JP7265457B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
本発明は、空気入りタイヤに関するものである。
従来、タイヤ径方向内側を分岐させたサイプや溝が提案されている(例えば、特許文献1)。このような構成によれば、摩耗進展時の排水性を向上させ得る。
しかしながら、上記のようなサイプや溝を有する空気入りタイヤにおいては、摩耗進展時にサイプや溝が分岐した後にタイヤ性能が変化する場合があった。
本発明は、摩耗進展時の排水性を向上させつつも、摩耗進展時のタイヤ性能の変化を抑制した空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明の要旨構成は、以下の通りである。
(1)一態様において、本発明の空気入りタイヤは、
トレッド踏面に、トレッド周方向に延びる複数本の周方向主溝と、前記複数本の周方向主溝のうちトレッド幅方向に隣接する前記周方向主溝間に、又は、前記周方向主溝とトレッド端とにより、区画される複数の陸部と、を有し、
前記陸部に、トレッド幅方向に延びる複数本の幅方向サイプを有し、
前記幅方向サイプは、前記トレッド踏面からタイヤ径方向内側に向かって延びる踏面側サイプ部分と、該踏面側サイプ部分からタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、第1分岐サイプ部分と、該第1分岐サイプ部分のタイヤ径方向内側端のそれぞれからタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、第2分岐サイプ部分と、を有することを特徴とする。
(1)一態様において、本発明の空気入りタイヤは、
トレッド踏面に、トレッド周方向に延びる複数本の周方向主溝と、前記複数本の周方向主溝のうちトレッド幅方向に隣接する前記周方向主溝間に、又は、前記周方向主溝とトレッド端とにより、区画される複数の陸部と、を有し、
前記陸部に、トレッド幅方向に延びる複数本の幅方向サイプを有し、
前記幅方向サイプは、前記トレッド踏面からタイヤ径方向内側に向かって延びる踏面側サイプ部分と、該踏面側サイプ部分からタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、第1分岐サイプ部分と、該第1分岐サイプ部分のタイヤ径方向内側端のそれぞれからタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、第2分岐サイプ部分と、を有することを特徴とする。
ここで、「トレッド踏面」とは、空気入りタイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填して、最大負荷荷重を負荷した際に路面と接地することとなるトレッド表面の、トレッド周方向全域にわたる面をいう。
また、「周方向主溝」とは、トレッド周方向に延び、空気入りタイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした状態での、上記トレッド踏面における開口幅が、2mm以上のものをいう。
また、「トレッド端」とは、上記トレッド踏面のタイヤ幅方向両側の最外側点をいう。
また、「幅方向サイプ」とは、トレッド幅方向に延び、空気入りタイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした状態での、上記トレッド踏面における開口幅が、2mm未満のものをいう。
また、「周方向主溝」とは、トレッド周方向に延び、空気入りタイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした状態での、上記トレッド踏面における開口幅が、2mm以上のものをいう。
また、「トレッド端」とは、上記トレッド踏面のタイヤ幅方向両側の最外側点をいう。
また、「幅方向サイプ」とは、トレッド幅方向に延び、空気入りタイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした状態での、上記トレッド踏面における開口幅が、2mm未満のものをいう。
本明細書において、「適用リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)のJATMA YEAR BOOK、欧州ではETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)のSTANDARDS MANUAL、米国ではTRA(The Tire and Rim Association,Inc.)のYEAR BOOK等に記載されているまたは将来的に記載される、適用サイズにおける標準リム(ETRTOのSTANDARDS MANUALではMeasuring Rim、TRAのYEAR BOOKではDesign Rim)を指す(即ち、上記の「リム」には、現行サイズに加えて将来的に上記産業規格に含まれ得るサイズも含む。「将来的に記載されるサイズ」の例としては、ETRTO 2013年度版において「FUTURE DEVELOPMENTS」として記載されているサイズを挙げることができる。)が、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤのビード幅に対応した幅のリムをいう。
また、「規定内圧」とは、上記JATMA等に記載されている、適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)を指し、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、「規定内圧」は、タイヤを装着する車両毎に規定される最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいうものとする。
また、「最大負荷荷重」とは、上記最大負荷能力に対応する荷重をいうものとする。
また、「規定内圧」とは、上記JATMA等に記載されている、適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)を指し、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、「規定内圧」は、タイヤを装着する車両毎に規定される最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいうものとする。
また、「最大負荷荷重」とは、上記最大負荷能力に対応する荷重をいうものとする。
(2)上記(1)では、前記空気入りタイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした、基準状態における、タイヤ周方向断面視において、
前記踏面側サイプ部分は、前記トレッド踏面の法線方向に延び、
前記第1分岐サイプ部分は、タイヤ周方向に沿って延びる第1水平サイプ部分と、前記トレッド踏面の法線方向に延びる2つの第1垂直サイプ部分とからなり、
前記第2分岐サイプ部分の各々は、タイヤ周方向に沿って延びる第2水平サイプ部分と、前記トレッド踏面の法線方向に延びる2つの第2垂直サイプ部分とからなることが好ましい。
前記踏面側サイプ部分は、前記トレッド踏面の法線方向に延び、
前記第1分岐サイプ部分は、タイヤ周方向に沿って延びる第1水平サイプ部分と、前記トレッド踏面の法線方向に延びる2つの第1垂直サイプ部分とからなり、
前記第2分岐サイプ部分の各々は、タイヤ周方向に沿って延びる第2水平サイプ部分と、前記トレッド踏面の法線方向に延びる2つの第2垂直サイプ部分とからなることが好ましい。
(3)上記(2)において、複数個の前記第2分岐サイプ部分が、前記基準状態において、タイヤ周方向に隣接する2つの前記第2垂直サイプ部分のタイヤ径方向内側端の間のタイヤ周方向距離が略一定となるように配置されていることが好ましい。
(4)他の態様において、本発明の空気入りタイヤは、
トレッド踏面に、トレッド周方向に延びる複数本の周方向主溝と、前記複数本の周方向主溝のうちトレッド幅方向に隣接する前記周方向主溝間に、又は、前記周方向主溝とトレッド端とにより、区画される複数の陸部と、を有し、
前記陸部に、トレッド幅方向に延びる複数本の幅方向溝を有し、
前記幅方向溝は、前記トレッド踏面からタイヤ径方向内側に向かって延びる踏面側溝部分と、該踏面側溝部分からタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、第1分岐溝部分と、該第1分岐溝部分のタイヤ径方向内側端のそれぞれからタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、第2分岐溝部分と、を有することを特徴とする。
ここで、「幅方向溝」とは、トレッド幅方向に延び、空気入りタイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした状態での、上記トレッド踏面における開口幅が、2mm以上のものをいう。
トレッド踏面に、トレッド周方向に延びる複数本の周方向主溝と、前記複数本の周方向主溝のうちトレッド幅方向に隣接する前記周方向主溝間に、又は、前記周方向主溝とトレッド端とにより、区画される複数の陸部と、を有し、
前記陸部に、トレッド幅方向に延びる複数本の幅方向溝を有し、
前記幅方向溝は、前記トレッド踏面からタイヤ径方向内側に向かって延びる踏面側溝部分と、該踏面側溝部分からタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、第1分岐溝部分と、該第1分岐溝部分のタイヤ径方向内側端のそれぞれからタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、第2分岐溝部分と、を有することを特徴とする。
ここで、「幅方向溝」とは、トレッド幅方向に延び、空気入りタイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした状態での、上記トレッド踏面における開口幅が、2mm以上のものをいう。
(5)上記(4)では、前記空気入りタイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした、基準状態における、タイヤ周方向断面視において、
前記踏面側溝部分は、前記トレッド踏面の法線方向に延び、
前記第1分岐溝部分は、タイヤ周方向に沿って延びる第1水平溝部分と、前記トレッド踏面の法線方向に延びる2つの第1垂直溝部分とからなり、
前記第2分岐溝部分の各々は、タイヤ周方向に沿って延びる第2水平溝部分と、前記トレッド踏面の法線方向に延びる2つの第2垂直部分溝とからなることが好ましい。
前記踏面側溝部分は、前記トレッド踏面の法線方向に延び、
前記第1分岐溝部分は、タイヤ周方向に沿って延びる第1水平溝部分と、前記トレッド踏面の法線方向に延びる2つの第1垂直溝部分とからなり、
前記第2分岐溝部分の各々は、タイヤ周方向に沿って延びる第2水平溝部分と、前記トレッド踏面の法線方向に延びる2つの第2垂直部分溝とからなることが好ましい。
(6)上記(5)において、複数個の前記第2分岐溝部分が、前記基準状態において、タイヤ周方向に隣接する2つの前記第2垂直溝部分のタイヤ径方向内側端の間のタイヤ周方向距離が略一定となるように配置されていることが好ましい。
本発明によれば、摩耗進展時の排水性を向上させつつも、摩耗進展時のタイヤ性能の変化を抑制した空気入りタイヤを提供することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に例示説明する。
ここで、空気入りタイヤ(以下、単にタイヤとも称する)の内部構造等については、従来のものと同様の構造とすることができる。一例としては、該タイヤは、一対のビード部と、該一対のビード部に連なる一対のサイドウォール部と、該一対のサイドウォール部間に配置されたトレッド部とを有するものとすることができる。また、該タイヤは、一対のビード部間をトロイダル状に跨るカーカスと、該カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に配置されたベルトと、を有するものとすることができる。
以下、特に断りのない限り、寸法等は、タイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷状態とした際の寸法等を指す。
ここで、空気入りタイヤ(以下、単にタイヤとも称する)の内部構造等については、従来のものと同様の構造とすることができる。一例としては、該タイヤは、一対のビード部と、該一対のビード部に連なる一対のサイドウォール部と、該一対のサイドウォール部間に配置されたトレッド部とを有するものとすることができる。また、該タイヤは、一対のビード部間をトロイダル状に跨るカーカスと、該カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に配置されたベルトと、を有するものとすることができる。
以下、特に断りのない限り、寸法等は、タイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷状態とした際の寸法等を指す。
図1は、本発明の一実施形態にかかる空気入りタイヤのトレッドパターンを模式的に示す展開図である。
図1に示すように、本例のタイヤは、トレッド踏面1に、タイヤ周方向に延びる複数本(図示例では4本)の周方向主溝2(2a、2b、2c、2d)と、複数本の周方向主溝2のうちタイヤ幅方向に隣接する周方向主溝2間に、又は、周方向主溝2(2a、2d)とトレッド端TEとにより、区画される複数(図示例では5つ)の陸部3(3a、3b、3c、3d、3e)と、を有している。この例では、周方向主溝2a、2bは、タイヤ赤道面CLを境界としたタイヤ幅方向の一方の半部に位置しており、他の周方向主溝2c、2dは、タイヤ赤道面CLを境界としたタイヤ幅方向の他方の半部に位置している。そして、この例では、タイヤ赤道面CL上に1つの陸部3(3c)と、各タイヤ幅方向半部に2つずつの陸部3(3a、3b、3d、3e)とが配置されている。図1に示した例では、周方向主溝2の本数は、4本であるが、1~3本又は5本以上とすることもできる。従って、陸部3の個数も、2~4つ又は6つ以上とすることができる。
また、各陸部3は、タイヤ幅方向に延びる複数本の幅方向サイプ4を有している。なお、本例では、全ての陸部3が幅方向サイプ4を有しているが、幅方向サイプ4を有しない陸部3が存在していても良い。本例では、全ての陸部3が幅方向溝を有しないリブ状陸部である(本明細書においては、幅方向サイプにより陸部がタイヤ周方向に分断されている場合であっても、幅方向溝で完全に分断されていなければ、リブ状陸部に含めるものとしている)。一方で、1つ以上の陸部3をブロック状の陸部とすることもできる。
ここで、周方向主溝2の溝幅(開口幅(平面視において、溝の延在方向に対して垂直に測った開口幅))は、周方向主溝2の本数にもよるため特には限定されないが、例えば5~25mmとすることができる。同様に、周方向主溝2の溝深さ(最大深さ)は、特には限定されないが、例えば6~18mmとすることができる。
図示例では、トレッド踏面1の平面視において、周方向主溝2は、いずれも、タイヤ周方向に沿って(傾斜せずに)延びているが、少なくとも1つの周方向主溝2がタイヤ周方向に対して傾斜して延びていても良く、その場合、タイヤ周方向に対して、例えば5°以下の角度で傾斜して延びるものとすることができる。また、図示例では、周方向主溝2は、いずれも、タイヤ周方向に真っ直ぐ延びているが、少なくとも1本の周方向主溝2が、ジグザグ状、湾曲状などの形状を有していても良い。
幅方向サイプ4のサイプ幅(開口幅(平面視において、溝の延在方向に対して垂直に測った開口幅))は、幅方向サイプ4の本数にもよるため特には限定されないが、例えば0.2~1.0mmとすることができる。同様に、幅方向サイプ4のサイプ深さ(最大深さ)は、特には限定されないが、例えば4.0~18.0mmとすることができる。
なお、図示例のように、幅方向サイプ4も、タイヤ幅方向に沿って(傾斜せずに)延びていることが好ましい。一方で、少なくとも1本の幅方向サイプ4がタイヤ幅方向に対して傾斜して延びていても良く、この場合、タイヤ幅方向に対して45°以下の傾斜角度で傾斜して延びていることが好ましく、また、30°以下の傾斜角度で傾斜して延びていることが好ましい。また、図示例のように、幅方向サイプ4は、タイヤ幅方向に真っ直ぐ延びていることが好ましい。一方で、少なくとも1本の幅方向サイプ4が、屈曲した部分を有していても良い。図示例では、幅方向サイプ4は、両端が周方向主溝2に連通しているが、一方又は両方の端が陸部3内で終端していても良い。
なお、図示例のように、幅方向サイプ4も、タイヤ幅方向に沿って(傾斜せずに)延びていることが好ましい。一方で、少なくとも1本の幅方向サイプ4がタイヤ幅方向に対して傾斜して延びていても良く、この場合、タイヤ幅方向に対して45°以下の傾斜角度で傾斜して延びていることが好ましく、また、30°以下の傾斜角度で傾斜して延びていることが好ましい。また、図示例のように、幅方向サイプ4は、タイヤ幅方向に真っ直ぐ延びていることが好ましい。一方で、少なくとも1本の幅方向サイプ4が、屈曲した部分を有していても良い。図示例では、幅方向サイプ4は、両端が周方向主溝2に連通しているが、一方又は両方の端が陸部3内で終端していても良い。
図2は、図1の陸部の一部(幅方向サイプ4で区画された小陸部の2つ分)の斜視図である。図3は、図1の陸部の一部のタイヤ周方向断面図である。図2、図3は、空気入りタイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした、基準状態における状態を示している。
図2、図3に示すように、本実施形態のタイヤにおいて、幅方向サイプ4は、トレッド踏面1からタイヤ径方向内側に向かって延びる踏面側サイプ部分4aと、該踏面側サイプ部分4aからタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、第1分岐サイプ部分4bと、該第1分岐サイプ部分4bのタイヤ径方向内側端のそれぞれからタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、第2分岐サイプ部分4cと、を有している。
図2、図3に示すように、踏面側サイプ部分4aは、トレッド踏面1の法線方向に延び、第1分岐サイプ部分4bは、タイヤ周方向断面視で、タイヤ周方向に沿って延びる第1水平サイプ部分4b1と、トレッド踏面1の法線方向に延びる2つの第1垂直サイプ部分4b2とからなり、第2分岐サイプ部分4cの各々は、タイヤ周方向断面視で、タイヤ周方向に沿って延びる第2水平サイプ部分4c1と、トレッド踏面1の法線方向に延びる2つの第2垂直サイプ部分4c2とからなる。踏面側サイプ部分4aは、トレッド踏面1の法線方向に傾斜せずに延びることが好ましいが、例えば5°以下の角度で傾斜して延びていても良い。また、第1水平サイプ部分4b1及び第2水平サイプ部分4c1は、タイヤ周方向に傾斜せずに延びていることが好ましいが、例えば5°以下の角度で傾斜して延びていても良い。また、第1垂直サイプ部分4b2及び第2垂直サイプ部分4c2は、トレッド踏面1の法線方向に傾斜せずに延びていることが好ましいが、例えば5°以下の角度で傾斜して延びていても良い。
また、図2、図3に示すように、複数個の第2分岐サイプ部分4cが、上記基準状態において、タイヤ周方向に隣接する2つの第2垂直サイプ部分4c2のタイヤ径方向内側端の間のタイヤ周方向距離が略一定(一定であるか、変化率が例えば5%以下)となるように配置されている。
図示例のように、踏面側サイプ部分4a、第1分岐サイプ部分4b、及び第2分岐サイプ部分4cのサイプ幅は等しくすることが好ましいが、異ならせることもできる。また、図示例のように、踏面側サイプ部分4a、第1分岐サイプ部分4b(第1垂直サイプ部分4b2)、及び第2分岐サイプ部分4c(第2垂直サイプ部分4c2)のトレッド踏面1の法線方向の長さは等しいが、異ならせることもでき、その場合大小関係はいずれでも良い。
また、図示例では、第1水平サイプ部分4b1は、踏面側サイプ部分4aのタイヤ径方向内側端からタイヤ周方向両側に同じ長さ延在した第1水平サイプ部分4b1のタイヤ周方向両端のそれぞれが第1垂直サイプ部分4b2と接続している。また、図示例では、第2水平サイプ部分4c1は、第2垂直サイプ部分4b2のタイヤ径方向内側端からタイヤ周方向両側に同じ長さ延在した第2水平サイプ部分4c2のタイヤ周方向両端のそれぞれが第2垂直サイプ部分4c2と接続している。
以下、本実施形態の空気入りタイヤの作用効果について説明する。
また、図示例では、第1水平サイプ部分4b1は、踏面側サイプ部分4aのタイヤ径方向内側端からタイヤ周方向両側に同じ長さ延在した第1水平サイプ部分4b1のタイヤ周方向両端のそれぞれが第1垂直サイプ部分4b2と接続している。また、図示例では、第2水平サイプ部分4c1は、第2垂直サイプ部分4b2のタイヤ径方向内側端からタイヤ周方向両側に同じ長さ延在した第2水平サイプ部分4c2のタイヤ周方向両端のそれぞれが第2垂直サイプ部分4c2と接続している。
以下、本実施形態の空気入りタイヤの作用効果について説明する。
本実施形態の空気入りタイヤによれば、まず、陸部3に複数本の幅方向サイプ4を設けているため、排水性を向上させることができる。また、幅方向サイプ4は、第1分岐サイプ部分4bを有しているため、摩耗進展時に溝体積が減少した際に排水性を確保することができる。さらに、幅方向サイプ4は、2つの第2分岐サイプ部分4cを有しているため、摩耗がさらに進展して溝体積がさらに減少した際にも、排水性を確保することができる。
そして、本実施形態の空気入りタイヤでは、幅方向サイプ4は、トレッド踏面1側から順に、踏面側サイプ部分4a、第1分岐サイプ部分4b、及び2つの第2分岐サイプ部分4cを有しているため、幅方向サイプ4で区画される部分のタイヤ周方向長さに対するサイプ深さの比(アスペクト比)が、摩耗進展と共に大きく変化しないようにすることができ、これにより摩耗進展時のタイヤ性能(例えば耐摩耗性)の変化を抑制することができる。
以上のように、本実施形態の空気入りタイヤによれば、摩耗進展時の排水性を向上させつつも、摩耗進展時のタイヤ性能の変化を抑制することができる。
そして、本実施形態の空気入りタイヤでは、幅方向サイプ4は、トレッド踏面1側から順に、踏面側サイプ部分4a、第1分岐サイプ部分4b、及び2つの第2分岐サイプ部分4cを有しているため、幅方向サイプ4で区画される部分のタイヤ周方向長さに対するサイプ深さの比(アスペクト比)が、摩耗進展と共に大きく変化しないようにすることができ、これにより摩耗進展時のタイヤ性能(例えば耐摩耗性)の変化を抑制することができる。
以上のように、本実施形態の空気入りタイヤによれば、摩耗進展時の排水性を向上させつつも、摩耗進展時のタイヤ性能の変化を抑制することができる。
ここで、本実施形態のように、上記基準状態における、タイヤ周方向断面視で、踏面側サイプ部分は、トレッド踏面の法線方向に延び、第1分岐サイプ部分は、タイヤ周方向に沿って延びる第1水平サイプ部分と、トレッド踏面の法線方向に延びる2つの第1垂直サイプ部分とからなり、第2分岐サイプ部分の各々は、タイヤ周方向に沿って延びる第2水平サイプ部分と、トレッド踏面1の法線方向に延びる2つの第2垂直サイプ部分とからなることが好ましい。
摩耗の進展と共に、陸部の幅方向サイプで区画される部分の形状が大きく変化しないようにしつつも、上記アスペクト比を一定に保つことができるため、摩耗進展時のタイヤ性能の変化をさらに抑制することができるからである。
摩耗の進展と共に、陸部の幅方向サイプで区画される部分の形状が大きく変化しないようにしつつも、上記アスペクト比を一定に保つことができるため、摩耗進展時のタイヤ性能の変化をさらに抑制することができるからである。
また、本実施形態のように、複数個の第2分岐サイプ部分が、上記基準状態において、タイヤ周方向に隣接する2つの第2垂直サイプ部分のタイヤ径方向内側端の間のタイヤ周方向距離が略一定となるように配置されていることが好ましい。
陸部の幅方向サイプで区画される部分同士のアスペクト比を揃えて、摩耗進展時のタイヤ性能の変化を特に抑制することができるからである。
陸部の幅方向サイプで区画される部分同士のアスペクト比を揃えて、摩耗進展時のタイヤ性能の変化を特に抑制することができるからである。
また、本実施形態のように、踏面側サイプ部分、第1分岐サイプ部分(第1垂直サイプ部分)、及び第2分岐サイプ部分(第2垂直サイプ部分)のトレッド踏面の法線方向の長さが等しいことが好ましい。摩耗の進展と共に、上記アスペクト比がより一層一定に保たれるため、摩耗進展時のタイヤ性能の変化をより一層抑制することができるからである。
同様の理由により、第1水平サイプ部分は、踏面側サイプ部分のタイヤ径方向内側端からタイヤ周方向両側に同じ長さ延在した第1水平サイプ部分のタイヤ周方向両端のそれぞれが第1垂直サイプ部分と接続し、且つ、第2水平サイプ部分は、第2垂直サイプ部分のタイヤ径方向内側端からタイヤ周方向両側に同じ長さ延在した第2水平サイプ部分のタイヤ周方向両端のそれぞれが第2垂直サイプ部分と接続していることが好ましい。
同様の理由により、第1水平サイプ部分は、踏面側サイプ部分のタイヤ径方向内側端からタイヤ周方向両側に同じ長さ延在した第1水平サイプ部分のタイヤ周方向両端のそれぞれが第1垂直サイプ部分と接続し、且つ、第2水平サイプ部分は、第2垂直サイプ部分のタイヤ径方向内側端からタイヤ周方向両側に同じ長さ延在した第2水平サイプ部分のタイヤ周方向両端のそれぞれが第2垂直サイプ部分と接続していることが好ましい。
本発明は、幅方向サイプのみならず、幅方向溝にも同様に適用することができる。
すなわち、その場合の空気入りタイヤは、トレッド踏面に、トレッド周方向に延びる複数本の周方向主溝と、複数本の周方向主溝のうちトレッド幅方向に隣接する周方向主溝間に、又は、周方向主溝とトレッド端とにより、区画される複数の陸部と、を有し、該陸部に、トレッド幅方向に延びる複数本の幅方向溝を有し、該幅方向溝は、トレッド踏面からタイヤ径方向内側に向かって延びる踏面側溝部分と、該踏面側溝部分からタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、第1分岐溝部分と、該第1分岐溝部分のタイヤ径方向内側端のそれぞれからタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、第2分岐溝部分と、を有する。
すなわち、その場合の空気入りタイヤは、トレッド踏面に、トレッド周方向に延びる複数本の周方向主溝と、複数本の周方向主溝のうちトレッド幅方向に隣接する周方向主溝間に、又は、周方向主溝とトレッド端とにより、区画される複数の陸部と、を有し、該陸部に、トレッド幅方向に延びる複数本の幅方向溝を有し、該幅方向溝は、トレッド踏面からタイヤ径方向内側に向かって延びる踏面側溝部分と、該踏面側溝部分からタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、第1分岐溝部分と、該第1分岐溝部分のタイヤ径方向内側端のそれぞれからタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、第2分岐溝部分と、を有する。
この空気入りタイヤによっても、幅方向サイプの場合について説明したのと同様の理由により、摩耗進展時の排水性を向上させつつも、摩耗進展時のタイヤ性能の変化を抑制することができる。
この場合、上記基準状態における、タイヤ周方向断面視において、踏面側溝部分は、トレッド踏面の法線方向に延び、第1分岐溝部分は、タイヤ周方向に沿って延びる第1水平溝部分と、トレッド踏面の法線方向に延びる2つの第1垂直溝部分とからなり、第2分岐溝部分の各々は、タイヤ周方向に沿って延びる第2水平溝部分と、トレッド踏面の法線方向に延びる2つの第2垂直部分溝とからなることが好ましい。
摩耗の進展と共に、陸部の幅方向溝で区画されるブロックの形状が大きく変化しないようにしつつも、アスペクト比(幅方向溝で区画されるブロックのタイヤ周方向長さに対する溝深さの比)を一定に保つことができるため、摩耗進展時のタイヤ性能の変化をさらに抑制することができるからである。
摩耗の進展と共に、陸部の幅方向溝で区画されるブロックの形状が大きく変化しないようにしつつも、アスペクト比(幅方向溝で区画されるブロックのタイヤ周方向長さに対する溝深さの比)を一定に保つことができるため、摩耗進展時のタイヤ性能の変化をさらに抑制することができるからである。
また、複数個の第2分岐溝部分が、上記基準状態において、タイヤ周方向に隣接する2つの第2垂直溝部分のタイヤ径方向内側端の間のタイヤ周方向距離が略一定となるように配置されていることが好ましい。陸部の幅方向溝で区画されるブロック同士のアスペクト比(幅方向溝で区画されるブロックのタイヤ周方向長さに対する溝深さの比)を揃えて、摩耗進展時のタイヤ性能の変化を特に抑制することができるからである。
また、踏面側溝部分、第1分岐溝部分(第1垂直溝部分)、及び第2分岐溝部分(第2垂直溝部分)のトレッド踏面の法線方向の長さが等しいことが好ましい。摩耗の進展と共に、上記アスペクト比(幅方向溝で区画されるブロックのタイヤ周方向長さに対する溝深さの比)がより一層一定に保たれるため、摩耗進展時のタイヤ性能の変化をより一層抑制することができるからである。同様の理由により、第1水平溝部分は、踏面側溝部分のタイヤ径方向内側端からタイヤ周方向両側に同じ長さ延在した第1水平溝部分のタイヤ周方向両端のそれぞれが第1垂直溝部分と接続し、且つ、第2水平溝部分は、第2垂直溝部分のタイヤ径方向内側端からタイヤ周方向両側に同じ長さ延在した第2水平溝部分のタイヤ周方向両端のそれぞれが第2垂直溝部分と接続していることが好ましい。
ここで、幅方向溝の溝幅(開口幅(平面視において、溝の延在方向に対して垂直に測った開口幅))は、幅方向溝の本数にもよるため特には限定されないが、例えば1.0~1.5mmとすることができる。同様に、幅方向溝の溝深さ(最大深さ)は、特には限定されないが、例えば4~18mmとすることができる。
なお、幅方向溝は、タイヤ幅方向に沿って(傾斜せずに)延びていることが好ましい。一方で、少なくとも1本の幅方向溝がタイヤ幅方向に対して傾斜して延びていても良く、この場合、タイヤ幅方向に対して45°以下の傾斜角度で傾斜して延びていることが好ましく、また、30°以下の傾斜角度で傾斜して延びていることが好ましい。また、幅方向溝は、タイヤ幅方向に真っ直ぐ延びていることが好ましい。一方で、少なくとも1本の幅方向溝が、屈曲した部分を有していても良い。
なお、幅方向溝は、タイヤ幅方向に沿って(傾斜せずに)延びていることが好ましい。一方で、少なくとも1本の幅方向溝がタイヤ幅方向に対して傾斜して延びていても良く、この場合、タイヤ幅方向に対して45°以下の傾斜角度で傾斜して延びていることが好ましく、また、30°以下の傾斜角度で傾斜して延びていることが好ましい。また、幅方向溝は、タイヤ幅方向に真っ直ぐ延びていることが好ましい。一方で、少なくとも1本の幅方向溝が、屈曲した部分を有していても良い。
上記の図2、図3に示した形状を有する幅方向サイプや幅方向溝は、いずれかの位置において適用すれば良いが、少なくとも、センター陸部(図1のようにタイヤ赤道面CL上の陸部、又は、タイヤ赤道面CL上に周方向主溝2が位置する場合には、該周方向主溝2に隣接する陸部)内の全ての幅方向サイプや幅方向溝に適用することが好ましい。
1:トレッド踏面、 2、2a、2b、2c、2d:周方向主溝、
3、3a、3b、3c、3d、3e:陸部、 4:幅方向サイプ、
4a:踏面側サイプ部分、 4b:第1分岐サイプ部分、
4b1:第1水平サイプ部分、 4b2:第1垂直サイプ部分、
4c:第2分岐サイプ部分、 4c1:第2水平サイプ部分、
4c2:第2垂直サイプ部分、 CL:タイヤ赤道面、 TE:トレッド端
3、3a、3b、3c、3d、3e:陸部、 4:幅方向サイプ、
4a:踏面側サイプ部分、 4b:第1分岐サイプ部分、
4b1:第1水平サイプ部分、 4b2:第1垂直サイプ部分、
4c:第2分岐サイプ部分、 4c1:第2水平サイプ部分、
4c2:第2垂直サイプ部分、 CL:タイヤ赤道面、 TE:トレッド端
Claims (6)
- トレッド踏面に、トレッド周方向に延びる複数本の周方向主溝と、前記複数本の周方向主溝のうちトレッド幅方向に隣接する前記周方向主溝間に、又は、前記周方向主溝とトレッド端とにより、区画される複数の陸部と、を有する空気入りタイヤであって、
前記陸部に、トレッド幅方向に延びる複数本の幅方向サイプを有し、
前記幅方向サイプは、前記トレッド踏面からタイヤ径方向内側に向かって延びる踏面側サイプ部分と、該踏面側サイプ部分からタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、第1分岐サイプ部分と、該第1分岐サイプ部分のタイヤ径方向内側端のそれぞれからタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、第2分岐サイプ部分と、を有することを特徴とする、空気入りタイヤ。 - 前記空気入りタイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした、基準状態における、タイヤ周方向断面視において、
前記踏面側サイプ部分は、前記トレッド踏面の法線方向に延び、
前記第1分岐サイプ部分は、タイヤ周方向に沿って延びる第1水平サイプ部分と、前記トレッド踏面の法線方向に延びる2つの第1垂直サイプ部分とからなり、
前記第2分岐サイプ部分の各々は、タイヤ周方向に沿って延びる第2水平サイプ部分と、前記トレッド踏面の法線方向に延びる2つの第2垂直サイプ部分とからなる、請求項1に記載の空気入りタイヤ。 - 複数個の前記第2分岐サイプ部分が、前記基準状態において、タイヤ周方向に隣接する2つの前記第2垂直サイプ部分のタイヤ径方向内側端の間のタイヤ周方向距離が略一定となるように配置された、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- トレッド踏面に、トレッド周方向に延びる複数本の周方向主溝と、前記複数本の周方向主溝のうちトレッド幅方向に隣接する前記周方向主溝間に、又は、前記周方向主溝とトレッド端とにより、区画される複数の陸部と、を有する空気入りタイヤであって、
前記陸部に、トレッド幅方向に延びる複数本の幅方向溝を有し、
前記幅方向溝は、前記トレッド踏面からタイヤ径方向内側に向かって延びる踏面側溝部分と、該踏面側溝部分からタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、第1分岐溝部分と、該第1分岐溝部分のタイヤ径方向内側端のそれぞれからタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、第2分岐溝部分と、を有することを特徴とする、空気入りタイヤ。 - 前記空気入りタイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした、基準状態における、タイヤ周方向断面視において、
前記踏面側溝部分は、前記トレッド踏面の法線方向に延び、
前記第1分岐溝部分は、タイヤ周方向に沿って延びる第1水平溝部分と、前記トレッド踏面の法線方向に延びる2つの第1垂直溝部分とからなり、
前記第2分岐溝部分の各々は、タイヤ周方向に沿って延びる第2水平溝部分と、前記トレッド踏面の法線方向に延びる2つの第2垂直部分溝とからなる、請求項4に記載の空気入りタイヤ。 - 複数個の前記第2分岐溝部分が、前記基準状態において、タイヤ周方向に隣接する2つの前記第2垂直溝部分のタイヤ径方向内側端の間のタイヤ周方向距離が略一定となるように配置された、請求項4に記載の空気入りタイヤ。
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