる一方で、第2ジャッキ操作装置47による各アウトリガジャッキ60の伸長操作入力が行われたときには第2ジャッキ操作装置47の伸長操作入力に応じて各アウトリガジャッキ60を伸長作動させ、ジャッキ張り出し状態検出手段により検出される各アウトリガジャッキ60の張り出し状態が所定状態になったときに各アウトリガジャッキ60の伸長作動を停止させるようになっている。ここで「所定状態」とは、各アウトリガジャッキ60が接地後更に所定時間伸長した状態であり、コントローラ50のジャッキ作動制御部52は、第2ジャッキ操作装置47による各アウトリガジャッキ60の伸長操作入力中、接地状態検出器67により各アウトリガジャッキ60の接地が検出されたときには、各アウトリガジャッキ60の伸長作動を一旦停止させた後、各アウトリガジャッキ60を再度伸長作動させ、タイマ53により検出される再伸長作動開始後の各アウトリガジャッキ60の伸長時間が所定時間に達したときに各アウトリガジャッキ60の伸長作動を停止させる。
このような構成では、第1実施形態のように接地後停止したアウトリガジャッキ60がそのまま停止状態を維持するよりも走行体10の安定度が格段に向上し、高所作業時に発生しがちな走行体10の揺れを確実に防止することができる。また、接地してその伸長作動が一旦停止したアウトリガジャッキ60が更なる伸長を行うようにすることで、作業者は作業台上に居ながらにしてアウトリガジャッキ60の張り出し完了を体感することができるので、その後の作業を安心して行うことができる。
第2実施形態における上記例(第1例とする)では、アウトリガジャッキ60が地面Gに接地した後(伸長作動を一旦停止させた後)、再伸長を開始するタイミングは地面Gへの接地後すぐに(或いは一定時間経過後)であったが、接地後どのようなタイミングで再伸長を開始させるかについては任意である。上記第1例のように接地後すぐに伸長させればアウトリガジャッキ60の張り出し時間は短くなるが、不整地のように凹凸のある場所では4つのアウトリガジャッキ60の全てが同時に接地するとは限らず、このような場合に、先に接地したものだけが再伸長してしまうと走行体10が大きく揺れたり傾いたりしてしまうおそれがある。このため図11に示す例(第2例とする)のように、全てのアウトリガジャッキ60が接地状態になったことが検出された後(すなわち、他のアウトリガジャッキ60も全て接地するのを待って)、各アウトリガジャッキ60の接地後の再伸長を開始するようにしてもよい。
図11は第2実施形態の第2例の処理手順を示すフローチャートであり、図10において示したフローチャートのステップS23とステップS24との間に、他のアウトリガジャッキ60についての接地状態検出器67の出力を参照して他のアウトリガジャッキ60も全て接地しているか否かを判断し、他のアウトリガジャッキ60のうち1つでも接地していないものがあると判断したときにはそのアウトリガジャッキ60の停止状態を維持し、他のアウトリガジャッキ60も全て接地していると判断したときにはステップS24に進む処理をするステップS23′が挿入されたものとなっている。この第2実施形態の第2例では、上記第2実施形態の第1例と同様の効果に加え、不整地のように凹凸があり、全てのアウトリガジャッキ60が同時に接地するとは限らない場所でアウトリガジャッキ60を張り出したときであっても、接地後の再伸長により走行体が傾いてしまうようなことがないという効果を有する。なお、この第2実施形態の第2例のように、全てのアウトリガジャッキ60が接地してから各アウトリガジャッキ60の再伸長を行う構成を採る場合には、上記タイマ53は、各アウトリガジャッキ60に対応して(アウトリガジャッキ60の数だけ)設ける必要はなく、全ての接地状態検出器67がオフからオンになったとき(全てのアウトリガジャッキ60が接地したとき)にオンとなり、予め定めた所定時間が経過した後にオフとなる構成のものが1つあればよい。
次に、本発明の第3実施形態に係るジャッキ装置について説明する。この第3実施形態に係るジャッキ装置は上述の第2実施形態に係るジャッキ装置と同じであり、コントローラ50のジャッキ作動制御部52は、第1ジャッキ操作装置18による各アウトリガジャッキ60の伸長操作入力に対しては第2実施形態の場合(すなわち第1実施形態の場合)と同様、地面Gに接地するか否かに関係なく、第1ジャッキ操作装置18の操作に応じた各アウトリガジャッキ60の伸長作動制御を行うが、第2ジャッキ操作装置47によるアウトリガジャッキ60の伸長操作入力に対しては、各アウトリガジャッキ60の張り出し手順が第2実施形態の場合と異なる。
図12は、この第3実施形態に係るジャッキ装置において、第2ジャッキ操作装置47によるアウトリガジャッキ60の伸長操作入力が行われたときに、コントローラ50のジャッキ作動制御部52が1つのアウトリガジャッキ60に対して行う作動制御の内容を示すフローチャートである。この図に示すように、コントローラ50のジャッキ作動制御部52は、第2ジャッキ操作装置47によるアウトリガジャッキ60の伸長操作入力が行われたときにはジャッキシリンダ61を伸長作動させる(ステップS31)。そして、その伸長作動の途中においては、接地状態検出器67からの出力に基づいてアウトリガジャッキ60が接地したか否かの判断を行い(ステップS32)、接地状態検出器67からの出力信号がオフのままであり、アウトリガジャッキ60がまだ接地していないと判断したときには伸長作動を継続する。
一方、上記ステップS32において、接地状態検出器67からの出力信号がオフからからオンに切り換わり、アウトリガジャッキ60が接地したと判断したときにはアウトリガジャッキ60の伸長作動を継続しつつ、今度は接地後のアウトリガジャッキ60の伸長時間が予め定めた所定時間(例えば、アウトリガジャッキ60が接地後20mm伸びるのに要する時間)に達したか否かの判断を行う(ステップS33)。そして、接地後のアウトリガジャッキ60の伸長時間が上記所定時間に達するまで伸長作動を継続し、接地後のアウトリガジャッキ60の伸長時間が上記所定時間に達したときに伸長作動を停止させる(ステップS34)。なお、上記ステップS33での判断は、具体的には、アウトリガジャッキ60の接地と同時にそのアウトリガジャッキ60に対応するタイマ53をオンにし、そのタイマ53がオフになったか否か(タイマ53がオンにされてから、設定した所定時間が経過したか否か)により行う。
このように第3実施形態に係るジャッキ装置では、アウトリガジャッキ60の張り出し状態を検出するジャッキ張り出し状態検出手段として、各アウトリガジャッキ60の接地状態を検出する接地状態検出器67及び各アウトリガジャッキ60の伸長時間を検出するタイマ53を備える。そして、コントローラ50のジャッキ作動制御部52は、第1ジャッキ操作装置18による各アウトリガジャッキ60の伸長操作入力が行われたときには第1ジャッキ操作装置18の伸長操作入力に応じて各アウトリガジャッキ60を伸長作動させ、第2ジャッキ操作装置47による各アウトリガジャッキ60の伸長操作入力が行われたときには第2ジャッキ操作装置47の伸長操作入力に応じて各アウトリガジャッキ60を伸長作動させ、ジャッキ張り出し状態検出手段により検出される各アウトリガジャッキ60の張り出し状態が所定状態になったときに各アウトリガジャッキ60の伸長作動を停止させるようになっている。ここで「所定状態」とは、各アウトリガジャッキ60が接地後更に所定時間伸長した状態であり、コントローラ50のジャッキ作動制御部52は、第2ジャッキ操作装置47による各アウトリガジャッキ60の伸長操作入力中、接地状態検出器67により各アウトリガジャッキ60の接地が検出された後、タイマ53により検出される接地後の各アウトリガジャッキ60の伸長時間が所定時間に達したときには、各アウトリガジャッキ60の伸長作動を停止させる。
このような構成では、第1実施形態のように接地後停止したアウトリガジャッキ60がそのまま停止状態を維持するよりも走行体10の安定度が格段に向上し、高所作業時に発生しがちな走行体10の揺れを確実に防止することができる。また、接地してその伸長作動が一旦停止したアウトリガジャッキ60が更なる伸長を行うようにすることで、作業者は作業台上に居ながらにしてアウトリガジャッキ60の張り出し完了を体感することができるので、その後の作業を安心して行うことができる。更に、第2実施形態に係るジャッキ装置に比べてアウトリガジャッキ60の張り出し時間の短縮を図れる。
次に、本発明の第4実施形態に係るジャッキ装置について説明する。この第4実施形態に係るジャッキ装置は、前述の第1実施形態に係るジャッキ装置の構成に加え、各アウトリガジャッキ60の伸長量(特に、地面Gに接地した状態からの伸長量)を検出する伸長量検出器70(70a〜70d)が備えられている(図13)。この伸長量検出器70は、図14に示すように、アウトリガジャッキ60の上端部が支持されるジャッキ取り付けフレーム15に取り付けられており、地面に向けて発した光線が地面Gにおいて反射した後これが受光されるまでに要する往復の時間から、その伸長量検出器70が取り付けられたジャッキ取り付けフレーム15上の箇所と地面Gとの間の距離を測定することができるようになっている。そして、接地状態検出器67がオンになった(すなわち接地板65が地面Gに接地した)後の上記距離の増分から、接地後のアウトリガジャッキ60の伸長量を検出できるようになっている。この第4実施形態に係るジャッキ装置では、コントローラ50のジャッキ作動制御部52は、第1ジャッキ操作装置18による各アウトリガジャッキ60の伸長操作入力に対しては第1実施形態の場合と同様、地面Gに接地するか否かに関係なく、第1ジャッキ操作装置18の操作に応じた各アウトリガジャッキ60の伸長作動制御を行うが、第2ジャッキ操作装置47によるアウトリガジャッキ60の伸長操作入力に対しては、各アウトリガジャッキ60の張り出し手順が第1実施形態の場合とは異なる。
上記4つのアウトリガジャッキ60それぞれに対応して備えられる各伸長量検出器70(70a〜70d)からの検出情報は、図13に示すようにジャッキ作動制御部52に入力され、後述する各アウトリガジャッキ60の伸長作動制御に用いられる。図13では、各アウトリガジャッキ60に対応して備えられる計4つの伸長量検出器70のうち、ジャッキシリンダ61aに対応するものの符号を70a、ジャッキシリンダ61bに対応するものの符号を70b、ジャッキシリンダ61cに対応するものの符号を70c、ジャッキシリンダ61dに対応するものの符号を70dとして記している。
図15は、この第4実施形態において、第2ジャッキ操作装置47によるアウトリガジャッキ60の伸長操作入力が行われたときに、コントローラ50のジャッキ作動制御部52が1つのアウトリガジャッキ60に対して行う作動制御の内容を示すフローチャートである。この図に示すように、コントローラ50のジャッキ作動制御部52は、第2ジャッキ操作装置47によるアウトリガジャッキ60の伸長操作入力が行われたときにはジャッキシリンダ61を伸長作動させる(ステップS41)。そして、その伸長作動の途中においては、接地状態検出器67からの出力に基づいてアウトリガジャッキ60が接地したか否かの判断を行い(ステップS42)、接地状態検出器67からの出力信号がオフのままであり、アウトリガジャッキ60がまだ接地していないと判断したときには伸長作動を継続し、接地状態検出器67からの出力信号がオフからオンに切り換わり、アウトリガジャッキ60が接地したと判断したときには、その時点でアウトリガジャッキ60の伸長作動を一旦停止させる(ステップS43)。
ステップS43において地面Gに接地したアウトリガジャッキ60の伸長作動を一旦停止させたら、その後すぐに(或いは一定時間経過後に)、そのアウトリガジャッキ60を再伸長作動させる(ステップS44)。再伸長作動の開始後は、アウトリガジャッキ60の接地後の伸長量が予め定めた所定量(例えば20mm)に達したか否かの判断を行い(ステップS45)、アウトリガジャッキ60の接地後の伸長量が上記所定量に達していないと判断したときには伸長作動を継続し、接地後の伸長量が上記所定量に達したと判断したときには伸長作動を停止させる(ステップS46)。なお、上記ステップS45での判断は、具体的には、各アウトリガジャッキ60に対応して設けられた上記伸長量検出器70からの出力に基づいて、接地後の各アウトリガジャッキ60の伸長量が予め定めた上記所定量に達したか否かにより判断する。
このように第4実施形態に係るジャッキ装置では、アウトリガジャッキ60の張り出し状態を検出するジャッキ張り出し状態検出手段として、各アウトリガジャッキ60の接地状態を検出する接地状態検出器67及び各アウトリガジャッキ60の伸長量を検出する伸長量検出器70を備える。そして、コントローラ50のジャッキ作動制御部52は、第1ジャッキ操作装置18による各アウトリガジャッキ60の伸長操作入力が行われたときには第1ジャッキ操作装置18の伸長操作入力に応じて各アウトリガジャッキ60を伸長作動させ、第2ジャッキ操作装置47による各アウトリガジャッキ60の伸長操作入力が行われたときには第2ジャッキ操作装置47の伸長操作入力に応じて各アウトリガジャッキ60を伸長作動させ、ジャッキ張り出し状態検出手段により検出される各アウトリガジャッキ60の張り出し状態が所定状態になったときに各アウトリガジャッキ60の伸長作動を停止させるようになっている。ここで「所定状態」とは、各アウトリガジャッキ60が接地後更に所定量伸長した状態であり、コントローラ50のジャッキ作動制御部52は、第2ジャッキ操作装置47による各アウトリガジャッキ60の伸長操作入力中、接地状態検出器67により各アウトリガジャッキ60の接地が検出されたときには、各アウトリガジャッキ60の伸長作動を一旦停止させた後、各アウトリガジャッキ60を再度伸長作動させ、伸長量検出器70により検出される接地後の各アウトリガジャッキ60の伸長量が所定量に達したときにアウトリガジャッキ60の伸長作動を停止させる。
このような構成では、第1実施形態のように接地後停止したアウトリガジャッキ60がそのまま停止状態を維持するよりも走行体10の安定度が格段に向上し、高所作業時に発生しがちな走行体10の揺れを確実に防止することができる。また、接地してその伸長作動が一旦停止したアウトリガジャッキ60が更なる伸長を行うようにすることで、作業者は作業台上に居ながらにしてアウトリガジャッキ60の張り出し完了を体感することができるので、その後の作業を安心して行うことができる。
また、本第4実施形態に係る上記例(第1例とする)では、前述の第2実施形態に係るジャッキ装置の場合と同様、アウトリガジャッキ60が地面Gに接地した後(伸長作動の停止後)、どのようなタイミングで再伸長を開始するようにするかは任意である。また、不整地等の凹凸のある場所では4つのアウトリガジャッキ60の全てが同時に接地するとは限らず、このような場合に、先に接地したものだけが再伸長してしまうと走行体10が傾いてしまうおそれがあるのも第2実施形態の場合と同様である。よって、この本第4実施形態に係るジャッキ装置においても、全てのアウトリガジャッキ60が接地状態になったことが検出された後(他のアウトリガジャッキ60も全て接地するのを待って)、各アウトリガジャッキ60の接地後の再伸長を開始するようにしてもよい。以下、全てのアウトリガジャッキ60が接地状態になったことが検出された後、各アウトリガジャッキ60の接地後の再伸長を開始する例(第2例とする)を示す。
図16は第4実施形態の第2例の処理手順を示すフローチャートであり、図15において示したフローチャートのステップS43とステップS44との間に、他のアウトリガジャッキ60についての接地状態検出器67の出力を参照して他のアウトリガジャッキ60も全て接地しているか否かを判断し、他のアウトリガジャッキ60のうち1つでも接地していないものがあると判断したときにはそのアウトリガジャッキ60の停止状態を維持し、他のアウトリガジャッキ60も全て接地していると判断したときにはステップS44に進む処理をするステップS43′が挿入されたものとなっている。これにより、上述した第2実施形態の第2例と同様の効果が得られる。
上記第2実施形態の第2例及び第4実施形態の第2例では、4つのアウトリガジャッキ60の全てが接地してから再度の伸長を開始する構成であったが、これを走行体10の前方左右に備えられた2つのアウトリガジャッキ60と走行体10の後方左右に備えられた2つのアウトリガジャッキ60とに分け、走行体10の前方に備えられた一方側のアウトリガジャッキ60については走行体10の前方に供えられた他方側のアウトリガジャッキ60の接地を確認した後再度の伸長を開始し、走行体10の後方に備えられた一方側のアウトリガジャッキ60については走行体10の後方に備えられた他方側のアウトリガジャッキ60の接地を確認した後再度の伸長を開始するようにしてもよい。
次に、本発明の第5実施形態に係るジャッキ装置について説明する。この第5実施形態に係るジャッキ装置は上述の第4実施形態に係るジャッキ装置と同じであり、コントローラ50のジャッキ作動制御部52は、第1ジャッキ操作装置18による各アウトリガジャッキ60の伸長操作入力に対しては第4実施形態の場合(すなわち第1実施形態の場合)と同様、地面Gに接地するか否かに関係なく、第1ジャッキ操作装置18の操作に応じた各アウトリガジャッキ60の伸長作動制御を行うが、第2ジャッキ操作装置47によるアウトリガジャッキ60の伸長操作入力に対しては、各アウトリガジャッキ60の張り出し手順が第4実施形態の場合と異なる。
図17は、この第5実施形態に係るジャッキ装置において、第2ジャッキ操作装置47によるアウトリガジャッキ60の伸長操作入力が行われたときに、コントローラ50のジャッキ作動制御部52が1つのアウトリガジャッキ60に対して行う作動制御の内容を示すフローチャートである。この図に示すように、コントローラ50のジャッキ作動制御部52は、第2ジャッキ操作装置47によるアウトリガジャッキ60の伸長操作入力が行われたときにはジャッキシリンダ61を伸長作動させる(ステップS51)。そして、その伸長作動の途中においては、接地状態検出器67からの出力に基づいてアウトリガジャッキ60が接地したか否かの判断を行い(ステップS52)、接地状態検出器67からの出力信号がオフのままであり、アウトリガジャッキ60がまだ接地していないと判断したときには伸長作動を継続する。
一方、上記ステップS52において、接地状態検出器67からの出力信号がオフからからオンに切り換わり、アウトリガジャッキ60が接地したと判断したときには、アウトリガジャッキ60の伸長作動を継続しつつ、今度は接地後のアウトリガジャッキ60の伸長量が予め定めた所定量(例えば20mm)に達したか否かの判断を行う(ステップS53)。そして、接地後のアウトリガジャッキ60の伸長量が所定量に達するまで伸長作動を継続し、接地後のアウトリガジャッキ60の伸長量が上記所定量に達したときに伸長作動を停止させる(ステップS54)。なお、上記ステップS53での判断は、具体的には、各アウトリガジャッキ60に対応して設けられた上記伸長量検出器70からの出力に基づいて、接地後の各アウトリガジャッキ60の伸長量が予め定めた上記所定量に達したか否かにより判断する。
このように第5実施形態に係るジャッキ装置では、アウトリガジャッキ60の張り出し状態を検出するジャッキ張り出し状態検出手段として、各アウトリガジャッキ60の接地状態を検出する接地状態検出器67及び各アウトリガジャッキ60の伸長量を検出する伸長量検出器70を備える。そして、コントローラ50のジャッキ作動制御部52は、第1ジャッキ操作装置18による各アウトリガジャッキ60の伸長操作入力が行われたときには第1ジャッキ操作装置18の伸長操作入力に応じて各アウトリガジャッキ60を伸長作動させ、第2ジャッキ操作装置47による各アウトリガジャッキ60の伸長操作入力が行われたときには第2ジャッキ操作装置47の伸長操作入力に応じて各アウトリガジャッキ60を伸長作動させ、ジャッキ張り出し状態検出手段により検出される各アウトリガジャッキ60の張り出し状態が所定状態になったときに各アウトリガジャッキ60の伸長作動を停止させるようになっている。ここで「所定状態」とは、各アウトリガジャッキ60が接地後更に所定量伸長した状態であり、コントローラ50のジャッキ作動制御部52は、第2ジャッキ操作装置47による各アウトリガジャッキ60の伸長操作入力中、接地状態検出器67により各アウトリガジャッキ60の接地が検出された後、伸長量検出器70により検出される接地後の各アウトリガジャッキ60の伸長量が所定量に達したときには、各アウトリガジャッキ60の伸長作動を停止させる。
このような構成では、第1実施形態のように接地後停止したアウトリガジャッキ60がそのまま停止状態を維持するよりも走行体10の安定度が格段に向上し、高所作業時に発生しがちな走行体10の揺れを確実に防止することができる。また、接地してその伸長作動が一旦停止したアウトリガジャッキ60が更なる伸長を行うようにすることで、作業者は作業台上に居ながらにしてアウトリガジャッキ60の張り出し完了を体感することができるので、その後の作業を安心して行うことができる。更に、第4実施形態に係るジャッキ装置に比べてアウトリガジャッキ60の張り出し時間の短縮を図れる。
また、上述の第1〜第5実施形態に係るジャッキ装置においては、第1ジャッキ操作装置18と第2ジャッキ操作装置47は互いに異なる場所(走行体10の後部と作業台40上或いは運転キャビン12内と作業台40上)に設けられていたために、別個の装置として構成されていたが、これら両ジャッキ操作装置18,47を同一箇所(例えば運転キャビン12内)に設けるのであれば、両ジャッキ操作装置18,47が1つの共用ジャッキ操作手段と、第1の切換位置及び第2の切換位置に切換可能な切換手段(例えばトグルスイッチ)とからなり、切換手段が第1の切換位置に位置している状態では、上記共用ジャッキ操作手段の操作入力が第1ジャッキ操作装置18の操作入力としてジャッキ作動制御部52に入力され、切換手段が第2の切換位置に位置している状態では、共用ジャッキ操作手段の操作入力が第2ジャッキ操作装置47の操作入力としてジャッキ作動制御部52に入力される構成としてもよい。このような構成であれば、第1のジャッキ操作手段と第2のジャッキ操作手段とをそれぞれ別個に設けるよりも製造コストを安価にすることができる。
これまで本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、本発明の範囲は上述の実施したものに限定されない。例えば、上述の実施形態では、各アウトリガジャッキ60を接地状態まで張り出させる操作を行う第2ジャッキ操作装置47が作業台40上に設置されているとして説明したが、この第2ジャッキ操作装置47は作業台40上に設置される代わりに、或いは作業台40上に設置されるとともに、運転キャビン12内に設置されていてもよい。このような第2ジャッキ操作装置47が運転キャビン12内に設置されるのであれば、作業者が作業台40に搭乗する前に各アウトリガジャッキ60を張り出す場合であって、必ずしも走行体10を持ち上げ支持させるまで張り出す必要のない場合などにおいて便利となる。
また、上述の実施形態では、各ジャッキシリンダ61の接地、地切り及び格納の各状態を検出する検出器(接地状態検出器67、地切り状態検出器68及び格納状態検出器69)はいずれもリミットスイッチからなる機械的な検出装置であったが、これら検出器は光を用いてジャッキシリンダ61の上記各状態を検出する光センサや、ジャッキシリンダ61に作動油を供給する油路(上述の例では油路L1,L2に相当するもの)内の圧力変化に基づいて上記各状態を検出する圧力センサ等から構成されていてもよい。