JP3954397B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トレッドに複数のブロックを備えた空気入りタイヤに係り、特に、冬用空気入りタイヤの中で氷上性能の向上と、ブロック剛性の向上を図ることのできる空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
氷雪上性能をバランス良く発揮し得るタイヤの従来知られているサイピングとしては、図5に示すように、ブロック(20,22,26)に波状のサイプ(32,36,38,40)を略均一の間隔で配置するのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のサイピングでは、ブロック内に略タイヤ軸方向に平行に長いサイプを配置するために、サイプ間隔が狭いとブロック剛性が不足になりがちで、ブレーキ、及びトラクション時にブロックが倒れ込み易い問題がある。
【0004】
また、従来のサイピングでは、略タイヤ軸方向に平行なサイプのみを形成しているため、コーナリング時に効くタイヤ周方向エッジ成分が不足していた。
【0005】
さらに、従来のサイピングでは、氷上走行時に、ブロックの中央付近の水膜が除去し難かった。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、氷上性能の向上と、ブロック剛性の向上を図ることのできる空気入りタイヤを提供することが目的である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、トレッドに互いに交差する複数の溝により区画された複数のブロックを備え、前記ブロックにはタイヤ幅方向に沿って延びる波型のジグザグ状サイプがタイヤ周方向に複数本形成された空気入りタイヤであって、前記ブロックは、互いに反対方向に傾斜する短片を交互に接続してジグザグ形状とされた複数のジグザグ状サイプをタイヤ幅方向に互いに接続することなく略直線状に配置したタイヤ幅方向サイプ列をタイヤ周方向に複数本有し、複数の前記タイヤ幅方向サイプ列において、互いに隣接した一方の終端部を含む短片が、他方のジグザグ状サイプの終端部を含む短片の2倍以上の長さを有し、短い方の前記短片の終端部が長い方の前記短片の中央付近に配置され、かつ、前記長い方の短片の終端部がタイヤ周方向に隣接する他のジグザグ状サイプの短い方の短片の終端部側とは反対側の端部付近に配置されることにより、前記ブロックのタイヤ幅方向中央部付近に、実質上タイヤ周方向にジグザグ状に延びる擬似周方向サイプが1本以上形成されている、ことを特徴としている。
【0008】
次に、請求項1に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0009】
トレッドに、互いに交差する複数本の溝を配置して複数のブロックを形成すると共に、そのブロックにタイヤ幅方向に延びるジグザグ状サイプを形成することにより、氷雪上走行性能に基本的に必要なパターン構成となる。
【0010】
ここで、ブロックのタイヤ幅方向中央付近にタイヤ周方向に延びる擬似周方向サイプを配置したので、氷上走行時に、ブロック中央領域の水膜を素早くサイプ内に取り込み、氷上でのブレーキ性能及びトラクション性能を向上することができる。
【0011】
複数のタイヤ幅方向サイプ列において、互いに隣接した一方の終端部を含む短片が、他方のジグザグ状サイプの終端部を含む短片の2倍以上の長さを有しているので、サイプのタイヤ周方向エッジ成分が増加し、氷上走行時のコーナリング性能が向上する。
【0012】
また、タイヤ幅方向サイプ列は中間部分で1度分断されているため(即ち、互いに連結していない複数のジグザグ状サイプから形成されているため。)、ブロックのタイヤ幅方向に連続して横断する従来のサイプを使用した場合に比較して、ブロックの剛性が高くなり、トラクション、ブレーキなどの前後方向に力がかかった際のブロックの倒れ込みを抑制でき、氷上、雪上、ウエット、ドライ全ての路面でのブレーキ、及びトラクション性能が高くなり、また、操縦性も向上できる。
【0013】
なお、複数のタイヤ幅方向サイプ列において、互いに隣接した一方の終端部を含む短片が、他方のジグザグ状サイプの終端部を含む短片の2倍以上の長さを有するように設定するのは、このように一方の短片を長く設定しないと、長い方の短片の終端部をタイヤ周方向に隣接する短片の近傍に配置したときに、タイヤ幅方向サイプ列の間隔が狭くなってしまい、ブロック剛性が低下して操縦安定性が悪化するからである。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、前記終端部と、前記終端部に最も近接した他の前記ジグザグ状サイプの前記短片との離間距離は、0.1〜1.0mmの範囲内である、ことを特徴としている。
【0015】
次に、請求項2に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0016】
終端部と、この終端部に最も近接した他のジグザグ状サイプの短片との離間距離が0.1mm未満になると、タイヤを実車装着して走行するとすぐにサイプとサイプとがつながり(サイプ間のゴムが切れる)、結果的にタイヤ幅方向、及びタイヤ周方向共にサイプがつながるため、ブロック剛性が逆に低下し、ドライ性能等の悪化につながる虞がある。
【0017】
終端部と、この終端部に最も近接した他のジグザグ状サイプの短片との離間距離が1.0mmを越えると、ブロック剛性が上がり過ぎ、また、サイプの実質長さも短くなるので、雪上走行性能に悪影響を与える虞がある。なお、走行してもサイプ間がつながることはないので、摩耗時もブロック剛性が高過ぎる現象はでる。
【0018】
なお、終端部と、この終端部に最も近接した他のジグザグ状サイプの短片との離間距離は、0.3〜0.5mmの範囲内が更に好ましい。
【0019】
このような設定を行うと、サイプの溝深さの深い新品時は、サイプ間がつながることはなく、ブロック剛性を保ち、摩耗してサイプの溝深さが減り、ブロック自体の剛性が高くなると、例えば、サイプの溝深さが新品時の70%以降は、サイプ間のゴムが切れ、ブロックを適度な剛性に落す効果が出ると共に、サイプの溝深さは残っていてもサイプは開きやすくなるので、新品時と遜色ない性能を長く維持できる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤにおいて、前記ブロックには、前記タイヤ幅方向サイプ列が3本以上形成され、前記擬似周方向サイプが1本形成されている、ことを特徴としている。
【0021】
次に、請求項3に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0022】
冬用のタイヤ(所謂スタッドレスタイヤ)としては、先ず高い氷上性能及び雪上性能(ブレーキ性能及びトラクション性能)が要求される。
【0023】
一つのブロック内にタイヤ幅方向サイプ列を3本以上設けることにより、冬用のタイヤとして必要とされる高い氷上性能(ブレーキ性能及びトラクション性能)を確実に得ることができる。
【0024】
また、タイヤとしては乾燥路面での性能も当然ながら必要であり、ブロック剛性を保ってコーナリング等に必要な横力を発生させるためには擬似周方向サイプを1本とすることが好ましい。
【0025】
請求項4に記載の発明は、請求項1請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、タイヤ幅方向サイプ列内における複数の前記ジグザグ状サイプは、直線状の短片から形成されて略同一振幅同一波長を有すると共に同一直線上に配置され、タイヤ周方向に対する角度が時計回りで計測して60〜120度の範囲内である、ことを特徴としている。
【0026】
次に、請求項4に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0027】
同一直線上に配置した複数のジグザグ状サイプのタイヤ周方向に対する角度が上記の範囲から外れると、前後方向(トラクション、ブレーキ時)に、これら複数のジグザグ状サイプが有効に働かなくなる虞がある。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤ10のトレッド12が平面図にて示されている。
【0029】
図1において、符号12Cはトレッド12をタイヤ幅方向に3等分したときの中央の領域であるトレッド中央領域、符号12Sはトレッド側部域である。また、図1の符号1/2W0はトレッド片側接地幅、矢印A及び矢印Bは周方向、矢印Cはタイヤ幅方向を表している。
【0030】
トレッド中央領域12Cの定義は以下の通りである。
【0031】
本発明では、空気入りタイヤを以下に説明する標準リムに装着し、標準空気圧を充填し、標準荷重を作用させたときのタイヤ幅方向の一方のタイヤ幅方向最外端(トレッド端)から他方のタイヤ幅方向最外端(トレッド端)までの領域を3等分したときの、中央の領域を中央領域としている。
【0032】
標準リムとはJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2001年度版規定のリムであり、標準空気圧とはJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2001年度版の最大負荷能力に対応する空気圧であり、標準荷重とはJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2001年度版の単輪を適用した場合の最大負荷能力に相当する荷重である。
【0033】
なお、日本以外では、荷重とは下記規格に記載されている適用サイズにおける単輪の最大荷重(最大負荷能力)のことであり、空気圧とは下記規格に記載されている単輪の最大荷重(最大負荷能力)に対応する空気圧のことであり、リムとは下記規格に記載されている適用サイズにおける標準リム(または、”ApprovedRim" 、”Recommended Rim")のことである。
【0034】
規格は、タイヤが生産又は使用される地域に有効な産業規格によって決められている。例えば、アメリカ合衆国では、”The Tire and Rim Association Inc. のYear Book ”であり、欧州では”The European Tire and Rim Technical OrganizationのStandards Manual”である。
【0035】
図1に示すように、トレッド12のトレッド中央領域12Cには、タイヤ赤道面CLを挟んで両側に、それぞれタイヤ周方向に沿って直線状に延びる第1の周方向主溝14が形成されている。
【0036】
また、トレッド12には、第1の周方向主溝14のタイヤ幅方向外側に、タイヤ周方向に沿って直線状に延びる第2の周方向主溝16が形成されている。
【0037】
本実施形態の第2の周方向主溝16は、トレッド12の1/4点付近に形成されている。
【0038】
トレッド12には、トレッド12の接地端12Eに開口し、接地端12Eから第2の周方向主溝16を横断して第1の周方向主溝14に向って延びる横断主溝18がタイヤ周方向に略等間隔で形成されている。
【0039】
したがって、トレッド12のショルダー側には、第2の周方向主溝16と横断主溝18とで区画された複数のショルダーブロック20が設けられ、トレッド12のタイヤ赤道面CL上には、タイヤ周方向に沿って延びるセンターリブ22が設けられることになる。
【0040】
横断主溝18は、第1の周方向主溝14の近傍で終端している。
【0041】
横断主溝18は、タイヤ幅方向に対する角度がタイヤ赤道面CL側へ向けて徐々に大きくなるように傾斜しており、タイヤ赤道面CLを挟んで右側と左側とでは傾斜方向が逆に設定されている。
【0042】
横断主溝18の第1の周方向主溝14側の端部には、横断主溝18よりも溝幅の狭い副溝24が連結されている。
【0043】
副溝24は、第1の周方向主溝14側の終端部からタイヤ周方向に対して同方向に傾斜してタイヤ幅方向外側に向って延びると共に、隣接する横断主溝18の近傍で終端している。
【0044】
副溝24のタイヤ周方向に対する角度は、比較的小さく設定されている。
【0045】
図2に示すように、副溝24と横断主溝18とのなす角度(平均値)θは、45°以上に設定することが好ましい。
【0046】
以後、本実施形態では、第1の周方向主溝14と第2の周方向主溝16との間の陸部26において、第1の周方向主溝14と副溝24との間をリブ状部分26A、副溝24と第2の周方向主溝16との間をブロック状部分26Bと呼ぶことにする。
【0047】
なお、上記リブ状部分26Aの平均幅W1は、トレッド片側接地幅1/2W0の5〜30%の範囲内であることが好ましい。
【0048】
横断主溝18の第1の周方向主溝14側の端部と、第1の周方向主溝14とは、第1の周方向主溝14よりも溝幅の狭い細溝28で連結されている。
【0049】
図1に示すように、センターリブ22には、第1の周方向主溝14よりも溝幅が狭い補助溝30がタイヤ周方向に複数形成されてブロック列化されている。
【0050】
本実施形態では、各補助溝30は、全て同一方向に傾斜している。
(ショルダーブロックのサイプ)
図3には、タイヤ赤道面CLの右側のショルダーブロック20の踏面が拡大されて示されている。
【0051】
図3に示すように、ショルダーブロック20には、互いに反対方向に傾斜する短片33を交互に接続してジグザグ形状とされ、タイヤ赤道面CL側(図3の矢印IN方向側)の端縁からショルダーブロック20のタイヤ幅方向中央へ向かって延び、かつショルダーブロック20のタイヤ幅方向中央付近で終端する第1のジグザグ状サイプ32Aと、第1のジグザグ状サイプ32Aの延長線上に第1のジグザグ状サイプ32Aと対をなすように配置され、互いに反対方向に傾斜する短片34を交互に接続してジグザグ形状とされ、ショルダー側(図3の矢印OUT方向側)の端縁からショルダーブロック20のタイヤ幅方向中央へ延び、かつショルダーブロック20のタイヤ幅方向中央付近で終端する第2のジグザグ状サイプ32Bと、からなるタイヤ幅方向サイプ列32がタイヤ周方向に複数形成されている。
【0052】
ここで、第1のジグザグ状サイプ32Aのブロック中央側の終端部を含む短片33Eは、その他の短片33の略2倍の長さを有している。
【0053】
第2のジグザグ状サイプ32Bのブロック中央側の短片34Eの終端部は、第1のジグザグ状サイプ32Aの長い短片33Eの中央付近に配置されている。
【0054】
また、第1のジグザグ状サイプ32Aの長い短片33Eの終端部は、タイヤ周方向に隣接する第2のジグザグ状サイプ32Bの短片34Eの終端部とは反対側の端部付近に配置されている。
【0055】
これにより、ショルダーブロック20のタイヤ幅方向中央部には、第1のジグザグ状サイプ32Aの長い短片33Eの終端部側半分と、第2のジグザグ状サイプ32Bの短片34Eとにより形成される、タイヤ周方向に沿って延びる擬似周方向サイプ35が形成される。図3中の2点鎖線は、擬似周方向サイプ35の中心線を示している。
【0056】
なお、第1のジグザグ状サイプ32Aの長い短片33Eの終端部と、第2のジグザグ状サイプ32Bとの間隔δ1は、0.1〜1.0mmの範囲内が好ましく、0.3〜0.5mmの範囲内が更に好ましい。
【0057】
第2のジグザグ状サイプ32Bの短片34Eと第1のジグザグ状サイプ32Aの間隔δ2は、0.1〜1.0mmの範囲内が好ましく、0.3〜0.5mmの範囲内が更に好ましい。
【0058】
また、時計回り方向に計測するタイヤ周方向に対するタイヤ幅方向サイプ列32の角度θ1は、60〜120°の範囲内が好ましい。
(陸部のサイプ)
ブロック状部分26Bには、横断主溝18と略平行とされたジグザグ状のサイプ36が複数形成されている。
【0059】
リブ状部分26Aには、ブロック状部分26Bのサイプ36とは、傾斜方向が異なるジグザグ状のサイプ38が複数形成されている。
【0060】
ここで、リブ状部分26Aに形成されたサイプ38の振幅は、ブロック状部分26Bに形成されたサイプ36の振幅よりも小さく設定することが好ましい。
(センターリブのサイプ)
センターリブ22の補助溝30と補助溝30との間には、互いに反対方向に傾斜する短片42を交互に接続してジグザグ形状とされ、タイヤ幅方向の一方側の端縁からタイヤ赤道面CLへ向かって延び、かつタイヤ赤道面CL付近で終端する第1のジグザグ状サイプ40Aと、第1のジグザグ状サイプ40Aの延長線上に第1のジグザグ状サイプ40Aと対をなすように配置され、互いに反対方向に傾斜する短片42を交互に接続してジグザグ形状とされ、タイヤ幅方向の他方の端縁からタイヤ赤道面CLへ延び、かつタイヤ赤道面CL付近で終端する第2のジグザグ状サイプ40Bと、からなるタイヤ幅方向サイプ列40がタイヤ周方向に複数形成されている。
【0061】
ここで、第2のジグザグ状サイプ40Bのタイヤ赤道面CL側の終端部を含む短片42Eは、その他の短片42の略2倍の長さを有している。
【0062】
第1のジグザグ状サイプ40Aのタイヤ赤道面CL側の短片41Eの終端部は、第2のジグザグ状サイプ40Bの長い短片42Eの中央付近に配置されている。
【0063】
また、第2のジグザグ状サイプ40Bの長い短片42Eの終端部は、タイヤ周方向に隣接する第1のジグザグ状サイプ40Aの短片41Eの終端部とは反対側の端部付近に配置されている。
【0064】
これにより、センターリブ22のタイヤ幅方向中央部には、第2のジグザグ状サイプ40Bの長い短片42Eの終端部側半分と、第1のジグザグ状サイプ40Aの短片41Eとにより形成される、タイヤ周方向に沿って延びる擬似周方向サイプ43が形成される。図4中の2点鎖線は、擬似周方向サイプ43の中心線を示している。
【0065】
なお、第2のジグザグ状サイプ40Bの長い短片42Eの終端部と、第1のジグザグ状サイプ40Aとの間隔δ3は、0.1〜1.0mmの範囲内が好ましく、0.3〜0.5mmの範囲内が更に好ましい。
【0066】
第1のジグザグ状サイプ40Aの短片41Eの終端部と、第2のジグザグ状サイプ40Bとの間隔δ4は、0.1〜1.0mmの範囲内が好ましく、0.3〜0.5mmの範囲内が更に好ましい。
【0067】
また、時計回り方向に計測するタイヤ周方向に対するタイヤ幅方向サイプ列40の角度θ2は、60〜120°の範囲内が好ましい。
【0068】
なお、トレッド12の全体のネガティブ率は、20〜35%の範囲内であることが好ましく、トレッド中央領域12Cのネガティブ率は、トレッド12の全体のネガティブ率よりも小さく設定することが好ましい。
【0069】
本実施形態の空気入りタイヤ10のトレッドパターンは、上記のように溝設定を行うことで、図1に示すように、点対称形状(タイヤ赤道面CL上の点(図示せず)に対して)となっている。
【0070】
本実施形態の空気入りタイヤ10は、トレッド12の全体のネガティブ率が27%、トレッド中央領域12Cのネガティブ率が26.7%、第1の周方向主溝14は、溝幅が6.5mm、溝深さが10mm、第2の周方向主溝16は、溝幅が5.5mm、溝深さが10mm、横断主溝18は、幅が、第1の周方向主溝16側の端部で6mm、接地端12Eで7.5mm、溝深さが10mm、横断溝18と副溝24とのなす角度θが57度、副溝24は、幅が2.5mm、溝深さが7.5mm、細溝28は、幅が1.0mm、溝深さが7.5mm、補助溝30は、幅が2.0mm、溝深さが7.5mm、リブ状部分26Aの幅(平均)がトレッド片側接地幅1/2Wの15%、各サイプは、幅が0.5mm、深さが8.0(最深部)mmである。
【0071】
また、δ1、δ2、δ3、及びδ4は、各々0.3mmであり、タイヤ幅方向サイプ列32及びタイヤ幅方向サイプ列40のタイヤ周方向に対する角度は時計回り方向に約100度である。
(作用)
次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の作用及び効果を説明する。
【0072】
本実施形態の空気入りタイヤ10では、トレッド中央領域12Cに2本の第1の周方向主溝14を配置し、その両側に各々第2の周方向主溝16を配置したので、基本的な排水性能と、雪上での横滑り性能を確保できる。
【0073】
トレッド12にタイヤ幅方向に延びる複数の横断主溝18を配置し、ショルダー側にタイヤ幅方向に延びる複数のタイヤ幅方向サイプ列32を備えた複数のショルダーブロック20を配置したので、タイヤ幅方向のラグ溝成分及びエッジ成分により氷雪上性能が向上する。
【0074】
ショルダーブロック20のタイヤ幅方向中央には、タイヤ周方向に延びる擬似周方向サイプ35を配置したので、氷上走行時に、ブロック中央領域の水膜を素早くサイプ内に取り込み、氷上でのブレーキ性能を向上することができる。
【0075】
ショルダーブロック20に擬似周方向サイプ35を配置したことにより、タイヤ周方向エッジ成分が増加し、氷上走行時のコーナリング性能が向上する。
【0076】
タイヤ幅方向サイプ列32は中間部分で1度分断されているため、ショルダーブロック20の剛性が確保され、トラクション、ブレーキなどの前後方向に力がかかった際の倒れ込みを抑制でき、氷上、雪上、ウエット、ドライ全ての路面でのブレーキ、及びトラクション性能が高くなり、また、操縦性も向上できる。
【0077】
陸部26においては、副溝24が、陸部26のタイヤ幅方向中央付近の、氷上走行時は氷上の擬似水膜を、ウエット路面走行時は路面上の水膜を除去するので、氷上性能、及びウエット性能を向上することが出来る。
【0078】
副溝24は、隣接する横断主溝18に連結されていないので、陸部26の剛性が低くなり過ぎず、乾燥路面での走行時に悪影響を及ぼすことは無い。
【0079】
副溝24は、横断主溝18の第1の周方向主溝側の端部からタイヤ幅方向外側へ延びているので、タイヤ幅方向のラグ溝成分が増加することとなり、氷雪上でのトラクション、及びブレーキ性能に有効となる。
【0080】
陸部26には、タイヤ周方向に連続するリブ状部分26Aを残しているので、実接地面積を確保でき、氷上性能に対して有利となる。また、このリブ状部分26Aに、氷上でのブレーキ性能に有利な振幅の小さなサイプ38を形成したので、氷上ブレーキ性能に対して更に有利となる。
【0081】
第1の周方向主溝14と第2の周方向主溝16との間の陸部26には、互いに傾斜方向の異なるサイプ36とサイプ38を形成したので、氷上ブレーキ時に車両が一方向に流れる虞がない。
【0082】
センターリブ22は、補助溝30がタイヤ周方向に複数形成されてブロック列化されているので、雪上でのトラクション性能、ブレーキ性能に有利となる。また、雪上、氷上、ウエット、ドライ全ての路面において、直進安定性が増し、ハンドルのしっかり感がでる。
【0083】
センターリブ22のタイヤ幅方向中央には、タイヤ周方向に延びる擬似周方向サイプ43を配置したので、氷上走行時に、リブ中央領域の水膜を素早くサイプ内に取り込み、氷上でのブレーキ性能を向上することができる。
【0084】
センターリブ22に擬似周方向サイプ43を配置したことにより、タイヤ周方向エッジ成分が増加し、氷上走行時のコーナリング性能が向上する。
【0085】
タイヤ幅方向サイプ列40は中間部分で1度分断されているため、センターリブ22(補助溝30で区画されたブロック状部分)の剛性が確保され、トラクション、ブレーキなどの前後方向に力がかかった際の倒れ込みを抑制でき、氷上、雪上、ウエット、ドライ全ての路面でのブレーキ、及びトラクション性能が高くなり、また、操縦性も向上できる。
【0086】
横断主溝18と第1の周方向主溝14とを細溝28で連結したので、氷上性能が向上するようにリブ状部分26Aの剛性を調整することができる。
【0087】
トレッド12の全体のネガティブ率を、20〜35%の範囲内としたので、従来例のタイヤ対比で実接地面積が増大し、氷上ブレーキ性能、及び氷上トラクション性能を向上することができる。
【0088】
トレッド中央領域12Cのネガティブ率を、トレッド12の全体のネガティブ率よりも小さく設定したので、トレッド中央領域12Cでの陸部の比率が、その両側のトレッド側部域12Sでの陸部の比率よりも大きくなり、氷上ブレーキ性能に有効となり、かつタイヤセンター部の偏摩耗(所謂センター摩耗)の抑制にも有効となる。
【0089】
トレッド中央領域12Cは、氷上性能、雪上性能、ウエット性能等への寄与が高い領域であり、ここでの摩耗を抑制することにより、氷上性能、雪上性能及びウエット性能を長期に渡り維持できるようになる。
【0090】
また、本実施形態の空気入りタイヤ10のトレッドパターンは、タイヤ赤道面CL上の点(図示せず)に対して点対称形状となっているので、タイヤ装着方向が限定されず、タイヤ装着位置の交換(所謂ローテーション)を容易にし、偏摩耗防止に有効となる。
[その他の実施形態]
上記実施形態では、ショルダーブロック20の中央に1本の擬似周方向サイプ35が形成され、センターリブ22の中央に1本の擬似周方向サイプ43が形成されていたが、本発明はこれに限らず、ブロックの幅が特に広い場合等で、ブロック剛性の低下により他性能が悪化しないのであれば、例えば、ショルダーブロック20を例にとれば、図6及び図7に示すように第1のジグザグ状サイプ32Aと、第2のジグザグ状サイプ32B、及び第3のジグザグ状サイプ32Cからなるタイヤ幅方向サイプ列32を形成して2本の擬似周方向サイプ35を配置しても良い、場合によっては擬似周方向サイプ35を3本以上としても良い。
【0091】
なお、各ブロックには、他性能が悪化しないのであればタイヤ周方向に途切れることなく延びるジグザグ状のサイプを更に追加しても良い。
(試験例)
本発明の効果を確かめるために、従来例の空気入りタイヤと本発明の適用された実施例の空気入りタイヤとを用意し、雪上フィーリング性能、雪上ブレーキ性能、雪上トラクション性能、氷上フィーリング性能、氷上ブレーキ性能、及びウエットハイドロプレーニング性能の比較を行った。
【0092】
実施例の空気入りタイヤは、上記実施形態で説明した空気入りタイヤである。
【0093】
一方、従来例の空気入りタイヤは、図5に示すように実施例の空気入りタイヤと同様のトレッドパターンを有しているが、ショルダーブロック及びセンターリブには各々擬似周方向サイプが設けられていない。また、ショルダーブロック20のサイプ32はタイヤ幅方向に途切れることなく連続しており、センターリブ22のサイプ40はもタイヤ幅方向に途切れることなく連続している。なお、この従来例の空気入りタイヤのトレッドの平面図において、実施形態の空気入りタイヤと同一構成には同一符号を付している。
【0094】
なお、タイヤサイズは何れのタイヤもPSR205/65R15である。
【0095】
以下に試験方法及び評価を簡単に説明する。
・雪上フィーリング性能:圧雪路面のテストコースにおける、制動性、発進性、直進性、コーナリング性の総合評価(テストドライバーによる)。評価は従来例のフィーリングを100とする指数で表しており、数値が大きいほど雪上フィーリングが良いことを表している。
・雪上ブレーキ性能:圧雪上を40km/hからフル制動したときの制動距離を測定。評価は、従来例の制動距離の逆数を100とする指数で表しており、数値が大きいほど雪上ブレーキ性能に優れていることを表している。
・雪上トラクション性能:圧雪上50mの距離における発進からの加速タイムを計測。評価は、従来例の加速タイムの逆数を100とする指数で表しており、数値が大きいほど雪上トラクション性能に優れていることを表している。
・氷上フィーリング性能:氷板路面のテストコースにおける、制動性、発進性、直進性、コーナリング性の総合評価(テストドライバーによる)。評価は従来例のフィーリングを100とする指数で表しており、数値が大きいほど氷上フィーリングが良いことを表している。
・氷上ブレーキ性能:氷板上を20km/hからフル制動したときの制動距離を測定。評価は、従来例の制動距離の逆数を100とする指数で表しており、数値が大きいほど氷上ブレーキ性能に優れていることを表している。
・ウエットハイドロプレーニング性能:水深5mmのウエット路面を通過する際のハイドロプレーニング発生限界速度のフィーリング評価。
【0096】
【表1】
Figure 0003954397
試験の結果から、本発明の適用された実施例の空気入りタイヤは、従来例の空気入りタイヤに対し、全ての性能が大幅に向上していることが分かる。
【0097】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、氷上性能の向上と、ブロック剛性の向上を図ることができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドの平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドの部分拡大図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤのショルダーブロック(右側)の拡大平面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤのセンターリブの拡大平面図である。
【図5】従来例の空気入りタイヤのトレッドの平面図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る空気入りタイヤのショルダーブロックの平面図である。
【図7】本発明の更に他の実施形態に係る空気入りタイヤのショルダーブロックの平面図である。
【符号の説明】
10 空気入りタイヤ
12 トレッド
14 第1の周方向主溝
16 第2の周方向主溝
18 横断主溝
20 ショルダーブロック
22 センターリブ
24 副溝
26 陸部
32 タイヤ幅方向サイプ列
32A ジグザグ状サイプ
35 擬似周方向サイプ
40 タイヤ幅方向サイプ列
43 擬似周方向サイプ

Claims (4)

  1. トレッドに互いに交差する複数の溝により区画された複数のブロックを備え、前記ブロックにはタイヤ幅方向に沿って延びる波型のジグザグ状サイプがタイヤ周方向に複数本形成された空気入りタイヤであって、
    前記ブロックは、互いに反対方向に傾斜する短片を交互に接続してジグザグ形状とされた複数のジグザグ状サイプをタイヤ幅方向に互いに接続することなく略直線状に配置したタイヤ幅方向サイプ列をタイヤ周方向に複数本有し、
    複数の前記タイヤ幅方向サイプ列において、互いに隣接した一方の終端部を含む短片が、他方のジグザグ状サイプの終端部を含む短片の2倍以上の長さを有し、短い方の前記短片の終端部が長い方の前記短片の中央付近に配置され、かつ、前記長い方の短片の終端部がタイヤ周方向に隣接する他のジグザグ状サイプの短い方の短片の終端部側とは反対側の端部付近に配置されることにより、前記ブロックのタイヤ幅方向中央部付近に、実質上タイヤ周方向にジグザグ状に延びる擬似周方向サイプが1本以上形成されている、ことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記終端部と、前記終端部に最も近接した他の前記ジグザグ状サイプの前記短片との離間距離は、0.1〜1.0mmの範囲内である、ことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ブロックには、前記タイヤ幅方向サイプ列が3本以上形成され、前記擬似周方向サイプが1本形成されている、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. タイヤ幅方向サイプ列内における複数の前記ジグザグ状サイプは、直線状の短片から形成されて略同一振幅同一波長を有すると共に同一直線上に配置され、タイヤ周方向に対する角度が時計回りで計測して60〜120度の範囲内である、ことを特徴とする請求項1請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
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