JP7285238B2 - シリコーン接着剤組成物、及びシリコーンゴム硬化物 - Google Patents
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Description
(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有する、オルガノポリシロキサン 100質量部
(B)下記(B1)成分及び下記(B2)成分
(B1)下記式(1)で示され、nが1~3の整数である直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンから選ばれ、nの値が異なる2種以上
(B2)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に3個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン
上記(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基の個数に対する、該(B1)及び(B2)成分中のヒドロシリル基の合計個数の比が0.9~2.5となる量
(C)ナノシリカ粒子 5~40質量部、及び
(D)白金族金属系触媒 触媒量
を含む、シリコーン接着剤組成物を提供する。
[(A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサン]
本発明の(A)成分であるアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、ケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上、好ましくは2~4個有するオルガノポリシロキサンであり、直鎖状でも分岐構造を有していてもよい。好ましくは、下記式(2)で示され25℃における粘度が10~1,000,000mPa・sである、直鎖状オルガノポリシロキサンである。また、25℃における粘度が異なる2種類以上の直鎖状オルガノポリシロキサンを併用することがより好ましい。
本発明において(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2つ有し、且つ、ケイ素原子に結合した芳香族炭化水素基を有する直鎖状のオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を3個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の併用である。
上記(B1)成分は、下記式(1)で示されnが1~3の整数である直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンから選ばれる、nの値が異なる2種以上である。
該2種以上のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合比は特に制限されるものでないが、特にはn=1のシロキサンとn=2のシロキサンの組合せの場合には、n=1のシロキサンとn=2のシロキサンの合計質量に対するn=2のシロキサンの割合が、2%以上50%未満であるのがよく、好ましくは3%~45%、より好ましくは5%~40%であるのがよい。
このように、nの数が異なるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを2種類以上併用することで、高い伸び率と2液化した場合の高い保存安定性を達成できる。
前記式において、R3は互いに独立して、水素原子、炭素数1~6の飽和脂肪族炭化水素基または炭素数6~12の芳香族炭化水素基であり、R3のうち少なくとも3つは水素原子である。ケイ素原子に結合する水素原子の結合箇所は特に制限されず、末端または分子鎖のケイ素原子のいずれに結合していてもよい。好ましくは分子鎖のケイ素原子に結合しているのがよい。尚、SiO4/2単位及びR3SiO3/2単位を、本発明の効果を損ねない範囲で少量含むことができる。
(C)成分はナノシリカ粒子である。該ナノシリカ粒子は、平均1次粒径が1~100nmであることが好ましく、より好ましくは平均1次粒径が5~50nmであることが好ましい。これらのナノシリカは1種単独でも、2種以上の組み合わせでもよい。なお、本発明において、平均1次粒径とは電子顕微鏡法(SEM法)で測定し、算出した個数基準の平均粒径である。本発明のシリコーン接着剤組成物において該ナノシリカ粒子の量は、(A)成分100質量部に対して5~40質量部であり、好ましくは5~30質量部である。上記平均粒径を有するナノシリカを含有することにより、シリコーン樹脂硬化物の強度が向上し、高い伸び率と基材から容易に剥離が可能となるため好ましい。ナノシリカを含まないと、硬化物はゲル状となり、良好な機械的特性を有するゴム状硬化物を得ることができない。
(D)白金族金属系触媒は、本発明の(A)成分と(B)成分の付加硬化反応を促進すればよく、公知の付加反応触媒が使用できる。例えば、白金系、パラジウム系、ロジウム系のものが挙げられる。コスト等を考慮して、白金、白金黒、塩化白金酸などの白金系のもの、例えば、H2PtCl6・pH2O、K2PtCl6、HPtCl6・pH2O、K2PtCl4、K2PtCl4・pH2O、PtO2・pH2O、PtCl4・pH2O、PtCl2、H2PtCl4・pH2O(ここで、pは、正の整数)等や、これらと、オレフィン等の炭化水素、アルコール又はビニル基含有オルガノポリシロキサンとの錯体等を例示することができる。これらの触媒は1種単独でも、2種以上の組み合わせでも使用することができる。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、上述した(A)~(D)成分以外に、更に(E)接着付与剤を配合することができる。該(E)接着付与剤としては、加水分解性シリル基、及び被着体に対する親和性及び/又は反応性を有する官能基を有する化合物が挙げられる。前記化合物を添加することで、本発明の組成物に接着性を付与することができる。ここで、加水分解性シリル基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリプロポキシシリル基、トリイソプロペノキシシリル基などのトリアルコキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジメトキシエチルシリル基、ジメトキシフェニルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジエトキシエチルシリル基、ジエトキシフェニルシリル基などのジアルコキシアルキルシリル基などが例示でき、また被着体に対する親和性及び/又は反応性を有する官能基としては、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、アミノ基、N-アルキルアミノ基、N-アリールアミノ基、メルカプト基、アルケニル基、及びヒドロシリル基などが挙げられる。
尚、反応抑制剤は従来公知のものであればよい。例えば、2,4,6,8-テトラテトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサン、及び1-エチニル-1-シクロヘキサノール等が挙げられる。配合量は上記(A)~(C)成分の合計100質量部に対して、白金族金属換算(質量)で好ましくは0.001~5質量部、より好ましくは0.01~3質量部となる量であればよい。
[実施例1]
(A)成分として、下記式(2-1)で示される直鎖状オルガノポリシロキサン(粘度1,000mPa.s、ビニル基当量0.013mol/100g)100部、(C)成分として平均一次粒径が7nmであるナノシリカ(日本アエロジル株式会社製:RX-300)22部とをプラネタリーミキサーを用いて混合した。さらに、この混合物を3本ロールで練ることでベースコンパウンドを得た。
(A)成分として式(2-2)で表される直鎖状オルガノポリシロキサン8.0部と(B1)成分として下記式(1-1)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサン(ヒドロシリル基当量0.60mol/100g)1.5部と下記式(1-2)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサン(ヒドロシリル基当量0.38mol/100g)0.13部、(B2)成分として下記式(3-1)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン(ヒドロシリル基当量1.55)0.26部、更に反応抑制剤として1-エチニル-1-シクロヘキサノールを0.03部、添加し、撹拌することで硬化剤成分を調製した。
主剤成分は、上記実施例1の手順を繰り返して調製した。
硬化剤成分は、(B1)成分として、上記式(1-1)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサンの量を1.3部に変更し、上記式(1-2)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサンの量を0.5部に変更した他は実施例1の手順を繰り返して硬化剤成分を調製した。
前記、主剤成分と硬化剤成分を10:1の比率(質量比)で混合することでシリコーン接着剤組成物を得た。
主剤成分は、上記実施例1の手順を繰り返して調製した。硬化剤成分は、(B1)成分として、上記式(1-1)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサンの量を1.3部に変更し、上記式(1-2)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサンの量を0.11部に変更し、及び、(B-2)成分として上記式(3-1)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの量を0.35部に変更した他は実施例1の手順を繰り返して硬化剤成分を調製した。
前記、主剤成分と硬化剤成分を10:1の比率(質量比)で混合することでシリコーン接着剤組成物を得た。
主剤成分の調製
(A)成分として、下記式(2-3)で示される直鎖状オルガノポリシロキサン(粘度1,800mPa.s、ビニル基当量0.015mol/100g)100部、及び(C)成分として平均一次粒径が7nmであるナノシリカ25部とをプラネタリーミキサーを用いて混合した。さらに、この混合物を3本ロールで練ることでベースコンパウンドを得た。
(A)成分として、上記式(2-3)で表される直鎖状オルガノポリシロキサン8.0部、(B1)成分として上記式(1-2)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサン1.1部、及び下記式(1-3)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサン(ヒドロシリル基当量0.27mol/100g)0.08部、さらに(B2)成分として、上記式(3-1)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン(ヒドロシリル基当量1.55)0.7部、更に反応抑制剤として1-エチニル-1-シクロヘキサノールを0.03部添加し、撹拌することで硬化剤成分を調製した。
主剤成分は、上記実施例4の手順を繰り返して調製した。
硬化剤成分は、上記実施例4において、(B1)成分である式(1-2)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサンの量を0.9部、式(1-3)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサンの量を0.3部に変更した他は実施例4の手順を繰り返して硬化剤成分を調製した。
前記、主剤成分と硬化剤成分を10:1の比率(質量比)で混合することで、シリコーン接着剤組成物を得た。
主剤成分は、上記実施例1の手順を繰り返して調製した。
硬化剤成分は、上記実施例1において式(1-1)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを配合せず、式(1-2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの量を2.51部に変更した他は、実施例1の手順を繰り返して硬化剤成分を得た。
前記、主剤成分と硬化剤成分を10:1の比率(質量比)で混合することで、シリコーン接着剤組成物を得た。
(A)成分として上記式(2-1)で示される直鎖状オルガノポリシロキサン100部及び上記式(2-2)で表される直鎖状オルガノポリシロキサン35部、及び(D)成分として塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液(白金元素含有率:1質量%)0.1部をポリエチレン樹脂製容器に入れよく撹拌して、主剤成分を調製した。
前記、主剤成分と硬化剤成分を9:1の比率(質量比)で混合することで、シリコーン接着剤組成物を得た。
(A)成分として、上記式(2-1)で示される直鎖状オルガノポリシロキサン100部と上記式(2-2)で表される直鎖状オルガノポリシロキサン35部、(D)成分として塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液(白金元素含有率:1質量%)0.1部をポリエチレン樹脂製容器に入れよく撹拌して、主剤成分を調製した。
(A)成分として、上記式(2-2)で表される直鎖状オルガノポリシロキサン8.0部と、(B1)成分として上記式(1-1)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサン1.7部、及び(B2)成分として、SiO4/2単位とHSiO1/2単位で構成されるレジン構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサン(Mw=411、ヒドロシリル基当量0.94mol/100g)(3-2)を1.1部、更に反応抑制剤として1-エチニル-1-シクロヘキサノール0.03部を添加し、撹拌することで硬化剤成分を調製した。
前記、主剤成分と硬化剤成分を9:1の比率(質量比)で混合することでシリコーン接着剤組成物を得た。
主剤成分は、実施例1の手順を繰り返して調製した。
硬化剤成分は、実施例1において、(B1)成分を配合せず、(B2)成分として、上記式(3-1)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの量を0.9部に変更した他は、実施例1の手順を繰り返して、硬化剤成分を調製した。
前記、主剤成分と硬化剤成分を10:1の比率(質量比)で混合することで、シリコーン接着剤組成物を得た。
また、各シリコーン接着剤組成物を100℃にて1時間、次いで150℃にて4時間加熱成形してシリコーンゴム硬化物(120mm×110mm×2mm)を作成した。該シリコーンゴム硬化物について下記の方法に従い、機械的特性を評価した。さらに、下記の方法に従い接着試験、剥離性の確認を行った。結果を表2に示す。
各硬化剤成分の保存安定性を以下の方法で評価した。25mlのガラス瓶に20gの硬化剤成分を入れ、23℃で1週間静置し、分離や濁りが無いかを目視にて確認した。
(判定基準)
○:分離や濁り無し
×:分離や濁りが発生した
各シリコーン接着剤組成物を上記条件にて硬化して得られたシリコーンゴム硬化物の硬さを、JIS K 7312:1996に準拠して、デュロメータC硬度計を用いて測定した。
各組成物を上記条件にて硬化して得られたシリコーンゴム硬化物の切断時伸び及び引張強さを、JIS K 6249:2003に準拠して測定した。
アルミナ板と3mm×3mmのシリコンチップ間の厚みが0.2mmになるように各シリコーン接着剤組成物を塗布し、100℃にて1時間、次いで150℃にて4時間加熱硬化した。硬化後、25℃まで冷却した試験サンプル(シリコーンゴム硬化物)を、万能型ボンドテスター(ノードソン・アドバンスト・テクノロジー社製:DAGE4000)を用いて、試験数10でダイシェア試験を行い、シリコーンゴム硬化物の平均接着強度を算出した。
アルミナ板状に各組成物を1mmの厚さで塗布し、100℃で1時間、次いで150℃で4時間硬化させた。該硬化後のシリコーンゴム硬化物をアルミナ板よりプラスチック製スクレーパーで剥がして剥離性を確認した。
(判定基準)
○:アルミナ板上に樹脂残り無し。
△:アルミナ板上に樹脂残りはあるが、剥離可能。
×:アルミナ板上から剥離できない。
これに対し、表1及び2に示す通り、本発明のシリコーン接着剤組成物は保存安定性が良好であり、また得られる硬化物は、基材に対する良好な接着強度を有し、且つ、アルミナ基材から容易に剥離できた。従って、本発明のシリコーン接着剤組成物から得られる硬化物を基材の接着剤とすることで基材の再利用を容易に行うことができる。さらに得られる硬化物は高強度及び高い伸び率を有した。
Claims (8)
- (A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有する、オルガノポリシロキサン 100質量部
(B)下記(B1)成分及び下記(B2)成分
(B1)下記式(1)で示され、nが1~3の整数である直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンから選ばれ、nの値が異なる2種以上
(B2)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に3個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン
上記(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基の個数に対する、該(B1)及び(B2)成分中のヒドロシリル基の合計個数の比が0.9~2.5となる量
(C)ナノシリカ粒子 5~40質量部、及び
(D)白金族金属系触媒 触媒量
を含む、シリコーン接着剤組成物。 - 前記(B2)成分が、R3 2SiO2/2単位及びR3 3SiO1/2単位を含む、直鎖又は分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサンである(式中、R3は、互いに独立して炭素数1~6の飽和脂肪族炭化水素基または炭素数6~12の芳香族炭化水素基、又は水素原子であり、R3のうち少なくとも3つは水素原子である)、請求項1記載のシリコーン接着剤組成物。
- 前記(A)成分として前記式(2)で表され粘度が異なる直鎖状オルガノポリシロキサンの2種類以上を含む、請求項3記載のシリコーン接着剤組成物。
- 前記(B)成分において、[(B1)成分のヒドロシリル基の個数/[(B1)成分のヒドロシリル基の個数+(B2)成分のヒドロシリル基の個数)]の割合が0.3~0.9の範囲である、請求項1~4のいずれか1項記載のシリコーン接着剤組成物。
- 請求項1~5のいずれか1項記載のシリコーン接着剤組成物を硬化して成るシリコーンゴム硬化物。
- 静電チャック用接着剤である、請求項6記載のシリコーンゴム硬化物。
- 請求項7記載のシリコーンゴム硬化物を備える静電チャック。
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