JP7287398B2 - 重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、重合体の製造方法に関する。より詳細には、重合温度の制御が容易であり、重合安定性に優れる重合体の製造方法に関する。
重合体の製造には各種の方法が用いられているが、中でも、沈殿重合法、懸濁重合法及び乳化重合法等の不均一系の重合方法が、高分子量の重合体を製造し易いことから、工業的にも広く利用されている。
特許文献1には、沈殿重合法により、粒子径分布が狭く、比較的均一な粒子径を有する架橋ポリマー微粒子を効率よく得る方法が記載されている。特許文献2には、逆相懸濁重合法又は逆相乳化重合法によりビーズ状吸水性ポリマーを製造するにあたり、重合時に重合安定化剤を存在させることにより、微量の金属イオン存在下であっても重合の安定化を図ることができる旨が記載されている。
特開2006-282772号公報 特開平2-117903号公報
一般に、重合体を高分子量化することにより、当該重合体の機械的物性を改善することができる。また、高分子量の重合体を得るためには、単量体濃度が高い条件下において重合反応が行われる場合が多い。
しかし、高い単量体濃度条件下で重合反応を行った場合、多大な重合熱が発生するため、重合温度の制御が難しいという問題がある。重合温度の制御が不十分な場合、重合体の安定性に悪影響を及ぼすため、製造安定性を確保できないことがあった。また、本発明者らの検討によれば、例えば、懸濁重合法により架橋型重合体を製造する際に重合温度を所望の範囲に制御することができず、ピーク温度(即ち、重合開始後に達する最高温度)が高くなった場合などには、意図しない異形粒子が発生するという不具合が生じることが分かった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の一実施形態は、重合反応時の重合温度を容易に制御することが可能であり、製造安定性にも優れる、重合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、微量の金属化合物、及びリン化合物の存在下に重合反応を実施した際に重合温度の制御が容易となることを見出した。本開示によれば、こうした知見に基づき、例えば、以下の手段が提供される。
本発明の一実施形態は以下の通りである。
〔1〕金属化合物及びリン化合物の存在下、ビニル系単量体の重合を行う重合工程を備え、
前記金属化合物の濃度は、反応相中における金属濃度として300ppb以下である、重合体の製造方法。
〔2〕前記重合工程は、懸濁重合法によりビニル系単量体の重合を行う工程を含む〔1〕に記載の重合体の製造方法。
〔3〕前記ビニル系単量体は、カルボキシル基を有するビニル系単量体を含む〔1〕又は〔2〕に記載の重合体の製造方法。
〔4〕前記金属化合物は銅化合物である〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載の重合体の製造方法。
〔5〕前記重合工程における前記ビニル系単量体の重合は、さらにキレート剤の存在下に行われる〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載の重合体の製造方法。
〔6〕前記キレート剤は、α-ヒドロキシ酸である〔5〕に記載の重合体の製造方法。
本発明の一実施形態によれば、重合温度を容易に制御することが可能となるとともに高い重合安定性を確保することができる。また、本発明の一実施形態によれば、意図しない異形粒子の発生を制御することができる。
図1は、比較例1における篩濾過ON分の光学顕微鏡写真を示す。 図2は、比較例3における篩濾過ON分の光学顕微鏡写真を示す。
以下、本発明を詳しく説明する。尚、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。また、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を意味する。
本発明の製造方法(以下、「本製造方法」ともいう)は、ビニル系単量体の重合を行う重合工程を備えるものである。また、本製造方法は、重合工程の後、必要に応じて、更に脱溶媒工程等のその他の工程を備えるものであってもよい。
以下、本製造方法について詳細に説明する。
<重合工程>
(重合方法)
本製造方法における重合工程では、金属化合物及びリン化合物の存在下、ビニル系単量体の重合が行われる。重合方法は特に制限されるものではなく、公知のラジカル重合法のいずれの方法であってもよい。具体的には、溶液重合法及びバルク重合法等の均一系の重合方法であってもよく、沈殿重合法、懸濁重合法(例えば、逆相懸濁重合法が挙げられる)及び乳化重合法等の不均一系の重合方法であってもよい。これらの内、逆相懸濁重合法は、親水性の(架橋)重合体微粒子を効率的に製造する場合に好適な重合方法である。
逆相懸濁重合法は、一般的には、油相を分散媒とし水相を分散質とする重合法の意味であり、分散安定剤を含む油相(疎水性有機溶媒よりなる分散媒)中に水相(ビニル系単量体混合物を含む水溶液)が水滴状に懸濁した、油中水型(W/O型)の逆相懸濁重合法により重合体微粒子が製造されるのが好ましい。
また、逆相懸濁重合法では、分散安定剤の種類、及び量、又は攪拌回転数等を変更することによって、得られる微粒子の粒子径を調整することができる。
逆相懸濁重合法における油相(分散媒)をなす疎水性有機溶媒として、例えば、炭素数6以上の脂肪族炭化水素溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素溶媒、オクタメチルシクロテトラシロキサンなどのシリコーン系溶媒などを用いることができる。疎水性有機溶媒としては、特に、ヘキサン、シクロヘキサン、およびn-ヘプタンが、ビニル系単量体および水の溶解度が小さく、かつ重合後に除去することが容易であることから好ましく用いられる。
(重合開始剤)
逆相懸濁重合法に用いる重合開始剤は、熱分解型重合開始剤、またはレドックス型重合開始剤等、公知の重合開始剤を使用することが可能であるが、レドックス型重合開始剤を使用することが好ましい。レドックス反応は低温での重合開始が可能であり、重合反応液中のビニル系単量体濃度を高くすること、また重合速度を大きくすることが可能となるため、生産性、および生成重合体の分子量を高くすることが可能となる。
また、油溶性酸化剤と水溶性還元剤を使用するレドックス型重合開始剤を使用した場合、凝集粒子の発生が抑制され、粒度分布の狭い重合体微粒子が得られる傾向があるため、特に好ましい。
上記のとおり、逆相懸濁重合法では疎水性有機溶媒が連続相(油相)として用いられるので、油溶性酸化剤とは、これらの連続相に溶解する酸化剤を意味する。また、油相には分散安定剤を溶解または分散させておいてもよい。
油溶性酸化剤としては、日本工業規格Z7260-107又はOECDTEST Guideline 107に定められるオクタノール/水分配係数(logPow)が-1.4以上のものが好ましく、0.0以上のものがさらに好ましく、1.0以上のものが特に好ましい。
油溶性酸化剤の具体例としては、t-ブチルヒドロパーオキサイド(logPow=1.3)、ジ-t-ブチルヒドロパーオキサイド(logPow=1.4)、t-ヘキシルヒドロパーオキサイド(logPow=0.94)、ジ-t-アミルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド(logPow=2.2)、ジクミルパーオキサイド(logPow=5.5)、t-ブチルクミルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート、過酸化ベンゾイル(logPow=3.5)、過酸化ラウロイル(logPow=10.34)などの有機過酸化物が挙げられる。これらの中でもt-ブチルヒドロパーオキサイドおよびクメンヒドロパーオキサイドが好ましく、特に好ましくはクメンヒドロパーオキサイドである。
水溶性還元剤としては、レドックス型重合開始剤に使用する還元剤として既知の還元剤が使用できるが、これらの中でも、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ハイドロサルファイトナトリウムが好ましく、特に好ましくはハイドロサルファイトナトリウムである。なお、これらの水溶性還元剤は、空気と接触することによって徐々に失活することがあるため、所望の重合開始タイミングの数分前に水に溶解し、添加することが好ましい。
レドックス型重合開始剤の使用量は、使用するビニル系単量体の種類、得られる重合体微粒子の粒径及び分子量などに応じて調整することができる。
油溶性酸化剤の使用量は、ビニル系単量体の合計量100モルに対して0.001モル~0.15モルであることが好ましく、特に好ましくは0.003モル~0.07モルである。
また、油溶性酸化剤と水溶性還元剤の比率は特に限定されないが、モル比率で油溶性酸化剤:水溶性還元剤が1.0:0.25~1.0:15.0であることが好ましく、特に好ましくは1.0:1.0~1.0:10.0である。
上記範囲内であると、単量体の反応率が向上し、粒子を構成する重合体の鎖長が長くなったり、重合終了後の触媒の残存が抑制されたりするなどによって、凝集物の発生が抑制される。
(分散安定剤)
本発明の逆相懸濁重合法においては、分散安定剤を使用することができる。
分散安定剤の具体例としては、マクロモノマー型分散安定剤、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。上記の分散安定剤は、1種のみを単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分散安定剤は分散媒(油相)である疎水性有機溶媒中に溶解、もしくは均一分散させて反応溶液に加えることが好ましい。
分散安定剤の使用量は、良好な分散安定性を維持しながら、粒径の揃った親水性重合体微粒子を得る観点から、ビニル系単量体の合計100質量部に対して、0.1質量部~50質量部であることが好ましく、0.2質量部~20質量部であることがより好ましく、0.5質量部~10質量部であることが更に好ましい。分散安定剤の使用量が、0.1質量部以上であると、ビニル系単量体および生成した重合体微粒子の分散安定性が良好になり、生成した重合体微粒子同士の凝集、沈降、粒径のばらつき等が生じにくくなる。一方、分散安定剤の使用量が50質量部以下であると、副生微粒子(1μm以下)の生成量が少なくなる傾向にある。
(ビニル系単量体)
逆相懸濁重合法に用いるビニル系単量体としては、ラジカル重合性のビニル系単量体であればいずれでもよく、特に制限されない。ビニル系単量体としては、例えば、カルボキシル基、アミノ基、リン酸基、スルホン酸基、アミド基、水酸基、4級アンモニウム基などの親水性基を有する親水性ビニル系単量体を使用することができる。
上記親水性ビニル系単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸モノブチル、マレイン酸モノブチル、シクロヘキサンジカルボン酸などのカルボキシル基を有するビニル系単量体またはそれらの(部分)アルカリ中和物;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのアミノ基を有するビニル系単量体またはそれらの(部分)酸中和物、もしくは(部分)4級化物;N-ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン;アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート、3-クロロ-2-アシッドホスホオキシプロピルメタクリレートなどのリン酸基を有するビニル系単量体またはそれらの(部分)アルカリ中和物;2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-スルホエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルホスホン酸、ビニルホスホン酸などのスルホン酸基またはホスホン酸基を有するビニル系単量体またはそれらの(部分)アルカリ中和物;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのノニオン性親水性単量体を挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
親水性ビニル系単量体の使用量は、ビニル系単量体総量に対し、好ましくは50質量%以上100質量%以下である。親水系ビニル系単量体の使用量は、70質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよく。90質量%以上であってもよく、95質量%以上であってもよい。親水系ビニル系単量体の使用量は、99.9質量%以下であってもよく、99.8質量%以下であってもよく、99.5質量%以下であってもよく、99質量%以下であってもよく、98質量%以下であってもよく。95質量%以下であってもよい。
これらの中でも(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を有するビニル系単量体;2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基を有するビニル単量体;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有するビニル系単量体;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル及びメトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのノニオン性親水性単量体が、親水性が高く、逆相懸濁重合に好適な点から好ましい。
また、本発明の一実施形態では、逆相懸濁重合を行なう際に、ビニル系単量体として、上記した単官能の親水性ビニル系単量体のうちの1種または2種以上と共に、ラジカル重合性の不飽和基を2つ以上有する多官能ビニル系単量体を使用することができる。
したがって、本明細書における「ビニル系単量体」は、単官能ビニル系単量体および多官能ビニル系単量体の総称である。
多官能ビニル系単量体としては、上記親水性ビニル系単量体とラジカル重合可能な基を2個以上有するビニル系単量体であればいずれでもよく、具体例として、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性物のトリ(メタ)アクリレートなどのポリオール類のジまたはトリ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミドなどのビスアミド類、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレートなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
これらの中でも、多官能ビニル系単量体としてはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびメチレンビス(メタ)アクリルアミドが、ベースをなす親水性ビニル系単量体および水の混合溶液に対する溶解度に優れ、高架橋密度を得るために使用量を多くする際に有利であり好ましく用いられ、特に好ましくは、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである。
上記多官能ビニル系単量体の使用割合は、使用するビニル系単量体の種類、得られる重合体微粒子の用途などに応じて異なり得るが、重合体微粒子に架橋特性が必要な場合には、全単量体中0.1mol%~30mol%含まれることが好ましく、0.5mol%~10mol%であることがより好ましい。多官能ビニル系単量体の使用割合が、0.1mol%以上であると微粒子の強度が確保され、30mol%以下であると吸水性能の点で好ましい。
本製造方法では、重合工程において、金属化合物及びリン化合物の存在下にビニル系単量体の重合反応が行われる。
(金属化合物)
金属化合物を使用することにより重合温度の急激な上昇を抑制又は低減することができ、重合温度を所望の範囲に制御することが可能となる。
金属化合物としては、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛等の遷移金属、並びに反応相においてこれらの金属イオンを生じる遷移金属化合物を用いることができる。これらの内でも、重合温度の制御がより容易となる点で、銅及び銅化合物が好ましい。具体的な銅化合物としては、酢酸第一銅、酢酸第二銅、硫酸第一銅、硫酸第二銅、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅及び臭化第二銅等の無機銅化合物、並びに、安息香酸銅、チオシアン酸銅及びチオフェン-2-カルボン酸銅等の有機銅化合物が挙げられる。これらの化合物は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
金属化合物の使用量は、反応相中における金属濃度として300ppb以下である。上記の通り、本製造方法における金属化合物の使用量は、反応相中における量として定義される。即ち、金属化合物の使用量は、例えば、逆相懸濁重合法等の不均一系重合法の場合は、主な重合反応の場である水相中の濃度として規定され、水溶液重合法等の均一系重合法の場合は、反応溶液全体に対する濃度として規定される。反応相中における金属濃度が300ppbを超える場合、重合安定性が悪化する傾向にあるため、例えば、濾過性等が不十分となる虞がある。反応相中における金属濃度は、好ましくは250ppb以下であり、より好ましくは200ppb以下である。反応相中における金属濃度は、180ppb以下であってもよく、150ppb以下であってもよく、100ppb以下であってもよい。反応相中における金属濃度は、極少量でも重合温度を制御する効果を得ることができ、例えば、10ppb以上で十分である。反応相中における金属濃度は、20ppb以上であってもよく、30ppb以上であってもよく、50ppb以上であってもよい。
反応相中における金属化合物の濃度は、原料として用いた当該金属化合物の使用量から計算によって求められる他、ICP(誘導結合プラズマ)発光分析により測定することもできる。
(リン化合物)
リン化合物を使用することにより重合安定性が向上するため、例えば製品のろ過性を改善することができる。
上記リン化合物としては特段の制限はなく、公知の無機リン化合物及び有機リン化合物を使用することができる。無機リン化合物としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、メタリン酸、ピロリン酸及びトリポリリン酸等、並びにそれらの塩が挙げられる。有機リン化合物としては、エタンジホスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸及びリン酸ビス(4-ニトロフェニル)等の有機リン酸化合物、並びにそれらの塩が挙げられる。これらの化合物は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
リン化合物は、反応相中に極少量存在することにより、重合安定化効果を得ることができる。リン化合物の使用量は、反応相中におけるリン濃度として、好ましくは10ppb以上であり、より好ましくは30ppb以上であり、さらに好ましくは50ppb以上であり、一層好ましくは100ppb以上である。反応相中におけるリン濃度の上限値は、特に制限されるものではないが、添加による効果が飽和すること、並びに、コスト及び排水負荷の観点から、例えば、2000ppbである。反応相中におけるリン濃度は、1000ppb以下であってもよく、500ppb以下であってもよい。
反応相中におけるリン化合物の濃度は、原料として用いた当該リン化合物の使用量から計算によって求められる他、ICP(誘導結合プラズマ)発光分析により測定することもできる。
上記の通り、反応相中に銅などの金属が存在することにより、重合熱による急激な重合温度の上昇を抑制し、重合温度を制御することができる。一方で、反応相に微量の金属が存在した場合は重合が不安定化し、凝集物の発生及び濾過性の悪化等の問題が生じることがある。本製造方法では、金属化合物に加え、リン化合物を併用することにより重合温度の制御と重合安定性との両立を図ることができる。この観点から、反応相中の金属濃度(M)とリン濃度(P)との関係(M/P)は、好ましくは100以下であり、より好ましくは10以下であり、さらに好ましくは5.0以下であり、一層好ましくは2.0以下であり、より一層好ましくは1.0以下であり、なお一層好ましくは0.5以下である。
(キレート剤)
本製造方法では、重合工程におけるビニル系単量体の重合は、さらにキレート剤の存在下に行うことができる。キレート剤を使用した場合、重合安定性をさらに向上する効果が得られることから好ましい。
キレート剤としては特に制限はなく、公知のキレート剤を使用することができる。具体的には、エチレンジアミン四酢酸及びトリエチレンテトラミン六酢酸等のアミノカルボン酸系キレート剤、並びに、α-ヒドロキシ酸又はその塩が挙げられる。これらの化合物は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
α-ヒドロキシ酸としては、少なくとも一つのカルボン酸基と、少なくとも一つの水酸基とを備える化合物であり、当該水酸基がカルボン酸基のα位に結合している化合物である。α-ヒドロキシ酸は、カルボン酸基を2つ以上備えていてもよい。
α-ヒドロキシ酸としては、例えば、DL-乳酸、グリセリン酸、グルコン酸、パントイン酸、2-ヒドロキシ酪酸、2-ヒドロキシイソ酪酸、DL-マンデル酸、m-ヒドロキシマンデル酸、ロイシン酸、シトラマル酸、タルトロン酸、パントイン酸、α-フェニル乳酸、ベンジリデン乳酸、グリコール酸、ベンジル酸、ベンジルグリコール酸、キナ酸、2-ヒドロキシ吉草酸、2-ヒドロキシイソ吉草酸、2-ヒドロキシカプロン酸、2-ヒドロキシエナント酸、2-ヒドロキシカプリル酸、α-ヒドロキシイソカプリル酸、2-ヒドロキシペラルゴン酸、2-ヒドロキシカプリン酸、2-エチル-2-ヒドロキシ酪酸、2-ヒドロキシ-2-メチル酪酸、2-エチル-2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸、2-ヒドロキシ-3,3-ジメチル酪酸、2-ヒドロキシ-2,3-ジメチルブタン酸、2-ヒドロキシ-2,3,3-トリメチルブタン酸、2-ヒドロキシ-3-メチル吉草酸、2-ヒドロキシ-2-エチルペンタン酸、2-ヒドロキシ-2-メチルペンタン酸、2-ヒドロキシ-2,4-ジメチル吉草酸、2-ヒドロキシ-2-プロピルペンタン酸、2-ヒドロキシ-4-オキソペンタン酸、2-ヒドロキシ-4-メチル-3-オキソペンタン酸、α-ヒドロキシイソカプロン酸、2-ヒドロキシ-2-メチルヘキサン酸、3-メチル-2-ヒドロキシヘキサン酸、2-ヒドロキシ-3-オキソヘキサン酸、2-ヒドロキシ-4-オキソヘキサン酸、2-ヒドロキシ-5-オキソヘキサン酸、2-ヒドロキシ-2-メチルヘプタン酸、3-メチル-2-ヒドロキシヘプタン酸、2-ヒドロキシ-2-メチルオクタン酸、3-ヒドロキシ-4-メトキシマンデル酸、4-メトキシマンデル酸などの一価のカルボン酸であるα-ヒドロキシ酸が挙げられる。また、酒石酸、クエン酸、イソクエン酸、DL-リンゴ酸等の二価以上のカルボン酸などの脂肪族α-ヒドロキシ酸が挙げられる。なかでも、クエン酸、イソクエン酸、DL-リンゴ酸等の二価以上のカルボン酸であるαヒドロキシ酸が好ましい。
α-ヒドロキシ酸は、塩の形態であってもよい。例えば、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属の塩であってもよい。
キレート剤の使用量は、反応相中において好ましくは10ppb以上であり、より好ましくは30ppb以上であり、さらに好ましくは50ppb以上であり、一層好ましくは100ppb以上である。キレート剤の使用量の上限値は、特に制限されるものではなく、キレート剤の配位子数と添加量とから求められる値が上記金属化合物を十分に錯体化できる程度であればよい。ただし、キレート剤を過剰に添加した場合はコストの上昇に繋がるため、上限値は、好ましくは10ppm以下であり、1ppm以下であってもよい。
反応相中におけるキレート剤の濃度は、原料として用いた当該キレート剤の使用量から計算によって求めることができる。
(重合条件)
重合工程の重合温度は、使用する単量体の種類及び濃度等の条件にもよるが、20℃~150℃が好ましく、40℃~100℃がより好ましい。重合温度は一定であってもよいし、重合工程の期間において変化するものであってもよい。また、重合時間は1分間~10時間が好ましく、10分間~5時間がより好ましく、30分間~2時間がさらに好ましい。
重合工程では、一種又は二種以上の重合反応を行うことができる。
ビニル系単量体及び開始剤等の原料はそれぞれ、重合開始時に投入されてもよいし、重合反応中にわたり連続的に供給されてもよいし、複数回に分けて添加されてもよい。連続的に供給される場合には、供給速度は一定であってもよいし、1回若しくは2回以上変化させてもよいし、又は連続的に変化させてもよい。
<脱溶媒工程>
上記重合工程を経て得られた重合体反応液は、そのまま溶液又は分散液等の状態で使用することも可能であるが、その後必要に応じて脱溶媒工程を設け、溶剤等の揮発成分を留去することにより重合体の粉末を得ることもできる。
脱溶媒工程では、重合体反応液を加熱及び/又は減圧処理し、溶媒等を留去することにより該重合体の乾燥粉末を得ることができる。加熱条件は留去する溶媒の種類及び用いる装置等により異なるが、一般に40℃~200℃程度であり、60℃~150℃程度が好ましい。また、減圧する場合は、1kPa~100kPa程度の条件を採用することができ、好ましくは10kPa~70kPaである。
上記脱溶媒工程を経て得られた重合体の乾燥粉末は、適当な中和剤を用いて中和して水に溶解することにより、水溶液の形態とすることもできる。中和剤としては、アンモニア、モノエタノールアミン等の各種有機アミンの他、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物等を使用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。尚、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。尚、以下において「部」、「%」、「ppm」及び「ppb」は、特に断らない限り重量部、重量%、重量ppm及び重量ppbを意味する。
なお、以下において「篩ON量」とは、濾過の後に篩の上に残った量を意味する。
<比較例1>
コンデンサー、傾斜翼を備えた攪拌機、温度計、及び窒素導入管を備えた3000mlフラスコにノルマルヘプタン481g、乳化剤としてモノオレイン酸ソルビタン(花王株式会社製 商品名AO-10V)6.5gを投入し、撹拌及び溶解した。その後、フラスコを内温15℃に維持して油相を調製した。これとは別の容器でアクリル酸133gに25%アンモニア水91gを加えて中和液を調製し、これにポリエチレングリコールジアクリレート(東亞合成株式会社製 商品名アロニックス M-243L)11gを加え、水相を調製した。ICP発光分析によりこの水相中のCu及びPの濃度を測定した処、共に検出限界(10ppb)以下であった。尚、「アロニックス」は東亞合成株式会社の登録商標である。
窒素吹き込み下、内温15℃で油相を撹拌しながら、上記で調製した水相を投入した。水相投入後の内温を15℃に調整した後、ハイドロサルファイトナトリウム(富士フイルム和光純薬株式会社製)0.12gを、イオン交換水4.6gを用いて流し込み、更にクメンハイドロパーオキサイト(日本油脂株式会社製 商品名パークミルH)0.1gを添加した。直ちに重合が開始され、内温は62.0℃に達した。重合開始時の温度とピーク温度との差(△t)は47.0℃と算出された(△t=62.0-15.0=47.0℃)。
その後、フラスコを冷却し、目開き75μmのJIS標準篩(JIS Z8801(ISO 3310)に準拠)で濾過した処、篩ON量は330ppmであった。これを光学顕微鏡で観察した処、真球粒子でない、意図しない異形粒子が確認された(図1参照)。
<比較例2>
重合開始温度を15℃から12℃に変更した以外は、比較例1と同様の操作を行った。重合開始後の内温は58.8℃に達し、△tは46.8℃と算出された(△t=58.8-12.0=46.8℃)。目開き75μmのJIS標準篩で濾過した処、篩ON量は250ppmであったが、光学顕微鏡観察により異形粒子が確認された。
<比較例3>
コンデンサー、傾斜翼を備えた攪拌機、温度計、及び窒素導入管を備えた3000mlフラスコにノルマルヘプタン481g、AO-10Vを6.5g投入し、撹拌及び溶解した。その後、フラスコを内温15℃に維持して油相を調製した。これとは別の容器でアクリル酸133gに25%アンモニア水91gを加えて中和液を調製し、これにアロニックス M-243Lを11g加え、更に硫酸第二銅・2水和物(富士フイルム和光純薬株式会社製)を水相中のCu濃度が59ppbとなる様に添加した。
窒素吹き込み下、内温15℃で油相を撹拌しながら、上記で調製した水相を投入した。水相投入後の内温を15℃に調整した後、ハイドロサルファイトナトリウム0.12gを、イオン交換水4.6gを用いて流し込み、更にパークミルH0.1gを添加した。直ちに重合が開始され、内温は58.6℃に達した。重合開始時の温度とピーク温度との差(△t)は43.6℃と算出された(△t=58.6-15.0=43.6℃)。
その後、フラスコを冷却し、目開き75μmのJIS標準篩で濾過した処、篩ON量は1110ppmと多量であった。光学顕微鏡観察では、凝集粒子は見られたものの、異形粒子は確認されなかった(図2参照)。
<実施例1>
コンデンサー、傾斜翼を備えた攪拌機、温度計、及び窒素導入管を備えた3000mlフラスコにノルマルヘプタン481g、AO-10Vを6.5g投入し、撹拌及び溶解した。その後、フラスコを内温15℃に維持して油相を調製した。これとは別の容器でアクリル酸133gに25%アンモニア水91gを加えて中和液を調製し、これにアロニックス M-243Lを11g加え、更に硫酸第二銅・2水和物及び次亜リン酸ナトリウム・1水和物(それぞれ富士フイルム和光純薬株式会社製)を水相中のCu濃度が12ppb、P濃度が59ppbとなる様に添加した。
窒素吹き込み下、内温15℃で油相を撹拌しながら、上記で調製した水相を投入した。水相投入後の内温を15℃に調整した後、ハイドロサルファイトナトリウム0.12gを、イオン交換水4.6gを用いて流し込み、更にパークミルH0.1gを添加した。直ちに重合が開始され、内温は58.8℃に達した。重合開始時の温度とピーク温度との差(△t)は43.8℃と算出された(△t=58.8-15.0=43.8℃)。
その後、フラスコを冷却し、目開き75μmのJIS標準篩で濾過した処、篩ON量は120ppmであった。光学顕微鏡観察では異形粒子は認められず、極少量の凝集粒子が確認されるのみであった。
<実施例2>
水相中のCu濃度、P濃度をそれぞれ12ppb、118ppbに調整した以外は実施例1と同様の操作を行った。内温のピーク温度は60.4℃であり、△tは45.4℃と算出された(△t=60.4-15.0=45.4℃)。
目開き75μmのJIS標準篩で濾過した処、篩ON量は40ppmと少量であり、光学顕微鏡観察では異形粒子は認められず、凝集粒子の存在も確認できなかった。
<実施例3>
水相中のCu濃度、P濃度をそれぞれ61ppb、18ppbに調整した以外は実施例1と同様の操作を行った。内温のピーク温度は59.1℃であり、△tは44.1℃と算出された(△t=59.1-15.0=44.1℃)。
目開き75μmのJIS標準篩で濾過した処、篩ON量は230ppmであり、光学顕微鏡観察では異形粒子は認められず、極少量の凝集粒子が確認されるのみであった。
<実施例4>
コンデンサー、傾斜翼を備えた攪拌機、温度計、及び窒素導入管を備えた3000mlフラスコにノルマルヘプタン481g、AO-10Vを6.5g投入し、撹拌及び溶解した。その後、フラスコを内温15℃に維持して油相を調製した。これとは別の容器でアクリル酸133gに25%アンモニア水91gを加えて中和液を調製し、これにアロニックス M-243Lを11g加え、更に硫酸第二銅・2水和物、次亜リン酸ナトリウム・1水和物及びクエン酸・1水和物(それぞれ富士フイルム和光純薬株式会社製)を水相中のCu濃度が35ppb、P濃度が119ppb、クエン酸濃度が105ppbとなる様に添加した。
窒素吹き込み下、内温15℃で油相を撹拌しながら、上記で調製した水相を投入した。水相投入後の内温を15℃に調整した後、ハイドロサルファイトナトリウム0.12gを、イオン交換水4.6gを用いて流し込み、更にパークミルH0.1gを添加した。直ちに重合が開始され、内温は59.5℃に達した。重合開始時の温度とピーク温度との差(△t)は44.5℃と算出された(△t=59.5-15.0=44.5℃)。
その後、フラスコを冷却し、目開き75μmのJIS標準篩で濾過した処、篩ON分は認められなかった。
<実施例5>
水相中のCu濃度、P濃度及びクエン酸濃度をそれぞれ53ppb、45ppb及び82ppbに調整した以外は実施例4と同様の操作を行った。内温のピーク温度は58.8℃であり、△tは43.8℃と算出された(△t=58.8-15.0=43.8℃)。
目開き75μmのJIS標準篩で濾過した処、篩ON量は60ppmと少量であり、光学顕微鏡観察では異形粒子は認められず、極少量の凝集粒子が確認されるのみであった。
<実施例6>
水相中のCu濃度、P濃度をそれぞれ175ppb、18ppbに調整した以外は実施例1と同様の操作を行った。内温のピーク温度は57.4℃であり、△tは42.4℃と算出された(△t=57.4-15.0=42.4℃)。
目開き75μmのJIS標準篩で濾過した処、篩ON量は390ppmであり、光学顕微鏡観察では異形粒子は認められず、少量の凝集粒子が確認されるのみであった。
<実施例7>
水相中のCu濃度、P濃度をそれぞれ35ppb、164ppbに調整した以外は実施例1と同様の操作を行った。内温のピーク温度は59.1℃であり、△tは44.1℃と算出された(△t=59.1-15.0=44.1℃)。
目開き75μmのJIS標準篩で濾過した処、篩ON量は280ppmであり、光学顕微鏡観察では異形粒子は認められず、少量の凝集粒子が確認されるのみであった。
<比較例4>
コンデンサー、傾斜翼を備えた攪拌機、温度計、及び窒素導入管を備えた3000mlフラスコにノルマルヘプタン481g、AO-10Vを6.5g投入し、撹拌及び溶解した。その後、フラスコを内温15℃に維持して油相を調製した。これとは別の容器でアクリル酸133gに25%アンモニア水91gを加えて中和液を調製し、これにアロニックス M-243Lを11g加え、、更に硫酸第二銅・2水和物及び次亜リン酸ナトリウム・1水和物(それぞれ富士フイルム和光純薬株式会社製)を水相中のCu濃度が450ppb、P濃度が20ppbとなる様に添加した。
窒素吹き込み下、内温15℃で油相を撹拌しながら、上記で調製した水相を投入した。水相投入後の内温を15℃に調整した後、ハイドロサルファイトナトリウム0.12gを、イオン交換水4.6gを用いて流し込み、更にパークミルH0.1gを添加した。直ちに重合が開始され、内温は50.5℃に達した。重合開始時の温度とピーク温度との差(△t)は35.5℃と算出された(△t=50.5-15.0=35.5℃)。
その後、フラスコを冷却し、目開き75μmのJIS標準篩で濾過した処、篩ON量は2000ppmと多量であった。光学顕微鏡観察では、異形粒子ではないものの凝集した粒子が確認された。
Figure 0007287398000001
Figure 0007287398000002
比較例1は重合温度の上昇抑制が不十分であり(△t=47.0℃)、異形粒子の発生が確認された。比較例2では、重合開始温度を下げることにより△tは若干低下し(46.8℃)、残渣量もやや低減されたが、異形粒子の発生は抑制できなかった。比較例3では、Cuを使用することにより重合温度を制御することができ、異形粒子の発生も見られなかったが、重合安定性が低下し、多量の残渣が発生した。比較例4では、Cu及びPの存在下に重合反応を行ったが、Cu含有量が多いため重合開始時の温度と内温ピーク温度との差(Δt)は大きく低下した。得られた製品に異形粒子の発生は見られなかったが、重合安定性が低下し、多量の凝集粒子が発生して濾過が困難であった。
実施例1~7は、反応相中300ppb以下の金属、及びリンの存在下に重合反応を行ったものであり、△tは45.4℃以下に制御され、異形粒子の発生も認められなかった。また残渣量も少なく、良好な重合安定性を示すことが確認された。中でも、キレート剤であるクエン酸を併用した実施例4及び実施例5では、より高い重合安定性を示す結果が得られた。
本発明の製造方法によれば、各種工業材料として有用な高分子量重合体を、安定的に製造することが可能となる。

Claims (5)

  1. 金属化合物及びリン化合物の存在下、ビニル系単量体の重合を行う重合工程を備え、
    前記重合工程は、懸濁重合法によりビニル系単量体の重合を行う工程を含み、
    前記金属化合物の濃度は、反応相中における金属濃度として300ppb以下である、重合体の製造方法。
  2. 前記ビニル系単量体は、カルボキシル基を有するビニル系単量体を含む請求項に記載の重合体の製造方法。
  3. 前記金属化合物は銅化合物である請求項1又は2に記載の重合体の製造方法。
  4. 前記重合工程における前記ビニル系単量体の重合は、さらにキレート剤の存在下に行われる請求項1~のいずれか1項に記載の重合体の製造方法。
  5. 前記キレート剤は、αヒドロキシ酸である請求項に記載の重合体の製造方法。
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