本発明は、腫瘍関連糖鎖抗原が、適切ながん幹細胞マーカーであるという知見に基づく。
本開示は、腫瘍関連糖鎖抗原が、がん幹細胞上に発現されるという驚くべき発見に基づく。したがって、これらの腫瘍関連糖鎖抗原は、がん幹細胞の適切なマーカーとなり、さらに、がん幹細胞を攻撃する治療に適した治療標的を提供する。
正常幹細胞および腫瘍形成細胞はともに、広範な増殖潜在能力、および新しい(正常または異常)組織を生じる能力を有する。腫瘍形成細胞は、正常幹細胞が経るものと類似する器官形成の異常かつ乏しく制御されたプロセスを経るがん幹細胞(CSC)またはがん始原細胞(CIC-CSCおよびCICという用語は、本明細書では同義語として使用される)と考えることができる。腫瘍および正常組織はともに、細胞の不均質な組合せから構成され、異なる表現型の特徴および異なる増殖潜在能力を有する。
がん幹細胞は、新生物性クローンを始原させ、維持する、幹細胞に類似の特性を有する腫瘍細胞のうちのある特定の一部であると考えられる。これらの細胞は、自己再生能を有しており、さらに、腫瘍形成潜在能力はより低いが表現型的に多様ながん細胞をもたらす前駆細胞を生じる。幹細胞様の細胞のこの亜集団は、がん幹細胞ではない腫瘍細胞と比較して、腫瘍形成および転移性腫瘍の拡大において効率的である集団である。
がん幹細胞(CSC)は、今や、白血病、神経膠芽腫、髄芽細胞腫、およびほぼすべてのタイプの上皮性腫瘍(癌腫)を含む多種多様ながんにおいて同定されている。がん幹細胞は、原発腫瘍内の別個の表面マーカーパターンの調査に基づいて特徴付けることができる。CD44は、がん幹細胞の堅固なマーカーとして報告された。結腸直腸腫瘍由来の単一CD44+細胞は、in vitroで塊を形成することができ、原発腫瘍の特性に似ている異種移植腫瘍を生成することができた。CD133も、がん幹細胞のマーカーである。
がん幹細胞の存在は、がん治療にとって大きな意味を有する。既存の治療は、腫瘍体積を縮小する能力によって同定されるので、主に腫瘍細胞のバルクの集団に対して開発されてきた。しかし、がん幹細胞は、化学療法に対してしばしば抵抗性があり、化学療法の不成功の原因となり得る。がん始原細胞(本明細書ではがん幹細胞とも呼ばれる)を(も)標的化する新規な治療剤を設計するために、好ましくは良性腫瘍および/または正常な非腫瘍細胞上には存在しないと同時に、がん幹細胞を特異的に対象とする、がん幹細胞の分子標的を探索することが望ましい。このような薬剤は、腫瘍、特に転移性腫瘍の、より持続的な応答および治癒をもたらすことが期待される。したがって、新しいがん幹細胞マーカーは、治療を改善するための新規な治療標的を提供することが望まれる。公知の幹細胞マーカーのほとんどは、タンパク質である。これらの多くは、正常幹細胞マーカーであることが見出されており、したがって非腫瘍幹細胞上にも発現される。このため、それらのタンパク質は治療標的としては適切でないか、または少なくともあまり適切ではない。現在のところ、正常幹細胞マーカーとがん幹細胞マーカーとの明確な区別はない。
「結合剤」は、腫瘍関連糖鎖抗原、ならびに/または糖質および非糖質特異的抗原の組
合せなどの標的物質に個々にまたは組合せ(例えば、パネル)で結合することができる、任意の化合物または化合物複合体であり得る。好ましくは、結合剤は、標的物質に特異的に結合することができる。適切な結合剤は、標的物質に結合する結合剤を同定し/得るために、結合剤ライブラリーをスクリーニングすることによって得ることができる。それぞれの結合剤の例として、SSEA3、SSEA4、および/またはgloboHに対する抗体などの、糖質抗体(glycoantibody)が挙げられる。結合剤は、標的物質、ここでは腫瘍関連糖鎖抗原を特異的に認識し、結合することができるならば、いかなる構造であってもよい。結合剤は、抗体、その抗原結合性断片もしくは誘導体、または例えばアンチカリン(anticalin)もしくはレクチンなどの結合機能を提供するタンパク質足場を有する結合剤からなる群より選択することができる。結合剤は、結合機能を提供するペプチドまたは融合タンパク質であってもよい。抗体と類似の結合機能を有する結合剤の概要は、Heyら(Heyら(2005年)「Artificial, non-antibody binding proteins for pharmaceutical and industrial application」、Trends in Biotechnology 23巻(10号)、514~522頁)に記載されている。抗体誘導体には、同じ結合機能を有するが、例えば変化したアミノ酸配列を有する抗体または抗体断片も含まれる。
本明細書で使用される場合、SSEA3マーカーを標的化する例示的な結合剤は、内容全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第14/599,174号により報告されている。
本発明によれば、がんの「病期分類」は、好ましくは、がんの進行および程度の分類を指す。好ましいがん病期分類系は、悪性腫瘍のTNM分類であり、ここでTは、腫瘍のサイズ、および腫瘍が近くの組織に侵入しているかどうかを表し、Nは、関与する所属リンパ節を表し、Mは、遠隔転移を表す。これらのパラメーターのそれぞれは、患者の状況に応じた特定の値を示しており、一般に数値が高いほど、より重症度が高い状況を示す(T(0~4)、N(0~3)、M(0/1))。さらに、より詳細な分類については、さらなるパラメーターを決定することができ、かつ/または接頭辞を使用することができる。さらに、TNM分類は、病期0から病期IVのがんを参照する、UICCによるがん病期分類系にまとめることができる。
本発明によれば、「試料」は、特に、それらに限定されるものではないが、組織試料、体液および/または細胞試料を指し、例えばパンチ生検を含む組織生検による、またはがん細胞を含有するもしくは含有すると疑われる、血液、気管支吸引液、痰、尿、糞便もしくは他の体液もしくは組織切片、スライド等による従来の方式によって得ることができる。本発明によれば、用語「試料」はまた、それぞれの試料の画分または構成成分を含む。
本明細書で使用される用語「細胞増殖」および「増殖する」は、特に細胞分裂による細胞の増幅を指す。用語「がん幹細胞」は、特にそれに限定されるものではないが、in vitroにおいて適切な条件下で未分化細胞の凝集体、いわゆる腫瘍塊を生成する能力がある細胞に関する。塊を形成する細胞は、自己再生することができ、同条件下で解離し、成長すると、再び塊を形成する。in vivoでは、がん幹細胞は、転移を形成するそれらの潜在能力および例えばCD44などの幹細胞マーカーの発現によって特徴付けられる。がん幹細胞は、薬物耐性を付与するおそれもある。用語「がん幹細胞」および「がん始原細胞」は、本明細書では同義語として使用される。
用語「腫瘍関連糖鎖抗原」は、特に、がんおよび/または腫瘍細胞、特に悪性がんおよび/または悪性腫瘍細胞上に発現される糖鎖抗原を指す。
用語「腫瘍特異的な糖鎖抗原」は、特にがんおよび/または腫瘍細胞上に、主にまたはさらには排他的に発現され、したがって非がん性の、それぞれ非腫瘍性の細胞上には発現されず、または低い程度にしか発現されない糖鎖抗原を指す。好ましくは、用語「腫瘍特異的な糖鎖抗原」は、悪性がんおよび/または悪性腫瘍細胞上に、主にまたは好ましくは排他的に発現され、したがって同じ患者の非がん性の、それぞれ非腫瘍性の細胞上、良性がんおよび/もしくは良性腫瘍細胞上、ならびに/または健康な組織上には発現されず、または低い程度にしか発現されない糖鎖抗原を指す。優先的に、腫瘍特異的な糖鎖抗原は、ほとんどの正常細胞上には発現されず、さらにより好ましくは、わずかな正常細胞または細胞型上にしか発現されず、さらにより好ましくは、これらの正常細胞上の発現は、特別な局在性を有し、例えば厳密に頂端にあるか、または密着結合間にあり、したがって全身投与され、特にi.v.投与された結合分子は、これらの正常細胞上の抗原には到達できず、またはほとんど到達できず、さらにより好ましくは、正常な上皮細胞上には発現されず、最も好ましくは、正常細胞上には発現されない。ある特定の実施形態では、腫瘍特異的な糖鎖抗原は、発現されると担体分子に付着することができる。このような担体分子は、特にタンパク質、ペプチドまたは糖質であってよい。
「CD44」は、様々な分子量の接着分子(H-CAM、Pgp-1)である。CD44は、細胞表面のヒアルロナン受容体であり、マトリックスメタロプロテアーゼと相互作用し、細胞遊走において非常に重要な役割を果たす。CD44は、乳房、卵巣、膵臓、前立腺、結腸、胃、および他のがん型におけるがん幹細胞マーカーとして説明されている(Liら、2007年およびTakaishiら、2009年参照)。CD44は、正常な多能性幹細胞のマーカーでもある。
本発明者らは、CD24、CD44、SSEA3、PROCR、ESAなどのいくつかの腫瘍関連抗原が、がん幹細胞上に発現され、したがって新規ながん幹細胞マーカーとなることを示した。腫瘍関連糖鎖抗原をがん幹細胞マーカーとして同定することにより、前記腫瘍関連糖鎖抗原の1つまたは複数に特異的に結合する薬剤の、新規な治療上の適用が提供される。ここで、1つまたは複数のそれぞれの腫瘍関連糖鎖抗原に特異的に結合する薬剤は、前記腫瘍関連糖鎖抗原を発現するがん幹細胞を標的化するために、治療的に使用され得る。これにより、がん幹細胞を標的化し、好ましくは死滅させる治療的な処置の機会が提供される。それぞれの治療剤を使用して、例えば、標準的な化学療法に抵抗性を有するがん幹細胞を標的化し、したがって破壊することができる。その結果、本発明により、改善されたがん治療が提供される。一実施形態によれば、腫瘍関連糖鎖抗原は、乳がん幹細胞上に、主にまたはさらには排他的に発現される。別の実施形態によれば、腫瘍関連糖鎖抗原は、がん幹細胞、ならびにがん幹細胞ではないがん細胞上に発現される。このことには、腫瘍関連糖鎖抗原が両方の細胞集団上に発現される場合、腫瘍関連糖鎖抗原に特異的に結合する結合剤を用いる処置が両方の細胞集団を標的化できるという利点がある。
一実施形態によれば、1つまたは複数の腫瘍関連糖鎖抗原に特異的に結合する結合剤は、治療的に活性である。それぞれの実施形態の一例は、治療的に活性な抗体またはその抗原結合性断片または誘導体の、結合剤としての使用である。治療的に活性な抗体またはその抗原結合性断片または誘導体は、好ましくは、標的細胞、特に腫瘍関連糖鎖抗原を発現するがん幹細胞を好ましくは溶解させる、補体依存性細胞傷害(CDC)および/または抗体依存性細胞傷害(ADCC)を誘導することができる。さらなる一実施形態によれば、腫瘍関連糖鎖抗原に特異的に結合する結合剤は、標的化分子として機能し、少なくとも1種の治療剤にカップリングされる。カップリングは、共有結合的または非共有結合的な手段によって達成され得る。腫瘍関連糖鎖抗原に特異的に結合する結合剤が標的化分子として機能する場合、その結合剤自体が治療的に活性であってよく、または治療的に活性でなくてもよい。結合剤は、治療的に活性でない場合、基本的に、実際の治療剤(例えば、放射性医薬品、化学療法剤または毒素)を所望の標的作用側(target side
of action)、すなわち腫瘍関連糖鎖抗原を発現するがん幹細胞にもたらす分子担体として機能する。腫瘍関連糖鎖抗原に特異的に結合する結合剤にカップリングした治療剤は、例えば化学療法剤または他の抗がん薬物であり得る。前記カップリングした治療剤は、好ましくは標的化されたがん幹細胞を破壊もしくは死滅させ、またはがん幹細胞の増殖を阻害する。このことは、カップリングした治療剤によって直接達成され、または標的化されたがん幹細胞および/もしくは処置を受ける対象の適切な生物学的機構を誘導することによって間接的に達成され得る。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の腫瘍関連糖鎖抗原は、CD24、CD44、PROCR、ESA、CD176、CD175、CD175s、CD174、CD173およびCA19-9からなる群より選択されるマーカーの任意の1つまたは複数とさらに組み合わせることができる。
本発明のさらなる態様によれば、腫瘍関連糖鎖抗原に特異的に結合する結合剤を用いる処置に対して感受性であるがん幹細胞を含むがんを同定する方法であって、前記処置が、がん幹細胞に作用をもたらし、前記方法が、患者から得られたがん試料が、結合剤が特異的である腫瘍関連糖鎖抗原を発現するがん幹細胞を含むかどうかを決定するステップを含み、がん幹細胞上の前記腫瘍関連糖鎖抗原の存在が、がんが前記腫瘍関連糖鎖抗原に特異的に結合する結合剤を用いる処置に対して感受性であることを示し、前記処置が、がん幹細胞にも作用をもたらす方法が提供される。
本発明によるこの方法により、がんのがん幹細胞が、腫瘍関連糖鎖抗原に特異的に結合する結合剤を用いる処置に対して感受性であるかどうかを試験することができる。この方法の結果は、有益な診断情報を医師に提供する。例えば、がんが前記腫瘍関連糖鎖抗原を発現しないがん幹細胞を含み得る場合、前記腫瘍関連糖鎖抗原に特異的に結合する結合剤を用いる処置は、がん幹細胞に影響を与えない場合があり、したがってがん幹細胞に対して役に立たない可能性がある。しかし前記方法によって、がん幹細胞が、結合剤が特異的な前記腫瘍関連糖鎖抗原を発現することが示される場合、前記結合剤を用いる処置が、がん幹細胞を標的化し、したがってがん幹細胞に影響を及ぼす可能性も高い。したがって、本発明による方法は、医師が、患者にとって最良の治療を選択し、ある特定の処置ががんのがん幹細胞に影響を及ぼすかどうかを推定するための有益な助けを提供する。
関係する診断態様によれば、がんを診断、病期分類および/もしくは予後診断し、かつ/または処置に対する感受性をモニターする方法であって、患者から単離された試料中の細胞上の腫瘍関連糖鎖抗原の発現を分析するステップを含み、腫瘍関連糖鎖抗原を発現する細胞の存在が、前記試料中のがん幹細胞の存在を示す方法が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、がん幹細胞の集団を同定する方法であって、a)がん細胞の出発集団を提供するステップと、b)1つまたは複数の腫瘍関連糖鎖抗原の発現レベルを決定するステップと、c)ステップb)で決定された前記1つまたは複数の腫瘍関連糖鎖抗原の発現レベルが、対照細胞と比較して増大している細胞の集団を選択するステップと(前記選択された細胞の集団は、がん幹細胞である)、d)任意選択で、ステップc)で選択された前記細胞の集団を単離および/または富化するステップとを含み、前記対照細胞が、前記1つまたは複数の腫瘍関連糖鎖抗原を発現しないか、または低レベルの前記1つまたは複数の腫瘍関連糖鎖抗原を発現する、同じ出発がん細胞集団由来の細胞である、方法が提供される。一部の実施形態では、腫瘍関連糖鎖抗原は、SSEA3、SSEA4、およびGloboH抗原からなる一覧から選択される。一部の実施形態では、b)の決定するステップは、1つまたは複数の追加の腫瘍関連抗原の発現レベルを決定することをさらに含み、また、c)およびd)の選択するステップおよび単離するステップは、それぞれ、前記1つまたは複数の追加の腫瘍関連抗原の発現レベルを検討することを含
む。一部の実施形態では、1つまたは複数の腫瘍関連抗原には、CD24、CD44、PROCR、ESA、CD176、CD175、CD175s、CD174、CD173およびCA19-9抗原が含まれるが、それらに限定されない。一部の実施形態では、b)の決定するステップおよび/またはd)の単離するステップは、FACSを使用して実施される。一部の実施形態では、前記1つまたは複数の腫瘍関連糖鎖抗原の発現レベルは、対照細胞と比較して高いか、または高く増大されている。一部の実施形態では、前記1つまたは複数の腫瘍関連糖鎖抗原の発現レベルは、対照細胞と比較して低いか、またはそれほど増大していない。
患者試料中のがん幹細胞の存在は、がんの病期を示し得る。さらに、がん幹細胞の検出を使用して、治療への応答をモニターし、予後診断の助けとすることができる。本発明による方法によって得られた情報は、疾患の加速に対する感受性の分析、疾患の能動的モニタリングによる分析を含む予後診断および診断において有用であり、その場合、がんが進行しているかどうか、例えば処置が必要であるかどうか、病状の状況、環境変化、例えば時間経過への応答、選択された治療剤、特に前述の結合剤を用いる処置、または他のモダリティが分析される。試料に含有されている細胞が、腫瘍関連糖鎖抗原を発現するかどうか、したがって試料ががん幹細胞を含むかどうかを分析することによって、細胞を、治療剤および処置に応答するそれらの能力に関して分類することもできる。さらに、得られた情報は、がんの転移挙動を決定し、かつ/または予測するのに有用である。
本発明による診断方法の一態様によれば、がん幹細胞上に発現された1つまたは複数の腫瘍関連糖鎖抗原に特異的に結合する本発明による結合剤は、in vivo診断、特にin vivoイメージングのために使用される。それぞれの方法は、診断目的にも有用である。例えば、がん幹細胞上に発現された腫瘍関連糖鎖抗原を発現するがん細胞が、患者において同定され、かつ/または位置し得るかどうかを決定することができる。この場合、がん幹細胞が存在する危険性がある。本明細書を通して説明される通り、がん幹細胞の性質を確認および/または決定するための第2の幹細胞マーカーがさらに検出されることが好ましい。さらに、例えば腫瘍サイズが縮小しているかどうか、または転移(metases)が発症しているかどうかを決定することができるので、治療に対する応答をモニターすることができる。さらに、それぞれの方法は、患者にとって適切な投与量を同定するのに有利である。一実施形態によれば、結合剤は標識化され、例えば放射性核種を含む放射性医薬品となる。しかし結合剤は、例えばin vivoイメージングを可能にするPETトレーサーなどの他の薬剤/化合物にカップリングすることもできる。適切な化合物は、従来技術で公知であり、したがって、ここでさらなる説明は必要ない。結合剤、腫瘍関連糖鎖抗原、さらなるがん幹細胞マーカーおよびがん型に関する詳細は、本明細書を通して説明されており、in vivoイメージングの実施形態にも適用される。それぞれの開示を参照のこと。
一実施形態によれば、がん細胞を含有するまたは含有すると疑われる試料は、腫瘍関連糖鎖抗原、好ましくは腫瘍特異的な糖鎖抗原に特異的に結合する少なくとも1つの薬剤、したがって糖質がん幹細胞マーカー、および任意選択でCD44などの少なくとも1つの第2のがん幹細胞マーカーに特異的に結合する少なくとも1つのさらなる薬剤と接触させられ、好ましくは染色される。これにより、試料中のがん幹細胞の存在が検出される。一実施形態によれば、腫瘍関連糖鎖抗原に対する結合剤の結合、好ましくは第2のがん幹細胞マーカーに対する結合剤の結合は、当技術分野で公知の、本明細書に記載されている適切な検出方法によって検出される。適切な検出方法は、例えばELISA、FACS、蛍光顕微鏡法等である。
本発明の方法によって分析される試料は、様々な供給源から、特に生検試料から得ることができる。このような試料の細胞は、遠心分離、水ひ、密度勾配分離、アフェレーシス
、アフィニティー選択、パニング、FACS、ハイパックを用いる遠心分離等によって、分析前に分離することができる。試料が得られたら、直接使用し、凍結し、もしくは短期間の間、適切な培養培地中で維持することができ、または適切な固定化溶液で固定化し、または組織学的(histologigal)もしくは免疫組織学的試験に適した媒体で固定化し、それに包埋することができる。様々な培地を用いて、細胞を維持することができる。試料は、生検などの任意の好都合な手順によって、または外科的標本から得ることができる。通常、試料は、少なくとも約102個の細胞、さらに通常は少なくとも約103個の細胞、好ましくは104個、105個またはそれを超える細胞を含む。一実施形態では、試料は、10個の細胞を含む。一実施形態では、試料は、細胞10~100個の任意の数の細胞を含む。一実施形態では、試料は、細胞10~1000個の任意の数の細胞を含む。一実施形態では、試料は、細胞1~10個の任意の数の細胞を含む。典型的に、試料は、ヒト患者から得られるが、動物モデル、例えばウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、げっ歯類、例えばマウス、ラット、ハムスター、霊長類等を使用することができる。
試料は、凍結し、包埋し、固定化し、組織マイクロアレイ等中に存在することができる。腫瘍関連糖鎖抗原に結合し、それらを検出し、特に染色するために使用される薬剤、および任意選択でさらなるがん幹細胞マーカーは、例えば抗体などのがん幹細胞マーカーに特異的に結合する、例えば結合剤であってよい。適切な例は、前述されている。これらの薬剤は、検出可能に標識化することができ、または染色手順で間接的に標識化することができる。一実施形態によれば、標識は、腫瘍関連糖鎖抗原陽性細胞を分離するために使用することもできる。適切な標識ならびに染色手順は、従来技術で公知であり、したがって、いくつかの例が本明細書に記載されているが、ここではさらなる説明は必要ない。分析のための標準手順は、例えば実施例に記載されている通り、試料の組織学的固定化(例えばホルマリンによる)、およびその後の染色を含み得る。得られたデータにより、試料中のがん幹細胞の数および分布を決定することができる。
腫瘍関連糖鎖抗原を発現する細胞の検出および/または定量化に適した方法には、例えば免疫アッセイ、例えばELISA、RIA、ウエスタンブロットおよび免疫組織化学、フローサイトメトリー、免疫組織化学等が含まれる。
候補治療剤のスクリーニングアッセイでは、通常、目的の腫瘍関連糖鎖抗原を発現するがん幹細胞を含む培養物を、目的の結合剤と接触させ、薬剤の効果を、出力パラメーター、例えばマーカーの発現、細胞生存度等をモニターすることによって評価する。スクリーニングは、候補治療剤の非存在下での細胞の成長、増殖、生存度、および/または分化状況と比較して、候補治療剤の存在下での細胞の成長、増殖、生存度、および/または分化状況の調節を決定することを含むこともできる。
1つまたは複数の腫瘍関連糖鎖抗原を発現するがん幹細胞が高度に富化された、単離される細胞集団は、これらのマーカーを使用して単離し、富化/精製することができる。一部の実施形態では、前記がん幹細胞集団は、血液などの循環から単離される。一部の実施形態では、前記がん幹細胞集団は、腫瘍試料から単離され、またはがん患者から得られた胸水もしくは他の体液から単離される。
化学的定義
特定の官能基および化学用語の定義を以下により詳細に説明する。化学元素は、the
Periodic Table of the Elements, CAS version、Handbook of Chemistry and Physics、75版、内表紙に従って識別され、特定の官能基は一般に、その中に記載されているように定義される。さらに、有機化学の一般的原理、ならびに特定の機能性部分および反応性は、Thomas Sorrell、Organic Chemistry、Univer
sity Science Books、Sausalito、1999年;SmithおよびMarch、March’s Advanced Organic Chemistry、5版、John Wiley & Sons, Inc.、New York、2001年;Larock、Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers, Inc.、New York、1989年;ならびにCarruthers、Some Modern Methods of Organic Synthesis、3版、Cambridge University Press、Cambridge、1987年に記載されている。さらに、例示的なグリカンおよび抗体方法論は、Wongら、US20100136042、US20090317837、およびUS20140051127に記載されており、それらの各々の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載の化合物は、1つまたは複数の不斉中心を含むことができ、したがって、様々な立体異性体、例えば、異性体および/またはジアステレオマーで存在し得る。例えば、本明細書に記載の化合物は、個々の鏡像異性体、ジアステレオマー、もしくは幾何異性体の形態であり得、またはラセミ混合物および1種または複数の立体異性体に富む混合物を含めた、立体異性体の混合物の形態であり得る。異性体は、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、ならびにキラル塩の形成および結晶化を含めた当業者に公知の方法によって混合物から単離することができ、または好適な異性体を不斉合成によって調製することができる。例えば、Jacquesら、Enantiomers, Racemates and Resolutions(Wiley Interscience、New York、1981年);Wilenら、Tetrahedron、33巻:2725頁(1977年);Eliel、Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw-Hill、NY、1962年);およびWilen、Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions、268頁(E.L. Eliel編、Univ.
of Notre Dame Press、Notre Dame、IN、1972年)を参照。本発明は、他の異性体を実質的に含まない個々の異性体としての化合物、および代わりに、様々な異性体の混合物としての本明細書に記載の化合物をさらに包含する。
値の範囲が列挙されている場合、これは、その範囲内の各値およびサブ範囲を包含するように意図されている。例えば、「C1~6」は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C1~6、C1~5、C1~4、C1~3、C1~2、C2~6、C2~5、C2~4、C2~3、C3~6、C3~5、C3~4、C4~6、C4~5、およびC5~6を包含するように意図されている。
「アルキル」は、1~20個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖飽和炭化水素基のラジカル(「C1~20アルキル」)を指す。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~10個の炭素原子を有する(「C1~10アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~9個の炭素原子を有する(「C1~9アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~8個の炭素原子を有する(「C1~8アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~7個の炭素原子を有する(「C1~7アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~6個の炭素原子を有する(「C1~6アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~5個の炭素原子を有する(「C1~5アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~4個の炭素原子を有する(「C1~4アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~3個の炭素原子を有する(「C1~3アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~2個の炭素原子を有する(「C1~2アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1個の炭素原子を有する(「C1アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、2~6個の炭素原子を有する(「C2~6アルキル」)。C1~6アルキ
ル基の例としては、メチル(C1)、エチル(C2)、n-プロピル(C3)、イソプロピル(C3)、n-ブチル(C4)、tert-ブチル(C4)、sec-ブチル(C4)、iso-ブチル(C4)、n-ペンチル(C5)、3-ペンタニル(C5)、アミル(C5)、ネオペンチル(C5)、3-メチル-2-ブタニル(C5)、3級アミル(C5)、およびn-ヘキシル(C6)がある。アルキル基の追加の例としては、n-ヘプチル(C7)、n-オクチル(C8)などがある。別段の指定のない限り、アルキル基の各事例は独立に、任意選択で置換されており、すなわち、非置換であるか(「非置換アルキル」)、または1つもしくは複数の置換基で置換されている(「置換アルキル」)。ある特定の実施形態では、アルキル基は、非置換C1~10アルキル(例えば、-CH3)である。ある特定の実施形態では、アルキル基は、置換C1~10アルキルである。
「アルケニル」は、2~20個の炭素原子、および1つまたは複数の炭素間二重結合を有し、三重結合を有しない直鎖または分岐鎖炭化水素基のラジカル(「C2~20アルケニル」)を指す。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2~10個の炭素原子を有する(「C2~10アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2~9個の炭素原子を有する(「C2~9アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2~8個の炭素原子を有する(「C2~8アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2~7個の炭素原子を有する(「C2~7アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2~6個の炭素原子を有する(「C2~6アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2~5個の炭素原子を有する(「C2~5アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2~4個の炭素原子を有する(「C2~4アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2~3個の炭素原子を有する(「C2~3アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2個の炭素原子を有する(「C2アルケニル」)。1つまたは複数の炭素間二重結合は、内部(2-ブテニル中など)または末端(1-ブテニル中など)であり得る。C2~4アルケニル基の例としては、エテニル(C2)、1-プロペニル(C3)、2-プロペニル(C3)、1-ブテニル(C4)、2-ブテニル(C4)、ブタジエニル(C4)などがある。C2~6アルケニル基の例としては、上述のC2~4アルケニル基、およびペンテニル(C5)、ペンタジエニル(C5)、ヘキセニル(C6)などがある。アルケニルの追加の例としては、ヘプテニル(C7)、オクテニル(C8)、オクタトリエニル(C8)などがある。別段の指定のない限り、アルケニル基の各事例は独立に、任意選択で置換されており、すなわち、非置換であるか(「非置換アルケニル」)、または1つもしくは複数の置換基で置換されている(「置換アルケニル」)。ある特定の実施形態では、アルケニル基は、非置換C2~10アルケニルである。ある特定の実施形態では、アルケニル基は、置換C2~10アルケニルである。
「アルキニル」は、2~20個の炭素原子、1つまたは複数の炭素間三重結合、および任意選択で1つまたは複数の二重結合を有する直鎖または分岐鎖炭化水素基のラジカル(「C2~20アルキニル」)を指す。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2~10個の炭素原子を有する(「C2~10アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2~9個の炭素原子を有する(「C2~9アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2~8個の炭素原子を有する(「C2~8アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2~7個の炭素原子を有する(「C2~7アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2~6個の炭素原子を有する(「C2~6アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2~5個の炭素原子を有する(「C2~5アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2~4個の炭素原子を有する(「C2~4アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2~3個の炭素原子を有する(「C2~3アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2個の炭素原子を有する(「C2アルキニル」)。1つまたは複数の炭素間三重結合は、内部(2-ブチニル中など)または末端(1-ブチニル
中など)にあり得る。C2~4アルキニル基の例としては、限定することなく、エチニル(C2)、1-プロピニル(C3)、2-プロピニル(C3)、1-ブチニル(C4)、2-ブチニル(C4)などがある。C2~6アルケニル基の例としては、上述のC2~4アルキニル基、およびペンチニル(C5)、ヘキシニル(C6)などがある。アルキニルの追加の例としては、ヘプチニル(C7)、オクチニル(C8)などがある。別段の指定のない限り、アルキニル基の各事例は独立に、任意選択で置換されており、すなわち、非置換であるか(「非置換アルキニル」)、または1つもしくは複数の置換基で置換されている(「置換アルキニル」)。ある特定の実施形態では、アルキニル基は、非置換C2~10アルキニルである。ある特定の実施形態では、アルキニル基は、置換C2~10アルキニルである。
「ヘテロシクリル」または「複素環式」は、環炭素原子、ならびに各ヘテロ原子が独立に、窒素、酸素、硫黄、ホウ素、リンおよびケイ素から選択される、1~4個の環ヘテロ原子を有する3~10員非芳香族環系のラジカル(「3~10員ヘテロシクリル」)を指す。ある特定の実施形態では、ヘテロ原子は、独立に、窒素、硫黄および酸素から選択される。1つまたは複数の窒素原子を含有するヘテロシクリル基では、付着点は、結合価が許容する場合、炭素または窒素原子であり得る。ヘテロシクリル基は、単環式(「単環式ヘテロシクリル」)または縮合環系、架橋環系、もしくはスピロ環系、例えば、二環系(「二環式ヘテロシクリル」)であり、飽和または部分的に不飽和であり得る。ヘテロシクリル二環式環系は、一方または両方の環中に1つまたは複数のヘテロ原子を含むことができる。また「ヘテロシクリル」には、先に定義の複素環が、1つもしくは複数のカルボシクリル基と縮合しており、その付着点が、カルボシクリルもしくは複素環のいずれかの上にある環系、または先に定義の複素環が、1つもしくは複数のアリールもしくはヘテロアリール基と縮合しており、その付着点が、複素環上にある環系が含まれ、このような場合、環員の数は、継続して複素環系中の環員の数を示す。別段の指定のない限り、ヘテロシクリルの各事例は独立に、任意選択で置換されており、すなわち、非置換であるか(「非置換ヘテロシクリル」)、または1つもしくは複数の置換基で置換されている(「置換ヘテロシクリル」)。ある特定の実施形態では、ヘテロシクリル基は、非置換3~10員ヘテロシクリルである。ある特定の実施形態では、ヘテロシクリル基は、置換3~10員ヘテロシクリルである。
「アリール」は、6~14個の環炭素原子を有し、芳香族環系内のヘテロ原子がゼロである単環式または多環式(例えば、二環式もしくは三環式)4n+2芳香族環系(例えば、環アレイ内に6、10、または14個のπ電子が共有された)のラジカル(「C6~14アリール」)を指す。いくつかの実施形態では、アリール基は、6個の環炭素原子を有する(「C6アリール」;例えば、フェニル)。いくつかの実施形態では、アリール基は、10個の環炭素原子を有する(「C10アリール」;例えば、1-ナフチルおよび2-ナフチルなどのナフチル)。いくつかの実施形態では、アリール基は、14個の環炭素原子を有する(「C14アリール」;例えば、アントラシル)。「アリール」は、上記に定義したアリール環が1つもしくは複数のカルボシクリルもしくはヘテロシクリル基と縮合されており、ラジカルもしくは付着点がアリール環上にある環系も含み、このような事例では、炭素原子の番号は、アリール環系の炭素原子の数を指定するように続く。別段の指定のない限り、アリール基の各事例は独立に、任意選択で置換されており、すなわち、非置換であるか(「非置換アリール」)、または1つもしくは複数の置換基で置換されている(「置換アリール」)。ある特定の実施形態では、アリール基は、非置換C6~14アリールである。ある特定の実施形態では、アリール基は、置換C6~14アリールである。
二価の架橋基である本明細書で定義のアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリール基は、さらに、接尾辞-エンを
使用して、例えばアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、カルボシクリレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、およびヘテロアリーレンを指す。
用語「アルコキシ」または「アルキルオキシ」は、-O-アルキルラジカルを指し、ここでアルキルは、本明細書で定義の任意選択で置換されているアルキルである。アルコキシの例として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、およびtert-ブトキシが挙げられるが、それらに限定されない。
用語「アリールオキシ」は、-O-アリールを指し、ここでアリールは、本明細書で定義の任意選択で置換されているアリールである。
本明細書で使用される用語「任意選択で置換されている」は、置換または非置換部分を指す。
本明細書に定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリール基は、任意選択で置換されている(例えば、「置換」もしくは「非置換」アルキル、「置換」もしくは「非置換」アルケニル、「置換」もしくは「非置換」アルキニル「置換」もしくは「非置換」カルボシクリル、「置換」もしくは「非置換」ヘテロシクリル、「置換」もしくは「非置換」アリール、または「置換」もしくは「非置換」ヘテロアリール基)。一般に、用語「置換された」は、用語「任意選択で」が前に付くかどうかによらず、基(例えば、炭素原子または窒素原子)に存在する少なくとも1個の水素が、許容できる置換基、例えば、置換すると安定化合物、例えば、転位、環化、脱離、または他の反応などによる変換を自発的に起こさない化合物をもたらす置換基と置き換えられていることを意味する。別段の指定のない限り、「置換された」基は、その基の1つまたは複数の置換可能な位置で置換基を有し、任意の所与の構造中で1つを超える位置が置換されている場合、置換基は、各位置で同じであり、または異なっている。用語「置換された」は、有機化合物のすべての許容できる置換基、安定化合物の形成をもたらす本明細書に記載の置換基のいずれかとの置換を含むように企図されている。本発明は、安定化合物に到達するための任意かつすべてのこのような組合せを企図する。本発明の目的のために、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基および/またはヘテロ原子の原子価を満たし、安定部分の形成をもたらす本明細書に記載の任意の適当な置換基を有し得る。
「ハロ」または「ハロゲン」は、フッ素(フルオロ、-F)、塩素(クロロ、-Cl)、臭素(ブロモ、-Br)、またはヨウ素(ヨード、-I)を指す。
本明細書で使用される「アシル」は、-C(=O)Raa、-CHO、-CO2Raa、-C(=O)N(Rbb)2、-C(=NRbb)Raa、-C(=NRbb)ORaa、-C(=NRbb)N(Rbb)2、-C(=O)NRbbSO2Raa、-C(=S)N(Rbb)2、-C(=O)SRaa、および-C(=S)SRaaからなる群より選択される部分を指し、ここでRaaおよびRbbは、本明細書で定義の通りである。
窒素原子は、価数によって可能な限り、置換または非置換であってよく、窒素原子には、第一級、第二級、第三級、および第四級窒素原子が含まれる。例示的な窒素原子置換基として、水素、-OH、-ORaa、-N(Rcc)2、-CN、-C(=O)Raa、-C(=O)N(Rcc)2、-CO2Raa、-SO2Raa、-C(=NRbb)Raa、-C(=NRcc)ORaa、-C(=NRcc)N(Rcc)2、-SO2N(Rcc)2、-SO2Rcc、-SO2ORcc、-SORaa、-C(=S)N(Rcc)2、-C(=O)SRcc、-C(=S)SRcc、-P(=O)2Raa、-P(
=O)(Raa)2、-P(=O)2N(Rcc)2、-P(=O)(NRcc)2、C1~10アルキル、C1~10ペルハロアルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10カルボシクリル、3~14員ヘテロシクリル、C6~14アリール、および5~14員ヘテロアリールが挙げられるが、これらに限定されず、または窒素原子に結合した2個のRcc基は、接合されて3~14員ヘテロシクリルもしくは5~14員ヘテロアリール環を形成し、各アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立に、0、1、2、3、4、もしくは5個のRdd基と置換されており、ここで、Raa、Rbb、RccおよびRddは、上で定義された通りである。
ある特定の実施形態では、酸素原子上に存在する置換基は、酸素保護基(ヒドロキシル保護基とも呼ばれる)である。酸素保護基としては、それだけに限らないが、-Raa、-N(Rbb)2、-C(=O)SRaa、-C(=O)Raa、-CO2Raa、-C(=O)N(Rbb)2、-C(=NRbb)Raa、-C(=NRbb)ORaa、-C(=NRbb)N(Rbb)2、-S(=O)Raa、-SO2Raa、-Si(Raa)3、-P(Rcc)2、-P(Rcc)3、-P(=O)2Raa、-P(=O)(Raa)2、-P(=O)(ORcc)2、-P(=O)2N(Rbb)2、および-P(=O)(NRbb)2があり、式中、Raa、Rbb、およびRccは、本明細書で定義した通りである。酸素保護基は、当技術分野で周知であり、本明細書に組み込まれているProtecting Groups in Organic Synthesis、T. W. GreeneおよびP. G. M. Wuts、3版、John Wiley & Sons、1999年に記載されたものを含む。
例示的な酸素保護基としては、それだけに限らないが、メチル、メトキシルメチル(MOM)、メチルチオメチル(MTM)、t-ブチルチオメチル、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチル(SMOM)、ベンジルオキシメチル(BOM)、p-メトキシベンジルオキシメチル(PMBM)、(4-メトキシフェノキシ)メチル(p-AOM)、グアイアコルメチル(guaiacolmethyl)(GUM)、t-ブトキシメチル、4-ペンテニルオキシメチル(POM)、シロキシメチル、2-メトキシエトキシメチル(MEM)、2,2,2-トリクロロエトキシメチル、ビス(2-クロロエトキシ)メチル、2-(トリメチルシリル)エトキシメチル(SEMOR)、テトラヒドロピラニル(THP)、3-ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1-メトキシシクロヘキシル、4-メトキシテトラヒドロピラニル(MTHP)、4-メトキシテトラヒドロチオピラニル、4-メトキシテトラヒドロチオピラニルS,S-ジオキシド、1-[(2-クロロ-4-メチル)フェニル]-4-メトキシピペリジン-4-イル(CTMP)、1,4-ジオキサン-2-イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、2,3,3a,4,5,6,7,7a-オクタヒドロ-7,8,8-トリメチル-4,7-メタノベンゾフラン-2-イル、1-エトキシエチル、1-(2-クロロエトキシ)エチル、1-メチル-1-メトキシエチル、1-メチル-1-ベンジルオキシエチル、1-メチル-1-ベンジルオキシ-2-フルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-トリメチルシリルエチル、2-(フェニルセレニル)エチル、t-ブチル、アリル、p-クロロフェニル、p-メトキシフェニル、2,4-ジニトロフェニル、ベンジル(Bn)、p-メトキシベンジル、3,4-ジメトキシベンジル、o-ニトロベンジル、p-ニトロベンジル、p-ハロベンジル、2,6-ジクロロベンジル、p-シアノベンジル、p-フェニルベンジル、2-ピコリル、4-ピコリル、3-メチル-2-ピコリルN-オキシド、ジフェニルメチル、p,p’-ジニトロベンズヒドリル、5-ジベンゾスベリル、トリフェニルメチル、α-ナフチルジフェニルメチル、p-メトキシフェニルジフェニルメチル、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル、トリ(p-メトキシフェニル)メチル、4-(4’-ブロモフェナシルオキシフェニル)ジフェニルメチル、4,4’,4”-トリス(4,5-ジクロロフタルイミドフェニル)メチル、4,4’,4”-ト
リス(レブリノイルオキシフェニル)メチル、4,4’,4”-トリス(ベンゾイルオキシフェニル)メチル、3-(イミダゾール-1-イル)ビス(4’,4”-ジメトキシフェニル)メチル、1,1-ビス(4-メトキシフェニル)-1’-ピレニルメチル、9-アントリル、9-(9-フェニル)キサンテニル、9-(9-フェニル-10-オキソ)アントリル、1,3-ベンゾジチオラン-2-イル、ベンゾイソチアゾリルS,S-ジオキシド、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、ジメチルイソプロピルシリル(IPDMS)、ジエチルイソプロピルシリル(DEIPS)、ジメチルテキシルシリル、t-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリベンジルシリル、トリ-p-キシリルシリル、トリフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル(DPMS)、t-ブチルメトキシフェニルシリル(TBMPS)、ホルメート、ベンゾイルホルメート、アセテート、クロロアセテート、ジクロロアセテート、トリクロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、フェノキシアセテート、p-クロロフェノキシアセテート、3-フェニルプロピオネート、4-オキソペンタノエート(レブリネート)、4,4-(エチレンジチオ)ペンタノエート(レブリノイルジチオアセタール)、ピバロエート、アダマントエート、クロトネート、4-メトキシクロトネート、ベンゾエート、p-フェニルベンゾエート、2,4,6-トリメチルベンゾエート(メシトエート)、炭酸メチル、9-フルオレニルメチルカーボネート(Fmoc)、炭酸エチル、2,2,2-トリクロロエチルカーボネート(Troc)、2-(トリメチルシリル)エチルカーボネート(TMSEC)、2-(フェニルスルホニル)エチルカーボネート(Psec)、2-(トリフェニルホスホニオ)エチルカーボネート(Peoc)、炭酸イソブチル、炭酸ビニル、炭酸アリル、t-ブチルカーボネート(BOC)、p-ニトロフェニルカーボネート、炭酸ベンジル、p-メトキシベンジルカーボネート、3,4-ジメトキシベンジルカーボネート、o-ニトロベンジルカーボネート、p-ニトロベンジルカーボネート、S-ベンジルチオカーボネート、4-エトキシ-1-ナフチル(napththyl)カーボネート、メチルジチオカーボネート、2-ヨードベンゾエート、4-アジドブチレート、4-ニトロ-4-メチルペンタノエート、o-(ジブロモメチル)ベンゾエート、2-ホルミルベンゼンスルホネート、2-(メチルチオメトキシ)エチル、4-(メチルチオメトキシ)ブチレート、2-(メチルチオメトキシメチル)ベンゾエート、2,6-ジクロロ-4-メチルフェノキシアセテート、2,6-ジクロロ-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノキシアセテート、2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェノキシアセテート、クロロジフェニルアセテート、イソブチレート、モノスクシノエート、(E)-2-メチル-2-ブテノエート、o-(メトキシアシル)ベンゾエート、α-ナフトエート、ニトレート、アルキルN,N,N’,N’-テトラメチルホスホロジアミデート、アルキルN-フェニルカルバメート、ボレート、ジメチルホスフィノチオイル、アルキル2,4-ジニトロフェニルスルフェネート、スルフェート、メタンスルホネート(メシレート)、ベンジルスルホネート、およびトシレート(Ts)がある。
他の定義
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、状況によって別段明示されない限り、複数の参照物を含むことに留意しなければならない。同様に、用語「1つの(a)」(または「1つの(an)」)、「1つまたは複数の」および「少なくとも1つの」は、本明細書では交換可能に使用することができる。用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」も、交換可能に使用することができる。
本発明の実施では、そうでないことが指し示されない限りにおいて、当該分野の技量の範囲内にある、分子生物学、微生物学、組換えDNA、および免疫学の従来の技法を使用
する。このような技法については、文献中で十分に説明されている。例えば、Molecular Cloning A Laboratory Manual,2nd Ed.,ed.by Sambrook,Fritsch and Maniatis(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989);DNA Cloning, Volumes I and II(D.N.Glover ed.,1985);Culture Of Animal Cells(R.I.Freshney,Alan R.Liss,Inc.,1987);Immobilized Cells And Enzymes(IRL Press,1986);B.Perbal,A Practical Guide To Molecular Cloning(1984);論文、Methods In Enzymology(Academic Press,Inc.,N.Y.);Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells(J.H.Miller and M.P.Calos eds.,1987,Cold Spring Harbor Laboratory);Methods In Enzymology, Vols.154
and 155(Wuら、eds.),Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology(Mayer and Walker,eds.,Academic Press,London,1987);Antibodies:A Laboratory Manual,by Harlow and Lane s(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1988);およびHandbook Of Experimental Immunology,Volumes I-IV(D.M.Weir and
C.C.Blackwell,eds.,1986)を参照のこと。
本明細書で使用される「グリカン」という用語は、多糖またはオリゴ糖を指す。本明細書では、グリカンはまた、糖タンパク質、糖脂質、グリコペプチド、糖プロテオーム、ペプチドグリカン、リポ多糖、またはプロテオグリカンなど、複合糖質の炭水化物部分を指すのにも使用される。グリカンは通例、単糖間のO-グリコシド連結だけからなる。例えば、セルロースとは、β-1,4連結D-グルコースから構成されるグリカン(または、より具体的には、グルカン)であり、キチンとは、β-1,4連結N-アセチル-D-グルコサミンから構成されるグリカンである。グリカンは、単糖残基のホモポリマーの場合も、ヘテロポリマーの場合もあり、直鎖状の場合も、分枝状の場合もある。グリカンは、糖タンパク質内およびプロテオグリカン内の場合と同様に、タンパク質に付着して見出される場合もある。グリカンは一般に、細胞の外部表面上で見出される。真核生物では、O連結型グリカンおよびN連結型グリカンが非常に一般的であるが、原核生物でも、それほど一般的ではないが、見出されうる。N連結型グリカンは、シークオン(sequon)内のアスパラギンのR基窒素(N)に付着して見出される。シークオンとは、Asn-X-Ser配列またはAsn-X-Thr配列[配列中、Xは、プロリン(praline)を除く任意のアミノ酸である]である。
本明細書で使用される「抗原」という用語は、免疫応答を誘発することが可能な任意の物質と定義される。
本明細書で使用される「免疫原性」という用語は、免疫原、抗原、またはワクチンが、免疫応答を刺激する能力を指す。
本明細書で使用される「CD1d」という用語は、多様なヒト抗原提示細胞の表面上で発現する、糖タンパク質のCD1(表面抗原分類(cluster of differentiation)1)ファミリーのメンバーを指す。CD1dを提示した脂質抗原は、ナチュラルキラーT細胞を活性化させる。CD1dは、糖脂質抗原が結合する、深い抗原結合溝を有する。樹状細胞上で発現するCD1d分子は、C34など、アルファGal
Cer類似体を含む糖脂質に結合し、これらを提示しうる。
本明細書で使用される「エピトープ」という用語は、抗体またはT細胞受容体の抗原結合性部位に接触する、抗原分子の部分と定義される。
本明細書で使用される「ワクチン」という用語は、全病原生物(死滅させるかまたは弱毒化した)、またはこのような生物の構成要素であって、生物が引き起こす疾患に対する免疫を付与するのに使用される、タンパク質、ペプチド、または多糖などの構成要素からなる抗原を含有する調製物を指す。ワクチン調製物は、天然、合成、または組換えDNA技術により導出される場合がある。
本明細書で使用される「抗原特異的」という用語は、特定の抗原または抗原の断片を供給する結果として、特異的細胞増殖がもたらされるような細胞集団の特性を指す。
本明細書で使用される「特異的に結合すること」という用語は、結合対(例えば、抗体および抗原)の間の相互作用を指す。多様な場合において、特異的に結合することは、約10~6モル/リットル、約10~7モル/リットル、もしくは約10~8モル/リットル、またはそれ未満のアフィニティー定数により具体化することができる。
本明細書で使用される用語「フローサイトメトリー」または「FACS」は、流体のストリームに懸濁した粒子または細胞の物理特性および化学特性を、光学的および電子的な検出デバイスによって調査するための技術を意味する。
本明細書で使用される糖酵素という用語は、グロボ系生合成経路における酵素を少なくとも部分的に指す。例示的な糖酵素として、アルファ-4GalT、ベータ-4GalNAcT-I、またはベータ-3GalT-V酵素が挙げられる。
本明細書で使用される用語「グロボ系経路」は、図1に記載の生化学経路を指す。
「単離」抗体とは、その天然環境の構成要素から同定および分離ならびに/または回収された抗体である。その天然環境の夾雑構成要素は、抗体の研究的使用、診断的使用、または治療的使用に干渉する物質であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性溶質または非タンパク質性溶質を含みうる。一実施形態では、抗体を(1)例えば、ローリー法により決定される通り、抗体の95重量%超まで精製し、一部の実施形態では、99重量%超まで精製するか(2)例えば、スピニングカップ型シークェネーターを使用することにより、N末端のアミノ酸配列もしくは内部アミノ酸配列のうちの少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで精製するか、または(3)例えば、クーマシーブルーもしくは銀染色を使用して、還元条件下もしくは非還元条件下で、SDS-PAGEにより、均質性まで精製する。抗体の天然環境の少なくとも1つの構成要素が存在しないので、単離抗体は、組換え細胞内のin situの抗体を含む。しかし、通常、単離抗体は、少なくとも1つの精製ステップにより調製する。
本明細書で使用される「実質的に同様」、「実質的に同じ」、「同等」、または「実質的に同等」という語句は、当業者が、その値(例えば、Kd値、抗ウイルス効果など)により測定される生物学的特徴の文脈内では、2つの値の間の差違を、生物学的有意性および/または統計学的有意性がほとんどないかまたはないと考えるような、2つの数値(例えば、一方は、分子と関連し、他方は、基準/比較分子と関連する)の間の、十分に高度の類似性を描示する。前記2つの値の間の差違は、例えば、基準/比較分子についての値の関数として、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、および/または約10%未満である。
本明細書で使用される「実質的に低減された」または「実質的に異なる」という語句は、当業者が、その値(例えば、Kd値)により測定される生物学的特徴の文脈内では、2つの値の間の差違を、統計学的有意性があると考えるような、2つの数値(一般に、一方は、分子と関連し、他方は、基準/比較分子と関連する)の間の、十分に高度の差違を描示する。前記2つの値の間の差違は、例えば、基準/比較分子についての値の関数として、約10%超、約20%超、約30%超、約40%超、および/または約50%超である。
「結合アフィニティー」とは一般に、分子(例えば、抗体)の単一の結合性部位と、その結合パートナー(例えば、抗原)との非共有結合的相互作用の総合計の強さを指す。そうでないことが指し示されない限りにおいて、本明細書で使用される「結合アフィニティー」とは、結合対のメンバー(例えば、抗体および抗原)の間の1:1の相互作用を反映する、固有の結合アフィニティーを指す。分子Xの、そのパートナーYに対するアフィニティーは一般に、解離定数(Kd)で表すことができる。アフィニティーは、本明細書で記載される方法を含む、当技術分野で公知の一般的な方法により測定することができる。低アフィニティー抗体は一般に、抗原への結合が緩徐であり、たやすく解離する傾向があるのに対し、高アフィニティー抗体は一般に、抗原への結合が迅速であり、結合を長く維持する傾向がある。当技術分野では、結合アフィニティーを測定する様々な方法が公知であり、これらのうちのいずれかを、本発明の目的で使用することができる。具体的な例示的実施形態について、以下で記載する。
一実施形態では、本発明に従う「Kd」または「Kd値」は、以下に記載される通りに、目的の抗体およびその抗原のFabバージョンにより実施される、放射性標識型抗原結合アッセイ(RIA)により測定する。Fabの、抗原に対する、溶液中の結合アフィニティーは、Fabを、未標識抗原の滴定系列の存在下、最小濃度の(125I)標識抗原で平衡化し、次いで、結合した抗原を、抗Fab抗体コーティングプレートで捕捉する(Chenら(1999年)、J. Mol Biol、293巻:865~881頁)ことにより測定する。アッセイのための条件を確立するには、マイクロタイタープレート(Dynex)を、一晩、50mMの炭酸ナトリウム(pH9.6)中に5μg/mlの捕捉用抗Fab抗体(Cappel Labs)でコーティングし、その後、PBS中に2%(w/v)のウシ血清アルブミンで、室温(約23℃)で2~5時間ブロックする。非吸着性プレート(Nunc;型番269620)内では、100pMまたは26pMの[125I]-抗原を、目的のFabの系列希釈液と混合する(例えば、Prestaら(1997年)、Cancer Res.、57巻:4593~4599頁における、抗VEGF抗体であるFab-12の評価と符合する)。次いで、目的のFabを、一晩インキュベートするが、インキュベーションを長時間(例えば、65時間)持続させて、平衡への到達を確実にすることができる。その後、室温におけるインキュベーション(例えば、1時間)のために、混合物を、捕捉用プレートに移す。次いで、溶液を除去し、プレートを、8回、PBS中に0.1%のTween-20で洗浄する。プレートを乾燥させたら、150μl/ウェルのシンチレーション剤(MicroScint-20;Packard)を添加し、プレートを、Topcountガンマカウンター(Packard)上で、10分間カウントする。最大結合の20%未満またはそれと等しい結合をもたらす各Fab濃度を、競合的結合アッセイにおける使用のために選択する。別の実施形態によれば、KdまたはKd値は、約10応答単位(RU)において固定化した抗原CM5チップをもちいて、25℃でBIAcore(商標)-2000またはBIAcore(商標)-3000(BIAcore,Inc.、Piscataway、N.J.)を使用する、表面プラズモン共鳴アッセイを使用することにより測定する。略述すると、供給元の指示書に従い、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5;BIAcore Inc.)を、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボ
ジイミド塩酸塩(EDC)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化させる。5μl/分の流量での注射の前に、抗原を、10mMの酢酸ナトリウム、pH4.8で、5μg/ml(約0.2μM)に希釈して、約10応答単位(RU)のカップリングタンパク質を達成する。抗原を注射した後、1Mのエタノールアミンを注射して、未反応基を遮断する。各実験では、1つのスポットを、タンパク質を固定化させずに活性化させ、エタノールアミンで遮断して、基準の減算のために使用した。動態の測定のために、Fabの2倍の系列希釈液(0.78nM~500nM)を、0.05%のTween 20を伴うPBS(PBST)中、25℃、約25μl/分の流量で注射する。会合速度(kon)および解離速度(koff)は、単純な一対一のラングミュア結合モデル(BIAcore Evaluation Software version 3.2)を使用して、会合センサーグラムと解離センサーグラムとを同時に当てはめることにより計算する。平衡解離定数(Kd)は、比koff/konとして計算する。例えば、Chen, Y.ら(1999年)、J. Mol Biol、293巻:865~881頁を参照されたい。オン速度が、上記の表面プラズモン共鳴アッセイによる106M-1秒-1を超える場合、オン速度は、ストップフロー装備型分光光度計(Aviv Instruments)、または撹拌式キュベットを伴う8000シリーズSLM-Aminco分光光度計(ThermoSpectronic)などの分光計で測定される、漸増濃度の抗原の存在下、25℃で、PBS、pH7.2中に20nMの抗抗原抗体(Fab形態)の、蛍光発光強度(励起=295nm;発光=340nm、16nmのバンドパス)の増大または減少を測定する、蛍光クエンチング技法を使用することにより決定することができる。
また、本発明に従う「オン速度」または「会合速度(rate of association)」または「会合速度(association rate)」または「kon」も、約10応答単位(RU)において固定化した抗原CM5チップをもちいて、25℃でBIAcore(商標)-2000またはBIAcore(商標)-3000(BIAcore,Inc.、Piscataway、N.J.)を使用する、上で記載した表面プラズモン共鳴法により決定することができる。略述すると、供給元の指示書に従い、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5;BIAcore Inc.)を、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化させる。5μl/分の流量での注射の前に、抗原を、10mMの酢酸ナトリウム、pH4.8で、5μg/ml(約0.2μM)に希釈して、約10応答単位(RU)のカップリングタンパク質を達成する。抗原を注射した後、1Mのエタノールアミンを注射して、未反応基を遮断する。動態の測定のために、Fabの2倍の系列希釈液(0.78nM~500nM)を、0.05%のTween 20を伴うPBS(PBST)中、25℃、約25μl/分の流量で注射する。会合速度(kon)および解離速度(koff)は、単純な一対一のラングミュア結合モデル(BIAcore Evaluation Software version 3.2)を使用して、会合センサーグラムと解離センサーグラムとを同時に当てはめることにより計算する。平衡解離定数(Kd)は、比koff/konとして計算した。例えば、Chen, Y.ら(1999年)J. Mol Biol、293巻:865~881頁を参照されたい。しかし、オン速度が、上記の表面プラズモン共鳴アッセイによる106M-1秒-1を超える場合、オン速度は、ストップフロー装備型分光光度計(Aviv Instruments)、または撹拌式キュベットを伴う8000シリーズSLM-Aminco分光光度計(ThermoSpectronic)などの分光計で測定される、漸増濃度の抗原の存在下、25℃で、PBS、pH7.2中に20nMの抗抗原抗体(Fab形態)の、蛍光発光強度(励起=295nm;発光=340nm、16nmのバンドパス)の増大または減少を測定する、蛍光クエンチング技法を使用することにより決定することができる。
本明細書で使用される「ベクター」という用語は、それが連結された別の核酸を輸送することが可能な核酸分子を指すことを意図する。1つの種類のベクターは、さらなるDNAセグメントをライゲーションしうる、環状の二本鎖DNAループを指す「プラスミド」である。別の種類のベクターは、ファージベクターである。別の種類のベクターは、さらなるDNAセグメントを、ウイルスゲノムにライゲーションしうる、ウイルスベクターである。ある特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞内の自律複製が可能である(例えば、細菌性複製起点を有する細菌ベクター、およびエピソーム性哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に、宿主細胞のゲノムに組み込まれ、これにより、宿主ゲノムと共に複製されうる。さらに、ある特定のベクターは、それらが作動的に連結される遺伝子の発現を誘導することが可能である。本明細書では、このようなベクターを、「組換え発現ベクター」(または、単に、「組換えベクター」)と称する。一般に、組換えDNA技法において有用な発現ベクターは、プラスミドの形態であることが多い。プラスミドは、最も一般に使用されるベクターの形態であるので、本明細書では、「プラスミド」と「ベクター」とを、互換的に使用する場合がある。
本明細書で互換的に使用される「ポリヌクレオチド」または「核酸」とは、任意の長さのヌクレオチドポリマーを指し、DNAおよびRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドもしくは修飾塩基、および/またはそれらの類似体、あるいはDNAポリメラーゼもしくはRNAポリメラーゼ、または合成反応によりポリマーに組み込まれうる任意の基質、がある。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびそれらの類似体などの修飾ヌクレオチドを含みうる。存在する場合、ヌクレオチド構造への修飾は、ポリマーのアセンブリーの前または後で施すことができる。ヌクレオチドの配列は、ヌクレオチド以外の構成要素により中断されうる。ポリヌクレオチドは、標識とのコンジュゲーションによるなど、合成の後でさらに修飾することができる。他の種類の修飾は、例えば、「キャップ」、天然に存在するヌクレオチドのうちの1つまたは複数の、類似体による置換、例えば、非荷電連結(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート(phosphoamidate)、カルバメートなど)を伴うもの、および荷電連結(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を伴うもの、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ply-L-リシンなど)などのペンダント部分を含有するもの、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)を伴うもの、キレート剤(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、修飾連結(例えば、アルファアノマー核酸など)を伴うものなどのヌクレオチド間修飾のほか、ポリヌクレオチドの非修飾形態を含む。さらに、通常糖内に存在するヒドロキシル基のうちのいずれかを、例えば、ホスホネート基、ホスフェート基により置きかえる、標準的な保護基により保護する、またはさらなるヌクレオチドへのさらなる連結を調製するように活性化させることができ、あるいは固体支持体または半固体支持体にコンジュゲートさせることができる。5’末端および3’末端のOHは、リン酸化する、またはアミンもしくは1~20個の炭素原子による有機キャッピング基部分で置換することができる。他のヒドロキシルはまた、標準的な保護基に誘導体化することもできる。ポリヌクレオチドはまた、例えば、2’-O-メチルリボース、2’-O-アリルリボース、2’-フルオロリボース、または2’-アジドリボース、炭素環式の糖類似体、α-アノマー糖、アラビノース、キシロース、またはリキソースなどのエピマー糖、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、アクリル類似体、およびメチルリボシドなどの塩基性ヌクレオシド類似体を含む、当技術分野で一般に公知の、リボース糖またはデオキシリボース糖の類似の形態も含有しうる。1つまたは複数のホスホジエステル連結を、代替的な連結基で置きかえることができる。これらの代替的な連結基は、ホスフェートを、P(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、CO、またはCH2(「ホルムアセター
ル」)[式中、各RまたはR’は、独立に、Hであるか、または、任意選択で、エーテル(-O-)連結、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、もしくはアラルジルを含有する、置換もしくは非置換アルキル(1~20個のC)である]で置きかえた実施形態を含むがこれらに限定されない。ポリヌクレオチド内の全ての連結は、同一である必要がない。前出の記載は、RNAおよびDNAを含む、本明細書で言及される全てのポリヌクレオチドに当てはまる。
本明細書で使用される「オリゴヌクレオチド」とは一般に短く、一般に一本鎖であり、一般に、約200ヌクレオチド未満の長さであるが必ずしもそうではない、一般に合成のポリヌクレオチドを指す。「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」という用語は、相互に除外的ではない。ポリヌクレオチドについての上記の記載は、オリゴヌクレオチドにも同等かつ十分に適用可能である。
「抗体」(Ab)および「免疫グロブリン」(Ig)は、同じ構造的特徴を有する糖タンパク質である。抗体が、特異的抗原に対する結合特異性を呈示するのに対し、免疫グロブリンは、抗体および抗原特異性を一般に欠く他の抗体様分子の両方を含む。後者の種類のポリペプチドは、例えば、リンパ系により産生されるレベルは低く、骨髄腫により産生されるレベルは高い。
「抗体」および「免疫グロブリン」という用語は、最も広い意味で、互換的に使用され、モノクローナル抗体(例えば、全長または無傷のモノクローナル抗体)、ポリクローナル抗体、一価抗体、多価抗体、多特異性抗体(それらが、所望の生物学的活性を呈示する限りにおいて、例えば、二特異性抗体)を含み、また、ある特定の抗体断片(本明細書でより詳細に記載される)も含みうる。抗体は、キメラ抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、および/またはアフィニティー成熟抗体でありうる。
抗体の「可変領域」または「可変ドメイン」とは、抗体の重鎖または軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。これらのドメインは一般に、抗体の最も可変的な部分であり、抗原結合性部位を含有する。
「可変」という用語は、可変ドメインのある特定の部分は、抗体間で配列が大幅に異なり、各特定の抗体の、その特定の抗原に対する結合および特異性において使用されるという事実を指す。しかし、可変性は、抗体の可変ドメイン全体に、均等に配分されているわけではない。可変性は、軽鎖可変ドメイン内および重鎖可変ドメイン内の両方で相補性決定領域(CDR)または超可変領域と呼ばれる、3つのセグメント内に濃縮されている。可変ドメインのうちの、より高度に保存された部分は、フレームワーク(FR)と呼ばれている。天然の重鎖および軽鎖の可変ドメインは各々、大部分、ベータシート構造を接続し、場合によって、ベータシート構造の一部を形成するループを形成する、3つのCDRにより接続されたベータシート構成を採用する、4つのFR領域を含む。各鎖内のCDRは、FR領域により、一体に近接して保持され、他の鎖に由来するCDRと共に、抗体の抗原結合性部位の形成に寄与する(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、5版、National Institute of Health、Bethesda、Md.(1991年)を参照されたい)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合には直接関わらないが、抗体の、抗体依存性細胞傷害への関与など、多様なエフェクター機能を呈示する。
抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる、各々が、単一の抗原結合性部位と、その名称がたやすく結晶化するその能力を反映する残りの「Fc」断片とを伴う、2つ
の同一の抗原結合性断片を生じさせる。ペプシン処理は、2つの抗原結合部位を有し、抗原を架橋することがやはり可能な、F(ab’)2断片をもたらす。
「Fv」とは、完全な抗原認識部位および抗原結合性部位を含有する、最小の抗体断片である。2つの鎖によるFv分子種では、この領域は、緊密な非共有結合的会合下にある、1つの重鎖可変ドメインおよび1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。単鎖によるFv分子種では、1つの重鎖可変ドメインと、1つの軽鎖可変ドメインとは、軽鎖と、重鎖とが、2つの鎖によるFv分子種におけるものと類似の「二量体」構造内で会合しうるように、可撓性のペプチドリンカーにより共有結合的に連結されうる。各可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、VH-VL二量体の表面上で、抗原結合性部位を規定するのは、この構成においてである。併せて、6つのCDRは、抗原結合特異性を、抗体に付与する。しかし、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのCDRだけを含むFvの半分)でもなお、結合性部位全体より小さなアフィニティーではあるが、抗原を認識し、抗原に結合する能力を有する。
Fab断片はまた、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)も含有する。Fab’断片は、重鎖のCH1ドメインのカルボキシ末端において、抗体のヒンジ領域に由来する1つまたは複数のシステインを含むいくつかの残基の付加により、Fab断片と異なる。Fab’-SHとは、定常ドメインのシステイン残基が、遊離チオール基を保有するFab’のための、本明細書における呼称である。F(ab’)2抗体断片は、元は、それらの間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として作製された。また、抗体断片の他の化学的カップリングも公知である。
任意の脊椎動物種に由来する抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる、2つの顕著に異なる種類のうちの1つに割り当てることができる。
それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、抗体(免疫グロブリン)は、異なるクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMが存在し、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2にさらに分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、およびμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造および三次元構成は周知であり、一般に、例えば、Abbasら、Cellular and Mol. Immunology、4版(2000年)において記載されている。抗体は、抗体の、1つまたは複数の他のタンパク質またはペプチドとの共有結合的会合または非共有結合的会合により形成される、より大型の融合分子の一部でありうる。
本明細書では、「全長抗体」、「無傷抗体」、および「全抗体」という用語は、互換的に使用されて、下記で規定される抗体断片ではなく、その実質的な無傷形態にある抗体を指す。用語は特に、Fc領域を含有する重鎖を伴う抗体を指す。
「抗体断片」は、無傷抗体の一部分だけを含み、この場合、部分は、無傷抗体内に存在する場合にその部分と通常関連する機能のうちの少なくとも1つであり、多ければ、これらの大半または全てを保持する。一実施形態では、抗体断片は、無傷抗体の抗原結合性部位を含み、これにより、抗原に結合する能力を保持する。別の実施形態では、抗体断片、例えば、Fc領域を含む抗体断片は、FcRnへの結合、抗体半減期のモジュレーション、ADCC機能、および補体への結合など、無傷抗体内に存在する場合にFc領域と通常関連する生物学的機能のうちの少なくとも1つを保持する。一実施形態では、抗体断片は
、in vivo半減期が無傷抗体と実質的に同様の一価抗体である。例えば、このような抗体断片は、in vivoにおける安定性を断片に付与することが可能なFc配列に連結された抗原結合性アームを含みうる。
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体集団から得られた抗体を指す、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在しうる可能な天然に存在する変異を除き、同一である。したがって、「モノクローナル」という修飾語は、個別の抗体の混合物ではない抗体の性格を指し示す。このようなモノクローナル抗体は、標的に結合するポリペプチド配列を含む抗体を含み、この場合、標的結合性ポリペプチド配列は、単一の標的結合性ポリペプチド配列の、複数のポリペプチド配列からの選択を含む工程により得られたものであることが典型的である。例えば、選択工程は、固有のクローンの、ハイブリドーマクローン、ファージクローン、または組換えDNAクローンのプールなどの複数のクローンからの選択でありうる。選択された標的結合性配列は、例えば、標的に対するアフィニティーを改善し、標的結合性配列をヒト化し、細胞培養物中のその産生を改善し、in vivoにおけるその免疫原性を低減し、多特異性抗体を創出するなどするように、さらに改変させることができ、改変させた標的結合性配列を含む抗体もまた、本発明のモノクローナル抗体であることを理解されたい。異なる決定基(エピトープ)に指向される異なる抗体を含むことが典型的なポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に指向される。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体調製物は典型的に、他の免疫グロブリンが夾雑していないという点でも有利である。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同種の抗体集団から得られるものとしての抗体の性格を指し示すものであり、任意の特定の方法による抗体の作製を必要とするとはみなされないものとする。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、例えば、以下が挙げられる、種々の技術によって作製され得る;ハイブリドーマ法(例えば、Kohlerら、Nature,256:495(1975);Harlowら、Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.1988);Hammerlingら、Monoclonal Antibodies and T-Cell hybridomas 563-681(Elsevier,N.Y.,1981))、リコンビナントDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと)、ファージディスプレイ技術(例えば、Clacksonら、Nature,352:624-628(1991);Marksら、J.Mol.Biol.222:581-597(1992);Sidhuら、J.Mol.Biol.338(2):299-310(2004);Leeら、J.Mol.Biol.340(5):1073-1093(2004);Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467-12472(2004);およびLeeら、J.Immunol.Methods
284(1-2):119-132(2004)を参照のこと)、およびヒト免疫グロブリン遺伝子座、またはヒト免疫グロブリン配列をコードする遺伝子の一部または全部を有する動物においてヒトまたはヒト様抗体を生成するための技術(例えば、WO98/24893;WO96/34096;WO96/33735;WO91/10741;Jakobovitsら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551(1993);Jakobovitsら、Nature 362:255-258(1993);Bruggemannら、Year in Immunol.7:33(1993);米国特許第5,545,807号;同第5,545,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,661,016号;Marksら、Bio.Technology 10:779-783(1992);Lonbergら、Nature 368:856-859(1994);Morrison,Nature 368:812-813(1994);Fishwildら、Nature Biotechnol.14:845-851(1996);Neub
erger,Nature Biotechnol.14:826(1996)、およびLonberg and Huszar,Intern.Rev.Immunol.13:65-93(1995)を参照のこと。
本明細書のモノクローナル抗体は具体的に、重鎖および/または軽鎖の一部分が、特定の種に由来するかまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体内の対応する配列と同一または相同である一方で、鎖の残りの部分は、別の種に由来するかまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体内の対応する配列と同一または相同である「キメラ」抗体のほか、それらが、所望の生物学的活性を呈示する限りにおいて、このような抗体の断片(米国特許第4,816,567号;およびMorrisonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、81巻:6851~6855頁(1984年))も含む。
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態とは、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有するキメラ抗体である。一実施形態では、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域に由来する残基を、所望の特異性、アフィニティー、および/または能力を有する、マウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長動物など、非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域に由来する残基で置きかえた、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。場合によって、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基を、対応する非ヒト残基で置きかえる。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体内またはドナー抗体内で見出されない残基を含みうる。これらの修飾は、抗体の性能をさらに精緻化するように施す。一般に、ヒト化抗体は、超可変ループのうちの全てまたは実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、FRのうちの全てまたは実質的に全てが、ヒト免疫グロブリン配列のFRである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインのうちの実質的に全てを含む。ヒト化抗体はまた、任意選択で、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的には、ヒト免疫グロブリンのFcの少なくとも一部分も含む。さらなる詳細については、Jonesら、Nature 321:522-525(1986);Riechmannら、Nature 332:323-329(1988);およびPresta, Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992)を参照のこと。また、以下の総説記事およびその中の参考文献を参照のこと:Vaswani and Hamilton,Ann.Allergy,Asthma & Immunol.1:105-115(1998);Harris, Biochem.Soc.Transactions 23:1035-1038(1995);Hurle
and Gross,Curr.Op.Biotech.5:428-433(1994)。
本明細書で使用される「超可変領域」、「HVR」、または「HV」という用語は、配列が超可変的であり、かつ/または構造的に規定されたループを形成する、抗体可変ドメインの領域を指す。一般に、抗体は、6つの超可変領域:VH内の3つ(H1、H2、H3)およびVL内の3つ(L1、L2、L3)を含む。多くの超可変領域の描写が本明細書において使用され、包含される。Kabatによる相補性決定領域(CDR)は、配列可変性に基づき、最も一般に使用されている(Kabatら、Sequences of
Proteins of Immunological Interest、5版、Public Health Service、National Institutes
of Health、Bethesda、Md.(1991年))。これとは別に、Chothiaは、構造ループの位置に言及する(ChothiaおよびLesk、J. Mol. Biol.、196巻:901~917頁(1987年))。AbMによる超可変領域は、KabatによるCDRと、Chothiaによる構造ループとの折衷を表し、Oxford Molecular製のAbM抗体モデル作製ソフトウェアで使用されている。「contact」超可変領域は、利用可能な複合体結晶構造の解析に基づく
。これらの超可変領域の各々に由来する残基を、下記に記述する。
ループ Kabat AbM Chothia Contact
L1 L24-L34 L24-L34 L26-L32 L30-L36
L2 L50-L56 L50-L56 L50-L52 L46-L55
L3 L89-L97 L89-L97 L91-L96 L89-L96
H1 H31-H35B H26-H35B H26-H32 H30-H35B
(Kabat番号付け)
H1 H31-H35 H26-H35 H26-H32 H30-H35
(Chothia番号付け)
H2 H50-H65 H50-H58 H53-H55 H47-H58
H3 H95-H102 H95-H102 H96-H101 H93-H101
超可変領域は、以下の通り:VL内の24~36または24~34(L1)、46~56または50~56または49~56(L2)、および89~97または89~96(L3)、ならびにVH内の26~35(H1)、50~65または49~65(H2)、および93~102、94~102、または95~102(H3)の「拡張超可変領域」を含みうる。可変ドメイン残基は、Kabatら、前出に従い、これらの定義の各々について番号付けされる。
「フレームワーク」残基または「FR」残基とは、本明細書で規定される超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
「Kabatによる可変ドメイン残基の番号付け」または「Kabatによるアミノ酸位置の番号付け」という用語、およびこれらの変化形は、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1991年)で集成された抗体の重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインについて使用されている番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを使用すると、実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのFRまたはHVRの短縮またはこれらへの挿入に対応する、より少ないアミノ酸またはさらなるアミノ酸を含有する場合がある。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後における単一のアミノ酸挿入(Kabatに従う残基52a)と、重鎖FRの残基82の後における残基の挿入(例えば、Kabatに従う残基82a、82b、および82cなど)を含みうる。Kabatによる残基の番号付けは、所与の抗体について、抗体の配列相同性領域における、「標準的な」Kabat番号付け配列とのアラインメントにより決定することができる。
「単鎖Fv」抗体断片または「scFv」抗体断片は、抗体のVHドメインおよびVLドメインを含み、この場合、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖内に存在する。一般に、scFvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、これにより、scFvが、抗原への結合に所望の構造を形成することが可能である。scFvの総説については、Pluckthun、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、113巻、RosenburgおよびMoore編、Springer-Verlag、New York、269~315頁(1994年)を参照されたい。
「ダイアボディー(diabody)」という用語は、2つの抗原結合性部位を伴う小型の抗体断片であって、同じポリペプチド鎖内で軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む断片(VH-VL)を指す。同じ鎖上の2つのドメイン間の対合を可能とするには短すぎるリンカーを使用することにより、ドメインは、別の鎖の相補性ドメインと対合し、2つの抗原結合性部位を創出するように強いられる。ダイアボディーについては、例えば、EP404,097;WO93/1161;およびHollingerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90巻:6444~6448頁(1993年)においてより十全に記載されている。
「ヒト抗体」とは、ヒトにより産生される抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を保有し、かつ/または本明細書で開示される、ヒト抗体を作製するための技法のうちのいずれかを使用して作製された抗体である。ヒト抗体についてのこの定義は具体的に、非ヒト抗原結合性残基を含むヒト化抗体を除外する。
「アフィニティー成熟」抗体とは、その1つまたは複数のHVR内の1つまたは複数の改変であって、これらの改変を保有しない親抗体と比較して、抗体の抗原に対するアフィニティーの改善を結果としてもたらす改変を伴う抗体である。一実施形態では、アフィニティー成熟抗体は、標的抗原に対して、ナノモル濃度、またはさらにはピコモル濃度のアフィニティーを有する。アフィニティー成熟抗体は、当技術分野で公知の手順により作製される。Marksら、Bio/Technology、10巻:779~783頁(1992年)は、VHドメインシャフリングおよびVLドメインシャフリングによるアフィニティー成熟について記載している。CDRおよび/またはフレームワーク残基のランダム変異は、Barbasら、Proc Nat.Acad.Sci.USA 91:3809-3813(1994);Schierら、Gene 169:147-155(1995);Yeltonら、J.Immunol.155:1994-2004(1995);Jacksonら、J.Immunol.154(7):3310-9(1995);およびHawkinsら、J.Mol.Biol.226:889-896(1992)によって記載されている。
「遮断」抗体または「アンタゴニスト」抗体とは、それが結合する抗原の生物学的活性を阻害または低減する抗体である。ある特定の遮断抗体またはアンタゴニスト抗体は、抗原の生物学的活性を実質的または完全に阻害する。
本明細書で使用される「アゴニスト抗体」とは、目的のポリペプチドの機能的活性のうちの少なくとも1つを模倣する抗体である。
「障害」とは、本発明の抗体による処置から利益を得る任意の状態である。これは、哺乳動物に、問題の障害への素因を与える病理学的状態を含む、慢性障害および急性障害または慢性疾患および急性疾患を含む。本明細書で処置される障害の非限定的な例は、がんを含む。
「細胞増殖性障害」および「増殖性障害」という用語は、ある程度の異常な細胞増殖と関連する障害を指す。一実施形態では、細胞増殖性障害は、がんである。
本明細書で使用される「腫瘍」とは、悪性であれ、良性であれ、全ての新生物性細胞成長および増殖を指し、全ての前がん性細胞および前がん性組織ならびにがん性細胞およびがん性組織を指す。本明細書で言及される通り、「がん」、「がん性」、「細胞増殖性障害」、「増殖性障害」、および「腫瘍」という用語は、相互に除外的ではない。
「がん」および「がん性」という用語は、典型的には、未調節の細胞成長/増殖によって特徴付けられる哺乳動物における生理学的状態を指すか、またはこれについて記載する。がんの例は、癌腫、リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫)、芽細胞腫、肉腫、および白血病を含むがこれらに限定されない。このようながんのより具体的な例は、扁平上皮がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺腺がん、肺扁平上皮癌、腹膜がん、肝細胞がん、消化器がん、膵臓がん、神経膠芽腫、子宮頸がん(cervical cancer)、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、ヘパトーマ、乳がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎臓がん、肝臓がん、前立腺がん、外陰がん、甲状腺がん、肝癌、白血病、および他のリンパ増殖性障害、ならびに多様な種類の頭頸部がんを含む。
用語「筋肉障害」は、正常な筋肉機能が著しく低下するような骨格および/または平滑筋の悪化または衰弱によって典型的に特徴付けられる、筋肉を有する動物の生理状態を指し、または説明する。筋肉障害の例として、筋ジストロフィー、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、アイザックス症候群、全身硬直症候群、家族性(familiar)周期性四肢麻痺、ミオパチー、筋緊張症、横紋筋融解症、筋萎縮症、ならびに様々なタイプの筋力低下および筋硬直が挙げられるが、それらに限定されない。
用語「グロボ系に関係する障害」は、典型的に、経路の異常な機能または提示によって特徴付けられる、またはそれらが起因する障害を指し、または説明する。このような障害の例として、がんを含む過剰増殖疾患が挙げられるが、それらに限定されない。
用語「神経障害」または「神経疾患」は、典型的に、神経組織の悪化または神経組織の細胞間連絡の悪化によって特徴付けられる、哺乳動物の中枢および/または末梢神経系の疾患または障害を指し、または説明する。神経障害の例として、神経変性疾患(レビー小体病、ポリオ後症候群、シャイ-ドレーガー症候群、オリーブ橋小脳萎縮症、パーキンソン病、多系統萎縮症、線条体黒質変性症が含まれるが、それらに限定されない)、タウオパチー(アルツハイマー病および核上性麻痺が含まれるが、それらに限定されない)、プリオン病(ウシ海綿状脳症、スクレイピー、クロイツフェルト-ヤコブ症候群、クールー病、ゲルストマン-シュトロイスラー-シャインカー病、慢性消耗性疾患、および致死性家族性不眠症が含まれるが、それらに限定されない)、球麻痺、運動ニューロン疾患、ならびに神経系異種変性(heterodegenerative)障害(カナバン病、ハンチントン病、神経セロイドリポフスチノーシス、アレキサンダー病、トゥーレット症候群、メンケス縮れ毛症候群、コケイン症候群、ハラーホルデン(Halervorden)-スパッツ症候群、ラフォラ病、レット症候群、肝レンズ核変性症、レッシュ-ナイハン症候群、およびウンフェルリヒト-ルントボルク症候群が含まれるが、それらに限定されない)、認知症(ピック病、および脊髄小脳失調症が含まれるが、それらに限定されない)が挙げられるが、それらに限定されない。
用語「炎症性障害」および「免疫障害」は、異常な免疫機構および/または異常なサイトカインシグナル伝達によって引き起こされた障害を指し、または説明する。炎症性障害
および免疫性障害の例として、自己免疫疾患、免疫不全症候群、および過敏症が挙げられるが、それらに限定されない。「自己免疫疾患」は、本明細書では個体自体の組織から生じ、その組織に向かう、非悪性の疾患または障害である。自己免疫疾患は、本明細書では、悪性またはがん性疾患または状態を特に排除し、特にB細胞リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、ヘアリーセル白血病および慢性骨髄芽球性白血病を排除する。自己免疫疾患または障害の例として、炎症応答、例えば乾癬および皮膚炎(例えばアトピー性皮膚炎)を含む炎症性皮膚疾患;全身性強皮症および硬化症;炎症性腸疾患(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎)と関連する応答;呼吸促迫症候群(成人呼吸窮迫症候群;ARDSを含む);皮膚炎;髄膜炎;脳炎;ぶどう膜炎;大腸炎;糸球体腎炎;アレルギー状態、例えば湿疹および喘息、ならびにT細胞の浸潤および慢性炎症応答を伴う他の状態;アテローム性動脈硬化症;白血球接着不全;関節リウマチ;全身性エリテマトーデス(SLE)(ループス腎炎、皮膚狼瘡が含まれるが、それらに限定されない);真性糖尿病(例えばI型真性糖尿病またはインスリン依存性真性糖尿病);多発性硬化症;レイノー症候群;自己免疫性甲状腺炎;橋本甲状腺炎;アレルギー性脳脊髄炎;シェーグレン症候群;若年発症型糖尿病;ならびに典型的に結核、サルコイドーシス、多発性筋炎、肉芽腫症および血管炎に見出される、サイトカインおよびT-リンパ球によって媒介される急性および遅延型過敏症と関連する免疫応答;悪性貧血(アジソン病);白血球血管外漏出を伴う疾患;中枢神経系(CNS)炎症性障害;多臓器傷害症候群;溶血性貧血(クリオグロブリン血症(cryoglobinemia)またはクームス陽性貧血が含まれるが、それらに限定されない);重症筋無力症;抗原-抗体複合体によって媒介される疾患;抗糸球体基底膜抗体病(anti-glomerular basement membrane disease);抗リン脂質症候群;アレルギー性神経炎;グレーブス病;ランバート-イートン筋無力症候群;水疱性類天疱瘡;天疱瘡;自己免疫性多発性内分泌腺症;ライター病;全身硬直症候群;ベーチェット病;巨細胞性動脈炎;免疫複合体腎炎;IgA腎症;IgM多発ニューロパチー;免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)または自己免疫性血小板減少症等が挙げられるが、それらに限定されない。
免疫不全症候群の例として、毛細血管拡張性運動失調症、白血球接着不全症候群、リンパ球減少症、異常ガンマグロブリン血症、HIVまたはデルタレトロウイルス感染症、分類不能免疫不全症、重症複合免疫不全症、貪食殺菌機能障害、無ガンマグロブリン血症、ディジョージ症候群、およびウィスコット-アルドリッチ症候群が挙げられるが、それらに限定されない。過敏症の例として、アレルギー、喘息、皮膚炎、蕁麻疹、アナフィラキシー、ヴィスラー症候群、および血小板減少性紫斑病が挙げられるが、それらに限定されない。
本明細書で使用される「処置」とは、処置される個体または細胞の自然経過を改変しようとする試みにおける臨床的介入を指し、予防のために、または臨床病理の経過中に実施することができる。処置の望ましい効果は、疾患の発症または再発の防止、症状の緩和、疾患の任意の直接的または間接的な病理学的帰結の減殺、炎症および/または組織/器官損傷の防止または低減、疾患の進行速度の低減、疾患状態の回復または軽減、および寛解または予後の改善を含む。一部の実施形態では、本発明の抗体を使用して、疾患または障害の発症を遅延させる。
「個体」または「対象」は、脊椎動物である。ある特定の実施形態では、脊椎動物は、哺乳動物である。哺乳動物は、農場動物(ウシなど)、競技動物、ペット(ネコ、イヌ、およびウマなど)、霊長動物、マウス、およびラットを含むがこれらに限定されない。ある特定の実施形態では、脊椎動物は、ヒトである。
処置を目的とする「哺乳動物」とは、ヒト、イヌ、ウマ、ネコ、ウシなど、飼育動物お
よび農場動物、ならびに動物園の動物、競技動物、またはペット動物を含む、哺乳動物として分類される任意の動物を指す。ある特定の実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。
「有効量」とは、所望の治療的結果または予防的結果を達成するための、投与量において、かつ必要な時間にわたる、有効な量を指す。
本発明の物質/分子の「治療有効量」は、個体の疾患状態、年齢、性別、および体重、ならびに個体において所望の応答を誘発する物質/分子の能力などの因子に従い変化しうる。治療有効量はまた、物質/分子の任意の毒性効果または有害効果を、治療的に有益な効果が凌駕するときの量でもある。「予防有効量」とは、所望の予防的結果を達成するための、投与量において、かつ必要な時間にわたる、有効な量を指す。予防用量は、対象において、疾患の発症の前またはその早期に使用されるので、予防有効量は、治療有効量未満となることが典型的であろうが、必ずしもそうではない。
本明細書で使用される「細胞傷害剤」という用語は、細胞の機能を阻害もしくは防止し、かつ/または細胞の破壊を引き起こす物質を指す。用語は、放射性同位元素(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、およびLuの放射性同位元素)、化学療法剤(例えば、メトトレキセート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロランブシル、ダウノルビシン、または他の挿入剤、核酸分解酵素などの酵素およびその断片、抗生剤、ならびに細菌由来、真菌由来、植物由来、または動物由来の低分子毒素または酵素的に活性な毒素などの毒素であって、それらの断片および/または改変体を含む毒素、ならびに下記で開示される多様な抗腫瘍剤または抗がん剤を含むことを意図する。他の細胞傷害剤については、下記に記載する。殺腫瘍剤は、腫瘍細胞の破壊を引き起こす。
「化学療法剤」とは、がんの処置において有用な化学化合物である。化学療法剤の例は、チオテパおよびシクロホスファミド(cyclosphosphamide)であるCYTOXAN(登録商標)などのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン、およびピポスルファンなどのアルキルスルホネート;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、およびウレドーパなどのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド(triethiylenethiophosphoramide)、およびトリメチロールメラミン(trimethylolomelamine)を含めたエチレンイミンおよびメチルメラミン(methylamelamines);アセトゲニン(とりわけ、ブラタシンおよびブラタシノン(bullatacinone));デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標));ベータ-ラパコン(lapachone);ラパコール(lapachol);コルヒチン;ベツリン酸;カンプトテシン(合成類似体であるトポテカン(HYCAMTIN(登録商標))、CPT-11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、アセチルカンプトテシン、スコポレチン(scopolectin)、および9-アミノカンプトテシンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン合成類似体、カルゼレシン合成類似体、およびビゼレシン合成類似体を含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テニポシド;クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体である、KW-2189およびCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン(sarcodictyin);スポンジスタチン(spongistatin);クロランブシル、クロルナファジン(chlomaphazine)、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノベンビキン(novembichin)、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファ
ミド、ウラシルマスタードなどの窒素マスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチン(ranimnustine)などのニトロソウレア(nitrosureas);エンジイン抗生剤(例えば、カリケアマイシン、とりわけ、カリケアマイシンガンマ1IおよびカリケアマイシンオメガI1(例えば、Agnew、Chem. Intl. Ed. Engl.、33巻:183~186頁(1994年)を参照されたい);ジネミシン(dynemicin)Aを含むジネミシン;エスペラミシン;ならびにネオカルチノスタチン発色団、および関連の色素タンパク質である、エンジイン抗生剤(antiobiotic)発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシンであるADRIAMYCIN(登録商標)(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、およびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンなどの抗生剤;メトトレキセートおよび5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗剤;デノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎剤(anti-adrenal);フォリン酸(frolinic acid)などの葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキセート;デフォファミン(defofamine);デメコルシン;ジアジクオン;エフロルニチン(elformithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン(lonidainine);メイタンシンおよびアンサミトシン(ansamitocin)などのメイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール(mopidanmol);ニトラクリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン(losoxantrone);2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products、Eugene、Oreg.);ラゾキサン;リゾキシン(rhizoxin);シゾフラン(sizofuran);スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(とりわけ、T-2毒素、ベルカリンA(verracurin A)、ロリジンA(roridin A)、およびアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセルであるTAXOL(登録商標)(Bristol-Myers Squibb Oncology、Princeton、N.J.)、パクリタキセルのCremophor非含有アルブミン操作ナノ粒子製剤であるABRAXANE(商標)(American Pharmaceutical Partners、Schaumberg、Ill.)、およびドセタキセル(doxetaxel)であるTAXOTERE(登録商標)(Rhone-Poulenc Rorer、Antony、France);クロラ
ンブシル;ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標));6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;シスプラチンおよびカルボプラチンなどの白金類似体;ビンブラスチン(VELBAN(登録商標));白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標));オキサリプラチン;ロイコボリン(leucovovin);ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロネート;トポイソメラーゼ阻害剤であるRFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;カペシタビン(XELODA(登録商標));上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体;ならびにシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾロンによる組み合わせ療法の略号であるCHOP、ならびにオキサリプラチン(ELOXATIN(商標))を5-FUおよびロイコボリンと組み合わせた処置レジメンの略号であるFOLFOXなど、上記のうちの2つまたはそれ超の組み合わせを含む。
この定義には、がんの成長を促進し得るホルモンの作用を制御し、低減し、遮断し、または阻害するように作用し、しばしば全身性または全身処置の形態である抗ホルモン剤も含まれる。抗ホルモン剤は、ホルモン自体であってよい。抗エストロゲン薬および選択的エストロゲン受容体調節因子(SERM)の例として、例えばタモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、EVISTA(登録商標)ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストン、およびFARESTON(登録商標)トレミフェン;抗プロゲステロン;エストロゲン受容体下方制御因子(ERD);卵巣を抑制または活動停止させるように機能する薬剤、例えば黄体ホルモン(leutinizing hormone)放出ホルモン(LHRH)アゴニスト、例えばLUPRON(登録商標)およびELIGARD(登録商標)酢酸ロイプロリド、酢酸ゴセレリン、酢酸ブセレリンおよびトリプトレリン(tripterelin);他の抗アンドロゲン薬、例えばフルタミド、ニルタミドおよびビカルタミド;ならびに副腎におけるエストロゲン産生を制御する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)酢酸メゲストロール、AROMASIN(登録商標)エキセメスタン、ホルメスタン(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)ボロゾール、FEMARA(登録商標)レトロゾール、およびARIMIDEX(登録商標)アナストロゾールなどが挙げられる。さらに、このような化学療法剤の定義には、ビスホスフォネート、例えばクロドロネート(例えば、BONEFOS(登録商標)またはOSTAC(登録商標))、DIDROCAL(登録商標)エチドロネート、NE-58095、ZOMETA(登録商標)ゾレドロン酸/ゾレドロネート、FOSAMAX(登録商標)アレンドロネート、AREDIA(登録商標)パミドロネート、SKELID(登録商標)チルドロネート、またはACTONEL(登録商標)リセドロネート;ならびにトロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に異常な細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子発現を阻害するもの、例えばPKC-アルファ、Raf、H-Ras、および上皮成長因子受容体(EGF-R)など;ワクチン、例えばTHERATOPE(登録商標)ワクチンおよび遺伝子治療ワクチン、例えばALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、およびVAXID(登録商標)ワクチン;LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1阻害剤;ABARELIX(登録商標)rmRH;二トシル酸ラパチニブ(GW572016としても公知の、ErbB-2およびEGFR二重チロシンキナーゼ小分子阻害剤);ならびにそれらのいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体が含まれる。
そうでないと定義されない限りにおいて、本明細書で使用される全ての技術用語および
科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で記載される方法および材料と類似または同等な任意の方法および材料が、本発明の実施および検査において使用されうるが、好ましい方法および材料が本明細書に記載される。本明細書中で具体的に言及される全ての刊行物および特許は、本発明に関連して使用されうる刊行物中で報告されている化学物質、細胞株、ベクター、動物、機器、統計解析および方法論を記載および開示することを含む全ての目的のために、参照により組み込まれる。本明細書中で引用される全ての参考文献は、当該分野の技量レベルを示すものと解釈すべきである。先行発明を理由として、本発明がそのような開示に先行する資格がないことの承認として解釈すべきものは、本明細書中には存在しない。
より最近になって、Wongら25は、ワクチンの免疫原性の改善を試み、彼らの研究チームは、糖質の還元末端または非還元末端のいずれかに修飾を含有する様々なGH誘導体を合成し、還元末端におけるフルオロ、アジドもしくはフェニル基、または非還元末端におけるアジド基で修飾したGHを含有するワクチンが、GH、SSEA3、およびSSEA4を標的化する抗体の産生を刺激することができ、後者のワクチンが、抗がんワクチンにおいて通常達成されない特に好ましい高い比のIgG:IgM抗体を誘発することを見出した。心強いことに、これらのワクチンに応答して産生された抗体は、培養したGH陽性ヒト乳がん細胞に対する補体依存性細胞傷害を媒介した。
本開示は、ステージ特異的胚抗原(SSEA3およびSSEA4)を、ある特定の基で修飾すると、それぞれSSEA3およびSSEA4を特異的に認識する堅固なIgG抗体応答が誘発されたという驚くべき発見に基づく。
いくつかの例では、SSEA-3の修飾は、SSEA-3のグルコースの1つまたは複数の位置にフルオロ、アジドまたはO-フェニル基を含む。いくつかの例では、SSEA-3の修飾は、非還元末端のガラクトースの1つまたは複数の位置にフルオロ、アジドまたはO-フェニル基を含む。いくつかの例では、SSEA-4の修飾は、SSEA-4のグルコースの1つまたは複数の位置にフルオロ、アジドまたはO-フェニル基を含む。いくつかの例では、SSEA-4の修飾は、シアル酸残基の1つまたは複数の位置にフルオロ、アジドまたはO-フェニル基を含む。
本明細書では、還元および/または非還元末端において修飾を有するSSEA3誘導体およびSSEA4誘導体が記載される。このようなSSEA3誘導体およびSSEA4誘導体は、天然のSSEA3およびSSEA4と比較して、より強力な免疫応答を誘発し得る(例えば、SSEA3および/またはSSEA4に対するIgG抗体の誘導)。このような非天然グリカン部分を含む免疫原性組成物によって誘導された抗体は、腫瘍細胞に対する補体依存性細胞傷害を媒介することができる。
化合物
したがって、本発明はまた、修飾された糖鎖抗原(SSEA3およびSSEA4)からなる新規な化合物、このような化合物を含むグリカンコンジュゲート、ならびにそれらの免疫原性組成物およびワクチンを特徴とする。
一態様では、本発明は、式(I):
の化合物、またはその塩を提供し、式中、
X1は、-ORまたは-SRであり、Rは、水素、酸素もしくは硫黄保護基、任意選択で置換されているC1~10アルキル、任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているアシル、または任意選択で置換されているイミドイルであり、
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびLの各事例は独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されているアルキル、任意選択で置換されているアルケニル、任意選択で置換されているアルキニル、任意選択で置換されているヘテロシクリル、任意選択で置換されているアリール、-N3、-NO2、-N(RB)2、-N(RA)C(O)RA、-ORA、-OC(O)RA、-SRA、-C(O)N(RB)2、-CN、-C(O)RA、-C(O)ORA、-S(O)RA、-SO2RA、-SO2N(RB)2、および-NHSO2RBから選択され、
RAの各事例は独立に、水素、任意選択で置換されているアルキル、任意選択で置換されているアルケニル、任意選択で置換されているアルキニル、任意選択で置換されているヘテロシクリル、および任意選択で置換されているアリールから選択され、
RBの各事例は独立に、水素、任意選択で置換されているアルキル、任意選択で置換されているアルケニル、任意選択で置換されているアルキニル、任意選択で置換されているヘテロシクリル、および任意選択で置換されているアリールから選択され、
ただし化合物は、次式:
のものではないことを条件とする。
ある特定の実施形態では、X1は、アルファ立体配置である。ある特定の実施形態では、X1は、ベータ立体配置である。
一部の実施形態では、X1は、-ORAである。一部の実施形態では、X1は、-OHである。一部の実施形態では、X1は、-O(保護基)である。一部の実施形態では、X1は-ORAであり、ここで、RAは、非置換C1-10アルキルである。一部の実施形態では、X1は-ORAであり、ここで、RAは、置換されているC1-10アルキルである。一部の実施形態では、X1は-ORAであり、ここで、RAは、非置換アリールである。一部の実施形態では、X1は-ORAであり、ここで、RAは、置換されているアリールである。一部の実施形態では、X1は-ORAであり、ここで、RAは、非置換アシルである。一部の実施形態では、X1は-ORAであり、ここで、RAは、置換されているアシルである。一部の実施形態では、X1は-ORAであり、ここで、RAは、非置
換イミドイルである。一部の実施形態では、X1は-ORAであり、ここで、RAは、置換されているイミドイルである。
一部の実施形態では、X1は、-SRAである。一部の実施形態では、X1は、-SHである。一部の実施形態では、X1は、-S(保護基)である。一部の実施形態では、X1は-SRAであり、ここで、RAは、非置換C1-10アルキルである。一部の実施形態では、X1は-SRAであり、ここで、RAは、置換されているC1-10アルキルである。ある特定の実施形態では、X1は、-SCH3である。一部の実施形態では、X1は-SRAであり、ここで、RAは、非置換アリールである。一部の実施形態では、X1は-SRAであり、ここで、RAは、置換されているアリールである。一部の実施形態では、X1は-SRAであり、ここで、RAは、非置換アシルである。一部の実施形態では、X1は-SRAであり、ここで、RAは、置換されているアシルである。一部の実施形態では、X1は-SRAであり、ここで、RAは、非置換イミドイルである。一部の実施形態では、X1は-SRAであり、ここで、RAは、置換されているイミドイルである。
一部の実施形態では、X1は、C1-10アルコキシである。一部の実施形態では、X1は、C1-3アルコキシである。ある特定の実施形態では、X1は、メトキシである。ある特定の実施形態では、X1は、アルファ-メトキシである。
一部の実施形態では、X1は、アルファ-チオメチル、ベータ-チオメチル、アルファ-チオクレシル、ベータ-チオクレシル、アルファ-t-ブチルジフェニルシリルオキシ、ベータ-t-ブチルジフェニルシリルオキシおよびアルファ-メトキシからなる群から選択される。
一部の実施形態では、R1は-N3または-N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R1は、-N3である。ある特定の実施形態では、R1は-N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R1は、-NH2である。ある特定の実施形態では、R1は-NHRWであり、ここで、RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R1は-N(RW)2であり、ここで、各RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R1は、-N3、-NH(Cbz)、-NH(Boc)、-NH(Fmoc)、-NHC(O)CCl3、-NHC(O)CH3、および-N(C(O)CH3)2からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R1は、-NH(Cbz)である。ある特定の実施形態では、R1は、-NH(Fmoc)である。ある特定の実施形態では、R1は、-NHC(O)CCl3である。ある特定の実施形態では、R1は、-NHC(O)CH3である。ある特定の実施形態では、R1は、-N(C(O)CH3)2である。
一部の実施形態では、R2は-N3または-N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R2は、-N3である。ある特定の実施形態では、R2は-N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R2は、-NH2である。ある特定の実施形態では、R2は-NHRWであり、ここで、RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R2は-N(RW)2であり、ここで、各RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R2は、-N3、-NH(Cbz)、-NH(Boc)、-NH(Fmoc)、-NHC(O)CCl3、-NHC(O)CH3、および-N(C(O)CH3)2からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R2は、-NH(Cbz)である。ある特定の実施形態では、R2は、-NH(Fmoc)である。ある特定の実施形態では、R2は、-NHC(O)CCl3である。ある特定の実施形態では、R2は、-NHC(O)CH3である。ある特定の実施形態では、R2は、-N(C
(O)CH3)2である。
一部の実施形態では、R3は-N3または-N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R3は、-N3である。ある特定の実施形態では、R3は-N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R3は、-NH2である。ある特定の実施形態では、R3は-NHRWであり、ここで、RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R3は-N(RW)2であり、ここで、各RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R3は、-N3、-NH(Cbz)、-NH(Boc)、-NH(Fmoc)、-NHC(O)CCl3、-NHC(O)CH3、および-N(C(O)CH3)2からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R3は、-NH(Cbz)である。ある特定の実施形態では、R3は、-NH(Fmoc)である。ある特定の実施形態では、R3は、-NHC(O)CCl3である。ある特定の実施形態では、R3は、-NHC(O)CH3である。ある特定の実施形態では、R3は、-N(C(O)CH3)2である。
一部の実施形態では、R4は-N3または-N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R4は、-N3である。ある特定の実施形態では、R4は-N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R4は、-NH2である。ある特定の実施形態では、R4は-NHRWであり、ここで、RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R4は-N(RW)2であり、ここで、各RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R4は、-N3、-NH(Cbz)、-NH(Boc)、-NH(Fmoc)、-NHC(O)CCl3、-NHC(O)CH3、および-N(C(O)CH3)2からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R4は、-NH(Cbz)である。ある特定の実施形態では、R4は、-NH(Fmoc)である。ある特定の実施形態では、R4は、-NHC(O)CCl3である。ある特定の実施形態では、R4は、-NHC(O)CH3である。ある特定の実施形態では、R4は、-N(C(O)CH3)2である。
一部の実施形態では、R5は-N3または-N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R5は、-N3である。ある特定の実施形態では、R5は-N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R5は、-NH2である。ある特定の実施形態では、R5は-NHRWであり、ここで、RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R5は-N(RW)2であり、ここで、各RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R5は、-N3、-NH(Cbz)、-NH(Boc)、-NH(Fmoc)、-NHC(O)CCl3、-NHC(O)CH3、および-N(C(O)CH3)2からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R5は、-NH(Cbz)である。ある特定の実施形態では、R5は、-NH(Fmoc)である。ある特定の実施形態では、R5は、-NHC(O)CCl3である。ある特定の実施形態では、R5は、-NHC(O)CH3である。ある特定の実施形態では、R5は、-N(C(O)CH3)2である。
一部の実施形態では、R6は-N3または-N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R6は、-N3である。ある特定の実施形態では、R6は-N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R6は、-NH2である。ある特定の実施形態では、R6は-NHRWであり、ここで、RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R6は-N(RW)2であり、ここで、各RWは、窒素保護基で
ある。ある特定の実施形態では、R6は、-N3、-NH(Cbz)、-NH(Boc)、-NH(Fmoc)、-NHC(O)CCl3、-NHC(O)CH3、および-N(C(O)CH3)2からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R6は、-NH(Cbz)である。ある特定の実施形態では、R6は、-NH(Fmoc)である。ある特定の実施形態では、R6は、-NHC(O)CCl3である。ある特定の実施形態では、R6は、-NHC(O)CH3である。ある特定の実施形態では、R6は、-N(C(O)CH3)2である。
一部の実施形態では、R1、R2およびR3は同じである。一部の実施形態では、R1、R2およびR3は-OHである。一部の実施形態では、R4、R5およびR6同じである。一部の実施形態では、R4、R5およびR6は-OHである。
ある特定の実施形態では、Lは、-OHである。
ある特定の実施形態では、Lは、-OHであり、R1は-N3である。ある特定の実施形態では、Lは-OHであり、R1は-N3であり、R2、R3、R4、R5およびR6の各事例は、-OHである。
ある特定の実施形態では、Lは-OHであり、R2は、-N3である。ある特定の実施形態では、Lは-OHであり、R2は-N3、であり、R1、R3、R4、R5およびR6の各事例は、-OHである。
ある特定の実施形態では、Lは-OHであり、R3は、-N3である。ある特定の実施形態では、Lは-OHであり、R3は-N3であり、R1、R2、R4、R5およびR6の各事例は、-OHである。
ある特定の実施形態では、Lは-OHであり、R4は、-N3である。ある特定の実施形態では、Lは-OHであり、R4は-N3であり、R1、R2、R3、R5およびR6の各事例は、-OHである。
ある特定の実施形態では、Lは-OHであり、R5は-N3である。ある特定の実施形態では、Lは-OHであり、R5は-N3であり、R1、R2、R3、R4およびR6の各事例は、-OHである。
ある特定の実施形態では、Lは-OHであり、R6は、-N3である。ある特定の実施形態では、Lは-OHであり、R6は-N3であり、R1、R2、R3、R4およびR5の各事例は、-OHである。
ある特定の実施形態では、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびLの各事例は、-Fである。ある特定の実施形態では、R1は、-Fである。ある特定の実施形態では、R2は、-Fである。ある特定の実施形態では、R3は、-Fである。ある特定の実施形態では、R4は、-Fである。ある特定の実施形態では、R5は、-Fである。ある特定の実施形態では、R6は、-Fである。ある特定の実施形態では、Lは、-Fである。
ある特定の実施形態では、Lは、以下の構造である:
式中、R8、R9、R10およびR11の各事例は、独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されているアルキル、任意選択で置換されているアルケニル、任意選択で置換されているアルキニル、任意選択で置換されているヘテロシクリル、任意選択で置換されているアリール、-N3、-NO2、-N(RB)2、-N(RA)C(O)RA、-ORA、-OC(O)RA、-SRA、-C(O)N(RB)2、-CN、-C(O)RA、-C(O)ORA、-S(O)RA、-SO2RA、-SO2N(RB)2、および-NHSO2RBから選択され;
RNは、-N3、-NO2、-N(RB)2、-N(RA)C(O)RA、-ORA、-OC(O)RA、-SRA、-C(O)N(RB)2、-CN、-C(O)RA、-C(O)ORA、-S(O)RA、-SO2RA、-SO2N(RB)2、および-NHSO2RBから選択され;
RAの各事例は、独立に、水素、任意選択で置換されている
アルキル、任意選択で置換されているアルケニル、任意選択で置換されているアルキニル、任意選択で置換されているヘテロシクリルおよび任意選択で置換されているアリールから選択され;
RBの各事例は、独立に、水素、任意選択で置換されているアルキル、任意選択で置換されているアルケニル、任意選択で置換されているアルキニル、任意選択で置換されているヘテロシクリル、および任意選択で置換されているアリールから選択される。
一部の実施形態では、化合物は、式(II):
のものであり、式中、R1、R2、R3、R8、R9、R10、R11およびRNおよびX1は、本明細書に記載の通りであり、
ただし化合物は、次式:
のものではないことを条件とする。
一部の実施形態では、R8は-N3または-N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R8は、-N3である。ある特定の実施形態では、R8は-N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R8は、-NH2である。ある特定の実施形態では、R8は-NHRWであり、ここで、RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R8は-N(RW)2であり、ここで、各RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R8は、-N3、-NH(Cbz)、-NH(Boc)、-NH(Fmoc)、-NHC(O)CCl3、-NHC(O)CH3、および-N(C(O)CH3)2からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R8は、-NH(Cbz)である。ある特定の実施形態では、R8は、-NH(Fmoc)である。ある特定の実施形態では、R8は、-NHC(O)CCl3である。ある特定の実施形態では、R8は、-NHC(O)CH3である。ある特定の実施形態では、R8は、-N(C(O)CH3)2である。
一部の実施形態では、R9は-N3または-N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R9は、-N3である。ある特定の実施形態では、R9は-N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R9は、-NH2である。ある特定の実施形態では、R9は-NHRWであり、ここで、RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R9は-N(RW)2であり、ここで、各RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R9は、-N3、-NH(Cbz)、-NH(Boc)、-NH(Fmoc)、-NHC(O)CCl3、-NHC(O)CH3、および-N(C(O)CH3)2からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R9は、-NH(Cbz)である。ある特定の実施形態では、R9は、-NH(Fmoc)である。ある特定の実施形態では、R9は、-NHC(O)CCl3である。ある特定の実施形態では、R9は、-NHC(O)CH3である。ある特定の実施形態では、R9は、-N(C(O)CH3)2である。
一部の実施形態では、R10は-N3または-N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R10は、-N3である。ある特定の実施形態では、R10は-N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R10は、-NH2である。ある特定の実施形態では、R10は-NHRWであり、ここで、RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R10は-N(RW)2であり、ここで、各RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R10は、-N3、-NH(Cbz)、-NH(Boc)、-NH(Fmoc)、-NHC(O)CCl3、-NHC(O)CH3、および-N(C(O)CH3)2からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R10は、-NH(Cbz)である。ある特定の実施形態では、R10は、-NH(Fmoc)である。ある特定の実施形態では、R10は、-NHC(O)CCl3である。ある特定の実施形態では、R10は、-NHC(O)CH3である。ある特定の実施形態では、R10は、-N(C(O)CH3)2である。
一部の実施形態では、R11は-N3または-N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R11は、-N3である。ある特定の実施形態では、R11は-N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R11は、-NH2である。ある特定の実施形態では、R11は-NHRWであり、ここで、RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R11は-N(RW)2であり、ここで、各RWは、
窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R11は、-N3、-NH(Cbz)、-NH(Boc)、-NH(Fmoc)、-NHC(O)CCl3、-NHC(O)CH3およびN(C(O)CH3)2からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R11は、-NH(Cbz)である。ある特定の実施形態では、R11は、-NH(Fmoc)である。ある特定の実施形態では、R11は、-NHC(O)CCl3である。ある特定の実施形態では、R11は、-NHC(O)CH3である。ある特定の実施形態では、R11は、-N(C(O)CH3)2である。
一部の実施形態では、R12は-N3または-N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R12は、-N3である。ある特定の実施形態では、R12は-N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R12は、-NH2である。ある特定の実施形態では、R12は-NHRWであり、ここで、RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R12は-N(RW)2であり、ここで、各RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R12は、-N3、-NH(Cbz)、-NH(Boc)、-NH(Fmoc)、-NHC(O)CCl3、-NHC(O)CH3、および-N(C(O)CH3)2からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R12は、-NH(Cbz)である。ある特定の実施形態では、R12は、-NH(Fmoc)である。ある特定の実施形態では、R12は、-NHC(O)CCl3である。ある特定の実施形態では、R12は、-NHC(O)CH3である。ある特定の実施形態では、R12は、-N(C(O)CH3)2である。
一部の実施形態では、RNは-N3または-N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、RNは、-N3である。ある特定の実施形態では、RNは-N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、RNは、-NH2である。ある特定の実施形態では、RNは-NHRWであり、ここで、RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、RNは-N(RW)2であり、ここで、各RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、RNは、-N3、-NH(Cbz)、-NH(Boc)、-NH(Fmoc)、-NHC(O)CCl3、-NHC(O)CH3、および-N(C(O)CH3)2からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、RNは、-NH(Cbz)である。ある特定の実施形態では、RNは、-NH(Fmoc)である。ある特定の実施形態では、RNは、-NHC(O)CCl3である。ある特定の実施形態では、RNは、-NHC(O)CH3である。ある特定の実施形態では、RNは、-N(C(O)CH3)2である。
免疫原性組成物
別の態様では、本発明は、(a)担体および1つまたは複数のグリカンを含むグリカンコンジュゲート、ならびに任意選択で(b)アジュバントを含む免疫原性組成物を提供し、
ここで1つまたは複数のグリカンのそれぞれは、リンカーを介して担体とコンジュゲートし、式(III)または(IV):
を有し、式中、X1、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、LおよびRNは、本明細書に記載の通りである。
ある特定の実施形態では、リンカーは、ヘテロ二官能性またはホモ二官能性リンカーである。
ある特定の実施形態では、リンカーは、少なくとも1つの硫黄原子、カルボキシレート基、アミド基、カルバメート基、カーボネート基、チオカルバメート基、チオカーボネート基、チオエーテル基、スクシンアミド基、n-ヒドロキシスクシンアミド基、またはそれらの任意の組合せを含む。
ある特定の実施形態では、リンカーは、-L1-L2-であり、L1は、結合、-O-、-S-、-NRL1a-、-C(=O)-、-NRL1aC(=O)-、-NRL1aC(=O)O-、-C(=O)NRL1a-、-OC(=O)NRL1a-、-SC(=O)-、-C(=O)S-、-OC(=O)-、-C(=O)O-、-NRL1aC(=S)-、-C(=S)NRL1a-、trans-CRL1b=CRL1b-、cis-CRL1b=CRL1b-、-C≡C-、-OC(RL1b)2-、-C(RL1b)2O-、-NRL1aC(RL1b)2-、-C(RL1b)2NRL1a-、-SC(RL1b)2-、-C(RL1b)2S-、-S(=O)2O-、-OS(=O)2-、-S(=O)2NRL1a-、-NRL1aS(=O)2-、または任意選択で置換されているC1~20炭化水素鎖であり、任意選択で炭化水素鎖の1つまたは複数の炭素単位は、-O-、-S-、-NRL1a-、-C(=O)-、NRL1aC(=O)-、-NRL1aC(=O)O-、-C(=O)NRL1a-、-OC(=O)NRL1a-、-SC(=O)-、-C(=O)S-、-OC(=O)-、-C(=O)O-、-NRL1aC(=S)-、-C(=S)NRL1a-、trans-CRL1b=CRL1b-、cis-CRL1b=CRL1b-、-C≡C-、-S(=O)2O-、-OS(=O)2-、-S(=O)2NRL1a-、または-NRL1aS(=O)2-で置き換えられており、RL1aは、水素、任意選択で置換されているC1~6アルキル、もしくは窒素保護基であり、またはRL1aは、隣接する炭素原子と接合して、任意選択で置換されてい
る複素環を形成し、RL1bは、出現するごとに独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されているC1~10アルキル、任意選択で置換されているアルケニル、任意選択で置換されているアルキニル、任意選択で置換されているカルボシクリル、任意選択で置換されているヘテロシクリル、任意選択で置換されているアリール、および任意選択で置換されているヘテロアリールからなる群より選択され、またはRL1bは、隣接する炭素もしくは窒素もしくは酸素原子と接合して、任意選択で置換されている炭素環もしくは複素環を形成し、または2つのRL1b基は、接合して、任意選択で置換されている炭素環もしくは任意選択で置換されている複素環を形成し、L2は、担体およびL1を架橋することができる架橋試薬から導出された部分である。
担体は、タンパク質、脂質、脂肪分解された(lipolized)タンパク質、ウイルス、ペプチド、またはグリコペプチドのデンドリマーであり得る。ある特定の実施形態では、担体は、T細胞エピトープを含むペプチドである。
本発明で使用され得る担体タンパク質の例は、破傷風トキソイド(TT)、ジフテリアトキソイド(DT)、ジフテリア毒素交差反応性材料197(CRM197)、TTの断片C、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)、タンパク質D、外膜タンパク質(OMP)およびニューモリシン、ジフテリア毒素交差反応性材料197(CRM197)または他のDT点変異体、例えばCRM176、CRM228、CRM45(Uchidaら、J. Biol. Chem. 218巻;3838~3844頁、1973年);CRM9、CRM45、CRM102、CRM103およびCRM107、ならびに当技術分野で説明されている他の変異である。
ある特定の実施形態では、グリカンコンジュゲートは、式(IV-a)または(IV-b):
のものであり、式中、mは、両端を含み1~40の整数である。
ある特定の実施形態では、mは、両端を含み1~30の整数である。本明細書で一般に定義されている通り、mは、両端を含み1~20の整数である。ある特定の実施形態では、mは、1である。ある特定の実施形態では、mは、2である。ある特定の実施形態では、mは、4である。ある特定の実施形態では、mは、6である。ある特定の実施形態では、mは、8である。ある特定の実施形態では、mは、10である。ある特定の実施形態では、mは、15である。ある特定の実施形態では、mは、20である。ある特定の実施形態では、mは、30である。ある特定の実施形態では、mは、40である。
別の態様では、本発明は、本明細書に記載のグリカンコンジュゲートの少なくとも2つを含むグリカンコンジュゲート混合物を提供する。ある特定の実施形態では、グリカン混合物のwの平均値は、約1.0~約40.0である。ある特定の実施形態では、グリカン混合物のwの平均値は、約1.0~10.0である。ある特定の実施形態では、グリカン混合物のwの平均値は、約5.7、4.9、2.9、2.8、または3.1である。ある特定の実施形態では、グリカン混合物のwの平均値は、約4.9、2.9、2.8、または3.1である。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の免疫原性組成物は、免疫原性的に(immmunogenically)有効な量の本発明のグリカンコンジュゲートを含む。
本発明の化合物は、当技術分野で公知の、または本明細書に記載の手順を使用して合成することができる。米国特許出願第20140051127号も参照のこと。
本発明の免疫原性コンジュゲートは、同じまたは異なるSSEA-33誘導体および/またはSSEA-4誘導体の1つまたは複数の分子(例えば1~40個、1~20個、1~25個、1~30個、5~20個、5~25個、5~30個、または5~35個)を含むことができる。グリカンコンジュゲートを生成する手順は、当技術分野で公知であり、以下に説明される。米国特許第8,268,969号も参照のこと。
ある特定の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、1種または複数のアジュバントを含むことができる。適切なアジュバントは、当技術分野で公知である(例えば、C34、7DW8-5、C17、C23、Gluco-C34、アルミニウム塩、スクアレン、MF59、およびQS-21)。
本明細書で使用される用語「ミョウバン(alum)アジュバント」は、免疫アジュバント活性を有するアルミニウム塩を指す。この薬剤は、溶液中でタンパク質抗原に吸着し、沈殿させる。得られた沈殿物は、接種部位において形成されたワクチンデポーからの抗原の徐放を容易にすることによって、ワクチン免疫原性を改善する。
本明細書で使用される用語「免疫アジュバント」は、免疫原に対する免疫応答を増強または改変する、免疫原と併用される物質を指す。本開示のα-GalCer類似体は、ワクチンにより激しく応答するように、ワクチンを投与される患者の免疫系を刺激することによって、ワクチンの効果を改変または増強する免疫アジュバントとして使用される。例示的な実施では、類似体C34は、アジュバントとして使用される。C34および他のアルファ-ガラクトシルセラミド類似体の構造、ならびにアジュバントとしてのそれらの使用は、米国特許第7,928,077号に詳細に開示されている。
本明細書で使用される用語「糖脂質」は、細胞を認識するためのマーカーとして働く、糖質に付着した脂質を指す。
糖脂質C34、Gluco-C34、C23および7DW8-5は、以下の構造:
を有する。
免疫原性組成物は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含むことができる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の免疫原性組成物は、薬学的に有効な量の本発明のグリカンコンジュゲートを含む。
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の免疫原性組成物および薬学的に許容される賦形剤を含むがんワクチンを提供する。
本発明のがんワクチンは、単回用量または複数回用量の本発明のグリカンコンジュゲー
ト、それらのグリカンコンジュゲート混合物、またはそれらの免疫原性組成物を含み得る。提供されるがんワクチンは、がんを処置し、またはがんの危険性を低減するのに有用となり得る。がんワクチンはまた、対象または医療従事者のために使用または処方情報を説明するパッケージ情報を含み得る。このような情報は、米国食品医薬局(FDA)などの規制当局によって必要とされる場合がある。またがんワクチンは、任意選択で、化合物または組成物を投与するためのデバイス、例えば非経口投与のためのシリンジを含むことができる。
医薬製剤
免疫組成物は、投与製剤と適合性の様式で、治療有効量、保護的量および免疫原性量で、投与される。投与される量は、例えば抗体を合成し、必要に応じて細胞媒介性の免疫応答をもたらす個体の免疫系の能力を含めて、処置される対象に応じて決まる。投与が必要な有効成分の正確な量は、実施者の判断に依存する。しかし、適切な投与量範囲は、当業者により容易に決定可能である。初回投与および追加免疫用量に適したレジメンもまた可変的であるが、その後の投与が後に続く初回投与を含みうる。ワクチンの投与量もまた、投与経路に依存しえ、宿主サイズにしたがって変動する。
また、本発明の免疫組成物を、動物において抗体を産生するために使用して、抗体を生成することができ、それらの抗体は、がんの処置および診断の両方に使用することができる。当技術分野では、動物(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、またはウマ)においてモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体ならびにこれらの断片を作製する方法が周知である。例えば、HarlowおよびLane(1988年)、Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、New Yorkを参照されたい。「抗体」という用語は、無傷の免疫グロブリン分子のほか、Fab、F(ab’)2、Fv、scFv(単鎖抗体)、およびdAb(ドメイン抗体;Wardら(1989年)、Nature、341巻、544頁)など、これらの断片を含む。
本明細書で開示される組成物は、本開示を読んだ当業者に同定可能な、さらなる活性剤、担体、ビヒクル、賦形剤、または補助剤と併せて、医薬組成物中に含むことができる。
医薬組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含むことが好ましい。このような医薬組成物中で、本明細書で開示される組成物は、「活性剤」とも称する「活性化合物」を形成する。本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」という表現は、医薬品の投与と適合性の、溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。また、補助的な活性化合物も、組成物に組み込むことができる。医薬組成物は、その意図された投与経路と適合性となるように製剤化する。投与経路の例は、非経口投与、例えば、静脈内投与、皮内投与、皮下投与、経口(例えば、吸入)投与、経皮(局所)投与、経粘膜投与、および直腸投与を含む。非経口適用、皮内適用、または皮下適用のために使用される溶液または懸濁液は、以下の構成要素:注射用水、食塩溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒などの滅菌希釈液;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート化剤;アセテート、シトレート、またはホスフェートなどの緩衝剤;および塩化ナトリウムまたはテキストロースなど、張度を調整するための薬剤を含みうる。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調整することができる。非経口調製物は、アンプル内、使い捨て型のシリンジ内、またはガラス製もしくはプラスチック製の複数用量バイアル内に封入することができる。
臨床適用
本発明は、対象における増殖性疾患、例えば、がん(例えば、肺がん、大腸がん、膵臓がん、胆管がん、または子宮内膜がん)、良性新生物、または血管新生の処置のために有用なグリカンコンジュゲート、免疫原性組成物またはワクチンを提供する。
また、本明細書に記載の免疫原性組成物またはワクチンを、ヒトまたは動物において抗体を産生するために使用して、抗体を生成することができ、それらの抗体は、がんの処置および診断の両方に使用することができる。また、一部の実施形態では、本明細書に記載の免疫原性組成物またはワクチンを、Globo H、SSEA-3および/またはSSEA-4抗体を産生するために使用して、抗体を生成することができる。当技術分野では、ヒトおよび/または動物(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、またはウマ)においてモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体ならびにこれらの断片を作製する方法が周知である。例えば、HarlowおよびLane(1988年)、Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、New Yorkを参照されたい。「抗体」という用語は、無傷の免疫グロブリン分子のほか、Fab、F(ab’)2、Fv、scFv(単鎖抗体)、およびdAb(ドメイン抗体;Wardら(1989年)、Nature、341巻、544頁)など、これらの断片を含む。
少なくとも1つの抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体、または抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体をコードする配列を含む、少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む組成物が提供される。ある特定の実施形態では、組成物は、医薬組成物でありうる。本明細書で使用される、組成物は、1つもしくは複数のSSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hに結合する1つもしくは複数の抗体、および/または1つもしくは複数のSSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hに結合する1つもしくは複数の抗体をコードする配列を含む、1つもしくは複数のポリヌクレオチドを含む。これらの組成物は、当技術分野で周知の緩衝剤を含む、薬学的に許容される賦形剤などの適切な担体もさらに含みうる。
単離抗体ならびにポリヌクレオチドもまた提供される。ある特定の実施形態では、単離抗体およびポリヌクレオチドは、実質的に純粋である。
一実施形態では、抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体は、モノクローナル抗体である。別の実施形態では、抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体の断片(例えば、Fab断片、Fab’-SH断片、およびF(ab’)2断片)が提供される。これらの抗体断片は、酵素的消化など、従来の手段により創出することもでき、組換え技法により作り出すこともできる。このような抗体断片は、キメラ抗体断片、ヒト化抗体断片、またはヒト抗体断片の場合がある。これらの断片は、下記に示される診断目的および治療目的に有用である。
ファージディスプレイライブラリーを使用した抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体の作製の例
当技術分野では、目的の抗体を得られうる、ファージディスプレイライブラリーを作り出すための様々な方法が公知である。目的の抗体を作り出す1つの方法は、Leeら、J. Mol. Biol.(2004年)、340巻(5号):1073~93頁において記載されている、ファージ抗体ライブラリーの使用を介する。
本発明の抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体は、コンビナトリアルライブラリーを使用して、1つまたは複数の所望の活性を伴う合成抗体クローンについてスクリーニングすることにより作製することができる。原則として、合成抗体クローンは、
ファージコートタンパク質に融合させた、抗体可変領域の多様な断片(Fv)をディスプレイするファージを含有するファージライブラリーをスクリーニングすることにより選択する。このようなファージライブラリーを、所望の抗原に対するアフィニティークロマトグラフィーによりパニングする。所望の抗原に結合することが可能なFv断片を発現させるクローンを、抗原に吸着させ、これにより、ライブラリー内の非結合性クローンから分離する。次いで、結合性クローンを抗原から溶出させ、さらなる抗原吸着/溶出サイクルにより、さらに富化することができる。本発明の抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体のいずれも、適切な抗原スクリーニング手順をデザインして、目的のファージクローンについて選択した後で、目的のファージクローンに由来するFv配列と、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、5版、NIH Publication第91-3242号、Bethesda Md.(1991年)、1~3巻において記載されている、適切な定常領域(Fc)配列とを使用して、全長抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体クローンを構築することにより得ることができる。
抗体の抗原結合性ドメインは、約110アミノ酸の2つの可変(V)領域であって、1つずつが軽(VL)鎖および重(VH)鎖に由来し、いずれもが、3つの超可変ループまたは相補性決定領域(CDR)を提示する、V領域から形成される。Winterら、Ann. Rev. Immunol.、12巻:433~455頁(1994年)において記載される通り、可変ドメインは、VHとVLとが、短い可撓性ペプチドを介して共有結合的に連結された、単鎖Fv(scFv)断片として、またはそれらの各々が、定常ドメインに融合し、非共有結合的に相互作用する、Fab断片として、ファージ上に機能的にディスプレイされ得る。本明細書で使用される、scFvをコードするファージクローンおよびFabをコードするファージクローンを、まとめて、「Fvファージクローン」または「Fvクローン」と称する。
VH遺伝子およびVL遺伝子のレパートリーは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により個別にクローニングし、ファージライブラリー内でランダムに組み換えることができ、次いで、これを、Winterら、Ann. Rev. Immunol.、12巻:433~455頁(1994年)において記載されている通り、抗原結合性クローンについて検索することができる。免疫化供給源に由来するライブラリーは、ハイブリドーマの構築を必要とせずに、免疫原に対する高アフィニティー抗体を提供する。代替的に、ナイーブレパートリーをクローニングして、Griffithsら、EMBO J、12巻:725~734頁(1993年)により記載される通り、免疫化を伴わずに、広範にわたる、非自己抗原に対するヒト抗体と、また自己抗原に対するヒト抗体とによる、単一の供給源を提供することもできる。最後に、ナイーブライブラリーはまた、HoogenboomおよびWinter、J. Mol. Biol.、227巻:381~388頁(1992年)により記載されている通り、幹細胞に由来する、再配列されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、高度に可変性のCDR3領域をコードするランダムな配列を含有するPCRプライマーを使用して、in vitroにおける再配列を達成することにより、合成で作製することもできる。
糸状ファージを、マイナーコートタンパク質pIIIへの融合により抗体断片をディスプレイするのに使用する。抗体断片は、例えば、Marksら、J. Mol. Biol.、222巻:581~597頁(1991年)により記載されている通り、VHドメインとVLドメインとが、同じポリペプチド鎖上で、可撓性のポリペプチドスペーサーにより接続される、単鎖Fv断片として、または、例えば、Hoogenboomら、Nucl. Acids Res.、19巻:4133~4137頁(1991年)において記載されている通り、一方の鎖が、pIIIに融合し、他方の鎖が、細菌宿主細胞ペリプラズムに分泌され、ここで、Fab-コートタンパク質構造のアセンブリーが、野生型コ
ートタンパク質の一部を取り換えることにより、ファージ表面上にディスプレイされる、Fab断片としてディスプレイすることができる。
一般に、抗体遺伝子断片をコードする核酸は、ヒトまたは動物から採取された免疫細胞から得られる。抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hクローンに好適なバイアスのかかったライブラリーが所望される場合、対象を、SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hで免疫化して、抗体応答を発生させ、脾臓細胞および/もしくは循環B細胞、または他の末梢血リンパ球(PBL)を、ライブラリー構築のために回収する。一実施形態では、抗ヒトSSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hクローンに好適なバイアスのかかったヒト抗体遺伝子断片ライブラリーは、SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hによる免疫化から、SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hに対するヒト抗体を産生するB細胞がもたらされるように、機能的なヒト免疫グロブリン遺伝子アレイを保有する(かつ、機能的な内因性抗体産生系を欠く)トランスジェニックマウスにおいて、抗ヒトSSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体応答を発生させることにより得る。ヒト抗体産生トランスジェニックマウスの作製については、下記に記載する。
抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H反応性細胞集団についてのさらなる富化は、例えば、SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hアフィニティークロマトグラフィーによる細胞の分離、または蛍光色素標識されたSSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hへの細胞の吸着に続く、蛍光活性化細胞分取(FACS)による、SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H特異的抗体を発現させるB細胞を単離するのに適するスクリーニング手順を使用することにより得ることができる。
代替的に、非免疫化ドナーに由来する、脾臓細胞および/もしくはB細胞、または他のPBLの使用から、可能な抗体レパートリーの、より良好な表示がもたらされ、また、SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hが抗原性でない任意の動物(ヒトまたは非ヒト)種を使用する、抗体ライブラリーの構築も可能となる。in vitroにおける抗体遺伝子の構築を組み込むライブラリーのためには、幹細胞を対象から採取して、再配列されていない抗体遺伝子セグメントをコードする核酸を得る。目的の免疫細胞は、ヒト種、マウス種、ラット種、ウサギ目種、オオカミ科(luprine)種、イヌ種、ネコ種、ブタ種、ウシ種、ウマ種、およびトリ種など、様々な動物種から得ることができる。
抗体可変遺伝子セグメント(VHセグメントおよびVLセグメントを含む)をコードする核酸を、目的の細胞から回収し、増幅した。再配列されたVH遺伝子ライブラリーおよびVL遺伝子ライブラリーの場合、所望のDNAは、Orlandiら、Proc. Natl. Acad. Sci.(USA)、86巻:3833~3837頁(1989年)において記載される通り、ゲノムDNAまたはmRNAを、リンパ球から単離した後で、再配列されたVH遺伝子およびVL遺伝子の5’末端および3’末端にマッチするプライマーによるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を施し、これにより、発現のための、多様なV遺伝子レパートリーを作製することにより得ることができる。V遺伝子は、Orlandiら(1989年)およびWardら、Nature、341巻:544~546頁(1989年)において記載されている通り、成熟Vドメインをコードするエクソンの5’末端におけるバックプライマーと、Jセグメントに基づくフォワードプライマーとにより、cDNAおよびゲノムDNAから増幅することができる。しかし、cDNAから増幅するためには、バックプライマーはまた、Jonesら、Biotechnol.、9巻:88~89頁(1991年)において記載されている通り、リーダーエクソン、およびSastryら、Proc. Natl. Acad. Sci.(USA)、86巻:5728~5732頁(1989年)において記載されている通り、定常領域内のフォワードプライマーに基づく場合がある。相補性を最大化するため、Orlandiら(1989年)、またはSastryら(1989年)において記載されている通り、プライ
マー内に縮重を組み込むことができる。ある特定の実施形態では、例えば、Marksら、J. Mol. Biol.、222巻:581~597頁(1991年)による方法において記載されている通り、またはOrumら、Nucleic Acids Res.、21巻:4491~4498頁(1993年)による方法において記載されている通り、免疫細胞の核酸試料中に存在する、全ての利用可能なVH配置およびVL配置を増幅するために、各V遺伝子ファミリーにターゲティングされたPCRプライマーを使用することにより、ライブラリーの多様性を最大化する。増幅されたDNAを、発現ベクターにクローニングするために、Orlandiら(1989年)において記載されている通り、まれな制限部位を、PCRプライマー内に、一方の端部におけるタグとして、または、Clacksonら、Nature、352巻:624~628頁(1991年)において記載されている通り、タグ付けされたプライマーを伴う、さらなるPCR増幅により導入することができる。
合成により再配列されたV遺伝子のレパートリーは、in vitroにおいて、V遺伝子セグメントから導出することができる。ヒトVH遺伝子セグメントの大半は、クローニングおよびシークェンシングされ(Tomlinsonら、J. Mol. Biol.、227巻:776~798頁(1992年)において報告されている)、マッピングされており(Matsudaら、Nature Genet.、3巻:88~94頁(1993年)において報告されている);HoogenboomおよびWinter、J.
Mol. Biol.、227巻:381~388頁(1992年)において記載されている通り、これらのクローニングされたセグメント(H1ループおよびH2ループの全ての主要なコンフォメーションを含む)を使用して、多様な配列および長さのH3ループをコードするPCRプライマーにより、多様なVH遺伝子レパートリーを作り出すことができる。また、Barbasら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89巻:4457~4461頁(1992年)において記載される通り、単一の長さの長いH3ループに焦点を当てた、全ての配列多様性を伴うVHレパートリーを作製することもできる。ヒトVκセグメントおよびVλセグメントは、クローニングおよびシークェンシングされており(WilliamsおよびWinter、Eur. J. Immunol.、23巻:1456~1461頁(1993年)において報告されている)、合成軽鎖レパートリーを作製するのに使用することができる。VHおよびVLのフォールド(fold)の範囲、ならびにL3およびH3の長さに基づく、合成によるV遺伝子レパートリーは、大幅な構造的多様性を有する抗体をコードする。V遺伝子をコードするDNAの増幅の後、HoogenboomおよびWinter、J. Mol. Biol.、227巻:381~388頁(1992年)による方法に従い、in vitroにおいて、生殖細胞系列のV遺伝子セグメントを再配列することができる。
抗体断片のレパートリーは、VH遺伝子レパートリーと、VL遺伝子レパートリーとを、いくつかの方式で一体に組み合わせることにより構築することができる。各レパートリーは、異なるベクター内で創出することができ、ベクターは、例えば、Hogrefeら、Gene、128巻:119~126頁(1993年)において記載されている通り、in vitroで、またはin vivoにおけるコンビナトリアル感染、例えば、Waterhouseら、Nucl. Acids Res.、21巻:2265~2266頁(1993年)において記載されているloxP系により組み換えることができる。in vivoにおける組換え手法では、Fab断片の2本鎖としての性質を利用して、E.coliの形質転換効率により付与される、ライブラリーサイズに対する制限を克服する。ナイーブVHレパートリーと、ナイーブVLレパートリーとは、一方はファージミドへ、他方はファージベクターに、個別にクローニングする。次いで、各細胞が、異なる組み合わせを含有し、ライブラリーサイズが、存在する細胞の数(クローン約1012個)だけにより制限されるように、2つのライブラリーを、ファージミド含有細菌へのファージ感染により組み合わせる。VH遺伝子およびVL遺伝子が、単一のレプリコンに組み
換えられ、ファージビリオンに共パッケージングされるように、いずれのベクターも、in vivoにおける組換えシグナルを含有する。これらの巨大ライブラリーは、アフィニティーの良好な(約10-8MのKd-1)多数の多様な抗体をもたらす。
代替的に、レパートリーは、例えば、Barbasら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、88巻:7978~7982頁(1991年)において記載されている通り、同じベクターに逐次的にクローニングする、または、例えば、Clacksonら、Nature、352巻:624~628頁(1991年)において記載されている通り、PCRにより一体にアセンブルし、次いで、クローニングすることができる。また、PCRアセンブリーも、VH DNAおよびVL DNAを、可撓性のペプチドスペーサーをコードするDNAと接合して、単鎖Fv(scFv)レパートリーを形成するのに使用することができる。さらに別の技法では、Embletonら、Nucl.
Acids Res.、20巻:3831~3837頁(1992年)において記載されている通り、「インセルPCRアセンブリー」を使用して、VH遺伝子とVL遺伝子とを、リンパ球内で、PCRにより組み合わせ、次いで、連結された遺伝子のレパートリーをクローニングする。
ライブラリーのスクリーニングは、当技術分野で公知の任意の技法により達成することができる。例えば、SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H標的は、吸着プレートのウェルをコーティングし、吸着プレートに固定された宿主細胞上で発現させるのに使用することも、細胞分取で使用することも、ストレプトアビジンコーティングビーズによる捕捉のために、ビオチンにコンジュゲートさせることも、ファージディスプレイライブラリーをパニングするための当技術分野で公知の、他の任意の方法において使用することもできる。
ファージライブラリー試料は、ファージ粒子のうちの少なくとも一部分と吸着剤との結合に適する条件下で、固定化されたSSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hと接触させる。通常、pH、イオン強度、温度などを含む条件は、生理学的条件を模倣するように選択する。固相に結合したファージは、洗浄し、次いで、例えば、Barbasら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、88巻:7978~7982頁(1991年)において記載されている通り、酸により、または、例えば、Marksら、J. Mol. Biol.、222巻:581~597頁(1991年)において記載されている通り、アルカリにより、または、例えば、Clacksonら、Nature、352巻:624~628頁(1991年)による抗原競合法と類似の手順における、SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗原の競合により溶出させる。ファージは、単一のラウンドの選択で20~1,000倍に富化することができる。さらに、富化されたファージは、細菌培養物中で成長させ、さらなるラウンドの選択にかけることができる。
選択の効率は、洗浄時における解離動態、および単一のファージ上の複数の抗体断片が、抗原と同時に係合しうるのかどうかを含む多くの因子に依存する。解離動態が速く(かつ、結合アフィニティーが弱い)抗体は、短い洗浄、多価ファージディスプレイ、および固相内の抗原の高いコーティング密度を使用することにより保持することができる。高密度は、多価相互作用を介してファージを安定化させるだけでなく、解離したファージの再結合に好適でもある。解離動態が遅く(かつ、結合アフィニティーが良好な)抗体の選択は、Bassら、Proteins、8巻:309~314頁(1990年)およびWO92/09690において記載されている通り、長い洗浄および一価ファージディスプレイ、ならびにMarksら、Biotechnol.、10巻:779~783頁(1992年)において記載されている通り、抗原の低コーティング密度を使用することにより促進することができる。
SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hに対するアフィニティーがわずかに異なる場合でもなお、アフィニティーの異なるファージ抗体の間で選択することは可能である。しかし、選択された抗体のランダム変異(例えば、上で記載したアフィニティー成熟技法の一部において実施される)は、大半が抗原に結合し、少数はより高いアフィニティーを有する多くの変異体をもたらす可能性が高い。SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hを制限すると、まれに、高アフィニティーのファージも競合に耐えない可能性がある。全てのより高いアフィニティーの変異体を保持するため、ファージは、過剰なビオチン化SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hと共にインキュベートすることもできるが、SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hの標的モル濃度アフィニティー定数より低いモル濃度のビオチン化SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hと共にインキュベートすることもできる。次いで、高アフィニティー結合性ファージは、ストレプトアビジンコーティング常磁性ビーズにより捕捉することができる。このような「平衡捕捉」により、抗体を、それらの結合アフィニティーに従い、低アフィニティーの極過剰なファージから、アフィニティーの高さがわずか2倍の変異体クローンの単離を可能とする感度で選択することが可能となる。また、固相に結合したファージの洗浄で使用される条件も、解離動態に基づき弁別するように操作することができる。
抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hクローンは、活性が選択されたクローンでありうる。一実施形態では、本発明は、SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hリガンドと、SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hとの結合は遮断するが、SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hリガンドと、第2のタンパク質との結合は遮断しない、抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体を提供する。このような抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体に対応するFvクローンは、(1)抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hクローンを、上記のセクションB(I)(2)で記載した通りファージライブラリーから単離し、任意選択で、単離されたファージクローン集団を、適切な細菌宿主内で成長させることにより増幅し;(2)それぞれ遮断活性および非遮断活性が所望される、SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hおよび第2のタンパク質を選択し;(3)抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hファージクローンを、固定化されたSSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hに吸着させ;(4)過剰な第2のタンパク質を使用して、第2のタンパク質の結合決定基と重複するかまたは共有される、SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H結合性決定基を認識する、任意の所望されないクローンを溶出させ;(5)ステップ(4)の後で吸着を維持したクローンを溶出させることにより選択することができる。任意選択で、本明細書で記載される選択手順を、1回または複数回繰り返すことにより、所望の遮断/非遮断特性を伴うクローンをさらに富化することもできる。
本発明のFvクローンをコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、ハイブリドーマまたはファージDNA鋳型から、重鎖および軽鎖の目的のコード領域を特異的に増幅するようにデザインされたオリゴヌクレオチドプライマーを使用することにより)、たやすく単離およびシークェンシングされる。単離されたら、DNAを、発現ベクター内に入れ、次いで、これを、E.coli細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または別途免疫グロブリンタンパク質を産生しない骨髄腫細胞などの宿主細胞にトランスフェクトして、組換え宿主細胞内の所望のモノクローナル抗体の合成を得ることができる。抗体コードDNAの、細菌内の組換え発現についての総説論文は、Skerraら、Curr. Opinion in Immunol.、5巻:256頁(1993年)およびPluckthun、Immunol. Revs、130巻:151頁(1992年)を含む。
本発明のFvクローンをコードするDNAを、重鎖定常領域および/または軽鎖定常領
域をコードする公知のDNA配列(例えば、適切なDNA配列は、Kabatら、前出から得ることができる)と組み合わせて、全長重鎖および/もしくは全長軽鎖または部分長重鎖および/もしくは部分長軽鎖をコードするクローンを形成することができる。IgG定常領域、IgM定常領域、IgA定常領域、IgD定常領域、およびIgE定常領域を含む、任意のアイソタイプの定常領域を、この目的のために使用することができ、このような定常領域を、任意のヒト種または動物種から取得し得ることを理解されたい。1つの動物(ヒトなど)種の可変ドメインDNAから導出され、次いで、「ハイブリッド」の全長重鎖および/または全長軽鎖のためのコード配列を形成するように、別の動物種の定常領域DNAに融合させたFvクローンは、本明細書で使用される「キメラ」抗体および「ハイブリッド」抗体の定義に含まれる。一実施形態では、ヒト可変DNAから導出されたFvクローンを、ヒト定常領域DNAに融合させて、全てのヒト全長重鎖および/もしくはヒト全長軽鎖またはヒト部分長重鎖および/もしくはヒト部分長軽鎖のコード配列を形成する。
ナイーブライブラリーにより産生される抗体(天然または合成)は、中程度のアフィニティー(約106~107M-1のKd-1)のものでありうるが、また、Winterら(1994年)、前出において記載されている通り、アフィニティー成熟も、二次ライブラリーを構築し、ここから再選択することにより、in vitroで模倣することができる。例えば、エラープローンポリメラーゼ(Leungら、Technique、1巻:11~15頁(1989年)において報告されている)を、Hawkinsら、J.
Mol. Biol.、226巻:889~896頁(1992年)による方法、またはGramら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89巻:3576~3580頁(1992年)による方法で使用することにより、in vitroにおいて、ランダムに、変異を導入することができる。加えて、アフィニティー成熟は、例えば、目的のCDRにわたり、ランダムな配列を保有するプライマーを伴うPCRを、選択された個々のFvクローン内で使用して、1つまたは複数のCDRをランダムに変異させ、より高いアフィニティーのクローンについてスクリーニングすることにより実施することもできる。WO9607754(1996年3月14日公開)は、免疫グロブリン軽鎖の相補性決定領域内で変異誘発を誘導して、軽鎖遺伝子のライブラリーを創出するための方法について記載した。別の有効な手法は、Marksら、Biotechnol.、10巻:779~783頁(1992年)において記載されている通り、非免疫化ドナーから得られた天然に存在するVドメイン改変体のレパートリーを伴うファージディスプレイにより選択されたVHドメインまたはVLドメインを組み換え、数回のラウンドにわたる鎖リシャフリングにより、より高いアフィニティーについてスクリーニングすることである。この技法は、アフィニティーが10-9Mの範囲の抗体および抗体断片の作製を可能とする。
抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体を作り出す他の方法
抗体のアフィニティーを生成し評価する他の方法は、当該技術分野において周知であり、例えば、Kohlerら、Nature 256:495(1975);米国特許第4,816,567号;Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59-103(Academic Press,1986;Kozbor,J.Immunol.,133:3001(1984);Brodeurら、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987;Munsonら、Anal.Biochem.,107:220(1980);Engelsら、Agnew.Chem.Int.Ed.Engl.,28:716-734(1989);Abrahmsenら、EMBO J.,4:3901(1985);Methods
in Enzymology,vol.44(1976);Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855(1984)において記載されている。
一般的な方法
一般に、本発明は、アフィニティー成熟させたSSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体を提供する。これらの抗体は、SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hに対するアフィニティーおよび特異性を増大させている。このアフィニティーおよび感受性の増大により、本発明の分子を、(a)本発明の分子の感受性の増大、および/または(b)本発明の分子の、SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hへの緊密な結合により利益を得る適用および方法のために使用することが可能となる。
一実施形態では、SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体は、1つまたは複数のSSEA-3/SSEA-4/GLOBO H活性の部分的または全面的な遮断が所望される、SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H媒介性障害の処置に有用である。一実施形態では、本発明の抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体を使用して、がんを処置する。
本発明の抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体は、質量分析も遺伝子操作も必要とせずに、単純で慣用的な生体分子アッセイ、例えば、免疫沈降、ELISA、または免疫顕微鏡法における、高感度で特異的なエピトープの検出を可能とする。これにより、これらの経路の正常な機能の観察および解明のいずれにおいても、ならびに経路の機能が異常な場合の検出にも、著明な利点がもたらされる。
本発明のSSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体はまた、疾患の発生および発症機序における役割を決定するのにも使用することができる。例えば、上で記載した通り、本発明のSSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体を使用して、1つまたは複数の疾患状態と相関しうるTACAが通常一過性で発現するのかどうかを決定することができる。
本発明のSSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体を使用して、さらに、本発明の抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体が特異的でない、SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hの正常な活性には干渉せずに、1つまたは複数のSSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hの調節が異常であるか、または機能が異常である疾患を処置することができる。
別の態様では、本発明の抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体は、多様な細胞型内および組織内のがん状態を検出するための試薬としても有用性を見出す。
さらに別の態様では、本抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体は、活性遮断パターンが、本発明の対象の抗体の活性遮断パターンと類似する、SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hアンタゴニストを開発するのに有用である。例えば、本発明の抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体を使用して、同じSSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hへの結合特徴、および/またはSSEA-3/SSEA-4/GLOBO H経路の遮断能を有する他の抗体を決定および同定することができる。
さらなる例として、本発明の抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体を使用して、直鎖状エピトープおよびコンフォメーショナルエピトープを含む、本明細書で例示される抗体と実質的に同じ、SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hの抗原決定
基に結合する、他の抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体を同定することができる。
本発明の抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体を、SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hが関与する生理学的経路に基づくアッセイで使用して、1つまたは複数の結合パートナーの、SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hへの結合を遮断するのに、抗体と同様の薬理学的効果を呈示する、SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hの低分子アンタゴニストについてスクリーニングすることができる。
抗体の作製は、ハイブリドーマ技法、および結合剤分子についてのファージディスプレイライブラリーのスクリーニングなど、本明細書で記載される方法を含む当技術分野における日常的な技術を使用して達成することができる。当技術分野では、これらの方法が十分に確立されている。
略述すると、本発明の抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体は、コンビナトリアルライブラリーを使用して、1つまたは複数の所望の活性を伴う合成抗体クローンについてスクリーニングすることにより作製することができる。原則として、合成抗体クローンは、ファージコートタンパク質に融合させた、抗体可変領域の多様な断片(Fv)をディスプレイするファージを含有するファージライブラリーをスクリーニングすることにより選択する。このようなファージライブラリーを、所望の抗原に対するアフィニティークロマトグラフィーによりパニングする。所望の抗原に結合することが可能なFv断片を発現させるクローンを、抗原に吸着させ、これにより、ライブラリー内の非結合性クローンから分離する。次いで、結合性クローンを抗原から溶出させ、さらなる抗原吸着/溶出サイクルにより、さらに富化することができる。本発明の抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体のうちのいずれかは、適切な抗原スクリーニング手順をデザインして、目的のファージクローンについて選択した後で、目的のファージクローンに由来するFv配列と、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、5版、NIH Publication第91-3242号、Bethesda Md.(1991年)、1~3巻において記載されている、適切な定常領域(Fc)配列とを使用して、全長抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体クローンを構築することにより得ることができる。
一実施形態では、本発明の抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体は、モノクローナル抗体である。本発明の範囲内にはまた、本明細書で提供される抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体の、Fab断片、Fab’断片、Fab’-SH断片、およびF(ab’)2断片、ならびにこれらの変化形などの抗体断片も包含される。これらの抗体断片は、酵素的消化など、従来の手段により創出することもでき、組換え技法により作り出すこともできる。このような抗体断片は、キメラ抗体断片、ヒト抗体断片、またはヒト化抗体断片でありうる。これらの断片は、本明細書で示される実験目的、診断目的、および治療目的に有用である。
モノクローナル抗体は、実質的に均質な抗体の集団から得ることができる、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在しうる、考えられる天然に存在する変異を除き同一である。したがって、「モノクローナル」という修飾語は、個別の抗体の混合物ではないものとしての抗体の性格を指し示す。
本発明の抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hモノクローナル抗体は、Kohlerら、Nature、256巻:495頁(1975年)により初めて記載されたハイブリドーマ法を含む当技術分野で公知の様々な方法を使用して作製することもでき、代替的に、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号)により作製する
こともできる。
ベクター、宿主細胞、および組換え法
本発明の抗体を組換えにより作製するには、本発明の抗体をコードする核酸を単離し、さらなるクローニング(DNAの増幅)または発現のために、複製可能なベクターに挿入する。抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することが可能なオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)、たやすく単離およびシークェンシングされる。多くのベクターが、利用可能である。ベクターの選択は、使用される宿主細胞に部分的に依存する。宿主細胞は、原核生物由来の細胞または真核生物(一般に、哺乳動物)由来の細胞のいずれかを含むがこれらに限定されない。IgG定常領域、IgM定常領域、IgA定常領域、IgD定常領域、およびIgE定常領域を含む、任意のアイソタイプの定常領域を、この目的のために使用することができ、このような定常領域を、任意のヒト種または動物種から取得し得ることを理解されたい。
原核宿主細胞を使用する抗体の作製
ベクターの構築
本発明の抗体のポリペプチド構成要素をコードするポリヌクレオチド配列は、標準的な組換え技法を使用して得ることができる。所望のポリヌクレオチド配列は、ハイブリドーマ細胞などの抗体産生細胞から単離およびシークェンシングすることができる。代替的に、ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド合成器またはPCR技法を使用して合成することもできる。得られたら、ポリペプチドをコードする配列を、原核宿主内で異種ポリヌクレオチドを複製し、発現させることが可能な組換えベクターに挿入する。利用可能であり、当技術分野で公知の多くのベクターは、本発明の目的で使用することができる。適切なベクターの選択は、ベクターに挿入される核酸のサイズ、およびベクターで形質転換される特定の宿主細胞に主に依存する。各ベクターは、その機能(異種ポリヌクレオチドの増幅もしくは発現、またはこれらの両方)、およびそれが存在する特定の宿主細胞に対するその適合性に応じて、多様な構成要素を含有する。ベクターの構成要素は一般に、複製起点、選択マーカー遺伝子、プロモーター、リボソーム結合性部位(RBS)、シグナル配列、異種核酸インサート、および転写終結配列を含むがこれらに限定されない。
一般に、宿主細胞に適合性の種に由来するレプリコンおよび制御配列を含有するプラスミドベクターは、これらの宿主と関連させて使用する。ベクターは通常、複製部位のほか、形質転換された細胞内の表現型による選択を提供することが可能なマーキング配列も保有する。例えば、E.coliは、E.coli種に由来するプラスミドであるpBR322を使用して形質転換することが典型的である。pBR322は、アンピシリン(Amp)耐性およびテトラサイクリン(Tet)耐性をコードする遺伝子を含有し、これにより、形質転換された細胞を同定するための容易な手段を提供する。pBR322、その誘導体、または他の微生物性プラスミドもしくはバクテリオファージはまた、微生物が内因性タンパク質を発現させるために使用しうるプロモーターも含有しうるか、またはこれを含有するように修飾することができる。特定の抗体を発現させるために使用されるpBR322誘導体の例については、Carterら、米国特許第5,648,237号において詳細に記載されている。
加えて、宿主微生物に適合性のレプリコンおよび制御配列を含有するファージベクターも、形質転換ベクターとして、これらの宿主と関連させて使用することができる。例えば、λGEM(商標)11などのバクテリオファージを、E.coli LE392など、
易感染性の宿主細胞を形質転換するのに使用しうる組換えベクターの作製において活用することができる。
本発明の発現ベクターは、ポリペプチド構成要素の各々をコードする、2つまたはこれを超えるプロモーター-シストロン対を含みうる。プロモーターとは、シストロンに対して上流(5’)に位置する非翻訳の調節配列であって、その発現をモジュレートする。原核生物プロモーターは、誘導的プロモーターと構成的プロモーターとの2つのクラスに分けられることが典型的である。誘導的プロモーターとは、培養条件の変化、例えば、栄養物質の存在もしくは非存在、または温度の変化に応答して、シストロンの高レベルの転写をその制御下で開始するプロモーターである。
様々な潜在的宿主細胞により認識される多数のプロモーターが周知である。選択されたプロモーターは、制限酵素消化を介して、供給源DNAから取り出し、単離されたプロモーター配列を、本発明のベクターに挿入することにより、軽鎖または重鎖をコードするシストロンDNAに作動可能に連結することができる。天然のプロモーター配列および多くの異種プロモーターの両方を使用して、標的遺伝子の増幅、および/または発現を誘導することができる。一部の実施形態では、異種プロモーターは一般に、天然の標的ポリペプチドのプロモーターと比較して、発現させる標的遺伝子の転写の増大および収量の上昇を可能とするので活用される。
原核宿主を伴う使用に適するプロモーターは、PhoAプロモーター、β-ガラクタマーゼプロモーター系およびラクトースプロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系、ならびにtacプロモーターまたはtrcプロモーターなどのハイブリッドプロモーターを含む。しかし、細菌内で機能的な他のプロモーター(他の公知の細菌プロモーターまたはファージプロモーターなど)も同様に適する。それらのヌクレオチド配列は公表されており、これにより、当業者が、リンカーまたはアダプターを使用して、それらを、標的軽鎖および標的重鎖をコードするシストロンに、作動可能にライゲーションして、必要とされる任意の制限部位を供給することが可能となる(Siebenlistら(1980年)、Cell、20巻:269頁)。
本発明の一態様では、組換えベクター内の各シストロンは、発現させたポリペプチドの、膜を横切るトランスロケーションを誘導する、分泌シグナル配列構成要素を含む。一般に、シグナル配列は、ベクターの構成要素の場合もあり、ベクターに挿入された標的ポリペプチドDNAの一部の場合もある。本発明の目的で選択されたシグナル配列は、宿主細胞により認識およびプロセシングされる(すなわち、シグナルペプチダーゼにより切断される)シグナル配列であるものとする。異種ポリペプチドにとって天然のシグナル配列を認識およびプロセシングしない原核宿主細胞のためには、シグナル配列を、例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、Ipp、または熱安定性エンテロトキシンII(STII)リーダー、LamB、PhoE、PelB、OmpA、およびMBPからなる群より選択される、原核生物シグナル配列で置換する。本発明の一実施形態では、発現系のシストロンの両方で使用されるシグナル配列は、STIIシグナル配列またはその改変体である。
別の態様では、本発明に従う免疫グロブリンの産生は、宿主細胞の細胞質内で生じることが可能であり、したがって、各シストロン内の分泌シグナル配列の存在を必要としない。この点で、免疫グロブリンの軽鎖および重鎖は、細胞質内で機能的免疫グロブリンを形成するように、発現され、フォールドされ、アセンブルされる。ある特定の宿主株(例えば、E.coli trxB株)は、ジスルフィド結合形成に好適な細胞質条件をもたらし、これにより、発現したタンパク質サブユニットの適正なフォールディングおよびアセンブリーを可能とする(ProbaおよびPluckthun、Gene、159巻:2
03頁(1995年))。
本発明の抗体はまた、分泌され、適正にアセンブルされた、本発明の抗体の収量を最大化するために、発現するポリペプチド構成要素の定量的な比をモジュレートしうる発現系を使用することによって作製することもできる。このようなモジュレーションは、ポリペプチド構成要素について、翻訳強度を同時にモジュレートすることにより、少なくとも一部達成する。
翻訳強度をモジュレートするための1つの技法は、Simmonsら、米国特許第5,840,523号において開示されている。この技法では、シストロン内の翻訳開始領域(TIR)の改変体を活用する。所与のTIRについて、翻訳強度がある範囲にある、一連のアミノ酸配列改変体または核酸配列改変体を創出し、これにより、特異的な鎖の所望の発現レベルについて、この因子を調整するための簡便な手段をもたらすことができる。TIR改変体は、アミノ酸配列を改変させうるコドン変化を結果としてもたらす、従来の変異誘発技法により作り出すことができる。ある特定の実施形態では、ヌクレオチド配列の変化は、サイレントである。TIR内の改変は、例えば、シグナル配列の改変と共に、シャイン-ダルガーノ配列の数または間隔の改変を含みうる。変異体のシグナル配列を作り出すための1つの方法は、シグナル配列のアミノ酸配列を変化させない(すなわち、変化がサイレントである)コード配列の起始部における「コドンバンク」の作製である。これは、各コドンの第3のヌクレオチド位置を変化させることにより達成することができ;加えて、ロイシン、セリン、およびアルギニンなど、一部のアミノ酸が、第1の位置および第2の位置を複数有し、これにより、バンクの作製に複雑性を付加しうる。変異誘発のこの方法については、Yansuraら(1992年)、METHODS: A Companion to Methods in Enzymol.、4巻:151~158頁において詳細に記載されている。
一実施形態では、その中の各シストロンのTIR強度がある範囲にあるベクターのセットを作り出す。この限定的なセットにより、各鎖の発現レベルについての比較のほか、多様なTIR強度の組み合わせの下における、所望の抗体産物の収量についての比較ももたらされる。TIR強度は、Simmonsら、米国特許第5,840,523号において詳細に記載されている通り、レポーター遺伝子の発現レベルを定量化することにより決定することができる。翻訳強度の比較に基づき、所望の個々のTIRが、本発明の発現ベクター構築物内で組み合わされるように選択される。
本発明の抗体を発現させるのに適する原核宿主細胞は、古細菌およびグラム陰性菌またはグラム陽性菌などの真正細菌を含む。有用な細菌の例は、Escherichia(例えば、E.coli)種、Bacilli(例えば、B.subtilis)種、Enterobacteria種、Pseudomonas(例えば、P.aeruginosa)種、Salmonella typhimurium、Serratia marcescans、Klebsiella、Proteus、Shigella、Rhizobia、Vitreoscilla、またはParacoccusを含む。一実施形態では、グラム陰性細胞を使用する。一実施形態では、E.coli細胞を、本発明のための宿主として使用する。E.coli株の例は、W3110株(Bachmann、Cellular and Molecular Biology、2巻(Washington, D.C.: American Society for Microbiology、1987年)、1190~1219頁;ATCC寄託番号:27,325)、および、遺伝子型W3110 ΔfhuA (ΔtonA) ptr3 lac Iq lacL8 ΔompTΔ(nmpc-fepE) degP41 kanR(米国特許第5,639,635号)を有する33D3株を含むその派生株を含む。E.coli 294(ATCC:31,446)、E.coli B、E.coli λ1776(ATC
C:31,537)およびE.coli RV308(ATCC:31,608)など、他の株およびそれらの派生株もまた、適する。これらの例は、限定的なものではなく、例示的なものである。当技術分野では、規定された遺伝子型を有する上述の細菌のうちのいずれかの派生株を構築するための方法が公知であり、例えば、Bassら、Proteins、8巻:309~314頁(1990年)において記載されている。細菌の細胞内のレプリコンの複製能力を考慮して、適切な細菌を選択することが、一般に必要である。例えば、E.coli、Serratia、またはSalmonella種は、pBR322、pBR325、pACYC177、またはpKN410など、周知のプラスミドを使用して、レプリコンを供給する場合に、宿主として使用するのに適しうる。典型的には、宿主細胞は、最小量のタンパク質分解酵素を分泌するべきあり、望ましくは、さらなるプロテアーゼ阻害剤を細胞培養物中に組み込みうる。
抗体の作製
宿主細胞を、上で記載した発現ベクターで形質転換し、プロモーターを誘導するか、形質転換体を選択するか、または所望の配列をコードする遺伝子を増幅するのに適するように改変された、従来の栄養培地中で培養する。
形質転換とは、DNAが、染色体外エレメントとして、または染色体への組込み体により複製可能となるように、DNAを、原核宿主に導入することを意味する。使用される宿主細胞に応じて、形質転換は、このような細胞に適切な標準的技法を使用してなされる。細胞壁による実質的な障壁を含有する細菌細胞には、塩化カルシウムを使用するカルシウム処理を一般に使用する。形質転換のための別の方法では、ポリエチレングリコール/DMSOを使用する。さらに別の技法では、電気穿孔が使用される。
本発明のポリペプチドを作製するのに使用される原核細胞は、当技術分野で公知であり、選択された宿主細胞の培養に適する培地中で成長させる。適切な培地の例は、必要な栄養補充物質を加えたルリアブロス(LB)を含む。一部の実施形態では、培地はまた、発現ベクターを含有する原核細胞の増殖を選択的に可能とするように、発現ベクターの構築に基づき選び出される、選択用薬剤も含有する。例えば、アンピシリン耐性遺伝子を発現させる細胞を成長させるために、アンピシリンを、培地に添加する。
炭素供給源、窒素供給源、および無機ホスフェート供給源のほかに、また、任意の必要な補充物質も、適切な濃度で、単独、または複合窒素供給源など、別の補充物質または培地との混合物として、含むことができる。任意選択で、培養培地は、グルタチオン、システイン、シスタミン、チオグリコレート、ジチオエリトリトール、およびジチオトレイトールからなる群より選択される、1つまたは複数の還元剤を含有しうる。
原核宿主細胞は、適切な温度で培養する。E.coliを成長させるには、例えば、成長は、約20℃~約39℃、約25℃~約37℃、および約30℃を含むがこれらに限定されない温度範囲で行う。培地のpHは、主に宿主生物に応じて、約5~約9の範囲の任意のpHでありうる。E.coliでは、pHは、約6.8~約7.4、または約7.0でありうる。
誘導的プロモーターを、本発明の発現ベクター内で使用する場合、タンパク質発現は、プロモーターの活性化に適する条件下で誘導する。本発明の一態様では、PhoAプロモーターを、ポリペプチドの転写を制御するために使用する。したがって、形質転換された宿主細胞は、誘導のためのホスフェート制限培地中で培養する。一実施形態では、ホスフェート制限培地は、C.R.A.P培地である(例えば、Simmonsら、J. Immunol. Methods(2002年)、263巻:133~147頁を参照され
たい)。当技術分野で公知の通り、使用されるベクター構築物に従い、他の様々な誘導剤を使用することができる。
一実施形態では、発現した本発明のポリペプチドは、宿主細胞のペリプラズムに分泌され、ここから回収される。タンパク質の回収は、一般に、浸透圧ショック、超音波処理、または溶解などの手段による微生物の破壊を伴うことが典型的である。細胞を破壊したら、細胞残渣または全細胞は、遠心分離または濾過により除去することができる。タンパク質は、例えば、アフィニティー樹脂クロマトグラフィーにより、さらに精製することができる。代替的に、タンパク質を、培養培地に輸送し、その中で単離することもできる。細胞は、培養物から除去し、産生されたタンパク質のさらなる精製のために、培養上清を、濾過および濃縮することができる。発現させたポリペプチドは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)およびウェスタンブロットアッセイなど、一般に公知の方法を使用して、さらに単離および同定することができる。
本発明の一態様では、抗体の作製を、発酵工程により大量に行う。組換えタンパク質の作製のためには、多様な大スケールの流加発酵手順が利用可能である。大スケールの発酵容量は、少なくとも1000リットル、例えば、約1,000~100,000リットルである。これらの発酵槽では、撹拌用インペラーを使用して、酸素および栄養物質、とりわけ、グルコース(一般的な炭素/エネルギー供給源)を分配する。小スケールの発酵とは一般に、容積が約100リットルを超えず、約1リットル~約100リットルの範囲にありうる発酵槽内の発酵を指す。
発酵工程では、タンパク質発現の誘導は、細胞を、適切な条件下で、所望の密度、例えば、OD550で約180~220(この段階では、細胞は、早期定常相にある)まで成長させた後で、開始することが典型的である。当技術分野で公知であり、上で記載した通り、使用されるベクター構築物に従い、様々な誘導剤を使用することができる。細胞は、誘導前に、より短い期間で成長させることができる。細胞は通例、約12~50時間誘導するが、より長い誘導時間も、より短い誘導時間も、使用することができる。
本発明のポリペプチドの作製収量および作製品質を改善するために、多様な発酵条件を改変することができる。例えば、分泌される抗体ポリペプチドの適正なアセンブリーおよびフォールディングを改善するために、Dsbタンパク質(DsbA、DsbB、DsbC、DsbD、および/またはDsbG)、またはFkpA(シャペロン活性を伴う、ペプチジルプロリルcis,trans-イソメラーゼ)など、シャペロンタンパク質を過剰発現させる、さらなるベクターを使用して、宿主原核細胞を共形質転換することができる。シャペロンタンパク質は、適正なフォールディングおよび細菌宿主細胞内で産生される異種タンパク質の溶解度を促進することが裏付けられている。Chenら、(1999) J Bio Chem 274:19601-19605;Georgiouら、米国特許第6,083,715号;Georgiouら、米国特許第6,027,888号;Bothmann and Pluckthun(2000)J.Biol.Chem.275:17100-17105;Ramm and Pluckthun(2000)J.Biol.Chem.275:17106-17113;Arieら、(2001)Mol.Microbiol.39:199-210。
発現させた異種タンパク質(とりわけ、タンパク質分解に対して感受性の異種タンパク質)のタンパク質分解を最小化するため、タンパク質分解酵素について欠損する、ある特定の宿主株を、本発明のために使用することができる。例えば、宿主細胞株は、Protease III、OmpT、DegP、Tsp、Protease I、Protease Mi、Protease V、Protease VI、およびこれらの組み合わせなど、公知の細菌プロテアーゼをコードする遺伝子内に、遺伝子変異を施すように改変
することができる。一部のE.coliプロテアーゼ欠損株が利用可能であり、例えば、Jolyら(1998年)、前出;Georgiouら、米国特許第5,264,365号;Georgiouら、米国特許第5,508,192号;Haraら、Microbial Drug Resistance、2巻:63~72頁(1996年)において記載されている。
一実施形態では、タンパク質分解酵素について欠損し、1つまたは複数のシャペロンタンパク質を過剰発現させるプラスミドで形質転換されたE.coli株を、本発明の発現系内の宿主細胞として使用する。
抗体の精製
一実施形態では、本明細書で作製される抗体タンパク質をさらに精製して、さらなるアッセイのための、実質的に均質な調製物を得、使用する。当技術分野で公知の、標準的なタンパク質精製法を使用することができる。以下の手順:免疫アフィニティーカラム上またはイオン交換カラム上の分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカ上のまたはDEAEなどカチオン交換樹脂上のクロマトグラフィー、等電点電気泳動、SDS-PAGE、硫酸アンモニウム沈殿、および例えば、Sephadex G-75を使用するゲル濾過は、適切な精製手順を例示するものである。
一態様では、固相上に固定化されたプロテインAを、本発明の抗体産物の免疫アフィニティー精製のために使用する。プロテインAとは、Staphylococcus aureasに由来する、41kDの細胞壁タンパク質であって、抗体のFc領域に、高アフィニティーで結合する(Lindmarkら(1983年)、J. Immunol. Meth.、62巻:1~13頁)。プロテインAを固定化する固相は、ガラス表面もしくはシリカ表面を含むカラム、またはCPG(controlled pore glass)カラムもしくはケイ酸カラムでありうる。一部の適用では、カラムを、グリセロールなどの試薬でコーティングすると、夾雑物の非特異的付着を防止する可能性が高い。
精製の第1のステップとして、上で記載した細胞培養物に由来する調製物を、プロテインAを固定化した固相に適用して、目的の抗体の、プロテインAへの特異的結合を可能とすることができる。次いで、固相を洗浄すると、固相に非特異的に結合した夾雑物が除去される。最後に、目的の抗体を、固相から、溶出により回収する。
真核宿主細胞を使用する抗体の作製
ベクターの構成要素は一般に、以下:シグナル配列、複製起点、1つまたは複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、および転写終結配列のうちの1つまたは複数を含むがこれらに限定されない。
(i)シグナル配列構成要素
真核宿主細胞における使用のためのベクターはまた、シグナル配列、または、目的の成熟タンパク質もしくは成熟ポリペプチドのN末端において特異的切断部位を有する、他のポリペプチドも含有しうる。選択される異種シグナル配列は一般に、宿主細胞により認識およびプロセシングされる(すなわち、シグナルペプチダーゼにより切断される)異種シグナル配列である。哺乳動物細胞の発現では、哺乳動物シグナル配列のほか、ウイルス分泌リーダー、例えば、単純ヘルペスgDシグナルも利用可能である。
このような前駆体領域のDNAを、リーディングフレーム内で、抗体をコードするDN
Aにライゲーションする。
(ii)複製起点
一般に、複製起点構成要素は、哺乳動物の発現ベクターに必要とされない。例えば、SV40起点は、初期プロモーターを含有するというだけで使用されうることが典型的である。
(iii)選択遺伝子構成要素
発現ベクターおよびクローニングベクターは、選択用マーカーとも称する、選択遺伝子を含有しうる。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生剤または他の毒素、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセート、またはテトラサイクリンに対する耐性を付与する、(b)該当する場合、栄養要求性欠損を補完する、または(c)複合培地から得られない必須の栄養物質を供給する、タンパク質をコードする。
選択スキームの1つの例では、宿主細胞の成長を止める薬物を活用する。異種遺伝子による形質転換に成功した細胞は、薬物耐性を付与するタンパク質を産生し、これにより、選択レジメンを生き残る。このような優性選択の例では、薬物である、ネオマイシン、ミコフェノール酸、およびハイグロマイシンを使用する。
哺乳動物細胞に適する選択用マーカーの別の例は、DHFR、チミジンキナーゼ、メタロチオネインIおよびII(例えば、霊長動物メタロチオネイン遺伝子)、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼなど、抗体核酸を取り込む能力のある細胞の同定を可能とする選択用マーカーである。
例えば、DHFR選択遺伝子で形質転換された細胞はまず、DHFRの競合的アンタゴニストである、メトトレキセート(Mtx)を含有する培養培地中で、形質転換体の全てを培養することにより同定することができる。野生型DHFRを使用する場合に適切な宿主細胞は、例えば、DHFR活性を欠損させたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系(例えば;ATCC:CRL-9096)を含む。
代替的に、抗体、野生型DHFRタンパク質、およびアミノグリコシド3’-ホスホトランスフェラーゼ(APH)など、別の選択用マーカーをコードするDNA配列で形質転換または共形質転換された宿主細胞(特に、内因性DHFRを含有する野生型宿主)は、アミノグリコシド抗生剤、例えば、カナマイシン、ネオマイシン、またはG418など、選択用マーカーのための選択用薬剤を含有する培地中の細胞成長により選択することができる。米国特許第4,965,199号を参照されたい。
(iv)プロモーター構成要素
発現ベクターおよびクローニングベクターは通例、宿主生物により認識され、目的のポリペプチド(例えば、抗体)をコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーターを含有する。真核生物のプロモーター配列は、公知である。事実上全ての真核生物遺伝子は、転写が開始される部位から約25~30塩基上流に位置する、ATに富む領域を有する。多くの遺伝子の転写の始点から70~80塩基上流に見出される別の配列は、CNCAAT領域[配列中、Nは、任意のヌクレオチドでありうる]である。大半の真核生物遺伝子の3’末端は、ポリAテールの、コード配列の3’末端への付加のシグナルでありうる、AATAAA配列である。これらの配列の全ては、真核生物発現ベクターに挿入するのに適する。
哺乳動物宿主細胞内のベクターからの抗体ポリペプチドの転写は、例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(Adenovirus 2など)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、およびサルウイルス40(SV40)などのウイルスのゲノムから得られたプロモーター、異種哺乳動物プロモーター、例えば、アクチンプロモーターもしくは免疫グロブリンプロモーターに由来するプロモーター、または熱ショックプロモーターに由来するプロモーターにより制御することができるが、このようなプロモーターが、宿主細胞系に適合性があることを条件とする。
SV40ウイルスの初期プロモーターおよび後期プロモーターは、SV40ウイルス複製起点もまた含有する、SV40制限断片として簡便に得られる。ヒトサイトメガロウイルスの最初期プロモーターは、HindIII E制限断片として簡便に得られる。ウシパピローマウイルスをベクターとして使用して、哺乳動物宿主内でDNAを発現させるための系は、米国特許第4,419,446号において開示されている。この系の改変については、米国特許第4,601,978号において記載されている。また、単純ヘルペスウイルスに由来するチミジンキナーゼプロモーターの制御下、マウス細胞内の、ヒトβ-インターフェロンcDNAの発現についての、Reyesら、Nature、297巻:598~601頁(1982年)も参照されたい。代替的に、ラウス肉腫ウイルスの長い末端リピートも、プロモーターとして使用することができる。
(v)エンハンサーエレメント構成要素
高等真核生物による、本発明の抗体ポリペプチドをコードするDNAの転写は、エンハンサー配列を、ベクターに挿入することにより増大させうることが多い。今や、哺乳動物遺伝子(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン、およびインスリン)に由来する、多くのエンハンサー配列が、公知である。しかし、真核細胞ウイルスに由来するエンハンサーを使用することが典型的である。例は、複製起点の後期側(100~270bp)にあるSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側にあるポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーを含む。真核生物プロモーターの活性化のための増強エレメントについては、また、Yaniv、Nature、297巻:17~18頁(1982年)も参照されたい。エンハンサーは、ベクターに、抗体ポリペプチドコード配列の5’または3’の位置にスプライスされる場合もあるが、一般に、プロモーターの5’の部位に位置する。
(vi)転写終結構成要素
真核宿主細胞内で使用される発現ベクターはまた、転写の終結およびmRNAの安定化に必要な配列も含有することが典型的である。このような配列は一般に、真核生物DNAもしくは真核生物cDNA、またはウイルスDNAもしくはウイルスcDNAの5’非翻訳領域、場合によって、3’非翻訳領域から得られる。これらの領域は、抗体をコードするmRNAの非翻訳部分内のポリアデニル化断片として転写される、ヌクレオチドセグメントを含有する。1つの有用な転写終結構成要素は、ウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である。WO94/11026およびその中で開示されている発現ベクターを参照されたい。
(vii)宿主細胞の選択および形質転換
本明細書のベクター内でDNAをクローニングするかまたは発現させるのに適する宿主細胞は、脊椎動物宿主細胞を含む本明細書で記載される高等真核細胞を含む。培養物(組
織培養物)中の脊椎動物細胞の繁殖は、日常的な手順となっている。有用な哺乳動物宿主細胞系の例は、SV40で形質転換されたサル腎臓CV1細胞系(COS-7;ATCC:CRL1651);ヒト胎児腎臓細胞系(293細胞または懸濁培養で成長させるためにサブクローニングされた293細胞;Grahamら、J. Gen Virol.、36巻:59頁(1977年));ベビーハムスター腎臓細胞(BHK;ATCC:CCL10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/DHFR-(CHO;Urlaubら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、77巻:4216頁(1980年));マウスセルトリ細胞(TM4;Mather、Biol. Reprod.、23巻:243~251頁(1980年));サル腎臓細胞(CV1;ATCC:CCL70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76;ATCC:CRL-1587);ヒト子宮頸癌細胞(HELA;ATCC:CCL2);イヌ腎臓細胞(MDCK;ATCC:CCL34);バッファローラット肝細胞(BRL 3A;ATCC:CRL1442);ヒト肺細胞(W138;ATCC:CCL75);ヒト肝細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳腺腫瘍(MMT 060562;ATCC:CCL51);TRI細胞(Matherら、Annals N.Y. Acad. Sci.、383巻:44~68頁(1982年));MRC 5細胞;FS4細胞;およびヒトヘパトーマ細胞系(Hep G2)である。
宿主細胞は、抗体の作製のための、上で記載した発現ベクターまたはクローニングベクターで形質転換し、プロモーターを誘導するか、形質転換体を選択するか、または所望の配列をコードする遺伝子を増幅するのに適するように改変された、従来の栄養培地中で培養する。
(viii)宿主細胞の培養
本発明の抗体を作製するのに使用される宿主細胞は、様々な培地中で培養することができる。ハムF10(Sigma)、最小必須培地((MEM)(Sigma)、RPMI-1640(Sigma)、およびダルベッコ改変イーグル培地((DMEM)、Sigma)などの市販の培地は、宿主細胞の培養に適する。加えて、Hamら、Meth. Enz.、58巻:44頁(1979年)、Barnesら、Anal. Biochem.、102巻:255頁(1980年)、米国特許第4,767,704号;同第4,657,866号;同第4,927,762号;同第4,560,655号;もしくは同第5,122,469号;WO90/03430;WO87/00195;または米国特許再交付第30,985号において記載されている培地のうちのいずれかを、宿主細胞のための培養培地として使用することもできる。これらの培地のうちのいずれかには、必要に応じて、ホルモンおよび/または他の増殖因子(インスリン、トランスフェリン、または上皮増殖因子など)、塩(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびホスフェートなど)、緩衝剤(HEPESなど)、ヌクレオチド(アデノシンおよびチミジンなど)、抗生剤(GENTAMYCIN(商標)薬など)、微量元素(通例マイクロモル濃度範囲の最終濃度で存在する無機化合物として定義される)、ならびにグルコースもしくは同等のエネルギー供給源を補充することができる。また、他の任意の必要な補充物質も、当業者に公知の適切な濃度で含むことができる。温度、pHなどの培養条件は、発現のために選択された宿主細胞に対して既に使用された培養条件であり、当業者に明らかである。
(ix)抗体の精製
組換え技法を使用する場合、抗体は、細胞内で産生させること、または培地に直接分泌させることができる。抗体を細胞内で産生させる場合、最初のステップとして、宿主細胞または溶解させた断片のいずれかである粒子状残渣は一般に、例えば、遠心分離または限
外濾過により除去する。抗体を培地に分泌させる場合、このような発現系に由来する上清は一般に、まず、市販のタンパク質濃縮フィルター、例えば、Amicon限外濾過ユニットまたはMillipore Pellicon限外濾過ユニットを使用して濃縮する。PMSFなどのプロテアーゼ阻害剤を前出のステップのうちのいずれかに含み、タンパク質分解を阻害することができ、偶発性の夾雑物の成長を防止するために抗生剤が含まれ得る。
細胞から調製される抗体組成物は、例えば、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、およびアフィニティークロマトグラフィーを使用して精製することができ、アフィニティークロマトグラフィーは一般に、許容可能な精製技法である。プロテインAなどのアフィニティー試薬の、アフィニティーリガンドとしての適性は、抗体内に存在する任意の免疫グロブリンFcドメインの種およびアイソタイプに依存する。プロテインAを使用して、ヒトγ1重鎖、ヒトγ2重鎖、またはヒトγ4重鎖に基づく抗体を精製することができる(Lindmarkら、J. Immunol. Meth.、62巻:1~13頁(1983年))。プロテインGは、全てのマウスアイソタイプおよびヒトγ3のために推奨される(Gussら、EMBO J.、5巻:1567~1575頁(1986年))。アフィニティーリガンドを付着させるマトリックスは大部分、アガロースであることが多いが、他のマトリックスも利用可能である。CPG(controlled pore glass)またはポリ(スチレンジビニル)ベンゼンなど、力学的に安定的なマトリックスは、アガロースに対して達成しうる流量より大きな流量およびアガロースに対して達成しうる加工時間より短い加工時間を可能とする。抗体がCH3ドメインを含む場合は、Bakerbond ABX(商標)樹脂(J. T. Baker、Phillipsburg、N.J.)が精製のために有用である。また、イオン交換カラム上の分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカ上のクロマトグラフィー、ヘパリン上のクロマトグラフィー、アニオン交換樹脂上またはカチオン交換樹脂上(ポリアスパラギン酸カラムなど)のSEPHAROSE(商標)クロマトグラフィー、等電点電気泳動、SDS-PAGE、および硫酸アンモニウム沈殿など、タンパク質精製のための他の技法も、回収される抗体に応じて利用可能である。
任意の予備的精製ステップの後、目的の抗体と夾雑物とを含む混合物を、必要に応じて、例えば、pHを約2.5~4.5の間とする溶出緩衝液を使用し、一般に低塩濃度(例えば、約0~0.25Mの塩)で実施される、低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーにより、さらなる精製ステップにかけることができる。
当技術分野では、一般に、研究、検査、および臨床使用における使用のための抗体を調製するための技法および方法論が十分に確立されており、上記とも符合し、かつ/または目的の特定の抗体に適切であると当業者にみなされていることに留意されたい。
活性アッセイ
本発明の抗体は、それらの物理的特性/化学的特性および生物学的機能について、当技術分野で公知の多様なアッセイにより特徴付けることができる。
精製された抗体は、N末端シークェンシング、アミノ酸解析、非変性サイズ除外高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、質量分析、イオン交換クロマトグラフィー、およびパパイン消化を含むがこれらに限定されない、一連のアッセイによりさらに特徴付けることができる。
必要な場合は、抗体を、それらの生物学的活性について解析する。一部の実施形態では、本発明の抗体を、それらの抗原結合活性について調べる。当技術分野で公知であり、本
明細書で使用しうる抗原結合性アッセイは、限定せずに述べると、ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素免疫測定アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、蛍光イムノアッセイ、およびプロテインAイムノアッセイなどの技法を使用する、任意の直接的結合アッセイまたは競合的結合アッセイを含む。
一実施形態では、本発明は、全てではないが一部のエフェクター機能を有する改変された抗体を想定しており、このことが、この抗体を、抗体のin vivo半減期が重要であるがある特定のエフェクター機能(例えば、補体およびADCC)が不要または有害である多くの適用に望ましい候補にしている。ある特定の実施形態では、抗体のFc活性は、所望の特性だけが維持されることを確実にするために測定される。in vitro細胞傷害アッセイおよび/またはin vivo細胞傷害アッセイが、CDC活性および/またはADCC活性の低減/枯渇を確認するために実施されうる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイは、抗体がFcγR結合を欠く(したがって、ADCC活性をおそらくは欠く)がFcRn結合能を保持することを確実にするために実施されうる。ADCCを媒介するための主要な細胞であるNK細胞は、FcγRIIIのみを発現するのに対し、単球は、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIを発現する。造血細胞上でのFcR発現は、RavetchおよびKinet、Annu. Rev. Immunol 9巻:457~92頁(1991年)の464頁の表3にまとめられている。目的の分子のADCC活性を評価するためのin vitroアッセイの例は、米国特許第5,500,362号または米国特許第5,821,337号に記載されている。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞を含む。代替的に、または加えて、目的の分子のADCC活性は、in vivoで、例えば、Clynesら、PNAS (USA) 95巻:652~656頁(1998年)に開示されたものなどの動物モデルにおいて評価されうる。C1q結合アッセイもまた、抗体がC1qに結合できず、したがってCDC活性を欠くことを確認するために実行されうる。補体活性化を評価するために、例えばGazzano-Santoroら、J. Immunol. Methods 202巻:163頁(1996年)に記載されるようなCDCアッセイが実施されうる。FcRn結合およびin vivoクリアランス/半減期の決定もまた、当技術分野で公知の方法を使用して実施されうる。
抗体断片
本発明は、抗体断片を包含する。ある特定の状況では、全抗体ではなく、抗体断片を使用することが有利である。より小サイズの断片は、急速なクリアランスを可能とし、充実性腫瘍への接近の改善をもたらしうる。
抗体断片を産生するための多様な技法が開発されている。従来、これらの断片は、無傷抗体のタンパク質分解性消化を介して導出した(例えば、Morimotoら、Journal of Biochemical and Biophysical Methods、24巻:107~117頁(1992年);およびBrennanら、Science、229巻:81頁(1985年)を参照されたい)。しかし、今やこれらの断片は、組換え宿主細胞に直接産生させることができる。Fab抗体断片、Fv抗体断片、およびScFv抗体断片は全て、E.coli内で発現し、E.coliから分泌され、このため、これらの断片の大量の作製が容易に可能となりうる。抗体断片は、上で論じた抗体ファージライブラリーから単離することができる。代替的に、Fab’-SH断片は、E.coliから直接回収し、化学的にカップリングさせて、F(ab’)2断片を形成することもできる(Carterら、Bio/Technology、10巻:163~167頁(1992年))。別の手法に従い、F(ab’)2断片を、組換え宿主細胞培養物から直接単離することができる。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含む、in
vivo半減期を延長したFab断片およびF(ab’)2断片については、米国特許第5,869,046号において記載されている。当業者には、抗体断片を作製するための他の技法も明らかであろう。他の実施形態では、選択した抗体は、単鎖Fv断片(scFv)である。WO93/16185;米国特許第5,571,894号;および同第5,587,458号を参照されたい。FvおよびsFvは、定常領域を欠く無傷の結合部位を伴う唯一の分子種であり、このため、in vivoにおける使用時に非特異的結合を低減するのに適する。sFv融合タンパク質を構築して、sFvのアミノ末端またはカルボキシ末端のいずれかにおけるエフェクタータンパク質の融合をもたらすことができる。Antibody Engineering、Borrebaeck編、前出を参照されたい。例えば、抗体断片はまた、例えば、米国特許第5,641,870号に記載の通り、「直鎖状抗体」でもありうる。このような直鎖状抗体断片は、一特異性であっても二特異性であってもよい。
ヒト化抗体
本発明は、ヒト化抗体を包含する。当技術分野では、非ヒト抗体をヒト化するための多様な方法が公知である。例えば、ヒト化抗体は、非ヒト供給源から導入された1つまたは複数のアミノ酸残基を有しうる。これらの非ヒトアミノ酸残基は、「移入」残基と称することが多く、これは、「移入」可変ドメインから採取されることが典型的である。ヒト化は、Winterおよび共同研究者らによる方法(Jonesら(1986年)、Nature、321巻:522~525頁;Riechmannら(1988年)、Nature、332巻:323~327頁;Verhoeyenら(1988年)、Science、239巻:1534~1536頁)に従い、超可変領域配列で、ヒト抗体の対応する配列を置換することにより、本質的に実施することができる。したがって、このような「ヒト化」抗体とは、実質的に無傷に満たないヒト可変ドメインが、非ヒト種に由来する対応する配列で置換されているキメラ抗体(米国特許第4,816,567号)である。実際は、ヒト化抗体は、一部の超可変領域残基と、おそらく、一部のFR残基とが、齧歯動物抗体内の類似の部位に由来する残基で置換されているヒト抗体であることが典型的である。
ヒト化抗体を作製するのに使用される、軽鎖ヒト可変ドメインおよび重鎖ヒト可変ドメインのいずれの選択も、抗原性を低減するのに重要でありうる。いわゆる「ベストフィット」法に従い、齧歯動物抗体の可変ドメイン配列を、公知のヒト可変ドメイン配列の全ライブラリーに照らしてスクリーニングする。次いで、齧歯動物の配列に最も近接するヒト配列を、ヒト化抗体のためのヒトフレームワークとして受容する(Simsら(1993年)、J. Immunol.、151巻:2296頁;Chothiaら(1987年)、J. Mol. Biol.、196巻:901頁)。別の方法では、軽鎖または重鎖の特定の亜群についての、全てのヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定のフレームワークを使用する。同じフレームワークを、いくつかの異なるヒト化抗体のために使用することができる(Carterら(1992年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89巻:4285頁;Prestaら(1993年)、J. Immunol.、151巻:2623頁)。
抗原に対する高アフィニティーおよび他の好適な生物学的特性を保持するように抗体をヒト化することがさらに一般に望ましい。この目標を達成するために、1つの方法に従い、ヒト化抗体を、親配列およびヒト化配列についての三次元モデルを使用する、親配列および多様な概念上のヒト化産物についての解析工程により調製する。三次元免疫グロブリンモデルは、一般に利用可能であり、当業者は、これに精通している。選択された候補免疫グロブリン配列についての、あり得る三次元コンフォメーション構造を例示および表示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらの表示について検討することによ
り、候補免疫グロブリン配列の機能において推定される残基の役割についての解析、すなわち、候補免疫グロブリンが、その抗原に結合する能力に影響を及ぼす残基についての解析が可能となる。このようにして、標的抗原に対するアフィニティーの増大など、所望の抗体特徴を達成するように、FR残基は、レシピエント配列および移入配列から選択し、組み合わせることができる。一般に、超可変領域の残基は、抗原への結合に対する影響に、直接、かつ、極めて実質的に関与する。
ヒト抗体
本発明のヒト抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体は、ヒト由来のファージディスプレイライブラリーから選択されたFvクローンの可変ドメイン配列を、上で記載した、公知のヒト定常ドメイン配列と組み合わせることにより構築することができる。代替的に、本発明のヒトモノクローナル抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体は、ハイブリドーマ法により作製することができる。ヒトモノクローナル抗体の作製のための、ヒト骨髄腫細胞株およびマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株については、例えば、Kozbor、J. Immunol.、133巻:3001頁(1984年);Brodeurら、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications、51~63頁(Marcel
Dekker, Inc.、New York、1987年);およびBoernerら、J. Immunol.、147巻:86頁(1991年)により記載されている。
今や、免疫化されると、内因性免疫グロブリン産生の非存在下で、ヒト抗体の完全なレパートリーを産生することが可能なトランスジェニック動物(例えば、マウス)を作製することができる。例えば、キメラおよび生殖細胞系列の変異体マウスにおける、抗体重鎖接合領域(JH)遺伝子のホモ接合性の欠失の結果として、内因性抗体産生の完全な阻害がもたらされることが記載されている。ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン遺伝子アレイを、このような生殖細胞系列変異体マウスに導入する結果として、抗原チャレンジの際にヒト抗体の産生がもたらされる。例えば、Jakobovitsら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90巻:2551頁(1993年);Jakobovitsら、Nature、362巻:255頁(1993年);Bruggermannら、Year in Immunol.、7巻:33頁(1993年)を参照されたい。
遺伝子シャフリングはまた、ヒト抗体を、非ヒト抗体、例えば、齧歯動物抗体から導出するのにも使用することができ、この場合、ヒト抗体は、非ヒト出発抗体と同様のアフィニティーおよび特異性を有する。「エピトープインプリンティング」とも呼ばれるこの方法に従い、上で記載したファージディスプレイ技法により得られる、非ヒト抗体断片の重鎖可変領域または軽鎖可変領域のいずれかを、ヒトVドメイン遺伝子のレパートリーで置きかえ、非ヒト鎖/ヒト鎖のscFvキメラまたはFabキメラの集団を創出する。抗原による選択の結果として、非ヒト鎖/ヒト鎖のキメラscFvまたはキメラFabが単離され、ここで、ヒト鎖は、初代ファージディスプレイクローン内で、対応する非ヒト鎖を除去したときに破壊された抗原結合性部位を回復する、すなわち、エピトープにより、ヒト鎖パートナーの選択が支配される(刷り込まれる)。残存する非ヒト鎖を置きかえるために工程を繰り返すと、ヒト抗体が得られる(1993年4月1日に公開された、PCT
WO93/06213を参照されたい)。従来の、非ヒト抗体の、CDRグラフティングによるヒト化と異なり、この技法は、非ヒト由来のFR残基もCDR残基も有さない、完全ヒト抗体をもたらす。
二特異性抗体
二特異性抗体とは、少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。ある特定の実施形態では、二特異性抗体は、ヒトまたはヒト化抗体である。ある特定の実施形態では、結合特異性のうちの一方は、特異的リシン連結を含む、SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hに対するものであり、他方は、他の任意の抗原に対するものである。ある特定の実施形態では、二特異性抗体は、2つの異なるリシン連結を有する、2つの異なるSSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hに結合しうる。二特異性抗体は、全長抗体として、または抗体断片(例えば、F(ab’)2二特異性抗体)として調製することができる。
当技術分野では、二特異性抗体を作製するための方法が公知である。従来、二特異性抗体の組換えによる作製は、2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の共発現に基づき、この場合、2つの重鎖は、異なる特異性を有する(MilsteinおよびCuello、Nature、305巻:537頁(1983年))。免疫グロブリン重鎖と免疫グロブリン軽鎖とのランダムな取合せのために、これらのハイブリドーマ(クァドローマ)は、そのうちの1つだけが正確な二特異性構造を有する、10の異なる抗体分子の潜在的な混合物を産生する。通例、アフィニティークロマトグラフィーステップによりなされる、正確な分子の精製は、いくぶん煩瑣であり、産物の収量も低い。同様の手順は、1993年5月13日に公開されたWO93/08829、およびTrauneckerら、EMBO J.、10巻:3655頁(1991年)において開示されている。
異なる実施形態に従い、所望の結合特異性(抗体-抗原結合部位)を伴う抗体の可変ドメインを、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合させる。融合は、例えば、ヒンジ領域、CH2領域、およびCH3領域のうちの少なくとも一部を含む、免疫グロブリン重鎖定常ドメインとの融合である。ある特定の実施形態では、軽鎖の結合に必要な部位を含有する、第1の重鎖定常領域(CH1)は、融合体のうちの少なくとも1つの中に存在する。免疫グロブリン重鎖融合体と、所望の場合、免疫グロブリン軽鎖とをコードするDNAを、別個の発現ベクターに挿入し、適切な宿主生物に共トランスフェクトする。構築において使用される、等しくない比の3つのポリペプチド鎖から、最適の収量を得る実施形態では、これにより、3つのポリペプチド断片の相互の比率を調整するのに大きな柔軟性がもたらされる。しかし、少なくとも2つの、等しい比のポリペプチド鎖を発現させる結果として、高収量がもたらされる場合、または比が特段の重要性を有さない場合は、ポリペプチド鎖の2つまたは3つ全てのコード配列を、1つの発現ベクター内に挿入することが可能である。
この手法の一実施形態では、二特異性抗体は、一方のアームにおける、第1の結合特異性を伴う、ハイブリッドの免疫グロブリン重鎖と、他方のアームにおける、ハイブリッドの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対(第2の結合特異性をもたらす)とから構成される。免疫グロブリン軽鎖が、二特異性分子の半分だけに存在することにより、容易な分離の方途がもたらされるので、この非対称性構造により、所望の二特異性化合物の、望ましくない免疫グロブリン鎖の組み合わせからの分離が容易となることが見出された。この手法は、WO94/04690において開示されている。二特異性抗体を作り出すことのさらなる詳細については、例えば、Sureshら、Methods in Enzymology、121巻:210頁(1986年)を参照されたい。
別の手法に従い、抗体分子対の間の界面を操作して、組換え細胞培養物から回収されるヘテロ二量体の百分率を最大化することができる。界面は、抗体定常ドメインのCH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、第1の抗体分子の界面に由来する、1つまたは複数の小型のアミノ酸側鎖を、より大型の側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)で置きかえる。大型のアミノ酸側鎖を、より小型の側鎖(例えば、アラニンまたはトレオニン)で置きかえることにより、大型の側鎖と相補的な、同一または同様なサイ
ズの「空隙」を、第2の抗体分子の界面上に創出する。これにより、ホモ二量体など、他の望ましくない最終生成物に対する、ヘテロ二量体の収量を増大させるための機構がもたらされる。
二特異性抗体は、架橋抗体または「ヘテロコンジュゲート」抗体を含む。例えば、ヘテロコンジュゲート内の抗体のうちの一方をアビジンへ、他方をビオチンにカップリングさせることができる。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を、望ましくない細胞に標的化するため(米国特許第4,676,980号)、およびHIV感染の処置のため(WO91/00360、WO92/00373、およびEP03089)に提起されている。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の簡便な架橋法を使用して作製することができる。当技術分野では、適切な架橋剤が周知であり、多数の架橋技法と共に、米国特許第4,676,980号において開示されている。
また、二特異性抗体を、抗体断片から作り出すための技法も、文献に記載されている。例えば、二特異性抗体は、化学連結を使用して調製することができる。Brennanら、Science、229巻:81頁(1985年)は、無傷抗体を、タンパク質分解により切断して、F(ab’)2断片を作り出す手順について記載している。これらの断片を、ジチオール錯化剤である亜ヒ酸ナトリウムの存在下で還元して、近接のジチオールを安定化させ、分子間ジスルフィドの形成を防止する。次いで、作り出されたFab’断片を、チオニトロ安息香酸(TNB)誘導体に転換する。次いで、Fab’-TNB誘導体のうちの一方を、メルカプトエチルアミンによる還元によって、Fab’-チオールに再転換し、等モル量である他方のFab’-TNB誘導体と混合して、二特異性抗体を形成する。作製された二特異性抗体は、酵素を選択的に固定化するための薬剤として使用することができる。
近年の進展は、二特異性抗体を形成するように、化学的にカップリングさせうる、Fab’-SH断片の、E.coliからの直接的回収を容易としている。Shalabyら、J. Exp. Med.、175巻:217~225頁(1992年)は、完全ヒト化二特異性抗体であるF(ab’)2分子の作製について記載している。各Fab’断片を、E.coliから個別に分泌させ、in vitroにおいて、指向性化学的カップリングにかけて、二特異性抗体を形成する。このようにして形成された二特異性抗体は、HER2受容体を過剰発現する細胞、および正常ヒトT細胞に結合すること、ならびにヒト細胞傷害性リンパ球の、ヒト乳房腫瘍標的に対する溶解活性を誘発することが可能であった。
また、二特異性抗体断片を、組換え細胞培養物から直接、作製および単離するための多様な技法も記載されている。例えば、二特異性抗体は、ロイシンジッパーを使用して作製されている(Kostelnyら、J. Immunol.、148巻(5号):1547~1553頁(1992年))。Fosタンパク質およびJunタンパク質に由来するロイシンジッパーペプチドを、2つの異なる抗体のFab’部分に、遺伝子融合により連結した。抗体のホモ二量体を、ヒンジ領域において還元して、単量体を形成し、次いで、これを再度酸化して、抗体のヘテロ二量体を形成した。この方法はまた、抗体のホモ二量体を作製するためにも活用することができる。Hollingerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90巻:6444~6448頁(1993年)により記載されている「ダイアボディー」技術は、二特異性抗体断片を作製するための代替的な機構を提供している。断片は、同じ鎖上の2つのドメインの間の対合を可能とするには短すぎるリンカーにより、軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された、重鎖可変ドメイン(VH)を含む。したがって、1つの断片のVHドメインおよびVLドメインは、別の断片の相補的なVLドメインおよびVHドメインと対合することを強いられ、これにより、2つの抗原結合性部位を形成する。また、単鎖Fv(sFv)二量体の使用により、二
特異性抗体断片を作製するための別の戦略も、報告されている。Gruberら、J. Immunol.、152巻:5368頁(1994年)を参照されたい。
二価を超える抗体が想定されている。例えば、三特異性抗体を調製することができる(Tuttら、J. Immunol.、147巻:60頁(1991年))。
多価抗体
多価抗体は、抗体が結合する抗原を発現させる細胞により、二価抗体より速く内部化(および/または異化)されうる。本発明の抗体は、3つまたはこれを超える抗原結合性部位を伴う多価抗体(IgMクラス以外の抗体である)(例えば、四価抗体)の可能性があり、これは、抗体のポリペプチド鎖をコードする核酸の組換え発現により、たやすく作製することができる。多価抗体は、二量体化ドメインおよび3つまたはこれを超える抗原結合性部位を含みうる。二量体化ドメインは、例えば、Fc領域またはヒンジ領域を含む(またはこれらからなる)。この状況では、抗体は、Fc領域と、Fc領域に対してアミノ末端側にある、3つまたはこれを超える抗原結合性部位とを含む。一実施形態では、多価抗体は、例えば、3つ~約8つ、または4つの抗原結合性部位を含む(またはこれらからなる)。多価抗体は、少なくとも1つのポリペプチド鎖(例えば、2つのポリペプチド鎖)を含み、ここで、ポリペプチド鎖は、2つまたはこれを超える可変ドメインを含む。例えば、ポリペプチド鎖は、VD1-(X1)n-VD2-(X2)n-Fc[配列中、VD1は、第1の可変ドメインであり、VD2は、第2の可変ドメインであり、Fcは、Fc領域の1つのポリペプチド鎖であり、X1およびX2は、アミノ酸またはポリペプチドを表し、nは、0または1である]を含みうる。例えば、ポリペプチド鎖は、VH-CH1-可撓性リンカー-VH-CH1-Fc領域鎖;またはVH-CH1-VH-CH1-Fc領域鎖を含みうる。本明細書の多価抗体は、少なくとも2つ(例えば、4つ)の軽鎖可変ドメインポリペプチドをさらに含みうる。本明細書の多価抗体は、例えば、約2つ~約8つの軽鎖可変ドメインポリペプチドを含みうる。本明細書で想定される軽鎖可変ドメインポリペプチドは、軽鎖可変ドメインを含み、任意選択で、CLドメインをさらに含む。
一部の実施形態では、本明細書で記載される抗体のアミノ酸配列修飾が想定される。例えば、アミノ酸配列修飾は、抗体の結合アフィニティーおよび/または他の生物学的特性を改善するのに望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列改変体は、適切なヌクレオチド変化を抗体核酸に導入することにより、またはペプチド合成により調製する。このような修飾は、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、および/または抗体のアミノ酸配列内の残基への挿入、および/または抗体のアミノ酸配列内の残基の置換を含む。最終構築物が、所望の特徴を保有するという条件で、欠失、挿入、および置換の任意の組み合わせを作製して、最終的な構築物に到達することができる。アミノ酸改変は、配列を作製するときに、対象抗体のアミノ酸配列内に導入することができる。
変異誘発に好ましい位置である、抗体のある特定の残基または領域の同定に有用な方法は、CunninghamおよびWells (1989年)、Science、244巻:1081~1085頁により記載されている通り、「アラニン走査変異誘発」と呼ばれる。本明細書では、標的残基の残基または基を同定し(例えば、arg、asp、his、lys、およびgluなどの荷電残基)、アミノ酸の抗原との相互作用に影響を及ぼすように、中性アミノ酸または負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニンまたはポリアラニン)で置きかえる。次いで、置換の部位において、または置換の部位に代えて、さらなる改変体または他の改変体を導入することにより、置換に対する機能的な感受性を実証するアミノ酸位置を精緻化する。したがって、アミノ酸配列の変化形を導入するための部位は、あらかじめ決定するが、変異自体の性質は、あらかじめ決定する必要がない。例えば
、所与の部位における変異の性能を解析するには、アラニン走査またはランダム変異誘発を、標的コドンまたは標的領域において施し、発現させた免疫グロブリンを、所望の活性についてスクリーニングする。
アミノ酸配列の挿入は、長さが1残基~100またはこれを超える残基を含有するポリペプチドの範囲の、アミノ末端融合体および/またはカルボキシル末端融合体のほか、単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。末端挿入の例は、N末端メチオニル残基を伴う抗体、または細胞傷害性ポリペプチドに融合させた抗体を含む。抗体分子の他の挿入改変体は、抗体のN末端またはC末端の、酵素への融合体(例えば、ADEPTの場合)、または抗体の血清中半減期を延長するポリペプチドへの融合体を含む。
別の種類の改変体は、アミノ酸置換改変体である。これらの改変体は、抗体分子内の少なくとも1つのアミノ酸残基を、異なる残基で置きかえている。置換変異誘発のために、最も大きな関心の対象となる部位は、超可変領域を含むが、また、FRの改変も想定される。保存的置換を、「好ましい置換」の表題の下に、表Aに示す。このような置換が、生物学的活性の変化を結果としてもたらす場合は、表Aで「例示的置換」と名指されるか、またはアミノ酸クラスに言及して、下記でさらに記載される、より実質的な変化を導入し、産物をスクリーニングすることができる。
表A
元来の例示的な好ましい
残基置換置換
Ala (A) Val; Leu; Ile Val
Arg (R) Lys; Gln; Asn Lys
Asn (N) Gln; His; Asp, Lys; Arg Gln
Asp (D) Glu; Asn Glu
Cys (C) Ser; Ala Ser
Gln (Q) Asn; Glu Asn
Glu (E) Asp; Gln Asp
Gly (G) Ala Ala
His (H) Asn; Gln; Lys; Arg Arg
Ile (I) Leu; Val; Met; Ala; Leu
Phe; ノルロイシン
Leu (L) ノルロイシン; Ile; Val; Ile
Met; Ala; Phe
Lys (K) Arg; Gln; Asn Arg
Met (M) Leu; Phe; Ile Leu
Phe (F) Trp; Leu; Val; Ile; Ala; Tyr Tyr
Pro (P) Ala Ala
Ser (S) Thr Thr
Thr (T) Val; Ser Ser
Trp (W) Tyr; Phe Tyr
Tyr (Y) Trp; Phe; Thr; Ser Phe
Val (V) Ile; Leu; Met; Phe; Leu
Ala; ノルロイシン
抗体の生物学的特性の実質的な修飾は、(a)例えば、シートコンフォメーションもしくはヘリックスコンフォメーションとしての置換エリア内のポリペプチド骨格の構造;(b)標的部位における分子の電荷もしくは疎水性;または(c)側鎖のかさを維持することに対するそれらの効果が著明に異なる置換を選択することにより達成する。アミノ酸は、それらの側鎖の特性の類似性(A. L. Lehninger、Biochemistry、2版、73~75頁、Worth Publishers、New York(1975年)):
(1)非極性:Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Pro(P)、Phe(F)、Trp(W)、Met(M)
(2)非荷電極性:Gly(G)、Ser(S)、Thr(T)、Cys(C)、Tyr(Y)、Asn(N)、Gln(O)
(3)酸性:Asp(D)、Glu(E)
(4)塩基性:Lys(K)、Arg(R)、His(H)
に従い群分けすることができる。
代替的に、天然に存在する残基は、一般的な側鎖特性に基づく群:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性の親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖の配向性に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe
に分けることができる。
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを、別のクラスのメンバーと交換することを伴う。また、このような置換残基を、保存的置換部位へ、または残りの(非保存的な)部位に導入することもできる。
1つの種類の置換改変体は、親抗体(例えば、ヒト化抗体またはヒト抗体)の1つまたは複数の超可変領域残基の置換を伴う。一般に、さらなる開発のために選択される、結果として得られる改変体では、生物学的特性は、それらが作り出された親抗体と比べて修飾されている(例えば、改善されている)。このような置換改変体を作り出すための簡便な方途は、ファージディスプレイを使用するアフィニティー成熟を伴う。略述すると、いくつかの超可変領域部位(例えば、6~7カ所の部位)を変異させて、各部位における全ての可能なアミノ酸置換を作り出す。このようにして作り出された抗体は、糸状ファージ粒子から、各粒子内にパッケージングされたファージコートタンパク質(例えば、M13の遺伝子III産物)のうちの少なくとも一部との融合体としてディスプレイされる。次いで、ファージディスプレイされた改変体を、本明細書で開示される通り、それらの生物学的活性(例えば、結合アフィニティー)についてスクリーニングする。修飾のための候補超可変領域部位を同定するために、走査変異誘発(例えば、アラニン走査)を実施して、抗原への結合に著明に寄与する超可変領域残基を同定することができる。代替的に、または加えて、抗原-抗体複合体の結晶構造を解析して、抗体と抗原との接触点を同定することも有益でありうる。このような接触残基および隣接残基は、本明細書で詳述される技法を含む、当技術分野で公知の技法に従う置換のための候補である。このような改変体を作り出したら、改変体のパネルを、本明細書で記載される技法を含む、当技術分野で公知の技法を使用するスクリーニングにかけ、1つまたは複数の関連アッセイにおいて優れた特性を伴う抗体を、さらなる開発のために選択することができる。
抗体のアミノ酸配列改変体をコードする核酸分子は、当技術分野で公知の様々な方法により調製する。これらの方法は、天然供給源(天然に存在するアミノ酸配列改変体の場合)からの単離、またはオリゴヌクレオチド媒介型(または部位指向)変異誘発、PCR変異誘発、および抗体の、以前に調製された改変体もしくは非バージョンに対する、カセット型変異誘発による調製を含むがこれらに限定されない。
1つまたは複数のアミノ酸修飾を、本発明の抗体のFc領域内に導入し、これにより、Fc領域改変体を作り出すことが望ましい場合がある。Fc領域改変体は、ヒンジシステインのアミノ酸位置を含む、1つまたは複数のアミノ酸位置におけるアミノ酸修飾(例えば、置換)を含む、ヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4のFc領域)を含みうる。
この説明および当技術分野の教示によれば、一部の実施形態では、本発明の抗体は、例えばFc領域において、野生型の対応する抗体と比較して1つまたは複数の変化を含み得ることが企図される。それにもかかわらず、これらの抗体は、それらの野生型対応物と比較して、治療上の実用性に必要なものと実質的に同じ特徴を保持し得る。例えばWO99/51642に記載されている通り、例えばC1q結合および/または補体依存性細胞傷害(CDC)の変化(すなわち、改善または低下)をもたらし得るある特定の変化が、Fc領域に生じ得ると考えられる。Duncan & Winter Nature 322巻:738~40頁(1988年)、米国特許第5,648,260号、同第5,62
4,821号、およびFc領域改変体の他の例に関するWO94/29351も参照のこと。
一態様では、本発明は、Fc領域を含むFcポリペプチドの界面に修飾を含む抗体を提供し、その修飾によって、ヘテロ二量体化が容易になり、かつ/または促進される。これらの修飾は、第1のFcポリペプチドに隆起を導入し、第2のFcポリペプチドに空洞を導入することを含み、その隆起は、第1および第2のFcポリペプチドの複合化を促進するように、空洞内に位置付け可能である。これらの修飾を用いて抗体を生成する方法は、当技術分野で公知であり、例えば米国特許第5,731,168号に記載されている通りである。
イムノコンジュゲート
別の態様では、本発明は、化学療法剤、薬物、成長阻害剤、毒素(例えば、細菌由来、真菌由来、植物由来、もしくは動物由来の酵素的に活性な毒素、またはこれらの断片)、または放射性同位元素(すなわち、放射性コンジュゲート)などの細胞傷害剤にコンジュゲートさせた抗体を含む、イムノコンジュゲートまたは抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を提供する。
細胞傷害剤または細胞増殖抑制剤、すなわち、がんの処置において、腫瘍細胞を死滅させるかまたは阻害する薬物を局所送達するために、抗体-薬物コンジュゲートを使用すること(SyrigosおよびEpenetos(1999年)、Anticancer Research、19巻:605~614頁;Niculescu-DuvazおよびSpringer(1997年)、Adv. Drg Del. Rev.、26巻:151~172頁;米国特許第4,975,278号)により、薬物部分の、腫瘍への標的化送達、および腫瘍細胞内の蓄積が可能となり、この場合、これらの薬剤(drug agent)をコンジュゲートさせずに全身投与すれば、許容不可能なレベルの毒性が、消失が求められる腫瘍細胞のほか、正常細胞にも結果としてもたらされうる(Baldwinら(1986年)、Lancet(1986年3月15日):603~05頁;Thorpe(1985年)、「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review」、Monoclonal Antibodies ‘84: Biological And
Clinical Applications、A. Pincheraら(編)、475~506頁)。こうして、毒性を最小としながら、有効性を最大とすることが探索される。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体のいずれも、これらの戦略において有用であると報告されている(Rowlandら(1986年)、Cancer Immunol. Immunother.、21巻:183~87頁)。これらの方法で使用される薬物は、ダウノマイシン、ドキソルビシン、メトトレキセート、およびビンデシンを含む(Rowlandら(1986年)、前出)。抗体-毒素コンジュゲート内で使用される毒素は、ジフテリア毒素などの細菌毒素、リシンなどの植物毒素、ゲルダナマイシンなどの低分子毒素(Mandlerら(2000年)、Jour. of the Nat. Cancer Inst.、92巻(19号):1573~1581頁;Mandlerら(2000年)、Bioorganic & Med. Chem. Letters、10巻:1025~1028頁;Mandlerら(2002年)、Bioconjugate Chem.、13巻:786~791頁)、メイタンシノイド(EP1391213;Liuら(1996年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、93巻:8618~8623頁)、およびカリケアマイシン(Lodeら(1998年)、Cancer Res.、58巻:2928頁;Hinmanら(1993年)、Cancer Res.、53巻:3336~3342頁)を含む。毒素は、それらの細胞傷害効果および細胞増殖抑制効果を、チューブリンへの結合、DNAへの結
合、またはトポイソメラーゼの阻害を含む機構により及ぼしうる。一部の細胞傷害薬は、大型の抗体またはタンパク質受容体のリガンドにコンジュゲートさせると、不活性であるか活性がより低い傾向がある。
ZEVALIN(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン、Biogen/Idec)は、正常Bリンパ球および悪性Bリンパ球の表面上に見出されたCD20抗原を対象とするマウスIgG1カッパモノクローナル抗体、ならびにチオ尿素リンカー-キレーターによって結合した111Inまたは90Y放射性同位体から構成された、抗体-放射性同位体のコンジュゲートである(Wisemanら(2000年)Eur. Jour.Nucl. Med. 27巻(7号):766~77頁;Wisemanら(2002年)Blood 99巻(12号):4336~42頁;Witzigら(2002年)J. Clin. Oncol. 20巻(10号):2453~63頁;Witzigら(2002年)J. Clin. Oncol. 20巻(15号):3262~69頁)。ZEVALINは、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)に対して活性を有するが、その投与は、ほとんどの患者において重症の遷延性血球減少症をもたらす。MYLOTARG(商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン、Wyeth Pharmaceuticals)は、カリケアマイシンに連結したhuCD33抗体から構成された抗体薬物コンジュゲートであり、2000年、注射による急性骨髄性白血病の処置に承認された(Drugs of the Future(2000年)25巻(7号):686頁;米国特許第4,970,198号、同第5,079,233号、同第5,585,089号、同第5,606,040号、同第5,693,762号、同第5,739,116号、同第5,767,285号、同第5,773,001号)。カンツズマブメルタンシン(Immunogen,Inc.)は、ジスルフィドリンカーSPPによってメイタンシノイド薬物部分DM1に連結したhuC242抗体から構成された抗体薬物コンジュゲートであり、結腸、膵臓、胃などの、CanAgを発現するがんの処置のために試験されている。MLN-2704(Millennium Pharm.、BZL Biologics、Immunogen Inc.)は、メイタンシノイド薬物部分DM1に連結した抗前立腺特異的膜抗原(PSMA)モノクローナル抗体から構成された抗体薬物コンジュゲートであり、前立腺腫瘍の潜在的に可能な処置のために試験されている。ドラスタチンの合成類似体である、オーリスタチンペプチド、オーリスタチンE(AE)およびモノメチルオーリスタチン(MMAE)は、キメラモノクローナル抗体cBR96(癌腫上のLewis Yに特異的)およびcAC10(血液学的悪性疾患でのCD30に特異的)にコンジュゲートし(Doroninaら(2003年)Nature Biotechnology 21巻(7号):778~784頁)、治療開発中である。
免疫コンジュゲートの生成に有用な化学療法剤は、本明細書に記載されている(上述)。使用され得る酵素的に活性な毒素およびその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の活性な非結合性断片、外毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデッシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンチンタンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP-S)、momordica charantia阻害剤、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、sapaonaria officinalis阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン、およびトリコテセン(tricothecene)が含まれる。例えば、1993年10月28日出願のWO93/21232を参照のこと。様々な放射性核種が、放射性コンジュゲート化(radioconjugated)抗体の産生に利用可能である。その例として、212Bi、131I、131In、90Y、および186Reが挙げられる。抗体と細胞傷害剤のコンジュゲートは、様々な二官能性タンパク質-カップリング剤、例えばN-スクシンイ
ミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、アジプイミド酸ジメチル(dimethyl adipimidate)HCl)、活性なエステル(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス-アジド化合物(例えば、ビス-(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン2,6-ジイソシアネート)、およびビス-活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を使用して作製される。例えば、リシン免疫毒素は、Vitettaら、Science、238巻:1098頁(1987年)に記載されている通りに調製することができる。炭素-14で標識化された1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチド(radionucleotide)を抗体とコンジュゲートするための例示的なキレート剤である。WO94/11026を参照のこと。
抗体と、1つまたは複数の小分子毒素、例えばカリケアマイシン、メイタンシノイド、ドロスタチン(dolostatin)、オーロスタチン(aurostatin)、トリコテシン、およびCC1065、ならびに毒素活性を有するこれらの毒素の誘導体とのコンジュゲートも、本明細書で企図される。
メイタンシンおよびメイタンシノイド
一部の実施形態では、免疫コンジュゲートは、1つまたは複数のメイタンシノイド分子にコンジュゲートした本発明の抗体を含む。
メイタンシノイドは、チューブリン重合を阻害することによって作用する有糸分裂阻害剤である。メイタンシンは、東アフリカの低木Maytenus serrataから最初に単離された(米国特許第3,896,111号)。その後、ある特定の微生物が、メイタンシノイド、例えばメイタンシノールおよびC-3メイタンシノールエステルを産生することも発見された(米国特許第4,151,042号)。合成メイタンシノールならびにそれらの誘導体および類似体は、例えば、米国特許第4,137,230号、同第4,248,870号、同第4,256,746号、同第4,260,608号、同第4,265,814号、同第4,294,757号、同第4,307,016号、同第4,308,268号、同第4,308,269号、同第4,309,428号、同第4,313,946号、同第4,315,929号、同第4,317,821号、同第4,322,348号、同第4,331,598号、同第4,361,650号、同第4,364,866号、同第4,424,219号、同第4,450,254号、同第4,362,663号、および同第4,371,533号に開示されている。
メイタンシノイド薬物部分は、(i)発酵または化学修飾、発酵産物の誘導体化によって相対的に調製されやすく、(ii)非ジスルフィドリンカーによって抗体にコンジュゲートするのに適した官能基を用いての誘導体化に適しており、(iii)血漿中で安定であり、(iv)様々な腫瘍細胞株に対して有効なので、抗体薬物コンジュゲートにおける魅力的な薬物部分である。
メイタンシノイド薬物部分の例示的な実施形態は、DM1、DM3、およびDM4を含む。メイタンシノイドを含有する免疫コンジュゲート、その作製方法、およびそれらの治療上の使用は、例えば米国特許第5,208,020号、同第5,416,064号および欧州特許0 425 235B1に開示されている。Liuら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93巻:8618~8623頁(1996年)は、ヒト結腸直腸がんを対象としたモノクローナル抗体C242に連結しているDM1と指定
されたメイタンシノイドを含む免疫コンジュゲートを記載している。このコンジュゲートは、培養結腸がん細胞に対して高い細胞傷害性を有することが見出され、in vivo腫瘍成長アッセイにおいて抗腫瘍活性を示した。Chariら、Cancer Research 52巻:127~131頁(1992年)は、メイタンシノイドが、ジスルフィドリンカーを介して、ヒト結腸がん細胞株上の抗原に結合するマウス抗体A7、またはHER-2/neu癌遺伝子に結合する別のマウスモノクローナル抗体TA.1とコンジュゲートされた免疫コンジュゲートを記載している。TA.1-メイタンシノイドコンジュゲートの細胞傷害は、細胞1個当たり3×105個のHER-2表面抗原を発現するヒト乳がん細胞株SK-BR-3に対して、in vitroで試験された。薬物コンジュゲートは、遊離メイタンシノイド薬物に類似の細胞傷害の程度を達成し、その細胞傷害の程度は、抗体分子1個当たりのメイタンシノイド分子の数が増大することによって増大させることができた。A7-メイタンシノイドコンジュゲートは、マウスにおいて低い全身細胞傷害を示した。
抗体-メイタンシノイドコンジュゲートは、抗体またはメイタンシノイド分子のいずれの生物活性も著しく減少することなく、抗体をメイタンシノイド分子に化学的に連結することによって調製することができる。例えば、米国特許第5,208,020号を参照のこと。毒素/抗体分子1個でも、裸の抗体を使用するよりも細胞傷害を増強すると予測され得るが、抗体分子1個当たり平均3~4個のコンジュゲートしたメイタンシノイド分子は、抗体の機能または溶解度に負の影響を及ぼさずに、標的細胞の細胞傷害を増強するのに有効であることが示された。メイタンシノイドは、当技術分野で周知であり、公知の技術によって合成することができ、または天然供給源から単離することができる。適切なメイタンシノイドは、例えば米国特許第5,208,020号、ならびに本明細書で先に言及したその他の特許文書および非特許刊行物に開示されている。メイタンシノイドには、メイタンシノール、および芳香環またはメイタンシノール分子の他の位置において修飾されているメイタンシノール類似体、例えば様々なメイタンシノールエステルが含まれるが、それらに限定されない。
抗体-メイタンシノイドコンジュゲートを作製するための、例えばそれらの開示が参照によって本明細書に明確に組み込まれる米国特許第5,208,020号または欧州特許0 425 235B1、Chariら、Cancer Research 52巻:127~131頁(1992年)、および2004年10月8日出願の米国特許出願第10/960,602号に開示の連結基を含む、当技術分野で公知の多くの連結基がある。リンカー構成成分SMCCを含む、抗体-メイタンシノイドコンジュゲートは、2004年10月8日出願の米国特許出願第10/960,602号に開示の通り調製することができる。連結基には、先に同定されている特許文書に開示されている、ジスルフィド基、チオエーテル基、酸に不安的な基、感光性の基、ペプチダーゼに不安的な基、またはエステラーゼに不安的な基が含まれる。追加の連結基は、本明細書に記載され、例示されている。
抗体とメイタンシノイド(maytansinoid)のコンジュゲートは、様々な二官能性タンパク質-カップリング剤、例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシニミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、アジプイミド酸ジメチル(dimethyl adipimidate)HCl)、活性なエステル(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス-アジド化合物(例えば、ビス-(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン2,6-ジイソシアネート)、およびビス-活性フッ素化合物(例えば、1
,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を使用して作製され得る。カップリング剤には、ジスルフィド連結を提供するための、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)(Carlssonら、Biochem. J.
173巻:723~737頁(1978年))およびN-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP)が含まれるが、それらに限定されない。
リンカーは、連結のタイプに応じて、様々な位置でメイタンシノイド分子に付着し得る。例えばエステル連結は、従来のカップリング技術を使用して、ヒドロキシル基との反応によって形成することができる。反応は、ヒドロキシル基を有するC-3位置、ヒドロキシメチルで修飾されたC-14位置、ヒドロキシル基で修飾されたC-15位置、およびヒドロキシル基を有するC-20位置で生じ得る。一実施形態では、連結は、メイタンシノールまたはメイタンシノール類似体のC-3位置に形成される。
オーリスタチンおよびドラスタチン(dolostatin)
一部の実施形態では、免疫コンジュゲートは、ドラスタチンまたはドロスタチンペプチド類似体および誘導体、オーリスタチンにコンジュゲートした本発明の抗体を含む(米国特許第5,635,483号、同第5,780,588号)。ドラスタチンおよびオーリスタチンは、微小管ダイナミクス、GTP加水分解、ならびに核および細胞の分裂を妨害し(Woykeら(2001年)Antimicrob. Agents and Chemother. 45巻(12号):3580~3584頁)、抗がん活性(米国特許第5663149号)および抗真菌活性を有する(Pettitら(1998年)Antimicrob. Agents Chemother. 42巻:2961~2965頁)ことが示されている。ドラスタチンまたはオーリスタチン薬物部分は、ペプチド性薬物部分のN(アミノ)末端またはC(カルボキシル)末端を介して抗体に付着し得る(WO02/088172)。
例示的なオーリスタチン実施形態は、その開示全体が参照によって明確に組み込まれる、2004年11月5日出願の米国特許出願第10/983,340号、「Monomethylvaline Compounds Capable of Conjugation to Ligands」に開示の、N末端連結モノメチルオーリスタチン薬物部分DEおよびDFを含む。
例示的なオーリスタチンの実施形態は、MMAEおよびMMAFを含む。MMAEまたはMMAFおよび様々なリンカー構成成分(本明細書でさらに記載されている)を含む追加の例示的な実施形態は、Ab-MC-vc-PAB-MMAF、Ab-MC-vc-PAB-MMAE、Ab-MC-MMAEおよびAb-MC-MMAFを含む。
典型的に、ペプチドベースの薬物部分は、2つまたはそれを超えるアミノ酸および/またはペプチド断片の間にペプチド結合を形成することによって調製することができる。このようなペプチド結合は、例えば、ペプチド化学分野で周知の液相合成方法に従って調製することができる(E. SchroederおよびK. Luebke、「The Peptides」、第1巻、76~136頁、1965年、Academic Pressを参照のこと)。オーリスタチン/ドラスタチン薬物部分は、米国特許第5,635,483号、第5,780,588号、Pettitら(1989年)J. Am. Chem. Soc. 111巻:5463~5465頁、Pettitら(1998年)Anti-Cancer Drug Design 13巻:243~277頁;Pettit, G. R.ら、Synthesis、1996年、719~725頁;およびPettitら(1996年)J. Chem. Soc. Perkin Trans.
1巻 5号:859~863頁の方法に従って調製することができる。また、その全体
が参照によって本明細書に組み込まれる、Doronina(2003年)Nat Biotechnol 21巻(7号):778~784頁;「Monomethylvaline Compounds Capable of Conjugation to Ligands」、2004年11月5日出願の米国特許出願第10/983,340号を参照のこと(例えば、リンカーにコンジュゲートしたMMAEおよびMMAFなどのモノメチルバリン化合物を調製するリンカーおよび方法を開示している)。
カリケアマイシン
他の実施形態では、免疫コンジュゲートは、1つまたは複数のカリケアマイシン分子にコンジュゲートした本発明の抗体を含む。カリケアマイシンファミリーの抗生物質は、ピコモル未満の濃度で二本鎖DNA切断をもたらすことができる。カリケアマイシンファミリーのコンジュゲートの調製については、米国特許第5,712,374号、同第5,714,586号、同第5,739,116号、同第5,767,285号、同第5,770,701号、同第5,770,710号、同第5,773,001号、および同第5,877,296号を参照のこと(すべてAmerican Cyanamid社)。使用され得るカリケアマイシンの構造的類似体には、γ1I、α2I、α3I、N-アセチル-γ1I、PSAGおよびθI1が含まれるが、それらに限定されない(Hinmanら、Cancer Research 53巻:3336~3342頁(1993年)、Lodeら、Cancer Research 58巻:2925~2928頁(1998年)およびAmerican Cyanamidの前述の米国特許文書)。抗体がコンジュゲートすることができる別の抗腫瘍薬物は、葉酸代謝拮抗薬であるQFAである。カリケアマイシンとQFAはともに、細胞内作用部位を有し、原形質膜を容易には横断しない。したがって、抗体媒介性の内部移行によるこれらの薬剤の細胞による取込みは、それらの細胞傷害作用を大幅に増強する。
他の細胞傷害剤
本発明の抗体にコンジュゲートすることができる他の抗腫瘍剤には、BCNU、ストレプトゾシン(streptozoicin)、ビンクリスチンおよび5-フルオロウラシル、米国特許第5,053,394号、同第5,770,710号に記載されている、まとめてLL-E33288複合体として公知の薬剤ファミリー、ならびにエスペラマイシン(米国特許第5,877,296号)が含まれる。
使用され得る酵素的に活性な毒素およびその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の活性な非結合性断片、外毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデッシンA鎖、アルファ-サルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンチンタンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP-S)、momordica charantia阻害剤、クルシン、クロチン、sapaonaria officinalis阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、およびトリコテセンが含まれる。例えば、1993年10月28日出願のWO93/21232を参照のこと。
本発明はさらに、抗体と、核酸分解活性を有する化合物(例えば、リボヌクレアーゼまたはDNAエンドヌクレアーゼ、例えばデオキシリボヌクレアーゼ;DNase)との間で形成された免疫コンジュゲートを企図する。
腫瘍を選択的に破壊するために、抗体は、高度に放射性の原子を含むことができる。放射性コンジュゲート化抗体を産生するために、様々な放射性同位元素が利用可能である。
その例として、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212およびLuの放射性同位元素が挙げられる。コンジュゲートは、検出のために使用される場合、シンチグラフィー研究のための放射性原子、例えばTc99mもしくはI123、または核磁気共鳴(NMR)イメージング(磁気共鳴イメージング、MRIとしても公知)のためのスピン標識、例えばやはりヨウ素-123、ヨウ素-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガンもしくは鉄を含むことができる。
放射性標識または他の標識は、公知の方式でコンジュゲートに組み込むことができる。例えば、ペプチドは、生合成することができ、または適切なアミノ酸前駆体を使用し、例えば水素の代わりにフッ素-19を用いる化学的なアミノ酸合成によって合成することができる。Tc99mまたはI123、Re186、Re188およびIn111などの標識は、ペプチドにおいてシステイン残基を介して付着し得る。イットリウム-90は、リシン残基を介して付着し得る。IODOGEN方法(Frakerら(1978年)Biochem. Biophys. Res. Commun. 80巻:49~57頁)を使用して、ヨウ素-123を組み込むことができる。「Monoclonal Antibodies in Immunoscintigraphy」(Chatal、CRC Press 1989年)は、他の方法を詳説している。
抗体と細胞傷害剤のコンジュゲートは、様々な二官能性タンパク質-カップリング剤、例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシニミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、アジプイミド酸ジメチル(dimethyl adipimidate)HCl)、活性なエステル(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス-アジド化合物(例えば、ビス-(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン2,6-ジイソシアネート)、およびビス-活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を使用して作製される。例えば、リシン免疫毒素は、Vitettaら、Science、238巻:1098頁(1987年)に記載されている通りに調製することができる。炭素-14で標識化された1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチド(radionucleotide)を抗体とコンジュゲートするための例示的なキレート剤である。WO94/11026を参照のこと。リンカーは、細胞中において細胞傷害性薬物の放出を促進する「切断可能なリンカー」であってよい。例えば、酸に不安定なリンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、感光性リンカー、ジメチルリンカーまたはジスルフィドを含有するリンカー(Chariら、Cancer Research 52巻:127~131頁(1992年);米国特許第5,208,020号)が使用され得る。
本発明の化合物は、それらに限定されるものではないが、市販されている以下の架橋試薬、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCCおよびスルホ-SMPB、ならびにSVSB(スクシンイミジル-(4-ビニルスルホン)ベンゾエート)を用いて調製されたADCを明確に企図する(例えば、Pierce Biotechnology,Inc.製、米国イリノイ州、ロックフォード)。Applications Handbook and Catalog、2003~2004年、467~498頁を参照のこと。
抗体薬物コンジュゲートの調製
本発明の抗体薬物コンジュゲート(ADC)では、抗体(Ab)は、リンカー(L)によって、抗体1個当たり1つまたは複数の薬物部分(D)、例えば約1~約20個の薬物部分にコンジュゲートされる。式IのADCは、当業者に公知の有機化学反応、条件、および試薬を用いるいくつかの経路によって調製することができ、その経路は、(1)抗体の求核基を、二価のリンカー試薬と反応させて、共有結合によってAb-Lを形成し、その後、薬物部分Dと反応させること、および(2)薬物部分の求核基を、二価のリンカー試薬と反応させて、共有結合によってD-Lを形成し、その後、抗体の求核基と反応させることを含む。ADCを調製するための追加の方法は、本明細書に記載されている。
Ab-(L-D)p I
リンカーは、1つまたは複数のリンカー構成成分から構成され得る。例示的なリンカー構成成分として、6-マレイミドカプロイル(「MC」)、マレイミドプロパノイル(「MP」)、バリン-シトルリン(「val-cit」)、アラニン-フェニルアラニン(「ala-phe」)、p-アミノベンジルオキシカルボニル(「PAB」)、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(「SPP」)、N-スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1カルボキシレート(「SMCC」)、およびN-スクシンイミジル(4-ヨード-アセチル)アミノベンゾエート(「SIAB」)が挙げられる。追加のリンカー構成成分は、当技術分野で公知であり、そのいくつかは、本明細書に記載されている。
一部の実施形態では、リンカーは、アミノ酸残基を含み得る。例示的なアミノ酸リンカー構成成分として、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチドまたはペンタペプチドが挙げられる。例示的なジペプチドとして、バリン-シトルリン(vcまたはval-cit)、アラニン-フェニルアラニン(afまたはala-phe)が挙げられる。例示的なトリペプチドとして、グリシン-バリン-シトルリン(gly-val-cit)およびグリシン-グリシン-グリシン(gly-gly-gly)が挙げられる。アミノ酸リンカー構成成分を構成するアミノ酸残基には、天然に存在するアミノ酸、ならびに微量アミノ酸および天然に存在しないアミノ酸類似体、例えばシトルリンが含まれる。アミノ酸リンカー構成成分は、特定の酵素、例えば腫瘍関連プロテアーゼ、カテプシンB、CおよびD、またはプラスミンプロテアーゼによる酵素的切断に合わせてそれらの選択性が設計され、最適化され得る。
例示的なリンカー構成成分構造は、以下に示される(波線は、ADCの他の構成成分との共有結合による付着部位を示す)。
図US08133488-20120313-C00006
追加の例示的なリンカー構成成分および略語を含む(抗体(Ab)およびリンカーが図示されており、pは、1~約8である)。
図US08133488-20120313-C00007
抗体上の求核基には、(i)N末端アミン基、(ii)側鎖アミン基、例えばリシン、(iii)側鎖チオール基、例えばシステイン、および(iv)糖ヒドロキシルまたはアミノ基(抗体は、グリコシル化される)が含まれるが、それらに限定されない。アミン、チオール、およびヒドロキシル基は、求核性であり、(i)活性なエステル、例えばNHSエステル、HOBtエステル、ハロホルメート、および酸ハロゲン化物、(ii)ハロ
ゲン化アルキルおよびハロゲン化ベンジル、例えばハロアセトアミド、(iii)アルデヒド、ケトン、カルボキシル、およびマレイミド基を含む、リンカー部分およびリンカー試薬上の求電子基と反応して、共有結合を形成することができる。ある特定の抗体は、還元可能な鎖間ジスルフィド、すなわちシステイン架橋を有する。抗体は、DTT(ジチオトレイトール)などの還元剤を用いる処理によって、リンカー試薬とのコンジュゲーションに反応性となり得る。したがって、各システイン架橋は、理論的に2種の反応性チオール求核試薬を形成する。追加の求核基は、リシンが2-イミノチオラン(Traut試薬)と反応して、アミンがチオールに変換されることによって、抗体に導入され得る。反応性チオール基は、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれを超えるシステイン残基を導入する(例えば、1つまたは複数の非天然システインアミノ酸残基を含む変異体抗体を調製する)ことによって、抗体(またはその断片)に導入され得る。
本発明の抗体薬物コンジュゲートは、抗体を修飾して、リンカー試薬または薬物上の求核置換基と反応することができる求電子部分を導入することによって産生することもできる。グリコシル化抗体の糖を、例えば過ヨウ素酸酸化試薬で酸化すると、リンカー試薬または薬物部分のアミン基と反応し得るアルデヒドまたはケトン基を形成することができる。得られたイミンシッフ塩基の基は、安定な連結を形成することができ、または例えば水素化ホウ素試薬によって還元されて、安定なアミン連結を形成することができる。一実施形態では、グリコシル化抗体の糖質部分と、ガラクトースオキシダーゼまたはメタ過ヨウ素酸ナトリウムのいずれかとの反応によって、薬物上の適切な基と反応し得るタンパク質中のカルボニル(アルデヒドおよびケトン)基を得ることができる(Hermanson、Bioconjugate Techniques)。別の実施形態では、N末端セリンまたはスレオニン残基を含有するタンパク質は、メタ過ヨウ素酸ナトリウムと反応して、第1のアミノ酸の代わりにアルデヒドを産生することができる(Geoghegan & Stroh、(1992年)Bioconjugate Chem. 3巻:138~146頁;米国特許第5,362,852号)。このようなアルデヒドは、薬物部分またはリンカー求核試薬と反応することができる。
同様に、薬物部分上の求核基には、(i)活性なエステル、例えばNHSエステル、HOBtエステル、ハロホルメート、および酸ハロゲン化物、(ii)ハロゲン化アルキルおよびハロゲン化ベンジル、例えばハロアセトアミド、(iii)アルデヒド、ケトン、カルボキシル、およびマレイミド基を含む、リンカー部分およびリンカー試薬上の求電子基と反応して、共有結合を形成することができるアミン、チオール、ヒドロキシル、ヒドラジド、オキシム、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジンカルボキシレート、およびアリールヒドラジド基が含まれるが、それらに限定されない。
あるいは、抗体および細胞傷害剤を含む融合タンパク質は、例えば組換え技術またはペプチド合成によって作製することができる。DNAの長さは、互いに隣接しているか、またはコンジュゲートの所望の特性を破壊しないリンカーペプチドをコードする領域によって分離されている、コンジュゲートの2つの部分をコードするそれぞれの領域を含み得る。
さらに別の実施形態では、抗体は、腫瘍の事前標的化に利用するために、「受容体」(このようなストレプトアビジン)にコンジュゲートすることができ、ここで抗体-受容体コンジュゲートは、患者に投与され、その後、浄化剤(clearing agent)を使用して循環から非結合コンジュゲートが除去され、次に細胞傷害剤(例えば、放射性ヌクレオチド)にコンジュゲートしている「リガンド」(例えば、アビジン)が投与される。
抗体(Ab)-MC-MMAEは、下記の通り、本明細書で提供される抗体のいずれか
をMC-MMAEとコンジュゲートすることによって調製することができる。pH8.0において500mMホウ酸ナトリウムおよび500mM塩化ナトリウムに溶解させた抗体を、過剰の100mMジチオトレイトール(DTT)で処理する。37℃で約30分間インキュベートした後、Sephadex G25樹脂で溶出することによって緩衝液を交換し、1mMのDTPAを含むPBSで溶出する。溶液の280nmにおける吸光度から得られた還元型抗体の濃度、およびDTNB(Aldrich、ウィスコンシン州、ミルウォーキー)との反応および412nmにおける吸光度の決定によるチオール濃度を決定することによって、チオール/Ab値を調べる。PBSに溶解した還元型抗体を、氷上で冷やす。薬物リンカー試薬であるマレイミドカプロイル-モノメチルオーリスタチンE(MMAE)、すなわちMC-MMAEを、DMSOに溶解させ、アセトニトリルおよび水により公知の濃度で希釈し、PBS中、冷やした還元型抗体2H9に添加する。約1時間後、過剰のマレイミドを添加して反応をクエンチし、未反応の任意の抗体チオール基をキャップする。反応混合物を、遠心限外濾過によって濃縮し、2H9-MC-MMAEを、PBS中G25樹脂を介して溶出することによって精製し、脱塩し、無菌条件下で0.2μmフィルターを介して濾過し、保存のために凍結させる。
抗体-MC-MMAFは、Ab-MC-MMAEの調製について提供されているプロトコルに従って、本明細書で提供される抗体のいずれかをMC-MMAFとコンジュゲートすることによって調製することができる。
抗体-MC-val-cit-PAB-MMAEは、Ab-MC-MMAEの調製について提供されているプロトコルに従って、本明細書で提供される抗体のいずれかをMC-val-cit-PAB-MMAEとコンジュゲートすることによって調製される。
抗体-MC-val-cit-PAB-MMAFは、Ab-MC-MMAEの調製について提供されているプロトコルに従って、本明細書で提供される抗体のいずれかをMC-val-cit-PAB-MMAFとコンジュゲートすることによって調製される。
抗体-SMCC-DM1は、以下の通り、本明細書で提供される抗体のいずれかをSMCC-DM1とコンジュゲートすることによって調製される。精製した抗体を、(スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC、Pierce Biotechnology,Inc)を用いて誘導体化して、SMCCリンカーを導入する。具体的には、抗体を、50mMリン酸カリウム/50mM塩化ナトリウム/2mMのEDTA、pH6.5中20mg/mLで、7.5モル当量のSMCC(DMSO中20mM、6.7mg/mL)で処理する。周囲温度においてアルゴン下で2時間撹拌した後、反応混合物を、50mMリン酸カリウム/50mM塩化ナトリウム/2mMのEDTA、pH6.5で平衡化したSephadex G25カラムを介して濾過する。抗体を含有する画分をプールし、アッセイする。
こうして調製した抗体-SMCCを、50mMリン酸カリウム/50mM塩化ナトリウム/2mMのEDTA、pH6.5で最終濃度約10mg/mlまで希釈し、ジメチルアセトアミド中10mMのDM1溶液と反応させる。反応物を、アルゴン下において周囲温度で16.5時間撹拌する。コンジュゲーション反応混合物を、1×PBS、pH6.5を用いてSephadex G25ゲル濾過カラム(1.5×4.9cm)を介して濾過する。DM1薬物と抗体の比(p)は、252nmおよび280nmにおける吸光度によって測定すると、約2~5となり得る。
Ab-SPP-DM1は、以下の通り、本明細書で提供される抗体のいずれかをSPP-DM1とコンジュゲートすることによって調製される。精製した抗体を、N-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルチオ)ペンタノエートを用いて誘導体化して、ジチオピリ
ジル基を導入する。NaCl(50mM)およびEDTA(1mM)を含有する50mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)44.7mL中、抗体(376.0mg、8mg/mL)を、SPP(エタノール2.3mL中5.3モル当量)で処理する。周囲温度においてアルゴン下で90分間インキュベートした後、反応混合物を、35mMクエン酸ナトリウム、154mMのNaCl、2mMのEDTA緩衝液で平衡化したSephadex
G25カラムを介してゲル濾過する。抗体を含有する画分をプールし、アッセイした。抗体の修飾の程度を、前述の通り決定する。
抗体-SPP-Py(約10μmoleの放出可能な2-チオピリジン基)を、先の35mMクエン酸ナトリウム緩衝液、pH6.5で最終濃度約2.5mg/mLまで希釈する。次に、3.0mMジメチルアセトアミド(DMA、最終的な反応混合物中3%v/v)中DM1(1.7当量、17μmole)を、抗体溶液に添加する。反応は、アルゴン下で周囲温度において約20時間進行する。反応物を、35mMクエン酸ナトリウム、154mMのNaCl、pH6.5で平衡化したSephacryl S300ゲル濾過カラム(5.0cm×90.0cm、1.77L)にローディングする。流量は、約5.0mL/分となり得、65の画分(それぞれ20.0mL)を収集する。抗体分子1個当たり連結したDM1薬物分子の数(p’)を、252nmおよび280nmにおける吸光度を測定することによって決定すると、2H9抗体1個当たり約2~4個のDM1薬物部分となり得る。
抗体-BMPEO-DM1は、以下の通り、本明細書で提供される抗体のいずれかをBMPEO-DM1とコンジュゲートすることによって調製される。抗体を、ビス-マレイミド試薬BM(PEO)4(Pierce Chemical)によって修飾すると、抗体表面上に未反応マレイミド基が残る。これは、BM(PEO)4を濃度10mMまで50%エタノール/水の混合物に溶解させ、10倍モル過剰量を、濃度およそ1.6mg/ml(10マイクロモル濃度)のリン酸緩衝食塩水中抗体を含有する溶液に添加し、それを1時間反応させて、抗体-リンカー中間体である2H9-BMPEOを形成することによって達成され得る。過剰のBM(PEO)4を、150mMのNaCl緩衝液を用いる30mMシトレート、pH6におけるゲル濾過(HiTrapカラム、Pharmacia)によって除去する。およそ10倍モル過剰量のDM1を、ジメチルアセトアミド(DMA)に溶解させ、2H9-BMPEO中間体に添加する。また、ジメチルホルムアミド(DMF)を用いて、薬物部分試薬を溶解させることができる。反応混合物を、終夜反応させた後、PBS中にゲル濾過または透析して、未反応DM1を除去する。PBS中S200カラム上によるゲル濾過を使用して、高分子量の凝集体を除去し、精製した2H9-BMPEO-DM1を得る。
抗体の誘導体
本発明の抗体は、当技術分野で公知であり、たやすく利用可能な、さらなる非タンパク質性部分を含有するように、さらに修飾することができる。一実施形態では、抗体の誘導体化に適する部分は、水溶性ポリマーである。水溶性ポリマーの非限定的な例は、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれか)、およびデキストランまたはポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド(prolypropylene)/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、およびこれらの混合物を含むがこれらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中のその安定性のため
に、製造において有利でありうる。ポリマーは、任意の分子量であることが可能であり、分枝状であっても非分枝状であってもよい。抗体に付着させるポリマーの数は変更し得、1つを超えるポリマーを付着させる場合、ポリマーは、同じ、または、異なる分子の場合がある。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数および/または種類は、改善される抗体の特定の特性または機能、抗体の誘導体が規定された条件下の治療で使用されるのかどうかなどを含むがこれらに限定されない検討項目に基づき決定することができる。
別の実施形態では、放射線への曝露により選択的に加熱されうる、抗体と非タンパク質性部分とのコンジュゲートが提供される。一実施形態では、非タンパク質性部分は、カーボンナノチューブである(Kamら、Proc. Natl. Acad. Sci.、102巻:11600~11605頁(2005年))。放射線は、任意の波長のものであることが可能であり、通常の細胞には有害でないが、非タンパク質性部分を、抗体-非タンパク質性部分に近位の細胞が死滅する温度まで加熱する波長を含むがこれらに限定されない。
医薬製剤
本発明の抗体を含む治療用製剤は、所望の程度の純度を有する抗体を、任意選択の、生理学的に許容される担体、賦形剤、または安定化剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences、16版、Osol, A.編(1980年))と、水溶液、凍結乾燥製剤、または他の乾燥製剤の形態で混合することにより、保管用に調製する。許容可能な担体、賦形剤、または安定化剤は、使用される投与量および濃度で、レシピエントに対して非毒性であり、ホスフェート、シトレート、ヒスチジン、および他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルアルコールまたはベンジルアルコール;メチルパラベンまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリシンなどのアミノ酸;単糖、二糖、および、グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む、他の炭水化物;EDTAなどのキレート化剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。
本明細書の製剤はまた、処置される特定の適応症に対する必要に応じて、1つを超える活性化合物であって、互いに対して有害な影響を及ぼし合わない相補的活性を伴う活性化合物を含むがこれらに限定されない活性化合物も含有しうる。このような分子は、意図される目的に有効な量で組み合わせの中に適切に存在する。
有効成分はまた、例えば、コアセルベーション技法により、または界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセル)内、またはマクロエマルジョン中の、ヒドロキシメチルセルロースマイクロカプセル内またはゼラチンマイクロカプセル内およびポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル内に捕らえることもできる。このような技法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、16版、Osol, A.編(1980年)において開示されている。
in vivoにおける投与のために使用される製剤は、滅菌製剤でなければならない。これは、滅菌濾過膜を介する濾過によりたやすく達成される。
持続放出調製物を調製することができる。適切な持続放出調製物の例は、本発明の免疫グロブリンを含有する固体の疎水性ポリマーによる半透性マトリックスを含み、このマトリックスは、成型品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態にある。持続放出マトリックスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸とγエチル-L-グルタメートとのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマーと、酢酸ロイプロリドとから構成される注射用マイクロスフェア)などの分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、およびポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸を含む。エチレン-酢酸ビニルおよび乳酸-グリコール酸などのポリマーが、100日間超にわたり分子の放出を可能とするのに対し、ある特定のヒドロゲルは、タンパク質を放出する期間が短い。封入された免疫グロブリンは、長時間体内にとどまる場合、37℃の水分に曝露される結果として、変性または凝集し、生物学的活性の喪失および可能な免疫原性の変化を結果としてもたらす場合がある。関与する機構に応じた、安定化のための妥当な戦略を案出することができる。例えば、凝集機構は、チオ-ジスルフィド交換を介する、分子間S-S結合の形成であることがわかっていれば、安定化は、スルフヒドリル残基を修飾し、酸性溶液から凍結乾燥させ、水分含量を制御し、適切な添加剤を使用し、特異的なポリマーマトリックス組成物を開発することにより達成することができる。
使用
本発明の抗体は、例えば、in vitro、ex vivo、およびin vivoにおける治療法において使用することができる。本発明の抗体は、in vitro、ex vivo、および/またはin vivoにおける特異的抗原活性を、部分的または完全に遮断するアンタゴニストとして使用することができる。さらに、本発明の抗体の少なくとも一部は、他の種に由来する抗原活性を中和しうる。したがって、本発明の抗体を使用して、例えば、抗原を含有する細胞培養物中、ヒト対象、または、本発明の抗体が交差反応する抗原を有する他の哺乳動物対象(例えば、チンパンジー、ヒヒ、マーモセット、カニクイザル、およびアカゲザル、ブタ、またはマウス)における特異的抗原活性を阻害することができる。一実施形態では、本発明の抗体は、抗原活性を阻害するように、抗体を抗原と接触させることにより、抗原活性を阻害するために使用することができる。一実施形態では、抗原は、ヒトタンパク質分子である。
一実施形態では、本発明の抗体は、抗原活性が有害である障害を患う対象において、抗原を阻害するための方法であって、対象における抗原活性を阻害するように、対象に、本発明の抗体を投与するステップを含む方法において使用することができる。一実施形態では、抗原は、ヒトタンパク質分子であり、対象は、ヒト対象である。代替的に、対象は、本発明の抗体が結合する抗原を発現させる哺乳動物でありうる。なおさらに、対象は、抗原を導入した(例えば、抗原の投与により、または抗原導入遺伝子の発現により)哺乳動物でありうる。本発明の抗体は、ヒト対象に、治療目的で投与することができる。さらに、本発明の抗体は、抗体が交差反応する抗原を発現させる非ヒト哺乳動物(例えば、霊長動物、ブタ、またはマウス)に、獣医学的目的で、またはヒト疾患の動物モデルとして、投与することもできる。後者に関して、このような動物モデルは、本発明の抗体の治療有効性の評価(例えば、投与量および投与の時間経過についての検査)に有用でありうる。本発明の抗体を使用して、SSEA-3/SSEA-4/GLOBO HおよびSSEA-3/SSEA-4/GLOBO H化タンパク質(SSEA-3/SSEA-4/GL
OBO Hated protein)の異常な発現および/または活性と関連する疾患、障害、または状態であって、がん、筋障害、ユビキチン経路関連の遺伝子障害、免疫/炎症性障害、神経障害、および他のユビキチン経路関連障害を含むがこれらに限定されない疾患、障害、または状態を処置するか、阻害するか、進行を遅延させるか、再発を防止する/遅延させるか、回復させるか、または防止することができる。
一態様では、本発明の遮断抗体は、SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hに特異的である。
ある特定の実施形態では細胞傷害剤とコンジュゲートさせた本発明の抗体を含むイムノコンジュゲートを、患者に投与する。一部の実施形態では、イムノコンジュゲート、および/またはそれが結合する抗原は、それらの細胞表面上にSSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hと関連する1つまたは複数のタンパク質を発現させる細胞により内部化され、結果として、それが会合する標的細胞の殺滅におけるイムノコンジュゲートの治療有効性の増大をもたらす。一実施形態では、細胞傷害剤は、標的細胞内の核酸を標的化するか、またはこれに干渉する。このような細胞傷害剤の例は、本明細書で言及される化学療法剤(メイタンシノイドまたはカリケアマイシンなど)、放射性同位元素、またはリボヌクレアーゼもしくはDNAエンドヌクレアーゼのうちのいずれかを含む。
本発明の抗体は、治療において、単独で、または他の組成物と組み合わせて使用することができる。例えば、本発明の抗体は、別の抗体および/またはアジュバント/治療剤(例えば、ステロイド)と共に共投与することができる。例えば、本発明の抗体は、処置スキームにおいて、例えば、がん、筋障害、ユビキチン経路関連の遺伝子障害、免疫/炎症性障害、神経障害、および他のユビキチン経路関連障害を含む、本明細書で記載される疾患のうちのいずれかの処置において、抗炎症剤および/または消毒薬と組み合わせることができる。上で言及された、このような組み合わせ療法は、組み合わせ投与(2つまたはこれを超える薬剤が、同じ製剤中または個別の製剤中に含まれる場合)と、個別投与とを含み、個別投与の場合、本発明の抗体の投与は、1つまたは複数の補助療法の投与の前、および/またはこれらの後で施すことができる。
本発明の抗体(および補助療法剤)は、非経口、皮下、腹腔内、肺内、および鼻腔内、ならびに、局所的処置に所望の場合、病変内投与を含む任意の適切な手段により投与することができる。非経口注入は、筋内投与、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、または皮下投与を含む。加えて、抗体は、特に、抗体の用量を減じるパルス注入により投与するのに適する。投薬は、任意の適切な経路によって、例えば、投与が短期であるのか、長期であるのかに部分的に応じて、静脈内または皮下注射などの注射を介することが可能である。
抗体の調製および投与では、本発明の抗体の結合標的の位置を考慮する場合がある。結合標的が、細胞内分子である場合、本発明のある特定の実施形態は、結合標的が位置する細胞に導入される抗体またはその抗原結合性断片を提供する。一実施形態では、本発明の抗体は、細胞内でイントラボディー(intrabody)として発現させることができる。本明細書で使用される「イントラボディー」という用語は、Marasco、Gene Therapy、4巻:11~15頁(1997年);Kontermann、Methods、34巻:163~170頁(2004年);米国特許第6,004,940号および同第6,329,173号;米国特許出願公開第2003/0104402号;ならびにPCT公開第WO2003/077945号において記載されている通り、細胞内で発現し、標的分子に選択的に結合することが可能な、抗体またはその抗原結合性部分を指す。イントラボディーの細胞内発現は、所望の抗体またはその抗原結合性部分をコードする核酸(その抗体または抗原結合性断片をコードする遺伝子と通常関連する、野生型
のリーダー配列および分泌シグナルを欠く)を、標的細胞に導入することによりなされる。核酸を細胞に導入する、任意の標準的な方法であって、微量注射、遺伝子銃注射、電気穿孔、リン酸カルシウム沈殿、リポソーム、および、目的の核酸を保有するレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、およびワクシニアベクターによるトランスフェクションを含むがこれらに限定されない方法を使用することができる。SSEA-3/SSEA-4/GLOBO Hへの細胞内結合、および1つまたは複数のSSEA-3/SSEA-4/GLOBO H媒介性細胞内経路のモジュレーションが可能な、1つまたは複数のイントラボディーを発現させるように、本発明の抗SSEA-3/SSEA-4/GLOBO H抗体の全部または一部分をコードする、1つまたは複数の核酸を、標的細胞に送達することができる。
別の実施形態では、内部化抗体が提供される。抗体は、抗体の細胞への送達を増強するある特定の特徴を保有する場合もあり、このような特徴を保有するように修飾される場合もある。当技術分野では、これを達成するための技法が公知である。例えば、抗体のカチオン化は、その細胞への取込みを容易とすることが公知である(例えば、米国特許第6,703,019号を参照されたい)。また、リポフェクションまたはリポソームも、抗体を細胞に送達するのに使用することができる。抗体断片を使用する場合、標的タンパク質の結合ドメインに特異的に結合する最小の阻害性断片が一般に有利である。例えば、抗体の可変領域配列に基づき、標的タンパク質配列に結合する能力を保持するペプチド分子をデザインすることができる。このようなペプチドは、化学合成する、かつ/または組換えDNA技術により作製することができる。例えば、Marascoら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90巻:7889~7893頁(1993年)を参照されたい。
モジュレーターポリペプチドの、標的細胞への侵入は、当技術分野で公知の方法により増強することができる。例えば、HIV TatまたはAntennapediaホメオドメインタンパク質に由来する配列など、ある特定の配列は、異種タンパク質の、細胞膜を横切る効率的な取込みを誘導することが可能である。例えば、Chenら、Proc.
Natl. Acad. Sci. USA(1999年)、96巻:4325~4329頁を参照されたい。
結合標的が脳内に位置する場合、本発明のある特定の実施形態は、血液脳関門を越える抗体またはその抗原結合性断片を提供する。ある特定の神経変性疾患は、抗体または抗原結合性断片が、脳にたやすく導入されうるような、血液脳関門の透過性の増大と関連する。血液脳関門が無傷を維持する場合は、物理的方法、脂質ベースの方法、ならびに受容体およびチャネルベースの方法を含むがこれらに限定されない、血液脳関門を横切って分子を輸送するための、当技術分野で公知のいくつかの手法が存在する。
抗体または抗原結合性断片を、血液脳関門を横切って輸送する、物理的方法は、血液脳関門を全体として迂回する方法、または血液脳関門内に開口部を創出する方法を含むがこれらに限定されない。迂回法は、脳への直接的注射(例えば、Papanastassiouら、Gene Therapy、9巻:398~406頁(2002年)を参照されたい)、間質内注入/対流増強型送達(例えば、Boboら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、91巻:2076~2080頁(1994年)を参照されたい)、および送達デバイスの脳内への植込み(例えば、Gillら、Nature Med.、9巻:589~595頁(2003年);およびGliadel Wafers(商標)、Guildford Pharmaceuticalを参照されたい)を含むがこれらに限定されない。関門内に開口部を創出する方法は、超音波(例えば、米国特許公開第2002/0038086号を参照されたい)、浸透圧(例えば、高張性マンニトールの投与による(Neuwelt, E. A.、Implication of
the Blood-Brain Barrier and its Manipulation、1および2巻、Plenum Press、N.Y.(1989年)))、例えば、ブラジキニンまたは透過剤A-7による透過処理(例えば、米国特許第5,112,596号、同第5,268,164号、同第5,506,206号、および同第5,686,416号を参照されたい)、および血液脳関門を夾叉するニューロンの、抗体または抗原結合性断片をコードする遺伝子を含有するベクターによるトランスフェクション(例えば、米国特許公開第2003/0083299号を参照されたい)を含むがこれらに限定されない。
抗体または抗原結合性断片を、血液脳関門を横切って輸送する、脂質ベースの方法は、抗体または抗原結合性断片を、血液脳関門の血管内皮上の受容体に結合する抗体または抗原結合性断片にカップリングさせたリポソーム内に封入する方法(例えば、米国特許出願公開第20020025313号を参照されたい)、および抗体または抗原結合性断片を、低密度リポタンパク質粒子(例えば、米国特許出願公開第20040204354号を参照されたい)またはアポリポタンパク質E(例えば、米国特許出願公開第20040131692号を参照されたい)でコーティングする方法を含むがこれらに限定されない。
抗体または抗原結合性断片を、血液脳関門を横切って輸送する、受容体およびチャネルベースの方法は、グルココルチコイド遮断剤を使用して、血液脳関門の透過性を増大させる方法(例えば、米国特許出願公開第2002/0065259号、同第2003/0162695号、および同第2005/0124533号を参照されたい);カリウムチャネルを活性化させる方法(例えば、米国特許出願公開第2005/0089473号を参照されたい)、ABC薬物輸送体を阻害する方法(例えば、米国特許出願公開第2003/0073713号を参照されたい);抗体をトランスフェリンでコーティングし、1つまたは複数のトランスフェリン受容体の活性をモジュレートする方法(例えば、米国特許出願公開第2003/0129186号を参照されたい)、および抗体をカチオン化する方法(例えば、米国特許第5,004,697号を参照されたい)を含むがこれらに限定されない。
本発明の抗体組成物は、「医薬品の製造および品質管理に関する基準(good medical practice)」に準拠する方式で、製剤化、投薬および投与される。この文脈で検討される因子は、処置される特定の障害、処置される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与法、投与のスケジュール指定、および医療従事者に公知の他の因子を含む。抗体は、問題の障害を防止または処置するのに現在使用されている、1つまたは複数の薬剤と共に製剤化する必要はないが、任意選択で、これらと共に製剤化される。このような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する本発明の抗体の量、障害または処置の種類、および上で論じた他の因子に依存する。これらは、一般に、本明細書で記載される通り同じ投与量および投与経路で、または本明細書で記載される投与量の約1~99%で、または経験的/臨床的に適切であると決定される任意の投与量および任意の経路で使用される。
疾患を防止または処置するために、本発明の抗体の適切な投与量(単独で、または、化学療法剤など、他の薬剤と組み合わせて使用する場合)は、処置される疾患の種類、抗体の種類、疾患の重症度および経過、抗体が予防目的で投与されるのか、治療目的で投与されるのか、以前の治療、患者の臨床歴および抗体への応答、ならびに主治医の判断に依存する。抗体は、患者に一度に、または一連の処置にわたり投与するのに適する。疾患の種類および重症度に応じて、抗体約1μg/kg~15mg/kg(例えば、0.1mg/kg~10mg/kg)が、例えば、1回または複数回の個別投与によるのであれ、連続注入によるのであれ、患者に投与するための初期の候補投与量でありうる。典型的な毎日の1回分の投与量は、上で言及した因子に応じて、約1μg/kg~100mg/kgま
たはこれを超える範囲でありうる。数日間またはこれを超えて長期にわたる繰返し投与では、状態に応じて、処置は一般に、疾患症状の所望される抑制が生じるまで持続される。1つの例示的な抗体の投与量は、約0.05mg/kg~約10mg/kgの範囲である。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、または10mg/kgのうちの1つまたは複数の用量(またはこれらの任意の組み合わせ)を、患者に投与することができる。このような用量は、間欠的に、例えば、毎週または3週間ごとに(例えば、患者が抗体の、約2~約20用量、または例えば、約6用量を受けるように)投与することができる。初期の高負荷用量に続き、1回または複数回の低用量を投与することができる。例示的な投薬レジメンは、初期負荷用量約4mg/kgに続いて、毎週の維持用量約2mg/kgの抗体を投与することを含む。しかし、他の投与レジメンも、有用でありうる。この治療の進捗状況は、従来の技法およびアッセイにより、容易にモニタリングされる。
製品
本発明の別の態様では、上で記載した障害の処置、防止、および/または診断に有用な材料を含有する製品が提供される。製品は、容器、および容器上における標識もしくはパッケージ添付文書、または容器と関連する標識もしくはパッケージ添付文書を含む。適切な容器は、例えば、ボトル、バイアル、シリンジなどを含む。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成することができる。容器は、それ自体で、または別の組成物と組み合わされると、状態を処置、防止、および/または診断するのに有効な組成物を保持し、滅菌アクセスポートを含みうる(例えば、容器は、静脈内溶液バッグまたは皮下注射針で穿刺可能な止栓を有するバイアルの場合がある)。組成物中の少なくとも1つの活性剤は、本発明の抗体である。標識またはパッケージ添付文書は、組成物が、選択した状態を処置するために使用されることを指し示す。さらに、製品は、(a)組成物がその中に含有された第1の容器であって、組成物が本発明の抗体を含む、容器と;(b)組成物がその中に含有された第2の容器であって、組成物がさらなる細胞傷害性またはこれ以外の治療剤を含む、容器とを含みうる。本発明のこの実施形態における製品は、組成物を使用して、特定の状態を処置しうることを指し示す、パッケージ添付文書もさらに含みうる。代替的に、または加えて、製品は、静菌性注射用水(BWFI)、リン酸緩衝食塩水、リンゲル液、およびテキストロース溶液など、薬学的に許容される緩衝液を含む第2の(または第3の)容器もさらに含みうる。製品は、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、およびシリンジを含む、商業上のおよび使用者の観点から望ましい他の材料もさらに含む。
以下は、本発明の方法および組成物の例である。上で提供される一般記載を考慮して、種々の他の実施形態が実施され得ることが理解される。
一部の実施形態では、提供されたグリカンコンジュゲート、免疫原性組成物またはワクチンは、聴神経腫瘍、腺癌、副腎がん、肛門がん、血管肉腫(angiosarcoma)(例えば、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、血管肉腫(hemangiosarcoma))、虫垂がん、良性単クローン性高ガンマグロブリン血症、胆道がん(biliary cancer)(例えば、胆管癌)、膀胱がん、乳がん(例えば、乳房の腺癌、乳房の乳頭癌、乳腺がん(mammary cancer)、乳房の髄様癌)、脳がん(例えば、髄膜腫;神経膠腫、例えば、星状細胞腫、希突起神経膠腫;髄芽腫)、気管支がん、カルチノイド腫瘍、子宮頸がん(例えば、子宮頸部腺癌)、絨毛癌、脊索腫、頭蓋咽頭腫、結腸直腸がん(例えば、結腸がん、直腸がん、結腸直腸腺癌)、上皮癌、上衣腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)(例えば、カポジ肉腫、多発性特発性出血性肉腫(multiple idiopathic hemorrhagic sarcoma))、子宮内膜
がん(例えば、子宮がん、子宮肉腫)、食道がん(例えば、食道の腺癌、バレット腺癌(Barrett’s adenocarinoma))、ユーイング肉腫、眼がん(例えば、眼球内黒色腫、網膜芽細胞腫)、家族性過好酸球増加症、胆嚢がん、胃がん(例えば、胃腺癌)、消化管間質腫瘍(GIST)、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮癌、口腔がん(例えば、口腔扁平上皮癌(OSCC)、咽頭(throat)がん(例えば、喉頭がん、咽頭(pharyngeal)がん、上咽頭がん、中咽頭がん))、造血性がん(例えば、白血病、例えば、急性リンパ性白血病(ALL)(例えば、B細胞ALL、T細胞ALL)、急性骨髄性白血病(AML)(例えば、B細胞AML、T細胞AML)、慢性骨髄性白血病(CML)(例えば、B細胞CML、T細胞CML)、および慢性リンパ性白血病(CLL)(例えば、B細胞CLL、T細胞CLL);リンパ腫、例えば、ホジキンリンパ腫(HL)(例えば、B細胞HL、T細胞HL)および非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、B細胞NHL、例えば、びまん性大細胞型リンパ腫(DLCL)(例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL))、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(例えば、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、結節性辺縁帯B細胞リンパ腫(nodal marginal zone B-cell lymphoma)、脾臓辺縁帯B細胞リンパ腫(splenic marginal zone B-cell lymphoma))、縦隔原発B細胞性大細胞型リンパ腫(primary mediastinal B-cell lymphoma)、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(すなわち、「ワルデンシュトレームマクログロブリン血症」)、ヘアリーセル白血病(HCL)、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫および原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫;ならびにT細胞NHL、例えば、前駆Tリンパ芽球性リンパ腫(precursor T-lymphoblastic lymphoma)/白血病、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)(例えば、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)(例えば、菌状息肉症(mycosis fungiodes)、セザリー症候群)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、節外性NK/T細胞リンパ腫(extranodal natural killer T-cell lymphoma)、腸症型T細胞リンパ腫(enteropathy type T-cell
lymphoma)、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫);上記1つまたは複数の白血病/リンパ腫の混合;ならびに多発性骨髄腫(MM))、重鎖病(例えば、アルファ鎖病、ガンマ鎖病、ミュー鎖病)、血管芽細胞腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍(inflammatory myofibroblastic tumor)、免疫球性アミロイドーシス(immunocytic amyloidosis)、腎臓がん(例えば、ウィルムス腫瘍としても知られる腎芽腫、腎細胞癌)、肝臓がん(例えば、肝細胞がん(HCC)、悪性へパトーマ)、肺がん(例えば、気管支原性癌、小細胞肺がん(SCLC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、肺の腺癌)、平滑筋肉腫(LMS)、肥満細胞症(例えば、全身性肥満細胞症)、骨髄異形成症候群(MDS)、中皮腫、骨髄増殖性障害(MPD)(例えば、真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板増加症(ET)、骨髄線維症(MF)としても知られる原発性骨髄線維症(AMM)、慢性特発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、好酸球増加症候群(HES))、神経芽細胞腫、神経線維腫(例えば、神経線維腫症(NF)1型または2型、神経鞘腫症)、神経内分泌がん(例えば、胃腸膵神経内分泌腫瘍(gastroenteropancreatic neuroendoctrine tumor)(GEP-NET)、カルチノイド腫瘍)、骨肉腫、卵巣がん(例えば、嚢胞腺癌、卵巣胎児性癌、卵巣腺癌)、乳頭腺癌、膵臓がん(例えば、膵臓腺癌(pancreatic andenocarcinoma)、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、島細胞腫瘍)、陰茎がん(例えば、陰茎および陰嚢のパジェット病)、松果体腫、未分化神経外胚葉性腫瘍(PNT)、前立腺がん(例えば、前立腺腺癌)、直腸がん、横紋筋肉腫、唾液腺がん、皮膚がん(例えば、扁平上皮癌(SCC)、角化棘細胞腫(KA)、黒色腫、基底細胞癌(BCC))、小腸がん(例えば、虫垂がん)、軟組織肉腫(例えば、悪性線維性組
織球腫(MFH)、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫)、皮脂腺癌、汗腺癌、滑膜腫、精巣がん(例えば、セミノーマ、精巣胎児性癌)、甲状腺がん(例えば、甲状腺の乳頭癌、甲状腺乳頭癌(PTC)、甲状腺髄様がん)、尿道がん、膣がんおよび外陰部がん(例えば、外陰部のパジェット病)を含むがこれらに限定されないがんを処置または診断するのに有用である。ある特定の実施形態では、提供されたグリカンコンジュゲート、免疫原性組成物またはワクチンは、脳がん、肺がん、乳がん、口腔がん、食道がん、胃がん、肝臓がん、胆管がん、膵臓がん、結腸がん、腎臓がん、骨がん、皮膚がん、子宮頸がん、卵巣がん、および前立腺がんを処置するために有用である。
本明細書で記載される処置方法を実施するために、本明細書で記載されるグリカンコンジュゲート、または免疫原性組成物またはワクチンのいずれかの有効量が、上記のように、適切な経路を介して処置を必要とする対象に投与されうる。ヒト対象などの対象は、がんを有するか、がんを有することが疑われるか、またはがんに対して感受性の患者でありうる。対象に投与されたグリカンコンジュゲートまたは免疫原性組成物の量は、コンジュゲートまたは組成物中のグリカン部分に対して特異的な免疫応答を誘発するのに有用となり得る。一部の実施形態では、グリカンコンジュゲートまたは免疫原性組成物の量は、がんの成長の阻害および/または腫瘍量(tumor mass)の低減をもたらす免疫応答を誘発するのに十分である。他の実施形態では、グリカンコンジュゲートまたは免疫原性組成物の量は、標的がんの発病を遅延させるまたはがんを発症する危険性を低減させるのに有効でありうる。有効量を達成するために必要な提供されたグリカンコンジュゲート、免疫原性組成物またはワクチンの正確な量は、例えば、対象の種、年齢、および全身状態、副作用または障害の重症度、特定の化合物の正体、投与様式などに依存して、対象ごとに変動する。所望の投与量は、1日3回、1日2回、1日1回、1日おき、3日ごと、毎週、2週間ごと、3週間ごと、または4週間ごとに、送達されうる。ある特定の実施形態では、所望の投与量は、複数回の投与(例えば、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回、またはそれを超える回数の投与)を使用して送達されうる。
ある特定の実施形態では、70kgの成人への1日に1回または複数回の投与のための、提供されたグリカンコンジュゲート、免疫原性組成物またはワクチンの有効量は、単位剤形当たり、約0.0001mg~約3000mg、約0.0001mg~約2000mg、約0.0001mg~約1000mg、約0.001mg~約1000mg、約0.01mg~約1000mg、約0.1mg~約1000mg、約1mg~約1000mg、約1mg~約100mg、約10mg~約1000mg、または約100mg~約1000mgの化合物を含みうる。
ある特定の実施形態では、提供されたグリカンコンジュゲート、免疫原性組成物またはワクチンは、所望の治療効果を得るために、1日に1回または複数回で、1日当たり対象の体重1kg当たり約0.001mg~約100mg、約0.01mg~約50mg、好ましくは約0.1mg~約40mg、好ましくは約0.5mg~約30mg、約0.01mg~約10mg、約0.1mg~約10mg、より好ましくは約1mg~約25mgを送達するのに十分な投与量レベルで、経口または非経口投与されうる。
本明細書で記載される用量範囲は、成体への提供されたグリカンコンジュゲート、免疫原性組成物またはワクチンの投与のためのガイダンスを提供することを理解されたい。例えば、小児または青年に投与すべき量は、医療従事者または当業者によって決定されえ、成体に投与される量よりも低いまたはそれと同じでありうる。
提供されたグリカンコンジュゲート、免疫原性組成物またはワクチンは、1つまたは複
数のさらなる治療的活性剤と組み合わせて投与されうることもまた理解されたい。提供されたグリカンコンジュゲート、免疫原性組成物またはワクチンは、それらのバイオアベイラビリティを改善する、それらの代謝を低減および/もしくは修飾する、それらの排泄を阻害する、ならびに/または体内でのそれらの分布を修飾するさらなる治療的活性剤と組み合わせて投与されうる。使用される治療は、同じ障害に対する所望の効果を達成しうる、および/または異なる効果を達成しうることもまた理解されたい。
提供されたグリカンコンジュゲート、免疫原性組成物またはワクチンは、1つまたは複数のさらなる治療的活性剤と同時発生的に、その前に、またはその後に投与されうる。一般に、各薬剤は、その薬剤について決定された用量でおよび/またはタイムスケジュールで投与される。この組み合わせにおいて活用されるさらなる治療的活性剤は、単一の組成物中で一緒に投与されうる、または異なる組成物中で別々に投与されうることをさらに理解されたい。レジメンにおいて使用する特定の組み合わせは、本発明の化合物と、さらなる治療的活性剤および/または達成すべき所望の治療効果との適合性を考慮に入れる。一般に、組み合わせ中で活用されるさらなる治療的活性剤は、それらが個々に活用されるときのレベルを超えないレベルで活用されると予測される。一部の実施形態では、組み合わせ中で活用されるレベルは、個々に活用されるレベルよりも低い。
ある特定の実施形態では、提供されたグリカンコンジュゲート、免疫原性組成物またはワクチンは、本明細書で記載される1つまたは複数のさらなる医薬品剤(pharmaceutical agent)と組み合わせて投与される。ある特定の実施形態では、さらなる医薬品剤は、抗がん剤である。抗がん剤は、生物療法的抗がん剤(biotherapeutic anti-cancer agent)ならびに化学療法剤を包含する。
例示的な生物療法的抗がん剤は、インターフェロン、サイトカイン(例えば、腫瘍壊死因子、インターフェロンα、インターフェロンγ)、ワクチン、造血成長因子、モノクローナル血清療法、免疫賦活薬および/または免疫調節剤(例えば、IL-1、2、4、6、または12)、免疫細胞増殖因子(例えば、GM-CSF)および抗体(例えば、HERCEPTIN(トラスツズマブ)、T-DM1、AVASTIN(ベバシズマブ)、ERBITUX(セツキシマブ)、VECTIBIX(パニツムマブ)、RITUXAN(リツキシマブ)、BEXXAR(トシツモマブ))を含むがこれらに限定されない。
例示的な化学療法剤は、抗エストロゲン薬(例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、およびメゲストロール)、LHRHアゴニスト(例えば、ゴセレリン(goscrclin)およびロイプロリド)、抗アンドロゲン薬(例えば、フルタミドおよびビカルタミド)、光線力学的治療(例えば、ベルテポルフィン(vertoporfin)(BPD-MA)、フタロシアニン、光感受性物質Pc4、およびデメトキシ-ヒポクレリンA(demethoxy-hypocrellin A)(2BA-2-DMHA))、窒素マスタード(例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、トロホスファミド、クロランブシル、エストラムスチン、およびメルファラン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン(BCNU)およびロムスチン(CCNU))、アルキルスルホネート(例えば、ブスルファンおよびトレオスルファン)、トリアゼン(例えば、ダカルバジン、テモゾロミド)、白金含有化合物(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン)、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、およびビノレルビン)、タキソイド(例えば、パクリタキセルまたはパクリタキセル等価物、例えば、ナノ粒子アルブミン結合型パクリタキセル(Abraxane)、ドコサヘキサエン酸結合型パクリタキセル(DHA-パクリタキセル、Taxoprexin)、ポリグルタミン酸結合型パクリタキセル(PG-パクリタキセル、パクリタキセルポリグルメクス、CT-2103、XYOTAX)、腫瘍活性化プロドラッグ(TAP)ANG100
5(3分子のパクリタキセルに結合したAngiopep-2)、パクリタキセル-EC-1(erbB2認識ペプチドEC-1に結合したパクリタキセル)、およびグルコース-コンジュゲート化パクリタキセル、例えば、2’-パクリタキセルメチル2-グルコピラノシルスクシネート(2’-paclitaxel methyl 2-glucopyranosyl succinate);ドセタキセル、タキソール)、エピポドフィリン(epipodophyllin)(例えば、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド、トポテカン、9-アミノカンプトテシン、カンプトイリノテカン(camptoirinotecan)、イリノテカン、クリスナトール(crisnatol)、マイトマイシンC(mytomycin C))、代謝拮抗剤、DHFR阻害剤(例えば、メトトレキセート、ジクロロメトトレキセート、トリメトレキセート、エダトレキセート)、IMPデヒドロゲナーゼ阻害剤(例えば、ミコフェノール酸、チアゾフリン、リバビリン、およびEICAR)、リボヌクレオチド(ribonuclotide)レダクターゼ阻害剤(例えば、ヒドロキシウレアおよびデフェロキサミン)、ウラシル類似体(例えば、5-フルオロウラシル(5-FU)、フロクスウリジン、ドキシフルリジン、ラルチトレキセド(ratitrexed)、テガフール-ウラシル、カペシタビン)、シトシン類似体(例えば、シタラビン(araC)、シトシンアラビノシド、およびフルダラビン)、プリン類似体(例えば、メルカプトプリンおよびチオグアニン)、ビタミンD3類似体(例えば、EB 1089、CB 1093、およびKH 1060)、イソプレニル化阻害剤(例えば、ロバスタチン)、ドーパミン作動性神経毒(例えば、1-メチル-4-フェニルピリジニウムイオン)、細胞周期阻害剤(例えば、スタウロスポリン)、アクチノマイシン(例えば、アクチノマイシンD、ダクチノマイシン)、ブレオマイシン(例えば、ブレオマイシンA2、ブレオマイシンB2、ペプロマイシン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ペグ化リポソームドキソルビシン、イダルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、ゾルビシン、ミトキサントロン)、MDR阻害剤(例えば、ベラパミル)、Ca2+ ATPase阻害剤(例えば、タプシガルジン)、イマチニブ、サリドマイド、レナリドミド、チロシンキナーセ阻害剤(例えば、アキシチニブ(AG013736)、ボスチニブ(SKI-606)、セジラニブ(RECENTIN(商標)、AZD2171)、ダサチニブ(SPRYCEL(登録商標)、BMS-354825)、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))、イマチニブ(Gleevec(登録商標)、CGP57148B、STI-571)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、TYVERB(登録商標))、レスタウルチニブ(CEP-701)、ネラチニブ(HKI-272)、ニロチニブ(TASIGNA(登録商標))、セマキサニブ(semaxanib)(セマキシニブ、SU5416)、スニチニブ(SUTENT(登録商標)、SU11248)、トセラニブ(toceranib)(PALLADIA(登録商標))、バンデタニブ(ZACTIMA(登録商標)、ZD6474)、バタラニブ(PTK787、PTK/ZK)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標))、ラニビズマブ(Lucentis(登録商標))、ニロチニブ(TASIGNA(登録商標))、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、エベロリムス(AFINITOR(登録商標))、アレムツズマブ(CAMPATH(登録商標))、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標))、テムシロリムス(TORISEL(登録商標))、ENMD-2076、PCI-32765、AC220、乳酸ドビチニブ(dovitinib lactate)(TKI258、CHIR-258)、BIBW 2992(TOVOK(商標))、SGX523、PF-04217903、PF-02341066、PF-299804、BMS-777607、ABT-869、MP470、BIBF 1120(VARGATEF(登録商標))、AP24534、JNJ-26483327、MGCD265、DCC-2036、BMS-690154、CEP-11981、チボザニブ(AV-951)、OSI-930、MM-121、XL-184、
XL-647、および/またはXL228)、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ(VELCADE))、mTOR阻害剤(例えば、ラパマイシン、テムシロリムス(CCI-779)、エベロリムス(RAD-001)、リダフォロリムス、AP23573(Ariad)、AZD8055(AstraZeneca)、BEZ235(Novartis)、BGT226(Norvartis)、XL765(Sanofi Aventis)、PF-4691502(Pfizer)、GDC0980(Genetech)、SF1126(Semafoe)およびOSI-027(OSI))、オブリメルセン、ゲムシタビン、カルミノマイシン、ロイコボリン、ペメトレキセド、シクロホスファミド、ダカルバジン、プロカルバジン(procarbizine)、プレドニゾロン、デキサメタゾン、カンパテシン(campathecin)、プリカマイシン、アスパラギナーゼ、アミノプテリン、メトプテリン(methopterin)、ポルフィロマイシン、メルファラン、ロイロシジン(leurosidine)、ロイロシン(leurosine)、クロランブシル、トラベクテジン、プロカルバジン、ディスコデルモリド、カルミノマイシン、アミノプテリン、およびヘキサメチルメラミンを含むがこれらに限定されない。
ある特定の実施形態では、処置される対象は、哺乳動物である。ある特定の実施形態では、対象は、ヒトである。ある特定の実施形態では、対象は、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、またはヤギなどの家畜化された動物である。ある特定の実施形態では、対象は、イヌまたはネコなどのコンパニオン動物である。ある特定の実施形態では、対象は、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、またはヤギなどの家畜動物である。ある特定の実施形態では、対象は、動物園の動物である。別の実施形態では、対象は、齧歯動物、イヌ、または非ヒト霊長動物などの研究用動物である。ある特定の実施形態では、対象は、トランスジェニックマウスまたはトランスジェニックブタなどの非ヒトトランスジェニック動物である。
がん幹細胞バイオマーカー
不均質ながん組織の自己再生および腫瘍成長の原因となるがん幹細胞(CSC)の発見は、新しいがん治療および早期診断の開発への関心を促進してきた。しかし、現在CSCの単離に使用されているマーカーは、しばしば、この特別な細胞集団の研究のためにCSCを富化するのに十分に選択的ではない。ここで本発明者らは、CD44+CD24-/loSSEA-3+またはESAhiPROCRhiSSEA-3+マーカーを有する単離された乳がん幹細胞(BCSC)が、in vitroおよびin vivoで従来のマーカーを用いるものよりも高い腫瘍形成性を有していたことを示す。CD44+CD24-/loを有する100個を超える細胞と比較して、CD44+CD24-/loSSEA-3+を有するわずか10個の細胞が、マウスにおいて腫瘍を形成した。グロボ系経路においてβ-1,3-ガラクトシルトランスフェラーゼ5(β3GalT5)をコードする遺伝子のノックダウンによってSSEA-3発現を抑制すると、がん細胞のアポトーシスが特異的にもたらされたが、正常細胞に対しては効果がなかった。この知見は、幹細胞(ESCおよびiPSC)におけるSSEA-3、ならびに2つの関係するグロボ系エピトープSSEA4およびglobo-H、ならびに様々な正常な細胞およびがん細胞を分析することによって、ならびにグロボ系グリカンを標的化する抗体手法および乳がんワクチンの最終段階の臨床治験によってさらに裏付けられる。
がん幹細胞は、自己再生および腫瘍成長特性を有するがん細胞の特別な集団であり、抗がん治療の開発のための重要な標的である。本発明者らは、ステージ特異的胚抗原3(SSEA-3)と呼ばれる糖脂質が、乳がん幹細胞の表面上に排他的に発現したこと、および公知のタンパク質マーカー(CD24およびCD44)と組み合わされると、乳がん幹細胞が著しく富化され、腫瘍を成長させるのに、わずか10個のこのような富化細胞が使
用され得ることを見出した。さらに、SSEA3の合成に関与する酵素ガラクトシルトランスフェラーゼ(β3GalT5)は、乳がん幹細胞およびがん細胞に特異的に発現されるが、正常細胞には発現されず、がん細胞の生存に、SSEA3およびβ3GalT5の両方が必須であることが見出される。これらの知見は、新しい抗がん戦略の開発に至っている。
がん幹細胞(CSC)は、自己再生および腫瘍始原の能力を有する希少細胞であり、がんの進行に密接に関係し、有効な治療および初期診断のための特異的な標的である(1~5)。現在まで、多くのがん幹細胞が同定され、タンパク質マーカーによって特徴付けられている。乳がん幹細胞(BCSC)は、最初、Clarkeらによって2003年に発見され、CD44+CD24-/lo発現を有する乳がん細胞が、他のものよりも高いレベルの腫瘍形成性を有し、このような細胞約100個により、動物に腫瘍が形成され得ることが実証された(6)。さらに、ALDH-1、CD133、CD326(ESA)、CD201(PROCR)、およびそれらの組合せなどの他のタンパク質も、BCSCバイオマーカーとして報告されている(7~9)。しかし、これらのマーカーに基づいて富化プロセスから得られたBCSCは、まだ多数の非がん幹細胞を含有しており、このような細胞の研究によって、がん幹細胞の非特異的な特徴が提供されるはずである。したがって、分析および研究のためにより良好に定義されたBCSCを富化し、得るためには、新しいマーカーが必要である。
糖脂質は、がんの発生中に変わることが公知である(10~15)。本発明者らの以前の研究では、グロボ系グリカンSSEA-3(Gb5)、SSEA-4(シアリル-Gb5)およびglobo-H(フコシル-Gb5)は、乳がんおよびBCSCを含む多くのがんの細胞表面上に排他的に見出される(16~18)。本発明者らはまた、ESAhiPROCRhiまたはCD44+CD24-/loのいずれかを担持しているBCSCが、これらのグロボ系エピトープの高度な発現を示すことを報告した(19)。SSEA-3は、β3GalT5によってGb4から合成され(20)、globo-HおよびSSEA-4は、それぞれフコシルトランスフェラーゼ1、2(FUT1、FUT2)(21、22)およびST3β-ガラクトシドα-2,3-シアリルトランスフェラーゼ2(ST3Gal2)(23)によって、SSEA-3から合成される。
本発明者らは、SSEA-3に関して、グロボ系経路において関係するグリカンおよび酵素が、がん特異的であり、BCSCマーカーとなることを本明細書において報告する。
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を裏付けるために含まれる。以下の実施例に開示される技法は、本発明者らが発見した技法が、本発明の実施において良好に機能することを示し、したがって、その実施のための好ましい様式を構成すると解釈されうることを、当業者は理解すべきである。しかし、本開示の観点から、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなしに、開示された特定の実施形態において多くの変化がなされ、類似または同様の結果がなおも得られうることを理解すべきである。
(実施例1)
SSEA3類似体の例示的合成
化合物Gb4類似体、ATP、UTP、ガラクトース類似体、ホスホエノールピルベート、MgCl2を、酵素ガラクトキナーゼ(GalK)、UDP-糖ピロホスホリラーゼ(AtUSP)、β-1,3-ガラクトシルトランスフェラーゼ(LgtD)、ピルビン酸キナーゼ(PK)、および無機ピロホスファターゼ(PPA)を溶液中で合わせ、反応を、pHを7.0に制御しながら室温で開始し、反応を、それ以上の生成物が観察できなくなるまでTLCによってモニターした。反応が完了した後、反応混合物中のタンパク質を30分間加熱することによって除去し、続いて、遠心分離し、0.22μMフィルターで濾過した。次いで、濾液をC-18ゲルクロマトグラフィーによって精製した。画分を収集し、TLCによってモニターした。
(実施例2)
SSEA4類似体の例示的合成
方法1:SSEA4-Gcの化学的合成
化合物1~6を、文献で報告された方法によって調製した。ジクロロメタン(CH2Cl2)6mL中のアクセプター3(93mg、0.045mmol)およびイミデート6(76mg、0.068mmol)の溶液に、粉末モレキュラーシーブ(4A、0.5g)を添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。-10℃に冷却した後、TMSOTf(5μL、0.03mmol)を添加し、混合物を5℃(冷蔵室)で一晩撹拌した。反応混合物を、トリエチルアミン(0.5mL)を添加することによってクエンチし、CH2Cl2で希釈し、セライトパットを通して濾過した。濾液を、飽和炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム(Na2SO4)上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中の50~100%EtOAc)によって精製し、二糖のイミデート6に由来する不純物が混入している六糖7を得た。収率はNMRによって推定される(90mg、68%)。
氷酢酸(5.0mL)中の六糖7(90mg、0.03mmol)の溶液へ、亜鉛末(1g)を添加し、混合物を、TLC分析によって化合物7が消費されるまで、1~2時間撹拌した。反応混合物をCH2Cl2で希釈し、セライトパッドを通して濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を、ピリジン/Ac2O(1:1、2.0mL)中に溶解し、1時間撹拌し、濃縮した。残留物を、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し
た。アシル化材料を無水CH2Cl2およびMeOH(2:8、10mL)中に溶解し、NaOMe(45mg)で処理した。室温で4時間撹拌した後、水(0.2mL)を添加し、得られた混合物を16時間撹拌した。反応混合物をアンバーリストIR-120で中和し、濾過し、濃縮した。残留物を逆相クロマトグラフィー(RP-18)によって精製した。
メタノール/水/酢酸(10:10:0.5、6mL)の混合物中の付加物に、水酸化パラジウム(木炭中20%、50mg)を添加し、反応混合物を、水素陽圧下、室温で16時間撹拌した。反応混合物を、セライトパッドを通して濾過し、濃縮した。残留物を逆相クロマトグラフィーによって精製して、8(17mg、43%)を得た。
方法2:SSEA4類似体の化学酵素的合成の一般的な戦略
CMP-シアル酸類似体を、出発材料としてManNAcを使用することによって、3種の酵素(ManNAc-6-キナーゼ、NeuAc-9-P-シンターゼ、およびNeuAc-9-P-ホスフェース(phosphase))的反応により合成した。CMP-シアル酸類似体を、α2,3-シアリルトランスフェラーゼ反応下、CMP-Neu5ACの再生と組み合わせて、Gb5類似体と反応させると、SSEA4類似体を得ることができる。ref2。
(実施例3)
SSEA-3/SSEA-4誘導体DT-コンジュゲートの合成
一般的な方法
ステップA.SSEA3類似体-NH2またはSSEA4類似体-NH2の、SSEA3類似体-SHまたはSSEA4-類似体-SHへの修飾
SSEA3/4類似体DT-コンジュゲートを合成するために、アミン末端SSEA3/4類似体をDTSSPリンカーと、PBS緩衝液(pH7.4)中、室温で反応させた。溶液のpH値をpH試験紙によってモニターし、溶液が中性または酸性になったときに、一部のNaOH溶液を溶液に添加した。反応物を室温で12時間撹拌した後、DTTを、溶液に室温で添加した。溶液を40℃で撹拌し続け、次いで、溶媒を減圧下で除去した。残留物をLH-20カラムクロマトグラフィーによって精製して、SSEA3/4類似体-SHを得た。
ステップB:CRM197のCRM197-マレイミドへの修飾
市販のCRM197(1.0mg)の塩を、水中への溶解および透析(Amicon
Ultra-0.5、10kDa)を交互に行うことによって除去した後、残留物をPBS緩衝液(pH6.5、1.0mL)中に溶解し、試料バイアル中に移した。Sulfo-EMCS(1.0mg、8.22×10-6mol)を溶液に添加し、次いで、反応物を室温で2時間撹拌し続けた。混合物をAmicon Ultra-0.5(10kDa)によって精製した。分子量を点検するためにMALDI-TOFを、かつタンパク質量を計算するためにBCAアッセイを使用した後、次のステップのためにCRM197-マレイミドをPBS緩衝液(pH7.2、1.0mg/mL)中に保存した。MALDI-TOFのデータに従って、マレイミド官能基の量を計算することができた。例えば、CRM197-マレイミドの分子量が61841のとき、CRM197-マレイミドのマレイミド官能基の数は(61841-58326)/193=18.2であった。
ステップC:SSEA3/4類似体-CRM197コンジュゲートの合成
CRM197-マレイミドをPBS緩衝液(pH7.2、濃度は1.0mg/mLであった)に溶解し、次いで、異なる量のSSEA3/4類似体-SH(PBS緩衝液中5.0mg/mL、pH7.2)を溶液に添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。SSEA3/4類似体-CRM197コンジュゲートを、Amicon Ultra-0.5(10kDa)を使用し、非反応性のSSEA3/4類似体-SHおよびリン酸ナトリウム塩を透析により除去することによって、精製した。得られたSSEA3/4類似体-CRM197コンジュゲートは、MALDI-TOF分析によって特徴付けられ、糖質取込み率を決定することができた。非反応性のSSEA3/4類似体-SHは、DTTと反応させ、LH-20カラムクロマトグラフィーによって精製した後に、回収することができた。
(実施例4)
SSEA4-Gc CRM197コンジュゲートの合成
ステップA:SSEA4-Gc-NH2のSSEA4-Gc-SHへの修飾
DTSSP(5.0mg、8.22×10-6mol)を、PBS緩衝液(pH7.4、1.0mL)中のSSEA4-Gc-NH2(5.0mg、4.01×10-6mol)のフラスコに室温で添加した。溶液のpH値をpH試験紙によってモニターし、溶液が中性または酸性になったときに、一部のNaOH(1M/水)を溶液に添加した。反応物を室温で12時間撹拌した後、DTT(5.0mg、32.41×10-6mol)を、溶液に室温で添加した。溶液を40℃で1時間撹拌し続け、次いで、溶媒を減圧下で除去した。残留物をLH-20カラムクロマトグラフィーによって精製して、SSEA4-Gc-SH(5.0mg、93%)を得た。
ステップB:CRM197のCRM197-マレイミドへの修飾
市販のCRM197(1.0mg)の塩を、水中への溶解および透析(Amicon Ultra-0.5、10kDa)を交互に行うことによって除去した後、残留物をPBS緩衝液(pH6.5、1.0mL)中に溶解し、試料バイアル中に移した。Sulfo-EMCS(1.0mg、8.22×10-6mol)を溶液に添加し、次いで、反応物を室温で2時間撹拌し続けた。混合物をAmicon Ultra-0.5(10kDa)によって精製した。分子量を点検するためにMALDI-TOFを、かつタンパク質量を計算するためにBCAアッセイを使用した後、次のステップのためにCRM197-マレイミドをPBS緩衝液(pH7.2、1.0mg/mL)中に保存した。MALDI-TOFのデータに従って、マレイミド官能基の量を計算することができた。例えば、CRM197-マレイミドの分子量が61841のとき、CRM197-マレイミドのマレイ
ミド官能基の数は(61841-58326)/193=18.2であった。
表1に従うように、CRM197-マレイミドをPBS緩衝液(pH7.2、濃度は1.0mg/mLであった)に溶解し、次いで、異なる量のSSEA4Gc-SH(PBS緩衝液中5.0mg/mL、pH7.2)を溶液に添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。SSEA4-Gc-CRM197コンジュゲートを、Amicon Ultra-0.5(10kDa)を使用し、非反応性のSSEA4-Gc-SHおよびリン酸ナトリウム塩を透析により除去することによって、精製した。得られたSSEA4-Gc-CRM197コンジュゲートは、MALDI-TOF分析によって特徴付けられ、表1に示すように糖質取込み率を決定することができた。非反応性のSSEA4-Gc-SHは、DTTと反応させ、LH-20カラムクロマトグラフィーによって精製した後に、回収することができた。
ステップC:CRM197-マレイミドの非反応性マレイミドの捕捉
SSEA4-Gc-CRM197コンジュゲートをPBS緩衝液(pH7.2、濃度は1.0mg/mLであった)に溶解し、2-メルカプトエタノール(5mg/mL、PBS緩衝液、pH7.2)10.0当量を溶液に添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。SSEA4-Gc-CRM197コンジュゲートを、Amicon Ultra-0.5(10kDa)を使用し、非反応性の2-メルカプトエタノールおよびリン酸ナトリウム塩を透析により除去することによって精製し、次いで凍結乾燥し、白色粉末にした。
(実施例5)
SSEA-4誘導体DTコンジュゲートの免疫原性試験
SSEA4類似体DT-コンジュゲート(1-DT~10-DT)の免疫原性を調査するため、5匹の雌BALB/cマウスを、SSEA4類似体DT-コンジュゲート2μgおよび糖脂質アジュバントC34 2μgを用い、2週間に1回の間隔で3回、筋肉内に免疫化した。以前の試験において、抗GH抗体力価は、アジュバントを一切含まないSSEA4類似体-タンパク質コンジュゲート単独では低かった。各免疫原に由来する抗血清を、3回目の免疫化から10日後に得、グロボ系グリカンおよび他の腫瘍関連糖鎖抗原を含む94個の化学的に合成されたグリカンを含有する、グリカンマイクロアレイ上で調べた。一部の化学的修飾がグリカンに行われたため、交差反応性を点検するために一部の官能性リンカーもグリカンアレイに含まれていた。
SSEA4-Gc CRM197-コンジュゲートによって誘導された抗体は、SSEA4-Gc、天然のSSEA4、またはSSEA4四糖の断片によって特異的に認識されたが、他のTACAおよび官能性リンカーによって認識されなかった。糖コンジュゲートから得られた血清は高IgG抗体力価が誘導されており、T細胞依存性免疫応答を示した。興味深いことに、有意なIgM産生は、SSEA4-Gcまたは天然のSSEA4に関して観察されなかった。GHに対するIgGレベルに関しては、SSEA4-Gc CRM197によって誘導された抗体の力価は、天然型の天然のSSEA-CRM197コンジュゲートよりもはるかに高かった。それらのうち、1分子のCRM197とコンジュゲートした6.9分子のSSEA4-Gcが、最も高い抗体力価を誘導することができる(図12も参照のこと)。
マウス投与量および免疫化スケジュール
SSEA4類似体CRM197の免疫原性を比較するために、5匹のマウスからなる10群(8週齢雌Balb/cマウス、BioLASCO、Taiwan)を、糖脂質C34を用い、筋肉内に免疫化した。3回の免疫化を、2週間間隔で行った。各ワクチン接種
には、SSEA4類似体2μgおよびC34 2μgが含有されていた。対照マウスに、リン酸緩衝食塩水(PBS)を注射した。初回免疫化の前(免疫前)および3回目の免疫化から10日後に、マウスから採血した。すべての血清を、4,000×gで10分間遠心分離することによって得た。血清学的応答は、グリカンマイクロアレイによって分析した。
グリカンアレイを用いた血清学的アッセイ
マウス血清を、1%のBSA/PBST緩衝液(PBST緩衝液:PBSおよび0.05%Tween-20、pH7.4)で希釈した。グリカンマイクロアレイを、Superblock blocking buffer(Pierce)を用いて4℃で1時間ブロックし、PBST緩衝液で3回洗浄してから使用した。次いで、血清希釈物をグリカンマイクロアレイに導入し、4℃で1時間インキュベートした。過剰な血清抗体を洗い流し、マイクロアレイを、2次抗体としてのAlexa Fluor 647-コンジュゲートヤギ抗マウスIgG抗体またはDyLight 649-コンジュゲートヤギ抗マウスIgM抗体を用いて、暗所で、4℃で1時間、個々にインキュベートした。次いで、スライドをPBSTで3回洗浄し、マイクロアレイ蛍光チップリーダー(GenePix 4300A;Molecular Devices Corporation)を用いて、635nmの波長で走査し、走査された画像をGenePix Pro-6.0分析ソフトウェア(Axon Instruments、Union City、CA、USA)を用いて分析した。
(実施例6)
ステージ特異的胚抗原-3(SSEA-3)およびβ3GalT5はがん特異的であり、かつ乳がん幹細胞に対する有意なマーカーである
例:細胞培養
乳がん細胞株MDA-MB-231、MCF-7、およびヒト乳がん関連線維芽細胞(CAF)を、American Type Culture Collection(ATCC)から得た。MDA-MB-231を、10%熱不活性化FBSおよび抗生物質-抗真菌剤が補充されたDMEM中で培養したが、MCF-7は、10%熱不活性化FBS、非必須アミノ酸、および抗生物質-抗真菌剤が補充されたRPMI中で培養した。CAFに関しては、10%熱不活性化FBS、非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、グルタミン、ペニシリン、およびストレプトマイシンが補充されたDMEM/F12中で培養した。それらを、5%CO2および加湿された雰囲気に制御された37℃のインキュベーターでインキュベートした。すべての細胞培養培地および補充物質はLife Technologiesから購入した。ヒトESC H9および誘導多能性幹細胞5(iPSC5)を、ヒトES培地(Knockout Serum Replacement、GlutaMAX、非必須アミノ酸、2-メルカプトエタノール、ペニシリン/ストレプトマイシン、およびbFGFを含む、Knockout DMEM)中、マイトマイシンCで処理されたマウス胚線維芽細胞(MEF)上で維持し、培養し、コラゲナーゼIVを使用して継代を毎週行った。
例:皮膚線維芽細胞からのiPSCの導出
皮膚生検に由来する線維芽細胞を、CytoTune-iPS Sendai Reprogramming Kit(Life Technologies)を使用して多能性幹細胞に再プログラムした。簡潔に述べると、6ウェルディッシュ中、1ウェル当たり
5×104個の線維芽細胞を、一晩で回収するために継代3で播種した。翌日、Sendaiウイルス発現ヒト転写因子OCT4、SOX2、Klf4、およびc-Mycを、製造業者の指示書に従って、線維芽細胞培地中で混合し、線維芽細胞を感染させた。2日後に、培地を、ALK5阻害剤SB431542(2μM;Stemgent)、MEK阻害剤PD0325901(0.5μM;Stemgent)、およびチアゾビビン(0.5μM;Stemgent)が補充されたヒトES培地と交換した。感染してから7~10日後に、細胞を、TrypLE(Life Technologies)を使用して剥がし、フィーダー細胞上で継代を行った。iPSCの個々のコロニーを、感染してから21から28日の間に採取し、各iPSC株を単一コロニーから拡大増殖させた。すべてのiPSC株を、ヒトES培地中のマウス胚線維芽細胞上で培養した。
核型分析(karyotyping)は、Cell Line Genetics Inc.によって行われた。奇形腫分析では、TrypLE処理後に、各iPSC株から1~2×107個を剥がし、収集した。これらをヒトES培地0.5mL中に懸濁した。続いてMatrigel(BD Biosciences)0.5mLと混合し、細胞を、免疫不全マウス(NOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJ、ストック番号005557、The Jackson Laboratory)の背側側腹部へ皮下注射した。注射してから8週間後に、奇形腫を採取し、4%パラホルムアルデヒドを用いて一晩固定し、パラフィン包埋の標準手順に従って処理した。次いで、試料を切片にし、H&E染色を行った。
例:β3GalT5の過剰発現およびノックダウン
ヒトβ3GalT5過剰発現安定株を樹立するために、ヒトβ3GalT5をコードする完全長cDNAをPCR増幅し(フォワードプライマー-GCAGATCTATGGCTTTCCCGAAGATG、リバースプライマー-GTCTCGAGTCAGACAGGCGGACAAT)、BglII/XhoI切断pMSCVpuroベクター(Clontech)にサブクローニングした。次いで、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)-対照およびMSCV-β3GalT5水疱性口内炎ウイルスG糖タンパク質(VSV-G)偽型レトロウイルスを、GP2-293細胞(Clontech)中に産生し、MCF-7およびMDA-MB-231細胞に感染させるために使用した。ウイルスに感染してから2日後に、対照およびβ3GalT5安定プールを、ピューロマイシン(2μg/mL)を用いて選択した。β3GalT5ノックダウン細胞を樹立するために、ヒトβ3GalT5に対するレンチウイルス-shRNAシステムを、National RNAi Core Facility Platform、Academia Sinicaから購入した。β3GalT5-ショートペアピン配列は、5’CCGGGCAAGTGGTTTGTCAGTAAATCTCGAGATTTACTGACAAACCACTTGCTT TTTG-3’である。簡潔に述べると、shβ3GalT5およびsh対照レンチウイルスを、製造業者の指示書に従って、MCF7およびMDA-MB-231細胞とともにインキュベートした。感染細胞を、感染から48時間後に採取するか、またはピューロマイシン(2μg/mL)を用いて選択し、ノックダウン効率を定量的RT-PCR(qPCR)によって決定した。
例:細胞増殖アッセイ
細胞増殖を、製造業者(Roche)の指示書に従って、細胞透過性テトラゾリウム塩、WST-1(4-[3-(4-ヨードフェニル)-2-(4-ニトロフェニル)-2H-5-テトラゾリオ]-1,3-ベンゼンジスルホネート)を使用して分析した。細胞2×103個/ウェルを、96ウェルプレート中で培養した。示されているような異なる時点で、WST-1(培養培地200μLに対して1ウェル当たり20μL)を添加し、3
7℃のインキュベーターで3時間インキュベートした。450nmおよび690nm(基準として)における吸光度のシグナル伝達検出をSpectraMax M5マイクロプレートスペクトルリーダー(Molecular Devices)によって読み取った。
例:アポトーシスアッセイ
細胞を、細胞105個/mLで、前述のように、β3GalT5 shRNAレンチウイルス(MOI:5)、Z-DEVD-FMK(カスパーゼ-3阻害剤)(50μMおよび100μM、R&D Systems)、Z-IETD-FMK(カスパーゼ-8阻害剤)、Z-LEHD-FMK(カスパーゼ-9阻害剤)、またはZ-ATAD-FMK(カスパーゼ-12阻害剤)(100μM、R&D Systems)で処理するか、または処理しなかった。3日後、細胞をPBSで洗浄し、アロフィコシアニン(APC)-コンジュゲートアネキシンV(1:40希釈物、BD Biosciences)と、結合緩衝液(0.01M HEPES、0.14M NaCl、2.5mM CaCl2)中、氷上で15分間インキュベートし、次いで、フローサイトメトリー分析に供した。
例:ウエスタンブロット分析
MCF-7およびMDA-MB-231細胞のタンパク質溶解物を、プロテアーゼ阻害剤(Roche)が供給された、溶解緩衝液(150mM NaCl2、pH7.4の100mMリン酸緩衝液、1%NP40、10%グリセロール)を使用して調製した。細胞溶解物に由来するタンパク質を、試料緩衝液中で、95℃で5分間変性させてから、4~12%勾配SDS/PAGEを適用し、転写装置(Bio-Rad)を使用してメタノールですすいだPVDF膜上に移した。膜を、5%脱脂乳が供給されたTBSTで30分間ブロックし、プロカスパーゼ-3またはカスパーゼ-3の開裂/活性型のいずれかを認識する抗カスパーゼ-3抗体(1:1,000希釈物、Abcam)でプローブし、続いて、HRP-コンジュゲート抗ウサギ抗体(1:5,000希釈物、Jackson ImmunoResearch)とともに90分間インキュベートした。シグナルをECL Substrate Kit(Millipore)を使用して生じさせ、Fujifilm LAS-4000イメージングシステムによって検出した。
例:qPCR
細胞株に由来する全mRNAを、GeneJET RNA Purification
Kit(Thermo Scientific)を使用して抽出し、その2μgを、High Capacity cDNA Reverse Transcription Kits(Life Technologies)によって、cDNAに逆転写した。qPCR反応物を、製造業者のプロトコルによって最適化された2×SYBR Greenマスターミックス(Thermo Scientific)を用いて、検査試料または対照試料のcDNA2μlを含有する総体積20μlに調製した。cDNAを、B3GalT5(フォワードプライマー:5’AGCGGA AACGAA AGAGGTGGAC3’;リバースプライマー:5’CCTGAGGACAAA AGCGATGGAC3’)の発現についてApplied Biosystems 7300 Real-Time PCRシステム(Life Technologies)によって検討した。相対的遺伝子発現は、B3GalT5遺伝子と内部GAPDH遺伝子発現との比として、7300ソフトウェアを使用したCt値によって正規化された。
例:スフィンゴ糖脂質の抽出
細胞を採取し、PBSで洗浄し、水中でホモジナイズした。メタノールおよびクロロホルムを8:4:3(vol/vol/vol)の比でホモジネートに添加し、試料を、水浴型超音波処理器内で、30分間インキュベートした。3,000×gで15分間遠心分離した後で、ペレットを、4:8:3(vol/vol/vol)のクロロホルム/メタノール/水で繰り返し抽出し、合わせた上清を、窒素流下で乾燥させた。
例:スフィンゴ糖脂質(GSL)からのグリカンの放出(26)
細胞を収集し、正規化のために総タンパク質量を定量化し、細胞1~3×106個をホモジナイズした。遊離グリカンをGSLから放出させるための典型的な手順では、GSLを、ガラス管中にて、クロロホルム/メタノール(2:1;1.0mg/mL)中、青色が生じるまで(10分)オゾンで処理した。得られた溶液をSpeedVac中で乾燥させ、グリカンをGSLから放出させるために塩基によって処理した;簡潔に述べると、水酸化ナトリウム水溶液(20~50mM)を添加し、混合物を室温で16時間インキュベートした。得られた水溶液は、NAIMタグで標識化するために凍結乾燥する。
例:NAIMタグでのグリカンの標識化およびLC-MS分析
GSLから放出させた後、グリカン混合物を凍結乾燥し、以下の文献手順によって標識化した(27、28)。簡潔に述べると、グリカン混合物を、AcOH(1.0mL)中の2,3-ナフタレンジアミン(NAIM、1.0mg)およびヨウ素(1.0mg)に室温で添加し、4時間撹拌した。反応が完了したことを、TLC分析によって点検した。次いで、反応混合物を、EtOAc(10.0mL×2)ですりつぶし、沈殿物(globo-H-NAIM、SSEA-4-NAIM、およびSSEA-3-NAIM)を得、それを、ナイロンメンブレンフィルターを使用した濾過によって収集した。MSにおいて増強されたイオン化能を示すNAIM-標識化グリカン(29)を、高分解能高質量精度ナノフローLC-MS/MSによって分析した。試料をプレカラム(150μm I.D.×30mm、5μm、200Å)に10μL/分で注入し、次いで、ナノエレクトロスプレーイオン源(New Objective)を備えたLTQ FT Ultra質量分析計(Thermo Fisher Scientific)で分析するために、逆相C18ナノ-カラム(75μm I.D.×200mm、2.5μm、100Å)で分離した。分離は、移動相Aとして水中の0.1%ギ酸を、移動相Bとして80%アセトニトリル中の0.1%ギ酸を使用し、300nL/分で行った。サーベイフルスキャンMSスペクトル(m/z 320~2,000)を、m/z 400で質量分解能100,000を有するFTで取得した。
(実施例9)
ステージ特異的胚抗原-3(SSEA-3)およびβ3GalT5はがん特異的であり、乳がん幹細胞に対する有意なマーカーであることの裏付け
細胞の腫瘍形成能を裏付けるために、乳がん細胞株MCF-7およびMDA-MB-231において、がん細胞を、糖脂質分子SSEA-3、SSEA-4、およびglobo-Hに対して対応する抗体と公知のマーカーセットCD44/CD24およびESA/PROCRとを用いて細胞分類のためにそれぞれ染色した(図S1、分類1)。次に、単離された細胞集団をin vitroアッセイ(24)とin vivoアッセイ(8)の両方によって分析した(図1)。MCF-7では、CD44+CD24-/loSSEA-3+を発現するがん細胞が、CD44+CD24-/loSSEA-3-またはCD44+CD24-/loを発現するものよりも高い百分率で腫瘍様塊を形成した(図1A、左パネル)。同様に、MDA-MB-231では、ESAhiPROCRhiSSEA-
3+亜集団が、軟寒天アッセイにおいて、ESAhiPROCRhiSSEA-3-またはESAhiPROCRhi細胞よりも高い百分率で細胞コロニーを形成した(図1C、左パネル)。しかし、糖脂質エピトープSSEA-4またはglobo-Hとともに公知のマーカーセットによって単離された細胞を使用した細胞コロニーまたは腫瘍様塊の形成に、有意差はなかった(図S2)。公知のBCSCマーカーおよびSSEA-3を保有する細胞における腫瘍形成性を示すために、異なる亜集団を、腫瘍成長のためにNOD-SCIDマウスの乳腺に接種した。結果より、CD44+CD24-/loSSEA-3+とESAhiPROCRhiSSEA-3-の両方が、他の対応する亜集団と比較して少ない細胞数で、腫瘍をin vivoで有効に産生することが示された(図1B、D)。特に、CD44+CD24-/loSSEA-3+を発現する細胞に関して、わずか10個の細胞が、マウスにおいて腫瘍を形成することが可能であった(図1B)。腫瘍成長の点から、CD44+CD24-/loSSEA-3+細胞の腫瘍体積は、CD44+CD24-/loSSEA-3-細胞のものよりも2倍大きかった(図1E、左パネル)。さらに、ESAhiPROCRhiSSEA-3+細胞は、ESAhiPROCRhiSSEA-3-細胞よりも、腫瘍を早く発生させ、かつ大きい平均体積の腫瘍を形成した。これらの結果より、SSEA-3は、異なる乳がん細胞モデルにおいてBCSCの富化に対する特異的なマーカーであることが示される。これらのグリカン分子のうち、SSEA-3および公知のBCSCマーカーを保有する細胞は、他の亜集団よりも高度な腫瘍形成性を有していた。
本発明者らは、次に、SSEA-3を高度に発現するがん細胞、およびSSEA-3を発現しないがん細胞の幹様特性を比較した(図S1、分類2)。SSEA-3+MCF-7細胞では、総集団内において高レベルのSSEA-3を発現する細胞の上位1%が、バルクの集団ならびにSSEA-3およびCD44+CD24-/loを含まない集団よりも高い百分率で腫瘍様塊を形成した(図1A、右パネル)。さらに、バルクの集団内において最も高度なSSEA-3の発現を伴うMDA-MB231細胞の上位1%も、バルクの集団および他の亜集団よりも多くの細胞コロニーを形成した(図1c、右パネル)。動物試験では、結果より、上位1%のSSEA-3発現を伴う細胞は、SSEA-3-細胞よりも、腫瘍を形成する高い可能性を有し(図1BおよびD)、SSEA-3+細胞の平均腫瘍体積は、SSEA-3-細胞のものより大きかったことが示された(図1E、F、右パネル)。したがって、高レベルのSSEA-3を発現するがん細胞は、細胞表面上にSSEA-3を伴わないものよりも高度な腫瘍形成性を有し、SSEA-3は乳がんに対する独立したCSCマーカーであることも示された。
SSEA-3の機能を理解するために、SSEA-3生合成に関与するβ3GalT5の遺伝子(図S3)を、さらなる試験のために過剰発現させるか、またはノックダウンした。β3GalT5を過剰発現させると、MCF-7細胞とMDA-MB-231細胞の両方において表面SSEA-3の発現レベルが増加した(図2)。とりわけ、MCF-7細胞では、CD44+CD24-/lo細胞集団の百分率は、対照と比較して5倍増加することが示され(図2A)、MDA-MB-231細胞では、β3GalT5を過剰発現させたときに、ESAhiPROCRhiの百分率に変化は無かった(図2B)。β3GalT5がノックダウンされたMCF-7細胞では、対照細胞と比較して、表面CD44の発現レベルは低下し、したがって、CD44-CD24+細胞集団は10倍増加した(図2A)。β3GalT5がノックダウンされたMDA-MB-231細胞では、表面PROCRのレベルは低下し、ESAhiPROCRhi BCSC亜集団は減少した(図2B)。これらの知見により、SSEA-3はBCSCに関連する重要なグリカン分子であることが裏付けられる。
乳がん細胞および正常細胞におけるSSEA-3の役割を裏付けるために、細胞表現型を、β3GalT5ノックダウン細胞において検討した。MDA-MB-231細胞とM
CF-7細胞の両方では、β3GalT5のノックダウンによって、細胞アポトーシスの出現とともに、細胞成長が抑制され(図4AおよびB)、特に、MDA-MB-231細胞では4日目に>60%の細胞にアポトーシスが生じた(図3BおよびC)。対照的に、正常乳房細胞MCF-10Aおよびヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)-不死化ヒト乳房上皮細胞、hTERT-HME1では、β3GalT5のノックダウンによって、同様の成長速度が観察され、かつアポトーシスが観察されなかった(図3B、3C、4C、および4D)。しかし、SSEA-3からglobo-Hを合成するためのFUT1およびFUT2、またはSSEA-3からSSEA-4を合成するためのST3Gal2をノックダウンすると、細胞アポトーシスは、MDA-MB-231細胞において誘導されなかった(図3A、D)。
□ベータ3GalT5のノックダウンによって誘導されるアポトーシスが、アポトーシスの下流の実行に対して最もエフェクター機能の高いカスパーゼである、カスパーゼ-3の活性化と関連するかどうかをさらに調査する。結果より、カスパーゼ-3は、□ベータ3GalT5がノックダウンされたMDA-MB-231細胞において活性化されたことが示された(図4E)。カスパーゼ3の阻害剤、Z-DEVDを添加したときに、□ベータ3GalT5のノックダウンによって誘導されたアポトーシスの百分率が減少した(図4F)。□ベータ3GalT5のノックダウンによって誘導されたアポトーシスにおけるカスパーゼ-3の関与は、MCF-7、カスパーゼ-3-欠損細胞株においても確認された。MCF-7の成長速度は、□ベータ3GalT5のノックダウンによって有意に減少したが、SSEA-3の発現が抑制されたときにのみ、低レベルのアポトーシスが示された(図3BおよびC)。次いで、上流カスパーゼ(カスパーゼ-8、-9、および-12)のさらなる調査を、特異的な阻害剤を用いて検査することによって試験し、結果により、カスパーゼ-8も、□ベータ3GalT5がノックダウンされたMDA-MB-231細胞での細胞アポトーシスの百分率を減少させたことが示された(図3G)。これらの結果より、□ベータ3GalT5の直接の酵素生成物であるSSEA-3は、がんの成長および生存のための重要な糖脂質であることが示唆される。
SSEA-3または3つのグロボ系グリカンのいずれかががん細胞のみに見出されるかどうかを確認するために、胚性幹細胞(ESC)、誘導多能性幹細胞(iPSC、図S4)、MCF-7およびMDA-MB-231細胞、ならびにMCF-10AおよびhTERT-HME1を含む正常細胞株に由来する糖脂質を抽出し、グリカンを放出させ、タグ付けし、LC-MS分析によって検討した(図5A)。データを、フローサイトメトリー分析の結果と比較し、ここでは、細胞分類のために使用された同一の抗体を使用してSSEA-3、SSEA-4、およびglobo-Hの発現レベルを検出した(図5)。ESC、iPSC、およびがん細胞株はSSEA-3、SSEA-4、およびglobo-Hを発現したが、正常細胞株は発現しなかったことが見出された。この試験の結果は、正常およびがん細胞株における□ベータ3GalT5遺伝子発現のqPCRによっても支持された(図S5)。異なる正常およびがん細胞株のグリコール系グリカンのさらなる分析が行われる。
フローサイトメトリーによって検出されたMCF-7細胞におけるSSEA-3の発現レベルは、LC-MS分析によるものよりも相対的に高く、同時にLC-MSによって検出されたMDA-MB-231におけるSSEA-3のレベルは、フローサイトメトリーによるものよりはるかに高かった。LC-MSデータとフローサイトメトリーデータとの間の変動は、抗体の特異性および細胞表面上のグリカンの分布によるものであり得る(25)。SSEA-4および程度は低いがGb4に対する抗SSEA-3抗体(MC-631)の交差反応により(14)、SSEA-4の発現レベルが高いときは、フローサイトメトリーによって検出されたSSEA-3のレベルが過大評価されている可能性がある。一方、細胞表面上の他の生体分子によって障害され、それによって細胞上のSSEA-3
が抗体染色に達することができない可能性があるため、SSEA-3のレベルが過小評価されることがある(26、27)。したがって、本発明者らは、β3GalT5遺伝子発現のqPCR検出によって支持されるLC-MSの結果(図S5)は、これらの糖脂質の発現をより正確に反映すると考える。
BCSCを単離するプロセスでは、MC-631染色に基づいて分類するときに、SSEA-4発現のレベルは高いがSSEA-3を保有しない一部の細胞が富化される可能性がある。本発明者らは、SSEA-3とその合成酵素β3GalT5の両方がBCSCマーカーであることを証明したため、SSEA-3陰性細胞は腫瘍形成性が低い。細胞集団は十分に精製されておらず、したがって、抗SSEA-3染色に基づいて分類された細胞の腫瘍形成性は過小評価され得る。本発明者らは、SSEA-3に高度に特異的である抗体または分子は、BCSCを富化するために産生され得ると考える。一方、細胞表面上のSSEA-3を特異的に検出し、フローサイトメトリーによって分類できる場合、抗体染色とLC-MS分析の両方の結果は一致するはずである。
SSEA-3は、がんの進行に主な役割を果たすBCSCマーカーである。本発明者らは、実験から、がん細胞中のβ3GalT5の発現を操作すると、SSEA-3、SSEA-4、およびglobo-Hの細胞表面レベルならびに細胞生存および腫瘍形成性が制御されたことを示した。興味深いことに、□ベータ3GalT5をノックダウンした後に、MCF-7、カスパーゼ-3ヌル細胞株が、アポトーシスのレベルの制限および細胞成長の完全な抑制を受けたように、がん細胞中のβ3GalT5をノックダウンすると、異なるメカニズムによって、アポトーシスと細胞増殖の阻害の両方を誘発することができた。対照的に、SSEA-3発現を欠く正常な乳房上皮細胞では、□ベータ3GalT5をノックダウンすると、これらの表現型に影響を与えなかった。
要約すると、この報告により、SSEA-3は、BCSCの富化に対して有用な新規のグリカンマーカーであり、SSEA-3と□ベータ3GalT5の両方が、乳がん治療薬の開発に対し可能性のある新しい標的であることが裏付けられた。大部分のがん幹細胞およびがん細胞上でのそれらの特異的な発現に加えて、グロボ系糖脂質SSEA-3、SSEA-4、およびglobo-Hも、ESCおよびiPSCの表面上に高度に発現するが、これらはESCが分化した後に消失する。iPSCが分化した後のグロボ系糖脂質の運命を、再生薬に使用するために理解することは興味深いことであろう。
実施例の材料および方法
細胞培養
乳がん細胞株MDA-MB-231、MCF-7、およびヒト乳がん関連線維芽細胞(CAF)をAmerican Type Culture Collection(ATCC)から得た。MDA-MB-231を、10%熱不活性化FBSおよび抗生物質-抗真菌剤が補充されたDMEM中で培養したが、MCF-7は、10%熱不活性化FBS、非必須アミノ酸、および抗生物質-抗真菌剤が補充されたRPMI中で培養した。CAFに関しては、10%熱不活性化FBS、非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、グルタミン、ペニシリン、およびストレプトマイシンが補充されたDMEM/F12中で培養した。それらを、5%CO2および加湿された雰囲気に制御された37℃のインキュベーターでインキュベートした。すべての細胞培養培地および補充物質はLife Technologiesから購入した。ヒトESC H9および誘導多能性幹細胞5(iPSC5)を、ヒトES培地(Knockout Serum Replacement、GlutaMAX、非必須アミノ酸、2-メルカプトエタノール、ペニシリン/ストレプトマイシン、およびbFGFを含む、Knockout DMEM)中、マイトマイシンCで処
理されたマウス胚線維芽細胞(MEF)上で維持し、培養し、コラゲナーゼIVを使用して継代を毎週行った。
例
皮膚線維芽細胞からのiPSCの導出
皮膚生検に由来する線維芽細胞を、CytoTune-iPS Sendai Reprogramming Kit(Life Technologies)を使用して多能性幹細胞に再プログラムした。簡潔に述べると、6ウェルディッシュ中、1ウェル当たり5×104個の線維芽細胞を、一晩で回収するために継代3で播種した。翌日、Sendaiウイルス発現ヒト転写因子OCT4、SOX2、Klf4、およびc-Mycを、製造業者の指示書に従って、線維芽細胞培地中で混合し、線維芽細胞を感染させた。2日後に、培地を、ALK5阻害剤SB431542(2μM;Stemgent)、MEK阻害剤PD0325901(0.5μM;Stemgent)、およびチアゾビビン(0.5μM;Stemgent)が補充されたヒトES培地と交換した。感染してから7~10日後に、細胞を、TrypLE(Life Technologies)を使用して剥がし、フィーダー細胞上で継代を行った。iPSCの個々のコロニーを、感染してから21から28日の間に採取し、各iPSC株を単一コロニーから拡大増殖させた。すべてのiPSC株を、ヒトES培地中のマウス胚線維芽細胞上で培養した。
核型分析は、Cell Line Genetics Inc.によって行われた。奇形腫分析では、TrypLE処理後に、各iPSC株から1~2×107個を剥がし、収集した。これらをヒトES培地0.5mL中に懸濁した。続いてMatrigel(BD
Biosciences)0.5mLと混合し、細胞を、免疫不全マウス(NOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJ、ストック番号005557、The Jackson Laboratory)の背側側腹部へ皮下注射した。注射してから8週間後に、奇形腫を採取し、4%パラホルムアルデヒドを用いて一晩固定し、パラフィン包埋の標準手順に従って処理した。次いで、試料を切片にし、H&E染色を行った。
例
フローサイトメトリーおよび細胞分類
細胞標識化を、1%FBSが補充されたPBSから構成される緩衝液中で抗体を用いて染色することによって行った。Accutase(eBioscience、San Diego、CA)で剥がした細胞を、抗体(供給元によって推奨される抗体滴定(antibody titration)を使用)とともに、暗所にて、氷上で30分間インキュベートした。この試験において使用した抗体は、暗所にて、4℃で30分間ビオチン化抗SSEA-3(MC-631、eBioscience)と一緒にした、PE-コンジュゲート抗PROCR(RCR-252、BD Biosciences、San Jose、CA)、APC-コンジュゲート抗ESA(1B7、eBioscience)、PE-コンジュゲート抗CD24(SN3 A5-2H10、eBioscience)、APC-コンジュゲート抗CD44(IM-7、eBioscience)であった。2回洗浄した後、細胞を、Alexa Fluor 488-コンジュゲートストレプトアビジンを用いて、暗所にて、4℃で30分間染色した。適切なアイソタイプ対照を、各細胞標識化実験に使用した。同様の抗体を、この試験におけるすべての染色および分類実験で使用した。生存細胞の分類は、100μmノズルを備えたBD FACSAriaUを使用し、製造業者の指示書に従って行った。MDA-MB-231細胞に関しては、さ
らなる分析の前に、分類された細胞を、DMEM/10%FBS/抗生物質/抗真菌剤とともに、加湿された37℃のインキュベーター中で、一晩インキュベートし、超低付着表面プレート中に回収した。MCF-7細胞に関しては、分類した後に、すぐにさらなる実験に供した。異なるマーカー集団中の細胞の百分率を、ソフトフェアFlowJoを使用して評価した。
例
軟寒天アッセイ
軟寒天コロニー形成アッセイを、0.5%SeaPlaqueアガロース/DMEM/FBSの基底層上の、DMEM/FBSを含む0.35%SeaPlaqueアガロース(Lonza、Switzland)層中に、細胞を播種することによって行った。培養物を、加湿された37℃のインキュベーター中で維持した。さらなる培地を2~3日毎に添加し、成長補充物質を細胞に継続的に供給した。播種してから21日後に、0.05%クリスタルバイオレットを含有する純エタノールで細胞を固定し、コロニー形成効率を光学顕微鏡検査法によって定量化した。
例
腫瘍様塊の形成
腫瘍様塊形成アッセイでは、細胞を、サプリメントB27(Life Technologies)および10ng/ml EGFを含むDMEM/F12中、96ウェル低付着プレート上で、細胞100個/ウェルの密度でインキュベートした。培養物を、加湿された37℃のインキュベーター中で維持した。14日後に、腫瘍様塊の数を光学顕微鏡下で数えた。
例
マウス腫瘍形成性アッセイ
NOD-SCID(NS)マウスを使用し、ヒト乳がん細胞株に由来し、潜在的な幹細胞マーカーを発現する、分類された細胞の幹細胞特性を評価した。動物飼育および実験は、Institutional Animal Care and Utilization Committee of Academia Sinica(IACUC#130-09-575)によって認可された。CAF(1:1)およびMatrigel(BD bioscience)(1:1)と混合した分類されたがん細胞を、4週齢のNSマウスの脂肪パッドに注射した。MCF-7に関しては、エストロゲンペレット(0.18mg/ペレット、90日放出、Innovative Research of America)を、実験の前日にマウスにさらに注射した。腫瘍体積を、最初に検出してから5日毎に評価した。腫瘍形成効率を、細胞を注射してから50日後に決定した。
例
β3GalT5の過剰発現およびノックダウン
ヒトβ3GalT5過剰発現安定株を樹立するために、ヒトβ3GalT5をコードする完全長cDNAをPCR増幅し(フォワードプライマー-GCAGATCTATGGCTTTCCCGAAGATG、リバースプライマー-GTCTCGAGTCAGACAG
GCGGACAAT)、BglII/XhoI切断pMSCVpuroベクター(Clontech)にサブクローニングした。次いで、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)-対照およびMSCV-β3GalT5水疱性口内炎ウイルスG糖タンパク質(VSV-G)偽型レトロウイルスを、GP2-293細胞(Clontech)中に産生し、MCF-7およびMDA-MB-231細胞に感染させるために使用した。ウイルスに感染してから2日後に、対照およびβ3GalT5安定プールを、ピューロマイシン(2μg/mL)を用いて選択した。β3GalT5ノックダウン細胞を樹立するために、ヒトβ3GalT5に対するレンチウイルス-shRNAシステムを、National RNAi Core Facility Platform、Academia Sinicaから購入した。β3GalT5-ショートペアピン配列は、5’CCGGGCAAGTGGTTTGTCAGTAAATCTCGAGATTTACTGACAAACCACTTGCTT TTTG-3’である。簡潔に述べると、shβ3GalT5およびsh対照レンチウイルスを、製造業者の指示書に従って、MCF7およびMDA-MB-231細胞とともにインキュベートした。感染細胞を、感染から48時間後に採取するか、またはピューロマイシン(2μg/mL)を用いて選択し、ノックダウン効率を定量的RT-PCR(qPCR)によって決定した。
他の実施形態
この明細書において開示されるすべての特徴は、任意の組合せで組み合わせてよい。この明細書において開示される各特徴は、同様の、等価の、または類似の目的を果たす代わりの特徴によって置き換えてよい。したがって、特に明示的な記載がない限り、開示される各特徴は、単に包括的な一連の等価のまたは類似の特徴の例にすぎない。
上述から、当業者であれば、記述された実施形態の必須の特性を容易に見極めることができ、その意図および範囲から逸脱することなく、実施形態の種々の変更および変形を行い、それを種々の用途および条件に適合させることができる。したがって、他の実施形態も特許請求の範囲の範囲内である。