JP2799314B2 - 光学フィルターの製造法 - Google Patents

光学フィルターの製造法

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JP2799314B2
JP2799314B2 JP8347449A JP34744996A JP2799314B2 JP 2799314 B2 JP2799314 B2 JP 2799314B2 JP 8347449 A JP8347449 A JP 8347449A JP 34744996 A JP34744996 A JP 34744996A JP 2799314 B2 JP2799314 B2 JP 2799314B2
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武男 荻原
康文 藤井
浩樹 上遠野
輝夫 阪上
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呉羽化学工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光学フィルターの製造法
に関し、更に詳細には、近赤外領域の波長光を効率よく
カットし、視感度補正に好適な光吸収特性を有する合成
樹脂製の光学フィルターの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、カメラの測光用フィルターや視感
度補正用フィルターとして、特殊なリン酸系ガラスに銅
イオンが含有されたガラス製の光学フィルターが用いら
れてきた。
【0003】しかし、これらのガラス製の光学フィルタ
ーは、重く、吸湿性が大きく、また、光学フィルターの
製造にあたって、成形・切削・研磨等の加工が難しいこ
と等、多くの欠点を有している。更に、高湿度雰囲気下
で使用した場合に失透しやすい、という問題もある。
【0004】このため、軽くて、吸湿性が小さく、加工
の容易な光学フィルターの開発が強く望まれていた。ま
た、このような光学フィルターにあっては、高湿度雰囲
気下で使用した場合にも失透しないことが望ましい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情に基づいてなされたものである。本発明の目的は、
近赤外領域の波長光を効率よくカットし、軽量で、吸湿
性が小さく、成形・切削・研磨等の加工が容易であり、
高温高湿度雰囲気下で使用した場合にも失透しない光学
フィルターを製造するための光学フィルターの製造法を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の光学フィルター
の製造法は、下記化2で表されるリン酸基含有単量体
(以下、「特定のリン酸基含有単量体」ともいう。)お
よびこれと共重合可能な単量体(以下、「共重合性単量
体」ともいう。)よりなる混合単量体を共重合して得ら
れる共重合体であって、銅塩を主成分とする金属塩が含
有されたものよりなる光学フィルター材料から、リン酸
基と金属塩との反応により生成する酸成分を抽出除去す
る工程を有することを特徴とする。
【0007】
【化2】
【0008】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明においては、特定のリン酸基含有単量体と共重合性
単量体とよりなる混合単量体をラジカル重合させて得ら
れる共重合体であって、銅塩を主成分とする金属塩が含
有されたものよりなる光学フィルター材料を得、この光
学フィルター材料から、リン酸基と金属塩との反応によ
り生成する酸成分を抽出除去することにより、光学フィ
ルターを製造する。
【0009】このようにして得られる光学フィルター
は、特定のリン酸基含有単量体および共重合性単量体よ
りなる混合単量体の共重合体中に、銅塩を主成分とする
金属塩による銅イオンを主成分とするイオン性金属成分
が含有されてなるものである。
【0010】上記共重合体を得るための混合単量体に
は、必須成分として特定のリン酸基含有単量体が用いら
れる。上記化2で表すように、特定のリン酸基含有単量
体は、後述する銅イオンと結合可能なリン酸基を分子構
造中に有している。そして、リン酸基を介して銅イオン
を保持してなる共重合体は、近赤外領域に特徴ある光吸
収特性を示すものとなる。更に、特定のリン酸基含有単
量体の分子構造中において、エチレンオキサイド基を介
して、ラジカル重合性の官能基であるアクリロイルオキ
シ基またはメタクリロイルオキシ基が結合されているた
め、当該特定のリン酸基含有単量体は極めて共重合性に
とみ、種々の単量体との共重合を行うことが可能とな
る。
【0011】特定のリン酸基含有単量体の分子構造を表
す上記化2において、Rは、エチレンオキサイド基が結
合したアクリロイルオキシ基(Xが水素原子)またはメ
タクリロイルオキシ基(Xがメチル基)である。ここ
で、エチレンオキサイド基の繰り返し数mは1〜5の整
数とされる。このmの値が5を超える場合には、得られ
る共重合体の硬度が大幅に低下し、光学フィルターとし
ての実用性に欠けたものとなる。
【0012】また、水酸基の数nは、光学フィルターの
成形法や使用目的に応じて1または2のいずれかの値を
選択すればよい。nの値が2であるとき、すなわち、リ
ン原子に結合したラジカル重合性の官能基の数が1であ
る特定のリン酸基含有単量体は、銅イオンとの結合性が
大きいものとなる。一方、nの値が1である特定のリン
酸基含有単量体、すなわち、前記官能基の数が2である
特定のリン酸基含有単量体は架橋重合性を有するものと
なる。従って、本発明の光学フィルターを、熱可塑性樹
脂の一般的な成形加工法である射出成形法或いは押出成
形法により製造する場合には、nの値が2である特定の
リン酸基含有単量体を用いることが好ましい。ただし、
光学フィルターの成形法はこれらに限定されるものでは
ない。
【0013】このように、光学フィルターの性能、成形
法および使用目的に応じてnの値を選択することができ
るが、nの値が1である特定のリン酸基含有単量体と、
nの値が2である特定のリン酸基含有単量体とを併用す
ることが好ましく、特に、これら2種類の特定のリン酸
基含有単量体を、それぞれがほぼ等量となる割合で用い
る場合には、当該混合単量体への銅塩の溶解性が向上す
るので好ましい。
【0014】共重合体を得るための混合単量体には、前
記特定のリン酸基含有単量体とともに、共重合性単量体
が含有される。特定のリン酸基含有単量体と共重合性単
量体との共重合によって得られる共重合体は、吸湿性が
小さく、光学フィルターに要求される硬度条件を満足
し、耐熱性や形状保持性等にも優れている。従って、こ
のような共重合体によれば、光学フィルターとしての性
能の向上を図ることができる。
【0015】斯かる共重合性単量体は、(1)特定のリ
ン酸基含有単量体と均一に溶解混合すること、(2)特
定のリン酸基含有単量体とのラジカル共重合性が良好で
あること、(3)光学的に透明な共重合体が得られるこ
と、等を満足するものであれば特に限定されるものでは
ない。
【0016】これらの共重合性単量体の具体例として
は、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチ
ルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピル
アクリレート、n−プロピルメタクリレート等のアルキ
ル基の炭素数が1〜8である低級アルキルアクリレート
並びに低級アルキルメタクリレート、グリシジルアクリ
レート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシブ
チルメタクリレート等のようにアルキル基をグリシジル
基やヒドロキシル基で置換した変性アルキルアクリレー
ト並びに変性アルキルメタクリレート、エチレングリコ
ールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタク
リレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、
1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタ
ンジオールジメタクリレート、2,2−ビス〔4−メタ
クリロキシエトキシフェニル〕プロパン、トリメチロー
ルプロパントリアクリレート、ペンタエリトリットトリ
メタクリレート、ペンタエリトリットテトラメタクリレ
ート等の多官能アクリレート並びに多官能メタクリレー
ト、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボン酸、スチレ
ン、α−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、メトキ
シスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物
を挙げることができる。これらの化合物は、単独で、或
いは2種以上混合して共重合性単量体を構成してもよ
い。
【0017】共重合体を得るための混合単量体におい
て、特定のリン酸基含有単量体と共重合性単量体との使
用割合は、「特定のリン酸基含有単量体:共重合性単量
体(重量)」が3:97〜90:10の範囲にあること
が好ましく、更に好ましくは30:70〜80:20で
ある。特定のリン酸基含有単量体の割合が3重量%未満
であると、光学フィルターとして好適な光吸収特性が発
現されにくい。一方、この割合が90重量%を超えると
きには、得られる共重合体の吸湿性が大きく、要求され
る硬度条件を満足できない柔軟なものとなりやすい。
【0018】特定のリン酸基含有単量体と共重合性単量
体とよりなる混合単量体を重合させるためのラジカル重
合方法としては、特に限定されるものではなく、通常の
ラジカル重合開始剤を用いる、注型(キャスト)重合
法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法等の公知の方
法を使用することができる。
【0019】上記の混合単量体を共重合して得られる共
重合体には、銅塩を主成分とする金属塩が含有させられ
る。この金属塩は、前記共重合体中に含有されたリン酸
基との相互作用により近赤外領域の波長光を効率よく吸
収する作用を発揮するものとなる。ここで、「銅塩を主
成分とする」とは、前記金属塩に含まれる全ての金属に
対して銅金属の占める割合が80重量%以上であること
を意味する。具体的には、2価の銅を含む銅塩と、他の
金属による金属塩とが、前記割合を満足する条件で含有
されてなる塩である。銅金属の割合が80重量%未満で
ある場合には、得られる光学フィルターが近赤外領域の
波長光を効率よく吸収するものとならない。
【0020】上記の金属塩を構成する銅塩としては、種
々のものを用いることができ、その一例を示せば、酢酸
銅、塩化銅、ギ酸銅、ステアリン酸銅、安息香酸銅、エ
チルアセト酢酸銅、ピロリン酸銅、ナフテン酸銅、クエ
ン酸銅等の無水物や水和物を挙げることができる。な
お、これらの銅塩のみに限定されるものではない。
【0021】また、上記の金属塩を構成する、他の金属
による金属塩としては、ナトリウム、カリウム、カルシ
ウム、鉄、マンガン、コバルト、マグネシウム、ニッケ
ル等を金属成分とする金属塩を目的に応じて用いること
ができる。
【0022】本発明において、銅塩を主成分とする金属
塩の含有割合は、共重合体100重量部に対して0.1
〜50重量部であることが好ましく、更に好ましくは
0.1〜40重量部である。この割合が0.1重量部未
満である場合には、得られる光学フィルターは、近赤外
領域の波長光を効率よく吸収することができず、一方、
50重量部を超える場合には、当該金属塩が共重合体中
に均一に含有されにくくなる。また、上記共重合体にお
ける銅金属の含有量は、共重合体100重量部に対して
0.1〜20重量部であることが好ましい。
【0023】銅塩を主成分とする金属塩を前記共重合体
に含有させる方法としては特に限定されるものではない
が、好ましい方法として、以下の2通りの方法を挙げる
ことができる。
【0024】(1)混合単量体のラジカル重合を行って
得られた共重合体中に、前記金属塩を添加して混合する
方法。具体的には、加熱溶融させた共重合体に金属塩
を添加混合する方法、共重合体を有機溶剤に溶解さ
せ、この溶液に金属塩を添加混合する方法等を用いるこ
とができる。
【0025】(2)混合単量体のラジカル重合を行う前
において、当該混合単量体中に、前記金属塩を添加して
混合する方法。この方法によって前記金属塩を含有さ
せ、当該金属塩、特定のリン酸基含有単量体および共重
合性単量体よりなる単量体混合物を調製し、この単量体
混合物をラジカル重合させる。
【0026】上記(1)および(2)のような方法によ
り、銅塩を主成分とする金属塩が含有された共重合体よ
りなる光学フィルター材料を得ることができる。
【0027】この光学フィルター材料は、そのままで、
或いは、目的、用途に応じて、板状、円柱状、レンズ状
等の形状に成形、研磨された後に、酸成分の抽出工程に
付される。
【0028】この酸成分の抽出工程は、当該光学フィル
ター材料から、特定のリン酸基含有単量体に由来するリ
ン酸基と、銅塩を主成分とする金属塩との反応により生
成する酸成分(有機酸成分または無機酸成分)を溶剤を
用いて抽出除去する工程である。この酸成分の抽出工程
を経ることにより、酸成分の含有割合の低い光学フィル
ターを得ることができる。
【0029】酸成分の抽出除去工程は、ラジカル重合の
前後を問わず、光学フィルターの製造過程の任意の段階
で実施することができ、例えば、 特定のリン酸基含
有単量体および共重合性単量体よりなる混合単量体と、
銅塩を主成分とする金属塩とを混合して単量体混合物を
調製した後、ラジカル重合を行う前の段階、 上記の
単量体混合物のラジカル重合が終了し、光学フィルター
材料が得られた段階、 光学フィルター材料の成形加
工が終了した段階の何れにおいても実施することができ
る。なお、架橋性単量体を含む混合単量体を注型重合法
によって重合させる場合には、酸成分の抽出除去工程を
成形加工終了後に実施することが好ましい。
【0030】酸成分の抽出除去工程に用いることができ
る溶剤としては、酸成分を溶解できること、共重合体に
対して適度の親和性(共重合体を溶解しないが、この共
重合体中に浸透できる程度の親和性)を有することが必
要である。
【0031】このような溶剤の具体例としては、水、メ
チルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアル
コール、イソプロピルアルコール等の脂肪族系低級アル
コール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブ
チルケトン等のケトン類、エチルエーテル、石油エーテ
ル等のエーテル類、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−
ヘプタン、クロロホルム、メチレンクロライド、四塩化
炭素等の脂肪族系炭化水素およびそのハロゲン化物、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系化合物を挙げ
ることができる。これらの溶剤は、単独で、或いは2種
以上を混合して用いることができる。これらのうち、
水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピ
ルアルコール、アセトン、メチレンクロライド等は、酸
成分の抽出除去工程終了後において、被抽出物に残留し
にくい観点から特に好ましい。
【0032】酸成分の抽出除去工程によって除去される
酸成分の量としては、用いる金属塩の酸基成分量に対し
て30重量%以上であることが好ましく、更に好ましく
は45重量%以上である。
【0033】このような酸成分の抽出除去工程を実施し
て光学フィルターが製造されるが、この光学フィルター
は、後述する実施例からも理解されるように、抽出除去
工程を経ていないものと比較して次の点で優れている。 (1)高湿度雰囲気下で使用した場合に、フィルター表
面におけるブリードが殆ど発生しない。 (2)フィルター表面に発生するブリードに起因する表
面白化現象(曇化現象)および透明性の低下現象(失透
現象)が殆ど発生しない。
【0034】なお、本発明の製造法における酸成分の抽
出除去工程終了後、必要に応じて成形物の水洗・乾燥を
行い抽出に用いた残留溶剤を除去する工程、および光学
フィルターの面平滑性を向上させるために、この成形物
に加熱加圧処理する工程を行ってもよい。
【0035】更に必要に応じて、このようにして製造さ
れた光学フィルターを、有機系もしくは無機系のハード
コート剤によって表面処理することができ、これによ
り、帯電防止、表面硬度の向上、表面反射の防止等を図
ることができる。また、得られた光学フィルターと他の
光学材料(例えば水晶板)とを積層して複合化すること
もできる。
【0036】本発明によって得られる光学フィルター
は、銅塩を主成分とする金属塩による銅イオンが共重合
体中においてリン酸基を介して保持されているため、近
赤外領域の波長光を効率よく吸収し、フォトダイオード
の特性を調整する測光用フィルターや、特に赤色の視感
度補正用フィルター等の光学フィルターとして好適に用
いることができる。
【0037】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、本発明
がこれらによって限定されるものではない。なお、以下
において、「部」は「重量部」を意味する。
【0038】〔実施例1〕下記化3で表される特定のリ
ン酸基含有単量体32部と、下記化4で表される特定の
リン酸基含有単量体13部と、メチルメタクリレート3
4部と、ジエチレングリコールジメタクリレート20部
と、α−メチルスチレン1部とを良く混合して混合単量
体を調製した。この混合単量体に、無水安息香酸銅32
部(混合単量体100部に対する銅金属の含有量が6.
6部)を添加し、80℃で攪拌混合することによって十
分に溶解させ、無水安息香酸銅が混合単量体中に溶解さ
れてなる単量体混合物を得た。
【0039】
【化3】
【0040】
【化4】
【0041】以上のようにして調製された単量体混合物
に、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエー
ト)2.0部を添加し、ガラスモールドに注入し、55
℃で16時間、70℃で8時間、100℃で2時間と順
次異なる温度で加熱して注型重合を行うことにより、銅
塩が含有された架橋共重合体よりなる光学フィルター材
料を得た。
【0042】この光学フィルター材料をメチルアルコー
ルに浸漬し、リン酸基と無水安息香酸銅との反応生成物
である安息香酸の抽出処理を行った。安息香酸の抽出量
(使用した無水安息香酸銅の酸基成分量に対する比率を
いう。以下において同じ。)は29重量%であった。安
息香酸の抽出処理が施された光学フィルター材料を、温
度150℃で30分間加圧成形を行い、厚さ1mmの光
学フィルターを製造した。
【0043】〔実施例2〕安息香酸の抽出処理に際し
て、処理温度および処理時間を変更して安息香酸の抽出
量を47重量%としたこと以外は実施例1と同様の操作
を行って厚さ1mmの光学フィルターを製造した。
【0044】〔実施例3〕安息香酸の抽出処理に際し
て、処理温度および処理時間を変更して安息香酸の抽出
量を52重量%としたこと以外は実施例1と同様の操作
を行って厚さ1mmの光学フィルターを製造した。
【0045】〔実施例4〕安息香酸の抽出処理に際し
て、処理温度および処理時間を変更して安息香酸の抽出
量を77重量%としたこと以外は実施例1と同様の操作
を行って厚さ1mmの光学フィルターを製造した。
【0046】〔実施例5〕安息香酸の抽出処理に際し
て、処理温度および処理時間を変更して安息香酸の抽出
量を84重量%としたこと以外は実施例1と同様の操作
を行って厚さ1mmの光学フィルターを製造した。
【0047】〔参照例1〕安息香酸の抽出処理を行わな
かったこと以外は実施例1と同様の操作を行って厚さ1
mmの参照用光学フィルターを製造した。
【0048】〔実施例6〕上記化3で表される特定のリ
ン酸基含有単量体49部と、上記化4で表される特定の
リン酸基含有単量体21部と、メチルメタクリレート2
7部と、ジエチレングリコールジメタクリレート2部
と、α−メチルスチレン1部とを良く混合して混合単量
体を調製した。この混合単量体に、無水酢酸銅20部
(混合単量体100部に対する銅金属の含有量が6.6
部)を添加し、40℃で攪拌混合することによって十分
に溶解させ、無水酢酸銅が混合単量体中に溶解されてな
る単量体混合物を得た。
【0049】以上のようにして調製された単量体混合物
に、t−ブチルパーオキシピバレート3.0部を添加
し、ガラスモールドに注入し、45℃で16時間、60
℃で8時間、80℃で3時間と順次異なる温度で加熱し
て注型重合を行うことにより、銅塩が含有された架橋共
重合体よりなる光学フィルター材料を得た。
【0050】この光学フィルター材料を、50℃に加熱
されたメチルアルコール−水混合溶媒(メチルアルコー
ル濃度が50重量%)に16時間浸漬し、リン酸基と無
水酢酸銅との反応生成物である酢酸の抽出処理を行っ
た。酢酸の抽出量(使用した無水酢酸銅の酸基成分量に
対する比率をいう。)は85重量%であった。酢酸の抽
出処理が施された光学フィルター材料を、温度150℃
で30分間加圧成形を行い、厚さ1mmの光学フィルタ
ーを製造した。
【0051】<耐失透性の評価>実施例1〜実施例6で
得られた光学フィルターの各々を、参照例1で得られた
参照用光学フィルターと共に、高温高湿度雰囲気下(温
度70℃,相対湿度80%)に140時間保持した。次
いで、各光学フィルターについて、ヘーズメーター「T
CM−M IIIDP」(東京電色社製)により曇価を測定
し、更に、表面におけるブリードの発生の有無を調べ
た。結果を後記表1に示す。
【0052】また、実施例5および参照例1で得られた
光学フィルターの各々について、可視領域から近赤外領
域(波長:400〜1000nm)における透過率を測
定した。結果を後記表2に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【発明の効果】以上のように、本発明の方法によって製
造される光学フィルターは、特定のリン酸基含有単量体
と共重合性単量体とよりなる混合単量体の共重合体中
に、銅塩を主成分とする金属塩による銅イオンがリン酸
基を介して保持された状態で含有されているので、近赤
外領域の波長を効率よくカットすることができ、カメラ
の測光用フィルターや視感度補正用フィルターとして好
適に用いることができ、しかも、十分に軽量化が図ら
れ、吸湿性が小さくて経時的に失透することもなく、更
に、成形・切削・研磨等の加工が容易で生産性に優れた
ものである上、リン酸基と金属塩との反応により生成す
る酸成分が除去されているので、高湿度雰囲気下で使用
した場合においてもフィルター表面におけるブリードが
発生せず、さらに優れた耐失透性を有し、その使用環境
に関わらず、可視光領域における優れた透過性を長期に
わたって発揮することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F21V 9/04 F21V 9/04 (56)参考文献 特開 平6−9818(JP,A) 特開 昭57−70146(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02B 5/20 - 5/28

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化1で表されるリン酸基含有単量体
    およびこれと共重合可能な単量体よりなる混合単量体を
    共重合して得られる共重合体であって、銅塩を主成分と
    する金属塩が含有されたものよりなる光学フィルター材
    料から、リン酸基と金属塩との反応により生成する酸成
    分を抽出除去する工程を有することを特徴とする光学フ
    ィルターの製造法。 【化1】
  2. 【請求項2】 酸成分の抽出除去工程において、除去さ
    れる酸成分の量が、用いられた金属塩の酸基成分量に対
    して30重量%以上であることを特徴とする請求項1に
    記載の光学フィルターの製造法。
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