JP2729215B2 - ラジカル重合性化合物の保存安定化方法 - Google Patents

ラジカル重合性化合物の保存安定化方法

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浩光 中山
真琴 勝川
泰生 佐藤
幸治 藤岡
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  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はラジカル重合性化合物の
保存安定化方法に関する。
【0002】
【従来の枝術】従来、ラジカル重合性化合物の保存安定
化方法としては、保存中の加熱や露光によるラジカル重
合を防止するために、ハイドロキノンやモノメトキシハ
イドロキノン等の重合禁止剤を安定剤として含有させる
ことが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法は、安定効果が十分ではなく、長期保存時や高温
下、露光下でラジカル重合を起こし、容器中で暴走反
応、爆発の危険性がある。保存中、一部に重合物が生
成して増粘し、品質の劣化を生じる。保存中に着色を
生じ商品価値を著しく落とす、等の問題点がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題点
を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。す
なわち、本発明は、ラジカル重合性化合物に、銅換算で
5ppb〜100ppmの銅化合物を保存安定剤として
含有させることを特徴とするラジカル重合性化合物の保
存安定化方法である。
【0005】本発明において銅化合物としては、銅の酸
化物、水酸化物、有機酸塩、無機酸塩等が挙げられる。
【0006】銅の有機酸塩を形成する有機酸としては、
例えば、飽和カルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、
乳酸、シュウ酸、酒石酸、安息香酸、エチレンンアミン
4酢酸等)、不飽和カルボン酸(アクリル酸、メタクリ
ル酸、マレイン酸、イタコン酸等);スルホン酸(メタ
ンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベン
ゼンスルホン酸等);フェノール類(フェノール、クレ
ゾール等)が挙げられる。
【0007】銅の無機酸塩を形成する無機酸としては例
えば、塩酸、硫酸、リン酸、炭酸、硝酸等が挙げられ
る。
【0008】これらの銅化合物は単独でも混合物として
も使用できるが、好ましいものはラジカル重合性化合物
に可溶化もしくはイオン化し、ラジカル重合性化合物の
安定性を極めて向上させることのできる水酸化銅、有機
酸銅および無機酸銅である。このうち特に好ましいもの
は、保存時には組成物の安定性を極めて向上させ、樹脂
を形成させる時にはそれ自身が硬化に寄与することので
きる不飽和カルボン酸銅であり、さらに好ましい物は、
単独熱重合性が低いため、組成物の保存時安定性が極め
て高く、少量の添加で効果を発揮するイタコン酸銅およ
びマレイン酸銅である。
【0009】本発明において、ラジカル重合性化合物と
は不飽和結合含有物質全般を指し、α,β−不飽和カル
ボン酸〔アクリル酸、メタクリル酸など〕、α,β−不
飽和カルボン酸エステル〔(メタ)アクリル酸エステ
ル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステルなど〕、
ビニルエステル、ビニルエーテル、アリルエーテル、ス
チレン類が挙げられる。好ましくは、α,β−不飽和カ
ルボン酸エステル、特に好ましくは(メタ)アクリル酸
エステルである。
【0010】本発明の方法における銅化合物の含有量
は、銅換算で5ppb〜100ppm、好ましくは10
ppb〜100ppmである。銅化合物の含有量が銅換
算で5ppb未満では組成物の保存安定性が悪く、10
0ppmを超えると硬化の際のラジカル重合性が低下す
る。
【0011】本発明の方法における銅化合物の添加は、
ラジカル重合性化合物の合成中でも、合成後でもよい。
合成中に添加する際は、銅化合物にはラジカル重合を禁
止する効果があるため、反応中の重合禁止剤として用い
たのち、吸着処理もしくは洗浄により目的の濃度に調整
してもよい。
【0012】本発明の方法によって得られる組成物は、
保存安定性が非常に良好なため、暴走重合の危険性や経
時変化による品質の劣化がほとんどなく、尚かつ、硬化
時のラジカル重合性は従来のものと同等であり、紫外
線、電子線、熱などによるラジカル重合硬化材料として
工業用途に好適に用いることができる。好ましくは紫外
線および電子線による重合硬化材料である。
【0013】
【実施例】以下実施例および比較例により本発明を更に
説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、以下において部は重量部を示す。
【0014】実施例1 トリメチロールプロパンエチレンオキサイド3モル付加
物トリアクリレート(酸価(0.03)100部に水酸
化銅0.00013部を加え、室温(25℃)で10分
間攪拌し、本発明で期待された範囲内の銅含有量の銅化
合物含有組成物(1)を得た。銅含量は原子吸光測定法
によると1ppmであった。
【0015】実施例2 水酸化銅の含量を0.0039部に変える以外は実施例
1と同様にして、本発明で期待された範囲内の銅含有量
の銅化合物含有組成物(2)を得た。銅含量は原子吸光
測定法によると31ppmであった。
【0016】実施例3 アクリル酸100部に水酸化銅(0.00013部を加
え、室温(25℃)で10分間攪拌し、本発明で期待さ
れた範囲内の銅含有量の銅化合物含有組成物(3)を得
た。銅含量は原子吸光測定法によると1ppmであっ
た。
【0017】実施例4 攪拌機、凝縮器、水分離器および温度計を付した四つ口
フラスコに、トリメチロールプロパンエチレンオキサイ
ド3モル付加物336.0部、アクリル酸389.1部
(対水酸基1.2当量)、トルエン100部、パラトル
エンスルホン酸18.5部および水酸化銅5部を仕込
み、空気を液相に通気して120℃で減圧下7時間、溜
出する生成水を系外に取り除きながらトルエン還流下に
エステル化を行なった。こののち、常圧に戻し、温度を
下げた後、水酸化ナトリウム水溶液で中和洗浄し静置し
た後分液した。この後トルエンを留去し、本発明で期待
された範囲内の銅含有量の銅化合物含有組成物(4)を
得た。銅含量は原子吸光測定法によると26ppmであ
った。
【0018】比較例1 トリメチロールプロパンエチレンオキサイド3モル付加
物トリアクリレート(酸価0.03)を、比較の組成物
(5)とする。銅含量は原子吸光測定法によると3pp
bであった。
【0019】比較例2 比較例1の組成物(5)100部に水酸化銅0.02部
を仕込み、室温(25℃)で10分間攪拌し、比較の組
成物(6)を得た。
【0020】比較例3 水酸化銅0.02部をハイドロキノン0.02部に変え
る以外は比較例2と同様にして、比較の組成物(7)を
得た。
【0021】比較例4 水酸化銅5部をハイドロキノン10部に変える以外は実
施例4と同様にして、比較の組成物(8)を得た。
【0022】試験例および比較試験例 組成物(1)〜(8)の経日安定性の試験結果を下記表
1、表2に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【発明の効果】本発明の保存安定化方法は下記の利点を
有する。 (1)保存安定性が極めて高く、ラジカル重合の暴走に
よる発熱、爆発等の危険性がない。 (2)生成したラジカルの消失速度が速いため、重合物
がほとんど生じず、初期の品質を長期間維持することが
できる。 (3)ハイドロキノン等を安定剤として含有する組成物
のように、長期間保管中に変色しない。上記効果を奏す
ることから、本発明の保存安定化方法は塗料、インキに
対して有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 油科 壮一 (56)参考文献 特開 平4−353503(JP,A) 特開 昭51−127016(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラジカル重合性化合物に、銅換算で5p
    pb〜100ppmの銅化合物を保存安定剤として含有
    させることを特徴とするラジカル重合性化合物の保存安
    定化方法。
  2. 【請求項2】 銅化合物が銅の有機酸塩、無機酸塩及び
    水酸化物のうち少なくとも一種である請求項1記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 ラジカル重合性化合物が紫外線(UV)
    または電子線(EB)による硬化性を有する請求項1ま
    たは2記載の方法。
  4. 【請求項4】 ラジカル重合性化合物がα,β−イ(飽
    和カルボン酸エステルである請求項1〜3のいずれか記
    載の方法。
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