JP7261378B2 - スラリー組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、セラミックスの成形に使用することのできる、スラリー組成物に関するものである。
セラミックス成形体は、セラミックス粉末を溶剤、分散剤、バインダー樹脂、可塑剤などと混合してスラリー状の組成物としたのち、成形、乾燥、焼結といった工程を経て作製される。例えばセラミックグリーンシートは、回路基板、積層セラミックコンデンサなどを製造するために用いられるものであり、溶剤としては主に有機溶剤が用いられるが、近年は環境や健康面への配慮から、水系溶剤も用いられている。
セラミックス成形体を得る手法としては、例えば特許文献1に示されるように、バインダー樹脂としてポリビニルアセタールを使用する方法が挙げられる。この場合、表面が平滑なセラミックス成形体が得られるものの、脱脂性が不十分で残炭が生じやすく、十分に焼結しないために強度が十分に発揮できない場合があった。一方、良好な脱脂性を発現するための方法として、アクリルポリマーを用いる方法が挙げられている。この場合、例えば特許文献2や特許文献3に示されるように、アクリルポリマーの側鎖にカルボキシル基などの酸性基を導入したポリマーの溶液を調製し、これをバインダーとして用いる方法がある。これにより表面が平滑な成形体が得られ、さらに脱脂性が向上することが報告されている。
このようにして得られるセラミックス成形体には、作製過程でごく微細な欠陥が生じる場合があるが、近年は各種電子部品の小型化、高性能化が進んでおり、こうした欠陥の存在が電子部品の性能を低下させる恐れがある。そのため、より一層欠陥の発生を抑制し、緻密性の高いセラミックス成形体を得るためのスラリー組成物が望まれている。
特開2003-192450号公報 特開2002-80282号公報 特開2011-225702号公報
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、セラミックス成形において優れた脱脂性を示し、焼結工程が良好に進行することからシートに欠陥が発生することを抑え、平滑性と緻密性に優れるセラミックス成形体を作製可能なスラリー組成物を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、従来の樹脂成分に対して、ポリアルキレングリコール構造を一定割合含有するアクリルポリマーを適量配合して用いることにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は以下のものである。
(1) 樹脂成分(A)および樹脂成分(B)をバインダーとして含んでなるスラリー組成物であって、
前記樹脂成分(A)と前記樹脂成分(B)との含有割合((A)/(B))が質量比で20/80~80/20であり、
前記樹脂成分(A)が、下記式(1)で示されるモノマー(a1)を60~95質量%、下記式(2)で示されるモノマー(a2)を5~40質量%含有し、前記樹脂成分(A)中に含まれるポリエチレングリコール部分の質量比が前記樹脂成分(A)全体に対して40~80質量%であり、前記樹脂成分(A)の重量平均分子量が40,000~300,000であり、
前記樹脂成分(B)が、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドンからなる群より選ばれた1種以上の樹脂であることを特徴とする、スラリー組成物。
Figure 0007261378000001

(式(1)中、
は水素原子またはメチル基であり、
は水素原子またはメチル基であり、
xは3~30である。)

Figure 0007261378000002

(式(2)中、
は水素原子またはメチル基であり、
は炭素数2~4のアルキレン基である。)
(2) 水溶性分散剤、水系溶媒およびセラミックス粉末を更に含有することを特徴とする、(1)のスラリー組成物。
(3) 前記セラミックス粉末100質量部に対し、前記樹脂成分(A)の質量と前記樹脂成分(B)の質量との合計値が1~30質量部であることを特徴とする、(2)のスラリー組成物。
本発明のスラリー組成物を使用すれば、セラミックス成形工程において、良好な脱脂性により残炭を少なくすることができる。また、得られるセラミックス成形体表面の平滑性が良好となり、成形体の欠陥の発生を抑制することで、緻密性を高めることができる。
以下、本発明の実施形態を説明する。
〔モノマー(a1)〕
本発明のモノマー(a1)は、下記式(1)で示される。
Figure 0007261378000003
式(1)中、Rは水素原子またはメチル基であり、重合が容易であること、および熱分解性が良好となる観点から、メチル基が特に好ましい。
は水素原子またはメチル基である。スラリー組成物が必要以上に増粘することを抑え、セラミックグリーンシートの平滑性が良好となることから、メチル基が特に好ましい。
xはポリエチレングリコール構造の繰り返し単位を表し、3~30の範囲であり、得られる成形体の強度を良好とし、脱脂性も良好となることから、5~20が好ましく、7~12がより好ましい。xが3未満であると、樹脂成分(A)が硬くなるために焼結が十分に進行せず、緻密性が低下する。また、xが30より大きいと、ポリエチレングリコール構造の割合が多くなりすぎるために脱脂性が低下し、緻密性も低下する。
モノマー(a1)は、上記範囲内であれば1種類に限られるものではなく、R、R、xの異なる構造のモノマーを2種類以上含んでも良い。
本発明では、モノマー(a1)を60~95質量%、好ましくは70~95質量%、更に好ましくは80~95質量%含有する。95質量%を超えると、ポリマー中のポリエチレングリコール構造の割合が多くなりすぎ、脱脂性が低下する。一方、60質量%未満であると、セラミック粒子の分散性が低下して凝集し、平滑性が損なわれる恐れがある。
(モノマー(a2))
本発明のモノマー(a2)は下記一般式で表される。
Figure 0007261378000004
式(2)中、Rは水素原子またはメチル基である。これらのうち、重合が容易であること、および熱分解性が良好となる観点から、メチル基が特に好ましい。
は、炭素数2~4のアルキレン基である。炭素数2~4のアルキレン基としては、例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが挙げられる。これらのうち、ポリマーの水溶性を高め、平滑性の高いシートを得られやすくなることから、エチレン基またはプロピレン基が好ましく、エチレン基がさらに好ましい。
モノマー(a2)としては、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを用いることができる。これらの中でも、特にヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。モノマー(a2)は1種類を単独で用いても良く、2種類以上を併用しても良い。
本発明では、モノマー(a2)を5~40質量%、好ましくは5~30質量%、更に好ましくは5~20質量%含有する。すなわち、40質量%を超えるとポリマーTgが高くなることで柔軟性が損なわれ、焼結が不十分となるためにセラミックス成形体の緻密性が低下する。また5質量%未満の場合にはセラミックス粒子への吸着力が低くなり、分散性が悪化することでセラミックス粒子が凝集しやすくなり、平滑性が低下する。
本発明の樹脂成分(A)は、上記成分モノマー(a1)、モノマー(a2)のみを共重合させることによっても得られるが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記モノマー以外の共重合可能なモノマーを用いることができる。共重合可能なモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ノルマルブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ターシャリーブチル、アクリロニトリル、アクリルアミド、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、などが挙げられる。これらのモノマーの中でも、反応性官能基を有しておらず、熱分解性も良好となることから、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ノルマルブチル、(メタ)アクリル酸イソブチルを用いることが好ましい。
これらのモノマーの配合割合は0~35質量%であり、好ましくは0~20質量%であり、より好ましくは0~10質量%である。
本発明の樹脂成分(A)は、構造中に含まれるポリエチレングリコール部分の質量比が樹脂成分(A)全体に対して40~80質量%、好ましくは55~80質量%、更に好ましくは60~80質量%、特に好ましくは65~75質量%含有する。40質量%未満であると、セラミック粒子の分散性が低下して凝集し、平滑性が損なわれる。また、80質量%以上であると、ポリエチレングリコール構造の割合が多くなりすぎるために脱脂性が低下する。
(樹脂成分(A)の製造方法)
次に、本発明の重合体を製造する方法について説明する。
本発明における樹脂成分(A)は、モノマー(a1)、モノマー(a2)の混合物をラジカル重合させることにより得ることができる。本発明における樹脂成分(A)は、公知の重合方法により得ることができるが、水を媒体として水溶性の重合開始剤を用いて行う方法であれば、得られたポリマー水溶液をそのまま使用することができるので好ましい。
使用する重合開始剤としては、2,2‘-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(製品名:V-50、富士フイルム和光純薬工業(株))、2,2‘-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン](製品名:VA-061、富士フイルム和光純薬工業(株))などの水溶性アゾ系開始剤を用いて行うのが一般的である。
重合開始剤の使用量は、用いるモノマーの組み合わせや、反応条件などに応じて適宜設定することができる。
なお、重合開始剤を投入するに際しては、例えば、全量を一括仕込みしてもよいし、一部を一括仕込みして残りを滴下してもよく、あるいは全量を滴下してもよい。また、前記モノマーとともに重合開始剤を滴下すると、反応の制御が容易となるので好ましく、さらにモノマー滴下後も重合開始剤を添加して反応を継続すると、残存モノマーをより低減できるので好ましい。
また、重合時には分子量を制御する目的で連鎖移動剤を配合しても良い。連鎖移動剤としては、例えば1-チオグリセロールなどの汎用のものが使用できる。
モノマーを投入するに際しては、例えば、全量を一括仕込みしても良いし、一部を一括仕込みして残りを滴下しても良いし、あるいは全量を滴下しても良い。発熱の制御のしやすさから、一部を一括仕込みして残りを滴下するか、または全量を滴下するのが好ましい。
重合温度は、重合溶媒の種類などに依存し、例えば、50℃~95℃である。重合時間は、重合開始剤の種類と重合温度に依存し、例えば、重合開始剤として2,2‘-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]を使用した場合、重合温度を85℃として重合すると、重合時間は4時間程度が適している。
以上の重合反応を行なうことにより、樹脂成分(A)が得られる。得られた樹脂成分(A)は、そのまま使用してもよいし、必要に応じてろ過などの操作を加えてから、使用しても良い。
本発明の樹脂成分(A)の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いてポリスチレン換算で求めることができる。得られる重合体が水溶性であり、セラミックグリーンシートを成形する際の成形性、柔軟性などが良好であれば特に制限は無いが、質量平均分子量の範囲は30,000~300,000であり、好ましくは40,000~200,000、より好ましくは50,000~150,000である。重合体の質量平均分子量が30,000未満であると、セラミックス粒子などの分散性が不足し、成形体の平滑性が損なわれたり、緻密性が低下して空隙などの欠陥が生じたりし易くなる。また、質量平均分子量が300,000を超えると、成形工程において粘着性が発現して成形体の平滑性が損なわれたり、脱脂性が低下して残渣の発生量が多くなったりする。
(樹脂成分(B))
本発明の樹脂成分(B)は、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドンから成る群より選ばれた1種以上の樹脂である。
本発明においては上記スラリー組成物の粘性を高め、組成物全体としての取り扱い性能を高めるとともに、焼結前のセラミックス成形体に適度な強度と靭性を与え、耐久性を高める目的で好ましく用いられる。
セルロース系樹脂の具体例は特に限定されるものではないが、例えばセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロースなどが挙げられる。
ポリビニルアルコールの具体例は特に限定されるものではないが、例えば平均重合度約1,500~1,800のグレード品が挙げられる。
ポリビニルピロリドンの具体例は特に限定されるものではないが、例えば質量平均分子量が40,000~1,500,000のグレード品が挙げられる。
樹脂成分(B)の具体例は特に限定されるものではないが、上記セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンの中から1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂成分(A)と樹脂成分(B)の含有割合は、(A)/(B)=20/80~80/20質量%であり、好ましくは(A)/(B)=40/60~80/20質量%であり、より好ましくは(A)/(B)=60/40~80/20質量%である。
樹脂成分(A)の含有割合が20質量%を下回ると、脱脂性および緻密性が不十分となる。
また、樹脂成分(B)の含有割合が20質量%を下回ると、成形体表面にべた付きが生じるようになり、平滑性が損なわれる。
(ペースト組成物)
樹脂成分(A)、および樹脂成分(B)を使用して、本発明のペースト組成物を調製することができる。
セラミックス粉末と樹脂成分を配合する際の割合は、セラミックス粉末100質量部に対し、固形分として1~30質量部、好ましくは5~20質量部となるように調整する。
水溶性分散剤としては、ポリカルボン酸系、ポリエチレングリコール系、アルキルスルホン酸系、ポリエルキレンポリアミン系などの分散剤が挙げられる。
水系溶媒としては、水および/または水溶性溶剤が挙げられる。水溶性溶剤としては、特に限定はされないが水と混和する有機溶剤として、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノールなどが挙げられる。これらは1種のみでも良いし、2種以上を併用してもよい。
セラミックス粉末としては、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛などの酸化物系、および炭化ケイ素、窒化ケイ素などの非酸化物系のセラミックス粉末が挙げられる。
これらの金属粉末の粒径としては、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置によって測定される体積累積粒径D50にて、0.05μm~50.0μmであるのが好ましい。この中でも0.10μm~10.0μmであるのがより好ましく、0.20μm~5.00μmであるのが更に好ましく、0.30μm~1.00μmであるのが特に好ましい。
さらに、必要に応じて可塑剤、分散剤、消泡剤などの添加剤を加えることができる。これらの添加剤は、水溶性のものであり、発明の効果を阻害しないものであれば、特に使用に制限は無い。
セラミックスを成形体とする方法は、特に限定されるものではないが、主な方法としては顆粒状のセラミックスを加圧して成形するプレス方式と、スラリー組成物を薄く延ばしてグリーンシート状に成型するシート方式が挙げられる。
プレス方式は、セラミックス粉末、バインダー樹脂、分散剤、可塑剤などと混合して、ボールミルなどでスラリー状に調製したのち、スプレードライなどの噴霧乾燥により造粒し、得られた顆粒状の原料を型に充填し、圧力を加えて特定の形状に成形し、最終的に焼結して目的のセラミックス成形体を得る方式である。
一方、シート方式は、セラミックス粉末、バインダー樹脂、分散剤、可塑剤などを混合し、ボールミルなどでスラリー状に調製したのち、脱泡後、ドクターブレード法などによりポリエステル等の支持体上に一定の厚さに塗布し、加熱乾燥させて得られたシートを積層する方式である。
支持体は特に限定されるものでなく、公知のものを使用することができる。支持体としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ステンレス鋼(SUS)、ガラス板などを用いることができる。
支持体に塗工したスラリー組成物の乾燥方法は特に限定されるものではなく、公知の方法で行うことができる。機器としては、例えば乾燥炉、ホットドライヤーなどを用いることができる。乾燥時の雰囲気としては、大気雰囲気でもよく、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気で行ってもよい。乾燥時の圧力としては、常圧下でもよく、減圧下でもよい。乾燥時の温度と時間は、スラリー組成物を構成する成分によって異なるが、温度は通常30~150℃の範囲であり、乾燥時間は5~60分である。また、乾燥後のグリーンシートの膜厚が、0.5~5.0μmとなることが好ましい。
次いで、乾燥後のグリーンシートからバインダー樹脂を除去するために、脱脂処理が行われる。脱脂処理の方法は特に限定されるものではなく、公知の方法で行うことができる。例えば、電気炉などを使用して、不活性ガス雰囲気下、350~500℃で通常30~150分かけて行われる。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
(合成例1:ポリマーA-1)
撹拌機、温度計、冷却器、滴下ロート及び窒素導入管を取り付けた1Lセパラブルフラスコに、イオン交換水480gを仕込み、フラスコ内を窒素置換した。メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(製品名:ブレンマーPME-400 日油(株)製)288gと、2-ヒドロキシエチルメタクリレート 32gを混合したモノマー溶液を調製した。反応容器内を85℃まで昇温し、重合開始剤として2,2‘-アソビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン](製品名:VA-061 富士フイルム和光純薬(株))6.2gを、反応容器内を攪拌しながら仕込んだ。その後、反応容器内を85℃に保ちながらモノマー溶液を2時間かけて滴下し、さらに85℃で2時間反応させた。その後脱水乾燥させて、ポリマーA-1を得た。
(合成例2:ポリマーA-2)
モノマー溶液をブレンマーPME-400 230g、2-ヒドロキシエチルメタクリレート 90gとし、重合開始剤をVA-061 8.6gに変更したこと以外は、合成例1と同様の手法で反応を行い、ポリマーA-2を得た。
(合成例3:ポリマーA-3)
モノマー溶液をブレンマーPME-400 285g、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート 35gとし、重合開始剤をVA-061 6.1gに変更したこと以外は、合成例1と同様の手法で反応を行い、ポリマーA-3を得た。
(合成例4:ポリマーA-4)
モノマー溶液をメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(製品名:ブレンマーPME-200 日油(株)製)270g、2-ヒドロキシエチルメタクリレート 50gとし、重合開始剤をVA-061 9.7gに変更したこと以外は、合成例1と同様の手法で反応を行い、ポリマーA-4を得た。
(合成例5:ポリマーA-5)
モノマー溶液をメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(製品名:ブレンマーPME-1000 日油(株)製)272g、2-ヒドロキシエチルメタクリレート 48gとし、重合開始剤をVA-061 4.6gに変更したこと以外は、合成例1と同様の手法で反応を行い、ポリマーA-5を得た。
(合成例6:ポリマーA-6)
モノマー溶液をブレンマーPME-200 139g、2-ヒドロキシエチルメタクリレート 181gとし、重合開始剤をVA-061 13.9gに変更したこと以外は、合成例1と同様の手法で反応を行い、ポリマーA-6を得た。
(合成例7:ポリマーA-7)
モノマー溶液をブレンマーPME-1000 316g、2-ヒドロキシエチルメタクリレート 4gとし、重合開始剤をVA-061 2.4gに変更したこと以外は、合成例1と同様の手法で反応を行い、ポリマーA-7を得た。
<スラリー組成物の調製>
セラミック粉末として平均粒径(d50)が約0.5μmであるチタン酸バリウム(堺化学工業(株)製「BT-01」d50:0.5μm)100質量部、分散剤(東亞合成(株)製「アロンA-6114」0.5質量部、並びに分散媒としてイオン交換水30質量部を、混合用ビーズである粒径0.1mmのジルコニアビーズ(ニッカトー(株)製)100質量部と共に、ビーズミル(アイメックス(株)製「RMB-01」)で500rpmおよび5時間攪拌した後、ジルコニアビーズをろ別し、チタン酸バリウムの分散液を調製した。この分散液(チタン酸バリウム含有量100質量部)に対し、表2および表3に示す割合で樹脂成分(A)と樹脂成分(B)を混合した樹脂組成物10質量部を加えた後、これらを自転公転ミキサーで1000rpmにて3分間攪拌して、スラリー組成物を調製した。
<グリーンシートの調製>
上記の方法で得られたスラリー組成物を、70mm×70mm×2mmのガラス板に乾燥後のグリーンシートの膜厚が約100μmとなるように塗工し、ホットプレートを用いて100℃で15分間かけて乾燥させ、ガラス板上にグリーンシートを形成した。
<脱バインダー処理>
上記の方法でグリーンシートが形成されたガラス板を電気炉(デンケン(株)製「卓上マッフル炉 KDFP90」)に入れ、窒素雰囲気下、450℃で30分加熱し、グリーンシートの脱バインダー処理を行った。
<重量平均分子量>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件により、共重合体1~7の重量平均分子量を求めた。
装置: 東ソー(株)社製、HLC-8220
カラム: shodex社製、SB-805HQ
標準物質: ポリスチレン
溶離液: DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)
流量: 1.0ml/min
カラム温度:40℃
検出器: RI(示差屈折率検出器)
<脱脂性>
表2および表3に記載の樹脂成分(A)と樹脂成分(B)のみを用いて、TG/DTA(SII社製「TG/DTA6200」)にて脱脂性を確認した。詳しくは、窒素雰囲気下、樹脂組成物約10mgを30℃から400℃まで10℃/分で昇温し、400℃で30分間保持した後の残存質量を測定し、初期質量からの残存割合を算出した。

◎: 0.3%未満
○: 0.3%以上、1.0%未満
△: 1.0%以上、2.0%未満
×: 2.0%以上
<平滑性>
脱バインダー処理後のグリーンシートの膜厚および算術平均粗さRaを、接触式表面粗さ計(Veeco(株)製「DEKTAK3st」)にて測定した。

◎: 算術平均粗さRaが10nm未満
○: 算術平均粗さRaが10nm以上30nm未満
△: 算術平均粗さRaが30nm以上50nm未満
×: 算術平均粗さRaが50nm以上
<緻密性>
走査型電子顕微鏡(日立製作所製「SEMEDX TypeN」、観察倍率3万倍で脱バインダー処理後のグリーンシートの表面状態を観察し、存在する空隙の大きさの平均値によりシートの緻密性を評価した。

◎: 空隙の大きさが1μm未満
○: 空隙の大きさが3μm未満
△: 空隙の大きさが5μm未満
×: 空隙の大きさが5μm以上
Figure 0007261378000005

Figure 0007261378000006

Figure 0007261378000007
表2に示すように、本発明によって得られたアクリルポリマーは脱脂性に優れており、これを成形用バインダー樹脂として使用することにより、表面の欠陥が少なく、平滑性と緻密性に優れるセラミックグリーンシートを得ることができた。
一方、表3に示すように、比較例1では、樹脂成分(A)におけるポリエチレングリコール部分の質量比が低いため、成形体の緻密性が劣っていた。
比較例2では、樹脂成分(A)におけるポリエチレングリコール部分の質量比が高いため、緻密性が劣っており、また、平滑性も不良であった。
比較例3では、樹脂成分(A)の含有量が低いため、脱脂性が劣っていた。また、脱脂性に劣るために焼結が良好に進行せず、緻密性も劣っていた。

Claims (3)

  1. 樹脂成分(A)および樹脂成分(B)をバインダーとして含んでなるスラリー組成物であって、
    前記樹脂成分(A)と前記樹脂成分(B)との含有割合((A)/(B))が質量比で20/80~80/20であり、
    前記樹脂成分(A)が、下記式(1)で示されるモノマー(a1)を60~95質量%、下記式(2)で示されるモノマー(a2)を5~40質量%含有し、前記樹脂成分(A)中に含まれるポリエチレングリコール部分の質量比が前記樹脂成分(A)全体に対して40~80質量%であり、前記樹脂成分(A)の重量平均分子量が40,000~300,000であり、
    前記樹脂成分(B)が、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドンからなる群より選ばれた1種以上の樹脂であることを特徴とする、スラリー組成物。

    Figure 0007261378000008
    (式(1)中、
    は水素原子またはメチル基であり、
    は水素原子またはメチル基であり、
    xは3~30である。)

    Figure 0007261378000009
    (式(2)中、
    は水素原子またはメチル基であり、
    は炭素数2~4のアルキレン基である。)
  2. 水溶性分散剤、水系溶媒およびセラミックス粉末を更に含有することを特徴とする、請求項1記載のスラリー組成物。
  3. 前記セラミックス粉末100質量部に対し、前記樹脂成分(A)の質量と前記樹脂成分(B)の質量との合計値が1~30質量部であることを特徴とする、請求項2記載のスラリー組成物。
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