JP7348956B2 - ナノ酸化ジルコニウム粉体、その調製方法及び得られる分散液、光学フィルム - Google Patents

ナノ酸化ジルコニウム粉体、その調製方法及び得られる分散液、光学フィルム Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月23日に中国専利局に提出された、出願番号202011320008.8、発明の名称「ナノ酸化ジルコニウム粉体、その調製方法及び得られる分散液、光学フィルム」の中国特許出願の優先権を請求するものであり、その内容のすべては引用によって本出願に組み込まれる。
本出願は精密化学工業分野に属し、特にナノ酸化ジルコニウム粉体、その調製方法及び得られる分散液、光学フィルムに関する。
近年では、酸化ジルコニウム粒子分散体と透明樹脂または薄膜の結合により、その高い屈折率を利用して、光学分野で優れた応用が得られている。例えば、高屈折の酸化ジルコニウム分散液を利用して調製された輝度向上フィルムや反射防止フィルムなどの光学フィルムは、LCDディスプレイに用いて、スクリーンの輝度及び明瞭度を高めることができる。また、LED封止樹脂の屈折率を向上させて、発光体が放出する光をより有効に獲得することにより、LEDの輝度を向上させることもできる。つまり、その高屈折という特性は、高屈折コーティングに用いることができ、様々な分野に応用できるのである。
酸化ジルコニウム分散液の屈折率の高低は、体系中のナノ酸化ジルコニウムの粒径、結晶構造、粒子分散状態及び分散液の調製工程と密接に関連している。特許文献1では、高分散ナノ酸化ジルコニウム粒子及びその透明分散体の調製方法を開示しており、そこでは超重力環境下で無機ジルコニウム塩を熱分解する方法を採用してナノ酸化ジルコニウム粒子を直接調製しており、しかも超重力レベルの向上とともに凝集性が大幅に低下し、その後、洗浄、改質を経て、直接、透明な酸化ジルコニウム液相分散体となる。前記方法で調製される酸化ジルコニウムは、粒径が小さく、分散性は比較的よいが、その粉体結晶構造は単斜晶で、粉体の屈折率は正方晶粉体の屈折率にははるかに及ばず、しかも対応する液相分散体の屈折率も同一条件下ではかなり低い。
中国特許出願公開CN108529674A号明細書
本出願は、以下のように、ナノ酸化ジルコニウム粉体、その調製方法及び得られる分散液、光学フィルムの具体的な技術手法を提供する。
ナノ酸化ジルコニウム粉体であって、前記ナノ酸化ジルコニウム粉体の粒径は3~10nm、比表面積は200~240m/gであり、前記ナノ酸化ジルコニウム粉体は正方晶系結晶構造の酸化ジルコニウムを含み、かつ正方晶系結晶構造の酸化ジルコニウムの割合は粉体の60~95%を占めている。
本出願はさらに、以下のステップを含む上記の技術手法に記載のナノ酸化ジルコニウム粉体の調製方法を提供する。
ジルコニウム塩と安定性元素塩を一緒に水に溶かし、溶液Aを得る。
アルカリを水に溶かして溶液Bを得る。
溶液Aと溶液Bを攪拌して十分に混合すると、沈殿物が生じ、そのうち、沈殿物の質量は混合液の質量全体の1~40%を占める。沈殿物を複数回洗浄して濾過し、前駆体Cを得る。
前躯体Cに水と有機酸またはその塩とを加えてスラリーを作る。得られるスラリーの全固形分含有量は6~20wt%である。
前記得られたスラリーを反応釜に投入する。充填量は60~90%で、180℃~220℃で1~12時間水熱反応を行い、反応後に反応液を得る。
反応液を直接乾燥させ、または濃縮洗浄後、乾燥させて、ナノ酸化ジルコニウム粉体を得る。
好適には、投入するジルコニウム塩は水溶性ジルコニウム塩であり、塩基性炭酸塩、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、塩化物、オキシ塩化物の中から選択される少なくとも1種であり、投入する安定性元素塩は、安定性元素の塩化物または硝酸塩であり、そのうち、前記安定性元素は、アルミニウム、マグネシウム、チタン及び希土類元素の中から選択される少なくとも1種であり、前記アルカリは、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウムの中から選択される少なくとも1種である。
好適には、投入するジルコニウム塩濃度は≦2mol/Lであり、投入する安定性元素とジルコニウム元素のモル濃度比は2/98~30/70であり、投入するアルカリの濃度は≦8mol/Lである。
好適には、前記有機酸は、モノカルボン酸、ポリカルボン酸及びヒドロキシカルボン酸の中から選択される少なくとも1種であり、そのうち、前記モノカルボン酸は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸の中から選択される少なくとも1種であり、ポリカルボン酸は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸の中から選択される少なくとも1種であり、ヒドロキシカルボン酸は、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸の中から選択される少なくとも1種であり、前記有機酸の塩はそのアルカリ金属塩であり、カリウム塩、ナトリウム塩の中から選択される少なくとも1種である。
好適には、投入する有機酸またはその塩のモル濃度は、ジルコニウム元素と安定元素のモル濃度の総和の10~100%である。
好適には、投入する有機酸の沸点が<150℃の場合、反応液を直接乾燥させれば、ナノ酸化ジルコニウム粉体が得られる。投入する有機酸の沸点が>150℃である場合は、反応液を複数回濃縮、洗浄した後、乾燥させることで、ナノ酸化ジルコニウム粉体が得られる。
好適には、前記乾燥方式は、真空低温乾燥、オーブン乾燥及び噴霧の中から選択される任意の1種であり、前記濃縮洗浄方式は、限外濾過、回転蒸発及びセラミック膜濃縮洗浄の中から選択される任意の1種である。
本出願はさらに、前記の技術手法に記載のナノ酸化ジルコニウム粉体を含む分散液を提供しており、前記分散液の屈折率は1.343~1.472であり、pH≦7の条件下で正のゼータ電位値を有しており、前記分散液中のナノ酸化ジルコニウムの含有量は5~60wt%である。
好適には、前記分散液のpH≦7の条件での、前記分散液のpH≦7の条件でのゼータ電位値の範囲は0~60mvである。
好適には、前記分散液は、前記技術手法に記載の調製方法を通して、調製プロセスの中で得られた反応液を濃縮、洗浄し、有機酸またはその塩を除去して得られるものであり、または、前記技術手法によって調製して得られるナノ酸化ジルコニウム粉体を水中に分散させることで得られるものである。
本出願はさらに、前記の技術手法中の任意の1項に記載の、ナノ酸化ジルコニウム粉体を含む分散液を用いて調製して得られる光学フィルムを提供している。
本出願はさらに、前記の技術手法に記載の前記ナノ酸化ジルコニウム粉体に基づく、または前記任意の技術手法に記載のナノ酸化ジルコニウム粉体を含む分散液に基づく、光学フィルムの調製における応用を提供している。
従来技術と比較して、本出願の有益な効果は以下の通りである。
1、本出願によって提供されるナノ酸化ジルコニウム粉体は、粒径が小さく、比表面積が大きく、粒子の単分散効果がよく、主結晶相は正方晶であるなどの特徴を有する。
2、上記で得られたナノ酸化ジルコニウム粉体を用いて調製した分散液は、体系が安定しており、分散が均一で、屈折率が高いなどであり、その屈折率は1.343~1.472に達することができるだけでなく、pH≦7の条件下で比較的大きな正のゼータ電位値を持つ。
3、前記の特性を有する分散液を利用することで、後続の例えば輝度向上フィルムや反射防止フィルムの調製において、高屈折コーティングの屈折率を大幅に向上させて、フィルムの性能を向上させることができる。
図1aは、本出願の実施例1によって提供されるナノ酸化ジルコニウム粉体の透過電子顕微鏡図1である。 図1bは、本出願の実施例1によって提供されるナノ酸化ジルコニウム粉体の透過電子顕微鏡図2である。 図2は、本出願の実施例1によって提供されるナノ酸化ジルコニウム粉体と標準正方晶結晶粒のXRD比較スペクトルである。 図3は、本出願の実施例1によって提供されるナノ酸化ジルコニウム粉体の粒径分布図である。 図4は、本出願の比較例1によって提供されるナノ酸化ジルコニウム粉体の走査電子顕微鏡図である。
以下では、本出願の技術手法について具体的な実施形態と結び付けて詳細に説明する。但し、さらなる説明がない限り、一つの実施形態における素子、構造及び特徴は、他の実施形態に有益に結合させることができることを理解しておかなければならない。
実施形態において方法ステップの特定の順序を示すことがあるかもしれないが、特に説明されていない限り、またはステップ間の関連性によって実行の順序が決定されない限り、この特定の順序でこれらの操作を実行することが必ずしも求められたり、暗示されたりするものではないことに理解が必要である。このような変形は、その選択によって決まる。追加的または代替的に、何らかのステップを省略したり、複数のステップを1つのステップに統合して実行したり、及び/または1つのステップを複数のステップに分割して実行したりすることができる。そのような変形はすべて、本開示の範囲内にある。
実施形態は、本出願の好適な実施形態について述べているにすぎず、本出願の範囲を限定するものではなく、本出願の設計の主旨を逸脱しないことを前提に、当業者によって行われる本出願の技術手法に対する様々な変形及び改善は、すべて本出願の請求項によって確定される保護範囲内に含まれなければならない。
本出願の一実施形態では、ナノ酸化ジルコニウム粉体を提供しており、前記ナノ酸化ジルコニウム粉体の粒径は3~10nm、比表面積は200~240m/gであり、前記ナノ酸化ジルコニウム粉体は正方晶系構造の酸化ジルコニウムを含み、かつ正方晶系構造の酸化ジルコニウムの割合が粉体の60~95%を占める。
当該実施形態で提供するナノ酸化ジルコニウム粉体は粒径が小さく、比表面積が大きく、屈折率が高いので、分散が均一で、屈折率が高いナノ酸化ジルコニウム分散液を調製することができる。上記の実施形態で提供するナノ酸化ジルコニウム粉体は、その粒径、比表面積及び正方晶系構造の占有比という三者の協同作用により、獲得されるナノ酸化ジルコニウム粉体の分散後、分散が均一で、屈折率が高といった特徴を持たせることができる。具体的には、粒径が小さく、比表面が大きい場合、その粒子の分散性がよく、調製して得られる水分散液の分散が均一であるほど、屈折率は高くなる。さらに、酸化ジルコニウム結晶相が正方晶で、かつ粉体中の正方晶の占める割合が高いほど、対応する屈折率は高くなる(正方晶の酸化ジルコニウムの屈折率は2.40であり、単斜晶の酸化ジルコニウムの屈折率2.02より明らかに高い)。ナノ酸化ジルコニウム粉体の粒径は4、5、6、7、8、9nmまたは前記範囲内の任意の一点の値であってよく、比表面積は205、210、215、220、225、230、235m/gまたは前記範囲内の任意の一点の値であってよく、正方晶系構造が粉体に占める割合は65、70、75、80、85、90%または前記範囲内の任意の一点の値であってよいことが理解できる。
本出願のもう一つの実施形態はさらに、前記実施形態に記載のナノ酸化ジルコニウム粉体の調製方法を提供しており、以下のステップを含む。
ジルコニウム塩と安定性元素塩を一緒に水に溶かし、溶液Aを得る。
アルカリを水に溶かして溶液Bを得る。
溶液Aと溶液Bを攪拌して十分に混合すると、沈殿物が生成され、そのうち、沈殿物の質量は混合液の質量全体の1~40%を占める。沈殿物を複数回洗浄して濾過し、前駆体Cを得る。
前躯体Cに水と有機酸またはその塩とを加えてスラリーを作る。得られるスラリーの総固形分含有量は6~20wt%である。
前記得られたスラリーを反応釜に投入する。充填量は60~90%で、180℃~220℃で1~12時間、水熱反応を行い、反応後に反応液を得る。
反応液を直接乾燥させ、または濃縮洗浄して乾燥させて、ナノ酸化ジルコニウム粉体を得る。
前記実施形態で限定されるナノ酸化ジルコニウム粉体の調製方法は、有機酸またはその塩の投入順が従来の技術と異なっている。即ち、有機酸またはその塩は、スラリーを作った後ではなく、スラリーを作る前に導入しなければならないのである。これは、スラリーを作る前に、電荷の作用により、スラリーを作る過程において前駆体の粘度が大幅に低下するからであり、それにより、スラリーの分散効果が高まるだけでなく、前駆体が釜に入る濃度を高めることもできるので、スラリーの分散効果が悪く、調製した粉体の粒径が高くなりすぎて固まり、容易に分散しないといった欠陥を避けることができるのである。また、従来の技術では、水熱反応は170℃以上で行うことができると報告されているが、この実施形態では、その温度を180~220℃の範囲、例えば、190℃、195℃、200℃、205℃、210℃215℃または前記範囲内の任意の一点の値に限定することができる。本実施形態で提供する調製方法における水熱反応の温度は、獲得する粉体の結晶構造に直接影響する。即ち、<180℃、例えば170℃では、得られる粉体の結晶型は単斜晶結晶構造であり、予期した正方晶系構造ではない。>220℃であれば、生産設備に対する要求が厳しくなり、拡大生産には不向きである。
好適な実施形態として、投入するジルコニウム塩は水溶性ジルコニウム塩であり、塩基性炭酸塩、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、塩化物、オキシ塩化物の中から選択される少なくとも1種であり、投入する安定性元素塩は安定性元素の塩化物または硝酸塩であり、そのうち、前記安定性元素は、アルミニウム、マグネシウム、チタン及び希土類元素の中から選択される少なくとも1種であり、前記アルカリは、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウムの中から選択される少なくとも1種である。
好適な実施形態として、投入するジルコニウム塩濃度は≦2mol/Lであり、投入する安定性元素とジルコニウム元素のモル濃度比は2/98~30/70であり、投入するアルカリの濃度は≦8mol/Lである。前記投入する安定性元素の量は厳格に制御する必要があり、多すぎたり少なすぎたりしてはならないことが理解できる。これは、少なすぎると調製して得られる粉体の正方晶の占有比率がかなり小さくなり、単斜晶になることさえあり、多すぎると、調製して得られる粉体中の安定性元素の含有量が高くなり、粉体自身の屈折率に影響するからである。投入するジルコニウム塩濃度と安定性元素塩の量を制御することによって、溶液A中の安定性元素とジルコニウム元素のモル濃度比を厳密に制御する。
好適な実施形態として、前記有機酸は、モノカルボン酸、ポリカルボン酸及びヒドロキシカルボン酸の中から選択される少なくとも1種であり、そのうち、前記モノカルボン酸は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸の中から選択される少なくとも1種であり、ポリカルボン酸は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸の中から選択される少なくとも1種であり、ヒドロキシカルボン酸は、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸の中から選択される少なくとも1種であり、前記有機酸の塩はそのアルカリ金属塩であり、カリウム塩、ナトリウム塩の中から選択される少なくとも1種である。
好適な実施形態として、投入する有機酸またはその塩のモル濃度はジルコニウム元素と安定元素のモル濃度の総和の10~100%である。本実施例で、有機酸及びその塩の含有量を明確に限定し、かつ有機酸及びその塩のモル濃度をジルコニウム元素と安定元素モル濃度の総和の10~100%に限定していることが理解できる。その理由は、従来技術(例えば中国特許出願CN102264645A)で酸化ジルコニウム分散液を調製する場合、投入する有機酸の量は、通常、ジルコニウムのモル濃度の1倍以上であるが、有機酸、特に分子量が比較的大きい有機酸については、その添加量が多すぎると、一方で反応スラリーの酸性が強く、反応設備に対する腐食性が大きくなり、また一方で、後続の水分散液の調製において大量の水で複数回濃縮、洗浄を行う必要があるため、水の浪費が著しい。さらに重要なのは、酸量が多くなるほど、後に調製する溶剤型分散液に酸が残留する可能性が大きくなり、工業化生産に不利であるという点である。そこで、本実施形態では、全体案を最適化することにより、その量を10~100%の範囲に限定している。好適には、有機酸及びその塩のモル濃度は、ジルコニウム元素と安定元素のモル濃度の総和の20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または前記範囲内のいずれかの点の値であってよい。
好適な実施形態として、投入する有機酸の沸点が<150℃の場合、反応液を直接乾燥させれば、ナノ酸化ジルコニウム粉体が得られる。投入する有機酸の沸点が>150℃である場合は、反応液を複数回濃縮洗浄した後、乾燥させることで、ナノ酸化ジルコニウム粉体が得られる。沸点<150℃の有機酸は、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸などから選択することができ、沸点>150℃の有機酸は、例えばオレイン酸、クエン酸、イソ吉草酸などから選択することができるが、ここでは列挙するだけとし、具体的な限定は行わない。
好適な実施形態として、前記乾燥方式は、真空低温乾燥、オーブン乾燥及び噴霧の中から選択される任意の1種であり、前記濃縮洗浄方式は、限外濾過、回転蒸発及びセラミック膜濃縮洗浄の中から選択される任意の1種である。上記の乾燥方式及び濃縮洗浄方式は、いずれも当業者が熟知している操作方式であることは理解できるが、具体的な方式の具体的な要求については、実際の状況によって選択または調整することができる。
本出願の実施形態ではさらに、上記の実施形態に記載のナノ酸化ジルコニウム粉体を含む分散液を提供しており、前記分散液の屈折率は1.343~1.472であり、pH≦7の条件下で正のゼータ電位値を有しており、前記分散液中のナノ酸化ジルコニウムの含有量は5~60wt%である。
好適な実施形態として、前記分散液のpH≦7の条件下でのゼータ電位値の範囲は0~60mvである。本実施形態中のゼータ電位値のテスト方法は次の通りであると理解することができる。まず、得られたナノ酸化ジルコニウム粉体を脱イオン水の中に投入し、均一に混合することによって5~60wt%の水分散液を作り、その後、それぞれ水酸化カリウムによってpH値を調節し、テストを行う。そのうち、ゼータ電位値はpH2~7の範囲で測定される。前記分散液中のナノ酸化ジルコニウムの含有量は、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55wt%または前記範囲内のいずれかの点の値であってよいことが理解できる。
好適な実施形態として、前記分散液は、前記実施形態に記載のナノ酸化ジルコニウム粉体の調製方法を通して、調製プロセスの中で得られた反応液を濃縮洗浄し、有機酸またはその塩を除去して得られるものであり、または、前記実施形態によって調製して得られるナノ酸化ジルコニウム粉体を水中に分散させることで得られるものである。
本出願の実施形態ではさらに、前記のいずれかの実施形態に記載の、ナノ酸化ジルコニウム粉体を含む分散液を用いて調製して得られる光学フィルムを提供している。例えば、湿式塗布方式によって前記分散液を透明基材上に塗布し、乾燥させて、光学フィルムを製造することができる。本実施形態において提供される光学フィルムが、主に、輝度向上フィルム、反射防止フィルム及び高屈折コーティングを有するその他の光学フィルムであってもよい。
以下では、実施例と結び付けて本出願に対する詳細な説明を行うが、理解しておかなければならないのは、これらの実施例は本出願における好適ないくつかの実施例にすぎず、本出願の保護範囲に対する限定と理解することはできないということである。
実施例1
塩化酸化ジルコニウム八水和物1.47kgと塩化イットリウム六水和物138gを量って8kgの水に溶かし、その混合溶液Aを得る。
水酸化ナトリウム421gを6kgの水に溶かして水酸化ナトリウム溶液Bを得る。
溶液Aと溶液Bを撹拌して充分に混合すると、沈殿が生じるので、沈殿物を複数回洗浄して抽出濾過し、前駆体Cを得る。
前駆体Cに水と270gの酢酸(酢酸の物質的な量はジルコニウム元素と安定元素物質の総量の90%に等しく、即ち酢酸のモル濃度はジルコニウム元素と安定元素のモル濃度の総和の90%である)を加え、総体積を8Lに制御し、攪拌してスラリーを作る。
前記で得られたスラリーを10Lの反応釜に投入し、200℃で3時間、水熱反応を行う。
反応の終了後、反応液を直接乾燥させて、ナノ酸化ジルコニウム粉体を得る。
図1~3に示すように、得られたナノ酸化ジルコニウム粉体の粒径は3~10nm、比表面積は220m/gであり、前記ナノ酸化ジルコニウム粉体は正方晶系構造の酸化ジルコニウムを含み、かつ正方晶系構造の酸化ジルコニウムの割合が粉体の90%以上を占めている。図1a及び図1bから分かるように、得られたナノ酸化ジルコニウム粉体の粒径は3~10nmであり、図2から、上方のナノ酸化ジルコニウム粉体の回折ピークは下方の標準正方晶結晶粒のXRD特徴ピークに対応しており、かつ正方晶系構造の占有比率が比較的高いことがわかる。回折強度データを分析して計算すると、正方晶系構造の占有比率が90%以上となる。
実施例2
塩化酸化ジルコニウム1.47kgと塩化イットリウム69gを量って8kgの水に溶かし、その混合溶液Aを得る。
水酸化ナトリウム550gを6kgの水に溶かして水酸化カリウム溶液Bを得る。
溶液Aと溶液Bを撹拌して充分に混合すると、沈殿が生じるので、沈殿物を複数回洗浄して抽出濾過し、前駆体Cを得る。
前駆体Cに水と160gの酢酸(酢酸のモル濃度はジルコニウム元素と安定元素のモル濃度の総和の56%である)を加え、総体積を8Lに制御し、攪拌してスラリーを作る。
上記で得られたスラリーを10Lの反応釜に投入し、180℃で4時間、水熱反応を行う。
反応の終了後、反応液を直接乾燥させて、ナノ酸化ジルコニウム粉体を得る。
得られたナノ酸化ジルコニウム粉体の粒径は3~10nm、比表面積は200m/gであり、前記ナノ酸化ジルコニウム粉体は正方晶系構造の酸化ジルコニウムを含み、かつ正方晶系構造の酸化ジルコニウムの割合が粉体の約75%を占める。
実施例3
塩化酸化ジルコニウム1.47kgと塩化イットリウム160gを量って8kgの水に溶かし、その混合溶液Aを得る。
水酸化ナトリウム460gを6kgの水に溶かして水酸化ナトリウム溶液Bを得る。
溶液Aと溶液Bを撹拌して充分に混合すると、沈殿が生じるので、沈殿物を複数回洗浄して抽出濾過し、前駆体Cを得る。
前駆体Cに水と337gのプロピオン酸(プロピオン酸のモル数はジルコニウム元素と安定元素のモル数の総和の90%である)を加え、総体積を8Lに制御し、攪拌してスラリーを作る。
上記で得られたスラリーを10Lの反応釜に投入し、220℃で3時間、水熱反応を行う。
反応の終了後、反応液を直接乾燥させて、ナノ酸化ジルコニウム粉体を得る。
得られたナノ酸化ジルコニウム粉体の粒径は3~10nm、比表面積は210m/gであり、前記ナノ酸化ジルコニウム粉体は正方晶系構造の酸化ジルコニウムを含み、かつ正方晶系構造の酸化ジルコニウムの割合が粉体の約83%を占める。
実施例4
実施例1の水熱反応後の反応液を少なくとも3回濃縮洗浄し、有機酸またはその塩を除去して、濃度が5wt%の酸化ジルコニウムの水分散液、即ちナノ酸化ジルコニウムの水分散液を得る。
得られた水分散液中のナノ酸化ジルコニウムの濃度は5wt%、屈折率は1.343であり、得られた分散液のpH=3の条件下でのゼータ電位値は55mvである。
実施例5
ナノ酸化ジルコニウムの水分散液の調製方法は実施例4と同じであるが、採用しているのが実施例2の水熱反応後の反応液であるという点が異なっている。
得られた水分散液中のナノ酸化ジルコニウムの濃度は30wt%、屈折率は1.386であり、得られた分散液のpH=5でのゼータ電位値は34mvである。
実施例6
ナノ酸化ジルコニウムの水分散液の調製方法は実施例4と同じであるが、採用しているのが実施例3の水熱反応後の反応液であるという点が異なっている。
得られた水分散液中のナノ酸化ジルコニウムの濃度は60wt%、屈折率は1.472であり、得られた分散液のpH=4でのゼータ電位値は25mvである。
比較例1
塩化酸化ジルコニウム1.47kgと塩化イットリウム138gを量って8kgの水に溶かし、その混合溶液Aを得る。
水酸化ナトリウム421gを6kgの水に溶かして水酸化ナトリウム溶液Bを得る。
溶液Aと溶液Bを撹拌して充分に混合すると、沈殿が生じるので、沈殿物を複数回洗浄して抽出濾過し、前駆体Cを得る。
前駆体Cに水を加え、撹拌してスラリーを作る。
上記で得られたスラリーを10Lの反応釜に投入し、酢酸270gを加え、総体積を8Lに制御して、200℃で3時間、水熱反応を行う。
反応の終了後、反応液を直接乾燥させて、ナノ酸化ジルコニウム粉体を得る。
図4に示すように、得られたナノ酸化ジルコニウム粉体の粒径は約30nm、比表面積は180m/gであり、前記ナノ酸化ジルコニウム粉体は正方晶系構造の酸化ジルコニウムを含む。
比較例2
塩化酸化ジルコニウム1.47kgと塩化イットリウム138gを量って8kgの水に溶かし、その混合溶液Aを得る。
水酸化ナトリウム421gを6kgの水に溶かして水酸化ナトリウム溶液Bを得る。
溶液Aと溶液Bを撹拌して充分に混合すると、沈殿が生じるので、沈殿物を複数回洗浄して抽出濾過し、前駆体Cを得る。
前駆体Cに水と270gの酢酸を加え、総体積を8Lに制御し、攪拌してスラリーを作る。
上記で得られたスラリーを10Lの反応釜に投入し、170℃で3時間、水熱反応を行う。
反応の終了後、反応液を直接乾燥させて、ナノ酸化ジルコニウム粉体を得る。
得られたナノ酸化ジルコニウム粉体の平均粒径は30nm、比表面積は177m/gであり、前記ナノ酸化ジルコニウム粉体は単斜晶系構造の酸化ジルコニウムである。
比較例3
ナノ酸化ジルコニウムの水分散液の調製方法は実施例4と同じであるが、採用しているのが比較例1の水熱反応後の反応液であるという点が異なっている。
得られた水分散液中のナノ酸化ジルコニウムの濃度は5wt%、その屈折率は1.334と相対的に低く、得られた分散液のpH=3の条件下でのゼータ電位値は46mvである。
比較例4
ナノ酸化ジルコニウムの水分散液の調製方法は実施例4と同じであるが、採用しているのが比較例1の水熱反応後の反応液であるという点が異なっている。
得られた水分散液中のナノ酸化ジルコニウムの濃度は30%であり、その屈折率は1.372と相対的に低く、得られた分散液のpH=3の条件下でのゼータ電位値は36mvあった。
比較例5
ナノ酸化ジルコニウムの水分散液の調製方法は実施例4と同じであるが、採用しているのが比較例1の水熱反応後の反応液であるという点が異なっている。
得られた水分散液中のナノ酸化ジルコニウムの濃度は60wt%であり、その屈折率は1.455と相対的に低く、得られた分散液のpH=5の条件下でのゼータ電位値は23mvである。
比較例6
ナノ酸化ジルコニウムの水分散液を調製する方法は実施例4と同じであるが、採用しているのが比較例2の水熱反応後の反応液であるという点が異なっている。
得られた水分散液中のナノ酸化ジルコニウムの濃度は60wt%であり、その屈折率は1.451と相対的に低く、得られた分散液のpH=5の条件下でのゼータ電位値は21mvである。
以下の表1に示しているのは本出願の実施例4~6、比較例3~5の分散液に採用したナノ酸化ジルコニウム粉体の結晶系、粒径及び分散液の屈折率とゼータ電位値である。
Figure 0007348956000001
以上のことから、同じ5wt%の条件では、実施例4の屈折率は1.343、比較例3の屈折率は1.334で、その差は0.009である。同じ30wt%の条件では、実施例5の屈折率は1.386、比較例4の屈折率は1.372で、その差は0.014である。同じ60wt%の条件では、実施例6の屈折率は1.472、比較例5の屈折率は1.455で、その差は0.017、比較例6の屈折率は1.451で、その差は0.021である。これは、比較例の分散液中の酸化ジルコニウムの粒径が比較的大きく(比較例3、4、5)、結晶系が単斜晶(比較例6)なので、調製された分散液の屈折率が相対的に低くなっているためである。また、数値的には、屈折率の差はそれほど大きくないが(0.009~0.021)、分散液の屈折率の光学特性という観点から見ると、雲泥の差があることがわかる。例えば、0.01の屈折率の差を持つ分散液を用いてそれぞれ輝度向上フィルムを調製してディスプレイに応用すると、その光透過率は89%と93%となり、これは正にA級スクリーンとB級スクリーンの差となる。

Claims (10)

  1. ナノ酸化ジルコニウム粉体の調製方法であって、前記ナノ酸化ジルコニウム粉体の粒径は3~10nm、比表面積は210~240m/gであり、前記ナノ酸化ジルコニウム粉体は正方晶系構造の酸化ジルコニウムを含み、かつ正方晶系構造の酸化ジルコニウムの割合が粉体の60~95%を占めており、
    前記ナノ酸化ジルコニウム粉体は、
    ジルコニウム塩と安定性元素塩を一緒に水に溶かし、溶液Aを取得し、投入するジルコニウム塩の濃度は≦2mol/L、投入する安定性元素とジルコニウム元素のモル濃度比は2/98~30/70であり、
    アルカリを水に溶かし、濃度≦8mol/Lの溶液Bを取得し、
    溶液Aと溶液Bを攪拌して十分に混合して、沈殿物を生じさせ、沈殿物の質量は混合液の質量全体の1~40%を占めており、沈殿物を複数回洗浄して濾過し、前駆体Cを取得し、
    前躯体Cに水と有機酸またはその塩とを加えてスラリーを作り、有機酸またはその塩は、スラリーを作る前に投入する必要があり、得られるスラリー中の総固形分含有量は6~20wt%であり、
    前記得られたスラリーを反応釜に投入し、充填量を60~90%とし、180℃~220℃で1~12時間水熱反応を行い、反応後に反応液を取得し、
    反応液を直接乾燥させ、または濃縮後に洗浄乾燥させて、ナノ酸化ジルコニウム粉体を得る、という調製方法によって得られ、
    投入するジルコニウム塩は水溶性ジルコニウム塩であり、塩基性炭酸塩、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、塩化物、オキシ塩化物の中から選択される少なくとも1種であり、投入する安定性元素塩は安定性元素の塩化物または硝酸塩であり、前記安定性元素はアルミニウム、マグネシウム、チタン及び希土類元素の中から選択される少なくとも1種であり、前記アルカリはアンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウムの中から選択される少なくとも1種である、
    ことを特徴とするナノ酸化ジルコニウム粉体の調製方法。
  2. 請求項1に記載の酸化ジルコニウム粉体の調製方法であって、ジルコニウム塩と安定性元素塩を一緒に水に溶かし、溶液Aを得るステップであって、投入するジルコニウム塩の濃度は≦2mol/L、投入する安定性元素とジルコニウム元素のモル濃度比は2/98~30/70であるステップと、
    アルカリを水に溶かし、濃度≦8mol/Lの溶液Bを取得するステップと、
    溶液Aと溶液Bを攪拌して十分に混合し、沈殿物を生じさせるステップであって、沈殿物の質量は混合液の質量全体の1~40%を占めており、沈殿物を複数回洗浄して濾過し、前駆体Cを得るステップと、
    前躯体Cに水と有機酸またはその塩とを加えてスラリーを作るステップであって、有機酸またはその塩は、スラリーを作る前に投入する必要があり、総固形分含有量が6~20wt%であるスラリーを作るステップと、
    前記得られたスラリーを反応釜に投入し、充填量を60~90%とし、180℃~220℃で1~12時間水熱反応を行い、反応後に反応液を得るステップと、
    反応液を直接乾燥させ、または濃縮後に洗浄乾燥させて、ナノ酸化ジルコニウム粉体を得るステップと、
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の酸化ジルコニウム粉体の調製方法。
  3. 前記有機酸は、モノカルボン酸、ポリカルボン酸及びヒドロキシカルボン酸の中から選択される少なくとも1種であり、前記モノカルボン酸は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸の中から選択される少なくとも1種であり、ポリカルボン酸は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸の中から選択される少なくとも1種であり、ヒドロキシカルボン酸は、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸の中から選択される少なくとも1種であり、前記有機酸の塩はそのアルカリ金属塩であり、カリウム塩、ナトリウム塩の中から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載の調製方法。
  4. 投入する有機酸またはその塩のモル濃度が、ジルコニウム元素と安定元素のモル濃度の総和の10~100%であることを特徴とする、請求項1に記載の調製方法。
  5. 投入する有機酸の沸点が<150℃の場合、反応液を直接乾燥させればナノ酸化ジルコニウム粉体が得られ、投入する有機酸の沸点が>150℃である場合は、反応液を複数回濃縮洗浄した後、乾燥させることで、ナノ酸化ジルコニウム粉体が得られることを特徴とする、請求項1に記載の調製方法。
  6. 前記乾燥方式は、真空低温乾燥、オーブン乾燥及び噴霧の中から選択される任意の1種であり、した後に洗浄する方式は、限外濾過、回転蒸発及びセラミック膜濃縮洗浄の中から選択される任意の1種であることを特徴とする、請求項1に記載の調製方法。
  7. 請求項1に記載の調製方法によって調製されたナノ酸化ジルコニウム粉体を含む分散液の調製方法であって、前記分散液の屈折率は1.343~1.472であり、pH≦7の条件下で正のゼータ電位値を有しており、前記分散液中のナノ酸化ジルコニウムの含有量が5~60wt%であることを特徴とする、分散液の調製方法。
  8. 前記分散液のpH≦7の条件下でのゼータ電位値の範囲が0~60mvであることを特徴とする、請求項7に記載の分散液の調製方法。
  9. 前記分散液は、請求項2に記載の調製方法を通して、調製プロセスの中で得られた反応液を濃縮した後に洗浄し、有機酸またはその塩を除去して得られるものであり、または、請求項2で調製して得られたナノ酸化ジルコニウム粉体を水中に分散させることで得られるものであることを特徴とする、請求項7または8に記載の分散液の調製方法。
  10. 請求項1に記載の調製方法によって調製されたナノ酸化ジルコニウム粉体を使用する、または請求項7~9のいずれか1項に記載の調製方法によって調製された、ナノ酸化ジルコニウム粉体を含む分散液を使用する、光学フィルムの調製方法。
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