JP4030642B2 - ガスパック用蓋材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は主に食品等のガスパック包装において、蓋材にも成形を施すことにより再密封を可能にしたり、ボリューム感を出すことができる包装体を得るのに好適なガスパック用蓋材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、深絞り包装機にてガスパックを行なう蓋材用フィルムとしては、主に延伸フィルムを基材とするタイプが用いられていた。これは、包装適性上強い引張弾性率、耐熱性が要求されるためで、主には延伸ポリプロピレンフィルム層と蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム層とイージーピール層とをドライラミネートしたものや、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂層とポリアミド樹脂層とイージーピール層からなる共押出複合フィルムのエチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂層側にポリエチレンテレフタレート樹脂層をドライラミネートしたもの等が用いられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記蓋材は成形を行なうことができず、蓋材を成形することにより再密封を可能にしたり、ボリューム感を出したりする包材用としては使用できなかった。
【0004】
そこで、本発明は成形用蓋材フィルムとして成形性、易開封性、包装適性を兼ね備えたガスパック用蓋材を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記の目的は以下の手段によって達成される。
【0006】
すなわち、本発明は、基材と、ガスバリア層と、易開封性を有する層と、該易開封性を有する層に隣接するシール層とを有し、前記基材が、ポリ塩化ビニル樹脂、無定形ポリエチレンテレフタレート樹脂、及びスチレン系樹脂のいずれかで構成され、その厚さは100〜400μmであり、前記ガスバリア層が、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂、又はポリメタキシレンアジパミド樹脂で構成され、前記易開封性を有する層が、ポリプロピレンとエチレンプロピレンゴムとのブレンド樹脂で構成され、その厚さは28〜38μmであり、前記シール層が、直鎖状低密度ポリエチレンで構成され、底材とのイージーピール強度が100〜800gf/15mm幅であり、前記基材の外側に耐熱コーティング膜を施した複合フィルムを成形してなることを特徴とするガスパック用蓋材を提案するものであり、前記基材と、前記ガスバリア層と、前記易開封性を有する層と、前記シール層とを、この順に有することを含む。また、基材と、ガスバリア層と、底材側の低密度ポリエチレン層とのシール性及び易開封性を有する層を有し、前記基材が、ポリ塩化ビニル樹脂、無定形ポリエチレンテレフタレート樹脂、及びスチレン系樹脂のいずれかで構成され、その厚さは100〜400μmであり、前記ガスバリア層が、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂、又はポリメタキシレンアジパミド樹脂で構成され、前記底材側の低密度ポリエチレン層とのシール性及び易開封性を有する層が、直鎖状低密度ポリエチレンとポリブテン−1とのブレンド樹脂で構成され、底材とのイージーピール強度が100〜800gf/15mm幅であり、前記基材の外側に耐熱コーティング膜を施した複合フィルムを成形してなることを特徴とするガスパック用蓋材を提案するものであり、前記基材と、前記ガスバリア層と、前記底材側の低密度ポリエチレン層とのシール性及び易開封性を有する層とを、この順に有することを含む。さらに、前記基材に印刷を施した前記ガスパック用蓋材をも含む。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0008】
本発明において、成形性の点から基材は、ポリ塩化ビニル樹脂(以下、PVCという。)、無定形ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、APETという。)、スチレン系樹脂(以下、PSという。)のいずれかからなるフイルムを用いる必要がある。その厚さについて100〜400μmの範囲内のものを用いる必要があるのは、100μm未満では腰がなく開封時変形してしまう可能性があるためで、400μmを超えると成形、シールがしにくいばかりか、カット性に問題がでてくる可能性がある。ここでPVC、APET、PSとは、それらの樹脂を主成分とすることの意で、他の樹脂を改質のためにブレンドあるいは共重合されていても良い。
【0009】
ガスバリアー性樹脂としては、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化樹脂(以下、EVOHという。)メタキシレンジアミンとアジピン酸との重縮合反応により製造されるポリメタキシレンアジパミド樹脂(以下、MXD6という。)の1つ以上を用いることが必要である。配し方としては、単層フィルム、共押出フィルムを貼り合わせても良いし、基材と共押出してもかまわない。また、コーティングにより付与することも可能である。さらにMXD6については白化防止の為に6ナイロン(以下、6Nyという。)等他のナイロンとブレンドして用いてもよい。
【0010】
イージーピール層については層間剥離タイプ、凝集破壊タイプのどちらの使用も可能であるが、透明な基材を使用する場合は、層間剥離タイプの方が透明性が良好であり、好ましい。底材とのイージーピール強度は100〜800gf/15mm幅であることが必要であり、100gf/15mm幅未満では、包装体の気密性を保持することが困難となり、輸送中等に破袋してしまう可能性がでてくる。また800gf/15mm幅を超えると、開封時基材が変形してしまい、成形された形状を保持できず、再密封が不可能となる。
【0011】
本発明の成形用蓋材は底材、蓋材をフイルムから連続的にガスパックできる蓋材も成形するタイプの深絞りガスパック包装に使用されるものである為、シール時には蓋材の外層側つまり基材側からシール熱が接触加熱により加えられる。その際、シール温度によっては基材が熱板にとられ完全シールすることができなくなるが、基材の外側に1〜5μmの耐熱コーティングや10〜50μmの無延伸Nyフィルムをドライラミネートすることによりこのような熱板とられを防止することができる。耐熱コーティング剤としては、アクリル硝化綿系、塩ビアクリル系、塩素化ポリプロピレン系等が考えられるが、特に限定されない。無延伸ナイロンフィルムとしては6Ny、6−66ナイロン(以下、6−66Nyという。)、66ナイロン(以下、66Nyという。)フィルムが使用できるが、耐熱性、成形性の点から6Nyが最も好適である。Nyの厚さは10〜50μmが好ましく、10μm未満では腰がなくラミネートが困難であり、50μmを超えると成形性が悪くなり、型通りに成形することが難しくなる。
また基材に印刷することにより商品価値を高めることができる。
【0012】
本発明は深絞りガスパック包装において蓋材も成形されるタイプの包装体を得るのに好適な蓋材を提供するものであるが、その底材としては、硬質性が要求される為、PVC、APET、ポリスチレン系、ポリプロピレン(以下、PPという。)、発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン等を基材とするものにガスバリアー層、シール層を配したものが用いることができるが、特に限定されるものではない。
【0013】
また本発明の蓋材用複合フィルムはドライラミネート、共押出及び共押出とドライラミネートの組合わせで得ることができる。
【0014】
本発明でのイージーピール強度の測定方法は、実際の蓋材、底材の組合わせでは腰が硬い同士となるので、強度の測定が行ないにくい為、発明品の蓋材とシール可能なシール層を有する軟質フィルム、例えば15μm厚みの延伸ナイロンと50μm厚みの直鎖状低密度ポリエチレン(以下、LLDPEという。)のドライラミネート品と適正なシール温度にてヒートシールを行ない、15μm幅の短冊状に切り取って引張試験機を用いて引張速度200mm/分で測定を行なう。
【0015】
本発明品はガスパック用蓋材であり、内容物としては食品関係が主として考えられる為、シール層側にねり込みあるいはコーティングにて防曇性を付与しても良い。
【0016】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。
(実施例1)
下記5層の複合フィルムを共押出しにより製膜し、
EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/接着樹脂(以下、ADという。)(厚み10μm)/PP+エチレンプロピレンゴム(以下、EPRという。)(厚み38μm)
上記複合フィルムのEVOH側にPVCをドライラミネートして下記6層の総厚み270μmの複合フィルムを得た。
【0017】
PVC(厚み200μm)//EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み10μm)/PP+EPR(厚み38μm)/LLDPE(厚み2μm)
なお、ブレンド樹脂層のPPとEPRの混合量はPP80重量部に対してEPR20重量部である。
(実施例2)
下記7層の複合フィルムを共押出しにより製膜し、総厚み270μmの複合フィルムを得た。
【0018】
APET(厚み200μm)/AD(厚み10μm)/EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み10μm)/PP+EPR(厚み28μm)/LLDPE(厚み2μm)
なお、ブレンド樹脂層のPPとEPRの混合量は実施例1と同様である。
(実施例3)
下記5層の複合フィルムを共押出しにより製膜し、
EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み10μm)/PP+EPR(厚み38μm)/LLDPE(厚み2μm)
上記複合フィルムのEVOH側に厚み230μmのスチレンブタジエン共重合体(以下、St−bdという。)層をドライラミネートして総厚み300μmの複合フィルムを得た。
なお、ブレンド樹脂層のPPとEPRの混合量は実施例1と同様である。
(実施例4)
下記5層の複合フィルムを共押出しにより製膜し、
EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み10μm)/エチレン酢酸ビニル樹脂(以下、EVAという。)(厚み34μm)/LLDPE+ポリブテン−1(以下、PB−1という。)(厚み3μm)
上記複合フィルムのEVOH側に厚み3μmの耐熱コート層を共押出しにより形成したAPETをドライラミネートして総厚み270μmの下記複合フィルムを得た。
【0019】
耐熱コート層(厚み3μm)/APET(厚み200μm)//EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み10μm)/EVA(厚み34μm)/LLDPE+PB−1(厚み38μm)
なお、ブレンド樹脂層のLLDPEとPB−1の混合量はLLDPE 70重量部に対してPB−1 30重量部である。
(実施例5)
下記5層の複合フィルムを共押出しにより製膜し、
MXD6(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み10μm)/PP+EPR(厚み38μm)/LLDPE(厚み2μm)
上記複合フィルムのMXD6側にAPETと6Nyを順次ドライラミネートして総厚み290μmの下記複合フィルムを得た。
【0020】
6Ny(厚み20μm)//APET(厚み200μm)//MXD6(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み10μm)/PP+EPR(厚み38μm)/LLDPE(厚み2μm)
なお、ブレンド樹脂層のPPとEPRの混合量は実施例1と同様である。
(比較例1)
下記5層の複合フィルムを共押出しにより製膜し、
EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み10μm)/PP+EPR(厚み38μm)/LLDPE(厚み2μm)
上記複合フィルムのEVOH側に厚み80μmのPVCをドライラミネートして下記総厚み150μmの複合フィルムを得た。
【0021】
PVC(厚み80μm)//EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み10μm)/PP+EPR(厚み38μm)/LLDPE(厚み2μm)
なお、ブレンド樹脂層のPPとEPRの混合量は実施例1と同様である。
(比較例2)
下記5層の複合フィルムを共押出しにより製膜し、
EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み10μm)/PP+EPR(厚み38μm)/LLDPE(厚み2μm)
上記複合フィルムのEVOH側に厚み500μmのPVCをドライラミネートして下記総厚み570μmの複合フィルムを得た。
【0022】
PVC(厚み500μm)//EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み10μm)/PP+EPR(厚み38μm)/LLDPE(厚み2μm)
なお、ブレンド樹脂層のPPとEPRの混合量は実施例1と同様である。
(比較例3)
下記5層の複合フィルムを共押出しにより製膜し、
EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み10μm)/PP+EPR(厚み38μm)/LLDPE(厚み2μm)
上記複合フィルムのEVOH側に厚み200μmのPVCをドライラミネートして総厚み270μmの複合フィルムを得た。
なお、ブレンド樹脂層のPPとEPRの混合量はPP95重量部に対しEPR5重量部である。
(比較例4)
下記5層の複合フィルムを共押出しにより製膜し、
EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み10μm)/PP+EPR(厚み38μm)/LLDPE(厚み2μm)
上記複合フィルムのEVOH側に厚み200μmのPPをドライラミネートして下記総厚み270μmの複合フィルムを得た。
【0023】
PP(厚み200μm)//EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み10μm)/PP+EPR(厚み38μm)/LLDPE(厚み2μm)
なお、ブレンド樹脂層のPPとEPRの混合量は実施例1と同様である。
【0024】
実施例1〜5、比較例1〜4の複合フィルムを以下の評価方法により評価した。
<評価方法>
大森機械工業社深絞り包装機FV6300を用い、底材として
PVC(厚み300μm)//EVOH(厚み10μm)/Ny(厚み10μm)/AD(厚み10μm)/LDPE(厚み30μm)
からなる5層の複合フィルムを用いて深絞り成形し、前記実施例1〜5、比較例1〜4の複合フィルムを蓋材として用いカマボコをシール温度180℃でパックし評価を行なった。
・イージーピール強度
シール部を15mm幅の短冊状に切り取り、引張り試験機にて200mm/分の引張速度で引張った時の応力を測定した。
・易開封性
パック品を手で開封した時に蓋材が変形しないあるいは多少変形しても再密封に問題のないものを○印とし、パック品を開封した時に蓋材が変形し再密封できないものを×印とした。
・耐破袋性
200gのハムを充填し、5段積みにダンボールケース詰めし、0℃の雰囲気下で1.5mの高さから10回底面落下させた時に破袋しないものを○印とし、破袋のあるものを×印とした。
・成形性
適正成形温度で要求される成形が可能なものを○印とし、成形できないものを×印とした。
・シール性
蓋材の熱板とられが発生しないシール温度でシールが可能なものを○印とし、とられが発生してシールができないものを×印とした。
・カット性
深絞り包装機で打ち抜きによるカットが可能なものを○印とし、打ち抜けない場合があるものを×印とした。
【0025】
【表1】
表1の通り、基材の厚さが100〜400μmの範囲内にあり、イージーピール強度が100〜800gf/15mmの範囲内にある実施例1〜5はいずれも易開封性、耐破袋性、成形性、シール性、カット性において良好な結果が得られた。
【0026】
基材のPVCの厚みが100μm未満の比較例1は易開封性が悪く、基材のPVCの厚みが400μmを超える比較例2は成形性、シール性、カット性が不充分であり、イージーピール強度が100gf/15mm未満である比較例3は耐破袋性が悪い。また基材にPVC、APET、スチレン系シート以外のPPを設けた比較例4は成形性が不充分である。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば易開封性、耐破袋性、成形性、シール性、カット性の優れたガスパック蓋材が得られる。
【0028】
更に基材の外側に無延伸6ナイロン、6−66ナイロン、66ナイロンのいずれかまたは耐熱コーティング膜を設けることにより熱板にとられにくいという効果を有する。
Claims (5)
- 基材と、ガスバリア層と、易開封性を有する層と、該易開封性を有する層に隣接するシール層とを有し、
前記基材が、ポリ塩化ビニル樹脂、無定形ポリエチレンテレフタレート樹脂、及びスチレン系樹脂のいずれかで構成され、その厚さは100〜400μmであり、
前記ガスバリア層が、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂、又はポリメタキシレンアジパミド樹脂で構成され、
前記易開封性を有する層が、ポリプロピレンとエチレンプロピレンゴムとのブレンド樹脂で構成され、その厚さは28〜38μmであり、
前記シール層が、直鎖状低密度ポリエチレンで構成され、
底材とのイージーピール強度が100〜800gf/15mm幅であり、
前記基材の外側に耐熱コーティング膜を施した複合フィルムを成形してなることを特徴とするガスパック用蓋材。 - 基材と、ガスバリア層と、底材側の低密度ポリエチレン層とのシール性及び易開封性を有する層を有し、
前記基材が、ポリ塩化ビニル樹脂、無定形ポリエチレンテレフタレート樹脂、及びスチレン系樹脂のいずれかで構成され、その厚さは100〜400μmであり、
前記ガスバリア層が、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂、又はポリメタキシレンアジパミド樹脂で構成され、
前記底材側の低密度ポリエチレン層とのシール性及び易開封性を有する層が、直鎖状低密度ポリエチレンとポリブテン−1とのブレンド樹脂で構成され、
底材とのイージーピール強度が100〜800gf/15mm幅であり、
前記基材の外側に耐熱コーティング膜を施した複合フィルムを成形してなることを特徴とするガスパック用蓋材。 - 前記基材と、前記ガスバリア層と、前記易開封性を有する層と、前記シール層とを、この順に有する請求項1に記載のガスパック用蓋材。
- 前記基材と、前記ガスバリア層と、前記底材側の低密度ポリエチレン層とのシール性及び易開封性を有する層とを、この順に有する請求項2に記載のガスパック用蓋材。
- 前記基材に印刷を施した請求項1〜4いずれかに記載のガスパック用蓋材。
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