JP6337628B2 - 積層セラミックコンデンサ製造用のスラリー組成物およびセラミックグリーンシート - Google Patents

積層セラミックコンデンサ製造用のスラリー組成物およびセラミックグリーンシート Download PDF

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本発明は、積層セラミックコンデンサ製造用のスラリー組成物およびセラミックグリーンシートに関する。
積層セラミック電子部品、例えば、積層セラミックコンデンサは、一般に次のような工程を経て製造されている。まず、樹脂等のバインダーを有機溶媒に溶解した溶液に可塑剤、分散剤等を添加した後、セラミック粉末を加え、ボールミル等により均一に混合し、スラリー組成物を得る。このスラリー組成物を離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルムまたはステンレス鋼(SUS)板等の支持体に塗布する。加熱等により、支持体に塗布したスラリー組成物から有機溶媒等の揮発分を留去させた後、支持体から剥離してセラミックグリーンシート(以下「グリーンシート」と略称することがある)を得る。
次に、得られたグリーンシート上に、ニッケル等の導電材を含有する電極層用ペーストを所定パターンで印刷する。得られた印刷後のグリーンシートを数百枚積み重ねて積層し、プレス切断工程を経てセラミックグリーンチップを得る。そして、得られたセラミックグリーンチップ中に含まれるバインダー等を熱分解して除去する処理、いわゆる脱バインダー処理を行った後、焼成して得られるセラミックシートの端面に外部電極を形成する工程を経て積層セラミックコンデンサを製造する。
一方で、積層セラミックコンデンサには、近年更なる小型化、大容量化が求められており、誘電層を多層化するためグリーンシートの薄膜化が検討されている。しかし、薄膜化が進むと、グリーンシート一枚あたりの強度が低下するため、グリーンシートの剥離時にグリーンシートが破損するなどの問題が生じる。そこで、薄膜化に対応したプロセスとして、支持体にグリーンシートを成膜後、支持体を剥離せずに、グリーンシート上に電極を印刷し、電極を印刷したグリーンシートの上にさらにグリーンシートを成膜するという操作を繰り返すプロセスが開発されている。このプロセスでは、薄いグリーンシートを一枚でハンドリングする必要がないため、グリーンシート一枚に従来と同等の強度は必要とされないが、塗り重ねても凹凸がないよう、従来以上にグリーンシートの平滑性が重要視される。
また、グリーンシートの薄膜化が進むと一層あたりのセラミック粒子数が少なくなるため、脱バインダー処理時のバインダーの燃え残りなどによるグリーンシート中に存在するわずかな欠陥が、得られる積層セラミックコンデンサでの絶縁破壊などを引き起こす要因となる。さらに、省エネルギー化によるコストの低減のため、できるだけ低い温度での脱バインダー処理を行うことが望まれている。
特許文献1には、バインダーとして、ポリビニルアセタール、特にポリビニルブチラール(PVB)を使用するスラリー組成物が記載されている。PVBを用いれば、強度に優れたグリーンシートを製造することができる。しかし、PVBを含有するスラリー組成物から得られるグリーンシートでは、脱バインダー処理後の表面の平滑性やセラミックス粒子の緻密さが不足しており、薄膜化に適していない。また、PVBは還元雰囲気下では熱分解性が悪く、脱バインダー処理後のグリーンシートに欠陥が生じるという問題がある。
また、特許文献2には、プラズマディスプレイパネル製造用のスラリー組成物中に、ポリスチレン換算重量平均分子量が500,000以上である結着樹脂(即ち、バインダー)を使用することが記載されている。しかし、このような高分子量のバインダーを用いると、スラリー組成物の塗工が困難になり、平滑なグリーンシートを形成することが困難になるという問題がある。また、特許文献2の実施例では、前記高分子量のバインダーおよび平均粒子径1.3μmのガラス粉体を用いて、膜厚250μmの無機粉体含有樹脂層が支持フィルム上に形成されてなる、表面が平滑な転写フィルムが製造されている。しかし、積層セラミックコンデンサの製造では、平均粒径がサブミクロンオーダーであるセラミック粉末を使用して、膜厚5μm以下のグリーンシートが製膜される。そのため、特許文献2(特にその実施例)に記載のスラリー組成物を、積層セラミックコンデンサの製造に用いることができない。
特開2006−89354号公報 特開2006−139936号公報
本発明は、脱バインダー処理でのバインダーの燃え残りが少なく、且つ脱バインダー処理後に平滑性およびセラミック粒子の緻密さに優れたセラミックグリーンシートを形成することができる、セラミックコンデンサ製造用スラリー組成物を提供することを目的とする。
本発明者らが検討を進めた結果、特定の平均粒径を有するセラミック粉末、およびバインダーとして特定の(メタ)アクリレート重合体を用いることによって上記目的を達成できることを見いだし、本発明を完成した。この知見に基づく本発明は以下の通りである。
[1] 分散媒、平均粒径が0.01〜0.5μmであるセラミック粉末、およびバインダーを含み、
バインダーが、下記式(1)で表される構成単位60〜90モル%および下記式(2)で表される構成単位10〜40モル%を有し、重量平均分子量が5,000〜80,000である(メタ)アクリレート共重合体からなる、セラミックコンデンサ製造用スラリー組成物。
Figure 0006337628
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子またはメチル基であり、Rは、炭素数1〜12のアルキル基である。)
[2] バインダーの含有量が、セラミック粉末100重量部に対して1〜15重量部である前記[1]に記載のスラリー組成物。
[3] 分散媒の含有量が、セラミック粉末100重量部に対して10〜70重量部である前記[1]または[2]に記載のスラリー組成物。
[4] セラミック粉末が、チタン酸バリウムである前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載のスラリー組成物。
[5] 前記[1]〜[4]のいずれか一つに記載のスラリー組成物を用いて製造されるセラミックコンデンサ製造用セラミックグリーンシート。
本発明のセラミックコンデンサ製造用スラリー組成物を用いれば、脱バインダー処理でのバインダーの燃え残りが少なく、且つ脱バインダー処理後に平滑性およびセラミック粒子の緻密さに優れたグリーンシートを形成することができる。
本発明のセラミックコンデンサ製造用スラリー組成物(以下「スラリー組成物」と略称することがある。)は、分散媒、平均粒径が0.01〜0.5μmであるセラミック粉末、並びにバインダーとして上記式(1)で表される構成単位60〜90モル%および上記式(2)で表される構成単位10〜40モル%を有し、重量平均分子量が5,000〜80,000である(メタ)アクリレート共重合体を含む。以下、各成分について順に説明する。
[分散媒]
バインダーである(メタ)アクリレート共重合体を溶解し得る有機溶媒を、分散媒として用いることが好ましい。そのような有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(別名:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)、ブチルセロソルブ(別名:エチレングリコールモノブチルエーテル)等のエーテル系溶媒;ターピネオール;等が挙げられる。有機溶媒は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。バインダーの溶解性および有機溶媒の除去のしやすさの観点から、芳香族炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒との混合溶媒、ケトン系溶媒が好ましく、トルエンとエタノールとの混合溶媒、メチルエチルケトンがより好ましく、トルエンとエタノールとの混合溶媒がさらに好ましい。芳香族炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒との混合溶媒における重量比(即ち、芳香族炭化水素系溶媒の重量:アルコール系溶媒の重量、特にトルエンの重量:エタノールの重量)は、好ましくは30:70〜70:30である。
スラリー組成物中の分散媒の含有量は、スラリー組成物の粘度および脱バインダー処理後のグリーンシートにおけるセラミック粒子の緻密さの観点から、セラミック粉体100重量部に対して、好ましくは10〜70重量部、より好ましくは35〜55重量部である。
[セラミック粉末]
セラミック粉末としては、積層セラミック電子部品(特に積層セラミックコンデンサ)の分野で汎用されているものを使用することができる。セラミック粉末としては、例えば、チタン酸バリウム、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、マグネシア、サイアロン、スピネムルライト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の粉末が挙げられる。セラミック粉末は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。セラミック粉末としては、チタン酸バリウムが好ましい。
積層セラミックコンデンサの信頼性を確保するためには、誘電層1層の厚さ方向のセラミック粒子数が3〜5個である必要がある。そのため誘電層の膜厚を数μm程度とするためには、その製造に用いるセラミック粉末の平均粒径は0.01〜0.5μmであることが必要である。ここで平均粒径とは、後述の実施例に示すように、動的光散乱式粒度分布測定装置によって測定されるメジアン径(d50)を意味する。
[バインダー]
本発明のスラリー組成物中のバインダーは、上記式(1)で表される構成単位(以下「構成単位(1)」と略称する)および上記式(2)で表される構成単位(以下「構成単位(2)」と略称する)を有する(メタ)アクリレート共重合体からなる。ここで、(メタ)アクリレートの用語は、ポリマー分野で通常使用されている通り、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。他の用語(例えば「(メタ)アクリル酸メチル」等)も同様の意味である。
構成単位(1)は、アルキル(メタ)アクリレート(以下「モノマー(1)」と略称する)に由来するものであり、(メタ)アクリレート共重合体の強度や有機溶媒への溶解性に影響する。
式(1)において、Rは水素原子またはメチル基である。脱バインダー処理でのバインダーの燃え残りを少なくするために、Rはメチル基であことが好ましい。Rは炭素数1〜12のアルキル基である。アルキル基の炭素数が13以上の場合、セラミック粉末の分散性が低下し、脱バインダー処理後のグリーンシートにおけるセラミック粒子の緻密さが悪化する。スラリー組成物中のセラミック粉末の分散性の観点から、Rの炭素数は1〜8が好ましく、1〜4がより好ましい。
モノマー(1)としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリルなどが挙げられる。モノマー(1)は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。セラミック粉末の分散性の観点から(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸イソブチルが好ましく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチルがより好ましく、メタクリル酸メチルがさらに好ましい。
構成単位(2)は、2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよび/または2−ヒドロキシエチルアクリレート(以下「モノマー(2)」と略称する)に由来するものであり、セラミック粉末の分散性に影響する。式(2)において、Rは水素原子またはメチル基である。脱バインダー処理でのバインダーの燃え残りを少なくするために、Rはメチル基が好ましい。即ち、モノマー(2)としては、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。
(メタ)アクリレート共重合体は、本発明の効果を阻害しない範囲で、モノマー(1)および(2)以外のモノマー(以下「他のモノマー」と略称する)に由来する構成単位(以下「他の構成単位」と略称する)を含んでいてもよい。他のモノマーとしては、モノマー(1)および(2)と共重合可能なものであれば特に制限はなく、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン等が挙げられる。(メタ)アクリレート共重合体中の他の構成単位の割合は、好ましくは10モル%以下である。(メタ)アクリレート共重合体が構成単位(1)および(2)からなること(即ち、他の構成単位の割合が0であること)がより好ましい。
(メタ)アクリレート共重合体中の構成単位(1)の割合は、グリーンシートの強度の観点から、60〜90モル%であることが必要であり、65〜80モル%であることが好ましい。一方、構成単位(2)の割合は、セラミック粉末の分散性の観点から、10〜40モル%であることが必要であり、20〜35モル%であることが好ましい。
(メタ)アクリレート共重合体の重量平均分子量は、5,000〜80,000であることが必要である。該重量平均分子量が80,000を超えると、スラリー組成物の粘度が高く、その塗工性が低下するため、スラリー組成物の薄膜を形成することが困難になる。一方、該重量平均分子量が5,000未満であると、スラリー組成物の成膜性が低下し、膜形成が困難になる。該重量平均分子量は、好ましくは8,000〜50,000である。該重量平均分子量は、後述の実施例に記載するように、ポリスチレンを標準とするGPCによる測定される。
本発明の要件を満たす(メタ)アクリレート共重合体は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。但し、本発明のスラリー組成物中のバインダーは、本発明の効果を達成するために、本発明の要件を満たす(メタ)アクリレート共重合体からなる。
スラリー組成物中のバインダーの含有量は、脱バインダー処理後のグリーンシート中のセラミック粒子の緻密さの観点から、セラミック粉末100重量部に対して、好ましくは1〜15重量部、より好ましくは1〜10重量部である。
[その他の成分]
本発明のスラリー組成物は、任意成分として、分散剤、可塑剤、レベリング剤、消泡剤などの添加剤を含有していてもよい。添加剤の中で分散剤が好ましい。分散剤としては、例えば、ポリカルボン酸系分散剤等が挙げられる。ポリカルボン酸系分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸部分アルキルエステル、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテルと無水マレイン酸の共重合体等が挙げられ、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテルと無水マレイン酸の共重合体が好ましい。分散剤を使用する場合、スラリー組成物中のその含有量は、セラミック粉体100重量部に対して、好ましくは0.1〜5重量部である。
[グリーンシート]
本発明は、上述のスラリー組成物を用いて製造される積層セラミックコンデンサ製造用セラミックグリーンシート(以下「グリーンシート」と略称することがある)も提供する。このグリーンシートは、本発明のスラリー組成物を、支持体に塗工して、乾燥させることによって製造することができる。スラリー組成物の塗工法に特に限定は無く、グリーンシートの製造に汎用されている方法を使用することができる。
支持体に特に限定は無く、グリーンシートの製造に汎用されているものを使用することができる。支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ステンレス鋼(SUS)、ガラス板等が挙げられる。
支持体に塗工したスラリー組成物の乾燥法に特に限定はなく、例えば、公知の機器(例えば、乾燥炉、ホットドライヤー)を使用して行うことができる。乾燥は、大気雰囲気下で行ってもよく、不活性ガス(例えば、窒素)雰囲気下で行ってもよい。また、乾燥は、常圧下で行ってもよく、減圧下で行ってもよい。乾燥の温度および時間は、使用する分散媒およびバインダーの種類によって異なるが、その温度は、通常80〜150℃、その時間は、通常5〜60分である。乾燥後のグリーンシートの膜厚は、好ましくは0.5〜5μmである。
次いで、乾燥後のグリーンシートからバインダーを除去するために、脱バインダー処理が行われる。脱バインダー処理の方法に特に限定は無く、例えば、公知の機器(例えば、電気炉)を使用して行うことができる。脱バインダー処理は、通常、不活性ガス(例えば、窒素)雰囲気下で行われる。脱バインダー処理の温度は、通常350〜500℃であり、その時間は、通常30〜150分である。
以下、実施例と比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[バインダー(a)の合成]
撹拌機、温度計、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた1リットルのセパラブルフラスコに、イソプロピルアルコール(IPA)162gを導入し、75℃に昇温後、モノマーとしてメタクリル酸メチル79gおよびメタクリル酸2−ヒドロキシエチル23g、並びに開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6.0gを、3時間かけてセパラブルフラスコ内に滴下した。滴下終了後、75℃で2時間重合を行い、その後に開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.2g(なお、この追加した開始剤は下記表1に記載の開始剤量には含まれない)をセパラブルフラスコ内に一括投入し、さらに75℃で3時間重合を行った。その後、残存開始剤を分解させ、バインダー(a)のIPA溶液を調製した。得られたIPA溶液をイオン交換水1000mLに加えてバインダー(a)を沈殿させ、沈殿物をイオン交換水で3回洗浄したのち、60℃で真空乾燥させ、バインダー(a)を得た(収率92%)。なお、使用したモノマーの種類および量および開始剤量を、下記表1に記載する。
GPC(装置:東ソー(株)製「HLC−8220」、カラム:昭和電工(株)製「shodex GPC KF−805L」、溶媒:テトラヒドロフラン、標準:ポリスチレン)により求めたバインダー(a)の重量平均分子量は13,000であった。
[バインダー(b)〜(f)の合成]
モノマーの種類および量および開始剤の量を表1に示すように変更したこと以外はバインダー(a)の合成と同様にして、バインダー(b)〜(f)を合成した。バインダー(a)と同様にして測定したバインダー(b)〜(f)の重量平均分子量を表1に示す。
<実施例1および2並びに比較例1〜5>
(1)スラリー組成物の調製
セラミック粉末として平均粒径(d50)が0.1μmであるチタン酸バリウム(堺化学工業(株)製「BT−01」)100重量部、分散剤(日油(株)製「マリアリムSC−0505K」メトキシポリエチレングリコール(エチレンオキシド11モル付加)アリルエーテルと無水マレイン酸の共重合体)1重量部、並びに分散媒としてトルエン21重量部およびエタノール21重量部を、混合用ビーズである粒径0.1mmのジルコニアビーズ(ニッカトー(株)製)100重量部と共に、ビーズミル(アイメックス(株)製「RMB−01」)で500rpmおよび5時間攪拌した後、ジルコニアビーズをろ別し、チタン酸バリウムの分散液を調製した。この分散液143重量部(チタン酸バリウム含有量100重量部)に対し、バインダー(a)〜(f)または市販のバインダー(積水化学工業(株)製「エスレックBL−2H」、ポリビニルブチラール、重量平均分子量:28,000、ブチラール化度:約70モル%)10重量部を加えた後、これらを自転公転ミキサーで1000rpmおよび3分間攪拌して、スラリー組成物を調製した。
なお、チタン酸バリウムの平均粒径は、チタン酸バリウム含有量が10重量%である分散液(分散媒:トルエン/エタノール=50/50重量%)を調製し、この分散液を動的光散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所(株)製、LB−500)で測定して求めた。
(2)グリーンシートの調製
上記(1)で得られたスラリー組成物を、70mm×70mm×2mmのガラス板に乾燥後のグリーンシートの膜厚が約0.7μmになるようにセレクトローラーOSP−1.5(松尾産業(株)製)にて塗工し、ホットプレートを用いて120℃で15分間乾燥させて、ガラス板上にグリーンシートを形成した。なお、同じ塗工条件でも、バインダーとしてポリビニルブチラール(PVB)を用いた比較例5では、そのスラリー組成物の粘度の影響のため、最終的に得られた脱バインダー処理後のグリーンシートの膜厚が他の実施例および比較例のものよりも厚くなった(表2参照)。
(3)グリーンシートの脱バインダー処理
上記(2)のグリーンシートが形成されたガラス板を電気炉(デンケン(株)製「卓上マッフル炉 KDFP90」)に入れ、窒素雰囲気下、450℃で30分加熱し、グリーンシートの脱バインダー処理を行った。
<バインダーの分解温度の測定>
上記のようにして調製したバインダー(a)〜(f)および市販のバインダー(積水化学工業(株)製「エスレックBL−2H」、ポリビニルブチラール、重量平均分子量:28,000、ブチラール化度:約70モル%)の分解温度をTG/DTA(SII社製「TG/DTA6200」)にて測定した。詳しくは、測定温度50〜500℃の条件で、バインダー約10mgを窒素雰囲気下で10℃/分で昇温し、99.5%まで重量が減少した温度を分解温度として測定した。これらの結果を表1に示す。なお、表1では、分解温度が、一般的な脱バインダー処理時の温度(450℃)よりも低いものに○と、それよりも高いものに×と記載した。
<脱バインダー処理後のグリーンシートの評価>
上記のようにして調製した脱バインダー処理後のグリーンシートの膜厚および算術平均粗さRaを、接触式表面粗さ計(Veeco(株)製「DEKTAK3st」)にて測定した。結果を表2に示す。なお、表2では、算術平均粗さRaが50nm以下であるものに○と、それよりも大きいものに×と記載した。
また、走査型電子顕微鏡(日立製作所製「SEMEDX TypeN」、観察倍率3万倍)で脱バインダー処理後のグリーンシートの表面状態を観察し、最大長0.5μm以上の空隙がないものをセラミック粒子の緻密さに優れる(○)と評価し、最大長0.5μm以上の空隙があるものを緻密さに劣る(×)と評価した。結果を表2に示す。
Figure 0006337628
Figure 0006337628
表1に示すように、バインダー(a)および(b)(即ち、本発明の要件を満たすヒドロキシ基を有するメタクリレート共重合体)は、一般的な脱バインダー処理時の温度(450℃)よりも低い温度で分解する。一方、バインダー(d)および(f)(即ち、本発明の要件を満たさないメタクリレート共重合体)並びに従来のバインダーであるポリビニルブチラールは、一般的な脱バインダー処理時の温度(450℃)で分解しなかった。
また、表2に示すように、バインダー(a)および(b)(即ち、本発明の要件を満たすヒドロキシ基を有するメタクリレート共重合体)を用いる実施例1および2のスラリー組成物から、脱バインダー処理後に、平滑性およびセラミック粒子の緻密さに優れたグリーンシートが得られた。一方、バインダー(c)(即ち、高分子量のメタクリレート共重合体)を使用する比較例1のスラリー組成物は塗工できず、グリーンシートを形成できなかった。また、バインダー(d)(即ち、カルボキシ基を有するメタクリレート共重合体)またはポリビニルブチラールを用いる比較例2および5のスラリー組成物からは、脱バインダー処理後に、平滑性に劣るグリーンシートが得られた。また、バインダー(e)(即ち、エポキシ基を有するメタクリレート共重合体)、バインダー(f)(即ち、アミノ基を有するメタクリレート共重合体)またはポリビニルブチラールを用いる比較例3〜5のスラリー組成物からは、脱バインダー処理後に、セラミック粒子の緻密さに劣るグリーンシートが得られた。
本発明のスラリー組成物は、脱バインダー処理でのバインダーの燃え残りが少なく、且つ脱バインダー処理後に平滑性およびセラミック粒子の緻密さに優れたセラミックグリーンシートを形成することができるため、積層セラミックコンデンサの製造に有用である。

Claims (5)

  1. 分散媒、平均粒径が0.01〜0.5μmであるセラミック粉末、およびバインダーを含み、
    バインダーが、下記式(1)で表される構成単位60〜90モル%および下記式(2)で表される構成単位10〜40モル%を有し、重量平均分子量が5,000〜80,000である(メタ)アクリレート共重合体からなる、
    積層セラミックコンデンサ製造用スラリー組成物。
    Figure 0006337628
    (式中、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子またはメチル基であり、Rは、炭素数1〜12のアルキル基である。)
  2. バインダーの含有量が、セラミック粉末100重量部に対して1〜15重量部である請求項1に記載のスラリー組成物。
  3. 分散媒の含有量が、セラミック粉末100重量部に対して10〜70重量部である請求項1または2に記載のスラリー組成物。
  4. セラミック粉末が、チタン酸バリウムである請求項1〜3のいずれか一項に記載のスラリー組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のスラリー組成物を用いて製造されるセラミックコンデンサ製造用セラミックグリーンシート。
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