JP4602164B2 - 車両 - Google Patents

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Description

本発明は、車両を走行させるモータに電力を供給するバッテリを収納したバッテリボックスを乗員が着座するシートの後方に配置し、車室内の空気を吸気ダクトを介して前記バッテリボックスの内部に供給して前記バッテリを冷却する車に関する。
ハイブリッド自動車のモータ・ジェネレータに給電する電源装置をリヤシートのシートクッションを支持するカバーの内部に収納し、電源装置のバッテリを冷却する冷却空気を、前記カバーの上面とシートクッションの下面との間の隙間に形成した空気経路を通して吸入するものが、下記特許文献1により公知である。
特開2001−233064号公報
ところで、ハイブリッド自動車等の電源装置のバッテリを冷却する冷却空気として外気を直接使用すると、外気の温度が高くなる夏期にバッテリの冷却効果が低下する可能性があるため、車室内の適温に空調された空気を冷却空気として使用することが望ましい。
このように、車室内の空気を電源装置のバッテリの冷却空気として使用するという要請があっても、電源装置をシートの後方のトラクルームに配置した場合には、シートの着座性能を低下させずに車室内の空気を電源装置に導くのが難しくなる問題がある。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、シートの着座性能を低下させることなく、シートの後方に配置した電源装置のバッテリボックスに車室内の空気を供給することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、車両を走行させるモータに電力を供給するバッテリを収納したバッテリボックスを乗員が着座するシートの後方に配置し、車室内の空気を吸気ダクトを介して前記バッテリボックスの内部に供給して前記バッテリを冷却する車において、前記シートのシートクッションの下方に配置した燃料タンクから車幅方向一方側の車体側部へ延びるフィラーチューブの上端に給油口が設けられ、前記シートの前下方に空調用の吹出口が後方を向いて開口しており、前記吸気ダクト前記シートと、車幅方向他方側の車体側部のボディとの間の空間に配置され、前記吸気ダクトの吸入口が、前記シートの着座面よりも下方で前記シートクッションの側面とドアの内面とに挟まれた空間に、前記空調用の吹出口に対して上方にオフセットした位置で開口していることを特徴とする車が提案される。
また請求項に記載された発明によれば、請求項の構成に加えて、前記吸気ダクトの流路断面積を前記吸入口の面積よりも大きく設定したことを特徴とする車が提案される。
尚、実施例のリヤシート12は本発明のシートに対応し、実施例のバッテリモジュール23は本発明のバッテリに対応する。
本発明によれば、乗員が着座するシートの後方に配置したバッテリボックスの内部に車室内の空気を供給してバッテリを冷却する吸気ダクトをシートと車体側部のボディとの間の空間に配置し、吸気ダクトの吸入口をシートの着座面よりも下方に開口させたので、シートの着座性能を損なうことなく車室内の空気をバッテリボックスに供給することができる。また吸気ダクトの吸入口をシートクッションの側面とドアの内面とに挟まれた空間に開口させたので、吸入口を目立ち難くして美観を高めることができる。
その上、シートの前下方に後方を向いて開口する空調用の吹出口に対して吸気ダクトの吸入口を上方にオフセットさせたので、吹出口から吹き出す温風が吸入口から吸気ダクトに吸い込まれないようにして、バッテリの冷却効果を確保することができる。さらに燃料タンクのフィラーチューブが吸気ダクトと反対側に配置されるので、フィラーチューブが吸気ダクトと干渉するのを防止してレイアウトの自由度を高めることができる。
さらに請求項2の発明によれば、吸気ダクトの流路断面積を吸入口の面積よりも大きく設定したので、吸入口から吸気ダクトに吸い込まれた空気の流通抵抗を最小限に押さえてバッテリの冷却効果を高めることができる。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
図1〜図11は本発明の一実施例を示すもので、図1は自動車の車体後部の斜視図、図2は図1の2方向矢視図、図3は図2の3−3線断面図、図4は図2の4部拡大図、図5は図4の5−5線断面図、図6は電源システムの分解斜視図、図7はバッテリボックスの分解斜視図、図8はバッテリ支持フレームの斜視図、図9は図2の9方向矢視図、図10はバッテリカバーの分解斜視図、図11はバッテリボックスの模式図である。
図1〜図4に示すように、走行用の動力源としてエンジンおよびモータ・ジェネレータを備えたハイブリッド自動車は、車体の左右両側部に車体前後方向に配置された一対のサイドフレーム11,11を備えており、リヤシート12のシートクッション12aの前部下面で左右のサイドフレーム11,11がクロスメンバ13により接続される。左右のサイドフレーム11,11、クロスメンバ13およびシートクッション12aの下面に囲まれた空間に燃料タンク14が配置されており、この燃料タンク14の左端から後上方に延びるフィラーチューブ15の上端に給油口16が設けられる。左右のサイドフレーム11,11はホイールハウス17,17に対応する位置に上方に湾曲する湾曲部11a,11aを備えており、その湾曲部11a,11aの頂点間に、モータ・ジェネレータの動力源となる電源システムのバッテリボックス18の左右両端部が接続される。バッテリボックス18の右側面の前部から車体前方に向けて吸気ダクト19が接続され、またバッテリボックス18の右側面の後部から車体後方に向けて排気ダクト20が接続される。排気ダクト20の中間部にはファン21およびサイレンサ22が設けられる。
接続される。
図5〜図9から明らかなように、複数のバッテリセルを直列に結合した36本の棒状のバッテリモジュール23…を複数のモジュールホルダ24…で一体に束ねたものが、一対の下部バッテリ支持フレーム25,25および一対の上部バッテリ支持フレーム26,26で上下から挟持される。中間部がバッテリモジュール23…の下面を支持すべく下向きに湾曲した一対の下部バッテリ支持フレーム25,25の両端は、固定ブラケット27,27で一体に結合される。バッテリモジュール23…の上面を支持すべく上向きに湾曲した一対の上部バッテリ支持フレーム26,26は、その左右両端部がボルト28…で下部バッテリ支持フレーム25,25の上面に固定される。
サイドフレーム11,11の湾曲部11a,11aの上面に、下部バッテリ支持フレーム25,25の両端の固定ブラケット27,27がボルト29…で結合される。サイドフレーム11,11の湾曲部11a,11aはホイールハウス17,17に対応する位置に設けられているため、図示せぬサスペンション装置のダンパーの上端が接続されて車輪からの大きな荷重が入力されるが、その部分をクロスメンバとして機能する強固な下部バッテリ支持フレーム25,25で接続することで、特別の補強部材を必要とせずに補強して車体の剛性を高めることができる。これにより、バッテリボックス18を搭載したことによる重量増加に対しても、従来の車体構造を大幅に変更することなく対応することが可能となる。
また重量の大きいバッテリボックス18をサイドフレーム11,11に支持することにより、その支持を強固なものとすることができる。しかも棒状のバッテリモジュール23…は車体前後方向に配置されており、これらのバッテリモジュール23…を車体左右方向に延びる下部バッテリ支持フレーム25,25および上部バッテリ支持フレーム26,26で支持することにより、その支持を容易かつ確実に行うことができる。
下部バッテリ支持フレーム25,25および上部バッテリ支持フレーム26,26で束ねられた複数本のバッテリモジュール23…は、発泡性の合成樹脂で形成された下部バッテリカバー30および上部バッテリカバー31によって覆われ、更にそれらの上面が下方が開放した金属製のバッテリケース32で覆われる。下部バッテリ支持フレーム25,25の左右両端部は、上部バッテリカバー31を貫通して外部に延出する。発泡性の合成樹脂よりなる下部バッテリカバー30および上部バッテリカバー31を金属製のバッテリケース32で覆うことにより、それらの下部バッテリカバー30、上部バッテリカバー31と内部のバッテリモジュール23…とを保護することができる。
次に、図10および図11に基づいて、下部バッテリカバー30および上部バッテリカバー31の構造を説明する。尚、図11は図10に対応する模式図である。
下部バッテリカバー30および上部バッテリカバー31は、車体左側に位置するバッテリ収納部Aと、車体右側に位置する冷却空気案内部Bとで構成される。バッテリ収納部Aは矩形状の上壁33Uおよび下壁33Lと、前後方向に延びる一対の第1側壁34L,34Rと、左右方向に延びる一対の第2側壁35f,35rとを備えて上下方向に偏平な直方体状に形成される。
バッテリ収納部Aにおいて、上壁33Uの下面に左右方向に形成された2本の仕切り壁33Ua,33Uaと、下壁33Lの上面に左右方向に形成された2本の仕切り壁33La,33Laとは、下部バッテリ支持フレーム25,25および上部バッテリ支持フレーム26,26に接しており、これらの仕切り壁33Ua,33Ua;33La,33Laにより後方に位置する2本の第1冷却通路36,36と、前方に位置する1本の第2冷却通路37とが区画される。また左側の第1側壁34Lに沿って前後方向に延びる連結通路38が形成される。第1冷却通路36,36の左端(終端)が連結通路38の後端(始端)に連通し、連結通路38の前端(終端)が第2冷却通路37の左端(始端)に連通することで、第1冷却通路36,36、連結通路38および第2冷却通路37は全体的にU字状に配置される。
上部バッテリカバー31の冷却空気案内部Bには、右側の第1側壁34Rの右側に連なる隔壁39が水平方向に形成され、その隔壁39と下部バッテリカバー30との間に冷却空気導入通路40が形成される。下部バッテリカバー30の右端前部には冷却空気導入通路40に連なる冷却空気導入口41が形成され、下部バッテリカバー30の右側の第1側壁34Rの後部に第1冷却通路36,36の始端に連なる第1連通口42が形成される。上部バッテリカバー31の右側の第1側壁34Rの前部に第2冷却通路37の終端に連なる第2連通口43が形成される
上部バッテリカバー31の隔壁39とバッテリケース32との間に冷却空気排出通路44が形成され、その冷却空気排出通路44の始端は第2連通口43に接続され、その終端には上部バッテリカバー31の隔壁39とバッテリケース32とによって冷却空気排出口45が形成される。上部バッテリカバー31の隔壁39の上面に、バッテリモジュール23…の高電圧を降圧するダウンバータ46が、冷却空気排出通路44内に位置するように配置される。
バッテリボックス18の冷却空気導入口41に接続された吸気ダクト19は、リヤシート12のシートバック12bの右側面からシートクッション12aの右側面に沿って配置され、シートクッション12aの右側面の前端に右前方を向いて開口する吸入口19aは、後部右ドアに隙間を存して対向する。従って、吸気ダクト19によってリヤシート12の着座性能が阻害されるのを防止しながら、特に夏期に車室内の適温に空調された空気をバッテリボックス18に供給することができる。しかも後部右ドアを閉じた状態で、吸気ダクト19の吸入口19aを見えにくくして外観を向上させることができる。また吸気ダクト19の通路断面積は、その何れの部位でも吸入口19aの断面積よりも大きく設定されており、これにより吸気ダクト19を流れる冷却空気の流通抵抗を最小限に抑えることができる(図6参照)。
リヤシート12の前方のフロアに、暖房用の空気を吹き出す吹出口48が設けられる。後方を向いて開口する吹出口48の延長線上に対して、吸気ダクト19の吸入口19aは上方かつ右方にずれており、これにより吹出口48から吹出た高温の空気が吸気ダクト19に直接吸入されないようにし、バッテリモジュール23…の冷却性能の低下を防止することができる。
バッテリボックス18の冷却空気排出口45に連なる排気ダクト20は、それに設けたファン21およびサイレンサ22と共に、トランクルームの内装材49と車体外板50との間の空間に配置される(図2参照)。ファン21を内装材49で覆ったことで車室内に漏れる騒音を低減することができ、またサイレンサ22を設けたことで冷却空気の流れに伴う騒音を低減することができる。
次に、上記構成を備えた本発明の実施例の作用について説明する。
モータ・ジェネレータを駆動することで発熱したバッテリモジュール23…を冷却すべく排気ダクト20に設けたファン21を駆動すると、車室内の空気が吸気ダクト19の吸入口19aからバッテリボックス18に冷却空気導入口41に導入される。冷却空気導入口41に導入された冷却空気は、バッテリボックス18の冷却空気案内部Bの隔壁39の下方に設けた冷却空気導入通路40を前から後に流れた後に、バッテリボックス18のバッテリ収納部Aの右側の第1側壁34Rに設けた第1連通口42から2本の第1冷却通路36,36に流入する。
後側の第2側壁35rに沿う第1冷却通路36,36を右から左に流れた冷却空気は、左側の第1側壁34Lに沿う連結通路38を後から前に流れ、更に前側の第2側壁35fに沿う第2冷却通路37を左から右に流れた後に、右側の第1側壁34Rに設けた第2連通口43から隔壁39の上方に設けた冷却空気排出通路44に排出される。
冷却空気が第1冷却通路36,36および第2冷却通路37を流れる間に、そこに配置されたバッテリモジュール23…を冷却する。このとき、2本設けられた上流側の第1冷却通路36,36の冷却空気は比較的に低温であるが、流路断面積が大きいために冷却空気の流速が小さくなり、逆に1本だけ設けられた下流側の第2冷却通路37の冷却空気は比較的に高温であるが、流路断面積が小さいために冷却空気の流速が大きくなることで、全てのバッテリモジュール23…を均一に冷却することができる。
またバッテリモジュール23…を冷却した後の冷却空気が通過する冷却空気排出通路44にダウンバータ46を配置したことで、バッテリモジュール23…を冷却した冷却空気を利用してダウンバータ46を冷却することができる。そして冷却空気排出口45から排気ダクト19に排出された冷却空気は、ファン21を通過してサイレンサ22で消音された後に、トランクルームの内装材49と車体外板50との間の空間に排出される。
バッテリボックス18のバッテリ収納部Aの中心線L1は車体中心線L2に対して車体左側にずれており、その結果として車体右側に形成されたスペースに冷却空気案内部B、吸気ダクト19および排気ダクト20を配置したので、リヤシート12およびトランクルーム間の限られた空間にバッテリボックス18をコンパクトに配置することができる。しかも燃料タンク14のフィラーチューブ15を吸気ダクト19および排気ダクト20と反対側である車体左側に配置したので、フィラーチューブ15が吸気ダクト19および排気ダクト20と干渉するのを防止してレイアウトの自由度を高めることができる。
またバッテリボックス18のバッテリ収納部Aに隣接して冷却空気案内部Bを一体に設け、この冷却空気案内部Bの内部で冷却空気導入通路40および冷却空気排出通路44を交差させたので、冷却空気案内部Bの右側面および後面にそれぞれ冷却空気導入口41および冷却空気排出口45を設けることが可能になり、吸気ダクト19および排気ダクト20のレイアウトの自由度が向上する。また隔壁39を挟んで冷却空気導入通路40および冷却空気排出通路44を上下に分離したので、冷却空気導入通路40および冷却空気排出通路44を無理なく交差させて冷却空気の流通抵抗の増加を最小限に抑えることができる。
尚、実施例では冷却空気案内部Bの右側面および後面にそれぞれ冷却空気導入口41および冷却空気排出口45を設けているが、吸気ダクト19および排気ダクト20のレイアウトの要請に応じて、それらを冷却空気案内部Bの任意の位置に設けることができ、これにより吸気ダクト19および排気ダクト20の干渉を回避してレイアウトの自由度を高めることができる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施例ではハイブリッド自動車の電源システムについて説明したが、本発明は電気自動車の電源システムに対しても適用することができる。
また実施例では吸気ダクト19を車体の右側面側に設けているが、それを左側面側に設けても良い。
自動車の車体後部の斜視図 図1の2方向矢視図 図2の3−3線断面図 図2の4部拡大図 図4の5−5線断面図 電源システムの分解斜視図 バッテリボックスの分解斜視図 バッテリ支持フレームの斜視図 図2の9方向矢視図 バッテリカバーの分解斜視図 バッテリボックスの模式図
12 リヤシート(シート)
12a シートクッション
15 フィラーチューブ
16 給油口
18 バッテリボックス
19 吸気ダクト
19a 吸入口
23 バッテリモジュール(バッテリ)
48 吹出口

Claims (2)

  1. 車両を走行させるモータに電力を供給するバッテリ(23)を収納したバッテリボックス(18)を乗員が着座するシート(12)の後方に配置し、車室内の空気を吸気ダクト(19)を介して前記バッテリボックス(18)の内部に供給して前記バッテリ(23)を冷却する車において、
    前記シート(12)のシートクッション(12a)の下方に配置した燃料タンク(14)から車幅方向一方側の車体側部へ延びるフィラーチューブ(15)の上端に給油口(16)が設けられ、
    前記シート(12)の前下方に空調用の吹出口(48)が後方を向いて開口しており、 前記吸気ダクト(19)前記シート(12)と、車幅方向他方側の車体側部のボディとの間の空間に配置され、
    前記吸気ダクト(19)の吸入口(19a)が、前記シート(12)の着座面よりも下方で前記シートクッション(12a)の側面とドアの内面とに挟まれた空間に、前記空調用の吹出口(48)に対して上方にオフセットした位置で開口していることを特徴とする車
  2. 前記吸気ダクト(19)の流路断面積を前記吸入口(19a)の面積よりも大きく設定したことを特徴とする、請求項に記載の車
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