JPH11158205A - アクリル蓄光樹脂成形体 - Google Patents

アクリル蓄光樹脂成形体

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JPH11158205A
JPH11158205A JP9329005A JP32900597A JPH11158205A JP H11158205 A JPH11158205 A JP H11158205A JP 9329005 A JP9329005 A JP 9329005A JP 32900597 A JP32900597 A JP 32900597A JP H11158205 A JPH11158205 A JP H11158205A
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JP
Japan
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methyl methacrylate
weight
acrylic
parts
pigment
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JP9329005A
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English (en)
Inventor
Tomohiro Mizumoto
智裕 水本
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 取り扱い性が容易で、かつクリアランスの小
さい型内の場合でも容易な、蓄光顔料が均一に分散した
アクリル蓄光樹成形体を提供する。 【解決手段】 JIS K−7117に準拠した方法で
粘度を測定し、6min-1での粘度η1と60min-1での粘
度η2の比(η1/η2)が1.3以上であるメタクリル酸
メチル系単量体溶液100重量部に、蓄光顔料を0.0
1〜50重量部および重合開始剤を含有させたシロップ
を型へ注入し、重合硬化させてなるアクリル蓄光樹脂成
形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアクリル蓄光樹脂成
形体に関する。
【0002】
【従来の技術】外部光源例えば日光、蛍光灯、街灯等か
ら光を受けると、それを蓄積しておいて外部光源が消失
した後一定時間発光する蓄光顔料がすでに市販されてい
る。アクリル樹脂は、透明性、表面硬度、耐候性に優
れ、看板、照明カバー等の建築材料、光ディスク基盤、
導光板、光ファイバー等の光学材料等に幅広く用いられ
ている。蓄光顔料をアクリル樹脂に分散させたアクリル
蓄光樹脂組成物は、地下道、トンネル、地下室等の緊急
避難時用の標示板や、屋外で使用する一般の看板、標示
板として使用されている。
【0003】このようなアクリル蓄光樹脂の製法として
は、アクリル樹脂に蓄光顔料を添加して押出成形、射出
成形する方法がある。この方法では、用いる蓄光顔料の
硬度が高いために押出機、射出成型機のスクリュー等金
属部分の摩耗が激しく、成型品への着色が懸念される。
【0004】また、アクリル蓄光樹脂の製法としてアク
リル系不飽和単量体に蓄光顔料を分散させたシロップを
所望する形状の型内に注入し、重合硬化させ、その後型
を除去して製品を得る方法がある。この方法では、型内
にシロップを注入してから重合硬化が完了するまでの間
に分散させた蓄光顔料が沈降することがあり、得られた
製品の表面と裏面で物性が異なったり、また温度変化に
よって反りを発生するなどといった問題点を有してい
た。
【0005】蓄光顔料の沈降を防止する方法として、特
開昭60−55051号公報および特開平8−3254
77号公報には、シロップに予めメタクリル酸メチル系
重合体をメタクリル酸メチル系単量体に溶解する方法、
メタクリル酸メチル系単量体の一部を予備重合させる方
法が開示されている。
【0006】一方、アイソタクチックメタクリル酸メチ
ル重合体とシンジオタクチックメタクリル酸メチル重合
体は、メタクリル酸メチル単量体中でステレオコンプレ
ックスメタクリル酸メチル重合体を形成することが広く
知られている。ステレオコンプレックスメタクリル酸メ
チル重合体のメタクリル酸メチル単量体溶液は、室温下
で高粘度のゲル状であり、温度を高くすると急激に粘度
が低下し低粘度のゾル状になる。このいわゆるゾル・ゲ
ル転移が温度に対して可逆的起こる。例えば、特公昭4
7−14834号公報にはこのステレオコンプレックス
メタクリル酸メチル重合体を重合性単量体中に溶解させ
た高粘度ゲルを一旦温度を上げて、低粘度ゾルにした
後、型へ注入して重合硬化させる方法が開示されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】特開昭60−5505
1号公報および特開平8−325477号公報に記載の
方法では、蓄光顔料の重合硬化中での沈降を防止するた
めには、著しく粘度を高くする必要がある。そのため、
特にクリアランスの小さい型内へ注入使用する場合に作
業性が悪く、シロップ中の気泡が抜け難く外観の良好な
アクリル蓄光樹脂成形体を得ることは難しい。
【0008】また、特公昭47−14834号公報の方
法では重合硬化完了までに蓄光顔料が沈降しにくいが、
重合硬化させるために用いるラジカル重合開始剤が、温
度を高くすると分解し、生じたラジカルが重合性単量体
を重合硬化さる。そのため、型に注入する作業を速やか
に行わなければ、注入途中で重合により急激に粘度が上
昇しクリアランスの小さい型内への注入が出来ない。
【0009】そこで本発明者はかかる事情に鑑み、容易
に製造できるアクリル蓄光樹脂成形体について鋭意検討
した結果、特定量のアイソタクチックメタクリル酸メチ
ル系重合体、シンジオタクチックメタクリル酸メチル系
重合体、メタクリル酸メチル系単量体、蓄光顔料および
重合開始剤を含有するシロップを型へ注入し、重合硬化
させることによって、取り扱い性が容易で、かつクリア
ランスの小さい型内の場合でも容易に、蓄光顔料が均一
に分散したアクリル蓄光樹成形体を製造することができ
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、JI
S K−7117に準拠した方法で粘度を測定し、6mi
n-1での粘度η1と60min-1での粘度η2の比(η1/η2)
が1.3以上であるメタクリル酸メチル系単量体溶液1
00重量部に、蓄光顔料を0.01〜50重量部および
重合開始剤を含有させたシロップを型へ注入し、重合硬
化させてなるアクリル蓄光樹脂成形体である。以下、本
発明を詳細に説明する。
【0011】本発明におけるアイソタクチックメタクリ
ル酸メチル系重合体とは、メタクリル酸メチル単位を主
成分としてなる重合体で、メタクリル酸メチル単位連鎖
のアイソタクチシチーがトライアッド表示で50%以上
であることを意味し、必要により共重合可能な他の単量
体との共重合体を含むものである。
【0012】共重合可能な他の単量体は、公知のもので
あり、例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エ
チルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等の
メタクリル酸エステル類、アクリル酸メチル、アクリル
酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒ
ドロキシエチル、等のアクリル酸エステル類、メタクリ
ル酸、アクリル酸などの不飽和酸類、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、スチレン等単官能単量体であ
る。さらに、(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)
アクリル酸エステル、アリル(メタ)アクリル酸エステ
ル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エ
ステル、ジビニルベンゼン等分子内に2個以上の不飽和
2重結合を含有する多官能単量体である。
【0013】アイソタクチックメタクリル酸メチル系共
重合体中の各単量体単位の比率は、メタクリル酸メチル
50〜100重量部、好ましくは90〜100重量部、
共重合可能な他の単量体0〜50重量部、好ましくは0
〜10重量部である。共重合可能な他の単量体が50重
量部を越えると、メタクリル酸メチル系単量体に溶解し
にくくなるためである。特に、これら共重合可能な官能
基を2個以上有する単量体は、共重合時に架橋体を与
え、得られたポリマーが溶剤に不溶となるので、単官能
単量体1000重量部に対して1重量部以下としなけれ
ばならない。
【0014】該アイソタクチックアイソタクチックメタ
クリル酸メチル系重合体は、従来公知の方法によって製
造する事が出来るが、例えばグリニアル試薬を重合開始
剤として用いてアニオン重合させることによって得られ
る(特開昭61−179210号公報、特開昭61−1
76617号公報)。
【0015】本発明におけるシンジオタクチックメタク
リル酸メチル系重合体とは、メタクリル酸メチル単位を
主成分としてなる重合体で、メタクリル酸メチル単位連
鎖のシンジオタチシチーがトライアッド表示で50%以
上であることを意味し、必要により上記共重合可能な他
の単量体との共重合体を含むものである。
【0016】シンジオタクチックメタクリル酸メチル系
共重合体中の各単量体単位の比率は、メタクリル酸メチ
ル50〜100重量部、好ましくは90〜100重量
部、共重合可能な他の単量体0〜50重量部、好ましく
は0〜10重量部である。共重合可能な他の単量体が5
0重量部を越えると、メタクリル酸メチル系単量体に溶
解しにくくなる為である。特に、これら共重合可能な官
能基を2個以上有する単量体は、共重合時に架橋体を与
え、得られたポリマーが溶剤に不溶となるので、単官能
単量体1000重量部に対して1重量部以下としなけれ
ばならない。
【0017】該シンジオタクチックメタクリル酸メチル
系重合体は、従来公知の方法によって製造する事が出来
る。重合開始剤としては、メタクリル酸メチルを主成分
とする単量体の重合用として公知のもので良い。例えば
ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサ
イド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサエート等
の有機過酸化物系開始剤;2,2’アゾビスイソブチロ
ニトリル、2,2’アゾビス(2,4−ジメチルバレロ
ニトリル)等のアゾ系開始剤;さらには過酸化物開始剤
とアミン類、メルカプタン類等の還元性化合物を主成分
として組み合わされた公知のレドックス系開始剤;ま
た、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、1−ヒドロヘ
キシルフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、ア
シルホスフェノキサイド、ベンゾフェノン、ミヒラーケ
トン、チオキサントン類等に必要に応じて光増感剤を併
用する光重合開始剤系等である。また、有機アルミニウ
ム化合物と有機リン化合物との錯体化合物、または有機
ランタニド錯体を開始剤として用いてアニオン重合させ
ることによって得られる(特公平6−89054号公
報、特開平3−263412号公報)。
【0018】本発明におけるメタクリル酸メチルを主成
分とする単量体とは、メタクリル酸メチルが50%以上
で必要により上記共重合可能な他の単量体を含有する単
量体混合物である。
【0019】本発明でいう蓄光顔料とは、メタクリル酸
メチル系単量体に不溶で、その重合硬化を阻害せず、光
の照射を停止した後も10分以上に渡って肉眼で認めら
れるものであれば特に制限はない。例えば、特開平7−
11250に開示されている蓄光顔料である。 即ち、一般式 化3
【0020】
【化3】MAl24 (式中、Mはカルシウム、ストロンチウムおよびバリウ
ムからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属元素を
表す)で示される化合物を母結晶にした顔料である。ま
たは上記 化3の金属元素にマグネシウムを添加した金
属元素からなる化合物を母結晶にした顔料、さらには賦
活剤としてユーロピウム、ランタン、セリウム、プラセ
オジウム、ネオジウム、サマリウム、ガドリニウム、テ
ルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、
ツリウム、イッテリビウム、ルテチウム、マンガン、ス
ズおよびビスマスからなる群より選ばれた少なくとも一
種の元素を、Mで表す金属元素に対して0.001〜1
0モル%添加してなる顔料である。また、例えば、特開
平8−73845号公報では蓄光顔料が開示されている
蓄光顔料である。 即ち、一般式 化4
【0021】
【化4】MO・n(Al1-mm)24 (式中、Mはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウ
ムおよびバリウムからなる群より選ばれた少なくとも一
種の金属元素または該金属にマグネシウムを添加した金
属元素を、nは0.5以上3.0以下の実数、mは0.
0001以上0.5以下の実数を表す)で示される化合
物を母結晶にした顔料である。または上記 化4の金属
元素にさらに賦活剤としてユーロピウム、ランタン、セ
リウム、プラセオジウム、ネオジウム、サマリウム、ガ
ドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウ
ム、エルビウム、ツリウム、イッテリビウム、ルテチウ
ム、マンガン、スズおよびビスマスからなる群より選ば
れた少なくとも一種の元素を、Mで表す金属元素に対し
て0.001〜10モル%添加してなる顔料である。
【0022】該蓄光顔料の粒径は特に制限されるもので
はないが、好ましくは平均粒径が0.1〜100μm、
さらに好ましくは10〜50μmのものである。粒径が
小さいと蓄光顔料の特性が悪くなり、得られたアクリル
蓄光樹脂の残光特性も悪くなる。また、粒径が大きすぎ
ると得られたアクリル蓄光樹脂における顔料のムラがお
きやすく外観が不良となる。該蓄光顔料の耐候性、樹脂
に対する親和性、分散性を高めるために重合阻害をしな
い化合物で表面処理することが可能である。例えば、γ
−トリメトキシシリルメタクリレート等のシランカップ
リング剤で表面処理することで樹脂に対する親和性を高
めることができ、得られたアクリル蓄光顔料の力学特性
を向上させることができる。該蓄光顔料の量は、得られ
るアクリル蓄光樹脂に要求される性能などによって定ま
るものであり特に限定されるものではないが、好ましく
はシロップ中のアイソタクチックメタクリル酸メチル系
重合体、シンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合
体、メタクリル酸メチル系単量体の合計100重量部に
対して0.01〜50重量部である。
【0023】本発明における重合開始剤は、メタクリル
酸メチル系単量体を重合させる化合物であれば公知のも
ので良い。例えば、アイソタクチックメタクリル酸メチ
ル系重合体、シンジオタクチックメタクリル酸メチル系
重合体の重合用に用いた公知の重合開始剤である。
【0024】アイソタクチックメタクリル酸メチル系重
合体、シンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合
体、メタクリル酸メチル系単量体、蓄光顔料および重合
開始剤を含有するシロップを得る方法は従来公知の方法
でよい。例えば、メタクリル酸メチル系単量体にアイソ
タクチックメタクリル酸メチル系重合体およびシンジオ
タクチックメタクリル酸メチル系重合体を同時に、また
は一方を先に溶解後、他方を溶解させ、蓄光顔料および
重合開始剤を混合してもよい。また、アイソタクチック
メタクリル酸メチル系重合体、シンジオタクチックメタ
クリル酸メチル系重合体をメタクリル酸メチル系単量体
に溶解し、蓄光顔料をメタクリル酸メチル系単量体に混
合し、これらを混合し、これに重合開始剤を混合しても
よい。さらに、メタクリル酸メチル系単量体を予備重合
によりその一部を重合させた後、アイソタクチックメタ
クリル酸メチル系重合体を添加し撹拌しながら溶解し、
その後または同時に蓄光顔料を混合しても良い。
【0025】アイソタクチックメタクリル酸メチル系重
合体の量およびシンジオタクチックメタクリル酸メチル
系重合体の量によってシロップの液質がかわり、シロッ
プが0〜60℃の範囲において、低撹拌下で高粘度ゲル
状態、高撹拌下で低粘度ゾル状態にならなければならな
い。すなわち、JIS K−7117に準拠した方法で
粘度を測定し、6min-1での粘度η1と60min-1での粘
度η2の比(η1/η2)が1.3以上であるメタクリル酸
メチル系単量体溶液とする。このメタクリル酸メチル系
単量体溶液の粘度特性にするために、シロップ中のアイ
ソタクチックメタクリル酸メチル系重合体、シンジオタ
クチックメタクリル酸メチル系重合体およびメタクリル
酸メチル系単量体の量はを調整する。例えば、シロップ
中のアイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体、シ
ンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体およびメ
タクリル酸メチル系単量体の合計100重量部に対し
て、アイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体0.
01〜40重量部、シンジオタクチックメタクリル酸メ
チル系重合体0〜50重量部、メタクリル酸メチル系単
量体49.99〜99.99重量部からなる溶液であ
る。好ましくは、アイソタクチックメタクリル酸メチル
系重合体、シンジオタクチックメタクリル酸メチル系重
合体およびメタクリル酸メチル系単量体の合計100重
量部に対して、アイソタクチックメタクリル酸メチル系
重合体0.01〜8重量部、シンジオタクチックメタク
リル酸メチル系重合体0.01〜1.9重量部、メタク
リル酸メチル系単量体90.1〜99.98重量部、ま
たはアイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体0.
01〜1重量部、シンジオタクチックメタクリル酸メチ
ル系重合体1.9〜30重量部、メタクリル酸メチル系
単量体69.0〜98.09重量部からなる溶液であ
る。
【0026】このようにして得られるシロップは0〜6
0℃の範囲において、高せん断下での粘度が低せん断下
での粘度に比べて低くなる、すなわち撹拌速度が速くな
ると共に粘度が低下するチキソトロピー性を有する。こ
のことにより、シロップは適度な粘性の流体となり、取
り扱い性が容易で、かつクリアランスの小さい型内の場
合でも容易に注入でき、また蓄光顔料の沈降が防止さ
れ、蓄光顔料が均一に分散したアクリル蓄光樹脂成形体
が得られる。シロップ中のアイソタクチックメタクリル
酸メチル系重合体、およびシンジオタクチックメタクリ
ル酸メチル系重合体が上記の量より少ないと、低せん断
下における粘度が低くなり、蓄光顔料の重合硬化中の沈
降を防止できない。また上記の量ようり多いと高せん断
下における型内への注液が困難となる。
【0027】シロップには、必要に応じて酸化防止剤、
紫外線吸収剤、連鎖移動剤、染料、顔料等を添加するこ
とができる。また、耐熱性、耐衝撃性改良の目的で各種
樹脂、架橋樹脂粒子を溶解、分散させることも可能であ
る。
【0028】該シロップは、従来公知の注型重合法によ
って重合硬化させて樹脂成形体とすることができる。例
えば、該シロップにラジカル重合開始剤を添加し加熱し
て重合する方法が挙げられる。ラジカル重合開始剤の使
用量は、該シロップの重合体と単量体の合計100重量
部に対して0.001〜4重量部程度である。特に0.
001〜0.4重量部程度である。
【0029】注型重合法では、モールドとしては例え
ば、2枚のガラス板あるいは金属板と軟質シール材及び
クランプにより構成されたセルを用いるバッチ式のセル
キャスト法、2枚のステンレス製連続ベルトによる連続
セルも使用できる。また、その他金属、樹脂等よりなる
所望の形状のモールドに注入し重合することも可能であ
る。
【0030】重合における加熱方法としては公知の方
法、例えば温風、温水、赤外線ヒーター等の熱源によっ
て加熱する方法があるが、特に限定されない。また、光
照射により重合を行う場合の光照射方法としては、高圧
水銀ランプ、メタルハライドランプ、低波長UVラン
プ、キセノンランプ、クリプトンアークランプ、キセノ
ンフラッシュランプ、フラッシュUVランプ等可視光、
紫外線等を照射すればよい。これらの方法は特に限定さ
れない。
【0031】重合の条件は用いる開始剤の種類や量、ま
たは単量体混合物の組成によって適宜選択されるが、一
般には、0〜130℃で1〜数10時間の範囲で重合は
行われる。注型重合の終了後は、モルドを構成するガラ
ス、あるいは金属を除去してアクリル蓄光樹脂成形体を
得る。
【0032】
【発明の効果】本発明により、取り扱い性が容易で、か
つクリアランスの小さい型内の場合でも容易に、蓄光顔
料が均一に分散したアクリル蓄光樹脂成形体を製造する
ことができる。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例に従って説明するが、
本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例
中で行った物性評価、試験方法は以下の通りである。 (1)分子量評価:ゲルパーミュエーションクロマトグ
ラフィー(ウォータズ社製、150−CV)を使用し
て、溶媒としてTHFを用いて測定した。分子量決定に
は、ポリメタクリル酸メチル基準検量線を用いた。 (2)ポリマーの立体規則性評価:プロトン核磁気共鳴
スペクトル装置(Varian 社製、XL−200)を使用
して、溶媒としてニトロベンゼン−d5 を用いて測定し
た。アイソタクチシチー、シンジオタクチシチーはトラ
イアッドで示した。 (3)粘度測定:B型粘度計((株)トキメック社製、
DVM−B2)を用いて、JISK7117に準拠して
行った。6min-1での粘度、60min-1での粘度を示し
た。 (4)注液の操作性:ガラスセルを振らなければ注液が
困難なものを不良とした。 (5)目視外観評価:アクリル系重合体の表面および断
面を観察し、蓄光顔料の均一性を目視にて観察し、上面
と下面に差があるものを不良とした。 (6)反りの有無:曲げ試験装置(島津製作所製、島津
IS−500)を用いて、ASTMD−790に準拠し
アクリル蓄光樹脂の上面、下面のそれぞれの面に対して
曲げ試験を行った。上面、下面の値が10%の範囲で等
しいものを反りがないと評価した。
【0034】実施例1 メタクリル酸メチル単量体96.4重量部にアニオン重
合によって得られたアイソタクチックメタクリル酸メチ
ル重合体(数平均分子量31、800、アイソタクチシ
チー85%)0.6重量部とラジカル重合よって得られ
たシンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体(メ
タクリル酸メチル単位98重量%、アクリル酸メチル単
位2重量%、数平均分子量64、400、シンジオタク
チシチー59%)3重量部を60℃に加熱し、撹拌しな
がら溶解した。
【0035】得られた溶液100重量部に、蓄光顔料と
して(株)スズセイ製、SG−1(粒径32〜38μm)
10重量部を加え均一になるよう撹拌分散させてシロッ
プを得た。得られたシロップの粘度、注液操作性、沈降
量を測定した。結果を表2に示す。このシロップ110
重量部に、ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビ
スイソブチロニトリル0.1重量部を添加して脱気した
後、2枚のガラス板と塩化ビニル樹脂ガスケットによ
り、ガラス板の間隙が3mmになるように構成されたセ
ルに注入し、50℃で20時間重合を行った。さらに1
20℃の熱風乾燥炉で2時間熱処理し、冷却後ガラスセ
ルを除去し厚さ3mmのアクリル蓄光樹脂成形体を得
た。得られたアクリル蓄光樹脂成形体の外観および反り
の有無を評価した。結果を表2に示す。
【0036】実施例2〜3 アイソタクチックメタクリル酸メチル重合体、メタクリ
ル酸メチル単量体の量を表1のように変えた以外は、実
施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0037】比較例1 アイソタクチックメタクリル酸メチル重合体、シンジオ
タクチックメタクリル酸メチル系重合体、メタクリル酸
メチル単量体を表1に示すように変えた以外は、実施例
1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08K 3/38 C08K 3/38 C08L 33/12 C08L 33/12 C09C 1/40 C09C 1/40 3/12 3/12 E01F 9/00 E01F 9/00 // B29K 33:04

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 JIS K−7117に準拠した方法で
    粘度を測定し、6min-1での粘度η1と60min-1での粘
    度η2の比(η1/η2)が1.3以上であるメタクリル酸
    メチル系単量体溶液100重量部に、蓄光顔料を0.0
    1〜50重量部および重合開始剤を含有させたシロップ
    を型へ注入し、重合硬化させてなるアクリル蓄光樹脂成
    形体。
  2. 【請求項2】 メタクリル酸メチル系単量体溶液が、ア
    イソタクチックメタクリル酸メチル系重合体、シンジオ
    タクチックメタクリル酸メチル系重合体およびメタクリ
    ル酸メチル系単量体からなる溶液である請求項1記載の
    アクリル蓄光樹脂成形体。
  3. 【請求項3】 メタクリル酸メチル系単量体溶液が、ア
    イソタクチックメタクリル酸メチル系重合体0.01〜
    40重量部、シンジオタクチックメタクリル酸メチル系
    重合体0〜50重量部およびメタクリル酸メチル系単量
    体49.99〜99.99重量部からなる溶液である請
    求項1記載のアクリル蓄光樹脂成形体。
  4. 【請求項4】 メタクリル酸メチル系単量体溶液が、ア
    イソタクチックメタクリル酸メチル系重合体0.01〜
    8重量部、シンジオタクチックメタクリル酸メチル系重
    合体0.01〜1.9重量部およびメタクリル酸メチル
    系単量体90.1〜99.98重量部からなる溶液であ
    る請求項1記載のアクリル蓄光樹脂成形体。
  5. 【請求項5】 メタクリル酸メチル系単量体溶液が、ア
    イソタクチックメタクリル酸メチル系重合体0.01〜
    1重量部、シンジオタクチックメタクリル酸メチル系重
    合体1.9〜30重量部およびメタクリル酸メチル系単
    量体69.0〜98.09重量部からなる溶液である請
    求項1記載のアクリル蓄光樹脂成形体。
  6. 【請求項6】 蓄光顔料が一般式 化1 【化1】MAl24 (式中、Mはカルシウム、ストロンチウムおよびバリウ
    ムからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属元素ま
    たは該金属にマグネシウムを添加した金属元素を表す)
    で示される化合物を母結晶にした顔料である請求項1記
    載のアクリル蓄光樹脂成形体。
  7. 【請求項7】 蓄光顔料が、請求項6に記載の金属元素
    にさらに賦活剤としてユーロピウム、ランタン、セリウ
    ム、プラセオジウム、ネオジウム、サマリウム、ガドリ
    ニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エ
    ルビウム、ツリウム、イッテリビウム、ルテチウム、マ
    ンガン、スズおよびビスマスからなる群より選ばれた少
    なくとも一種の元素を、Mで表す金属元素に対して0.
    001〜10モル%添加してなる化合物を母結晶にした
    顔料である請求項6記載のアクリル蓄光樹脂成形体。
  8. 【請求項8】 蓄光顔料が一般式 化2 【化2】MO・n(Al1-mm)24 (式中、Mは、カルシウム、ストロンチウムおよびバリ
    ウムからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属元素
    または該金属にマグネシウムを添加した金属元素を、n
    は0.5以上3.0以下の実数、mは0.0001以上
    0.5以下の実数を表す)で示される化合物を母結晶に
    した顔料である請求項1記載のアクリル蓄光樹脂成形
    体。
  9. 【請求項9】 蓄光顔料が、請求項8に記載の金属元素
    にさらに賦活剤としてユーロピウム、ランタン、セリウ
    ム、プラセオジウム、ネオジウム、サマリウム、ガドリ
    ニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エ
    ルビウム、ツリウム、イッテリビウム、ルテチウム、マ
    ンガン、スズおよびビスマスからなる群より選ばれた少
    なくとも一種の元素を、Mで表す金属元素に対して0.
    001〜10モル%添加してなる化合物を母結晶にした
    顔料である請求項8記載のアクリル蓄光樹脂成形体。
  10. 【請求項10】 蓄光顔料の平均粒径が0.1〜100
    μmである請求項1、6、7、8または9記載のアクリ
    ル蓄光樹脂成形体。
  11. 【請求項11】 蓄光顔料がシランカップリング剤で表
    面処理されたものである請求項1記載のアクリル蓄光樹
    脂成形体。
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