JP2013512817A - 特定のキャビティを有するタイヤトレッド - Google Patents

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Abstract

本発明は、溝で画定されたラグを有するスノータイヤ用トレッドに関する。各ラグ(9)は、路面に接触するようになった接触面を有し、ラグの全て又は一部は、ラグの長さ方向に沿って延びる2つの傾斜部分によって形成された少なくとも1つのキャビティを有する。上述の傾斜部分は、周方向に見てV字形であり、V字形の頂点は、ラグの接触面の方へ差し向けられている。接触面に垂直な軸線に対する各傾斜部分の傾斜角度(β)は、30°〜60°であり、頂点と反対側に位置するV字形の端相互間で測定した距離Lは、式(I)であるように定められ、この式において、Wは、周方向に測定したラグの幅であり、各傾斜部分の厚さEは、式(II)であるように定められている。トレッドは、主として周方向に延びる切欠きを有し、上述のキャビティは、サイプによってラグの接触面上に開口する。

Description

本発明は、スノータイヤ用タイヤトレッド、特に複数のストリップを有するトレッドに関する。
スノータイヤ用タイヤトレッドは、走行の際、路面に接触するよう設計された走行面を有する。このトレッドに切欠きにより画定された材料のストリップを設けることが慣例である。
各材料ストリップは、路面に接触することができる接触面を有する。
各材料ストリップは、「雪に食い込む」ことを目的とする隆起条を更に有する。
スノータイヤの使用期間中、スノータイヤは、雪で覆われた路面条件で走行するが、乾いた路面条件も走行する。
雪で覆われた路面の場合、ストリップの隆起条に働く接触圧力の増加は、雪に「食い込む」効果を高めるために要求されている。乾いた路面の場合、このような接触圧力の増大は、ストリップの接触面全体にわたって均等に分布される接触圧力を得るよう要求される。
特に、雪で覆われた路面の場合、隆起条に加わる所望の接触圧力は、乾いた路面の場合に接触面に加わる所望の接触圧力よりも極めて高い。
本発明は、雪で覆われた路面と乾いた路面の両方に関して最適に機能するのに適したタイヤトレッドを提供することにある。
定義
「タイヤ」は、走行時に内部圧力である場合があり又はそうではない場合がある圧力を受けるあらゆる形式の弾性タイヤであると理解される。
「スノータイヤ」(又は「冬タイヤ」)は、タイヤの壁のうちの少なくとも1つに付けられている文字M+S若しくはM.S.又はM&Sによって識別されるタイヤであると理解される。このスノータイヤは、主として、泥又は新雪若しくは溶けている雪の中において、雪で覆われていない路面上を走行するよう設計されたロード(road)型タイヤの挙動と比較して向上した挙動を保証するようになったトレッド設計及び構造を有することを特徴とする。
「タイヤトレッド」という用語は、側面及び一方がタイヤの走行時に路面に接触するよう設計されている2つの主要な面により画定された所与の量のゴムコンパウンドとして理解される。
「走行面」という用語は、タイヤの走行時に路面に接触するタイヤトレッドの箇所により形成される表面であると理解される。
「溝」は、表面が通常の走行条件中互いに接触しない切欠きとして理解される。一般に、溝の幅は、1mm以上である。
「サイプ」という用語は、表面が通常の走行条件において互いに接触する切欠きとして理解される。一般に、サイプの幅は、1mm未満である。
「ストリップ」は、2つの横方向切欠きにより画定されたゴムのブロックとして理解される。ストリップは、極めて細長く、即ち、大きな長さ寸法及び大きな高さ寸法を有し、この長さ及びこの高さに対して幅が狭い。ストリップの長さは、横方向におけるストリップの寸法である。ストリップの幅は、周方向におけるストリップの寸法である。ステップの高さは、半径方向、即ち、ストリップの接触面に垂直な方向におけるストリップの寸法である。
「周方向」という用語は、中心がトレッドを備えたタイヤの回転軸線上に位置する円の接線方向として理解される。
「横方向」という用語は、タイヤの回転軸線に平行な方向として理解される。
「キャビティの傾斜部分」という用語は、少なくとも2つの傾斜しているゴム壁により画定された中空部として理解される。
本発明は、切欠きで画定されたストリップを有するスノータイヤ用トレッドであって、各ストリップは、路面に接触するように設計された接触面を有し、ストリップの全て又は一部は、ストリップの長さ方向に沿って延びる2つの傾斜部分によって形成された少なくとも1つのキャビティを有し、傾斜部分は、周方向断面で見てV字形であり、V字形の頂点は、ストリップの接触面の方へ差し向けられているようなトレッドに関する。接触面に垂直な方向に対する各傾斜部分の傾斜角度は、30°〜60°であり、頂点と反対側に位置するV字形の端相互間で測定した距離Lは、
Figure 2013512817
であるように定められ、上式において、Wは、周方向に測定したストリップの幅である。各傾斜部分の厚さEは、
Figure 2013512817
であるように定められる。トレッドは、主として周方向に延びるサイプを有し、キャビティは、サイプによってストリップの接触面上に開口する。
上述の構成に従って特定寸法のキャビティが設けられていることにより、路面の性状(雪で覆われた路面又は乾いた路面)に応じて異なるストリップの挙動を提供することができる。トレッドが雪で覆われた路面上を走行する場合、ストリップと路面との間のグリップが減少し、この場合、ストリップに及ぼされる接線方向応力が剪断作用によりこのストリップの適度の変形を生じさせる。ストリップのこのような適度の変形では、ストリップ中のキャビティの作用効果をなくすに足るほどのストリップの圧縮が起こらないであろう。ストリップの接触面に及ぼされる圧力は、キャビティに垂直な接触面領域では弱く、特にストリップの横方向隆起条の近くに位置する他の接触面領域では強いであろう。
トレッドが乾いた路面上を走行する場合、ストリップと路面との間のグリップは、大きく、この場合にストリップに及ぼされる応力は、キャビティが完全に閉じられるようなものである。この場合、ストリップの接触面上の圧力の分布状態は、一層一様になる。
ストリップの接触面に垂直な方向に対して30°〜60°の傾斜部分の傾斜角度を採用することにより、所望の現象が向上し、他方、キャビティを形成する成形要素の脱型が容易になる。
特に、成形要素は、キャビティを成形するための2つの傾斜要素を有する。成形要素は、傾斜要素に固定されたコアを更に有する。コアは、接触面上に開口するサイプを作る。コアにより形成されるサイプが主として周方向に、即ち、ストリップの長さ方向におけるキャビティの延長方向にほぼ垂直に延びるよう成形要素を構成することにより、このサイプは、ストリップが路面と接触状態にあるときにキャビティの機能を過度に妨害するのが阻止される。
好ましくは、
Figure 2013512817
であり、この式において、Kは、1.5〜3.5である。
厚さEは、ストリップの幅とV字形の2つの端相互間の距離の差に反比例する。この距離の差が大きければ大きいほど、ストリップの剛性が一層高く、この場合、キャビティを閉じるのが一層困難である。乾いた路面上を走行している間ではキャビティが適正に閉じることができるようキャビティの減少した厚さ(深さ)を提供することが必要である。
これとは逆に、この差が小さければ小さいほど、ストリップの剛性がそれだけ一層低く、したがってキャビティを閉じるのが容易になる。雪で覆われた路面上を走行しているときにキャビティが開いたままの状態であるようキャビティの増大した厚さ(深さ)を提供することが必要である。
好ましくは、Kは、2〜3である。さらにより好ましくは、Kは、2.4に等しい。
好ましくは、各傾斜部分の傾斜角度は、45°である。
キャビティを形成する成形要素の脱型具合が向上する。
一変形例では、頂点と反対側に位置するV字形の端は、一点で終端する。
キャビティを形成する成形要素の脱型具合が一段と向上する。
一変形例では、傾斜部分は、非対称である。
傾斜部分がこのように非対称であることにより、ストリップの第1の隆起条の付近の接触圧力を増大させると共に第1の隆起条と対向した第2の隆起条の付近の接触圧力を減少させることが可能である。
変形例では、ストリップは、ストリップの高さ内で少なくとも0.1mmに等しく且つせいぜい8mmに等しい距離だけ互いにずれた少なくとも2つのキャビティを有する。
トレッドの摩耗が或る程度生じた後であっても、ストリップの挙動の差は、遭遇する路面の性状に応じて経時的に保証される。
本発明の他の特徴及び他の利点は、添付の図面を参照して一例として且つ本発明を限定しないで与えられる以下の説明から明らかになろう。
本発明のトレッドの踏み面の部分図である。 複数個のストリップを有する図1のトレッドの一部であるゴムブロックを示す図である。 第1の実施形態としてのキャビティを有する図2のストリップの一部の概略斜視図である。 図2のI‐I線に沿って見たストリップの周方向断面を概略的に示す図である。 第2の実施形態としてのストリップの周方向断面図である。 図5のキャビティを成形することができる成形要素を概略的に示す図である。 図5のストリップの断面図である。 第3の実施形態としてのストリップの周方向断面図である。 第4の実施形態としてのストリップの周方向断面図である。
以下の説明において、実質的に同一又は類似の要素は、同一の参照符号で示される。
図1は、トレッド1の走行面の部分図である。
トレッド1は、突出したゴムブロック3を有する。ゴムブロックは、溝5,7,8によって画定されている。図1では、周方向(即ち、図1の方向X)に延びる溝5、横方向(即ち、図1の方向Y)に延びる溝7及び斜めの方向に延びる溝8を識別することができる。溝5,7,8は、路面が濡れているときに水の排出を促進する。
図2は、ゴムブロック3をより具体的に示している。ゴムブロック3は、複数本の横方向サイプ11を有している。横方向サイプは、ゴムのストリップを画定している。
各ゴムストリップ9は、少なくとも1つのキャビティ15を有している。図2に示されている実施例では、各ストリップ9は、主としてストリップ9の長さ方向に、即ち、横方向Yに延びる4つのキャビティを有している。各キャビティ15は、ストリップ9の接触面13の下でストリップ9の内部に存在する。各ストリップ9は、横方向Yに延びる第1の隆起条及び第2の隆起条を更に有している。第1の隆起条は、この場合、要素3の縁と合体し(図2では太線で示されている)、第2の隆起条は、サイプ11により画定され、サイプ11は、ストリップ9を別の隣接のストリップから隔てている。トレッドが路面上を走行しているときに雪に食い込むのはこれらの隆起条である。
ストリップ9は、周方向Xに延びると共にストリップ9の接触面13上に開口している複数本の周方向サイプ12を更に有している。各周方向サイプ12は、トレッドの内部に向かって半径方向に延びていて、キャビティ15のうちの1つ中に開口している。
図3は、図2のストリップ9の一部の概略斜視図である。
ストリップ9のキャビティ15は、2つの傾斜部分41,43により形成されている。各傾斜部分41,43は、ストリップの長さに沿って横方向に延びている。
上述したように、周方向サイプ12は、周方向Xに延び、キャビティ15がストリップ9の接触面13上に開口するのは、このサイプ12によってである。
図4は、図2のI‐I線に沿って見たストリップの断面を概略的に示している。
この断面図では、傾斜部分41,43は、第1の枝部45及び第2の枝部47を形成している。第1の枝部45と枝部47は、山形、即ち、V字形パターンを形成するよう互いに接合されている。V字形パターンの頂点は、ストリップ9の接触面13の方へ差し向けられている。
枝部45,47の端相互間で測定された距離Lは、
Figure 2013512817
であるように定められ、この式によって、Wは、周方向に測定したストリップの幅である。距離Lは、この場合、周方向Xに測定される。
キャビティの各枝部は、この枝部と関連した傾斜部分を形成する2つの傾斜したゴム壁相互間の距離に一致した厚さEを有している。各枝部の厚さEは、
Figure 2013512817
であるように定められる。
好ましくは、
Figure 2013512817
であり、この式において、Kは、1.5〜3.5である。
特定の一実施形態では、K=2.4である。W=8mm且つL=4mmの実施例では、E=0.6mmである。
各枝部45,47は、この場合、接触面13に垂直な方向(即ち、方向Z)と角度βをなしている。角度βは、この場合、30°〜60°である。
好ましくは、角度βは、約45°である。
図4に示された点線は、傾斜部分41,43と関連した周方向サイプ12を画定し、このサイプは、図4の平面に対してずれていることが注目されるべきである。
タイヤが走行しているとき、ストリップ9のキャビティ15は、ストリップの接触面と路面との間のグリップに応じて種々の状態を取ることができる。
路面が雪で覆われている場合、ストリップの接触面と路面との間のグリップは、減少する(例えば、0.7未満)。その時点でストリップに及ぼされる接線方向応力は、ストリップの適度の変形を生じさせる。キャビティは、キャビティの傾斜部分を画定している傾斜ゴム壁が互いに距離を置いて位置する開き状態と傾斜ゴム壁が互いに接触状態にある閉じ状態との間の中間状態を取る。
路面が乾いている場合、ストリップの接触面と路面との間のグリップは、大きい(例えば、0.7を超える)。この場合にストリップに及ぼされる接線方向応力は、ストリップの大きな変形を生じさせる。ストリップの変形により、キャビティを画定している傾斜ゴム壁が互いに結合し、最終的には、キャビティが閉じられる。キャビティが完全に閉じられた状態では、ストリップは、キャビティのないストリップの剛性に実質的に一致した剛性を有する。
図5は、第2の実施形態としてのストリップの周方向断面図である。
この実施形態では、ストリップ9は、方向Zに互いに距離Dだけずれた2つのキャビティ15a,15bを有している。
この距離は、少なくとも0.1mmに等しく且つせいぜい8mmに等しい。
図6は、図5のキャビティ15a,15bを成形するのに適した成形要素49を概略的に示している。
成形要素49は、コア51及び4つの傾斜要素53,54,55,56を有している。コア51及び4つの傾斜要素53,54,55,56は、この場合、同種材料で作られている。
コア51は、周方向サイプ12を成形することができ、4つの傾斜要素53,54,55,56は、キャビティ15a,15bの傾斜部分を成形するのに適している。
コア51の自由端は、加硫モールドに固定されるよう設計されていることは注目されるべきである。
図7は、図5のストリップ9の断面図である。
この断面図では、ストリップ9は、ストリップの高さ内に2つの高さ位置にあるキャビティを有している。各高さ位置のキャビティは、ストリップの長さに沿って互いに間隔を置いて位置した複数個のキャビティから成っている。
一変形例として、単一のキャビティを形成するために同一高さ位置のキャビティを全て結合することが可能である。
図8は、第3の実施形態としてのステップ9の断面図である。
この実施形態では、V字形パターンの頂点と反対側に位置する枝部45,47の端は、一点で終端している。このように、脱型作業中にキャビティを形成する成形要素の取り外し具合が向上する。
図9は、第4の実施形態としてのストリップ9の断面図である。
この実施形態では、枝部45,47は、非対称である。第2の枝部47は、この場合、第1の枝部45よりも小さい。
枝部のこの非対称により、第1の枝部45,47の端は、ストリップ9の側壁から互いに異なる距離を置いたところに位置する。第1の枝部45と第1の側壁57との間の距離D1は、第2の枝部47と第2の側壁59との間の距離D2よりも小さい。雪で覆われた路面上を走行しているとき、接触圧力は、第2の側壁59とストリップの接触面13との交差部により形成される隆起条16の付近では高い。

Claims (8)

  1. 切欠きで画定されたストリップ(9)を有するスノータイヤ用トレッドであって、
    各ストリップは、路面に接触するように設計された接触面(13)を有し、前記ストリップの全て又は一部は、前記ストリップの長さ方向に沿って延びる2つの傾斜部分(41,43)によって形成された少なくとも1つのキャビティ(15;15a,15b)を有し、前記傾斜部分(41,43)は、周方向断面で見てV字形であり、前記V字形の頂点は、前記ストリップの前記接触面(13)の方へ差し向けられているトレッドにおいて、
    前記接触面に垂直な方向に対する各傾斜部分の傾斜角度(β)は、30°〜60°であり、前記頂点と反対側に位置する前記V字形の端相互間で測定した距離Lは、
    Figure 2013512817
    であるように定められ、上式において、Wは、周方向に測定した前記ストリップの幅であり、各傾斜部分の厚さEは、
    Figure 2013512817
    であるように定められ、前記トレッドは、主として周方向に延びるサイプ(12)を有し、前記キャビティは、前記サイプによって前記ストリップの前記接触面(13)上に開口する、
    ことを特徴とするトレッド。
  2. Figure 2013512817
    であり、この式において、Kは、1.5〜3.5である、
    請求項1記載のトレッド。
  3. Kは、2〜3である、
    請求項2記載のトレッド。
  4. Kは、2.4に等しい、
    請求項2又は3記載のトレッド。
  5. 各傾斜部分の傾斜角度は、45°である、
    請求項1ないし4のいずれか1項に記載のトレッド。
  6. 前記頂点と反対側の前記V字形の前記端は、一点で終端している、
    請求項1ないし5のいずれか1項に記載のトレッド。
  7. 前記傾斜部分は、非対称である、
    請求項1ないし6のいずれか1項に記載のトレッド。
  8. 前記ストリップは、前記ストリップの前記接触面に垂直な方向に少なくとも0.1mmに等しく且つせいぜい8mmに等しい距離だけ互いに対してずれた少なくとも2つのキャビティ(15a,15b)を有する、
    請求項1ないし7のいずれか1項に記載のトレッド。
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