JPWO2020130037A1 - 油脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、油脂組成物の加熱着色を抑制できる技術を提供することである。本発明は、脱臭油脂を93質量%以上含有する油脂組成物であって、油脂組成物中のシリコーンオイル含有量が0.5〜10質量ppmであり、油脂組成物中の脱臭油脂の50〜100質量%が、脱臭油A及び/又は脱臭油Bであり、脱臭油Aが脱臭油A中の全トコフェロール含有量が900ppm以下で、酸価が0.03以下であり、大豆油、コーン油、綿実油、ヒマワリ油から選ばれる1種以上である脱臭油脂であり、脱臭油Bが脱臭油B中の全トコフェロール含有量が550ppm以下で、酸価が0.03以下である、菜種脱臭油である、油脂組成物に関する。

Description

本発明は、油脂組成物、油脂組成物の製造方法、並びに油脂組成物における加熱着色の抑制方法に関する。
近年、食品の品質に対する消費者の関心がますます高まりつつある。関心の対象は、加工食品(揚げ物等)の製造のために使用される食用油脂等にも及ぶ。
油脂は、熱や光等に暴露されることにより劣化することが知られる。油脂が熱や光に暴露される際に、水分が存在していると加水分解劣化が生じ、酸素が存在していると酸化劣化が生じる。劣化の結果、油脂の酸価が上昇し、風味や色調が劣化する。特に、フライ調理品(フライ、天ぷら、から揚げ等)の製造においては、180℃前後に加熱された油脂を用いて加熱調理を行うので、フライ調理品に用いられる油脂(以下、「フライ油脂」ともいう。)に対しては、加熱による劣化の抑制が要求される。
例えば、「食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)」には、即席めん類(フライに相当する。)は、めんに含まれる油脂の酸価が3を超え、又は過酸化物価が30を超えるものであってはならないことが規定されている。
また、熱等によるフライ油脂の劣化によって、フライ油脂の色調が濃くなってしまうという問題も生じ得る。フライ油脂の色調が濃くなると、該油脂を用いて製造されるフライ調理品も着色し、外観が損なわれてしまう。
例えば、特許文献1には、特定の脂肪酸組成及びヨウ素価を有する原料油脂を精製することにより、フライ安定性の良い油脂を提供する技術が開示されている。
また、油脂を構成する脂肪酸は二重結合の多いものほど、酸化劣化を受けやすいことが知られており、例えば、特許文献1では、多価不飽和脂肪酸量に対する1価不飽和脂肪酸量の重量比が2.0より小さい場合は、油脂の加熱に対する安定性が劣るとされている。
日本特許第4392770号明細書
他方、より幅広い原料油脂について、加熱による劣化を抑制できる技術に対するニーズがある。
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、油脂組成物の加熱着色を抑制できる技術を提供することを目的とする。
本発明者らは、特定の精製度を有する脱臭油脂とシリコーンオイルを組み合わせることによって上記課題を解決できる点を見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 脱臭油脂を93質量%以上含有する油脂組成物であって、油脂組成物中のシリコーンオイル含有量が0.5〜10質量ppmであり、油脂組成物中の脱臭油脂の50〜100質量%が、以下の脱臭油A及び/又は脱臭油Bである、油脂組成物。脱臭油A:脱臭油A中の全トコフェロール含有量が900ppm以下で、酸価が0.03以下であり、大豆油、コーン油、綿実油、及びヒマワリ油から選ばれる1種以上である脱臭油脂。脱臭油B:脱臭油B中の全トコフェロール含有量が550ppm以下で、酸価が0.03以下である、菜種脱臭油。
(2) 油脂組成物中の全トコフェロール含有量が900ppm以下である、(1)の油脂組成物。
(3) 脱臭油脂の10〜90質量%が前記脱臭油Aで、90〜10質量%が前記脱臭油Bである、(1)又は(2)の油脂組成物。
(4) 加熱調理用である、(1)〜(3)のいずれかの油脂組成物。
(5) 脱臭油脂を93質量%以上含有する油脂組成物の製造方法であって、大豆油、コーン油、綿実油、及びヒマワリ油から選ばれる1種以上の油脂を、油脂中の全トコフェロール含有量が900ppm以下、酸価0.03以下となるように脱臭する工程を含み、油脂組成物中のシリコーンオイルの含有量が0.5〜10質量ppmとなるようにシリコーンオイルを添加する工程を含む、前記脱臭油脂の50〜100質量%が、油脂中の全トコフェロール含有量が900ppm以下で、酸価0.03以下であり、大豆油、コーン油、綿実油、及びヒマワリ油から選ばれる1種以上である、油脂組成物の製造方法。
(6) 脱臭油脂を93質量%以上含有する油脂組成物の製造方法であって、大豆油、コーン油、綿実油、及びヒマワリ油、菜種油から選ばれる1種以上の油脂を、以下の脱臭油A及び/又は脱臭油Bを満たすように脱臭する工程を含み、油脂組成物中のシリコーンオイルの含有量が0.5〜10質量ppmとなるようにシリコーンオイルを添加する工程を含む、油脂組成物中の脱臭油脂の50〜100質量%が、脱臭油A及び/又は脱臭油Bである、油脂組成物の製造方法。脱臭油A:脱臭油A中の全トコフェロール含有量が900ppm以下で、酸価が0.03以下であり、大豆油、コーン油、綿実油、及びヒマワリ油から選ばれる1種以上である脱臭油脂。脱臭油B:脱臭油B中の全トコフェロール含有量が550ppm以下で、酸価が0.03以下である、菜種脱臭油。
(7) 脱臭油脂を93質量%以上含有する油脂組成物における加熱着色の抑制方法であって、大豆油、コーン油、綿実油、ヒマワリ油、及び菜種油から選ばれる1種以上の油脂を、以下の脱臭油A及び/又は脱臭油Bを満たすように脱臭し、油脂組成物中のシリコーンオイルの含有量が0.5〜10質量ppmとなるようにシリコーンオイルを添加し、油脂組成物中の脱臭油脂の50〜100質量%を、脱臭油A及び/又は脱臭油Bとする、油脂組成物における加熱着色の抑制方法。脱臭油A:脱臭油A中の全トコフェロール含有量が900ppm以下で、酸価が0.03以下であり、大豆油、コーン油、綿実油、及びヒマワリ油から選ばれる1種以上である脱臭油脂。脱臭油B:脱臭油B中の全トコフェロール含有量が550ppm以下で、酸価が0.03以下である、菜種脱臭油。
本発明によれば、油脂組成物の加熱着色を抑制できる技術が提供される。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。また、本明細書において、「A(数値)〜B(数値)」は「A以上B以下」を意味し、割合は質量割合を意味する。
<油脂組成物>
本発明の油脂組成物は、脱臭油脂を93質量%以上含有する油脂組成物であって、油脂組成物中のシリコーンオイル含有量が0.5〜10質量ppmであり、油脂組成物中の脱臭油脂の50〜100質量%が、以下の脱臭油A及び/又は脱臭油Bである。
脱臭油A:脱臭油A中の全トコフェロール含有量が850ppm以下又は900ppm以下で、酸価が0.03以下であり、大豆油、コーン油、綿実油、及びヒマワリ油から選ばれる1種以上である脱臭油脂
脱臭油B:脱臭油B中の全トコフェロール含有量が550ppm以下で、酸価が0.03以下である、菜種脱臭油
(脱臭油脂)
本発明の油脂組成物は、脱臭油脂を93質量%以上含有する。93質量%以上であれば、加熱用途に用いる油脂組成物として、十分な機能を有することができる。油脂組成物に含まれる脱臭油脂は、好ましくは97質量%以上であり、より好ましくは99質量%以上であり、また、油脂組成物に含まれる油脂が全て脱臭油脂であることが特に好ましい。
ここで、脱臭油脂とは、油脂原料が有する臭いを除いた油脂をいい、例えば、アルデヒド、ケトンなどの有臭成分を水蒸気蒸留などの脱臭工程によって取り除いた油脂を言う。
また、本発明の油脂組成物に含まれる脱臭油脂の50〜100質量%が、脱臭油A及び/又は脱臭油Bである。脱臭油Aは、大豆油、コーン油、綿実油、及びヒマワリ油から選ばれる1種以上であり、脱臭油Bは、菜種油である。脱臭油A、脱臭油Bは、後述する<油脂組成物の製造方法>にて説明される高度な精製が行われたものを用いることができる。例えば、大豆油では一般的な脱臭工程を含む精製工程を経ることで全トコフェロールを1000ppm程度含有し、酸価が0.1程度の脱臭油脂を得ることができる。本発明の加熱着色を抑制する効果は、高度な精製工程を経た油脂を用いることで発現するものの、加熱着色を抑制する成分は不明である。そのため、本発明においては、高度な精製工程を経た目安として、脱臭油Aの全トコフェロール含有量が850ppm以下又は900ppm以下で、酸価0.03以下とした。同様に、菜種油では一般的な脱臭工程を含む精製工程を経ることで全トコフェロールを650ppm程度含有し、酸価が0.1程度の脱臭油脂を得ることができる。そのため、本発明においては、高度な精製工程を経た目安として、脱臭油Bの全トコフェロール含有量が550ppm以下で、酸価0.03以下とした。これらの脱臭油脂を用いることでシリコーンオイルとの相乗効果により、加熱着色を低減することができる。なお、全トコフェロール含有量は、脱臭油脂中のα-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロールの合計含有割合(質量割合)である。
脱臭油脂中の脱臭油A及び/又は脱臭油Bの含有量が少なくなり、他の油脂の含有量が多くなると油脂組成物の加熱着色を抑える効果が弱まるため、脱臭油Aと脱臭油Bの合計含有量は、脱臭油脂の50〜100質量%を占める。脱臭油Aと脱臭油Bの合計含有量は、脱臭油脂の80〜100質量%を占めることがより好ましく、脱臭油脂の90〜100質量%を占めることがさらに好ましい。
本発明において、脱臭油A又は脱臭油Bは、単独で用いてもよく、また、両者を混合して用いてもよい。混合して用いる場合は、脱臭油脂の10〜90質量%が脱臭油Aで、90〜10質量%が脱臭油Bであることが好ましい。また、脱臭油脂の20〜80質量%が脱臭油Aで、80〜20質量%が脱臭油Bであることがより好ましい。すなわち、脱臭油A:脱臭油Bの質量比率は、10:90〜90:10であることが好ましく、より好ましくは、20:80〜80:20である。
[脱臭油A]
脱臭油Aは、脱臭油A中の全トコフェロール含有量が850ppm以下又は900ppm以下で、酸価が0.03以下であり、大豆油、コーン油、綿実油、及びヒマワリ油から選ばれる1種以上である脱臭油脂である。好ましくは大豆油と大豆油に脂肪酸組成が類似したコーン油が好ましい。なお、油脂のヨウ素価は、油脂の構成脂肪酸を反映した値であり、劣化しやすさの指標ともなる。脱臭油Aのヨウ素価は、100〜145が好ましく、120〜140がより好ましい。
脱臭油A中の全トコフェロール含有量は、好ましくは100〜900ppmであり、100〜850ppm、あるいは100〜800ppmも好ましい。脱臭油A中の全トコフェロール含有量は、より好ましくは100〜600ppmであり、さらに好ましくは150〜550ppm、ことさらに好ましくは200〜460ppmであり、最も好ましくは200〜400ppmである。さらに、脱臭油A中のγ−トコフェロールは、好ましくは50〜600ppmであり、より好ましくは50〜550ppmであり、さらに好ましくは50〜480ppmであり、最も好ましくは80〜350ppmである。
また、上記脱臭油Aの酸価は0.00〜0.03であり、好ましくは、0.01〜0.03であり、より好ましくは、0.01〜0.02である。
[脱臭油B]
脱臭油Bは、脱臭油B中の全トコフェロール含有量が550ppm以下で、酸価が0.03以下である、菜種脱臭油である。菜種油は、菜種として栽培・流通している原料から採油されたものを用いることができる。菜種の品種としては、キャノーラ及び/又は高オレイン酸キャノーラを用いることができる。菜種油のヨウ素価は、90〜130が好ましく、95〜120がより好ましい。
脱臭油Bの全トコフェロール含有量は、好ましくは100〜550ppmであり、より好ましくは150〜530ppmであり、さらに好ましくは150〜500ppm、ことさらに好ましくは200〜500ppmであり、最も好ましくは200〜460ppmである。さらに、脱脂油B中のγ−トコフェロールは、好ましくは50〜400ppmであり、より好ましくは100〜400ppmであり、さらに好ましくは100〜350ppmである。
また、上記脱臭油Bは、酸価が0.00〜0.03であり、好ましくは0.01〜0.03であり、より好ましくは0.01〜0.02である。
[その他の脱臭油脂]
本発明の油脂組成物に含まれる脱臭油脂は、上記の脱臭油A、脱臭油B以外の脱臭油脂を50質量%未満含有することができ、好ましくは30質量%未満である。例えば、米油、ごま油、紅花油、落花生油、オリーブ油、グレープシード油、亜麻仁油、エゴマ油、ヤシ油、パーム油の他、これらの油脂を分別して得られる油脂が挙げられる。また、油脂中の全トコフェロール含有量が850ppmを超える若しくは900ppmを超える、あるいは酸価が0.03を超える、大豆油、コーン油、綿実油、及びヒマワリ油が挙げられる。また、油脂中の全トコフェロール含有量が550ppmを超える、あるいは酸価が0.03を超える、菜種油(キャノーラ油等)が挙げられる。これらの油脂は、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、脱臭油A、脱臭油Bも含めた植物性油脂、並びに、そのエステル交換油及び分別油等は、通常、95質量%以上がトリグリセリドである。
本発明においては、脱臭油A、脱臭油B以外の油脂も、精製度が高いほうが好ましい。そのため、油脂組成物中の全トコフェロール含有量が900ppm以下であることが好ましく、850ppm以下であることがより好ましく、550ppm以下であることがさらに好ましい。
(シリコーンオイル)
本発明の油脂組成物は、シリコーンオイルを0.5〜10質量ppm含有する。シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン構造を持ち、動粘度が25℃で100〜5000mm2/sのものが好ましい。シリコーンオイルの動粘度は、500〜2000mm2/sがより好ましく、800〜1100mm2/sであることがさらに好ましく、900〜1100mm2/sであることが最も好ましい。シリコーンオイルは、食品用途として市販されているものを用いることができる。なお、ここでいう「動粘度」とは、JIS K 2283(2000)に準拠して測定される値を指すものとする。シリコーンオイルは、シリコーンオイル以外に微粒子シリカを含むものを用いるのも好ましい。
本発明の油脂組成物中のシリコーンオイル含有量(質量割合)は、油脂組成物中に、0.5〜10質量ppm、より好ましくは0.5〜6質量ppm、さらに好ましくは1〜4質量ppm、最も好ましくは2〜3質量ppmである。シリコーンオイルの合計含有量が0.5ppm以上であれば、調理時の泡立ちを抑制する効果が十分に得られ、また、10ppm以下であれば、調理の泡立ちが多くなりすぎることもない。
本発明において、グリセリドを構成する脂肪酸中の各脂肪酸含有量(例えば、オレイン酸)は、日本油化学会制定「基準油脂分析試験法 2.4.2.3−2013 脂肪酸組成(キャピラリーガスクロマトグラフ法)に準拠して測定することができる。また、油脂組成物に含まれるトコフェロール含有量は、日本油化学会制定「基準油脂分析試験法 2.4.10−2013 トコフェロール(蛍光検出器−高速液体クロマトグラフ法)」に準拠して測定することができる。また、ヨウ素価は、日本油化学会制定「基準油脂分析試験法 2.3.4.1−2013 ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)に準拠して測定できる。
(その他の成分)
加熱調理用油脂組成物中には、本発明の効果を損ねない程度に、その他の成分を加えることができ、配合される成分の種類や量は、得ようとする効果等に応じて適宜設定できる。これらの成分とは、例えば、一般的な油脂に用いられる成分(食品添加物など)である。これらの成分としては、例えば、酸化防止剤、乳化剤等が挙げられ、脱臭後から充填前に添加されることが好ましい。
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、アスコルビン酸類、フラボン誘導体、コウジ酸、没食子酸誘導体、カテキンおよびそのエステル、フキ酸、ゴシポール、セサモール、テルペン類等が挙げられる。着色成分としては、例えば、カロテン、アスタキサンチン等が挙げられる。乳化剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレート、ジアシルグリセロール、ワックス類、ステロールエステル類、リン脂質等から適宜選択される。
<本発明の油脂組成物の用途>
本発明の油脂組成物は、上記条件を満たすことにより、加熱を行っても、油脂組成物の加熱着色が抑制されているという性質を有する。油脂の加熱着色は、実施例に示した方法で評価できる。なお、本発明において「油脂の加熱着色上昇が抑制される」とは、本発明の油脂組成物を加熱した場合、加熱前の色調と加熱後の色調との差が、本発明の油脂組成物中の脱臭油A及び脱臭油Bを、同じ油糧種子原料から得られた脱臭油であるが脱臭油A及び脱臭油Bの要件を満たさない脱臭油脂に置換えた油脂組成物、あるいは、油脂配合は同じもののシリコーンオイルを含まない油脂組成物に比べて、小さいことを意味する。
本発明の油脂組成物は、上記の性質を有するので、加熱(例えば、160℃以上の加熱)を要する用途に好ましく用いることができる。具体的には、本発明の油脂組成物は、加熱調理(フライ調理等)に好ましく用いることができ、フライ油脂として特に好ましく用いることができる。
また、本発明の油脂組成物は、加熱(例えば、160℃以上の加熱)を繰り返し行っても、油脂の加熱着色が抑制され得る。本発明において「繰り返し加熱する」とは、本発明の油脂組成物を、油脂を冷却する期間をはさんで合計2回以上(好ましくは合計4回以上)加熱することを意味する。加熱回数の上限は、特に限定されないが、20回以下であってもよい。1回ごとの加熱時間は0.1時間〜24時間であってもよい。なお、「油脂を冷却する期間」とは、加熱温度よりも油温が低い状態を維持する期間(例えば、1〜300時間)を意味する。
<油脂組成物の製造方法>
本発明の油脂組成物の製造方法は、脱臭油脂を93質量%以上含有する油脂組成物の製造方法であって、大豆油、コーン油、綿実油、ヒマワリ油、及び菜種油から選ばれる1種以上の油脂を、以下の脱臭油A及び/又は脱臭油Bの条件を満たすように脱臭する工程を含み、油脂組成物中のシリコーンオイルの含有量が0.5〜10質量ppmとなるようにシリコーンオイルを添加する工程を含む、油脂組成物中の脱臭油脂の50〜100質量%が、脱臭油A及び/又は脱臭油Bである。
脱臭油A:脱臭油A中の全トコフェロール含有量が850ppm以下又は900ppm以下で、酸価が0.03以下であり、大豆油、コーン油、綿実油、及びヒマワリ油から選ばれる1種以上である脱臭油脂
脱臭油B:脱臭油B中の全トコフェロール含有量が550ppm以下で、酸価が0.03以下である、菜種脱臭油
脱臭油脂、油脂、全トコフェロール、シリコーンオイル等については、前述の<油脂組成物>に記載のとおりである。油脂組成物の製造においては、脱臭する工程とシリコーンオイルを添加する工程を必須とするが、食用油脂等の製造に用いられる任意の方法及び装置等を使用できる。
例えば、本発明の油脂組成物には、原料として未脱臭油脂や脱臭油脂が含まれていてもよい。油脂の精製方法としては、ケミカル精製(ケミカルリファイニング)あるいはフィジカル精製(フィジカルリファイニング)を用いることができ、風味の点から、ケミカル精製を用いることが好ましい。アルカリを用いないフィジカル精製に対して、ケミカル精製は、脱酸工程でアルカリを用いて遊離の脂肪酸を除去する工程を含む精製方法であり、例えば、原料から圧搾及び抽出した原油を、脱ガム処理、アルカリ脱酸処理、脱色処理、脱ろう処理、脱臭処理に供することで精製する方法である。
本発明の効果が奏されやすいという観点から、本発明の油脂組成物は、アルカリ脱酸処理及び脱色処理に供された後に脱臭処理に供された脱臭油脂を含むことが好ましい。
脱臭工程以外の工程は、油脂の一般的な精製条件を用いることができる。
本発明において、脱臭油脂として、大豆油、コーン油、綿実油、ヒマワリ油、及び菜種油のいずれか1種以上が用いられる。複数の油脂を混合して用いる場合は、精製のどの段階で混合してもよいが、脱臭処理後に混合することが好ましい。また、大豆油、コーン油、綿実油、ヒマワリ油、及び菜種油以外の油脂をブレンドする場合も、脱臭処理が終了した後に混合することが好ましい。
(アルカリ脱酸工程)
油脂の酸価は、脱臭工程でも低減されるが、アルカリ脱酸においても低減することが好ましい。アルカリ脱酸に用いる油脂は、水脱ガム油を含む粗油、リン酸を添加した油脂、あるいはリン酸を添加した後に遠心分離等でガム質を除去した脱ガム油を用いることができる。アルカリ脱酸方法としては、5〜15%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を、油脂の酸価から算出される酸量の0.8〜1.8倍等量添加し、遠心分離等で脂肪酸石鹸等を除去することが好ましい。水酸化ナトリウム水溶液は8〜13%濃度で、遊離脂肪酸量の1.0〜1.5倍等量添加することがより好ましい。また、水酸化ナトリウム水溶液の添加・分離処理を2回以上行うことがより好ましい。水酸化ナトリウム処理の後工程は、脱色工程であるが、水酸化ナトリウム処理の後に水洗を行い、脱色工程を行うことがより好ましい。
また、アルカリ脱酸方法として、希薄なアルカリ溶液(水酸化ナトリウム水溶液等)中に、アルカリ溶液の下部から油滴を添加し、油滴が上昇する間に中和させるゼニスプロセスを用いてもよい。
(脱臭工程)
本発明において、油脂中の全トコフェロール含有量と酸価が、脱臭油A及び/又は脱臭油Bの要件を満たすように脱臭する工程を含むが、これらは、脱臭する工程を過度な条件で行うことで達成することができる。脱臭条件は、減圧水蒸気蒸留装置を用いるが、減圧水蒸気蒸留の通常の条件より、高温、高真空下、高水蒸気量、長時間のいずれかで行うことができる。例えば、脱臭温度200〜280℃、真空度100〜500Pa、水蒸気量1〜8質量%(対油脂)、脱臭時間30〜120分のいずれかの範囲で行う場合、脱臭温度235℃以上、真空度500Pa以下、水蒸気量2.0質量%以上(対油脂)、脱臭時間50分以上から選ばれる2条件以上を満たすことが好ましく、3条件を満たすことがより好ましい。脱臭温度は245℃以上又は248℃以上がより好ましく、250℃以上がさらに好ましい。真空度は400Pa以下であることがより好ましく、280Pa以下がさらに好ましく、260Pa以下がことさらに好ましい。水蒸気量は2.4質量%以上(対油脂)であることがより好ましく、3質量%又はそれ以上(対油脂)であることがさらに好ましい。脱臭時間は60分以上がより好ましく、70分以上がさらに好ましい。
なお、脱臭工程において、脱臭処理の終了時に、温度を降温するが、その際にクエン酸を添加することが好ましい。クエン酸を添加することで、酸化安定性が高まる。クエン酸は、脱臭油脂に対して10〜50ppm添加することが好ましく、26〜50ppm添加することがより好ましい。なお、クエン酸はそのままでは油中に分散・溶解しないので、5〜20質量%の水溶液として添加することが好ましい。
(添加工程)
本発明において、油脂組成物中のシリコーンオイルの含有量が0.5〜10質量ppmとなるようにシリコーンオイルを添加する工程を含む。特に限定するものではないが、油脂にシリコーンオイルを直接、あるいは油脂で希釈した後に添加、撹拌することができる。シリコーンオイルを希釈する油脂、及び/又はシリコーンオイルを添加する油脂は前記脱臭油脂でもよいが他の油脂でもよい。例えば、油脂組成物が前記脱臭油脂を含む複数の油脂をブレンドしたものである場合、シリコーンオイルは、ブレンド前の油脂に添加した後にブレンドしてもよく、また、油脂をブレンドした後にシリコーンオイルを添加してもよい。
<油脂組成物における加熱着色の抑制方法>
本発明の油脂組成物における加熱着色の抑制方法は、脱臭油脂を93質量%以上含有する油脂組成物における加熱着色の抑制方法であって、大豆油、コーン油、綿実油、ヒマワリ油、及び菜種油から選ばれる1種以上の油脂を、脱臭油A及び/又は脱臭油Bを満たすように脱臭し、油脂組成物中のシリコーンオイルの含有量が0.5〜10質量ppmとなるようにシリコーンオイルを添加し、油脂組成物中の脱臭油脂の50〜100質量%を、脱臭油A及び/又は脱臭油Bとする。詳細は、前述の<油脂組成物><油脂組成物の製造方法>に記載のとおりである。該抑制方法により準備された油脂組成物を使用することにより、油脂組成物が繰り返し加熱された場合であっても、加熱による当該油脂組成物の着色を抑えることができる。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<分析方法>
各試験における分析は、以下の方法にしたがって実施した。
(全トコフェロール含有量)
全トコフェロール含有量は、脱臭油脂中のα-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロールを日本油化学会制定「基準油脂分析試験法 2.4.10−2013 トコフェロール(蛍光検出器−高速液体クロマトグラフ法)」に準拠して測定し、合計含有量(割合)を算出した。
(酸価)
酸価を、日本油化学会制定「基準油脂分析試験法 2.3.1−2013 酸価」に準拠して測定した。酸価は、油脂中に含まれる遊離脂肪酸の量を示し、サンプル油1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数で表わされる。
(ヨウ素価)
油脂のヨウ素価は、日本油化学会制定「基準油脂分析試験法 2.3.4.1−2013 ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)に準拠して測定した。ヨウ素価の値が大きいほど、二重結合が多い。
(トリグリセリドの脂肪酸組成)
油脂の脂肪酸組成を、日本油化学会制定「基準油脂分析試験法 2.4.2.3−2013 脂肪酸組成」(キャピラリーガスクロマトグラフ法)に準拠して測定した。具体的には、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸の各質量割合を算出した。
(色調)
試験油の色度を、ロビボンド比色計(商品名「Lovibond PFX995」、The Tintometer Limited社製)で、0.5インチセルを使用して、黄の色度(Y値)、赤の色度(R値)を測定した。これらの結果に基づき、「Y+10R」を算出して評価した。Y+10Rの数値が小さい程、色調が淡く、Y+10R数値が大きい程、色調が濃いことを意味する。
また、各フライ試験における色調低減率は、フライ前後の色調の差について、基準となる油脂(比較例1、比較例5)と比べたものである。
<油脂組成物の調製1>
大豆脱ガム油(酸価1.0、ヨウ素価132)に約15%の水酸化ナトリウム水溶液を1.2倍等量添加し、撹拌した後に遠心分離機で沈殿物を除去した。活性白土を対油1%添加し、110℃で20分脱色を行った。活性白土を濾別し、大豆脱色油を得た。大豆脱色油を表1の条件で脱臭を行い、脱臭の降温時、150℃でクエン酸を対油30ppm添加し、脱臭大豆油1〜3を得た。得られた脱臭大豆油1〜3の油脂中の全トコフェロール含有量(全トコフェロール量)、酸価を表1に示した。
表1
Figure 2020130037
脱臭大豆油1〜3にシリコーンオイル(「KF-96ADF-1,000CS」信越化学工業株式会社製)を油脂に対して3ppm添加した。脱臭大豆油1〜3、及び脱臭大豆油1〜3にシリコーンオイルを添加した油脂を試験油として以下の条件でフライ試験を行った(比較例1〜4、実施例1及び2)。
<フライ試験1>
各試験油4Lをフライヤーに入れ、8日間(8時間/日)フライ調理を行った。フライ調理は、以下の方法で、イモ天(2日間)、コロッケ(2日間)、から揚げ(4日間)の調理を順に行った。フライ前後の油脂組成物の色調及び比較例1に対する色調の低減率を表2に示した。
[イモ天]
1時間ごとに、サツマイモを1cmの厚さにスライスした8枚を、バッター(天ぷら粉(商品名「日清おいしい天ぷら粉」、日清フーズ株式会社製):水=1:1.6)をつけ、180℃で3.5分間揚げた。
[コロッケ]
1時間ごとに、コロッケ(商品名「ニチレイ衣がサクサクのコロッケ(野菜)」、株式会社ニチレイフーズ製)70gを4個、180℃で4.5分間揚げた。
[から揚げ]
1時間ごとに、鶏モモ肉約35gを6個、バッター(から揚げ粉(商品名「から揚げの素No.1」、日本食研株式会社製):水=1:1)をつけ、180℃で4分間揚げた。
表2
Figure 2020130037
表2に示されるとおり、実施例1及び2は比較例1〜4と比較して、加熱による着色が抑えられていることがわかる。即ち、シリコーンオイルを含まない脱臭大豆油1〜3に差異はなく(比較例1、3、及び4)、脱臭大豆油1にシリコーンオイルを添加しただけでは、効果がない(比較例2)。一方、脱臭大豆油2及び3にシリコーンオイルを添加すると、加熱着色が抑えられている(実施例1及び2)。
以上の結果から、全トコフェロール含有量と酸価が特定範囲の脱臭大豆油とシリコーンオイルを本発明における条件を満たすように調整することで、油脂組成物の加熱着色を抑制できることが見出された。
<油脂組成物の調製2>
菜種脱ガム油(酸価1.0、ヨウ素価113)に約15%の水酸化ナトリウム水溶液を1.2倍等量添加し、撹拌した後に遠心分離機で沈殿物を除去した。活性白土を対油1%添加し、110℃で20分脱色を行った。活性白土を濾別し、菜種脱色油を得た。菜種脱色油を表3の条件で脱臭を行い、脱臭の降温時、150℃でクエン酸を対油30ppm添加し、脱臭菜種油1〜6を得た。得られた脱臭菜種油1〜6の脱臭油脂中の全トコフェロール含有量(全トコフェロール量)、酸価を表3に示した。
表3
Figure 2020130037
脱臭菜種油1〜6にシリコーンオイル(「KF-96ADF-1,000CS」信越化学工業株式会社製)を油脂に対して3ppm添加した。脱臭菜種油1〜6、及び脱臭菜種油1〜6にシリコーンオイルを添加した油脂を試験油として以下の条件でフライ試験を行った(比較例5〜11、実施例3〜7)。
<フライ試験2>
各試験油を前述のフライ試験1と同様にフライ試験を行った。フライ前後の油脂組成物の色調及び比較例5に対する色調の低減率を表4及び5に示した。
表4
Figure 2020130037
表5
Figure 2020130037
表4及び5に示されるとおり、実施例3〜7は比較例5〜11と比較して、加熱による着色が抑えられていることがわかる。即ち、シリコーンオイルを含まない脱臭菜種油1〜6では効果に差異がなく(比較例5及び7〜11)、また、脱臭菜種油1にシリコーンオイルを添加しただけでは、効果がない(比較例6)。一方、脱臭菜種油2〜6にシリコーンオイルを添加すると、加熱着色が抑えられている(実施例3〜7)。
以上の結果から、全トコフェロール含有量と酸価が特定範囲の脱臭油とシリコーンオイルを本発明における条件を満たすように調整することで、油脂組成物の加熱着色を抑制できることが見出された。
<油脂組成物の調製4>
大豆脱ガム油(酸価1.1、ヨウ素価132)に約15%の水酸化ナトリウム水溶液を1.2倍等量添加し、撹拌した後に遠心分離機で沈殿物を除去した。活性白土を対油1%添加し、110℃で20分脱色を行った。活性白土を濾別し、大豆脱色油を得た。大豆脱色油を表6の条件で脱臭を行い、脱臭の降温時、150℃でクエン酸を対油30ppm添加し、脱臭大豆油4、5を得た。得られた脱臭大豆油4、5の油脂中の全トコフェロール含有量(全トコフェロール量)、酸価を表6に示した。
菜種脱ガム油(酸価1.2、ヨウ素価113)に約15%の水酸化ナトリウム水溶液を1.2倍等量添加し、撹拌した後に遠心分離機で沈殿物を除去した。活性白土を対油1%添加し、110℃で20分脱色を行った。活性白土を濾別し、菜種脱色油を得た。菜種脱色油を表6の条件で脱臭を行い、脱臭の降温時、150℃でクエン酸を対油30ppm添加し、脱臭菜種油7、8を得た。得られた脱臭菜種油7、8の脱臭油脂中の全トコフェロール含有量(全トコフェロール量)、酸価を表6に示した。
表6
Figure 2020130037
脱臭大豆油4、5、及び脱臭菜種油7、8を表7のとおり、ブレンドし、混合油1〜3を得た。混合油の油脂中の全トコフェロール含油量(全トコフェロール量)、酸価を表7に示した。
表7
Figure 2020130037
(シリコーンオイル添加)
混合油1〜3にシリコーンオイル(「KF-96ADF-1,000CS」信越化学工業株式会社製)を油脂に対して3ppm添加した。混合油1〜3、及び混合油1〜3にシリコーンオイルを添加した油脂を試験油とした。
<フライ試験4>
混合油1〜3の各試験油を用いて、前述のフライ試験1と同様にフライ試験を行った。フライ前後の油脂組成物の色調及び比較例8に対する色調の低減率を表8に示した。
表8
Figure 2020130037
表8の結果から、混合油において、全トコフェロール含有量と酸価が特定範囲の脱臭油脂とシリコーンオイルを本発明における条件を満たすように調整することで、油脂組成物の加熱着色を抑制できることが見出された。

Claims (6)

  1. 脱臭油脂を93質量%以上含有する油脂組成物であって、
    油脂組成物中のシリコーンオイル含有量が0.5〜10質量ppmであり、
    油脂組成物中の脱臭油脂の50〜100質量%が、以下の脱臭油A及び/又は脱臭油Bである、油脂組成物。
    脱臭油A:脱臭油A中の全トコフェロール含有量が900ppm以下で、酸価が0.03以下であり、大豆油、コーン油、綿実油、及びヒマワリ油から選ばれる1種以上である脱臭油脂
    脱臭油B:脱臭油B中の全トコフェロール含有量が550ppm以下で、酸価が0.03以下である、菜種脱臭油
  2. 油脂組成物中の全トコフェロール含有量が900ppm以下である、請求項1に記載の油脂組成物。
  3. 脱臭油脂の10〜90質量%が前記脱臭油Aで、90〜10質量%が前記脱臭油Bである、請求項1又は2に記載の油脂組成物。
  4. 加熱調理用である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の油脂組成物。
  5. 脱臭油脂を93質量%以上含有する油脂組成物の製造方法であって、
    大豆油、コーン油、綿実油、ヒマワリ油、及び菜種油から選ばれる1種以上の油脂を、以下の脱臭油A及び/又は脱臭油Bを満たすように脱臭する工程を含み、
    油脂組成物中のシリコーンオイルの含有量が0.5〜10質量ppmとなるようにシリコーンオイルを添加する工程を含む、
    油脂組成物中の脱臭油脂の50〜100質量%が、脱臭油A及び/又は脱臭油Bである、油脂組成物の製造方法。
    脱臭油A:脱臭油A中の全トコフェロール含有量が900ppm以下で、酸価が0.03以下であり、大豆油、コーン油、綿実油、及びヒマワリ油から選ばれる1種以上である脱臭油脂
    脱臭油B:脱臭油B中の全トコフェロール含有量が550ppm以下で、酸価が0.03以下である、菜種脱臭油
  6. 脱臭油脂を93質量%以上含有する油脂組成物における加熱着色の抑制方法であって、
    大豆油、コーン油、綿実油、ヒマワリ油、及び菜種油から選ばれる1種以上の油脂を、以下の脱臭油A及び/又は脱臭油Bを満たすように脱臭し、
    油脂組成物中のシリコーンオイルの含有量が0.5〜10質量ppmとなるようにシリコーンオイルを添加し、
    油脂組成物中の脱臭油脂の50〜100質量%を、脱臭油A及び/又は脱臭油Bとする、油脂組成物における加熱着色の抑制方法。
    脱臭油A:脱臭油A中の全トコフェロール含有量が900ppm以下で、酸価が0.03以下であり、大豆油、コーン油、綿実油、及びヒマワリ油から選ばれる1種以上である脱臭油脂
    脱臭油B:脱臭油B中の全トコフェロール含有量が550ppm以下で、酸価が0.03以下である、菜種脱臭油
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