JP2019038738A - 酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液 - Google Patents

酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液 Download PDF

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Abstract

【課題】樹脂に複合した際にも、酸化ジルコニウム粒子が本来持つ屈折率を下げることなく、所望の屈折率を得ることができる酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液を提供する。また、酸化ジルコニウム粒子を高含有率で含みながら、低粘度を有し、しかも、安定性と透明性にすぐれる酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液を提供することを目的とする。【解決手段】20重量%以上の含有率にて酸化ジルコニウム粒子を、有機溶媒に分散させてなる酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液であって、前記酸化ジルコニウム粒子が、リン酸エステル、またはラウリルチオプロピオン酸によって表面処理されている有機溶媒分散液。【選択図】なし

Description

本発明は、酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液に関する。
従来、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化スズ、ジルコニア、チタニア等の無機酸化物粒子分散液は、種々の産業分野において用いられており、特に、光学分野においては屈折率を調節するために用いられている。なかでも、ジルコニアは屈折率が高いので、光学材料の屈折率を高めるために好ましく用いられている。
従来、このような酸化ジルコニウム粒子分散液は、分散媒が水であるものが用いられてきたが、多くの光学材料用途、例えば、光学用フィルムの製造においては、通常、分散液は樹脂成分と混合して用いられるが、水分散液は、特に非水溶性の樹脂成分との混練が容易ではないので、近年、分散媒が有機溶媒である分散液が強く求められるに至っている。
酸化ジルコニウム粒子は、一般に、水性溶媒には概ね、良好な分散性を有するが、有機溶媒に対しては、分散性は低い。
そこで、酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液の製造に際して、酸化ジルコニウム粒子に対して疎水化および有機化合物との親和性を向上する目的で、シランカップリング剤による表面改質処理を行うことが知られている。(特許文献1参照)
しかしながら、シランカップリング剤による表面改質処理をした酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液を、樹脂と複合した場合、シランカップリング剤自体の屈折率が一般的な樹脂に比べて低いため、酸化ジルコニウム粒子が本来持つ屈折率を下げてしまい、期待される屈折率に及ばず、光学材料用途として不十分な場合があった。
一方、リン酸エステルは一般的な樹脂に比べて屈折率が同等以上であることが知られているが、リン酸エステルの中でも、用いる有機溶媒との組み合わせによっては、有機溶媒とのなじみが悪く、酸化ジルコニウム粒子の凝集が起こり、所望の透明性や分散性が得られないことや、安定性が悪くなってしまうことがあった。
したがって、高い屈折率を保ち、安定性と透明性に優れる酸化ジルコニウム粒子の透明分散液が求められていた。
国際公開2011/052762号公報
本発明は、酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液における上述した問題を解決するためになされたものであって、酸化ジルコニウム粒子を高含有率で含みながら、低粘度を有し、しかも、安定性と透明性にすぐれる酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液を提供することを目的とする。
本発明者は、酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液において、特定のリン酸エステルまたはラウリルチオプロピオン酸を表面処理することにより、透明性と分散性、安定性に優れた有機溶媒分散液が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、20重量%以上の含有率にて酸化ジルコニウム粒子を、有機溶媒に分散させてなる酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液である。
また、本発明は、上記酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液において、有機溶媒が、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ブタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N,2−トリメチルプロピオンアミド、ブチルセロソルブ、酢酸ブチル、エチレングリコール、n−パラフィン系溶剤、イソパラフィン系溶剤、ナフテン系溶剤、α−オレフィン系溶剤等の石油系溶剤から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
さらに、本発明は、上記酸化ジルコニウム粒子の表面処理剤であるリン酸エステルとしては、イソプロピルアシッドホスフェイト、ブチルアシッドホスフェイト、2−エチルヘキシルアシッドホスフェイト、n−オクチルアシッドホスフェイト、ラウリルアシッドホスフェイト、トリデシルアシッドホスフェイト、オレイルアシッドホスフェイト、ジ−2−エチルヘキシルアシッドホスフェイト、ブトキシエチルアシッドホスフェイト、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンオクチルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステルから選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
本発明の酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液は、酸化ジルコニウム粒子を高含有率で含みながら、低粘度で、安定性と透明性にすぐれており、高屈折率のような酸化ジルコニウム粒子が本来、有する望ましい特性が損なわれることがなく、例えば、光学分野における種々の用途、特に、LED封止樹脂や反射防止膜等の光学用の複合樹脂の材料として好適に用いることができる。
本発明は、20重量%以上の含有率にて酸化ジルコニウム粒子を、有機溶媒に分散させてなる酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液であって、前記酸化ジルコニウム粒子が、リン酸エステルまたはラウリルチオプロピオン酸によって表面処理されている酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液である。
本発明において、酸化ジルコニウム粒子は、結晶安定性を有するように、アルミニウム、マグネシウム、チタン及び希土類元素から選ばれる少なくとも1種の安定化元素を含む固溶体である酸化ジルコニウム粒子、即ち、所謂安定化酸化ジルコニウム粒子を含む。上記希土類元素の具体例として、例えば、イットリウムを挙げることができる。本発明において、安定化酸化ジルコニウム粒子は、ジルコニウムと安定化元素の合計に基づいて、安定化元素を20モル%以下の範囲で含み、好ましくは、0.1〜20モル%の範囲で含む。
なお、酸化ジルコニウム粒子は、以下において、特に断りのない限りは、安定化酸化ジルコニウムを含むものとする。
本発明における有機溶媒は特に限定されないが、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ブタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N,2−トリメチルプロピオンアミド、ブチルセロソルブ、酢酸ブチル及びエチレングリコール、n−パラフィン系溶剤、イソパラフィン系溶剤、ナフテン系溶剤、α−オレフィン系溶剤等の石油系溶剤から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
本発明におけるリン酸エステルは、イソプロピルアシッドホスフェイト、ブチルアシッドホスフェイト、2−エチルヘキシルアシッドホスフェイト、n−オクチルアシッドホスフェイト、ラウリルアシッドホスフェイト、トリデシルアシッドホスフェイト、オレイルアシッドホスフェイト、ジ−2−エチルヘキシルアシッドホスフェイト、ブトキシエチルアシッドホスフェイト、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンオクチルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステルから選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
本発明において、上記表面処理剤であるリン酸エステルまたはラウリルチオプロピオン酸の量は特に限定されないが、酸化ジルコニウム粒子100重量部に対して、上記リン酸エステルまたはラウリルチオプロピオン酸が1〜30重量部であることが好ましい。より好ましくは、5〜20重量部である。
本発明において、酸化ジルコニウム粒子の平均一次粒子径は、1〜20nmの範囲であることが好ましく、2〜10nmの範囲であることがより好ましい。このような範囲によって、透明性と分散性に優れた分散液を得ることができる。
なお、上記平均一次粒子径は、TEM(透過型電子顕微鏡)にてランダムに選択した200個の粒子の粒子径を測定し、その一次粒子径の平均を算出するという方法によって測定したものである。
本発明において、酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液における酸化ジルコニウム粒子の含有率は、通常1〜40重量%の範囲であり、好ましくは、5〜30重量%の範囲である。
本発明において、酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液の製造直後の粘度は40mPa・s以下が好ましく、25mPa・s以下がより好ましい。なお、上記粘度は後述の実施例記載の方法にて測定したものである。
本発明において、酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液のD50は1nm〜150nm、D90は1nm〜360nm、Dmaxは1nm〜700nmの範囲であることが好ましい。上記の範囲に設定することにより、透明性と分散性に優れた分散液を得ることができる。なお、上記D50、D90、Dmaxは、各々体積基準での累積粒度分布の小粒子側から50%粒子径(D50)、90%粒子径(D90)、100%粒子径(Dmax)であり、後述の実施例に記載の方法で測定したものである。
本発明において、酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液の全光線透過率は65%以上であることが好ましい。より好ましくは70%以上である。
本発明の酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、酸化ジルコニウム粒子のアルコール分散液に、上記表面処理剤であるリン酸エステルまたはラウリルチオプロピオン酸を加え、酸化ジルコニウム粒子を表面処理した後、目的とする有機溶媒に溶媒置換する方法、酸化ジルコニウム粒子のアルコール分散液中の酸化ジルコニウム粒子を上記表面処理剤であるリン酸エステルまたはラウリルチオプロピオン酸にて表面処理をしながら、目的とする有機溶媒に溶媒置換する方法等が挙げられる。このような方法によって、透明性、分散性により優れた分散液を得ることができる。また、上記酸化ジルコニウム粒子のアルコール分散液は、酸化ジルコニウム粒子の水分散液の分散媒である水をアルコールに溶媒置換したものであることが好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。以下の参考例は、酸化ジルコニウム粒子の水分散液及びアルコール分散液の調製例を示す。これらの参考例において、限外濾過には旭化成ケミカルズ(株)製「マイクローザ」(型式ACP−0013)、分画分子量13000)を用いた。
下記酸化ジルコニウム粒子の水分散液、アルコール分散液及び有機溶媒分散液中の酸化ジルコニウム粒子の分散粒子径(D50、D90、Dmax)、即ち、分散液中に分散している粒子の大きさ(直径)、上記有機溶媒分散液の全光線透過率及び粘度は下記のようにして測定した。
酸化ジルコニウム粒子のD50、D90、Dmaxは動的光散乱法(日機装(株)製UPA−UT)によって測定した。
全光線透過率は、ヘーズメーター(日本電色工業(株)製NDH4000)を用いて、光路長10mmのセルにイオン交換水を充填して全光線透過率(ブランク値)T0を測定し、同様にセルに分散液を充填して全光線透過率Tを測定し、(T/T0)×100として求めた。
粘度は音叉型振動式SV型粘度計(エー・アンド・デイ(株)製 SV−1A(測定粘度範囲0.3〜1000mPa・s))にて測定した。
また、表において用いた有機溶媒の略語は下記のとおりである。
MEK:メチルエチルケトン
MIBK:メチルイソブチルケトン
IPA:イソプロピルアルコール
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
DMIB:N,N,2−トリメチルプロピオンアミド
n−BuOH:n−ブタノール
アイソパーG :イソパラフィン系溶剤
(Exxon Mobil Co., Ltd. 社製 ISOPAR−G)
アイソパーM :イソパラフィン系溶剤
(Exxon Mobil Co., Ltd. 社製 ISOPAR−M)
N−11:n−パラフィン系溶剤(JXTGエネルギー社製 N−11)
N−14:n−パラフィン系溶剤(JXTGエネルギー社製 N−14)
N−22:ナフテン系溶剤(JXTGエネルギー社製 N−22)
また、表2、3、4おいて示した、表面処理剤であるリン酸エステル、ラウリルチオプロピオン酸の種類の表示は以下の通りである。
Figure 2019038738
参考例1
(酸化ジルコニウム粒子の水分散液(I)の調製)
0.6モル/L濃度のオキシ塩化ジルコニウムと0.03モル/L濃度の塩化イットリウムの混合水溶液90Lと1.9モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液68Lを調製した。
予め、純水82Lを張った沈殿反応器に上記オキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウムの混合水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に注ぎ、オキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウムを同時中和にて共沈させて、酸化ジルコニウムとイットリウムとの共沈物の粒子の第1の水スラリーを得た。この第1の水スラリーを濾過、洗浄して、固形分含有率が酸化ジルコニウムと酸化イットリウム換算にて11重量%となるように純水にリパルプして、第2の水スラリー60Lを得た。この第2の水スラリーの電気伝導度は70μS/cmであった。
酢酸4.2kg(上記スラリー中のジルコニウムとイットリウムの合計量1モル部に対して1.3モル部)を上記第2の水スラリーに加え、190℃で3時間水熱処理して、透明な水分散液を得た。この透明な分散液を限外濾過膜にて洗浄、濃縮し、イットリウムを4.8モル%含む固溶体である酸化ジルコニウム粒子含有率30重量%の酸化ジルコニウム粒子の水分散液(I)を得た。
このようにして得られた酸化ジルコニウム粒子の水分散液(I)は、全光線透過率が90%、温度25℃における粘度が6mPa・sであった。
また、得られた酸化ジルコニウム粒子の水分散液(I)から水を除去し、得られた酸化ジルコニウム粒子を乾燥した。得られた酸化ジルコニウム粒子粉末をTEM(透過型電子顕微鏡)にて観察したところ、酸化ジルコニウム粒子の平均一次粒子径は3nmであった。
一方、上記酸化ジルコニウム粒子の水分散液(I)中の酸化ジルコニウム粒子の分散粒子径D50は3nmであった。従って、得られた酸化ジルコニウム粒子の水分散液(I)においては、酸化ジルコニウム粒子の凝集が殆ど生じていないことがわかった。
(酸化ジルコニウムメタノール分散液(II)の調製)
上記酸化ジルコニウム水分散液(I)10kgを、限外濾過膜を用いて濃縮し、このようにして得られた濃縮分散液に得られた濾液量と等量のメタノールを投入して、分散液の濃縮とメタノールによる希釈を連続的に且つ同時に並行して行うことによって、分散液中の酸化ジルコニウム含有率を30重量%に維持しつつ、分散液の分散媒を水からメタノールに置換して、イットリウムを4.8モル%含む固溶体である酸化ジルコニウム含有率30重量%の酸化ジルコニウム粒子メタノール分散液(II)を得た。この際、希釈に用いたメタノール量は90Lであった。
このようにして得られた酸化ジルコニウム粒子のメタノール分散液(II)は、全光線透過率が90%であり、温度25℃における粘度が2mPa・sであった。
また、この酸化ジルコニウム粒子のメタノール分散液(II)からメタノールを除去し、得られた酸化ジルコニウム粒子を乾燥した。得られた酸化ジルコニウム粒子粉末をTEM(透過型電子顕微鏡)にて観察したところ、酸化ジルコニウム粒子の平均一次粒子径は3nmであった。
一方、上記酸化ジルコニウム粒子のメタノール分散液(II)中の酸化ジルコニウム粒子の分散粒子径D50は3nmであった。従って、得られた酸化ジルコニウム粒子のメタノール分散液(II)においては、酸化ジルコニウム粒子の凝集が殆ど生じていないことがわかった。
以下の実施例及び比較例は、上記参考例において得られた酸化ジルコニウム粒子のメタノール分散液を用いる酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液の調製例を示す。
以下の実施例1〜63において、用いた置換有機溶媒、用いた表面処理剤、表面処理温度、得られた有機溶媒分散液の固形分含有率と酸化ジルコニウム粒子含有率を表2〜4、溶媒置換率、得られた有機溶媒分散液の全光線透過率、得られた有機溶媒分散液中の酸化ジルコニウム粒子の粒度分布及び粘度を表5〜7に示す。
表2〜7において、固形分含有率、酸化ジルコニウム粒子含有率及び溶媒置換率はそれぞれ、下記のようにして得られる値である。
固形分含有率(S)
得られた分散液のW重量部を乾燥皿に取り、乾固させて、乾固分をw重量部得たとき、固形分含有率Sは次式
S=(w/W)x100
から求めることができる。
酸化ジルコニウム粒子含有率(T)
酸化ジルコニウム粒子含有率Tは、得られた分散液中の固形分中の酸化ジルコニウム粒子の割合であるので、酸化ジルコニウム粒子100重量部に対して用いた表面処理剤の重量部数をpとしたとき、次式
T=Sx100/(100+p)
から求めることができる。
溶媒置換率
得られた分散液を重クロロホルムに溶解させて試料を調製し、この試料について、核磁気共鳴装置(ブルカー・バイオスピン(株)製AV400M)を用いてプロトンの1次元NMRスペクトルを測定し、これに基づいて、各溶媒のピークの面積比(物質量比)を質量比に換算して溶媒比率を算出し、この溶媒比率に基づいて溶媒置換率を求めた。
また、表2、表3、表4において、表面処理剤の欄の種類A〜Pは、それぞれ用いたリン酸エステルまたはラウリルチオプロピオン酸の種類を示しており、表1記載の「表2〜4の表示」と対応している。また、添加量は、用いた表面処理剤の酸化ジルコニウム100重量部に対する重量部数を示す。
実施例1
上記参考例1において得られた酸化ジルコニウム粒子のメタノール分散液(II)100gに、ブトキシエチルアシッドホスフェイト(SC有機化学株式会社製、Phoslex E−6)を3g(酸化ジルコニウム粒子100重量部に対して10重量部)を加えた後、MEKを加え、得られた酸化ジルコニウム粒子のメタノールとMEKの分散液を、温度23℃で5分間、撹拌して、上記分散液を表面処理剤で処理した。
このように処理した酸化ジルコニウム粒子の分散液を常圧下に加熱して、メタノールを留出させることによって溶媒置換を行って、イットリウムを含む固溶体である酸化ジルコニウム粒子含有率約30重量%の酸化ジルコニウム粒子のMEK分散液を得た。
実施例2〜5
目的とする溶媒、表面処理温度を表2に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液を得た。なお、表中「溶媒置換条件(常圧/減圧)」とは、表面処理後の酸化ジルコニウム粒子分散液の溶媒置換時の常圧、減圧を示す。
実施例6
上記参考例1において得られた酸化ジルコニウム粒子のメタノール分散液(II)100gにn−オクチルアシッドホスフェイト(SC有機化学株式会社製、PhoslexA−8N)を1.5g(酸化ジルコニウム100重量部に対して5重量部)を加えた後、イソプロピルアルコールを加え、得られた酸化ジルコニウム粒子のメタノールとイソプロピルアルコールの分散液を、温度58℃で5分間、攪拌して、上記分散液を表面処理剤で処理した。
このように処理した酸化ジルコニウム粒子の分散液を減圧下に加熱して、メタノールを留出させることによって溶媒置換を行って、イットリウムを含む固溶体である酸化ジルコニウム粒子含有率約30重量%の酸化ジルコニウム粒子のイソプロピルアルコール分散液を得た。
実施例7〜57
用いる表面処理剤の種類、表面処理剤の添加量、表面処理温度、溶媒置換条件および目的とする溶媒を表2、3、4に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液を得た。
実施例58
上記参考例1において得られた酸化ジルコニウム粒子のメタノール分散液(II)100gにラウリルチオプロピオン酸(SC有機化学株式会社製、LTPA)を3g(酸化ジルコニウム100重量部に対して10重量部)を加えた後、トルエンを加え、得られた酸化ジルコニウム粒子のメタノールとトルエンの分散液を、温度42℃で5分間、攪拌して、上記分散液を表面処理剤で処理した。
このように処理した酸化ジルコニウム粒子の分散液を減圧下に加熱して、メタノールを留出させることによって溶媒置換を行って、イットリウムを含む固溶体である酸化ジルコニウム粒子含有率約30重量%の酸化ジルコニウム粒子のトルエン分散液を得た。
実施例59
上記参考例1において得られた酸化ジルコニウム粒子のメタノール分散液(II)100gに、トリデシルアシッドホスフェイト(SC有機化学株式会社製、Phoslex A−13)を6.2g(酸化ジルコニウム粒子100重量部に対して20重量部)を加えた後、温度23℃で5分間、撹拌して、上記分散液を表面処理剤で処理した。このように処理した酸化ジルコニウム分散液にアイソパーG (Exxon Mobil Co., Ltd. 社製 ISOPAR−G)を加え、減圧下に加熱して、メタノールを留出させることによって溶媒置換を行って、イットリウムを含む固溶体である酸化ジルコニウム粒子含有率約30重量%の酸化ジルコニウム粒子のイソパラフィン(アイソパーG)分散液を得た。
実施例60〜63
用いる表面処理剤の種類、表面処理剤の添加量、表面処理温度、溶媒置換条件および目的とする溶媒、を表4、7に示す通りに変更した以外は、実施例59と同様の方法で、酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液を得た。
比較例1
上記参考例1において得られた酸化ジルコニウム粒子のメタノール分散液(II)100gにリン酸エステルを加えることなく、MEKのみを加えて、得られた酸化ジルコニウム粒子のメタノールとMEKの分散液を温度15℃で5分間、攪拌した。
このように処理した酸化ジルコニウム粒子の分散液を常圧下に加熱して、メタノールを留出させることによって溶媒置換を行ったところ、分散液は途中で流動性を失ってゲル化した。
Figure 2019038738
Figure 2019038738
Figure 2019038738
Figure 2019038738
Figure 2019038738
Figure 2019038738
実施例にて得られた酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液は、いずれも低粘度で透明性の高いものであった。
本発明の酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液は、光学分野における種々の用途、特に、LED封止樹脂や反射防止膜等の光学用の複合樹脂の材料として好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. 20重量%以上の含有率にて酸化ジルコニウム粒子を、有機溶媒に分散させてなる酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液であって、前記酸化ジルコニウム粒子が、リン酸エステル、またはラウリルチオプロピオン酸によって表面処理されている酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液。
  2. 前記有機溶媒が、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ブタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N,2−トリメチルプロピオンアミド、ブチルセロソルブ、酢酸ブチル、エチレングリコール、n−パラフィン系溶剤、イソパラフィン系溶剤、ナフテン系溶剤、α−オレフィン系溶剤等の石油系溶剤から選ばれる少なくとも1つである
    請求項1記載の酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液。
  3. 前記リン酸エステルは、イソプロピルアシッドホスフェイト、ブチルアシッドホスフェイト、2−エチルヘキシルアシッドホスフェイト、n−オクチルアシッドホスフェイト、ラウリルアシッドホスフェイト、トリデシルアシッドホスフェイト、オレイルアシッドホスフェイト、ジ−2−エチルヘキシルアシッドホスフェイト、ブトキシエチルアシッドホスフェイト、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンオクチルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステルから選ばれる少なくとも1つである請求項1または2記載の酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液。
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