JP7311776B2 - 冷間圧延における材料特性の推定方法および計算装置、制御方法および制御装置、冷間圧延板の製造方法および製造設備 - Google Patents

冷間圧延における材料特性の推定方法および計算装置、制御方法および制御装置、冷間圧延板の製造方法および製造設備 Download PDF

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本発明は、冷間圧延における材料特性の推定方法および計算装置、制御方法および制御装置、冷間圧延板の製造方法および製造設備に関する。
鋼板などの金属板を圧延加工する際に、目標の板厚を得るための自動板厚制御(AGC:Automatic Gauge Control)に関する研究が行われている。冷間圧延の自動板厚制御において、被圧延材である金属板の板厚を、目標の板厚に制御するための制御ゲイン(例えば、板厚偏差からロール速度の変更量を決定するためのゲインなど)を決定するには、摩擦係数、変形抵抗、塑性係数といった被圧延材の材料特性を正確に推定することが求められる。
しかし現状では、これらの材料特性を、予め定めたセットアップ値として用いている。例えば、特許文献1又は2には、被圧延材の塑性係数を推定するための技術が開示されている。特許文献1では、圧延理論式により、圧延条件を変化させて実験的に塑性係数を求め、これを圧延条件による関数と見做す技術が開示されている。特許文献2の技術では、少なくとも入側板厚、出側板厚および圧延荷重を実測し、これらの実測値と計算式より塑性係数を算出している。
以上のような種々の技術が提案されてはいるが、特許文献1の技術では、予め塑性係数を実験的に求める工程が必須であり、塑性係数を推定するために、予め圧延条件を変えた計算も要する。特許文献2の技術では、塑性係数と同じく実測が困難な変形抵抗および摩擦係数については、定数とされており、実際の操業における被圧延材の適切な塑性係数が求められるとは言い難い。
このように、従来技術では、公知の近似式、実験による計測値、あるいは過去の学習結果に基づき、セットアップ値として事前に材料特性の計算を行っていた。しかし、これらの手法で算出された材料特性は、実際の操業ラインにおける被圧延材そのものからの物理的な情報に基づくものではないため、正確性に欠けると言える。また、材料特性は被圧延材の長手方向で一定とは言えないことから、従来技術の手法では、被圧延材の実際の材料特性を適切に反映しているものとは言い難く、現実的な自動板厚制御の性能に限界を与えていた。
特許第5251427号公報 特開平05-069021号公報
本発明は、上述の状況に鑑みてなされたものであり、冷間圧延における被圧延材である金属板材の摩擦係数、変形抵抗および塑性係数を正確かつリアルタイムに求めることができる推定方法および計算装置、精度の高い自動板厚制御のための制御方法、制御装置、冷間圧延板の製造方法および製造設備を提供することを目的とする。
(1)本発明の一態様に係る推定方法は、金属板材の冷間圧延において、金属板材の材料特性を推定するための推定方法であって、
金属板材の圧延荷重、前方張力、後方張力、入側板厚、ワークロールのロール回転速度、入側板速度および出側板速度を検出する検出工程と、
検出工程において検出された、入側板厚、ロール回転速度、入側板速度および出側板速度に基づいて、金属板材の実績先進率および出側板厚を算出する算出工程と、
圧延荷重、前方張力、後方張力、入側板厚、入側板速度および出側板速度、算出工程において算出された実績先進率および出側板厚、予め設定された金属板材の板幅およびワークロールのロール径に基づいて、圧延理論式を用いた収束演算を行い、金属板材の摩擦係数を算出する摩擦係数演算工程と、
圧延荷重、前方張力、後方張力、入側板厚、入側板速度および出側板速度、実績先進率および出側板厚、板幅およびロール径、ならびに摩擦係数に基づいて、金属板材の変形抵抗を算出する変形抵抗演算工程と、
圧延荷重、前方張力、後方張力、入側板厚、入側板速度および出側板速度、実績先進率および出側板厚、板幅およびロール径、摩擦係数ならびに変形抵抗に基づいて、金属板材の塑性係数を算出する塑性係数演算工程と、
を有し、
検出工程、算出工程、摩擦係数演算工程、変形抵抗演算工程、及び塑性係数演算工程をリアルタイムで実施し、
f(μ)を先進率を表す関数、fを実績先進率としたとき、f(μ)=fとなる場合にJ(μ)=0となる評価関数J(μ)について収束演算を行うことで摩擦係数を算出することを特徴とする。
(2)上記(1)の推定方法では、Pを圧延荷重、qを前方張力、qを後方張力、hを入側板厚、hを出側板厚、wを金属板材の板幅、Rをロール径、Rを扁平ロール径、Eをワークロールのヤング率、νをワークロールのポアソン比としたとき、関数f(μ)は、圧延理論式に基づいて、下記の式1から式5で表されてもよい。
Figure 0007311776000001
Figure 0007311776000002
Figure 0007311776000003
Figure 0007311776000004
Figure 0007311776000005
(3)上記(1)又は(2)の推定方法では、収束演算として、
摩擦係数の初期値μを設定する初期値設定工程と、
関数f(μ)が下記の式6を満たすかどうかを判定する判定工程と、
評価関数J(μ)を計算する評価関数計算工程と、
評価関数J(μ)の微係数J’(μ)を下記の式7より求める微係数算出工程と、
評価関数J(μ)および微係数J’(μ)に基づき、下記の式8で表される更新式より修正摩擦係数μi+1を算出する修正摩擦係数算出工程と、
を有し、
判定工程において、初期値μから順次演算を行い、f(μ)が下記の式6を満たすか否かを判定し、
判定工程において、f(μ)が下記の式6を満たす場合、μを摩擦係数として決定し、
判定工程において、f(μ)が下記の式6を満たさない場合、評価関数計算工程、微係数算出工程および修正摩擦係数算出工程を実施し、修正摩擦係数μi+1に基づく関数f(μi+1)について再度判定工程を実施し、
関数f(μ)が下記の式6を満たすまで、評価関数計算工程、微係数算出工程、修正摩擦係数算出工程および判定工程を繰り返してもよい。
Figure 0007311776000006
Figure 0007311776000007
Figure 0007311776000008
ここで、i=0,1,2,3,…nであり、Δを予め設定された微係数演算用定数、εを予め設定された先進率許容誤差とする。
(4)上記(1)から(3)のいずれか一項に記載の推定方法では、変形抵抗演算工程において、下記の式9を用いて変形抵抗を算出してもよい。
Figure 0007311776000009
ここで、kを変形抵抗とする。
(5)上記(4)に記載の推定方法では、塑性係数演算工程において、下記の式10を用いて塑性係数を算出してもよい。
Figure 0007311776000010
ここで、Qを塑性係数、Qを圧延荷重関数、κを張力補正項とする。
(6)本発明の一態様に係る制御方法は、金属板材の冷間圧延において、
上記(1)から(5)のいずれか一項に記載の推定方法によって得られた、摩擦係数、変形抵抗および塑性係数に基づいて、制御の対象となるスタンドのワークロールの制御ゲイン又はロールギャップの調整量を決定して、自動板厚制御を行うことを特徴とする。
(7)本発明の一態様に係る冷間圧延板の製造方法は、上記(6)に記載の制御方法によって決定される制御ゲイン又はロールギャップの調整量に基づいて、自動板厚制御を行うことを特徴とする。
(8)本発明の一態様に係る計算装置は、金属板材を冷間圧延するためのスタンドから構成される圧延機で用いられる、板厚の制御のために金属板材の材料特性を推定するための計算装置であって、
金属板材の圧延荷重、前方張力、後方張力、入側板厚、ワークロールのロール回転速度、入側板速度および出側板速度を検出する検出部と、
検出部で検出された、入側板厚、ロール回転速度、入側板速度および出側板速度に基づいて、金属板材の実績先進率および出側板厚を算出する算出部と、
圧延荷重、前方張力、後方張力、入側板厚、入側板速度および出側板速度、算出部で算出された実績先進率および出側板厚、予め設定された金属板材の板幅およびワークロールのロール径に基づいて、圧延理論式を用いた収束演算を行い、金属板材の摩擦係数を算出する摩擦係数演算部と、
圧延荷重、前方張力、後方張力、入側板厚、入側板速度および出側板速度、実績先進率および出側板厚、板幅およびロール径、ならびに摩擦係数に基づいて、金属板材の変形抵抗を算出する変形抵抗演算部と、
圧延荷重、前方張力、後方張力、入側板厚、入側板速度および出側板速度、実績先進率および出側板厚、板幅およびロール径、摩擦係数ならびに変形抵抗に基づいて、金属板材の塑性係数を算出する塑性係数演算部と、
を備え、
検出部が行う工程、算出部が行う工程、摩擦係数演算部が行う工程、変形抵抗演算部が行う工程、及び塑性係数演算部が行う工程をリアルタイムで実施し、
摩擦係数演算部において、
f(μ)を先進率を表す関数、fを実績先進率としたとき、f(μ)=fとなる場合にJ(μ)=0となる評価関数J(μ)について収束演算を行うことで摩擦係数を算出することを特徴とする。
(9)上記(8)の計算装置では、Pを圧延荷重、qを前方張力、qを後方張力、hを入側板厚、hを出側板厚、wを金属板材の板幅、Rをロール径、Rを扁平ロール径、Eをワークロールのヤング率、νをワークロールのポアソン比としたとき、関数f(μ)は、圧延理論式に基づいて、下記の式1から式5で表されてもよい。
Figure 0007311776000011
Figure 0007311776000012
Figure 0007311776000013
Figure 0007311776000014
Figure 0007311776000015
(10)上記(8)又は(9)の計算装置では、摩擦係数演算部において、
初期値設定部と、
評価関数計算部と、
微係数算出部と、
修正摩擦係数算出部と、
判定部と、
を備え、
初期値設定部で摩擦係数の初期値μを設定し、
評価関数計算部で評価関数J(μ)を計算し、
微係数算出部で評価関数J(μ)の微係数J’(μ)を下記の式7より求め、
修正摩擦係数算出部で評価関数J(μ)および微係数J’(μ)に基づき、下記の式8で表される更新式より修正摩擦係数μi+1を算出し、
判定部で、初期値μから順次演算を行い、f(μ)が下記の式6を満たすか否かを判定し、
判定部で、f(μ)が下記の式6を満たすと判定された場合、μを摩擦係数として決定し、
判定部で、f(μ)が下記の式6を満たさないと判定された場合、評価関数J(μ)の計算、微係数J’(μ)の算出、修正摩擦係数μi+1の算出を行い、修正摩擦係数μi+1に基づく関数f(μi+1)について再度判定を行い、
関数f(μ)が下記の式6を満たすまで、評価関数J(μ)の計算、微係数J’(μ)の算出、修正摩擦係数μi+1の算出および関数f(μ)の判定を繰り返してもよい。
Figure 0007311776000016
Figure 0007311776000017
Figure 0007311776000018
ここで、i=0,1,2,3,…nであり、Δを予め設定された微係数演算用定数、εを予め設定された先進率許容誤差とする。
(11)上記(8)から(10)のいずれか一項に記載の計算装置では、変形抵抗演算部で、下記の式9を用いて変形抵抗を算出してもよい。
Figure 0007311776000019
ここで、kを変形抵抗とする。
(12)上記(11)に記載の計算装置では、塑性係数演算部で、下記の式10を用いて塑性係数を算出してもよい。
Figure 0007311776000020
ここで、Qを塑性係数、Qを圧延荷重関数、κを張力補正項とする。
(13)本発明の一態様に係る制御装置は、上記(8)から(12)のいずれか一項に記載の計算装置と、
計算装置で得られた、摩擦係数、変形抵抗および塑性係数に基づいて、制御の対象となるスタンドのワークロールの制御ゲイン又はロールギャップの調整量を決定して、自動板厚制御を行う制御部とを備えることを特徴とする。
(14)本発明の一態様に係る冷間圧延板の製造設備は、上記(8)から(12)のいずれか一項に記載の計算装置と、
計算装置で得られた、摩擦係数、変形抵抗および塑性係数に基づいて、制御の対象となるスタンドのワークロールの制御ゲイン又はロールギャップの調整量を決定して、自動板厚制御を行う制御装置と、
を備えることを特徴とする。
本発明によれば、冷間圧延における被圧延材である金属板材の摩擦係数、変形抵抗および塑性係数を正確かつリアルタイムに求めることができる推定方法および計算装置、精度の高い自動板厚制御のための制御方法および制御装置、冷間圧延板の製造方法および製造設備が提供される。
本発明の一実施形態に係る圧延設備の構成を説明するための概略的な図である。 本発明の一実施形態に係る推定方法を説明するためのフロー図である。 本発明の一実施形態に係る推定方法における収束演算の工程を説明するためのフロー図である。 冷間圧延板の製造設備について、演算装置を用いて本発明に係る推定方法を実施した結果を示す図である。
上述のように、従来は材料となる熱間圧延コイル(以下、材料コイル)ごとに、摩擦係数や変形抵抗、塑性係数を過去の実績や圧延理論式等により予め計算し、これらを用いて自動板厚制御の調整パラメータ(以下、制御ゲイン)を計算し、圧延開始後は制御ゲインを固定値として用いることで鋼板の自動板厚制御を実施していた。一方、材料コイルの変形抵抗は、熱間圧延工程での温度ムラ等の要因により圧延方向で一定ではないため、これに起因して摩擦係数や塑性係数についても同様に一定ではない。
本発明者は、上記理由により、材料コイルの圧延方向で摩擦係数や変形抵抗、塑性係数により計算される制御ゲインは、本来、圧延方向で変化させるべきものであるため、従来の様に制御ゲインを圧延方向で固定値とする方法では自動板厚制御の性能が十分に発揮できていない懸念があると考えた。
本発明者は、圧延方向に対する摩擦係数や変形抵抗、塑性係数をリアルタイムに求めることが出来れば、これらを圧延中に制御ゲインの都度計算に反映することができ、これにより自動板厚制御の性能向上が期待できるとの知見に至った。
以下、本発明の実施形態について例を挙げて説明するが、本発明は以下で説明する例に限定されないことは自明である。以下の説明では、具体的な数値や材料を例示する場合があるが、本発明の効果が得られる限り、他の数値や材料を適用してもよい。
なお、本明細書中において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。本明細書中において、「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また、以下の実施形態の各構成要素は、互いに組み合わせることができる。
[圧延設備]
まず、本実施形態に係る推定方法が用いられる圧延設備(冷間圧延板の製造設備)について図1を用いて説明する。図1に示すように、圧延設備1は、一対のワークロール2を備えるスタンド3を含む。ロール回転速度計4は、ワークロール2の回転速度を検出できる。ロール回転速度計4は、ワークロール2の一方又は双方に設けられていてもよい。
圧延荷重ロードセル5は、ワークロール2に印加される荷重を検出できる。
後方張力ロードセル6は、被圧延材(金属板材)Wの、ワークロール2の搬送方向上流側における張力を検出できる。前方張力ロードセル7は、被圧延材Wの、ワークロール2の搬送方向下流側における張力を検出できる。Rは被圧延材Wの搬送方向(圧延方向)を示す。
入側板速計8は、ワークロール2の入側(搬送方向上流側)における、被圧延材Wの板速を検出できる。出側板速計9は、ワークロール2の出側(搬送方向下流側)における、被圧延材Wの板速を検出できる。入側板速計8および出側板速計9としては、非接触式のレーザードップラー測定器を用いることができる。
入側板厚計10は、ワークロール2の入側(搬送方向上流側)における、被圧延材Wの板厚を検出できる。入側板厚計10は、図1に示すように、被圧延材Wの表裏面側に設けられた非接触のガンマ線式測定器を用いることができる。
入側板速計8、出側板速計9および入側板厚計10による測定は、被圧延材Wの幅方向における中央部で行われてもよい。
本実施形態に係る圧延設備1の例では、検出部である、ロール回転速度計4、圧延荷重ロードセル5、後方張力ロードセル6、前方張力ロードセル7、入側板速計8、出側板速計9および入側板厚計10で検出された情報は、計算装置11に送信される。
計算装置11は、算出部12、摩擦係数演算部13、変形抵抗演算部14、塑性係数演算部15を有する。算出部12は、実績先進率を計算するための実績先進率計算部16および出側板厚を計算するための出側板厚計算部17を有する。
実績先進率計算部16では、ロール回転速度計4で検出されたワークロール2の回転速度および出側板速計9で検出されたワークロール2の出側における被圧延材Wの板速に基づき、被圧延材Wの実績先進率を算出できる。
出側板厚計算部17では、入側板速計8で検出されたワークロール2の入側における被圧延材Wの板速、出側板速計9で検出されたワークロール2の出側における被圧延材Wの板速、および入側板厚計10で検出されたワークロール2の入側における被圧延材Wの板厚に基づき、被圧延材Wの出側板厚を算出できる。
摩擦係数演算部13では、圧延荷重、前方張力、後方張力、入側板厚、入側板速度、出側板速度、実績先進率、出側板厚、予め設定された被圧延材Wの板幅およびワークロール2のロール径に基づいて、被圧延材Wの摩擦係数を算出できる。入側板厚、入側板速度、出側板速度の情報は、算出部12から摩擦係数演算部13へ送信されてもよい。
変形抵抗演算部14では、圧延荷重、前方張力、後方張力、入側板厚、入側板速度、出側板速度、実績先進率、出側板厚、予め設定された被圧延材Wの板幅、ワークロール2のロール径、および摩擦係数演算部13で算出された摩擦係数に基づいて、被圧延材Wの変形抵抗を算出できる。
塑性係数演算部15では、圧延荷重、前方張力、後方張力、入側板厚、入側板速度、出側板速度、実績先進率、出側板厚、予め設定された被圧延材Wの板幅、ワークロール2のロール径、摩擦係数演算部13で算出された摩擦係数、および変形抵抗演算部14で算出された変形抵抗に基づいて、被圧延材Wの塑性係数を算出できる。
摩擦係数演算部13は、図1には図示しないが、初期値設定部と、評価関数計算部と、微係数算出部と、修正摩擦係数算出部と、判定部とを備えていてもよい。初期値設定部では、後述する摩擦係数の初期値μを設定できる。評価関数計算部では、評価関数を計算できる。微係数算出部では、評価関数J(μ)の微係数J’(μ)を求めることができる。修正摩擦係数算出部では、評価関数と微係数に基づいて修正摩擦係数を算出できる。また、判定部では、先進率が所定の条件を満たすかどうかを判定できる。
図1に示す各構成要素は、有線又は無線にて情報を送受信できるように構成されていてもよい。各構成要素は、情報を送受信できる受信部、送信部を備えていてもよい。
図1の圧延設備1は、制御部(図示せず)を備えていてもよい。この制御部は、制御の対象となるスタンドのワークロールの制御ゲイン又はロールギャップの調整量を決定できるように構成されてもよい。制御部で決定されたワークロールの制御ゲイン又はロールギャップの調整量に関する情報が制御の対象となるスタンドに送信され、圧延材Wの板厚の制御が行われる。
計算装置11および制御部は、圧延設備1(冷間圧延板の製造設備)と一体となっていてもよい。あるいは、計算装置11および制御部は、圧延設備1とは別の設備又は装置(制御装置)として設けられているか、遠隔地にあってもよい。算出部12、摩擦係数演算部13、変形抵抗演算部14、塑性係数演算部15は、それぞれ単独の装置として構成されてもよい。
なお、図1においては、各ワークロール2に接して配置される補助ロールの図示は省略している。また、図1においては、一つのスタンド3を例示しているが、複数のスタンドから構成される圧延機又は圧延設備では、被圧延材の搬送方向に、2つ以上のスタンドが並ぶ構成を有する。
[推定方法]
本実施形態に係る推定方法は、金属板材の冷間圧延において、金属板材の材料特性を推定するための推定方法であって、金属板材の圧延荷重、前方張力、後方張力、入側板厚、ワークロールのロール回転速度、入側板速度および出側板速度を検出する検出工程と、検出工程において検出された、入側板厚、ロール回転速度、入側板速度および出側板速度に基づいて、金属板材の実績先進率および出側板厚を算出する算出工程と、圧延荷重、前方張力、後方張力、入側板厚、入側板速度および出側板速度、算出工程において算出された実績先進率および出側板厚、予め設定された金属板材の板幅およびワークロールのロール径に基づいて、圧延理論式を用いた収束演算を行い、金属板材の摩擦係数を算出する摩擦係数演算工程と、圧延荷重、前方張力、後方張力、入側板厚、入側板速度および出側板速度、実績先進率および出側板厚、板幅およびロール径、ならびに摩擦係数に基づいて、金属板材の変形抵抗を算出する変形抵抗演算工程と、圧延荷重、前方張力、後方張力、入側板厚、入側板速度および出側板速度、実績先進率および出側板厚、板幅およびロール径、摩擦係数ならびに変形抵抗に基づいて、金属板材の塑性係数を算出する塑性係数演算工程とを有する。
本実施形態に係る推定方法では、f(μ)を先進率を表す関数、fを実績先進率としたとき、摩擦係数演算工程において、f(μ)=fとなる場合にJ(μ)=0となる評価関数J(μ)について収束演算を行うことで摩擦係数を算出する。
評価関数J(μ)としては、例えば、下記の式11のような数式が好ましく用いられる。
Figure 0007311776000021
以下に、図2のフロー図を用いて、本実施形態に係る推定方法の各工程について説明する。
検出工程(S100)では、ワークロールのロール回転速度、被圧延材(金属板材)Wの圧延荷重、前方張力、後方張力、入側板厚、入側板速度および出側板速度を検出する。これらの値は、上述した、ロール回転速度計4、圧延荷重ロードセル5、後方張力ロードセル6、前方張力ロードセル7、入側板速計8、出側板速計9および入側板厚計10で検出できる。
算出工程(S102)では、検出工程(S100)において検出された、ロール回転速度、入側板厚、入側板速度および出側板速度に基づいて、金属板材の実績先進率および出側板厚を算出する。
ワークロール2のロール回転速度およびワークロール2の出側における被圧延材Wの板速に基づき、被圧延材Wの実績先進率fを算出できる。具体的には、Vを出側板速度、Vをワークロール2のロール周速としたとき、実績先進率fは下記の式12で表される。
Figure 0007311776000022
また、ワークロール2のロール周速Vは、Rをワークロール2のロール径、Nをワークロール2の回転速度としたとき、下記の式13で表される。
Figure 0007311776000023
よって、ロール回転速度計4および出側板速計9によって検出したワークロール2のロール回転速度Nと出側板速度Vとを検出することで、リアルタイムで実績先進率fを求めることができる。
ワークロール2の入側における被圧延材Wの板速、ワークロール2の出側における被圧延材Wの板速、およびワークロール2の入側における被圧延材Wの板厚に基づき、被圧延材Wの出側板厚hを算出できる。具体的には、Vを入側板速度としたとき、マスフロー一定則により、出側板厚hは下記の式14で表される。
Figure 0007311776000024
ここで、h1trkは、入側板厚計10で検出された入側板厚h(計測値)をワークロール2の直下までトラッキングした値である。
1trkは、予め測定しておいた入側板厚計10からワークロール直下までの距離および入側板速計8により検出された入側板速度より、被圧延材Wの入側板厚計10での測定点がワークロール直下まで到達する時間(tΔ)を計算装置内で計算し、任意の時刻(t)よりもこの時間(tΔ)だけ前の時刻(t-tΔ)に入側板厚計10で検出された入側板厚を、任意の時刻(t)におけるワークロール直下の板厚として読み替えることにより求める。
摩擦係数演算工程(S104)では、検出工程(S100)において検出された、圧延荷重、前方張力、後方張力、入側板厚、入側板速度および出側板速度、算出工程(S102)において算出された実績先進率および出側板厚、予め設定された金属板材の板幅wおよびワークロールのロール径Rに基づいて、圧延理論式を用いた収束演算を行い、金属板材の摩擦係数を算出する。
次に、圧延理論式を用いた収束演算の方法について説明する。
まず、圧延理論式の一例である、下記の式15~式17より、式9が導出できる。式15~式17は、Hill-美坂の塑性圧延荷重式と知られている。ここで、Qを圧延荷重関数、κを張力補正項とする。
Figure 0007311776000025
Figure 0007311776000026
Figure 0007311776000027
式15は、主に入側板厚h及び出側板厚hより圧延荷重Pを算出するために用いられる式である。式16は式15にて用いる圧延荷重関数Qを表すもので、Hill&美坂の近似式と呼ばれる。式17は式16へ前方張力q及び後方張力qの影響を付与するものであり、張力補正項と呼ばれる。
式9は、変形抵抗kを表す式である。以降の式中の、Pを圧延荷重、qを前方張力、qを後方張力、hを入側板厚、hを出側板厚、wを金属板材の板幅、Rをロール径、Rを扁平ロール径、Eをワークロールのヤング率、νをワークロールのポアソン比とする。
Figure 0007311776000028
ここで、式9と、Bland&Fordの先進率式(文献「板圧延の理論と実際(日本鉄鋼協会、2010年)」9、33、34ページ参照)に基づいて算出した下記の式1、式2、式3’、式4より、先進率fは、特定の式構造を有する関数f(h、h、P、q、q、μ)として表される。
Figure 0007311776000029
Figure 0007311776000030
Figure 0007311776000031
Figure 0007311776000032
関数f(h、h、P、q、q、μ)は、式1と、下記の式3で表され、未知数は摩擦係数μのみである。
Figure 0007311776000033
よって、実績先進率fが実測されれば、下記の式18より、摩擦係数μを求めることができる。
Figure 0007311776000034
本実施形態に係る推定方法では、下記の式11で表される評価関数J(μ)について収束演算を行うことで摩擦係数μを算出する。ここで、f(μ)は、例えば上述した、先進率を表す関数であり、fは算出工程(S102)で算出された実績先進率である。
Figure 0007311776000035
図2に収束演算のフロー図を示す。
先ず、初期値設定工程では、摩擦係数の初期値μを設定する(S200)。摩擦係数の初期値μは、冷間圧延の場合、混合摩擦域である0.1程度に定めることがより好ましい(文献「板圧延の理論と実際(日本鉄鋼協会、2010年)」207ページ参照)。
また、扁平ロール径Rdを下記の式5により求める(S202)。式6は、Hitchcook扁平ロール式である(文献「板圧延の理論と実際(日本鉄鋼協会、2010年)」40ページ参照)。
Figure 0007311776000036
次いで、収束演算を行う。収束演算では、上述の初期値μ(i=0)から始め、順次関数f(μ)を計算する。ここで、i=0,1,2,3、…nである。
判定工程では、先進率を表す関数であるf(μ)が下記の式6を満たすかどうかを判定する(S204)。式6中のεは、予め設定された先進率許容誤差である。
Figure 0007311776000037
判定工程において、f(μ)が式6を満たす場合、μを摩擦係数として決定する(S206)。
判定工程において、f(μ)が式6を満たさない場合、評価関数J(μ)の計算を行う。
評価関数計算工程では、評価関数J(μ)の具体的な数値を計算式より求める(S208)。評価関数J(μ)として、上述した摩擦係数μの関数f(μ)を含む、式11を用いることができる。また、式11中の関数f(μ)として、上述した式1~式5から成り立つ関数を用いることができる。
ここで、評価関数J(μ)とは、f(μ)=fの条件でJ(μ)=0となるように設定された収束計算用の関数である。収束計算により解を求めるため、評価関数としては、単純増加、あるいは単純減少する関数形が望ましい。そのため、例えば式11に示すような式構造が望ましい。
評価関数計算工程に次いで、微係数算出工程では、評価関数J(μ)の微係数J’(μ)を下記の式7より求める(S210)。式7中のΔは、予め設定された微係数演算用定数である。
Figure 0007311776000038
微係数算出工程に次いで、修正摩擦係数算出工程として、下記の式8で表される更新式より修正摩擦係数μi+1を算出する(S212)。
Figure 0007311776000039
そして、μ=μi+1として、修正摩擦係数μi+1の値を式6へ代入し、f(μ)が式6を満たすまで、評価関数計算工程、微係数算出工程、修正摩擦係数算出工程および判定工程を繰り返す。このような手法は、Newton-Raphson法として知られている繰り返し演算による求解法である。
変形抵抗演算工程(S106)では、圧延荷重、前方張力、後方張力、入側板厚、入側板速度および出側板速度、実績先進率および出側板厚、板幅およびロール径、ならびに摩擦係数演算工程(S104)で算出された摩擦係数μに基づいて、金属板材の変形抵抗kを算出する。
摩擦係数演算工程(S104)で摩擦係数μが求められているので、変形抵抗演算工程(S106)では、上述した式10を用いて変形抵抗kを算出できる。
塑性係数演算工程(S108)では、圧延荷重、前方張力、後方張力、入側板厚、入側板速度および出側板速度、実績先進率および出側板厚、板幅およびロール径、摩擦係数演算工程(S104)で算出された摩擦係数ならびに変形抵抗演算工程(S106)で算出された変形抵抗kに基づいて、金属板材の塑性係数Qを算出する。
摩擦係数演算工程(S104)および変形抵抗演算工程(S106)で摩擦係数μおよび変形抵抗kが求められているので、下記の式10を用いて塑性係数Qを算出できる。
Figure 0007311776000040
本実施形態に係る推定方法では、上述した検出工程、算出工程、摩擦係数演算工程、変形抵抗演算工程、及び塑性係数演算工程を、被圧延材(金属板材)の圧延時に、リアルタイムで実施する。そのため、本実施形態に係る推定方法では、材料特性を予め定められた定数で仮定せず、冷間圧延における、摩擦係数、変形抵抗、塑性係数といった被圧延材の材料特性を正確に推定できる。
[制御方法]
本発明の一実施形態に係る制御方法では、上記実施形態の推定方法によって得られた、摩擦係数、変形抵抗および塑性係数に基づいて、制御の対象となるスタンドのワークロールの制御ゲイン又はロールギャップの調整量を決定して、被圧延材の板厚について自動板厚制御を行う。
板厚制御を行うための、スタンドの調整パラメータである制御ゲインは変形抵抗、摩擦係数といった数値を含む。
ロールギャップの調整量ΔSは、ミルの剛性係数をM、出側板厚の変動量をΔhとすると、上記実施形態の推定方法によって得られた、摩擦係数、変形抵抗および塑性係数に基づいて、例えば式19に基づいて求められる。
Figure 0007311776000041
[製造方法]
本発明の一実施形態に係る製造方法では、上記実施形態の推定方法によって得られた、摩擦係数、変形抵抗および塑性係数に基づいて、制御の対象となるスタンドのワークロールの制御ゲイン又はロールギャップの調整量を決定して、被圧延材の板厚について自動板厚制御を行い、これにより冷間圧延板の製造を行う。
なお、上述した実施形態で用いられる計算式等は、本発明の実施形態の一例であり、本発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の計算式等が採用できる。
以下に本発明の実施例について説明する。
本発明の実施例として、冷間圧延板の製造設備にて、上記実施形態に係る推定方法を実施した。
冷間圧延板の製造設備は、6台の圧延スタンドを備え、5番目のスタンドを制御対象のスタンドとした。被圧延材(鋼材)の板幅を1274mm、ワークロールのロール径を272.5mmとした。
上記のような構成の冷間圧延板の製造設備について、演算装置を用いて上記実施形態に係る推定方法を実施して、被圧延材の摩擦係数、変形抵抗および塑性係数等をリアルタイム計測した。その結果を図4に示す。
図4から、圧延速度(ロール速度)の減少に伴い、摩擦係数μが増加することが確認された。これは、過去の種々の研究結果(例えば、Sims&ArthurやStoneらの研究(文献「板圧延の理論と実際(日本鉄鋼協会、2010年)」207ページ参照))と同じ傾向を示すものであり、本発明に係る推定方法で被圧延材の摩擦係数、変形抵抗および塑性係数といった材料特性を正確かつリアルタイムに求めることができることを示すものである。
本発明によれば、冷間圧延における被圧延材の摩擦係数、変形抵抗および塑性係数を正確かつリアルタイムに求めることができる推定方法および計算装置、精度の高い自動板厚制御のための制御方法および制御装置、冷間圧延板の製造方法および製造設備が提供されるため、産業上極めて有用である。

Claims (14)

  1. 金属板材の冷間圧延において、金属板材の材料特性を推定するための推定方法であって、
    前記金属板材の圧延荷重、前方張力、後方張力、入側板厚、ワークロールのロール回転速度、入側板速度および出側板速度を検出する検出工程と、
    前記検出工程において検出された、前記入側板厚、前記ロール回転速度、前記入側板速度および前記出側板速度に基づいて、前記金属板材の実績先進率および出側板厚を算出する算出工程と、
    前記圧延荷重、前記前方張力、前記後方張力、前記入側板厚、前記入側板速度および前記出側板速度、前記算出工程において算出された前記実績先進率および前記出側板厚、予め設定された前記金属板材の板幅および前記ワークロールのロール径に基づいて、圧延理論式を用いた収束演算を行い、前記金属板材の摩擦係数を算出する摩擦係数演算工程と、
    前記圧延荷重、前記前方張力、前記後方張力、前記入側板厚、前記入側板速度および前記出側板速度、前記実績先進率および前記出側板厚、前記板幅および前記ロール径、ならびに前記摩擦係数に基づいて、前記金属板材の変形抵抗を算出する変形抵抗演算工程と、
    前記圧延荷重、前記前方張力、前記後方張力、前記入側板厚、前記入側板速度および前記出側板速度、前記実績先進率および前記出側板厚、前記板幅および前記ロール径、前記摩擦係数ならびに前記変形抵抗に基づいて、前記金属板材の塑性係数を算出する塑性係数演算工程と、
    を有し、
    前記検出工程、前記算出工程、前記摩擦係数演算工程、前記変形抵抗演算工程、及び前記塑性係数演算工程をリアルタイムで実施し、
    f(μ)を先進率を表す関数、fを前記実績先進率としたとき、f(μ)=fとなる場合にJ(μ)=0となる評価関数J(μ)について収束演算を行うことで摩擦係数を算出する
    ことを特徴とする推定方法。
  2. Pを圧延荷重、qを前方張力、qを後方張力、hを入側板厚、hを出側板厚、wを金属板材の板幅、Rをロール径、Rを扁平ロール径、Eをワークロールのヤング率、νをワークロールのポアソン比としたとき、前記関数f(μ)は、圧延理論式に基づいて、下記の式1から式5で表される
    ことを特徴とする請求項1に記載の推定方法。
    Figure 0007311776000042
    Figure 0007311776000043
    Figure 0007311776000044
    Figure 0007311776000045
    Figure 0007311776000046
  3. 前記収束演算として、
    摩擦係数の初期値μを設定する初期値設定工程と、
    前記関数f(μ)が下記の式6を満たすかどうかを判定する判定工程と、
    前記評価関数J(μ)を計算する評価関数計算工程と、
    前記評価関数J(μ)の微係数J’(μ)を下記の式7より求める微係数算出工程と、
    前記評価関数J(μ)および前記微係数J’(μ)に基づき、下記の式8で表される更新式より修正摩擦係数μi+1を算出する修正摩擦係数算出工程と、
    を有し、
    前記判定工程において、前記初期値μから順次演算を行い、f(μ)が下記の式6を満たすか否かを判定し、
    前記判定工程において、f(μ)が下記の式6を満たす場合、μを前記摩擦係数として決定し、
    前記判定工程において、f(μ)が下記の式6を満たさない場合、前記評価関数計算工程、前記微係数算出工程および前記修正摩擦係数算出工程を実施し、前記修正摩擦係数μi+1に基づく関数f(μi+1)について再度判定工程を実施し、
    前記関数f(μ)が下記の式6を満たすまで、前記評価関数計算工程、前記微係数算出工程、前記修正摩擦係数算出工程および前記判定工程を繰り返す
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の推定方法。
    Figure 0007311776000047
    Figure 0007311776000048
    Figure 0007311776000049
    ここで、i=0,1,2,3,…nであり、Δを予め設定された微係数演算用定数、εを予め設定された先進率許容誤差とする。
  4. 前記変形抵抗演算工程において、下記の式9を用いて変形抵抗を算出する
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の推定方法。
    Figure 0007311776000050
    ここで、kを変形抵抗とする。
  5. 前記塑性係数演算工程において、下記の式10を用いて塑性係数を算出する
    ことを特徴とする請求項4に記載の推定方法。
    Figure 0007311776000051
    ここで、Qを塑性係数、Qを圧延荷重関数、κを張力補正項とする。
  6. 金属板材の冷間圧延において、
    請求項1から5のいずれか一項に記載の推定方法によって得られた、前記摩擦係数、前記変形抵抗および前記塑性係数に基づいて、制御の対象となるスタンドのワークロールの制御ゲイン又はロールギャップの調整量を決定して、自動板厚制御を行う
    ことを特徴とする制御方法。
  7. 請求項6に記載の制御方法によって決定される制御ゲイン又はロールギャップの調整量に基づいて、自動板厚制御を行う
    ことを特徴とする冷間圧延板の製造方法。
  8. 金属板材を冷間圧延するためのスタンドから構成される圧延機で用いられる、板厚の制御のために前記金属板材の材料特性を推定するための計算装置であって、
    前記金属板材の圧延荷重、前方張力、後方張力、入側板厚、ワークロールのロール回転速度、入側板速度および出側板速度を検出する検出部と、
    前記検出部で検出された、前記入側板厚、前記ロール回転速度、前記入側板速度および前記出側板速度に基づいて、前記金属板材の実績先進率および出側板厚を算出する算出部と、
    前記圧延荷重、前記前方張力、前記後方張力、前記入側板厚、前記入側板速度および前記出側板速度、前記算出部で算出された前記実績先進率および前記出側板厚、予め設定された前記金属板材の板幅および前記ワークロールのロール径に基づいて、圧延理論式を用いた収束演算を行い、前記金属板材の摩擦係数を算出する摩擦係数演算部と、
    前記圧延荷重、前記前方張力、前記後方張力、前記入側板厚、前記入側板速度および前記出側板速度、前記実績先進率および前記出側板厚、前記板幅および前記ロール径、ならびに前記摩擦係数に基づいて、前記金属板材の変形抵抗を算出する変形抵抗演算部と、
    前記圧延荷重、前記前方張力、前記後方張力、前記入側板厚、前記入側板速度および前記出側板速度、前記実績先進率および前記出側板厚、前記板幅および前記ロール径、前記摩擦係数ならびに前記変形抵抗に基づいて、前記金属板材の塑性係数を算出する塑性係数演算部と、
    を備え、
    前記検出部が行う工程、前記算出部が行う工程、前記摩擦係数演算部が行う工程、前記変形抵抗演算部が行う工程、及び前記塑性係数演算部が行う工程をリアルタイムで実施し、
    前記摩擦係数演算部において、
    f(μ)を先進率を表す関数、fを前記実績先進率としたとき、f(μ)=fとなる場合にJ(μ)=0となる評価関数J(μ)について収束演算を行うことで摩擦係数を算出する
    ことを特徴とする計算装置。
  9. Pを圧延荷重、qを前方張力、qを後方張力、hを入側板厚、hを出側板厚、wを金属板材の板幅、Rをロール径、Rを扁平ロール径、Eをワークロールのヤング率、νをワークロールのポアソン比としたとき、前記関数f(μ)は、圧延理論式に基づいて、下記の式1から式5で表される
    ことを特徴とする請求項8に記載の計算装置。
    Figure 0007311776000052
    Figure 0007311776000053
    Figure 0007311776000054
    Figure 0007311776000055
    Figure 0007311776000056
  10. 前記摩擦係数演算部において、
    初期値設定部と、
    評価関数計算部と、
    微係数算出部と、
    修正摩擦係数算出部と、
    判定部と、
    を備え、
    前記初期値設定部で摩擦係数の初期値μを設定し、
    前記評価関数計算部で前記評価関数J(μ)を計算し、
    前記微係数算出部で前記評価関数J(μ)の微係数J’(μ)を下記の式7より求め、
    修正摩擦係数算出部で前記評価関数J(μ)および前記微係数J’(μ)に基づき、下記の式8で表される更新式より修正摩擦係数μi+1を算出し、
    前記判定部で、前記初期値μから順次演算を行い、f(μ)が下記の式6を満たすか否かを判定し、
    前記判定部で、f(μ)が下記の式6を満たすと判定された場合、μを前記摩擦係数として決定し、
    前記判定部で、f(μ)が下記の式6を満たさないと判定された場合、前記評価関数J(μ)の計算、前記微係数J’(μ)の算出、前記修正摩擦係数μi+1の算出を行い、前記修正摩擦係数μi+1に基づく関数f(μi+1)について再度判定を行い、
    前記関数f(μ)が下記の式6を満たすまで、前記評価関数J(μ)の計算、前記微係数J’(μ)の算出、前記修正摩擦係数μi+1の算出および前記関数f(μ)の判定を繰り返す
    ことを特徴とする請求項8又は9に記載の計算装置。
    Figure 0007311776000057
    Figure 0007311776000058
    Figure 0007311776000059
    ここで、i=0,1,2,3,…nであり、Δを予め設定された微係数演算用定数、εを予め設定された先進率許容誤差とする。
  11. 前記変形抵抗演算部で、下記の式9を用いて変形抵抗を算出する
    ことを特徴とする請求項8から10のいずれか一項に記載の計算装置。
    Figure 0007311776000060
    ここで、kを変形抵抗とする。
  12. 前記塑性係数演算部で、下記の式10を用いて塑性係数を算出する
    ことを特徴とする請求項11に記載の計算装置。
    Figure 0007311776000061
    ここで、Qを塑性係数、Qを圧延荷重関数、κを張力補正項とする。
  13. 請求項8から12のいずれか一項に記載の計算装置と、
    前記計算装置で得られた、摩擦係数、変形抵抗および塑性係数に基づいて、制御の対象となるスタンドのワークロールの制御ゲイン又はロールギャップの調整量を決定して、自動板厚制御を行う制御部とを備える
    ことを特徴とする制御装置。
  14. 請求項8から12のいずれか一項に記載の計算装置と、
    前記計算装置で得られた、摩擦係数、変形抵抗および塑性係数に基づいて、制御の対象となるスタンドのワークロールの制御ゲイン又はロールギャップの調整量を決定して、自動板厚制御を行う制御装置と、
    を備えることを特徴とする冷間圧延板の製造設備。
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