JP7330820B2 - 二液硬化型接着剤 - Google Patents
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Description
前記ポリオール剤Aは、
数平均分子量が500以上1500以下である、ヒマシ油とヒマシ油系ポリオールとの少なくとも一方であるヒマシ油類A1と、
アルコキシル化芳香族ジオールA2と、
互いに異なる第1級炭素に結合した2つの水酸基を有し、数平均分子量が60以上150以下のジオールA3と、を含み、
前記ヒマシ油類A1と、前記アルコキシル化芳香族ジオールA2と、前記ジオールA3との合計質量に対する前記ヒマシ油類A1の質量の割合A1/(A1+A2+A3)が、40質量%以上80質量%以下であり、
前記ポリイソシアネート剤Bは、
ポリイソシアネートB1と、
イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーB2と、を含み、
前記ポリイソシアネートB1及び前記ポリウレタンポリマーB2内のイソシアネート基の含有割合は10質量%以上20質量%以下であることを特徴とする。
本発明の実施形態である二液硬化型接着剤は、ポリオール剤(以下、「ポリオール剤A」とも呼ぶ)と、ポリイソシアネート剤(以下、「ポリイソシアネート剤B」とも呼ぶ)と、を備える。本実施形態の二液硬化型接着剤は、ポリオール剤Aと、ポリイソシアネート剤Bとが混合されることにより硬化するため、接着剤としての機能を発揮することができる。
ヒマシ油類A1と、アルコキシル化芳香族ジオールA2と、ジオールA3との合計質量に対するヒマシ油類A1の質量の割合A1/(A1+A2+A3)は、上述のように40質量%以上80質量%以下である。割合A1/(A1+A2+A3)は、二液硬化型接着剤の接着強さ、引張強さ、および伸び率を向上させ、かつ耐久性を両立させる観点から、45質量%以上75質量%以下であることがより好ましく、50質量%以上70質量%以下であることがさらに好ましく、55質量%以上65質量%以下であることが特に好ましい。
本実施形態におけるヒマシ油類A1の数平均分子量は、上述のように500以上1500以下であり、二液硬化型接着剤の接着強さ、引張強さ、および伸び率を向上させ、かつ耐久性を両立させる観点から、550以上1200以下がより好ましく、600以上1000以下がさらに好ましい。ここで、ヒマシ油類を2種以上併用する場合、数平均分子量とは、使用量で加重平均をした計算値をいう。本明細書において、数平均分子量の測定は、示唆屈折率検出器として島津製作所社製RID-6Aを使用し、テトラヒドロフランを溶剤としたGPC測定にて測定することができる。
本実施形態のアルコキシル化芳香族ジオールA2は、特に限定されないが、例えば、キシリレングリコール、ハイドロキノン、4,4’-ビフェノール、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビスフェノールS、ビスフェノールA、または4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン等のアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。アルキレンオキサイドとしては、特に限定されないが、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、α-オレフィンオキサイド等が挙げられる。
本実施形態のジオールA3は、アルコキシル化芳香族ジオールA2とは異なるジオールである。本実施形態のジオールA3は、互いに異なる第1級炭素に結合した2つの水酸基を有し、数平均分子量が60以上150以下のジオールである。
本実施形態のポリオール剤Aは、上述のヒマシ油類A1、アルコキシル化芳香族ジオールA2、ジオールA3以外の添加材を含んでいてもよい。添加剤としては、特に限定されないが、例えば、充填剤、溶剤、可塑剤、消泡剤等が挙げられる。
本実施形態のポリイソシアネート剤Bは、ポリイソシアネートB1と、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーB2とを含む。本実施形態において、ポリイソシアネートB1及びポリウレタンポリマーB2内のイソシアネート基の含有割合は、10質量%以上20質量%以下である。二液硬化型接着剤の接着強さ、引張強さ、および伸び率を向上させ、かつ耐久性を両立させる観点から、ポリイソシアネートB1及びポリウレタンポリマーB2内のイソシアネート基の含有割合は、11質量%以上19質量%以下であることが好ましく、12質量%以上18質量%以下であることがより好ましく、13質量%以上18質量%以下であることがさらに好ましい。ここで、「ポリイソシアネートB1及びポリウレタンポリマーB2内のイソシアネート基の含有割合」は、ポリイソシアネート剤BがポリイソシアネートB1及びポリウレタンポリマーB2のみから構成されていると仮定した場合におけるポリイソシアネート剤Bのイソシアネート基の含有割合と換言できる。
本実施形態のポリイソシアネートB1は、特に限定されないが、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、3-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート;これらの芳香族又は脂肪族ポリイソシアネートのビウレット体、または、これらの芳香族又は脂肪族ポリイソシアネートのビウレット体、または、これらの芳香族又は脂肪族ポリイソシアネートのイソシアネートの誘導体(変性体)、これらの芳香族又は脂肪族ポリイソシアネートをトリメチロールプロパン変性したアダクト体などが挙げられる。ポリイソシアネートB1として、上述の化合物を単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
本実施形態のポリウレタンポリマーB2は、イソシアネート基を有する。つまり、ポリウレタンポリマーB2は、ウレタン基とイソシアネート基を有する。ポリウレタンポリマーB2としては、例えば、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させることにより得ることができる。ポリウレタンポリマーB2は、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートと、ポリオールとを、活性水素基の数に対してイソシアネート基の数が過剰になるような比率で反応させた構造を含んでもよい。なお、活性水素基とは、イソシアネート基と反応する官能基であり、水酸基、アミノ基を含む。ポリウレタンポリマーB2は、高温条件における耐久性及び高湿度条件における耐久性に優れる観点から、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートに由来する、ウレタン基及び遊離イソシアネート基を有することが好ましい。
本実施形態の二液硬化型接着剤は、ポリオール剤Aとポリイソシアネート剤B以外の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、特に限定されないが、例えば、可塑剤、顔料、消泡剤等が挙げられる。
[分子量が500以上1500以下のヒマシ油またはヒマシ油系ポリオール(A1)]
・(A1-1)
ヒマシ油(分子量941、水酸基価161)(伊藤製油社製 ヒマシ油-D)
・(A1-2)
ヒマシ油系ポリオール(分子量935、水酸基価120)(豊国製油社製 HS-2G-120)
・(A1-3)
ヒマシ油系ポリオール(分子量697、水酸基価161)(豊国製油社製 HS-2G-160R)
[A1の比較用材料(AC)]
・(A-4)
ヒマシ油系ポリオール(分子量1700、水酸基価66)(伊藤製油社製 URIC H-1824)
・(A2-1)
アルコキシル化芳香族ジオール(分子量360、水酸基価310)(ADEKA社製 アデカポリエーテルBPX-11)
・(A2-2)
アルコキシル化芳香族ジオール(分子量532、水酸基価211)(三洋化成社製 ニューポールBP-5P)
・(A2-3)
アルコキシル化芳香族ジオール(分子量779、水酸基価144)(ADEKA社製 アデカポリエーテルBPX-55)
・(A3-1)
3-メチル-1,5-ペンタンジオール(分子量118、水酸基価951)(クラレ社製 3-メチル-1,5-ペンタンジオール)
・(A3-2)
1,4-ブタンジオール(分子量90、水酸基価1247)(三菱ケミカル社製 1,4-ブタンジオール)
・(C-1)
炭酸カルシウム(日東粉化工業社製 炭酸カルシウムNS1000)
・(C-2)
ジオクチルスズジラウレート(日東化成社製 ネオスタンU-810)
[ポリイソシアネート(B1)]
・(B1―1)
カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(BASF INOAC ポリウレタン社製 ルプラネート(登録商標)MM-103)
[ポリウレタンポリマー(B2)]
・(B2―1)
カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(BASF INOAC ポリウレタン社製 ルプラネート(登録商標)MM-103)とポリプロピレングリコール(分子量1500、水酸基価112)(旭硝子社製 エクセノール903)との反応物
・(B2―2)
カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(BASF INOAC ポリウレタン社製 ルプラネート(登録商標)MM-103)とヒマシ油(分子量941、水酸基価161)(伊藤製油社製 ヒマシ油-D)との反応物
後述する表1及び表2に示す配合量(質量部)に従い、実施例1から実施例9および比較例1から比較例7のポリオール剤Aおよびポリイソシアネート剤Bを調製した。
以下、評価方法について説明する。評価結果についても表1に示す。
25℃に調製したポリオール剤Aおよびポリイソシアネート剤Bを1分間混合し、混合後2分経過時に、混合物を膜厚6mmとなるようにガラス面に塗布した。これを、23℃で7日間静置して硬化させた後、ガラス面から剥離することによって樹脂のシートを得た。得られたシートから3cm×3cmの試験片を切り出し、JIS K7215:1986に準じ、タイプDデュロにて硬度(SHORE-D)を測定した。
25℃に調製したポリオール剤Aおよびポリイソシアネート剤Bを1分間混合し、混合後2分経過時に、混合物を膜厚2mmとなるようにガラス面に塗布した。これを、23℃で7日間静置して硬化させた後、ガラス面から剥離することによって樹脂のシートを得た。得られたシートから、5mm×4cmの試験片を切り出し、JIS A6021-2011:2011に準じ、インストロンジャパン社製のデジタル万能試験機(Instron 5581)にて引張強さ(N/mm2)および破断時の伸び率(%)を測定した。試験速度は20mm/分で実施した。
25℃に調製したポリオール剤Aおよびポリイソシアネート剤Bを1分間混合し、混合後2分経過時に混合物を、縦25mm×横100mm×厚さ1.6mmの炭素繊維複合材板(CFRP板)を用いて、JIS K 6850:1999に準拠した接着試験片を作製した。その後、2枚のCFRP板表面に接着剤を塗布し、CFRP板同士の重なり領域が縦25mm、横12.5mmとなるよう接着し、これを23℃で7日間静置して硬化させることにより、接着試験片を作製した。この際、接着剤の厚みは1mmに調製した。そして、得られた接着試験片をインストロンジャパン社製のデジタル万能試験機(Instron 5581)にて重ね合わせせん断強さ(MPa)を測定した。試験速度は5mm/分で実施した。
上記(3)接着強さの測定後に、接着試験片の外観を目視にて観察し、破壊が生じた部位を確認し、以下のように評価した。
〇:接着剤による接着面の全てにおいて、界面剥離が認められない場合
×:上記以外の場合
上記(3)接着強さの条件にならって作製した試験片について、100℃にて960時間保管した後に、接着強さの測定および破壊状態の確認を行った。
上記(3)接着強さの条件にならって作製した試験片について、温度50℃湿度95%にて2200時間保管した後に、接着強さの測定および破壊状態の確認を行った。
本実施形態の二液硬化型接着剤の構成要素であるポリオール剤Aは、数平均分子量が500以上1500以下である、ヒマシ油とヒマシ油系ポリオールとの少なくとも一方であるヒマシ油類A1と、アルコキシル化芳香族ジオールA2と、互いに異なる第1級炭素に結合した2つの水酸基を有し、数平均分子量が60以上150以下のジオールA3と、を含み、ヒマシ油類A1と、アルコキシル化芳香族ジオールA2と、ジオールA3との合計質量に対するヒマシ油類A1の質量の割合A1/(A1+A2+A3)が、40質量%以上80質量%以下であり、その構造は複雑であるため、一般式で表すことは困難である。さらに、構造が特定されなければ、それに応じて定まるその物質の特性も容易にはできない。また、異なる複数のモノマーを反応させるにあたり、それらの配合比、反応条件が異なれば、得られる反応生成物の特性も大きく異なる。すなわち、本実施形態のポリオール剤Aを、その構造又は特性により直接特定することは不可能である。
Claims (4)
- ポリオール剤Aと、ポリイソシアネート剤Bとを備える二液硬化型接着剤であって、
前記ポリオール剤Aは、
数平均分子量が500以上1500以下である、ヒマシ油とヒマシ油系ポリオールとの少なくとも一方であるヒマシ油類A1と、
アルコキシル化芳香族ジオールA2と、
互いに異なる第1級炭素に結合した2つの水酸基を有し、数平均分子量が60以上150以下のジオールA3と、を含み、
前記ヒマシ油類A1と、前記アルコキシル化芳香族ジオールA2と、前記ジオールA3との合計質量に対する前記ヒマシ油類A1の質量の割合A1/(A1+A2+A3)が、40質量%以上80質量%以下であり、
前記ポリイソシアネート剤Bは、
ポリイソシアネートB1と、
イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーB2と、を含み、
前記ポリイソシアネートB1及び前記ポリウレタンポリマーB2内のイソシアネート基の含有割合は10質量%以上20質量%以下であり、
前記アルコキシル化芳香族ジオールA2の数平均分子量が300以上800以下であることを特徴とする、二液硬化型接着剤。 - 請求項1に記載の二液硬化型接着剤であって、
前記ポリイソシアネートB1は、
25℃で液体である、ジフェニルメタンジイソシアネート又はジフェニルメタンジイソシアネートの誘導体を含むことを特徴とする、二液硬化型接着剤。 - 請求項1又は請求項2に記載の二液硬化型接着剤であって、
前記ポリウレタンポリマーB2は、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートに由来する、ウレタン基及び遊離イソシアネート基を有することを特徴とする、二液硬化型接着剤。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の二液硬化型接着剤であって、
前記ジオールA3が、1,3-プロパンジオールと、1,4-ブタンジオールと、1,5-ペンタンジオールと、3-メチル-1,5-ペンタンジオールと、1,6-ヘキサンジオールと、からなる群から選択される1種以上を含むことを特徴とする、二液硬化型接着剤。
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