JP7280549B2 - 車両のバッテリ冷却装置 - Google Patents
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Description
このようなバッテリは内部抵抗があるため、充放電を行うことによってバッテリ自体の温度が上昇する。しかも、バッテリの内部で起こる電気化学反応は、温度の影響を受け易いため、バッテリ自体の温度が上昇した場合、発電機能や充電機能が低下し、結果的に、バッテリ寿命の短縮化を招くことも知られている。
そこで、空調装置により温度調節された車室内にバッテリを配置すると共にバッテリに冷却風を供給して強制的に空気冷却することが行われている。
これに対して、助手席の下方且つ前方側にバッテリを配置することにより、助手席乗員の頭上スペースを確保することが考えられるが、バッテリ冷却後の冷却風の排出が課題となる。つまり、充放電によって自己発熱したバッテリは、車室内の雰囲気よりも高い温度に上昇しているため、バッテリと熱交換した直後の冷却風の温度は冷却前の冷却風温度に比べて高温になっている。そして、バッテリ冷却後の冷却風、所謂排気風が車室内に直接排出される状況では、乗員が周囲に滞留している高温の排気風を感知した場合、乗員が不快感(違和感)を覚える虞がある。
この構成によれば、バッテリ自身の温度影響を受けないようにバッテリから離隔した領域に存在する空気を冷却風として導入することができる。
この構成によれば、バッテリとトンネル部との間のデッドスペースを利用して吸気ダクトを配置することができる。
この構成によれば、バッテリとコンソールボックスとの間のデッドスペースを利用して吸気ダクトを配置することができる。
この構成によれば、吸気ダクトの吸気口とサイドメンバの開口とを離隔させることができ、開口から排出された排気風が直接的に吸気口から導入されることを防止することができる。
この構成によれば、既存のサイドシルを用いてバッテリ冷却後の冷却風を熱交換させることができる。
この構成によれば、助手席側スピーカと排気ダクトとを近接配置することができる。
本実施例1に係る車両Vは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関と車両駆動用の電動機(モータジェネレータ)とを駆動源としたFR(Front engine Rear drive)タイプのハイブリッド自動車である。
図1~図3に示すように、車両Vは、電装機器に電力を供給可能なメインバッテリ(図示略)と、車両駆動用の電動機(図示略)に電力を供給可能なバッテリ10と、このバッテリ10を冷却可能なバッテリ冷却装置20等を有している。
メインバッテリは、例えば、12Vの鉛バッテリであり、バッテリ10は、例えば、48Vのリチウムイオンバッテリである。
図1~図3に示すように、車両Vは、ダッシュパネル1と、ダッシュパネル1の後端部に連なるフロアパネル2と、前後に延びる左右1対のサイドシル3と、上下に延びる左右1対のヒンジピラー4等を備えている。
以下、図において、矢印F方向を車体前後方向前方とし、矢印L方向を車幅方向左方とし、矢印U方向を車体上下方向上方として説明する。
尚、図2では、説明の便宜上、冷却装置20の切断を行わず、車体のみの断面図を示している。
このフロアパネル2は、縦メンバよりも車幅方向内側部分が縦メンバよりも車幅方向外側部分に比べて高さ位置が高くなるように構成されている。
左側第1クロスメンバ6は、左側サイドシル3の内側壁部とトンネル部2aの左側壁部に接続され、フロアパネル2の上面と協働して断面矩形状の閉断面を形成している。左側第1クロスメンバ6の上部には、運転席11の前部をスライダを介して支持する支持部が固定されている。同様に、右側第1クロスメンバ6は、右側サイドシル3の内側壁部とトンネル部2aの右側壁部に接続され、フロアパネル2の上面と協働して断面矩形状の閉断面を形成している。右側第1クロスメンバ6の上部には、助手席12の前部をスライダを介して支持する支持部が固定されている。
右側サイドシル3の内側壁部には、閉断面に連通する複数(例えば、4つ)の開口3aが設けられている。
インスツルメントパネル16の内部には、車室内の温度を調節可能な空調装置(図示略)が収容されている。この空調装置は、例えば、吹出口を有する空調ダクト(ベントダクトやデフロスタダクト等)、空調用ブロア、冷却用熱交換器(エバポレータ)、加熱用熱交換器(ヒータコア)等を備えている。乗員が所望する温度に目標温度を設定したとき、空調装置は、車室内の温度が設定された温度になるように自動制御されている。
図1,図3に示すように、運転席11と助手席12の間には、トンネル部2aの上部を部分的に覆うコンソールボックス18が配置されている。
インスツルメントパネル16の下側且つ助手席の先端縁よりも前側位置に、具体的には、助手席乗員の足元に、フロアパネル2から上方に離隔した状態で取り付けられたボード部材19が配設されている。ボード部材19は、金属製板材により形成され、助手席乗員の足裏と対向した前方上り傾斜状のトーボードを構成している。
冷却装置20は、温度調節された車室内の空気を冷却風として導入し、この冷却風とバッテリ10とを熱交換させることによりバッテリ10を空気冷却している。
図4に示すように、冷却装置20は、吸気ダクト21と、冷却風とバッテリ10とを対流を用いて熱交換可能な冷却機構30と、排気ダクト22と、右側(助手席側)サイドシル3等によって構成されている。
図1~図3に示すように、吸気ダクト21は、車幅方向にてバッテリ10とコンソールボックス18(トンネル部2a)との間で且つインスツルメントパネル16の下方に位置するように位置決めされ、上方に延びる状態で固定されている。
このバッテリ10は、例えば、直方体状の電池セルを複数積層したバッテリモジュールと、このバッテリモジュールを収容する直方体状の収容ケースとによって形成されている。
バッテリ10は、平面視にてボード部材19の中央部分に対応するように配置されており、バッテリ10の上壁部全域がボード部材19によって覆われている。
図5に示すように、合成樹脂製のトレイ部材31は、前壁部31aと、この前壁部31aと対向する後壁部31bと、前壁部31aの下端と後壁部31bの下端とを連結する底壁部31cと、前壁部31aの右端と後壁部31bの右端とを連結する右壁部31dと、底壁部31cと右壁部31dとに跨って形成された円状の接続開口部31eを備えている。
熱交換用流路Pの左端部には、吸気ダクト21の扁平状下端部が嵌合されている。
それ故、熱交換用流路Pの上壁部を構成するバッテリ10の下壁部が放熱板に相当することから、車室内から導入された冷却風が熱交換用流路Pを流れることで、冷却風とバッテリ10の下壁部との熱交換が行われる。
このブロア32は、左側部に形成された吸込口がトレイ部材31の右端に形成された接続開口部31eに連結され、下部に形成された吐出口が排気ダクト22の上流端部に連結されている。
金属製の第1ブラケット41は、冷却機構30を下側から支持している。
第1ブラケット41は、冷却機構30を下方から保持するように、上方に開口した断面略コ字状に形成されている。冷却機構30が載置された第1ブラケット41の上部にボード部材19が設置され、冷却機構30と第1ブラケット41が複数の締結部材を介して連結されることにより中間部材が構成される。
第2ブラケット42は、中間部材を載置する平坦状の載置部42aと、この載置部42aの前側から上方に立ち上がる前壁部42bと、載置部42aの左側から左側下方に向けて緩やかに移行する左脚部42cと、載置部42aの右側から右側下方に向けて屈曲状に移行する右脚部42dと、載置部42aの後側から後側下方に向けて緩やかに移行する後脚部42eと、載置部42aの下面から下方に延設された下脚部42fとを備えている。
図2に示すように、中間部材が載置部42a上に固定された後、左脚部42c、右脚部42d、後脚部42e、及び下脚部42fがフロアパネル2に締結部材を介して夫々連結されている。
図1~図3に示すように、排気ダクト22は、車体前後方向に略直交するように延設され、その排気口が助手席側スピーカ17に重複しないように右側サイドシル3の内側壁部に挿通されている。
図4の矢印に示すように、冷却風は、ブロア32の吸込作用によって吸気口から導入され、吸気ダクト21を下方に流れて冷却機構30に送られる。
吸気ダクト21は、インスツルメントパネル16の下方位置において上方に延設されているため、空調装置により温度調節された車室中段部の空気が吸気口から吸気ダクト21に導入される。
充放電によって自己発熱したバッテリ10の温度は、空調装置により温度調節された空気温度よりも高温であるため、冷却風の流動に伴って冷却風とバッテリ10(下壁部)とが熱交換を行う。これにより、バッテリ10の温度は低下し、冷却風の温度は上昇する。
バッテリ10との熱交換を終えた冷却後の冷却風は、ブロア32の吐出作用によって排気ダクト22を右方に向けて流れ、右側サイドシル3に送られる。
排気ダクト22が車体前後方向に略直交しているため、排気ダクト22と右側サイドシル3とは最短距離で連結されている。
バッテリ10との熱交換により温度が上昇した冷却風は、移動中、熱伝導性の高い金属製サイドシル3と熱交換を行う。尚、サイドシル3は、走行風や外気等の影響により、基本的に冷却後の冷却風よりも低温である。
サイドシル3に伝導された熱は、サイドシル3に連結された他の車体構成部材(例えば、ピラー等)に熱伝導される。車室後方に形成された複数の開口3aに到達した冷却風は、サイドシル3との熱交換により温度が低下した状態で複数の開口3aから車室内に排出される。以上により、バッテリ10の冷却風を車室内で内部循環させている。
特に、複数の開口3aが、助手席12の近傍位置、具体的には、右側第1クロスメンバ6と右側第2クロスメンバ7との間に対応した右側サイドシル3の内側壁部に形成されているため、助手席12のシートクッションが遮断壁として介在し、複数の開口3aから排出された降温後の排気風は助手席乗員により感知され難くなっている。
本実施例1の冷却装置20によれば、バッテリ10が、助手席12に対して下側且つ前側の車室内に配設されているため、助手席乗員の頭上スペースを確保することができる。
排気ダクト22は、冷却後の冷却風をサイドシル3内に排出するように構成されたため、バッテリ10冷却後の冷却風により乗員が不快になることを抑制することができる。
1〕前記実施例においては、左に運転席、右に助手席を配置した例を説明したが、右に運転席、左に助手席を配置しても良い。この場合、冷却装置を左右対称に構成することで対応することが可能である。
また、バッテリの上下に夫々熱交換用流路を形成することも可能である。
2a トンネル部
3 サイドシル
3a 開口
10 バッテリ
11 運転席
12 助手席
17 スピーカ
18 コンソールボックス
19 ボード部材
20 冷却装置
21 吸気ダクト
22 排気ダクト
30 冷却機構
P 熱交換用流路
V 車両
Claims (7)
- バッテリを備えた車両のバッテリ冷却装置において、
前記車両は、
前記車両のエンジンルームと車室を仕切るダッシュパネルと、
前記ダッシュパネルの車両前後方向後側に張り出し、車幅方向の左右に延びるインスツルメントパネルと、
前記車両の車室内に配設された助手席と、
前記助手席の車幅方向外側において、車体前後方向に延びるように配設されたサイドメンバと、
前記バッテリと冷却風とを熱交換可能な冷却機構と、
前記冷却機構から冷却後の冷却風を排出する排気ダクトとを有し、
前記バッテリが、前記インスツルメントパネルの下方且つ前記助手席の先端縁よりも前側に配設され、
前記排気ダクトは、前記冷却後の冷却風を前記サイドメンバ内に排出するように構成され、
前記サイドメンバ内に連通する開口は、助手席近傍位置において冷却後の冷却風を車室内に排出するように形成されたことを特徴とする車両のバッテリ冷却装置。 - 車室内から吸気口を介して前記冷却機構に冷却風を導入する吸気ダクトを有し、
前記吸気ダクトが、前記バッテリの車幅方向内側に配設されたことを特徴とする請求項1に記載の車両のバッテリ冷却装置。 - 前記車両の運転席と前記助手席との間に設けられたトンネル部を有し、
前記吸気ダクトが、車幅方向にて前記バッテリと前記トンネル部との間に配設されたことを特徴とする請求項2に記載の車両のバッテリ冷却装置。 - 前記車両の運転席と前記助手席との間に設けられたコンソールボックスを有し、
前記吸気ダクトが、車幅方向にて前記バッテリと前記コンソールボックスとの間に配設されたことを特徴とする請求項2に記載の車両のバッテリ冷却装置。 - 車室内から吸気口を介して前記冷却機構に冷却風を導入する吸気ダクトを有し、
前記吸気ダクトは、前記吸気口の高さ位置が前記サイドメンバの開口の高さ位置よりも高くなるように車体上下方向上側に延設されたことを特徴とする請求項1に記載の車両のバッテリ冷却装置。 - 前記サイドメンバは、車幅方向端部に設けられたサイドシルであることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の車両のバッテリ冷却装置。
- 前記バッテリの車幅方向外側に助手席側スピーカを有し、
前記排気ダクトは、前記排気ダクトの排気口が前記助手席側スピーカに重複しないように前記サイドメンバ内に連通されたことを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の車両のバッテリ冷却装置。
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