JP2660899B2 - 光学フィルター用重合体の製造法 - Google Patents

光学フィルター用重合体の製造法

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JP2660899B2
JP2660899B2 JP5098382A JP9838293A JP2660899B2 JP 2660899 B2 JP2660899 B2 JP 2660899B2 JP 5098382 A JP5098382 A JP 5098382A JP 9838293 A JP9838293 A JP 9838293A JP 2660899 B2 JP2660899 B2 JP 2660899B2
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optical filter
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浩樹 上遠野
康文 藤井
武男 荻原
輝夫 阪上
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光学フィルター用重合体
の製造法に関し、更に詳細には、近赤外領域の波長光を
効率よくカットし、視感度補正に好適な光吸収特性を有
する光学フィルター用重合体の製造法に関する。
【0002】
【従来技術】従来、カメラの測光用フィルターや視感度
補正用フィルターとして、特殊なリン酸系ガラスに銅イ
オンが含有されたガラス製の光学フィルターが用いられ
てきた。しかし、これらのガラス製の光学フィルター
は、重く、吸湿性が大きくて経時的に失透しやすく、ま
た、光学フィルターの製造に当たって、成形、切削、研
磨等の加工が難しいなど、多くの問題を有している。こ
のため、軽くて、吸湿性が小さく、加工の容易な光学フ
ィルターの出現が強く望まれていた。これらの課題を解
決すべく、本発明者らは既に特願平4ー242585号
において、合成樹脂製の光学フィルターを提案してい
る。この合成樹脂製の光学フィルターは前記の諸問題を
解決する画期的なものであるが単量体組成物のポットラ
イフが短く、重合速度を制御することが困難であるとい
う製造上の問題点が残されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情に基づいてなされたものであって、その目的は、単
量体組成物のポットライフを延長し、重合速度の制御を
より容易にし、得られる重合体の均一性を高めることに
より、近赤外領域の波長光を効率よくカットすることが
できる光学フィルター用重合体の製造法を提供すること
にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の光学フィルター
用重合体の製造法は、下記化2で表されるリン酸基含有
単量体(以後、単量体Aと記すこともある。)と銅化合
物を主成分とする金属化合物とを必須成分とする単量体
組成物中の単量体成分100重量部当たり重合調整剤
0.003〜1重量部用いてラジカル重合を行うことを
特徴とする。
【0005】
【化2】PO(OH)n3-n 〔但し、RはCH2=CX−COO(C24O)m− (Xは水素原子またはメチル基を示し、mは1〜5の整
数である。)を示し、nは1または2である。〕
【0006】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明の光学フィルター用重合体の製造法は、リン酸基含
有単量体と銅化合物を主成分とする金属化合物とを必須
成分とする単量体組成物をラジカル重合することからな
る。
【0007】本発明の製造法によって得られる光学フィ
ルター用重合体の必須成分は上記化2で表される単量体
Aであり、後述する銅化合物と結合可能なリン酸基を分
子構造中に有している。そして、リン酸基を介して銅化
合物を保持することにより、近赤外領域に特徴ある光吸
収特性を示すものとなる。更に、単量体Aは分子鎖中
に、エチレンオキサイド基を介して、ラジカル重合性の
官能基であるアクリロイルオキシ基またはメタクリロイ
ルオキシ基が結合されているため、当該単量体Aは極め
て共重合性に富み、種々の単量体との共重合を行うこと
が可能である。
【0008】しかし、銅化合物が共存すると単量体Aの
ラジカル重合性はより大幅に促進され、重合開始剤や重
合温度で重合速度を操作可能範囲に調整することが困難
となる問題点がある。例えば、10時間半減期が100
℃を越える重合開始剤を用いても50℃で開始剤添加と
殆ど同時に重合が開始する。このように重合速度が早す
ぎると、重合操作性に欠けるとともに、重合反応の均一
性を保つことも困難となり、その結果得られる重合生成
物の性能、例えば光の透過性、耐熱性、強度等の低下が
生じ、光学フィルターとしての適性も損なわれる恐れが
ある。
【0009】本発明はこの重合速度を特定の重合調整剤
を用いてコントロールするラジカル重合法に関するもの
であり、まず、用いる単量体は化2の単量体Aを必須成
分とする。この単量体のエチレンオキサイド基の繰り返
し数mは1〜5の整数とされる。このmの値が5を越え
ると、得られる共重合体の硬度が大幅に低下し、光学フ
ィルターとしての実用性に欠けたものとなる。
【0010】また、水酸基の数nは、光学フィルターの
成形法や使用目的に応じて1または2のいずれかの値を
選択すればよい。nの値が2であるとき、すなわち、リ
ン原子に結合したラジカル重合性の官能基数が1である
単量体Aは、銅化合物との結合性が大きいものとなる。
一方、nの値が1である単量体A、すなわち、前記官能
基の数が2である単量体Aは架橋重合性を有するものと
なる。従って、nが2である単量体Aを用いた共重合体
である樹脂成分は、一般的な成形加工法である射出成形
法或いは押出成形法により容易に光学フィルターに成形
加工することが可能となる。ただし、光学フィルターの
成形加工法はこれらに限定されるものではない。
【0011】このように、光学フィルターの性能、成形
法、および目的に応じてnの値を選択することが出来る
が、nが1である単量体Aと、nが2である単量体Aと
を併用することが銅化合物の溶解性を高めることができ
るので好ましい。
【0012】本発明においては、光学フィルターの性
能、例えば、吸湿性、硬度、形状保持性等の諸性能を向
上させるため、並びに単量体組成物の重合反応性を調節
するため、前記単量体Aと共重合可能な単量体を用いる
ことができる。かかる共重合性単量体は、1)特定のリ
ン酸基含有単量体と均一に溶解混合すること、2)特定
のリン酸基含有単量体とのラジカル共重合性が良好であ
ること、3)光学的に透明な共重合体が得られること、
等を満足するものが用いられる。
【0013】これらの共重合性単量体の具体例として
は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プ
ロピルアクリレート等及びメチルメタクリレート、エチ
ルメタクリレート、nープロピルメタクリレート等のア
ルキルアクリレートならびにアルキルメタクリレート
と、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレー
トや2ーヒドロキシブチルメタクリレート等のようにア
ルキル基の一部をヒドロキシル基やグリシジル基で置換
した変性アルキルアクリレートや変性アルキルメタクリ
レート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチ
レングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコ
ールジメタクリレート、1,4ーブタンジオールジアク
リレートや1,4ーブタンジオールジメタクリレート、
2,2ービス(4ーメタクリロキシエトキシフェニル)
プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレー
ト、ペンタエリトリットトリメタクリレート、ペンタエ
リトリットテトラメタクリレート等の多官能アクリレー
トや多官能メタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸
等のカルボン酸、スチレン、ハロゲン化スチレン、αー
メチルスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化
合物を挙げることが出来る。これらの化合物は、単独で
或いは2種以上混合して共重合性単量体を構成してもよ
いが、ポットライフを長くし単量体組成物の重合操作性
を高めること並びに重合速度の調節をより容易にする効
果を有するもの、例えば、その単独重合体のガラス転移
温度が70℃以下となる単官能性単量体(以後、単量体
Bと記すことがある。尚、単量体B以外の共重合性単量
体を単量体Cと記すことがある)の併用が好ましい。
【0014】この好ましく用いられる単官能性である共
重合性単量体は、上記のうち、アルキル基の炭素数が1
〜8である低級アルキルアクリレート或いは低級アルキ
ルメタクリレート、ヒドロキシ変性アルキルアクリレー
ト或いはヒドロキシ変性アルキルメタクリレート等があ
る。
【0015】樹脂成分を構成しているこれら単量体の混
合比率は、単量体成分中単量体Aが3〜60重量%、好
ましくは20〜50重量%である。上記の共重合性単量
体(単量体Bと単量体Cとの合計量)が97〜40重量
%、好ましくは80〜50重量%である。単量体Bの併
用割合は共重合性単量体成分中の少なくとも40重量%
である。単量体Aの割合が3重量%未満である場合に
は、得られる共重合体が光学フィルターとして十分な光
吸収特性を発現できず、また、この割合が60重量%を
越えると、得られる共重合体の吸湿性が大きく、かつ要
求される硬度を満足できない柔軟なものとなり、ともに
好ましくない。
【0016】本発明において、必須成分として用いられ
る銅化合物を主成分とする金属化合物は、上記共重合体
成分中に含有されているリン酸基との相互作用により近
赤外領域の波長光を効率よく吸収する作用を有するもの
である。ここで、「銅化合物を主成分とする」とは、該
金属化合物に含まれる全ての金属に対する銅金属の割合
が80重量%以上であることを意味する。具体的には、
2価の銅化合物と、他の金属化合物とが、この割合を満
足する条件で含有されている化合物である。銅金属の割
合が80重量%未満である場合には、得られる共重合体
が近赤外領域の波長光を効率よく吸収することができ
ず、光学フィルター用に適さないものとなる。
【0017】本発明において用いられる銅化合物の一例
を示せば、酢酸銅、塩化銅、蟻酸銅、ステアリン酸銅、
安息香酸銅、エチルアセト酢酸銅、ピロリン酸銅、ナフ
テン酸銅、クエン酸銅等の無水物や水和物を挙げること
が出来る。なお、これらの化合物のみに限定されるもの
ではない。
【0018】また、上記金属化合物を構成する、銅以外
の金属化合物としては、ナトリウム、カリウム、カルシ
ウム、鉄、マンガン、コバルト、マグネシウム、ニッケ
ル等を金属成分とする化合物を目的に応じて用いること
が出来る。
【0019】本発明において、銅化合物を主成分とする
金属化合物の含有量は単量体成分100重量部に対して
5〜50重量部であることが好ましく、更により好まし
くは10〜40重量部である。この量が5重量部未満で
は、近赤外領域の波長光を効率よく吸収する共重合体が
得られず、一方、50重量部を越えると当該金属化合物
が均一に分散した共重合体を得ることが難しくなる。ま
た、銅の含有量としては共重合体100重量部に対して
1〜20重量部であることが好ましい。
【0020】単量体Aからなる単量体成分と銅化合物を
主成分とする金属化合物との単量体組成物の重合は通常
のラジカル重合開始剤を用いる、塊状(キャスト)重合
法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法等のラジカル
重合法を用いることができる。
【0021】ただし、前述したように、単量体Aは銅化
合物が共存するとラジカル重合反応が急速に進行する特
性を有している。重合反応が急激に進行すると反応の均
一性が失われ、得られた重合体の組成の不均一に基づく
光の透過性にむら(脈理)が生じたり、耐熱性や強度等
の均一性が低下し、光学フィルター用には適さないもの
となりやすい。従って、本発明の、単量体Aからなる単
量体成分と銅化合物を主成分とする金属化合物との単量
体組成物のラジカル重合においては重合反応速度を調整
することが重要な課題である。
【0022】本発明においては、重合反応速度を調整す
る手段としては、成長ラジカルと速やかに反応して低反
応性のラジカルに変わる物質或いは化合物を用いること
が主体であり、このような目的で用いられる重合調整剤
としては、ヒドロキノン、p−ベンゾキノン等のベンゾ
キノンやその誘導体、フェノール、p−メトキシフェノ
ール、ニトロフェノール、ジフェニルピクリルヒドラジ
ルフェノール、t−ブチルカテコール等のフェノールや
その誘導体、ナフタレン、2,7ージヒドロキシナフタ
レン等のナフタレンやその誘導体等、アクリレート系或
いはメタクリレート系単量体の重合抑制剤として用いら
れるものが挙げられる。また、これら化合物は単独で、
或いは2種以上混合して用いることができる。
【0023】これらの重合調整剤は単量体Aを必須単量
体とする単量体組成物中の単量体成分100重量部に対
して0.003〜1重量部、好ましくは0.01〜0.
5重量部である。この重合調整剤量が0.003重量部
未満では単量体組成物に重合開始剤を添加したときに重
合が急激に進行することを抑えることができず、単量体
組成物の取扱い性が悪く、得られる重合体の光透過性、
耐熱性或いは強度等の光学フィルターとしての性能も低
下する。一方、この量を1重量部を越えて用いると、急
激な重合反応は抑えることができるが、実用的な硬度を
有する重合体が得られない。
【0024】本発明における単量体組成物の重合は、既
に記述したようにラジカル重合開始剤で進行するので通
常のラジカル重合法で行われる。重合方式としては、単
量体Aとしてnの値が1である単量体、すなわち官能基
の数が2である架橋重合性を有する単量体を併用するこ
とが好ましいので、このような単量体組成物を用いると
きは直接成形物が得られる注型重合法を用いるのが好ま
しい。単量体組成物が架橋性単量体を含まないときは注
型重合法以外の一般的なラジカル重合法も用いることが
できるのは当然である。
【0025】本発明におけるラジカル重合法は単量体組
成物に予め重合調整剤の必要量を添加混合し、しかるの
ちにラジカル重合開始剤を添加混合し、加熱することに
よって重合を行う。注型重合法においては、各種用途に
応じて設計された型枠にラジカル重合開始剤を添加混合
した単量体組成物を注入して加熱重合するほかに、別の
容器である程度の重合を行わせて得たプレポリマーない
しシロップをこの型枠に注入して重合を完結させること
もできる。
【0026】この単量体組成物には、得られる重合体の
用途に応じて帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、熱安
定剤、酸化防止剤、離型剤、その他の補助資材を含むこ
とができる。また、得られた重合体から光学フィルター
の製造は、注型重合法で単量体組成物から直接にフィル
ターを得るほかに、板材その他から削りだす、或いは重
合体の射出成形法等で連続的に行うこともできる。更
に、必要に応じて成形物の表面研磨、帯電防止処理、表
面硬度を高めたり表面反射を防ぐための、有機系ないし
無機系ハードコート剤の塗膜の形成を行うことも可能で
ある。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて説明するが、
本発明がこれらによって限定されるものではない。尚、
以下において、「部」は「重量部」を意味する。
【0028】〔実施例1〕下記化3で表される特定のリ
ン酸基含有単量体(単量体A)20部と、下記化4で表
される特定のリン酸基含有単量体(単量体A)10部
と、nーブチルメタクリレート(単量体B)20部と、
メチルメタクリレート(単量体B)34部と、ジエチレ
ングリコールジメタクリレート(単量体C)15部と、
αーメチルスチレン(単量体C)1部と、p−メトキシ
フェノール0.01部とを良く混合して単量体成分を調
整した。この単量体成分に無水安息香酸銅17部(単量
体成分100部に対する銅金属の含有量が3.5部)を
添加し、55℃で攪拌混合することによって十分に溶解
させ、無水安息香酸銅が単量体成分中に溶解されてなる
単量体組成物を得た。
【0029】
【化3】
【0030】
【化4】
【0031】以上のようにして調整された単量体組成物
に、t−ブチルパーオキシ(2ーエチルヘキサノエー
ト)2.0部を添加したが室温においては重合の開始は
見られず、取扱い上好ましいポットライフを有してい
た。この重合開始剤を添加混合した単量体組成物を55
℃で16時間、60℃で8時間、更に、90℃で3時間
と順次異なる温度で加熱して注型重合を行った。重合中
の単量体組成物の温度変化を重合開始後連続的に調べた
が、設定した重合型の温度とほぼ同じ温度が保たれてい
た。
【0032】得られた重合体は重合型枠からの離型性が
良好で、離型時の破損、脈理もなく外観特性に優れたも
のであった。また、得られた厚み1mmの板状重合体の
分光光度計による分光透過率曲線を測定したところ、近
赤外領域(700〜1000nm)の波長光を効率よく
吸収することが分かった。これら結果を表1に示す。
【0033】尚、単量体組成物の重合性(ポットライ
フ、重合発熱)並びに重合体の性能評価は以下のように
して行った。 (1)ポットライフ 単量体組成物に重合開始剤を55℃で添加混合し、2時
間後の目視によるゲル発生の有無。 ○:ゲル発生無し △:若干のゲル有り ×:ゲル発生多 (2)重合発熱 重合開始2.5時間後における設定温度からの上昇温度
差。 ○:5℃以内 △:5〜15℃以内 ×:15℃以上 (3)脈理(透過光の「ゆらぎ」) 注型重合体の光線透過性を目視観察したときの脈理の有
無。 ○:全く脈理が認められない △:若干の脈理がある ×:面全体に脈理がある (4)近赤外域のカット性 分光光度計を用いて、厚み1mmの成形体が波長700
〜1000nmの光をカットする度合い。 ○:透過率が5%未満 △:透過率が5〜10% ×:透過率が10%以上
【0034】〔実施例2〕上記化3で表される特定のリ
ン酸基含有単量体(単量体A)30部と、上記化4で表
される特定のリン酸基含有単量体(単量体A)15部
と、エチルアクリレート(単量体B)34部と、ジエチ
レングリコールメタクリレート(単量体C)20部と、
αーメチルスチレン(単量体C)1部と、pーメトキシ
フェノール0.01部とを良く混合して単量体成分を調
整した。この単量体成分に無水安息香酸銅28部と蓚酸
鉄(II)2水和物(FeC24・2H2O)1部との
混合金属化合物(単量体成分100部に対する銅の含有
量は5.8部、かつ銅の含有比率は93%)を添加し、
55℃で十分に攪拌して、金属化合物が均一に溶解混合
した単量体組成物を得た。このようにして調整した単量
体組成物を用いて、実施例1と同様にして注型重合を行
った。単量体組成物100部に重合開始剤であるtーブ
チルパーオキシ(2ーエチルヘキサノエート)を2.0
部を55℃で添加混合しても、直ちに重合を開始するこ
とはなく重合操作性に優れたポットライフを有してい
た。得られた重合体は脈理もなく外観特性に優れたもの
であった。また、実施例1と同様にして測定した近赤外
領域の波長光の吸収効率も優れていた。この評価結果を
表1にまとめて示した。
【0035】〔実施例3〕上記化3で表される特定のリ
ン酸基含有単量体(単量体A)32部と、上記化4で表
される特定のリン酸基含有単量体(単量体A)13部
と、メチルメタクリレート(単量体B)25部と、エチ
レングリコールジメタクリレート(単量体C)30部
と、pーメトキシフェノール0.01部とを良く混合し
て単量体成分を調整した。この単量体成分に無水安息香
酸銅32部(単量体成分100部に対する銅の含有量が
6.6部)を添加し、80℃で攪拌混合することによっ
て、無水安息香酸銅が単量体成分中に溶解されてなる単
量体組成物を調整した。
【0036】この単量体組成物にtーブチルパーオキシ
オクタネート2.0部を添加混合したが、室温では重合
の開始は見られず、取扱い上好ましいポットライフを有
していた。 この重合開始剤を添加混合した単量体組成
物を55℃で16時間、更に、100℃で2時間加熱し
て注型重合を行った。重合開始後の単量体組成物の温度
変化を実施例1と同様にして調べたが、設定条件通りの
温度が保たれていた。
【0037】得られた重合体について実施例1と同様に
して分光透過率曲線を測定したところ、近赤外領域の波
長光を効率よくカットすることが分かった。尚、この注
型重合体は重合型からの離型性が優れ、かつ脈理もなく
外観特性に優れていた。これら評価結果を表1に示し
た。
【0038】〔比較例1〕pーメトキシフェノールを用
いなかった以外は実施例3と同様にして単量体組成物の
注型重合を行った。重合開始剤の添加直後から単量体組
成物の温度の急激な上昇が認められ、重合開始2時間3
0分後に最高の80℃に達した。得られた注型重合体に
は脈理が認められ、また実施例1と同様にして測定した
近赤外領域の波長光のカット性もやや劣っていた。結果
を表1に示した。
【0039】〔実施例4〕上記化3で表される特定のリ
ン酸基含有単量体(単量体A)32部と、上記化4で表
される特定のリン酸基含有単量体(単量体A)13部
と、メチルメタクリレート(単量体B)34部と、エチ
レングリコールジメタクリレート(単量体C)20部
と、αーメチルスチレン(単量体C)1部と、pーメト
キシフェノール0.02部とを良く混合して単量体成分
を調整した。この単量体成分に、無水安息香酸銅32部
(単量体成分100部に対する銅金属の含有量が6.6
部)を添加し、80℃で攪拌混合することによって十分
に溶解させ、無水安息香酸銅が単量体成分中に溶解され
てなる単量体組成物を得た。
【0040】以上のようにして調整された単量体組成物
を用い、実施例3と同様にして注型重合を行った。重合
開始後の単量体組成物の温度変化を実施例1と同様にし
て調べたが、急激な温度上昇と発熱のピークは見られ
ず、設定条件の55℃とほぼ同等な温度が保たれてい
た。得られた注型重合体には脈理はなく、表面の平滑性
も優れ、かつ、実施例3と同様にして測定した重合体の
分光透過率曲線から、近赤外領域(700〜1000n
m)の波長光を効率よく吸収することが分かった。表1
に結果を示す。
【0041】〔比較例2及び実施例5、6〕メチルメタ
クリレートを24部に変更し、新たにαーメチルスチレ
ン(単量体C)を1部添加し、p−メトキシフェノール
を0.001部(比較例2),0.005部(実施例
5)及び0.5部(実施例6)とした以外は実施例3と
同様にして単量体組成物を調整し、注型重合を行った。
単量体組成物のポットライフ、重合発熱、得られた重合
体の性能評価を実施例3と同様にして行った結果を表1
に示した。
【0042】〔実施例7〜9〕p−メトキシフェノール
0.01部をフェノール0.02部(実施例7)、o,
o′ービフェノール0.02部(実施例8)及びp−ベ
ンゾキノン0.02部(実施例9)に変更した以外は実
施例3と同様にして単量体組成物を調整し、注型重合を
行った。単量体組成物のポットライフや重合発熱性、重
合体の光学性能について実施例1と同様にして評価した
結果を表1に示した。
【0043】
【発明の効果】以上のように、本発明の光学フィルター
用重合体の製造法は、特定のリン酸基含有単量体と銅化
合物を主成分とする金属化合物とを必須成分とする単量
体組成物を重合調節剤の存在下にラジカル重合を行うも
のであり、単量体組成物のポットライフが取扱い性に優
れたものとなり、重合温度を設定条件に調整することが
可能となるとともに、得られる注型重合体の光線透過性
のゆらぎがなく、表面平滑性にも優れ、かつ近赤外領域
の波長光を効率良くカットすることのできる重合体を提
供することができる。
【0044】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G02B 5/20 G02B 5/20

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記化1で表されるリン酸基含有単量体と
    銅化合物を主成分とする金属化合物とを必須成分とする
    単量体組成物中の単量体成分100重量部当たり重合調
    整剤0.003〜1重量部用いてラジカル重合を行うこ
    とを特徴とする光学フィルター用重合体の製造法。 【化1】PO(OH)n3-n 〔但し、RはCH2=CX−COO(C24O)m− (Xは水素原子またはメチル基を示し、mは1〜5の整
    数である。)を示し、nは1または2である。〕
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