JP2018058997A - 油脂の精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】非トリグリセリド成分を多く含む油脂やその加工油脂、特にそれらの油脂の分別低融点画分の、風味を改善し酸化安定性を高めることのできる油脂の精製方法を提供すること。【解決手段】下記1)及び2)の工程を含む、油脂の精製方法により上記課題が解決される。1)油脂100質量部に対して、5質量%水溶液のpHが2.5〜7.5の白土を2.5〜6.5質量部加え、減圧下で、65〜90℃で漂白する漂白工程2)脱臭温度が180℃以上250℃未満で脱臭する脱臭工程【選択図】なし

Description

本発明は油脂の精製方法に関する。
パーム油や、シア脂、サル脂など、ハードバターの原料となる油脂は、ジグリセリドやモノグリセリド、脂肪酸、ポリイソプレノイド樹脂を初めとする炭化水素や、脂肪酸エステル、桂皮酸及びそのエステル、また、トリテルペン、トリテルペンアルコール、及びそのエステル等、カロテノイドやクロロフィル等の呈色成分、微量の金属等の非トリグリセリド成分を多く含有することが知られている。
これら非トリグリセリド成分は分別によって、分別低融点画分に濃縮され、油脂の風味や物性に悪影響を及ぼす場合があることが知られていた。加えて、分別低融点画分では、分別によって不飽和脂肪酸を多く含むトリグリセリドが濃縮されるため酸化を受けやすくなる問題が知られていた(非特許文献1)。
そのため、これまで非トリグリセリド成分を多く含む油脂、特にそれらの分別低融点画分の精製方法についての様々な検討が行われてきた。
例えば、特許文献1では、シア脂の低融点画分に微生物を作用させ、桂皮酸由来の臭気を除く技術が開示されている。しかし、特許文献1に開示されている技術では、シア脂の低融点画分から臭気を除くために長い処理時間を要するという問題があった。
また、特許文献2では特定の範囲の色度と沃素価を有する精製パーム軟質油が良好な風味を有することが開示されている。しかし、特許文献2に開示されている技術は、市販されているRBD油脂を、公知文献(非特許文献2)にも記載されている一般的な方法で処理したに過ぎなかった。
したがって、ハードバターとして使用される分別低融点画分やその加工油脂の風味や、経時的な酸化安定性を高める、油脂の精製方法が求められてきた。
特開平1−275700号公報 特開2011−030482号公報
Ralph E. Timms著、佐藤清隆監修、「製菓用油脂ハンドブック」、初版、幸書房、2010年2月14日、p.174−175、p.184−187 「油脂・脂質の基礎と応用」編集委員会 編、「油脂・脂質の基礎と応用」、改訂第2版、社団法人日本油化学会、2009年3月31日、p.215−219
したがって本発明の目的は、非トリグリセリド成分を多く含む油脂やその加工油脂、特にそれらの油脂の分別低融点画分の、風味を改善し酸化安定性を高めることのできる油脂の精製方法を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成するべく、種々検討した結果、意外にも従前知られた漂白温度よりも低温で油脂を漂白することで良好な風味と物性を有する油脂が得られることを知見した。
即ち、下記工程を含む、油脂の精製方法により、上記課題が解決されることを見出した。
1)油脂100質量部に対して、5質量%水溶液のpHが2.5〜7.5の白土を2.5〜6.5質量部加え、減圧下で、65〜90℃で漂白する漂白工程
2)脱臭温度が180℃以上250℃未満で脱臭する脱臭工程
本発明の油脂の精製方法によれば、風味良好で且つ酸化安定性の高い油脂を得ることができる。
以下、本発明について述べる。
まず、本発明における油脂について述べる。本発明における油脂とは食用に供される油脂であれば、特に限定されるものではなく、例えばパーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂、並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した油脂が挙げられるが、本発明のより高い効果が得られる点で、油脂の分別低融点画分であることが好ましい。
なお、本発明における油脂の分別低融点画分とは、溶剤分別、又は乾式分別等の分別操作により分別高融点部分を分離除去して得られる分別油脂を指し、分離除去された分別高融点画分を更に分別して高融点部分を分離除去して得られる分別低融点画分、所謂、分別中融点部についても本発明の分別低融点画分として扱うものとする。
また本発明では、本発明のより高い効果が得られる点で、上記油脂の中でも上記非トリグリセリド成分を多く含む油脂並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した油脂のいずれかであることが好ましく、パーム油、カカオ脂、シア脂、サル脂、イリッペ脂、マンゴー核油並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した油脂のいずれかであることが更に好ましい。
すなわち本発明では、パーム油、カカオ脂、シア脂、サル脂、イリッペ脂、マンゴー核油並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した油脂のいずれかの、さらに分別低融点画分であることが特に好ましい。
また本発明では、良好な風味と物性の油脂を得る観点から、ジグリセリドが1〜25質量%含まれている油脂を選択することが好ましく、3〜20質量%含まれている油脂を選択することがより好ましく、5〜15質量%含まれている油脂を選択することが最も好ましい。
ジグリセリドの含有量が25質量%超の油脂を選択した場合には、本発明においても精製方法の効果が弱まると共に、風味に影響を及ぼすので不適である。また1質量%未満の油脂は本発明の精製方法の効果が認められにくい。
更に上記油脂の水分量は、100〜1000ppmであることが好ましく、100〜700ppmであることがより好ましく、100〜300ppmであることが最も好ましい。上記範囲外の場合、精製後の油脂の劣化が早まる他、異味が生じるおそれがある。
次に、本発明の精製方法について述べる。本発明の油脂の精製方法は、下記の工程を含むものであり、従来検討されていた漂白条件よりも更に低温で漂白することにより、風味や物性が良好な油脂が得られることを特徴とするものである。
1)5質量%水溶液のpHが2.5〜7.5の白土を、油脂100質量部に対して2.5〜6.5質量部加え、減圧下で、65〜90℃で漂白する漂白工程
2)脱臭温度が180℃以上250℃未満で脱臭する脱臭工程
本発明において、漂白工程とは油脂中の着色物質を低減・除去して油脂を清澄なものとする工程であり、伴って酸価や過酸化物価を低減し、ステロールや炭化水素等の不鹸化物及び微量に含まれる金属分等の非トリグリセリド成分の低減・除去する工程であり、また、脱臭工程とは、油脂中の風味に影響を与えやすい揮発性物質等の非トリグリセリド成分を低減・除去する工程である。結果として、これらの目的が果たされるものであれば、漂白工程及び脱臭工程は、バッチ式や半連続式、連続式のどのような形式で行ってもよい。
まず、上記1)について述べる。
本発明の上記1)の漂白工程で用いる白土の種類は特に問わず、活性白土であっても酸性白土であってもよく、またこれらを混合して使用したり、その他吸着・精製剤を併用してもよいが、使用する白土の5質量%水溶液のpHが2.5〜7.5であることが必要である。好ましくはpH2.5〜7.0であり、より好ましくはpH3.0〜5.0であり、最も好ましくはpH3.0〜4.0である。
選択した白土の5質量%水溶液のpHが上記範囲外であった場合、漂白工程を経ても、油脂中の呈色成分が十分に除去されない他、不鹸化物等の吸着が進まない上、経時的な酸化安定性が得られない。
また、白土の添加量は、油脂100質量部に対して2.5〜6.5質量部加えるが、好ましくは2.5〜6.0質量部であり、より好ましくは3.0〜5.5質量部であり、最も好ましくは3.0〜5.0質量部加える。白土の添加量が油脂100質量部に対して、2.5質量部未満である場合には、油脂中の呈色成分や非トリグリセリド成分の除去が十分に行われない。
また、油脂100質量部に対して6.5質量部超である場合、油脂の漂白効果が頭打ちである上に、白土に含有される水分が油脂を劣化させてしまう他、油脂の収量が低下するため好ましくない。
なお、上記白土と、吸着・精製剤を併用する場合にあっては、吸着・精製剤の油脂100質量部に対する添加量は、白土の対油脂添加量よりも少なければ、特にその添加量は限定されるものではないが、油脂100質量部に対する添加量が0.001〜1質量部であることが好ましく、0.005〜0.5質量部であることがより好ましく、0.01〜0.3質量部であることが特に好ましい。
なお、吸着・精製剤の種類は、食品用途に用いることができ、且つ油脂に溶解するものでなければ特に限定されず、例えば二酸化珪素や酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム等から構成される吸着・精製剤であることが好ましい。
さらに、本発明では、漂白工程中の油脂温度を65〜90℃、好ましくは油脂温度を67〜87℃に調温し、より好ましくは70〜85℃に調温し、最も好ましくは70〜80℃に調温する。
漂白工程中の油脂温度が65℃未満の場合、十分に油脂を漂白することができない上に、油種によっては油脂が固化を始めるため、その結晶中に非トリグリセリド成分を包含してしまう場合がある。また、漂白工程中の油脂温度が90℃超の場合、酸価や過酸化物価が漂白後、経時的に上昇してしまうため、好ましい風味と物性の油脂を得ることが難しくなる。
なお、油脂の漂白を行う時間には、特に制限は無いが、120分以下であることが好ましく、15〜90分であることがより好ましく、30〜75分であることが最も好ましい。
次に上記2)について述べる。
本発明の上記2)の脱臭工程では、脱臭温度が180℃以上250℃未満で脱臭することで非トリグリセリド成分の効果的な低下を図ることができ、好ましくは200〜240℃で脱臭することにより、風味と物性に優れた油脂を得ることができる。
脱臭温度が250℃以上の場合、油脂が加熱による劣化を起こし、着色を引き起こす他、所謂加熱臭が付与されてしまうことで、風味の劣化がおきる。また、脱臭温度が180℃未満であると、風味に悪影響を与える脂肪酸等の揮発性物質が十分に除去されない。
なお、上記2)の脱臭工程においては、設定した脱臭温度に応じ、油脂の脱臭時間を調整することが、非トリグリセリド成分を効果的に低減し、好ましい風味と物性の油脂を得やすくなるため好ましい。
脱臭温度と脱臭時間からなる脱臭条件の調整は任意に行って構わないが、例えば、油脂温度が180℃以上220℃以下の範囲で脱臭する場合には30〜150分、油脂温度が220℃超240℃以下の範囲で脱臭する場合には30〜120分、油脂温度が240℃超250℃未満の範囲で脱臭する場合には30〜60分の条件で脱臭工程を行うことが好ましく、油脂温度が180℃以上220℃以下の範囲で脱臭する場合には40〜135分、油脂温度が220℃超240℃以下の範囲で脱臭する場合には40〜100分の条件で脱臭工程を行うことがより好ましく、油脂温度が220℃超240℃以下の範囲で45〜90分、脱臭することが最も好ましい。
該条件で脱臭工程を行うことにより、非トリグリセリド成分を十分に低減することができ、かつ、好ましい風味と物性の油脂が得られ易くなる。
なお、トレイ式の脱臭装置を用いる場合には、トレイ間のサイクルタイムが上記範囲の時間となるように、調整されればよい。
なお、本発明の上記2)条件の脱臭工程は、減圧水蒸気蒸留で行うことが好ましく、1500Pa以下とすることが良好な風味の油脂を得る観点から好ましい。
また、脱臭の際の水蒸気の吹込みは、対油8質量%以下とすることで、精製後の油脂の劣化を抑制することができるため好ましい。
上記の通り、本発明の油脂の精製方法は上記1)の漂白工程、及び2)の脱臭工程を含んでなるが、搾油以降、精製された油脂を得るまでに、上記1)及び2)の工程に加えて、更に、漂白工程と脱臭工程を経ることで、酸化安定性がより高く、油脂の色調がさらに清澄なものとなり、且つ風味と物性が良好な油脂を得ることができる為、好ましい。
本発明においては、上記1)及び2)を含めて2回以上、複数回の漂白工程と脱臭工程を経ることで、十分に油脂の色調を清澄なものとすることができ、風味良好な油脂を得ることができるため好ましく、漂白工程と脱臭工程の回数の上限は、特に設定されないが、工業的な収率の観点から5回以下が好ましい。
精製工程中、複数回の漂白工程を経る場合に、上記1)の漂白工程の工程順は任意に設定され、その他漂白工程の前後を問わないが、搾油以降の一次漂白工程の後、好ましくは最終次に行うことが、非トリグリセリド成分が十分に低減された油脂を得る観点から好ましい。
また、精製工程中、複数回の脱臭工程を経る場合に、上記2)の脱臭工程の工程順は任意に設定され、その他脱臭工程の前後を問わないが、搾油以降の一次脱臭工程の後、好ましくは最終次に行うことが、風味が良好な油脂を得る観点から好ましい。
なお、本発明の油脂の精製方法では脱ガム工程と脱酸工程を経た後に、漂白工程及び脱臭工程を経ることが精製の効率上、好ましい。
また、本発明では、脱ガム工程、及び脱酸工程、上記一次漂白工程、上記一次脱臭工程についてはフィジカルリファイニングを経たRBD油脂等を用いることで省略してもよい。
本発明では、一次の漂白工程と二次以降の漂白工程は引き続いて行ってもよく、一次の脱臭工程と二次以降の脱臭工程も引き続いて行ってよいが、好ましくは漂白工程と脱臭工程は交互に行なう。なお、その場合は漂白工程の後に脱臭工程を行うことが好ましい。
すなわち、本発明では、一次の漂白工程、一次の脱臭工程、二次の漂白工程、二次の脱臭工程の順に、漂白と脱臭を交互に行うことが好ましい。
本発明の精製方法による精製を経た油脂は、特にチョコレート用油脂として好適に使用することができ、バタークリーム、サンドクリーム、ホイップクリームなどのクリーム類、マーガリン・ショートニングなどの可塑性油脂などの用途に好適に用いることができる。
以下、具体的な実施例を基に本発明を詳述する。なお、本発明は下記実施例に限定されない。
<漂白工程 検討>
<検討1:白土のpH>
フィジカルリファイニングを行ったRBDシア分別低融点画分(油脂中ジグリセリド9.1質量%、水分含量410ppm)5000gに、下記に示す市販品の白土(全て水澤化学工業社製)を対油4質量%で加え、さらに吸着・精製剤として、二酸化珪素と酸化マグネシウムを主成分とするミズカライフ(水澤化学工業社製)を対油脂0.05質量%だけ併用し、漂白時間60分、漂白温度85℃の条件で、常法に従って、漂白処理を行った。
漂白処理を行う前後で、酸価(AV)と過酸化物価(POV)の測定、及びロビボンド法による色調測定(10R+Y)を行い、異なるpHの白土を用いた際の油脂の各種変化量(ΔAV、ΔPOV、Δ(10R+Y))を比較した。
Figure 2018058997
白土のpHの差異によって、得られる油脂の酸価や過酸化物価の変化量、及び油脂の色調が大きく異なることが見て取れる。白土のpHが7超の検討1−5では、過酸化物価の低減や色調の変化が乏しかった。
以下、これら白土の中でも特に過酸化物価の低下が顕著であり、清澄な油脂が得られる検討1−1の白土を用いて、検討を行った。
<検討2:白土の添加量>
フィジカルリファイニングを行ったRBDシア分別低融点画分(油脂中ジグリセリド9.1質量%、水分含量410ppm)5000gに、市販品の活性白土(ガレオンアースV2R、水澤化学工業社製)を対油2〜8質量%で加え、さらに吸着・精製剤としてミズカライフ(水澤化学工業社製)を対油0.05質量%だけ併用し、漂白時間60分、漂白温度85℃の条件で、表2に示す対油脂重量での各白土添加量で、常法に従って、漂白処理を行った。
Figure 2018058997
白土の添加量に応じて、油脂の色調が改善される傾向にあるが、その効果は白土添加量が対油6質量%の時点で頭打ちであった。また、検討2−1及び検討2−4では、添加量に関わらず、酸価の上昇や過酸化物価の低減効果が乏しいことが確認された。
以下、これら白土の添加量の中でも特に過酸化物価の低下が顕著であり、清澄な油脂が得られる検討2−2の添加量によって、検討を行った。
<検討3:漂白温度>
フィジカルリファイニングを行ったRBDシア分別低融点画分(油脂中ジグリセリド9.1質量%、水分含量410ppm)5000gに、市販品の活性白土(ガレオンアースV2R、水澤化学工業社製)を対油4質量%で加え、さらに吸着・精製剤としてミズカライフ(水澤化学工業社製)を対油脂0.05質量%だけ併用し、漂白時間60分、表3に示す各漂白温度で、常法に従って、漂白処理を行った。
Figure 2018058997
検討3−4では特に優れた油脂の色調が得られるものの、漂白前後の酸価での上昇や過酸化物価の低減効果が乏しかった。一方、検討3−1〜3−3では酸価や過酸化物価の低減が見られ、特に75℃で漂白処理を行った検討例3−2において、酸価及び過酸化物価の低減効果が大きく得られた。
以下、これら漂白温度の中でも特に酸価及び過酸化物価の低下が顕著であり、清澄な油脂が得られる検討3−2の条件によって、検討を行った。
<脱臭工程 検討>
上記漂白工程に関する検討に基づいて、フィジカルリファイニングを行ったRBDシア分別低融点画分(油脂中ジグリセリド9.1質量%、水分含量410ppm)を、市販品の活性白土(ガレオンアースV2R、水澤化学工業社製)を対油4質量%用いて、さらに吸着・精製剤としてミズカライフ(水澤化学工業社製)を対油脂0.05質量%だけ併用し、漂白時間60分、漂白温度75℃で、常法に従って、漂白を行った。得られた漂白油脂を、表4に示す脱臭温度で減圧水蒸気蒸留による脱臭を、脱臭温度に応じ60〜140分間行い、漂白と脱臭を各2回ずつ経た、精製油脂を得た。この精製された油脂の酸価及び過酸化物価を測定し、RBD油脂からの酸価、過酸化物価の変化量(Δ(deo−RBD))を比較した。また、下記評価方法に基づいて、油脂の風味評価を行い、その結果を表4に示した。
[風味評価方法]
60℃に調温した精製油脂を小さじに2g量りとり、直接口に含んで、以下に示す評価基準に則り、油脂に異味を感じるか否かをパネラー12人で評価した。
10点:口に含んでも異味がしない
9点:口に含んで2〜3秒してから異味を感じる
8点:口に含んだ直後に異味を感じる
Figure 2018058997
実施例1〜4、及び比較例1〜2により、脱臭温度が低いほど、酸価や過酸化物価の低減量が乏しくなり、異味が生じやすくなる傾向にあることが分かった。また、脱臭温度が高くなるほど、酸価や過酸化物価の低減量が大きくなり、特に実施例4で最大効率化された。一方で、酸価や過酸化物価の変化が一定温度以上で頭打ちになり、風味に加熱臭による異味や経日安定性の低下が生じる傾向にあることが分かった。
また、本発明の精製方法により得られた精製油脂では、好ましい風味を有している上に、経時的な風味の変化が少なく、油脂が経時的な酸化安定性を有することが分かった。

Claims (6)

  1. 下記1)及び2)の工程を含む、油脂の精製方法。
    1)油脂100質量部に対して、5質量%水溶液のpHが2.5〜7.5の白土を2.5〜6.5質量部加え、減圧下で、65〜90℃で漂白する漂白工程
    2)脱臭温度が180℃以上250℃未満で脱臭する脱臭工程
  2. 2回以上の漂白工程及び2回以上の脱臭工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の油脂の精製方法。
  3. 前記油脂が分別低融点画分である請求項1又は2に記載の油脂の精製方法。
  4. 前記油脂がパーム油、パーム核油、カカオ脂、シア脂、サル脂、イリッペ脂、マンゴー核油並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した油脂のいずれかであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の油脂の精製方法。
  5. 前記油脂が、ジグリセリドを1〜25質量%含有する油脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の油脂の精製方法。
  6. 前記油脂の含水量が100〜1000ppmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の油脂の精製方法。
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