JP3885476B2 - 高分子ゲルの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蛍光性を有する高分子ゲルに関する。本発明の高分子ゲルは、蛍光性ランタノイド錯体をゲル高分子鎖に共重合しているので、優れた発光強度と色純度を特徴とする。しかも、原料溶液の塗布次いで重合を行うことにより、特に薄膜状に容易に成形できるので、ディスプレイや照明器具の発光体、あるいは蛍光分析用の基板等の材料として利用される。
【0002】
【従来の技術】
ランタノイド陽イオンは、特有のf軌道電子遷移に基づく波長幅の狭い蛍光やミリ秒に及ぶ長い蛍光寿命に特徴のある発光物質である。発光帯波長幅が狭いことは、実用的には色純度の良い発光材料であることを意味する。従って、蛍光性ランタノイド錯体は、例えば蛍光免疫分析や細胞マーカー等の生物学的分析における発光試薬として利用されている。
【0003】
ランタノイド陽イオンが芳香環を有する有機配位子により増感され高い蛍光能を獲得し、これが前記の生物学的分析における発光試薬として利用可能であることは、例えばJ.Yuanら;Analytical Sciences February 1996,12巻,31頁(1996)等で良く知られている。また、特にポリベンジルエーテルデンドロンを配位子とするランタノイド3価陽イオン錯体において、該デンドロンがTb3+やEu3+等を非常に強く増感してその蛍光能を大きく向上させることが、「アンテナ効果」としてM.Kawaら;Chem.Mater.,10巻,286頁(1998)に報告されている。かかる有機配位子による増感は、通常、紫外線の有機配位子による吸収、次いで該紫外線のエネルギーのランタノイド陽イオンへの伝達による可視〜近赤外波長領域での蛍光発生、なる機構で起こる。
【0004】
一方、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPA)に代表されるアクリルアミド誘導体等のラジカル重合性モノマーに適当な架橋剤を共重合して高分子ゲルが得られることは公知である。かかる高分子ゲルは、該モノマーが親水性である場合には水で膨潤する性質を示しヒドロゲル(Hydrogel)となる。例えば、前記のNIPAを主体とする高分子ヒドロゲルは、N.V.Grinbergら;Macromolecules,32巻,1471−1475(1999)に報告されているように34℃付近にゲルの相転移を有し非常に大きな体積変化を可逆的に示す材料であり、その応用が期待されていた。しかし、前記の特徴を有するランタノイド陽イオンの蛍光能を付与したヒドロゲル、更には前記デンドロンのアンテナ効果のような大きな増感効果によるランタノイド陽イオンの蛍光能を付与したヒドロゲルは知られていない。
【0005】
また、ランタノイド元素をドープした無機蛍光体は、テレビ受像器のブラウン管等の蛍光材料として広く使用されているが、かかる無機蛍光体を水や有機溶媒中に沈殿を生じることなく安定に懸濁させることは困難であり、ましてや高分子ゲル中にこれを均質に分散・固定せしめた材料は得られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、蛍光性ランタノイド錯体がゲル高分子鎖に共重合された高い蛍光能を有する高分子ゲルを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記の目的を達成すべく、特に蛍光性ランタノイド錯体への共重合性官能基の導入とそのゲル高分子鎖への共重合について鋭意系統的な検討を行った結果、極めて高輝度でかつ安定した蛍光能を有する高分子ゲル、特にヒドロゲルを与え、しかもかかる高分子ゲルはその原料溶液の塗布により容易に薄膜状に成形可能であることを見出して本発明に到達した。ランタノイド陽イオンは水和により大きく蛍光強度が低下することが知られているが、本発明の高分子ゲルをヒドロゲルとした場合にも極めて高い蛍光能の保持が可能であることは本発明が初めて達成した驚くべき新事実である。
【0008】
即ち、本発明の要旨は、ラジカル重合性の多重結合、及びカルボキシレート基又はβ−ジケトネート基を有するデンドロンを配位子とする蛍光性ランタノイド錯体を、スルホキシド類を含有する溶媒中で、ラジカル反応性モノマーと共重合させて高分子鎖とすることを特徴とする、液体分子により膨潤した高分子ゲルの製造方法に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につきさらに詳細に説明する。
<蛍光性ランタノイド錯体>
本発明に用いられる蛍光性ランタノイド錯体とは、ランタノイド陽イオンと有機配位子とを構成成分とし、該配位子の増感作用(配位子を励起する光のエネルギーによりランタノイド陽イオンが発光する現象)を示し、かつ任意の重合形式における重合性を有する錯体である。重合形式としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、配位重合、開環重合、縮重合等が例示されるが、特にラジカル重合が好ましい。かかる重合性は、通常、該有機配位子に重合性を有する官能基(以下、重合性基と呼ぶ)を導入して付与される。
【0010】
本発明においては、蛍光性ランタノイド錯体が重合性を有することが必要条件であり、該錯体が複数の有機配位子を含有する場合に全ての有機配位子が重合性基を結合している必要はない。例えば、1つのランタノイド陽イオンが3つの有機配位子で配位された錯体において、全ての有機配位子が1つずつ重合性基を結合している場合には錯体全体としては3つの重合性基を有することになる。この場合の錯体は3官能の重合性モノマーとして機能することが予想されるので、ゲル高分子鎖の生成時に架橋点として作用する場合がある。従って、むやみに多くの重合性基を蛍光性ランタノイド錯体に導入すれば良いとは限らず、所望の高分子ゲル物性に応じて重合性基の数は調整される。重合性基を有する配位子の割合は、錯体を合成する際の配位子の混合比や配位子を錯化させる順序等により制御される。
【0011】
前記のランタノイド陽イオンとしては、Ce3+、Pr3+、Nd3+、Nd4+、Sm2+、Sm3+、Eu2+、Eu3+、Tb3+、Dy3+、Dy4+、Ho3+、Er3+、Tm2+、Tm3+、Yb2+、Yb3+等が挙げられ、中でも、Pr3+、Nd3+、Sm3+、Eu3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+等の3価陽イオンは、可視〜近赤外領域、狭い波長幅等の特徴を持つ蛍光を発することから好適であり、中でもSm3+、Eu3+、Tb3+、Dy3+、およびTm3+が更に好適であり、Eu3+およびTb3+が比較的長い蛍光寿命等に由来する発光強度の点で最も好適である。
【0012】
本発明に用いられる蛍光性ランタノイド錯体に使用可能な有機配位子の化学構造にはランタノイド陽イオンへの増感作用を示す限りにおいて特に制限はないが、増感作用の点でβ−ジケトネート基、カルボキシレート基、あるいはピリジン環を有する構造(例えばビピリジンやテルピリジン構造)等を配位構造として有するものが好適である。これらの配位子とランタノイド陽イオンとの組み合わせに特に制限はないが、本発明において発光特性の点から好適な組み合わせは、後述するように、Tb3+とEu3+に対するカルボキシレート基を有する配位子、およびEu3+に対するβ−ジケトネート基を有する配位子が挙げられる。その他の有機配位子あるいは有機配位構造としては、水酸基、ケトン基、エーテル基等の酸素含有官能基、青酸イオン(CN-)やニトリル基、ピリジン環、トリアジン環、アミノ基等の窒素含有官能基、メルカプト基(又はチオール基:−SH)、チオフェン環、チオシアン酸イオン(SCN-)、チオシアヌル酸残基等の硫黄含有官能基等が例示される。
【0013】
本発明に用いられる有機ランタノイド錯体は、無機配位子(例えば塩化物イオンやヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン等の強酸の陰イオン等)を含有していても構わないが、無機配位子の使用は該錯体の発光能の点で不利な場合がある。
【0014】
本発明に用いられる蛍光性ランタノイド錯体の化学構造は重合性基を含有するが、その数は錯体1分子中少なくとも1つ存在すれば良く、この数は通常1〜20、好ましくは1〜15、更に好ましくは1〜10、最も好ましくは1〜5の自然数とする。この数が大きすぎると、ゲル生成重合反応中での過度の架橋によるゲル化等が生じる場合があり、これによる高分子ゲル構造の不均質化による濁りやゲル強度の極端な低下等の悪影響を来す場合がある。
【0015】
<好適なカルボキシレート型錯体>
本発明に好適なカルボキシレート基を有する配位子により構成される蛍光性ランタノイド錯体として、デンドロン配位子を含有する錯体が挙げられる。特に、フォーカルポイントにカルボキシレート基を有しかつ繰り返し単位に芳香環を有する芳香族デンドロンを配位子とするものが非常に好適である。
【0016】
本発明におけるデンドロン(Dendron)とは、近年盛んになってきているデンドリマー(Dendrimer:樹枝状規則分岐を有する高分子構造の総称)の研究において、かかる構造単位を持つ分子構築部品という意味で広く用いられる術語と同意であり、例えば、G.R.Newkomeら著の成書;Dendritic Molecules,Concepts・Synthesis・Perspectives(VCH VerlagsgesellschaftmbH;Weinheim,Germany;1996、ISBN:3−527−29325−6)にて用いられている。そして、該分岐構造の開始点(デンドロンを模式的に扇型と見なした場合の扇の要に相当)をフォーカルポイントと称し、分岐の次数を「世代(Generation)」と称する(図1を参照)。本発明におけるデンドロンの分岐点における分岐の本数に制限はないが、通常2本(図1の場合に相当)又は3本であり、好ましくは2本である。なお、本発明においては、分岐点が1つの構造(即ち第1世代)もデンドロンと見なす。
【0017】
本発明に用いられるデンドロンは、その化学構造の繰り返し単位に芳香環を有することが好ましい。これは、該デンドロンに紫外光あるいは可視光を吸収させて前記の「アンテナ効果」を発揮せしめるためである。ここで芳香環とは、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の炭化水素芳香環、ピリジン環、キノリン環等の含窒素芳香環等を意味する。本発明に好適なデンドロンの構造例として、具体的には、ポリベンジルエーテル等の芳香族ポリエーテル、ポリヒドロキシ安息香酸等の芳香族ポリエステル、芳香族又は半芳香族ポリアミド、芳香族ポリカーボネート(PC)、芳香族ポリエステルカーボネート、芳香族ポリケトン、芳香族ポリエーテルケトン(PEK)、芳香族ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等の芳香族ポリスルフィド、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミド等の炭素以外の元素を高分子主鎖に含む芳香族系高分子構造、ポリフェニレン、ポリフェニレンエチニレン、ポリフェニレンエチレン等の炭素−炭素結合で主鎖が構成されている芳香族系共役高分子構造等が挙げられ、このうちポリベンジルエーテル等の芳香族ポリエーテル、ポリヒドロキシ安息香酸等の芳香族ポリエステル等が好ましく、中でもポリベンジルエーテル等の芳香族ポリエーテルがより好ましく、3,5−ジオキシベンジル基を繰り返し単位とする構造(C.J.Hawkerら;J.Chem.Soc.,Chem.Commun.、1010−1013頁(1990)を参照)が最適である。なお、錯体の発光特性を大きく損なわない限りにおいて、これらの複数種の構造が1つのデンドロン中に共存していても差し支えない。
【0018】
また、デンドロンがそのフォーカルポイントに下記式(1)で表される3,5−ジオキシベンゾエート構造を有する場合、発光特性の点でTb3+およびEu3+に対して好適であり、下記式(2)で表される3,4−ジオキシベンゾエート構造を有する場合に、Tb3+に対して特に好適である。
【0019】
【化1】
Figure 0003885476
【0020】
【化2】
Figure 0003885476
【0021】
本発明に用いられるデンドロンの世代に特に制限はないが、通常1〜6、合成の容易性から好ましくは1〜4、発光効果の点でより好ましくは2〜4、最も好ましくは2または3とする。
本発明に用いられる重合性基を結合した重合性デンドロンは、好ましくはラジカル重合性を有する。かかるラジカル重合性デンドロンの構造が含有する重合性基としては、芳香環と共役した炭素−炭素多重結合(例えば4−ビニルフェニル基や3−ビニルフェニル基等のスチレン残基、4−プロパルギルフェニル基、あるいはビニルナフタレン残基等の共役炭化水素構造、4−ビニルピリジル基や2−ビニルピリジル基等のビニルピリジン残基等の含窒素芳香環と共役した構造等)、アクリロイル基、メタクリロイル基、あるいはクロトノイル基等のアクリル酸、メタクリル酸、あるいはクロトン酸等の不飽和共役カルボン酸から誘導される共役炭化水素残基、マレイノイル基やフマロイル基等のマレイン酸やフマル酸等の不飽和共役ジカルボン酸から誘導される共役炭化水素残基、アリル基を有する構造(例えば4−アリルフェニル基、4−アリルオキシフェニル基、4−アリルオキシカルボニルフェニル基等)、ビニルエーテル構造やビニルエステル構造を有する構造(例えば4−ビニルオキシフェニル基、4−ビニルオキシカルボニルフェニル基等)が挙げられる。
【0022】
ゲルの高分子鎖への共重合性の点で、かかる重合性基はデンドロンの非フォーカルポイント末端に結合されていることが望ましい。また、1つのデンドロン中でのかかる重合性基の数に制限はないが、ゲル高分子鎖を生成する重合反応中における過度のゲル化を防ぐために、該重合性基の数は通常1〜8、好ましくは1〜6、更に好ましくは1〜4、最も好ましくは1〜3の自然数とする。
【0023】
本発明に好適なカルボキシレート錯体の具体的な構造例としては、下記構造式(3)〜(8)の構造式により表される、4−ビニルフェニル基末端を有するポリベンジルエーテルデンドロンを配位子とするランタノイド錯体が挙げられる(下記式(3)〜(5)中、Ln3+はTb3+またはEu3+を表す)。中でも下記構造式(4)または(7)で表される第2世代ポリベンジルエーテルデンドロンカルボキシレートを配位子とする錯体は、合成容易性と輝度のバランス点で非常に好ましく、下記構造式(3)または(6)で表される第1世代ポリベンジルエーテルデンドロンカルボキシレートを配位子とする錯体は、錯体の単位重量当たりの輝度の点で実用的に非常に有用である。なお式(3)〜(8)に例示の構造において、含有される4−ビニルフェニル基末端が、デンドロン構造中の任意の非フォーカルポイント末端に置き換わった異性体が同様のラジカル重合性を有することは言うまでもなく、また1つのデンドロン構造中に前記のように最大3つ程度の4−ビニルフェニル基末端が含有されていても好ましい重合性を発揮する。
【0024】
【化3】
Figure 0003885476
【0025】
【化4】
Figure 0003885476
【0026】
【化5】
Figure 0003885476
【0027】
【化6】
Figure 0003885476
【0028】
【化7】
Figure 0003885476
【0029】
【化8】
Figure 0003885476
【0030】
<好適なβ−ジケトネート型Eu3+錯体>
本発明に好適なEu3+とβ−ジケトネート基を有する配位子により構成される蛍光性ランタノイド錯体は、下記一般式(9)で表されるものである。
【0031】
【化9】
Figure 0003885476
【0032】
但し、一般式(9)において、Rは炭素数6以下のアルキル基または炭素数6以下のフッ化アルキル基を、R’はラジカル重合性構造を有する芳香族基をそれぞれ表す。
一般式(9)における好適なRとしては、例えばメチル基、エチル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基等の直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基等の分岐を有するアルキル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等の直鎖状パーフルオロアルキル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ノナフルオロイソブチル基等の分岐を有するパーフルオロアルキル基等が挙げられ、より好適なのはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等の直鎖状パーフルオロアルキル基、およびヘプタフルオロイソプロピル基等の炭素数4以下のパーフルオロアルキル基、更に好適なのはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基等の炭素数3以下のパーフルオロアルキル基、最も好適なのはトリフルオロメチル基である。
【0033】
一方、一般式(9)における好適なR’としては、フェニル基、ナフチル基、、アントラセニル基、ピレニル基等の芳香族炭化水素基、チエニル基[又はテノイル基]やフラニル基[又はフロイル基]等の硫黄原子や酸素原子等のヘテロ原子を含有する芳香族基、あるいはピリジル基等の含窒素芳香族基等が例示できる。該R’にラジカル重合性の重合性基を導入したい場合には、該R’として、芳香環と共役した炭素−炭素多重結合を有する芳香族基(例えば4−ビニルフェニル基や3−ビニルフェニル基等のスチレン残基、4−プロパルギルフェニル基、あるいはビニルナフタレン残基等の共役炭化水素構造、4−ビニルピリジル基や2−ビニルピリジル基等のビニルピリジン残基等の含窒素芳香環と共役した構造等)、不飽和共役カルボン酸類から誘導される非芳香族共役炭化水素残基(例えばアクリロイル基、メタクリロイル基、あるいはクロトノイル基等のアクリル酸、メタクリル酸、あるいはクロトン酸等の不飽和共役カルボン酸から誘導される共役炭化水素残基、マレイノイル基やフマロイル基等のマレイン酸やフマル酸等の不飽和共役ジカルボン酸から誘導される共役炭化水素残基等)を結合した芳香族基(例えばフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基等の芳香族炭化水素基、チエニル基[又はテノイル基]やフラニル基[又はフロイル基]等の硫黄原子や酸素原子等のヘテロ原子を含有する芳香族基、ピリジル基等の含窒素芳香族基等)、アリル基を結合した芳香族基(例えば4−アリルフェニル基、4−アリルオキシフェニル基、4−アリルオキシカルボニルフェニル基等)、ビニルエーテル構造やビニルエステル構造を結合した芳香族基(例えば4−ビニルオキシフェニル基、4−ビニルオキシカルボニルフェニル基等)が挙げられる。これらのうち特に好適なR’の具体例は、4−ビニルフェニル基や3−ビニルフェニル基等のスチレン残基、4−アクリロイルオキシフェニル基、4−メタクリロイルオキシフェニル基、3−アクリロイルオキシフェニル基等のヒドロキシフェニル基のアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル等であり、中でも4−ビニルフェニル基、4−アクリロイルオキシフェニル基、4−メタクリロイルオキシフェニル基等のラジカル重合性基を4位に有する置換フェニル基が最適である。
【0034】
<高分子ゲル>
本発明における高分子ゲルについて説明する。ここでいう高分子ゲルとは、前記の任意の重合形式により生成する高分子鎖を構成成分として含有するゲルを意味する。かかる高分子鎖は液体分子により膨潤してゲルを形成し、該ゲル形状を支持する骨格として機能する。そして、該ゲルの機械的強度等の点で、通常3つ以上の分岐を有する架橋点を該高分子鎖構造中に含有することが望ましいが、本発明の高分子ゲルはそのゲル形状の維持が可能である限りにおいて、かかる架橋点の存在は必須要件ではない。ここで言う「ゲル形状の維持」とは、ゲルが重力により不可逆的な自重変形(例えば粘性流動や塑性変形)を起こさないことを意味する。ここで、好ましい重合形式はラジカル重合である。
【0035】
かかる高分子ゲル構造は架橋していても良い高分子鎖を支持骨格とするモデルで一般に理解されており、固化しており粘性(流動性)を示さない。かかる高分子ゲルは、通常、該高分子鎖構造と親和性のある液体分子を保持して膨潤している。そして、該液体が有機溶媒の場合はオルガノゲル(Organogel)、該液体が水の場合はヒドロゲルと呼ぶ(例えば岩波書店刊「理化学辞典」第5版(1998)の対応する項目を参照)。これらのうち、ヒドロゲルは含有する液体の無毒性により対環境安全性に優れた材料であり、しかも、タンパク質等の生体物質を検出する水系蛍光分析での応用に最適な材料であり特に重要である。
【0036】
本発明の高分子ゲルは、蛍光性ランタノイド錯体がゲルの高分子鎖に共重合された高分子ゲルである。本発明の高分子ゲルにおけるランタノイド元素の含有量は、ゲルを形成する高分子構造の熱分解温度未満の温度での減圧加熱乾燥により溶媒が除去された乾燥状態において、通常0.001〜10重量%、ゲルの強度や膨潤性及びゲルの発光能の点で好ましくは0.01〜7重量%、更に好ましくは0.05〜5重量%、最も好ましくは0.1〜3重量%程度とする。
【0037】
また、高分子鎖に共重合された蛍光性ランタノイド錯体のモル分率は、高分子鎖を形成する全重合性成分中、通常その上限が10%以下、好ましくは7%以下、最も好ましくは5%以下であり、下限が通常0.01%以上、好ましくは0.1%以上、最も好ましくは0.2%以上である。この値が大きすぎると特にヒドロゲルとした高分子ゲルの膨潤性能が極端に悪化する場合があり、また逆に小さすぎると高分子ゲルの蛍光能が極端に低下する場合があり、いずれの場合も本発明の目的達成の障害となる場合がある。
【0038】
本発明における高分子ゲルの高分子鎖を形成する重合性モノマー(以下、単に「重合性モノマー」と呼ぶ)には制限はない。ラジカル重合により高分子ゲルを得る場合には、公知の任意のラジカル反応性モノマーの使用が可能である。具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、4−アセトキシスチレン、4−クロロメチルスチレン等のスチレン類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、メチルクロトネート、n−ブチルクロトネート、ベンジルクロトネート、N,N−ジメチルアミノプロピルクロトネート等のクロトン酸エステル類、(メタ)アクリル酸やクロトン酸等の不飽和共役カルボン酸、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、クロトニルアミド、N−メチルクロトニルアミド、N,N−ジメチルクロトニルアミド、N−クロトニルモルホリン、N−イソプロピルクロトニルアミド等のクロトニルアミド類、酢酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、ピバル酸ビニル、酪酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル等のカルボン酸のビニルエステル類、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジメチル、マレイン酸のモノエチルエステル、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等の共役不飽和ジカルボン酸誘導体、N−ビニルオキサゾリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン等が例示される。これらのうち、汎用的に用いられ重要なものは、スチレン、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイミド等であり、応用上重要なヒドロゲルに好適に使用される親水性モノマーとしては、アクリル酸やメタクリル酸等の不飽和共役カルボン酸、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPA)等のアクリルアミド誘導体、アクリルニトリル等が例示される。特にNIPAは、34℃付近で大きな体積変化を伴う相転移を示すヒドロゲルを与えるので、かかる性質を利用した温度によるスイッチング等の応用上、重要である。
【0039】
高分子ゲルを得るためには、適切な架橋剤、即ち多官能性の重合性モノマーを使用しても良い。かかる架橋剤としてラジカル重合に利用されるのは、1分子中に複数のラジカル重合性基を含有する化合物、即ち、ジビニルベンゼン等の多官能ベンゼン、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ブチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、アジピン酸ジビニル、(メタ)アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル等の2官能ビニルエステル類等が例示される。これらのうち一般的に用いられるのはジビニルベンゼン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジアクリレート、アジピン酸ジビニル、アクリル酸ビニル等であり、中でもN,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミド類はヒドロゲル合成の架橋剤として特に好適に用いられる。
【0040】
ゲル強度や水による膨潤性等の点で実用上好適なヒドロゲルを得る目的では、前記のNIPA等のアクリルアミド誘導体を重合性モノマーの主体としてラジカル重合することが望ましい。この目的で、重合性モノマーと架橋剤の総和(以下「全モノマー」と呼ぶ)中のアクリルアミド誘導体のモル分率は、通常10〜100%、好ましくは25〜100%、更に好ましくは40〜100%、最も好ましくは50〜100%とする。
【0041】
また、この目的で使用される架橋剤としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド等の2官能架橋剤を全モノマー中のモル分率として、通常0.001〜5%、好ましくは0.01〜4%、更に好ましくは0.05〜3.5%、最も好ましくは0.1〜3%程度使用する。
ラジカル重合による高分子ゲルの製造に使用されるラジカル発生剤に制限はないが、通常、熱あるいは光でラジカルを発生する化合物が用いられる。熱ラジカル発生剤として一般的なものは、N,N’−アゾビスイソブチロニトリル(通称AIBN)等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル等の過酸化物等が最も一般的に用いられるが、水溶性のラジカル発生剤、例えば過硫酸カリウムや過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、あるいは水溶性のアゾ化合物(例えば和光純薬(株)から市販されているもの)等を使用しても構わない。また光ラジカル発生剤として一般的なものとしては、α−アミノアセトフェノンや2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1等のアミノアセトフェノン類、の他、ベンジルジメチルケタール類、グリオキシエステル類、アシルホスフィンオキシ類等が例示される。なお、光ラジカル開始剤を用いる方法において、ラジカル重合の加速の目的で重合反応液を加熱しても構わない。
【0042】
前記したラジカル重合性を有する重合性モノマー、架橋剤、及びラジカル発生剤はいずれも、必要に応じて、それぞれ複数種を混合して用いても構わない。
<高分子ゲルの製造方法>
本発明の高分子ゲルをラジカル重合により製造する方法を説明する。
まず、前記の重合性モノマー、架橋剤、ラジカル発生剤、及びラジカル重合性を有する蛍光性ランタノイド錯体(これらを総合して以下「ゲル原料」と呼ぶ)を任意の混合比で混合する。このゲル原料を、公知の任意のラジカル重合形式(例えば溶液重合、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、ミニエマルション重合、マイクロエマルション重合、ソープフリー乳化重合等)により重合して高分子ゲルを製造可能であるが、ゲルの高分子鎖が生成した後の液体による膨潤性の点で好適なのは溶液重合である。これは、ゲル原料を溶液中でラジカル重合を進行させ、生成する高分子ゲルに対して必要に応じて溶媒交換を行う手順による方法である。この場合、高分子量化の途中で、生成物の反応溶媒への溶解性が極端に低下して析出しない反応溶媒を選定することが望ましい。
【0043】
かかる溶液重合に好適に用いられる反応溶媒は、ゲル原料や生成する高分子ゲルの化学的親和性により大きく変動するが、一般的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族系溶媒、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン(通称THF)等のエーテル系溶媒、塩化メチレンやクロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(通称DMF)、N−メチルピロリドン(通称NMP)等の非プロトン性アミド系溶媒、ジメチルスルホキシド(通称DMSO)やジブチルスルホキシド等のスルホキシド類、メタノールやエタノール、あるいは水等の水酸基を有するプロトン性溶媒等から選択される。ゲル原料や生成する高分子鎖の親水性が低い場合には、例えばトルエン、THF、塩化メチレン、DMFやNMP等の非プロトン性アミド系溶媒、あるいはDMSO等が好適であり、逆にゲル原料や生成する高分子鎖の親水性が高い場合には、DMFやNMP等の非プロトン性アミド系溶媒、DMSO、メタノールやエタノール等のアルコール類、あるいは水等が好適である。これら例示の溶媒は、必要に応じて複数種を混合して用いても構わない。
【0044】
なお、本発明の高分子ゲルを最終的にヒドロゲルとする場合、前記の反応溶媒としてDMSO等のスルホキシド類自身又はこれを含む溶媒系を用いると、得られるヒドロゲルの発光能が顕著に向上する場合があり好ましく、この目的で特に好ましいのはDMSOである。この場合のスルホキシド類溶媒中における割合は、通常1〜100重量%、好ましくは5〜100重量%、更に好ましくは10〜100重量%、最も好ましくは20〜100重量%とする。このスルホキシド類の効果の理由は定かでないが、DMSO等のスルホキシド分子がランタノイド陽イオンに配位してヒドロゲル中の水分子の水和を妨げる機構が例えば推測される。
【0045】
本発明の高分子ゲルを、前記のNIPA等のアクリルアミド誘導体を重合性モノマーの主体としてラジカル溶液重合で行う場合を例に、好適な製造手順を更に詳しく説明する。
反応溶媒として例えばDMSOを用いる。ここにNIPAを主体とした重合性モノマー、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(以下、MBAAと略記)等の2官能架橋剤、及びラジカル重合性を有する前記の蛍光性ランタノイド錯体の3者を溶解する。これら重合性成分の総和の濃度は、通常0.01〜15モル/L、好ましくは0.1〜12モル/L、更に好ましくは0.5〜10モル/L、最も好ましくは1〜8モル/L程度とする。ここにAIBN等のラジカル発生剤を少量添加し、加熱してラジカル重合を進行させる。この時の反応温度は通常20〜150℃、好ましくは30〜120℃、更に好ましくは40〜100℃、最も好ましくは50〜90℃程度とする。かかるラジカル重合反応は、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行い、ラジカルをトラップする分子状酸素を除いた状態で行うのが望ましい。重合の進行とともに反応溶液全体がゲル化する。反応が完結したら、必要に応じてゲルを大過剰量の水と接触させてDMSOと水の溶媒交換を行いヒドロゲルを得る。
【0046】
なお、かかる好適な製造手順において、例えば該ランタノイド錯体として前記式(3)〜(8)のような3つのビニル基を1つの錯体分子中に有するものを用いる場合、これ自身が架橋剤として機能する(かかる錯体を以下「架橋性錯体」と呼ぶ)。従って、全架橋剤量を制御する必要があり、MBAA等の2官能架橋剤と該架橋性錯体の和のゲル原料分子の総和に対するモル分率を、通常0.001〜5%、好ましくは0.01〜4%、更に好ましくは0.05〜3.5%、最も好ましくは0.1〜3%程度使用する。架橋性錯体の架橋効果が十分な場合は、MBAA等の2官能架橋剤を全く用いる必要のない場合もある。
【0047】
本発明の高分子ゲルに、任意の添加剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等の安定剤類、ガラス繊維、ガラスビーズ、マイカ、タルク、カオリン、粘土鉱物、炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛、金属繊維、金属粉等のフィラー類、顔料や染料等の着色剤類、ゴムやエラストマー等の耐衝撃性付与剤、熱可塑性樹脂等、必要に応じて任意の添加物を混合することも可能である。
【0048】
<高分子ゲルの薄膜状成形体>
本発明の高分子ゲルは蛍光能を有するので、特に薄膜状に成形するとディスプレイや照明器具の発光体、あるいは蛍光分析用の基板等の材料として有用である。 ここで言う薄膜状成形体とは、任意の基板(例えば金属、金属酸化物、セラッミックス、化合物半導体、石英、各種無機ガラス等の無機物質、及び各種ポリマーや紙などの有機物質、あるいは水、アルコール類、水銀等の液体表面等)の面に接して、通常、1〜100,000nm、好ましくは5〜10,000nm、より好ましくは10〜1,000nm程度の膜厚で本発明の高分子ゲルを成形したものを言う。用いる基板としては、金属、金属酸化物、セラッミックス、石英、各種無機ガラス等の無機物質を用いるのが得られる薄膜の安定性の点で好ましい。
【0049】
かかる薄膜状成形体の成型方法に制限はないが、通常、前記したゲル原料溶液をまず任意の基板に塗布し、次いで重合反応を進行させて高分子ゲルを形成せしめ、必要に応じて溶媒の置換や乾燥等を行うことにより成形される。特に好ましくは、ラジカル重合性の多重結合を有する蛍光性ランタノイド錯体を含有する該ゲル原料溶液を用い、前記のように加熱してラジカル重合を進行させる方法、あるいは光ラジカル開始剤を用いて光照射によりラジカル重合を進行させる方法等が挙げられる。光ラジカル開始剤を用いる方法において、ラジカル重合の加速の目的で基板上に塗布された該反応液を加熱しても構わない。基材へのゲル原料溶液の塗布方法としては、スピンコーティング法、ディップコーティング法、ウェッティングフィルム法、スプレーコーティング法等の一般的な方法を用いることができる。
【0050】
このようにして得られる薄膜状成形体の大きさ、形状、面の性質(例えば平面、球面、曲面、凹面、凸面、多孔質の面、平滑性、あるいは厚さの分布等の属性)には特に制限はない。また、前記の任意の基板表面に、あらかじめ任意の表面処理(例えばプラズマ処理、コロナ処理、オゾン処理、裸火処理、酸やアルカリ処理等の酸化反応等の化学反応を施す処理、各種プライマーを塗布して接着層を設ける処理、吸水処理、微細な擦過傷をつける摩擦処理、等)を行うことも可能である。
【0051】
【実施例】
以下に、実施例により本発明の具体的態様を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
[測定装置と条件等]
(1)NMR:日本電子社製JNM−EX270型FT−NMR(1H:270.05MHz)溶媒:CDCl3
(2)FT−IR:日本分光工業社製FT/IR−8000型FT−IRを使用し、KBrディスク法、又は液膜法(食塩結晶上にサンプルの塩化メチレン溶液のキャストフィルムを作成)にて測定。
(3)蛍光スペクトル:日立製作所社製F−3000型蛍光光度計を使用して室温大気下で測定した。
【0052】
[ランタノイド酢酸塩の無水物の調製]
酢酸テルビウム(III)水和物、あるいは酢酸ユウロピウム(III)水和物を、窒素気流下、170℃で加熱して調製した。
[合成例と実施例]
合成例1:1つのビニル基を有し3,4−ジオキシ安息香酸残基をフォーカルポイント単位として有する第1世代のカルボン酸デンドロンの合成
(1)エーテル化反応
4−ビニルベンジルクロリド(Aldrich社製、1.0当量)、3,4−ジヒドロキシ安息香酸エチル(1.0当量)、無水炭酸カリウム(2.5当量)、18−クラウン−6エーテル(0.2当量)、テトラエチルアンモニウムブロミド(1.0当量)を乾燥アセトンに加え、更に触媒量の2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを加えて60℃で加熱攪拌した。市販のシリカゲル薄層クロマトグラフィ(TLC)で反応をモニターし、4−ビニルベンジルクロリドの消失を確認した後、ベンジルブロミド(1.0当量)を加えて更に反応を継続した。TLCでベンジルブロミドの消失を確認した後、濃縮した。残渣は、塩化メチレンと水の2相間で分液し、有機相を濃縮して粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィ(n−ヘキサン/酢酸エチル系)で精製し、3,4−ジオキシ安息香酸残基にビニルベンジル基とベンジル基をそれぞれ1つずつエーテル結合した第1世代のエステルデンドロン(以下、V34G1−CO2Etと略)を得た。この構造は、FT−IRスペクトルにおいて1710cm-1付近にエステル基のカルボニル基に由来する吸収帯が観測されこと、及び、1H−NMRスペクトルにおいてエトキシ基のメチル基(トリプレット/3H)とメチレン基(カルテット/2H)、ベンジル位プロトン(4H)、3種のビニル基プロトン(ダブレット/1H、ダブルダブレット/1H、及びダブルダブレット/1H)、芳香族プロトン(1H、9H、及び2H)のそれぞれのシグナルが観測されたことから確認した。
【0053】
(2)エステル基の加水分解
前記で得たV34G1−CO2Etをテトラヒドロフラン(THF)/メタノール系に溶解し、3倍当量の水酸化カリウムを含む40重量%水溶液を加えて得られる均一溶液を加熱還流してエステル基の加水分解を行った。TLCで反応終了確認後、使用した水酸化カリウムに対し過剰当量の塩酸を含む水溶液中に、氷冷下攪拌しながら滴下した。得られた析出物を塩化メチレンで抽出し、水洗後乾燥・濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:塩化メチレン/ジエチルエーテル系)で精製した。こうして得た第1世代のカルボン酸デンドロン(以下、V34G1−CO2Hと略)の構造は、FT−IRスペクトルにてカルボキシル基に帰属されるカルボニル基の吸収帯が観測されたこと、及び1H−NMRにおいてエトキシ基に帰属されるシグナルが見られなかったことから確認した。
【0054】
合成例2:1つのビニル基を有し3,5−ジオキシ安息香酸残基をフォーカルポイント単位として有する第1世代のカルボン酸デンドロンの合成
合成例1において、3,4−ジヒドロキシ安息香酸エチルの代わりに3,5−ジヒドロキシ安息香酸エチルを用いて同様のエーテル化反応とエステル基の加水分解を行い、目的とする第1世代のカルボン酸デンドロン(以下、V35G1−CO2Hと略)を得た。生成物の同定は合成例1と同様に行い、ビニル基とポリベンジルエーテルデンドロン骨格の存在が1H−NMRスペクトルで合成例1同様に確認され、エステル基の加水分解、次いで中和によるカルボキシル基への変換がFT−IRスペクトルで合成例1同様に確認された。
【0055】
合成例3:ラジカル重合性Tb3+デンドロン錯体の合成
合成例1で得たカルボン酸デンドロン(V34G1−CO2H)を3当量、酢酸テルビウム(III)無水物を1当量、及び触媒量の2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを混合し、窒素雰囲気下、クロロベンゼンを溶媒として100℃で加熱攪拌を開始した。10分後に減圧蒸留を開始し溶媒と生成する酢酸を除去し始めた。反応開始後25分後には均一透明な反応溶液となり沸騰が穏やかになったので、更に減圧度を高めて溶媒を完全に留去し、最終的に2mmHgの減圧度で70℃で2時間乾燥し、乾燥窒素で復圧して保存した。この生成物(以下、V34G1−Tbと略)は透明な樹脂状であり、塩化メチレンやトルエンに均一溶解した状態で増感されたTb3+の蛍光(即ちデンドロンの吸収波長の紫外線照射でTb3+が強く発光する現象)を与えたので、Tb3+陽イオンがデンドロンに配位されて有機溶媒に可溶化しかつ該デンドロンのアンテナ効果による強い増感作用を発現したものと考えられた。更にFT−IRスペクトルにおいて、原料のカルボン酸デンドロンが示すカルボキシル基の吸収帯の消失(即ちカルボキシル基のカルボキシレートへの変換)が確認されたので、目的とするTb3+デンドロンカルボキシレート錯体を得たものと結論した。
【0056】
合成例4:ラジカル重合性Eu3+デンドロン錯体の合成
合成例3において、カルボン酸デンドロンとして合成例2で得たもの(V−35G1−CO2H)を、酢酸テルビウム(III)無水物の代わりに酢酸ユウロピウム(III)無水物を用いて同様の合成・乾燥操作を行った。この生成物(以下、V35G1−Euと略)は透明な樹脂状であり、塩化メチレンやトルエンに均一溶解した状態で増感されたEu3+の蛍光(即ちデンドロンの吸収波長の紫外線照射でEu3+が強く発光する現象)を与えたので、Eu3+陽イオンがデンドロンに配位されて有機溶媒に可溶化しかつ該デンドロンのアンテナ効果による強い増感作用を発現したものと考えられた。更にFT−IRスペクトルにおいて、原料のカルボン酸デンドロンが示すカルボキシル基の吸収帯の消失が確認されたので、目的とするEu3+デンドロンカルボキシレート錯体を得たものと結論した。
【0057】
実施例1:Tb3+デンドロン錯体が共重合されたNIPAゲルの合成
N−イソプロピルアクリルアミド(NIPA、6.79g;0.06モル)、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(0.015g;9.7×10-5モル)、及び合成例3で得たラジカル重合性Tb3+デンドロン錯体であるV34G1−Tb(0.233g;1.9×10-4モル)をジメチルスルホキシド(10mL)に溶解したゲル原料溶液をガラス製試験管中で60℃にて攪拌し、ここに乾燥窒素ガスを吹き込んでバブリングを10分間行った。次いでここにN,N’−アゾビスイソブチロニトリル(通称AIBN、0.016g;9.7×10-5モル)を加えたところ10分程度でゲル状となり始めたので60℃に調温された窒素ガスオーブン内部に移動し静置した。ラジカル重合反応を十分に進行させた後、生成したゲルを取り出し、25℃付近の室温で大量の流水で十分にジメチルスルホキシドを置換してヒドロゲルとした。
【0058】
このヒドロゲルは、波長が254nmあるいは365nmの汎用水銀灯を照射すると、原料のTb3+デンドロン錯体に由来するアンテナ効果で増感された明るい緑色の蛍光を発した。このヒドロゲルの蛍光スペクトルを、励起波長を300nmとして測定すると、542nm付近の主発光帯を始めとするTb3+陽イオンに固有のものであり主発光帯の半値幅が20nm程度である色純度の良いものであることが確認された。また、このヒドロゲルを氷冷すると目視で優れた透明性を有するが、大気圧下の水中で加熱していくと水温が約33℃となった時点で直ちに白濁しこれ以上の温度では少なくとも70℃程度までは白濁したままであった。この白濁は、再び氷冷すると透明に戻った。こうした加熱と冷却によりこの透明/白濁の2状態を可逆的に取り得ることがわかったので、この状態変化はNIPAヒドロゲルのゲル相転移によるものであることがわかった。また、氷冷下での透明状態及び33℃以上での白濁状態のいずれにおいても、前記の緑色の蛍光能を示した。
【0059】
実施例2:Eu3+デンドロン錯体が共重合されたNIPAゲルの合成
実施例1において、ラジカル重合性デンドロン錯体としてV34G1−Tbの代わりに合成例4で得たラジカル重合性Eu3+デンドロン錯体を使用して同様のラジカル重合・溶媒置換操作を行いヒドロゲルを得た。
このヒドロゲルは、波長365nmの汎用水銀灯を照射すると、原料のEu3+デンドロン錯体に由来するアンテナ効果で増感された赤色の蛍光を発した。このヒドロゲルの蛍光スペクトルを、励起波長を300nmとして測定すると、612nm付近の主発光帯を始めとするEu3+陽イオンに固有のものであることが確認された。また、このヒドロゲルを氷冷すると目視で優れた透明性を有するが、大気圧下の水中で加熱していくと水温が約33℃となった時点で直ちに白濁しこれ以上の温度では少なくとも70℃程度までは白濁したままであった。この白濁は、再び氷冷すると透明に戻った。こうした加熱と冷却によりこの透明/白濁の2状態を可逆的に取り得ることがわかったので、この状態変化はNIPAヒドロゲルのゲル相転移によるものであることがわかった。また、氷冷下での透明状態及び33℃以上での白濁状態のいずれにおいても、前記の赤色の蛍光能を示した。
【0060】
実施例3:Tb3+デンドロン錯体が共重合されたNIPAゲル薄膜成形体の調製
実施例1のゲル原料溶液にAIBNを添加した直後の溶液を石英板上に塗布、流延し、これを60℃に調温された窒素ガスオーブン内部に移動し水平に静置した。ラジカル重合反応を十分に進行させた後、生成したゲルを取り出し、25℃付近の室温で大量の流水で十分にジメチルスルホキシドを置換してヒドロゲルの薄膜を得た。この薄膜は実施例1で得たヒドロゲルと同様の蛍光能とゲル相転移挙動を示した。
【0061】
【発明の効果】
本発明の高分子ゲルは、ゲルの高分子鎖に共重合された蛍光性ランタノイド錯体の蛍光能により、色純度が良く高輝度の発光材料である。本発明の高分子ゲルは、そのゲル原料溶液を任意の基板に塗布した後にゲルの重合反応を進行させることにより、容易に薄膜状成形体とすることも可能である。従って、ディスプレイや照明器具等の発光体、あるいは高分子ゲルをヒドロゲルとすることで親水性を有する蛍光分析用の基板等の材料として利用される。
【0062】
なお、一般にランタノイド陽イオンは水和により大きく蛍光強度が低下することが知られているが、本発明の高分子ゲルは、ヒドロゲルとした場合にも極めて高い蛍光能の保持が可能であることは本発明の顕著な効果の1つである。
【図面の簡単な説明】
【図1】デンドロンの世代とフォーカルポイントを示す模式図である。

Claims (8)

  1. ラジカル重合性の多重結合、及びカルボキシレート基又はβ−ジケトネート基を有するデンドロンを配位子とする蛍光性ランタノイド錯体を、スルホキシド類を含有する溶媒中で、ラジカル反応性モノマーと共重合させて高分子鎖とすることを特徴とする、液体分子により膨潤した高分子ゲルの製造方法。
  2. デンドロンが繰り返し単位に芳香族エーテル構造を有するものである請求項に記載の高分子ゲルの製造方法
  3. デンドロンが繰り返し単位にベンジルエーテル構造を有するものである請求項1又は2に記載の高分子ゲルの製造方法。
  4. デンドロンがカルボキシレート基を有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の高分子ゲルの製造方法。
  5. 蛍光性ランタノイド錯体が、テルビウムまたはユウロピウムの陽イオンを含有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の高分子ゲルの製造方法。
  6. 高分子ゲルがヒドロゲルである請求項1〜5のいずれかに記載の高分子ゲルの製造方法。
  7. ラジカル反応性モノマーが、アクリルアミド誘導体である請求項1〜6のいずれかに記載の高分子ゲルの製造方法。
  8. ラジカル重合性の多重結合を有する蛍光性ランタノイド錯体のモル分率が、高分子鎖を形成する全重合性成分中、0.01〜10%である請求項1〜7のいずれかに記載の高分子ゲルの製造方法。
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