JP7341687B2 - 精製油脂の製造方法、及び精製油脂 - Google Patents

精製油脂の製造方法、及び精製油脂 Download PDF

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Description

本発明は、精製油脂の製造方法、及び精製油脂に関する。
近年、食品の品質に対する消費者の関心がますます高まりつつある。関心の対象は、加工食品(揚げ物等)の製造のために使用される食用油脂等にも及ぶ。
油脂は、熱や光等に暴露されることにより劣化することが知られる。油脂が熱や光に暴露される際に、水分が存在していると加水分解劣化が生じ、酸素が存在していると酸化劣化が生じる。劣化の結果、油脂の酸価が上昇し、風味や色調が劣化する。特に、フライ調理品(フライ、天ぷら、から揚げ等)の製造においては、180℃前後に加熱された油脂を用いて加熱調理を行うので、フライ調理品に用いられる油脂(以下、「フライ油脂」ともいう。)に対しては、加熱による劣化の抑制が要求される。
例えば、「食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)」には、即席めん類(フライに相当する。)は、めんに含まれる油脂の酸価が3を超え、又は過酸化物価が30を超えるものであってはならないことが規定されている。
また、熱等によるフライ油脂の劣化によって、フライ油脂の色調が濃くなってしまうという問題も生じ得る。フライ油脂の色調が濃くなると、該油脂を用いて製造されるフライ調理品も着色し、外観が損なわれてしまう。
例えば、特許文献1には、140~190℃で脱臭処理(水蒸気蒸留)する前に、シリカ・マグネシア系製剤と作用させる食用油脂の製造方法が記載されている。
特開2014-12号
しかし、特許文献1の方法では、実施例に示されるように精製油脂の酸価は、0.02以上である。また、仮に特許文献1の脱臭工程の条件をより苛酷にすると、遊離脂肪酸が除去されるものの、一方で水蒸気により油脂の加水分解が進み遊離脂肪酸が発生するため、酸価が0.01以下になることは難しい。
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、精製油脂の酸価を低減し、フライ時の酸価上昇及び/又は加熱着色を抑制できる技術を提供することを目的とする。
本発明者らは、脱臭工程の後に、液体状態の油脂を80℃未満でシリカ・マグネシア系製剤と接触させる吸着工程を行うことによって上記課題を解決できる点を見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1)油脂を精製する製造方法において、脱臭工程の後に、液体状態の油脂を80℃未満でシリカ・マグネシア系製剤と接触させる吸着工程を経る、精製油脂の製造方法。
(2)前記シリカ・マグネシア系製剤が、二酸化ケイ素粒子と酸化マグネシウム粒子の複合吸着剤である、(1)の精製油脂の製造方法。
(3)前記吸着工程に供する油脂の酸価が、0.2以下である、(1)又は(2)の精製油脂の製造方法。
(4)前記脱臭工程の前に、油脂とオゾンに接触させる工程を有する、(1)~(3)のいずれかの精製油脂の製造方法。
(5)前記吸着工程の後に、140℃以上で水蒸気と接触させる工程を行わない、(1)~(4)のいずれかの精製油脂の製造方法。
(6)前記吸着工程が、シリカ・マグネシア系製剤を充填した容器に液体の状態の油脂を通過させる、(1)~(5)のいずれかの精製油脂の製造方法。
(7)前記吸着工程を経た精製油脂の酸価が0.00~0.01である、(1)~(6)のいずれかの精製油脂の製造方法。
(8)(1)~(7)のいずれかの精製油脂の製造方法を経た、酸価が0.00~0.01である、精製油脂。
(9)酸価が0.001~0.008である、精製油脂。
本発明によれば、酸価が十分低い精製油脂を製造する技術、及び、フライ時の酸価上昇及び/又は加熱着色を抑制できる技術が提供される。さらに、油脂とオゾンに接触させる工程を経ることで、風味安定性も改善する。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。また、本明細書において、「A(数値)~B(数値)」は「A以上B以下」を意味し、割合は質量割合を意味する。
<精製油脂の製造方法>
本発明の精製油脂の製造方法は、脱臭工程の後に、液体状態の油脂を80℃未満でシリカ・マグネシア系製剤と接触させる吸着工程を行う。
(油脂)
本発明の精製油脂の製造方法に供する油脂は、食用油脂として用いられる油脂を用いることができる。例えば、動植物油脂、グリセリンと脂肪酸から合成した油脂及びそれらの分別油、エステル交換油、水素添加油などが挙げられる。また、単独の油脂あるいは複数の油脂をブレンドしたものも挙げられる。
動植物油脂としては、例えば、大豆油、なたね油、ハイオレイックなたね油、ひまわり油、ハイオレイックひまわり油、オリーブ油、サフラワー油、ハイオレイックサフラワー油、コーン油、綿実油、米油、ゴマ油、エゴマ油、亜麻仁油、落花生油、グレープシード油、牛脂、乳脂、魚油、ヤシ油、パーム油、パーム核油などが挙げられる。
グリセリンと脂肪酸から合成した油脂としては、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)などが挙げられる。
分別油としては、パームオレイン、パームスーパーオレイン、パームステアリン、パームミッドフラクションなどのパーム油の分別油が挙げられる。
エステル交換油としては、パーム油あるいはパーム油の分別油と他の液状油脂のエステル交換油、あるいはMCTと植物油などとのエステル交換油を用いることができる。
水素添加油は、動植物油、動植物油の分別油の水素添加油の他、エステル交換油の水素添加油などが挙げられる。
本発明の精製油脂の製造方法において、脱臭工程に供する油脂は、未精製油脂、あるいは、脱ガム工程、脱酸工程、脱色工程、脱ロウ工程等から選ばれる工程を経た半精製油脂、あるいは脱ガム工程、脱酸工程、脱色工程、脱ロウ工程等から選ばれる工程と脱臭工程を経た精製油脂(脱臭油脂)を用いることができる。また、精製油脂を、脱ガム工程、脱酸工程、脱色工程、脱ロウ工程等から選ばれる工程に供した油脂も用いることができる。なお、本発明では、酸価が十分に低い油脂を提供することを目的の一つとするが、酸価は後述の脱臭工程、吸着工程で低下させることができるので、脱酸工程は必ずしも必須ではない。脱酸工程を行った場合、脱臭工程の負荷を減らすことができる。また、著しく着色した油脂の場合は、脱色工程を経た油脂を用いることが好ましい。
(脱臭工程)
本発明の精製油脂の製造方法は、液体状態の油脂を80℃未満でシリカ・マグネシア系製剤と接触させる吸着工程を有するが、この吸着工程の前に脱臭工程を行う。脱臭工程の条件は通常の油脂の精製で行われている脱臭条件の範囲であれば特に問題はないが、脱臭工程を経た油脂(脱臭油脂)の酸価が0.2以下であることが好ましい。酸価が低いほど、吸着工程の効果が高く、精製油脂の酸価が十分に低減できる。脱臭工程を経た油脂の酸価は0.1以下であることが、より好ましい。
なお、本発明において酸価は、日本油化学会制定「基準油脂分析試験法 2.3.1-2013 酸価」に準拠して測定する値である。酸価は、油脂中に含まれる遊離脂肪酸の量を示し、サンプル油1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数で表わされる。
脱臭工程の条件は、特に限定するものではないが、例えば、脱臭温度180~280℃、真空度100~800Pa、水蒸気量0.3~10質量%(対油脂)、脱臭時間30~120分の範囲が好ましい。脱臭温度は200~270℃がより好ましく、230~260℃がさらに好ましく、240~250℃が最も好ましい。真空度は、200~600Paがより好ましく、300~500Paがさらに好ましい。水蒸気量は、1~8質量%(対油)がより好ましく、1~5質量%(対油)がさらに好ましく、1~3質量%(対油)が最も好ましい。脱臭時間は40~120分がより好ましく、40~80分がさらに好ましい。
なお、脱臭工程において、脱臭処理の終了時に、クエン酸を添加してもよい。クエン酸を添加することで、酸化安定性が高まる。クエン酸は、脱臭油脂に対して10~50ppm添加することが好ましく、26~50ppm添加することがより好ましい。なお、クエン酸はそのままでは油中に分散・溶解しないので、5~20質量%の水溶液として添加することが好ましい。
(吸着工程)
本発明の精製油脂の製造方法において、脱臭工程の後に吸着工程を有する。脱臭工程と吸着工程の間に別の工程を行うこともできるが、脱臭工程の次の工程が吸着工程であることが好ましい。なお、吸着工程は、80℃未満で行うため、必要に応じて冷却・保管等を経て吸着工程を行ってもよい。吸着工程で用いるシリカ・マグネシア系製剤は、シリカ(二酸化ケイ素)とマグネシア(酸化マグネシウム)の製剤であり、シリカ粒子とマグネシア粒子が分散・混合したものである。例えば、シリカ:マグネシアの質量比は、1:5~3:1のものが好ましい。また、シリカ・マグネシア系製剤として、二酸化ケイ素と酸化マグネシウムと水の組合せからなる製剤を用いることができ、例えば、二酸化ケイ素30~80質量%、酸化マグネシウム10~50質量%、水5~20質量%の組成のものが好ましい。これらのシリカ・マグネシア系製剤は、例えば、シリカとマグネシアの各粒子を、水中で、溶解はしないがナノオーダーの単位粒子として分散させ、均一混合して、粒子間の原子の交換や組み換えを伴うような化学結合を生成することなく合体して緊密に複合化して得ることができる。また、市販品(水澤化学工業株式会社製、「ミズカライフ」)を用いることもできる。
本発明の精製油脂の製造方法は、前述の油脂とシリカ・マグネシア系製剤を80℃未満で接触させる吸着工程を有する。接触により油脂中の遊離脂肪酸の他、フライ時に酸価を上昇させる成分(促進する物質)や着色物質あるいは着色を促進する物質を除去することができる。なお、油脂は天然由来であり、現時点では、遊離脂肪酸以外の酸価を上昇させる成分や、一部の着色物質あるいは着色を促進する物質は特定されていない。
油脂は、液体状態であれば、シリカ・マグネシア系製剤と十分な接触効率を得ることができる。また、接触温度は、80℃以上では、シリカ・マグネシア系製剤により油脂の微量成分が変質し、異臭が発生するため、脱臭工程(水蒸気蒸留)が必須となる。しかし、吸着工程の後に脱臭工程を行うと、わずかに加水分解が生じ、低い酸価の精製油脂を得ることは難しくなる。そのため、接触温度は-10~79℃、-5~75℃、0~60℃、5~60℃、5~50℃のいずれかの範囲が好ましく、5~40℃がさらに好ましく、10~30℃が最も好ましい。
油脂とシリカ・マグネシア系製剤の接触は、油脂中にシリカ・マグネシア系製剤を添加し、撹拌の後にろ過又は遠心分離により、行うことができる。また、シリカ・マグネシア系製剤を充填した容器に液体の状態の油脂を通過させる方法だと、簡便で好ましい。例えば、シリカ・マグネシア系製剤を、ろ過器(単盤ろ過機、フィルタープレス、リーフフィルター等)、カラム等に充填し、油脂を通液することで接触させることができる。特に、シリカ・マグネシア系製剤を充填したカートリッジタイプのフィルターに通液することが、より好ましい。
脱臭工程を経た油脂は、遊離脂肪酸等のシリカ・マグネシア系製剤の吸着量が少ないため、ろ過のような短時間の接触、あるいは、ごく少量のシリカ・マグネシア系製剤の使用でも十分な効果を有する。そのため、油脂とシリカ・マグネシア系製剤の接触時間、シリカ・マグネシア系製剤の使用量は特に限定するものではない。油脂とシリカ・マグネシア系製剤の接触時間は、好ましくは0.5分以上、より好ましくは5分以上、さらに好ましくは15分以上、最も好ましくは30分~3時間である。また、シリカ・マグネシア系製剤の使用量は、好ましくは、油脂100質量部に対して0.05質量部以上であり、より好ましくは油脂100質量部に対して0.1~5質量部、さらに好ましくは油脂100質量部に対して0.5~3質量部である。
(吸着工程の後工程)
本発明の精製油脂の製造方法において、前述の吸着工程で精製工程は完了するが、必要に応じて、追加の精製工程、あるいは分別工程、混合工程(添加工程)等を行ってもよい。しかし、脱臭工程のように140℃以上で水蒸気と接触させる工程を行うと、油脂が微量の加水分解を生じ、一方で、遊離脂肪酸が蒸留で除去されるため、油脂中の遊離脂肪酸量の平衡状態が、油脂の酸価が0.01を超える範囲になるため、同工程を行わないことが好ましい。
(油脂をオゾンに接触させる工程)
本発明において、油脂をオゾンに接触させる工程を経て、脱臭工程を経ることで、精製油脂の風味安定性が向上する。特に、曝光による風味劣化を抑制することができる。油脂をオゾンに接触させる工程により、曝光臭の原因物質が分解あるいは蒸留で分解しやすい化合物に変化すると考えられる。オゾンは、酸素原子3個から構成される気体であり、オゾン気体を油脂に接触させるか、オゾンを含有する水を油脂と撹拌することで接触させることもできる。オゾンを接触させた後に、オゾン以外の成分を除去する必要がないことから、オゾン気体を油脂に接触させることが好ましい。オゾン気体を油脂に接触させる方法としては、脱気された油脂をオゾン気体と接触させる方法、油脂中にオゾン気体をバブリングさせることで接触させる方法、オゾンを含有する水と接触させる方法等を用いることができる。なお、オゾンの発生装置は、特に限定するものではないが、空気中での紫外線照射、または酸素中での無声放電など高いエネルギーを持つ電子と酸素分子の衝突によって発生させるものを利用することができる。また、市販の水や食品等の殺菌、脱臭、脱色に用いるものを利用することができる。
油脂とオゾンとの接触は、長いほど曝光臭改善効果が高く、1分以上であることが好ましく、2分~24時間であることがより好ましい。油脂とオゾンを3分~6時間接触させることがさらに好ましく、油脂とオゾンを10分~2時間接触させることがことさら好ましい。また、接触温度は、オゾンと油脂を接触させるため、油脂が液状である温度であればよく、―10℃以上であることが好ましく、5℃以上であることがより好ましい。また、接触温度は、高くなると油脂の酸化反応が促進され、反応のコントロールが難しくなるので、接触温度は180℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。接触温度は10~60℃がさらに好ましく、10~40℃が最も好ましい。
オゾン量は、油脂にオゾンが溶存できればよく、油脂に対してオゾンが接触時間の間に0.0002質量%以上供給されていることが好ましく、あるいは、油脂に対してオゾンが接触時間の間に0.0004質量%以上供給されていることが好ましい。油脂に対してオゾンが接触時間の間に0.0022質量%以上供給されていることがより好ましく、油脂に対してオゾンが0.006質量%以上供給されていることがさらに好ましく、油脂に対してオゾンが0.005~0.65質量%供給されていることがことさらに好ましく、油脂に対してオゾンが0.006~0.65質量%供給されていることが最も好ましい。
<精製油脂>
本発明の精製油脂は、前記精製油脂の製造方法を経た、酸価が0.00~0.01である。なお、油脂は天然由来であり、現時点では、遊離脂肪酸以外の酸価を上昇させる成分や、一部の着色物質あるいは着色を促進する物質は特定されていないため、本発明の効果である、フライ時の酸価上昇及び/又は加熱着色を抑制できる効果を有する精製油脂を特定するため、プロダクト・バイ・プロセスの形式を用いた。なお、酸価0.00~0.01は、通常の脱酸工程や脱臭工程のみでは到達できない範囲である。
酸価は、0.001~0.008であることがより好ましい。
(その他の成分)
精製油脂中には、本発明の効果を損ねない程度に、その他の成分を加えることができ、配合される成分の種類や量は、得ようとする効果等に応じて適宜設定できる。これらの成分とは、例えば、一般的な油脂に用いられる成分(食品添加物など)である。これらの成分としては、例えば、酸化防止剤、消泡剤、乳化剤等が挙げられ、脱臭工程後から充填前に添加されることが好ましい。
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、アスコルビン酸類、フラボン誘導体、コウジ酸、没食子酸誘導体、カテキンおよびそのエステル、フキ酸、ゴシポール、セサモール、テルペン類等が挙げられる。抗酸化剤及び消泡剤としてシリコーンオイルが挙げられる。着色成分としては、例えば、カロテン、アスタキサンチン等が挙げられる。乳化剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレート、ジアシルグリセロール、ワックス類、ステロールエステル類、リン脂質等から適宜選択される。
なお、シリコーンオイルは0.5~10質量ppm含有することが好ましく。シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン構造を持ち、動粘度が25℃で100~5000mm/sのものが好ましい。シリコーンオイルの動粘度は、500~2000mm/sがより好ましく、800~1100mm/sであることがさらに好ましく、900~1100mm/sであることが最も好ましい。シリコーンオイルは、食品用途として市販されているものを用いることができる。なお、ここでいう「動粘度」とは、JIS K 2283(2000)に準拠して測定される値を指すものとする。シリコーンオイルは、シリコーンオイル以外に微粒子シリカを含むものを用いるのも好ましい。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<分析方法>
各試験における分析は、以下の方法にしたがって実施した。
(酸価)
酸価を、日本油化学会制定「基準油脂分析試験法 2.3.1-2013 酸価」に準拠して測定した。酸価は、油脂中に含まれる遊離脂肪酸の量を示し、サンプル油1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数で表わされる。
(色調)
試験油の色度を、ロビボンド比色計(商品名「Lovibond PFX995」、The Tintometer Limited社製)で、0.5インチセルを使用して、黄の色度(Y値)、赤の色度(R値)を測定した。これらの結果に基づき、「Y+10R」を算出して色値を算出した。Y+10Rの数値が小さい程、色調が淡く、Y+10R数値が大きい程、色調が濃いことを意味する。
<精製油脂の調製1>
精製キャノーラ油(酸価0.04)に、シリカ・マグネシア系製剤(水澤化学工業株式会社製、「ミズカライフ F-2G」:シリカ約55%、マグネシア約32%、水約13%)、二酸化ケイ素(富士フイルム和光純薬株式会社製)、酸化マグネシウム(富士フイルム和光純薬株式会社製)を、精製キャノーラ油に対して1質量%添加し、室温で6時間、撹拌したのちにろ過し、各精製油を得た。各精製油の酸価を表1に示した。
Figure 0007341687000001
表1に示されるとおり、実施例1は比較例1,2と比較して精製油の酸価が低く、比較例1、2は吸着処理を行っていない参考例と差異がなかった。
<精製油脂の調製2>
キャノーラ脱色油を250℃、60分、4.5torr、水蒸気量 対油3質量%にて脱臭を行い、精製油A(酸価0.04、色調0.3)を得た。
脱臭油Aにシリコーンオイル(「KF-96ADF-1,000CS」信越化学工業株式会社製)を精製油Aに対して3質量ppm添加し、精製油A-1を得た。
精製油Aに、シリカ・マグネシア系製剤(水澤化学工業株式会社製、「ミズカライフ F-2G」:シリカ約55%、マグネシア約32%、水約13%)を精製油Aに対して1質量%添加し、20℃で1時間撹拌し、ろ過を行い、精製油Bを得た。精製油Bにシリコーンオイル(「KF-96ADF-1,000CS」信越化学工業株式会社製)を精製油Bに対して3質量ppm添加し、精製油B-1を得た。
<フライ試験>
各試験油4Lをフライヤーに入れ、8日間(8時間/日)フライ調理を行った。フライ調理は、以下の方法で、イモ天(2日間)、コロッケ(2日間)、から揚げ(4日間)の調理を順に行った。フライ試験後の油脂の酸価、色調を表1に示した。
[イモ天]
1時間ごとに、サツマイモを1cmの厚さにスライスした8枚を、バッター(天ぷら粉(商品名「日清おいしい天ぷら粉」、日清フーズ株式会社製):水=1:1.6)をつけ、180℃で3.5分間揚げた。
[コロッケ]
1時間ごとに、コロッケ(商品名「ニチレイ衣がサクサクのコロッケ(野菜)」、株式会社ニチレイフーズ製)70gを4個、180℃で4.5分間揚げた。
[から揚げ]
1時間ごとに、鶏モモ肉約35gを6個、バッター(から揚げ粉(商品名「から揚げの素No.1」、日本食研株式会社製):水=1:1)をつけ、180℃で4分間揚げた。
Figure 0007341687000002
表2に示されるとおり、実施例2は比較例3と比較して、精製油として、酸価が低く、また、フライ調理後の酸価上昇及び加熱着色が抑制されていることが確認できた。

Claims (6)

  1. 油脂を精製する製造方法において、脱臭工程の後に、酸価が0.2以下であり液体状態の油脂を80℃未満でシリカ・マグネシア系製剤と接触させる吸着工程を経る、精製油脂の製造方法(但し、精製油脂は使用済食用油を再生したものではない)。
  2. 前記シリカ・マグネシア系製剤が、二酸化ケイ素粒子と酸化マグネシウム粒子の複合吸着剤である、請求項1に記載の精製油脂の製造方法。
  3. 前記吸着工程に供する油脂の酸価が、0.2以下であり、
    前記吸着工程の後に、140℃以上で水蒸気と接触させる工程を行わない、請求項1又は2に記載の精製油脂の製造方法。
  4. 前記脱臭工程の前に、油脂オゾンに接触させる工程を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の精製油脂の製造方法。
  5. 前記吸着工程が、シリカ・マグネシア系製剤を充填した容器に液体の状態の油脂を通過させる、請求項1~4のいずれか1項に記載の精製油脂の製造方法。
  6. 前記吸着工程を経た精製油脂の酸価が0.00~0.01である、請求項1~5のいずれか1項に記載の精製油脂の製造方法。
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