JP7323644B2 - 2液硬化型ウレタン粘着剤、2液硬化型ウレタン粘着剤の硬化物及びウレタン粘着シート - Google Patents
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Description
しかしながら、特許文献1に開示されているウレタン粘着剤では、粘着シートの強度を発現させるために硬化剤を多用したり、架橋点を増やしたり、ウレタン基濃度を増やしたりしなければならず、柔軟性が劣り、得られる粘着剤の硬化膜が脆くなったり、耐熱試験前後の粘着力の変化が大きくなったりする等の問題点があった。また、粘着シートの粘着力が十分に低くならないため、光学部材からシートを剥離する際に大きな力が必要となり、作業性が劣るという問題があった。
即ち、本発明は、主剤と硬化剤とを含有し、上記主剤は、水酸基価10~350mgKOH/gの多官能ポリオキシアルキレンポリオール(a1)を必須成分とするポリオール成分(a)とイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(b)とを反応させてなる水酸基を有するウレタン樹脂(P)を含有し、上記多官能ポリオキシアルキレンポリオール(a1)が、一般式(1)で表される分子末端にヒドロキシプロピル基を有するポリオキシアルキレンポリオール(a11)及び/又はそのエチレンオキサイド付加物(a12)であり、上記硬化剤は、イソシアネート基を有する架橋剤(D)を含有する2液硬化型ウレタン粘着剤;上記2液硬化型ウレタン粘着剤の硬化物;上記2液硬化型ウレタン粘着剤を用いてなるウレタン粘着シートである。
上記の多官能ポリオキシアルキレンポリオール(a1)は、一般式(1)で表される分子末端にヒドロキシプロピル基を有するポリオキシアルキレンポリオール(a11)及び/又はそのエチレンオキサイド付加物(a12)を必須成分とする。
mが4未満では得られる粘着剤の剥離力が上昇し、硬化膜が脆くなったり、粘着力が十分に低くならない。
mが10を超えると多官能ポリオキシアルキレンポリオール(a1)の粘度が高くなって、主剤と硬化剤との混合液の塗工時の粘度が高くなり、また硬化物のカット性も低下する。なお、上記の硬化物のカット性とは、2液硬化型ウレタン粘着剤の硬化物をカッターの刃等で切断した際に、切りくずの発生を抑制できる性質である。更に切断面が平滑であることが好ましい。硬化物のカット性は、一般的に、剥離力の低減と相反する性質である。
mは基材との密着性、剥離力低減及び硬化物のカット性向上の観点から、5~8であることが好ましく、6であることがより好ましい。
残基Xを構成するm個の活性水素原子を有する化合物としては、水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物、カルボキシ基含有化合物及びチオール等の、水酸基、1級又は2級アミノ基、カルボキシ基及びメルカプト基から選ばれる基を有する化合物等が挙げられる。
装置:「Waters Alliance 2695」[Waters社製]
カラム:「Guardcolumn Super H-L」(1本)、「TSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel SuperH4000(いずれも東ソー株式会社製)を各1本連結したもの」
試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:10μl
流量:0.6ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリエチレングリコール
一般式(1)におけるpは0~199の整数、qは1~200の整数であって、1≦p+q≦200を満たす。p+qの値は、基材との密着性の観点から、50以下であることが好ましく、30以下であることが更に好ましい。
また、多官能ポリオキシアルキレンポリオール(a1)が有する一般式(2)で表される基の合計個数の割合は、硬化物の破断強度及びカット性の観点から、多官能ポリオキシアルキレンポリオール(a1)が有する一般式(2)で表される基の個数及び一般式(3)で表される基の個数の合計を基準として40%以上であることが好ましく、更に好ましくは60%以上である。
<試料調製法>
測定試料約30mgを直径5mmのNMR用試料管に秤量し、約0.5mlの重水素化溶媒を加え溶解する。その後、約0.1mlの無水トリフルオロ酢酸を添加し分析用試料とする。上記重水素化溶媒としては、例えば、重水素化クロロホルム、重水素化トルエン、重水素化ジメチルスルホキシド、重水素化ジメチルホルムアミド等から、試料を溶解させることのできる溶媒を適宜選択する。
<NMR測定>
一般的な条件で1H-NMR測定を行う。
<1級化率の計算方法>
上に述べた前処理の方法により、ポリオキシアルキレンポリオールの末端の水酸基は、添加した無水トリフルオロ酢酸と反応してトリフルオロ酢酸エステルとなる。その結果、1級水酸基が結合したメチレン基由来の信号は4.3ppm付近に観測され、2級水酸基が結合したメチン基由来の信号は5.2ppm付近に観測される。1級化率は次の計算式により算出する。
1級化率(%)=[x/(x+2×y)]×100
[但し、xは4.3ppm付近の1級水酸基の結合したメチレン基由来の信号の積分値であり、yは5.2ppm付近の2級水酸基の結合したメチン基由来の信号の積分値である。]
上記多官能ポリオキシアルキレンポリオール(a1)が、上記ポリオキシアルキレンポリオール(a11)のみである場合は、ポリオキシアルキレンポリオール(a11)の1級水酸基含有率が少なくとも40%であることが好ましい。ポリオキシアルキレンポリオール(a11)が2種以上の場合は、その混合物の1級水酸基含有率が少なくとも40%であることが好ましい。
また、上記多官能ポリオキシアルキレンポリオール(a1)が、上記エチレンオキサイド付加物(a12)のみである場合は、エチレンオキサイド付加前の(a11)の1級水酸基含有率が少なくとも40%であることが好ましい。エチレンオキサイド付加前の(a11)が2種以上の場合は、その混合物の1級水酸基含有率が少なくとも40%であることが好ましい。
また、上記多官能ポリオキシアルキレンポリオール(a1)が、上記ポリオキシアルキレンポリオール(a11)とエチレンオキサイド付加物(a12)との混合物である場合は、(a12)のエチレンオキサイド付加前の(a11)と、多官能ポリオキシアルキレンポリオール(a1)が含有する(a11)との混合物が存在すると仮定した場合に、その混合物の1級水酸基含有率が少なくとも40%であることが好ましい。
また、多官能ポリオキシアルキレンポリオール(a1)が有する一般式(2)で表される基の合計個数の割合は、硬化物の破断強度及びカット性向上の観点から、多官能ポリオキシアルキレンポリオール(a1)が有する一般式(2)で表される基の個数及び一般式(3)で表される基の個数の合計を基準として60%以上であることが更に好ましい。
なお、本明細書において、一般式(5)におけるpが0の化合物にPOを付加して得られた化合物は、一般式(1)におけるpが0であり、qが1以上である化合物とする。
多官能ポリオキシアルキレンポリオール(a1)の水酸基価は、硬化物のカット性向上の観点から、28mgKOH/g以上であることが好ましく、45mgKOH/g以上であることが更に好ましい。
水酸基価は、JIS K 1557-1に記載の方法により測定することができる。
ポリ(n=2~3又はそれ以上)カルボン酸[脂肪族飽和又は不飽和ポリカルボン酸(炭素数2~40、例えばシュウ酸、アジピン酸、アゼライン酸、ドデカン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及び二量化リノール酸)、芳香環含有ポリカルボン酸(炭素数8~15、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及び2,6-ナフタレンジカルボン酸)及び脂環式ポリカルボン酸(炭素数7~15、例えば1,3-シクロペンタンジカルボン酸及び1,4-シクロヘキサンジカルボン酸)等]とポリオール[例えば上記水酸基含有化合物、多官能ポリオキシアルキレンポリオール(a1)及びその他のポリオール(a2)等]から形成される線状又は分岐状ポリエステルポリオール;
ポリラクトンポリオール[例えば上記水酸基含有化合物(2~3価)の1種又は2種以上の混合物をベース剤としてこれに(置換)カプロラクトン(炭素数6~10、例えばε-カプロラクトン、α-メチル-ε-カプロラクトン及びε-メチル-ε-カプロラクトン)を触媒(有機金属化合物、金属キレート化合物及び脂肪酸金属アシル化合物等)の存在下に付加重合させたポリオール(例えばポリカプロラクトンポリオール)];末端にカルボキシ基及び/又は水酸基を有するポリエステルにAO(EO及びPO等)を付加重合させて得られるポリエーテルエステルポリオールであってポリオキシアルキレンポリオール(a11)にも、そのEO付加物(a12)にも該当しないもの;
ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
ポリアルカジエンポリオールとしては、ポリイソプレンポリオール、ポリブタジエンポリオール、水添化ポリイソプレンポリオール及び水添化ポリブタジエンポリオール等が挙げられる。
その他のポリオール(a2)を使用する場合、その含有量は、ポリオール成分(a)の合計重量に基づいて0.1~5重量%が好ましい。
また、硬化物のカット性向上及び剥離力低減の観点から好ましいのは2官能ポリテトラメチレンエーテルグリコール又はその誘導体である。
ポリイソシアネート成分(bp)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記炭素数1~4のアルキル基としては、上記ポリオール成分(ap)である2官能ポリテトラメチレンエーテルグリコールの誘導体について例示した炭素数1~4のアルキル基と同じものが挙げられる。
一般式(6)において、bは25~60の整数であることが好ましい。
一般式(6)において、sの数平均値は1.01~5であることが好ましい。
ウレタンプレポリマー(b)としては、また、上記一般式(6)における(CHR-CHR-CHR-CHR-O)bの部分の数平均分子量が1,400~5,100である化合物が好ましく、2,000~3,000である化合物が更に好ましい。
また、ウレタンプレポリマー(b)の重量平均分子量は、得られるウレタン粘着シートの強度及び粘着力の観点から、好ましくは2,000~100,000、更に好ましくは3,000~50,000、特に好ましくは4,000~30,000である。ウレタンプレポリマー(b)の重量平均分子量は、後述の方法で測定することができる。
上記ウレタンプレポリマー(b)は、2官能(即ち、ウレタンプレポリマー(b)1モルが有するイソシアネート基が2モルである化合物)であることが好ましい。
上記ウレタンプレポリマー(b)は、ウレタンプレポリマー(b)の重量に基づくイソシアネート基含量が0.1~12重量%であることが好ましく、0.3~1.5重量%であることが更に好ましい。
上記のイソシアネート基含量は、JISK7301-1995、6.3イソシアネート基含有率に準拠して測定される。
本発明におけるウレタンプレポリマー(b)の製造方法としては、例えば溶剤(トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン及びテトラヒドロフラン等)の存在下又は非存在下で、ポリオール成分(ap)とポリイソシアネート成分(bp)を反応させる方法が挙げられる。(bp)のイソシアネートの当量に対する(ap)の活性水素含有基の当量の比率を少なくする(好ましくは上記の(ap)の活性水素含有基の当量に対する(bp)のイソシアネート基の当量の比率範囲で調整する)ことによって、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(b)を製造することができる。
また、上記の反応は、ゲル化防止剤(後述の硬化遅延剤と同様と化合物を用いることができる)存在下で実施しても良い。
一般式(7)において、bは20~70の整数であり、25~60の整数であることが好ましい。
一般式(7)において、sの数平均値は1.01~10であり、1.01~5であることが好ましい。
一般式(7)において、tは1以上の整数であり、1~10の整数であることが好ましい。tが2以上の場合、[K-U-[L-U-(CHR-CHR-CHR-CHR-O)b-U]s-L-U]tで表されるブロックは直鎖状に結合している。
一般式(7)において、Kが3価以上の基である場合、一般式(7)の末端のヒドロキシ基が結合するKは、一般式(7)に示すU以外に、更に1つ以上のウレタン結合を有していても良い(つまり、上記Kは2つ以上のウレタン結合を有していても良い)。
また、上記Kが一般式(7)に示すU以外のウレタン結合を1以上有する場合、KはU以外のウレタン結合を介して[K-U-[L-U-(CHR-CHR-CHR-CHR-O)b-U]s-L-U]tで表されるブロックを有していても良い。KがU以外のウレタン結合を介して上記ブロックを有する場合、一般式(7)で表される化合物は、複数の上記ブロックがKを起点とした枝分かれ構造になっている。
装置:「HLC-8120GPC」[東ソー(株)製]
ガードカラム:「Guardcolumn HXL-H」[東ソー(株)製]
カラム:「TSKgel GMHXL」[東ソー(株)製]
試料溶液:0.125重量%のジメチルホルムアミド(LiBr 0.01M含有)溶液
溶液注入量:100μl
流量:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリスチレン
また、上記の反応は、ゲル化防止剤(後述の硬化遅延剤と同様の化合物を用いることができる)の存在下で実施しても良い。ゲル化防止剤を使用することでウレタン樹脂(P)をゲル化させることなく高分子量化できるため、カット性や破断伸度を高めることができる。
装置:「HLC-8120GPC」[東ソー(株)製]
カラム:「Guardcolumn HXL-H」(1本)、「TSKgel GMHXL」(2本)[いずれも東ソー(株)製]
試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:100μl
流量:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリスチレン
これらの内、粘着力の観点から極性を有するものが好ましく、ロジン樹脂、フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、キシレン樹脂及びこれらの水素添加物が更に好ましく、テルペンフェノール樹脂及びその水素添加物が特に好ましい。粘着性付与剤の使用量は、2液硬化型ウレタン粘着剤の重量に基づいて、粘着力及び耐熱性の観点から好ましくは100重量%以下、更に好ましくは1~50重量%、特に好ましくは3~40重量%、とりわけ好ましくは5~35重量%、最も好ましくは10~30重量%である。
本発明の2液硬化型ウレタン粘着剤を硬化させてなる硬化物、及び、本発明の2液硬化型ウレタン粘着剤を用いてなるウレタン粘着シートも、本発明に包含される。
基材フィルムへの2液硬化型ウレタン粘着剤のコーティングには、グラビアコーター、リバースロールコーター、コンマコーター、スピンコーター、カーテンコーター、スロットコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター又はナイフコーター等を用いることができる。コーティング時の粘着剤の塗布量(固形分)は好ましくは0.5~300g/m2、更に好ましくは1~200g/m2、特に好ましくは10~100g/m2である。
ラミネートには一般的に使用されるドライラミネーター又はエクストルージョンラミネーターが用いられる。ラミネート後、10~50℃で20~150時間養生することにより粘着剤が完全硬化する。
<製造例1>
撹拌装置、温度制御装置、凝縮設備としての熱交換器、原料供給ライン及び排気ラインを備えたステンレス製オートクレーブに、ソルビトール100重量部と水酸化カリウム4.0重量部を仕込んだ後、原料供給ラインを通じてPO3,200重量部を反応温度が90~100℃を保つように制御しながら12時間かけて連続的に液相に投入した。100℃で3時間熟成した後、30重量部の合成珪酸塩{協和化学工業(株)製「キョーワード600」}と水40重量部を加えて60℃で3時間処理した。オートクレーブから取り出し、孔径が1ミクロンのフィルターで濾過した後脱水し、ポリオキシアルキレンポリオール(a11-1)を得た。(a11-1)の水酸基価は66mgKOH/g、粘度は700mPa・s/25℃、1級化率は2%であった。また、(a11-1)の一般式(1)におけるpは0、qは約14であった。
撹拌装置、温度制御装置、凝縮設備としての熱交換器、原料供給ライン及び排気ラインを備えたステンレス製オートクレーブに、ポリオキシアルキレンポリオール(a11-1)1,000重量部とTPB0.09重量部を仕込んだ後、撹拌を開始して、オートクレーブと凝縮設備内を0.005MPaまで減圧した。原料供給ラインを通じてPO50重量部を、反応温度を70~80℃に保つように制御しながら12時間かけて連続的に液相に投入した。凝縮設備でPOを凝縮し回収するため-30℃の冷媒を循環させた。続いて70℃で4時間熟成した後、水200重量部を加えて130~140℃で1時間加熱した。1時間加熱後、水を2時間かけて常圧留去した後、引き続いてスチームを通入しながら圧力を0.04~0.07MPaに保ち、3時間かけて残りの水及び副生低沸点化合物を減圧留去した。その後30重量部の合成珪酸塩{協和化学工業(株)製「キョーワード600」}と水40重量部を加えて60℃で3時間攪拌し、オートクレーブから取り出した後、孔径が1ミクロンのフィルターで濾過した後脱水し、ポリオキシアルキレンポリオール(a11-2)を得た。(a11-2)の水酸基価は65mgKOH/g、粘度は800mPa・s/25℃、1級化率は40%であった。また、(a11-2)の一般式(1)におけるpは0、qは約14であった。
製造例2におけるPOの投入量を180重量部に代える以外は製造例2と同様にしてポリオキシアルキレンポリオール(a11-3)を得た。(a11-3)の水酸基価は62mgKOH/g、粘度は980mPa・s/25℃、1級化率は60%であった。また、(a11-3)の一般式(1)におけるpは0、qは約15であった。
撹拌装置、温度制御装置、凝縮設備としての熱交換器、原料供給ライン及び排気ラインを備えたステンレス製オートクレーブに、ペンタエリスリトール100重量部とTPB0.09重量部とを仕込んだ後、撹拌を開始して、オートクレーブと凝縮設備内を0.005MPaまで減圧した。原料供給ラインを通じてPO2248重量部を、反応温度を70~80℃に保つように制御しながら12時間かけて連続的に液相に投入した。凝縮設備でPOを凝縮し回収するため-30℃の冷媒を循環させた。続いて70℃で4時間熟成した後、水200重量部を加えて130~140℃で1時間加熱した。1時間加熱後、水を2時間かけて常圧留去した後、引き続いてスチームを通入しながら圧力を0.04~0.07MPaに保ち、3時間かけて残りの水及び副生低沸点化合物を減圧留去した。その後30重量部の合成珪酸塩{協和化学工業(株)製「キョーワード600」}と水40重量部を加えて60℃で3時間攪拌し、オートクレーブから取り出した後、孔径が1ミクロンのフィルターで濾過した後脱水し、ポリオキシアルキレンポリオール(a11-4)を得た。(a11-4)の水酸基価は43mgKOH/g、粘度は940mPa・s/25℃、1級化率は70%であった。また、(a11-4)の一般式(1)におけるpは0、qは約25であった。
ソルビトールをベース剤としKOH触媒の存在下POを反応させることで製造したポリオキシプロピレングリコール(1級化率2%、水酸基価490mgKOH/g)100重量部を撹拌装置、温度制御装置、凝縮設備としての熱交換器、原料供給ライン及び排気ラインを備えたステンレス製オートクレーブに入れ、TPB0.09重量部を仕込んだ後、撹拌を開始して、オートクレーブと凝縮設備内を0.005MPaまで減圧した。原料供給ラインを通じてPO365重量部を、反応温度を70~80℃に保つように制御しながら12時間かけて連続的に液相に投入した。凝縮設備でPOを凝縮し回収するため-30℃の冷媒を循環させた。続いて70℃で4時間熟成した後、水200重量部を加えて130~140℃で1時間加熱した。1時間加熱後、水を2時間かけて常圧留去した後、引き続いてスチームを通入しながら圧力を0.04~0.07MPaに保ち、3時間かけて残りの水及び副生低沸点化合物を減圧留去した。その後30重量部の合成珪酸塩{協和化学工業(株)製「キョーワード600」}と水40重量部を加えて60℃で3時間攪拌し、オートクレーブから取り出した後、孔径が1ミクロンのフィルターで濾過した後脱水し、ポリオキシアルキレンポリオール(a11-5)を得た。(a11-5)の水酸基価は105mgKOH/g、粘度は690mPa・s/25℃、1級化率は66%であった。また、(a11-5)の一般式(1)におけるpは0、qは約8であった。
スクロースをベース剤としKOH触媒の存在下POを反応させることで製造したポリオキシプロピレングリコール(1級化率2%、水酸基価35mgKOH/g、一般式(1)におけるpは0、qは約27であった。)100重量部を撹拌装置、温度制御装置、凝縮設備としての熱交換器、原料供給ライン及び排気ラインを備えたステンレス製オートクレーブに入れ、水酸化カリウム4.0重量部を仕込んだ後、原料供給ラインを通じてEO25重量部を反応温度が90~100℃を保つように制御しながら12時間かけて連続的に液相に投入した。100℃で3時間熟成した後、30重量部の合成珪酸塩{協和化学工業(株)製「キョーワード600」}と水40重量部を加えて60℃で3時間処理した。オートクレーブから取り出し、孔径が1ミクロンのフィルターで濾過した後脱水しポリオキシアルキレンポリオールエチレンオキサイド付加物(a12-1)を得た。(a12-1)の水酸基価は28mgKOH/g、粘度は1,660mPa・s/25℃、一般式(2)又は(3)におけるaは約9であった。
<合成例1>
還流冷却管、攪拌棒及び温度計をセットした4つ口フラスコにPTMG3000{2官能ポリテトラメチレンエーテルグリコール、水酸基価39mgKOH/g、一般式(6)におけるbの値は約40、三菱ケミカル(株)製}100重量部、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)9.6重量部、溶剤としての酢酸エチル47重量部、ウレタン化触媒としてのネオスタン U-600{日東化成(株)製}0.03重量部及びゲル化防止剤としてのマロン酸ジエチル0.05重量部を投入し、78℃で6時間反応させてイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(b-1)の溶液を得た。(b-1)の溶液のイソシアネート基含量は1.1%、濃度は70重量%、粘度は30,000mPa・s/25℃であった。
仕込み量を表1に記載の値に変更する以外は合成例1と同様にして、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(b-2)~(b-8)の溶液を得た。(b-2)~(b-8)の溶液のイソシアネート基含量、濃度及び粘度を表1に示す。
なお、表1における「PTG-L2000」は2官能ポリテトラメチレンエーテルグリコール誘導体{水酸基価56mgKOH/g、保土ヶ谷化学(株)製、テトラヒドロフランと3-メチルテトラヒドロフランとのランダム共重合体}を、「IPDI」はイソホロンジイソシアネートを表す。
<合成例9>
還流冷却管、攪拌棒及び温度計をセットした4つ口フラスコにポリオキシアルキレンポリオール(a11-1)15重量部、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(b-1)の溶液16重量部及び溶剤としての酢酸エチル34.5重量部を投入し、78℃で10時間反応させて水酸基を有するウレタン樹脂(P-1)の溶液を得た。(P-1)の溶液の水酸基価は11.2mgKOH/g、濃度は40重量%、粘度は6,200mPa・s/25℃、重量平均分子量は131,000であった。
仕込み量を表2に記載の値に変更する以外は合成例9と同様にして、水酸基を有するウレタン樹脂(P-2)~(P-16)、(P’-1)~(P’-2)の溶液を得た。(P-2)~(P-16)、(P’-1)~(P’-2)の溶液の水酸基価、濃度、粘度、重量平均分子量を表2に示す。なお、表2における(a2-1)はサンニックスGH-5000{3官能ポリプロピレングリコール、水酸基価33mgKOH/g、三洋化成工業(株)製}を、(a2-2)はサンニックスSP-750{6官能ポリプロピレングリコール、水酸基価490mgKOH/g、三洋化成工業(株)製}を表す。
主剤としての水酸基を有するウレタン樹脂(P-1)~(P-16)の溶液又は(P’-1)~(P’-2)の溶液、硬化剤としてのデスモジュールXP2675(D-1){HDIイソシアヌレート、コベストロ社製}又はデュラネートTFD-90B(D-2){HDIイソシアヌレート、旭化成(株)製}、溶剤としての酢酸エチル及びウレタン化触媒としてのジブチルチンジラウレート又はBorchi Kat22{Borchers社製}を表3に記載の重量部数で混合し、遠心脱泡して粘着剤溶液を得た。38μm厚みのポリエチレンテレフタレートフィルムに乾燥硬化後の膜厚が30μmとなるようにバーコーターを用いて塗布した。130℃で3分乾燥させた後、剥離フィルムを貼り合わせて50℃で2日間養生して粘着シートを得た。得られた粘着シートを用いて以下の評価方法で、初期粘着力、耐熱試験後粘着力、カット性及び基材密着性を評価した。結果を表3に示す。また、ポリエチレンテレフタレートフィルムを100μmのOPP(延伸ポリプロピレン)フィルムへ変更し、乾燥硬化後の膜厚を100μmに変更することで得た粘着剤硬化物を用いて、以下の方法で破断強度、破断伸度、歩留まり及びゲル分率を評価した。結果を表3に示す。
実施例1~16及び比較例1~2で得られた粘着シートをそれぞれ100mm×25mmの大きさに裁断し、剥離フィルムを剥がしてガラス板に貼り合わせ、引張試験機を用い、23℃で引っ張り速度300mm/分の条件で180°剥離強度(単位:N/25mm)を測定して初期粘着力とした。測定は5つの試料について行い、その平均値を表3に示した。表面保護シートに使用する場合、浮き剥がれがなく、かつ、容易に剥がすことができる観点から剥離強度は0.01~0.03N/25mmの範囲が好ましい。
実施例1~16及び比較例1~2で得られた粘着シートをそれぞれ100mm×25mmの大きさに裁断し、剥離フィルムを剥がしてガラス板に貼り合わせた後、85℃の恒温槽にて7日間静置した。その後、50%RH、23℃の温調室にて4時間温調後、引張試験機を用い、23℃で引っ張り速度300mm/分の条件で180°剥離強度(単位:N/25mm)を測定して耐熱試験後粘着力とした。測定は5つの試料について行い、その平均値を表3に示した。耐熱試験後の剥離強度は、0.01~0.05N/25mmの範囲であることが好ましく、0.01~0.04N/25mmの範囲であることが更に好ましい。また、耐熱試験後の剥離強度は、初期粘着力と比べた変化量が0.025N/25mm以下であることが好ましい。
実施例1~16及び比較例1~2で得られた粘着シートから剥離フィルムを剥がし、粘着面にカッターの刃をあて、素早く切れ込みを入れた。カット後の切断面をルーペ越しに目視で観測し、以下の基準でカット性を評価した。結果を表3に示した。加工時の切りくずは被着体を汚染し性能を低下させるため、切りくずは発生しないことが好ましい。
<評価基準>
◎:切断面が平滑であり、切りくずが発生していない。
○:切断面が平滑でないが、切りくずは発生していない。
△:切断面が平滑でなく、切りくずが発生している。
×:切断面が平滑でなく、切りくずが発生し周囲に飛び散っている。
実施例1~16及び比較例1~2で得られた粘着シートから剥離フィルムを剥がし、粘着面をそれぞれ爪で強く10回こすり粘着層の表面が基材のポリエチレンテレフタレートフィルムから剥がれるかを目視で確認し、以下の基準で評価した。結果を表3に示した。
<評価基準>
◎:白く曇らないし、剥がれない。
○:剥がれないが、白く曇る。
△:6~10回こすると剥がれる。
×:1~5回こすると剥がれる。
実施例1~16及び比較例1~2で得られた粘着剤硬化物から剥離フィルムとOPPフィルムを剥がしてダンベル状3号形試験片を作製し、引張試験機を用いて、23℃、50%RHの環境下で引っ張り速度100mm/分の条件で試験片の破断強度と破断伸度を測定した。測定は5つの試験片について行い、その平均値を算出して以下の基準で破断強度と破断伸度を評価した。結果を表3に示した。
<破断強度評価基準>
◎:2.0MPa以上である。
〇:1.0MPa以上2.0MPa未満である。
△:0.5MPa以上1.0MPa未満である。
×:0.5MPa未満である。
<破断伸度評価基準>
◎:100%以上である。
〇:75%以上100%未満である。
△:50%以上75%未満である。
×:50%未満である。
実施例1~16及び比較例1~2で得られた粘着シートをそれぞれ100mm×25mmの大きさに裁断して試験片を作製し、剥離フィルムを剥がした後、試験片の片端5mm×25mmをガラス板に貼り合わせて剥がれないように固定した。次に、ガラス板と貼り合わせていない95mm×25mmの部分をガラス板から、試験片の短辺部を垂直に吊り上げた。次に、吊り上げていた試験片を放し、試験片全体がガラス板の表面に密着するまでの時間を測定した。測定は5つの試験片について行い、その平均値を算出して以下の基準で歩留まりを評価した。結果を表3に示した。密着するまでの時間が短いほど、貼り合わせ時に気泡等が混入しにくく、歩留まりが良好であることを意味する。
<評価基準>
◎:2.0秒未満。
○:2.0秒以上4.0秒未満。
△:4.0秒以上8.0秒未満。
×:8.0秒以上。
実施例1~16及び比較例1~2で得られた粘着剤硬化物を約70mm×約70mmの大きさに裁断し、剥離フィルムとOPPフィルムを剥がした後に4つ折りにして約35mm×約35mmの試験片とした。別途、目開き77μmのSUSメッシュを150mm×150mmに裁断し、巾着状に成型して口の部分を針金で留めて包装材とした。包装材の重量(W1)を測定した後、針金を開いて試験片を入れて再度重量(W2)を測定し、ガラス瓶に入れて酢酸エチル100mLに浸漬した。25℃で24時間静置後に酢酸エチルから取り出し、130℃の乾燥機で90分加熱乾燥した後、重量(W3)を測定し、以下の計算式(1)で算出したゲル分率を以下の基準で評価した。結果を表3に示した。ゲル分率が高いほど短時間の養生で実用可能レベルまで硬化する粘着剤であることを意味する。
ゲル分率(重量%)=(W3-W1)/(W2-W1)×100 (1)
<評価基準>
◎:90%以上。
○:70%以上90%未満。
△:50%以上70%未満。
×:50%未満。
Claims (7)
- 主剤と硬化剤とを含有し、
前記主剤は、水酸基価10~350mgKOH/gの多官能ポリオキシアルキレンポリオール(a1)を必須成分とするポリオール成分(a)とイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(b)とを反応させてなる水酸基を有するウレタン樹脂(P)を含有し、
前記多官能ポリオキシアルキレンポリオール(a1)が、一般式(1)で表される分子末端にヒドロキシプロピル基を有するポリオキシアルキレンポリオール(a11)及び/又はそのエチレンオキサイド付加物(a12)であり、
前記ウレタンプレポリマー(b)が、一般式(6)で表される化合物であり、
前記硬化剤は、イソシアネート基を有する架橋剤(D)を含有する2液硬化型ウレタン粘着剤。
- 前記ウレタンプレポリマー(b)が2官能であり、前記ウレタンプレポリマー(b)の重量に基づくイソシアネート基含量が0.1~12重量%である請求項1に記載の2液硬化型ウレタン粘着剤。
- 前記多官能ポリオキシアルキレンポリオール(a1)がソルビトールのアルキレンオキサイド付加物であり、前記アルキレンオキサイドがプロピレンオキサイドを含み、前記プロピレンオキサイドの付加モル数が50~200である請求項1~3のいずれか1項に記載の2液硬化型ウレタン粘着剤。
- 前記ウレタン樹脂(P)の重量平均分子量が10,000~500,000である請求項1~4のいずれか1項に記載の2液硬化型ウレタン粘着剤。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載の2液硬化型ウレタン粘着剤の硬化物。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載の2液硬化型ウレタン粘着剤を用いてなるウレタン粘着シート。
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