JP2008056206A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】ブロック剛性を向上させることができるとともに、サイプによるエッジ効果を十分に得ることのできる空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】ブロック1cのサイプ2を、連続した渦巻線状の主サイプ2aと、主サイプ2aの周方向複数箇所から主サイプ2aの径方向に延出する複数の枝サイプ2bとから形成しているので、ブロック1cがサイプ2により分断されることがなく、ブロック1cの剛性を向上させて偏摩耗を発生を確実に低減することができる。また、サイプ2が渦巻線状に形成されているので、サイプ2の径方向何れにおいてもサイプ2のエッジ効果を得ることができる。この場合、主サイプ2aの周方向複数箇所から延出する枝サイプ2bにより、サイプ2のエッジ効果を向上させることができるので、水膜除去性能及び雪氷路走行性能を向上させることができる。
【選択図】図4
【解決手段】ブロック1cのサイプ2を、連続した渦巻線状の主サイプ2aと、主サイプ2aの周方向複数箇所から主サイプ2aの径方向に延出する複数の枝サイプ2bとから形成しているので、ブロック1cがサイプ2により分断されることがなく、ブロック1cの剛性を向上させて偏摩耗を発生を確実に低減することができる。また、サイプ2が渦巻線状に形成されているので、サイプ2の径方向何れにおいてもサイプ2のエッジ効果を得ることができる。この場合、主サイプ2aの周方向複数箇所から延出する枝サイプ2bにより、サイプ2のエッジ効果を向上させることができるので、水膜除去性能及び雪氷路走行性能を向上させることができる。
【選択図】図4
Description
本発明は、例えば乗用車、トラック、バス等に用いられる空気入りタイヤに関するものである。
従来、スノータイヤまたはオールシーズンタイヤにおいては、トレッド部の縦溝と横溝によって区画されるブロックにタイヤ幅方向に延びるサイプを設けることにより、ブロックの柔軟性を高めて接地面積を増加させるとともに、サイプのエッジによる掻き取り効果により水膜除去性能及び雪氷路走行性能を向上させるようにしている。これらの性能はサイプの長さ、形状、本数等によるSTI(スノートラクションインデックス)成分を増加させることにより向上する。ところが、STI成分を増加させすぎると、ブロック剛性が低下して倒れ込みを生じ易くなり、偏摩耗の原因になるという問題があった。そこで、サイプの形状を渦巻線状にすることにより、サイプによるSTI成分の増加を図りつつ、ブロック剛性を向上させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平5−178027号公報
しかしながら、サイプを渦巻線状に形成したものでは、ブロック剛性の向上により偏摩耗の発生は抑制されるものの、タイヤ幅方向に延びるサイプに比べるとエッジ効果が不十分になり、水膜除去性能及び雪氷路走行性能を低下させるという問題点があった。
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ブロック剛性を向上させることができるとともに、サイプによるエッジ効果を十分に得ることのできる空気入りタイヤを提供することにある。
本発明は前記目的を達成するために、トレッド部に、タイヤ周方向に延びる複数の縦溝と、タイヤ幅方向に延びる複数の横溝とを設け、縦溝及び横溝によって区画されるブロックにサイプを設けた空気入りタイヤにおいて、前記サイプを、連続した渦巻線状の主サイプと、主サイプの周方向複数箇所から主サイプの径方向に延出する複数の枝サイプとから形成している。
これにより、主サイプが渦巻線状に形成されていることから、ブロックがサイプにより分断されることがなく、ブロックの剛性が向上される。また、サイプの径方向何れにおいてもサイプのエッジ効果が得られるとともに、主サイプの周方向複数箇所から延出する枝サイプによりエッジ効果が向上する。
本発明によれば、ブロックの剛性を向上することができるので、ブロック剛性の低下によるブロックの倒れ込みを抑制することができ、偏摩耗を発生を確実に低減することができる。また、サイプの径方向何れにおいてもエッジ効果を得ることができるとともに、サイプのエッジ効果を向上させることができ、水膜除去性能及び雪氷路走行性能を向上させることができる。
図1乃至図5は本発明の一実施形態を示すもので、図1は空気入りタイヤの部分平面図、図2はブロックの平面図、図3はブロック内のサイプの側面図、図4はその斜視図、図5は評価試験の結果を示す図である。
この空気入りタイヤは、タイヤ外周面側に形成されるトレッド部1に、タイヤ周方向に延びる複数の縦溝1aと、タイヤ幅方向に延びる複数の横溝1bが設けられ、縦溝1a及び横溝1bによって区画されるブロック1cには、細溝または切り込みからなるサイプ2が設けられている。
サイプ2は、連続した渦巻線状の主サイプ2aと、主サイプ2aの周方向複数箇所から主サイプ2aの径方向に延出する複数の枝サイプ2bとから形成され、各枝サイプ2bは、主サイプ2aからの延出長さL1 が主サイプ2aの径方向の間隔L2 に対して10%以上50%以下になるように形成されている。この場合、各枝サイプ2は、互いに隣り合う間隔L3 が、隣り合う二つの枝サイプ2bの延出長さL1 を合わせた長さよりも大きく、隣り合う二つの枝サイプの延出長さL1 を合わせた長さの二倍よりも小さくなるように形成されている。また、各枝サイプ2bは、タイヤ径方向所定の深さ位置からタイヤ径方向内側に向かって二つに分岐して延びる一対の分岐部2cを有し、分岐部2cは枝サイプ2bのタイヤ径方向全体の深さL4 に対して1/2以上の深さL5 の位置から分岐している。この場合、各枝サイプ2bは、主サイプ2aからの延出長さL1 がタイヤ径方向外側から内側に向かって徐々に長くなるように形成されている。また、主サイプ2aは、タイヤ径方向の深さL6 が渦巻線の中心に向かって徐々に深くなるように形成されている。
本実施形態によれば、ブロック1cのサイプ2を、連続した渦巻線状の主サイプ2aと、主サイプ2aの周方向複数箇所から主サイプ2aの径方向に延出する複数の枝サイプ2bとから形成しているので、ブロック1cがサイプ2により分断されることがなく、ブロック1cの剛性を確保することができる。これにより、ブロック剛性の低下によるブロック1cの倒れ込みを抑制することができ、偏摩耗を発生を確実に低減することができる。また、サイプ2が渦巻線状に形成されているので、サイプ2の径方向何れにおいてもサイプ2のエッジ効果を得ることができる。この場合、主サイプ2aの周方向複数箇所から延出する枝サイプ2bにより、サイプ2のエッジ効果を向上させることができるので、水膜除去性能及び雪氷路走行性能を向上させることができる。
この場合、枝サイプ2bの延出長さL1 が主サイプ2aの径方向の間隔L2 に対して10%よりも小さいと、枝サイプ2bのエッジ効果が十分に得られず、50%よりも大きいと、剛性が低くなりすぎて偏摩耗を生じ易くなるため、L1 をL2 に対して10%以上50%以下にすることにより、偏摩耗を生ずることなくエッジ効果を高めることができる。
また、互いに隣り合う枝サイプ2bの間隔L3 が隣り合う二つの枝サイプ2bの延出長さL1 を合わせた長さ以下になると、剛性が低くなりすぎて偏摩耗を生じ易くなり、隣り合う二つの枝サイプの延出長さL1 を合わせた長さの二倍以上になると、枝サイプ2bのエッジ効果が十分に得られなくなるため、各枝サイプ2bの間隔L3 を、隣り合う二つの枝サイプ2bの延出長さL1 を合わせた長さよりも大きく、隣り合う二つの枝サイプの延出長さL1 を合わせた長さの二倍よりも小さくすることにより、偏摩耗を生ずることなくエッジ効果を高めることができる。
更に、ブロック1cが新品時よりも摩耗すると剛性が高くなるが、本実施形態では、枝サイプ2bにタイヤ径方向所定の深さ位置からタイヤ径方向内側に向かって二つに分岐して延びる分岐部2cが設けられているので、分岐部2cまで摩耗が進行すると枝サイプ2bの本数が増加し、摩耗によるブロック1cの剛性向上を抑制することができる。これにより、摩耗が進行しても雪氷路操安性を低下させることがないという利点がある。
この場合、枝サイプ2bの分岐部2cがタイヤ径方向1/2よりも浅い位置から分岐すると、新品時から早期にブロック1cの剛性が低下して偏摩耗を生じ易くなるため、分岐部2cをタイヤ径方向1/2以上の深さ位置から分岐させることにより、偏摩耗の発生を防止することができる。尚、分岐部2cは3本以上設けられていてもよい。
また、枝サイプ2bの延出長さL1 をタイヤ径方向内側に向かって徐々に長くするようにしたので、分岐部2cまで摩耗が進行すると枝サイプ2bの長さが増加し、摩耗によるブロック1cの剛性向上を抑制することができる。これにより、摩耗が進行しても雪氷路操安性を低下させることがないという利点がある。
更に、ブロック1cの中心側は外側よりも剛性が高くなるが、本実施形態では、主サイプ2aをタイヤ径方向の深さが主サイプ2aの中心に向かって徐々に深くなるように形成しているので、サイプ2によるブロック1cの剛性低減効果を均一にすることができ、雪氷路操安性をより向上させることができる。
ここで、本発明の実施例1〜6について、耐偏摩耗性、雪氷路操安性及び摩耗時雪氷路操安性の試験を行ったところ、以下の結果が得られた、この試験では、タイヤサイズが205/65R15のものを用い、タイヤ空気圧200kPaの下で行った。評価方法は、比較例1を100とした場合の指数で評価し、数値が高い方が優位性ありとして判定した。耐偏摩耗性の試験では、アメリカロードテストにて60000kmを走行し、摩耗量を測定した。雪氷路操安性の試験では、速度60km/hでの雪氷路における制動性能(停止距離)を測定するとともに、ドライバーのフィーリングテストによる官能評価により測定した。摩耗時雪氷路操安性の試験では、70%摩耗時の速度60km/hでの雪氷路における制動性能(停止距離)を測定するとともに、ドライバーのフィーリングテストによる官能評価により測定した。
比較例1は、枝サイプを有しない渦巻線状のサイプを設けたものであり、比較例2は、渦巻線状サイプの端部がブロックの端部からパターンの溝に連通したものである。また、実施例1は、互いに隣り合う枝サイプの間隔が隣り合う二つの枝サイプの延出長さを合わせた長さ以下のものである。実施例2は、互いに隣り合う枝サイプの間隔が隣り合う二つの枝サイプの延出長さを合わせた長さの二倍以上のものである。実施例3は、枝サイプが分岐していないものである。実施例4は、枝サイプが深さ方向均一の延出長さに形成されたものである。実施例5は、主サイプが周方向均一の延出長さに形成されたものである。実施例6は、前記実施形態に記載された構成を有するものである。
前記試験の結果、本発明の実施例1〜6は、図5に示すように耐偏摩耗性、雪氷路操安性及び摩耗時雪氷路操安性について、それぞれ各比較例1,2よりも良好な結果が得られた。
1…トレッド部、1a…縦溝、1b…横溝、1c…ブロック、2…サイプ、2a…主サイプ、2b…枝サイプ、2c…分岐部。
Claims (7)
- トレッド部に、タイヤ周方向に延びる複数の縦溝と、タイヤ幅方向に延びる複数の横溝とを設け、縦溝及び横溝によって区画されるブロックにサイプを設けた空気入りタイヤにおいて、
前記サイプを、連続した渦巻線状の主サイプと、主サイプの周方向複数箇所から主サイプの径方向に延出する複数の枝サイプとから形成した
ことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記枝サイプを主サイプからの延出長さが主サイプの径方向の間隔に対して10%以上50%以下になるように形成した
ことを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。 - 前記枝サイプを、互いに隣り合う間隔が、隣り合う二つの枝サイプの延出長さを合わせた長さよりも大きく、隣り合う二つの枝サイプの延出長さを合わせた長さの二倍よりも小さくなるように形成した
ことを特徴とする請求項1または2記載の空気入りタイヤ。 - 前記枝サイプに、タイヤ径方向所定の深さ位置からタイヤ径方向内側に向かって二つ以上に分岐して延びる分岐部を設けた
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の空気入りタイヤ。 - 前記分岐部を枝サイプのタイヤ径方向1/2以上の深さ位置から分岐するように形成した
ことを特徴とする請求項4記載の空気入りタイヤ。 - 前記枝サイプを主サイプからの延出長さがタイヤ径方向内側に向かって徐々に長くなるように形成した
ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の空気入りタイヤ。 - 前記主サイプをタイヤ径方向の深さが主サイプの径方向中心に向かって徐々に深くなるように形成した
ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の空気入りタイヤ。
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2006
- 2006-09-04 JP JP2006238998A patent/JP2008056206A/ja active Pending
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