JP7258080B2 - ポリアミド系多層フィルム - Google Patents
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Description
しかしながら、EVOHは、低湿度下では良好なガスバリア性を示すが、高湿度下ではガスバリア性が低下し、また熱水に晒されると白化してしまう可能性ある。そのため、高温でのボイル処理やレトルト処理を行う食品の包装材として、EVOH層を有するポリアミド系多層フィルムを用いる場合には、白化による外観不良を起こさないよう工夫が必要となる。
特許文献1は、EVOHとポリアミド系樹脂あるいはポリエステル系樹脂からなる組成物を中間層とし、高透湿性樹脂(例えばポリアミド)を外層に、低透湿性樹脂(例えばポリプロピレン)を内層とする多層包装体(多層フィルム)について記載し、これによりレトルト処理によるEVOHの白化を改善することを示している。特許文献2は、特許文献1に記載の中間層をジルコニウム化合物で処理する多層包装体(多層フィルム)について記載し、これにより内容物が水・油からなる場合でもレトルト処理によるEVOHの白化を改善することを示している。
[2]さらに接着性樹脂層(D層)を有する、上記[1]に記載のポリアミド系多層フィルム。
[3]前記A層の厚みが、0.5~12μmの範囲内である、上記[1]または[2]に記載のポリアミド系多層フィルム。
[4]前記A層を挟んで前記C層と対向する側の面に、更にシーラント層を有する、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載のポリアミド系多層フィルム。
1 本発明フィルムについて
本発明のポリアミド系多層フィルム(以下、「本発明フィルム」という)は、EVOH樹脂層(A層)とポリアミド系樹脂層(B層)とを有し、加えて、シーラント層が積層されるものである場合には、少なくとも前記A層を挟んで当該シーラント層と対向する側の面に、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、および変性ポリオレフィン系樹脂からなる群から選択される少なくとも一つの樹脂から主としてなる追加樹脂層(C層)を有し、シーラント層が積層されないものである場合には、前記A層を挟んで両側の面に前記C層を有することを特徴とする。
EVOH樹脂層(A層)は、EVOHから主としてなる樹脂層である。EVOH樹脂層は、本発明フィルムの中間層ということができ、通常は一層のみであるが、複数層有することを妨げるものではない。
ポリアミド系樹脂層(B層)は、ポリアミド系樹脂から主としてなる樹脂層である。かかるポリアミド系樹脂としては、例えば、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、非晶質ポリアミド、ポリアミドエラストマーを挙げることができるが、本発明に係るポリアミド系樹脂層(B層)は、通常、脂肪族ポリアミドを必須成分とし、必要に応じて芳香族ポリアミド、非晶質ポリアミド、ポリアミドエラストマー等を含有してもよいものである。
ポリアミドエラストマーとしては、例えば、ポリエーテルエステルアミドを挙げることができる。
追加樹脂層(C層)は、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、および変性ポリオレフィン系樹脂からなる群から選択される少なくとも一つの樹脂から主としてなる樹脂層である。これらの単独樹脂層であっても混合樹脂層であってもよい。
本発明に係るポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレートを挙げることができる。これらは1種であっても、2種以上の併用であってもよい。また、必要に応じポリエステル系樹脂と相溶性のある他の樹脂を含有していてもよいが、C層の質量に対しポリエステル系樹脂が50質量%以上であることが好ましい。
本発明に係るポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体またはプロピレンとそれ以外のα-オレフィンとの共重合体である。かかるプロピレン以外のα-オレフィンとしては、例えば、炭素数2~20のプロピレン以外のα-オレフィンを挙げることができ、具体的には、例えば、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、3-メチル-1-ブテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-エチル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2-エチル-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレンが挙げられる。この中、炭素数2~4の、例えば、エチレン、ブテンが好ましく、エチレンがより好ましい。これらプロピレン以外のα-オレフィンは、1種であっても、2種以上の併用であってもよい。
本発明に係るポリエチレン系樹脂は、エチレン単独重合体またはエチレンを主成分とする共重合体である。具体的には、例えば、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンを挙げることができる。
本発明に係る環状オレフィン系樹脂としては、具体的には、(a)エチレンまたはプロピレンと環状オレフィン(例えばノルボルネン及びその誘導体やテトラシクロドデセン及びその誘導体など)とのランダム共重合体、(b)該環状オレフィンの開環重合体またはその共重合体、(c)前記(b)の重合体の水素添加物重合体、(d)不飽和カルボン酸及びその誘導体等による前記(a)~(c)のグラフト変性物などを挙げることができる。
本発明に係る変性オレフィン系樹脂は、不飽和カルボン酸、その無水物または誘導体がグラフト共重合したポリオレフィン系樹脂である。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリプロピレンまたはポリエチレンを挙げることができる。
本発明フィルムは、A層~C層以外に必要に応じて他の重合体樹脂層、例えば、接着性樹脂層(D層)を有することができる。
前記「1.3.5」の項で述べたものと同じものを挙げることができる。
本発明に係る変性ポリエステル系エラストマーは、ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを含有する飽和ポリエステル系熱可塑性エラストマーが、不飽和カルボン酸またはその誘導体により変性されたものである。具体的には、ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントの含有率が58~73質量%である飽和ポリエステル系熱可塑性エラストマーを、ラジカル発生剤の存在下、不飽和カルボン酸またはその誘導体により変性処理して得られる変性ポリエステル系エラストマーである。不飽和カルボン酸またはその誘導体のグラフト反応および末端付加反応により反応性基が導入されるため、多種の樹脂との化学結合性、水素結合性が向上する。
本発明に係る変性スチレン系エラストマーは、カルボキシル基含有スチレン系エラストマーであり、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレンプロピレンブロック共重合体、スチレン-エチレンプロピレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレンブチレン-スチレンブロック共重合体からなる群より選択される少なくとも1つのスチレン系エラストマーを、不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸無水物で変性したものである。具体的には、例えば、旭化成社製タフテックMシリーズ、クレイトンポリマー社製クレイトンFGシリーズを挙げることができる。
1.5.1 本発明フィルムの厚み
本発明フィルムの総厚みは、各層の構成や各層の成分などにより異なるが、通常、9~50μm程度の範囲内であり、12~40μm程度の範囲内が好ましい。
本発明フィルムは、例えば、次のような積層構造を形成することができる。
・C層/(D層/)A層/B層
・C層/(D層/)B層/A層/B層/(D層/)C層
・C層/(D層/)B層/A層/B層
・B層/C層/(D層/)A層/B層
・B層/C層/(D層/)A層/C層/(D層/)B層
・B層/C層/(D層/)B層/A層/B層
・C層/(D層/)B層/A層/B層
本発明フィルム中には、本発明の効果を阻害しない範囲で、種々の添加剤を適当量配合することができる。かかる添加剤としては、酸化防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、充填剤、抗菌剤等を添加することも可能である。いくつかの添加剤の具体例は次の通りである。
本発明フィルムは、特に制限なく公知の方法により製造することができる。具体的には、例えば、各層を構成する樹脂を所望の順序になるように、Tダイスより冷却水が循環するチルロール上に共押出せしめることによりフラット状の多層フィルムを得る。得られたフィルムは、例えば50~100℃のロール延伸機により2~4倍に縦延伸し、更に90~150℃の雰囲気のテンター延伸機により2~5倍に横延伸せしめ、引き続いて同テンターにより100~240℃雰囲気中で熱処理して本発明フィルムを得ることができる。本発明フィルムは一軸延伸または二軸延伸(同時二軸延伸、逐次二軸延伸)してもよく、得られた多層フィルムは、必要ならばその両表面又は片表面にコロナ放電処理を施すこともできる。
次に、本発明フィルムから製造される包装用袋(以下、「本発明包装用袋」という)について詳述する。本発明フィルムは包装用フィルムの製造に好適に用いることができる。
・ポリエステル:ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.71dl/g)
・EVOH:エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物(DC3203、日本合成化学社製)
・ナイロン:ナイロン6(96質量%硫酸中の相対粘度が3.5)
・接着1:変性ポリエステル系エラストマー(プリマロイIF203、三菱化学社製)
・接着2:無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(アドマーQF580、三井化学社製)
・変性PO:無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(アドマーNF556、三井化学社製)
・PP:プロピレン単独重合体(比重900kg/m3、MFR=3g/10分)
・PE:直鎖状低密度ポリエチレン(比重925kg/m3、MFR=2g/10分)
・環状PO:環状オレフィンコポリマー(比重1010kg/m3、MFR=32g/10分)
・CPP40:無延伸ポリプロピレンフィルム(パイレンフィルムCT-P1128、厚さ40μm、東洋紡績社製)
各層を構成する、ポリエステル樹脂(C層)、EVOH樹脂(A層)、ナイロン樹脂(B層)、および接着樹脂(D層)をそれぞれ溶融押出し、C層/D層/A層/B層の順序になるように、Tダイスより冷却水が循環するチルロール上に共押出しせしめて、フラット状の4層フィルムを得た。次いでこの4層フィルムを、65℃のロール延伸機により2.7倍に縦延伸し、次いで110℃の雰囲気のテンター延伸機により4倍に横延伸し、さらに同テンターにより210℃の雰囲気中で熱処理して厚さ15μmの4層延伸フィルム(本発明フィルム)を得た。
実施例1と同様にして、表1に示す実施例2~11、比較例1および比較例2に係る各積層構造のラミネート包材(包装用フィルム)を得た。
各ラミネート包材を40℃で48時間エージングした後、各ラミネート包材を用いて8cm×10cmの袋を作り、水50mL入れたものを評価用サンプルとした。このサンプルについて、沸騰水60分間ボイル処理を行った前後のヘイズ値の変化から白化評価を行った。ボイル処理後のヘイズ測定については、一晩常温にて乾燥した後に測定を行った。
Claims (4)
- エチレン-ビニルアルコール共重合体から主として構成されるEVOH樹脂層(A層)と、
前記A層の片面に隣接するとともに、ポリアミド系樹脂から主として構成されるポリアミド系樹脂層(B層)と、
前記A層を挟んで前記B層と反対側に配置されるとともに、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート、及びポリエチレンナフタレートの少なくとも1つから主として構成されるポリエステル系樹脂層(C層)と、
変性ポリエステル系エラストマーから主として構成され、前記A層と前記C層との間に配置される接着性樹脂層(D層)と
を備え、
前記A層の厚みは、前記C層の厚みよりも小さい、
ポリアミド系多層延伸フィルム。 - 前記A層と前記D層との間に配置されるポリアミド系樹脂層
をさらに備える、
請求項1に記載のポリアミド系多層延伸フィルム。 - ドライラミネート加工用ポリアミド系多層延伸フィルムの製造方法であって、
工程(1)ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート、及びポリエチレンナフタレートの少なくとも1つから主として構成されるポリエステル系樹脂層(C層)、変性ポリエステル系エラストマーから主として構成される接着性樹脂層(D層)、エチレン-ビニルアルコール共重合体から主として構成されるEVOH樹脂層(A層)、及びポリアミド系樹脂から主として構成されるポリアミド系樹脂層(B層)とをこの順に含んだフィルムを共押出する工程と、
工程(2)前記フィルムを二軸延伸する工程と、
をこの順で含み、
前記B層は、工程(2)の後に隣接してドライラミネート層が設けられるための層であり、
工程(1)は、工程(2)で延伸された後のフィルムにおいて、前記A層の厚みが前記C層の厚みよりも小さくなるように前記フィルムを共押出する工程である、
ドライラミネート加工用ポリアミド系多層延伸フィルムの製造方法。 - 工程(1)は、前記A層と前記D層との間に、ポリアミド系樹脂層をさらに含むように前記フィルムを共押出する工程である、
請求項3に記載のドライラミネート加工用ポリアミド系多層延伸フィルムの製造方法。
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