JP7255836B2 - 磁性体 - Google Patents

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Description

本開示は、磁性体に関する。
例えば車載用途等、高温環境での使用が想定されるノイズフィルタや電流センサを構成するに当たっては、高温環境下でも磁気特性の低下を招きにくい耐熱性の高い磁性体が要望されている。また、鉄ニッケル合金とニッケル亜鉛フェライトとの複合化を図る技術は、既に提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。下記特許文献1には、鉄ニッケル合金を主体として、鉄ニッケル合金よりも少量のニッケル亜鉛フェライトを配合する例(具体的には、80wt%の鉄ニッケル合金に対して20wt%のニッケル亜鉛フェライトを配合する例。)が開示されている。
特開平5-251224号公報
磁性体の耐熱性を向上させる手法としては、例えば、Ni-Znフェライトの場合、Ni-Znフェライト中のNiO含有量を多くすることで飽和磁束密度(Bs)を高め、キュリー温度を上げる、という手法が知られている。また、Ni-Znフェライトに非磁性材を添加して磁気抵抗を上げることで、雰囲気温度への依存性を低下させる、という手法が知られている。
しかし、Ni-Znフェライトにおいて、単にNiO量を増大させると、フェライトの透磁率は大幅に低下する傾向がある。また、Ni-Znフェライトに非磁性材を添加しても、フェライトの透磁率は大幅に低下する傾向がある。そのため、このような磁性体でノイズフィルタを構成する場合には、透磁率が大幅に低下することも考慮して、1箇所に多数個のノイズフィルタを取り付けるような対応が必要となる。この場合、相応のスペースが無ければノイズフィルタの取り付けが困難になり、あるいは相応のスペースがある場合でもノイズフィルタに占有されるスペースが大きくなる等の弊害を招く。
本開示の一局面においては、高い耐熱性と高い透磁率とを兼ね備えた磁性体を提供することが望ましい。
本開示の一態様は、磁性体であって、90-99.5質量%フェライト粉末と0.5-10質量%のFe-Ni合金粉末とを含有する磁性体原料粉末の焼結体によって構成される。焼結体は、フェライト粉末によって海部が構成されてFe-Ni合金粉末によって島部が構成される海島構造を形成している。島部の平均粒径は、0.5μm以上50μm以下である。このように構成された磁性体によれば、磁性体となる焼結体が、上述のような磁性体原料粉末によって構成され、かつ焼結体が、上述のような海島構造を形成しているので、高い耐熱性と高い透磁率とを兼ね備えた磁性体となる。
図1Aは実施例2の磁性体の破断面のSEM画像(倍率200倍)である。図1Bは実施例2の磁性体の破断面のSEM画像(倍率500倍)である。 図2Aは実施例6の磁性体の破断面のSEM画像(倍率200倍)である。図2Bは実施例6の磁性体の破断面のSEM画像(倍率500倍)である。 図3Aは性能試験1における雰囲気温度と複素比透磁率の実数部μ'rとの関係を示すグラフである。図3Bは性能試験1における雰囲気温度と複素比透磁率の虚数部μ"rとの関係を示すグラフである。 図4Aは性能試験2における雰囲気温度と複素比透磁率の実数部μ'rとの関係を示すグラフである。図4Bは性能試験2における雰囲気温度と複素比透磁率の虚数部μ"rとの関係を示すグラフである。 図5Aは性能試験3における雰囲気温度と複素比透磁率の実数部μ'rとの関係を示すグラフである。図5Bは性能試験3における雰囲気温度と複素比透磁率の虚数部μ"rとの関係を示すグラフである。 図6Aは性能試験4における雰囲気温度と複素比透磁率の実数部μ'rとの関係を示すグラフである。図6Bは性能試験4における雰囲気温度と複素比透磁率の虚数部μ"rとの関係を示すグラフである。 図7Aは性能試験5におけるFe-Ni含有量と複素比透磁率の実数部μ'rとの関係を示すグラフ(その1)である。図7Bは性能試験5におけるFe-Ni含有量と複素比透磁率の虚数部μ"rとの関係を示すグラフ(その1)である。 図8Aは性能試験5におけるFe-Ni含有量と複素比透磁率の実数部μ'rとの関係を示すグラフ(その2)である。図8Bは性能試験5におけるFe-Ni含有量と複素比透磁率の虚数部μ"rとの関係を示すグラフ(その2)である。 図9Aは性能試験6における雰囲気温度と複素比透磁率の実数部μ'rとの関係を示すグラフである。図9Bは性能試験6における雰囲気温度と複素比透磁率の虚数部μ"rとの関係を示すグラフである。 図10Aは性能試験7における直流重畳と複素比透磁率の実数部μ'rとの関係を示すグラフである。図10Bは性能試験7における直流重畳と複素比透磁率の虚数部μ"rとの関係を示すグラフである。
次に、上述の磁性体について、例示的な実施形態を挙げて説明する。
(1)磁性体の製造方法
磁性体の製造方法について、一例を挙げて説明する。
[実施例1]
Ni-Znフェライト粉末と、Fe-Ni合金粉末とを混合することにより、磁性体原料粉末を調製する。Ni-Znフェライト粉末としては、仮焼されてフェライト化(Ni0.25Zn0.65Cu0.12Fe24)され、更に粉砕及び粒度調整が施された粉末(平均粒子径1.75μm。)を利用する。Fe-Ni合金粉末としては、Ni含有量が49.5~50.5質量%で、残部がFeとされた粉末(平均粒子径10μm。)を利用する。磁性体原料粉末におけるFe-Ni合金粉末の配合比は0.5質量%とし、残部をNi-Znフェライト粉末とする。
上述のような磁性体原料粉末100質量部に対し、更に1質量部のバインダー(本実施形態の場合はポリビニルアルコール。)を混合し、その混合物を型に入れて、400MPaの圧力をかけて加圧成形する。この成形工程によって得られる成形体を、大気雰囲気下、3℃/minの昇温速度で、1100℃まで昇温させ、1100℃で2時間保持して焼成する。この焼成工程によって得られる焼結体は、いずれもリング型コアとして利用可能な環状の磁性体であり、その外径は約18mm、内径は約9mm、軸方向高さは約3mm~4mmである。
[実施例2]
磁性体原料粉末におけるFe-Ni合金粉末の配合比を上記実施例1とは変更する。具体的には、磁性体原料粉末におけるFe-Ni合金粉末の配合比を1質量%とし、残部をNi-Znフェライト粉末とする。その他の点は上記実施例1と同様にして、環状の磁性体を得る。得られた磁性体の破断面を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;以下、SEMと略称する。)で観察した。破断面のSEM画像(倍率200倍)を図1Aに示す。また、破断面のSEM画像(倍率500倍)を図1Bに示す。
これらのSEM画像からは、焼結体が海島構造を形成していることを観察することができる。本開示において、海島構造とは、海部を形成する成分の連続相中に、閉じた界面(相と相との境界。)を有する粒子状の島部を構成する成分の非連続相が存在する構造のものをいう。図1A及び図1Bに示すSEM画像において、海部はフェライト粉末によって構成され、島部はFe-Ni合金粉末によって構成されている。換言すれば、Fe-Ni合金粉末は、例えば粉末表面が幾らか酸化されている可能性はあるものの、粉末粒子の形状を少なくともある程度は維持したまま、フェライト粉末中に含まれている状態にある。
[実施例3]
磁性体原料粉末におけるFe-Ni合金粉末の配合比を上記実施例1,2とは変更する。具体的には、磁性体原料粉末におけるFe-Ni合金粉末の配合比を3質量%とし、残部をNi-Znフェライト粉末とする。その他の点は上記実施例1と同様にして、環状の磁性体を得る。
[実施例4]
磁性体原料粉末におけるFe-Ni合金粉末の配合比を上記実施例1~3とは変更する。具体的には、磁性体原料粉末におけるFe-Ni合金粉末の配合比を5質量%とし、残部をNi-Znフェライト粉末とする。その他の点は上記実施例1と同様にして、環状の磁性体を得る。
[実施例5]
磁性体原料粉末におけるFe-Ni合金粉末の配合比を上記実施例1~4とは変更する。具体的には、磁性体原料粉末におけるFe-Ni合金粉末の配合比を7質量%とし、残部をNi-Znフェライト粉末とする。その他の点は上記実施例1と同様にして、環状の磁性体を得る。
[実施例6]
磁性体原料粉末におけるFe-Ni合金粉末の配合比を上記実施例1~5とは変更する。具体的には、磁性体原料粉末におけるFe-Ni合金粉末の配合比を10質量%とし、残部をNi-Znフェライト粉末とする。その他の点は上記実施例1と同様にして、環状の磁性体を得る。磁性体の破断面のSEM画像(倍率200倍)を図2Aに示す。また、同磁性体の破断面のSEM画像(倍率500倍)を図2Bに示す。これらのSEM画像からは、実施例2と同様に、焼結体が海島構造を形成していることを観察することができる。図2A及び図2Bに示すSEM画像においても、海部はフェライト粉末によって構成され、島部はFe-Ni合金粉末によって構成されている。
[比較例1]
実施例1において例示したNi-Znフェライト粉末のみで構成される磁性体原料粉末(すなわち、Fe-Ni合金粉末の配合比0質量%。)を用い、その他の点は上記実施例1と同様にして、環状の磁性体を得る。
[比較例2]
磁性体原料粉末におけるFe-Ni合金粉末の配合比を上記実施例1~6とは変更する。具体的には、磁性体原料粉末におけるFe-Ni合金粉末の配合比を20質量%とし、残部をNi-Znフェライト粉末とする。その他の点は上記実施例1と同様にして、環状の磁性体を得る。
[実施例7]
実施例1において例示したNi-Znフェライト粉末に代えて、Mn-Znフェライト粉末を用いる場合について検討する。具体的には、1質量%のFe-Ni合金粉末と、99質量%のMn-Znフェライト粉末とを混合することにより、磁性体原料粉末を調製する。Mn-Znフェライト粉末としては、仮焼されてフェライト化(Mn0.45Zn0.47Fe24)され、更に粉砕及び粒度調整が施された粉末(平均粒子径1.26μm。)を利用する。その他の点は上記実施例1と同様にして、環状の磁性体を得る。
[比較例3]
実施例7において例示したMn-Znフェライト粉末のみで構成される磁性体原料粉末(すなわち、Fe-Ni合金粉末の配合比0質量%。)を用い、その他の点は上記実施例7と同様にして、環状の磁性体を得る。
[比較例4]
実施例1において例示したFe-Ni合金に代えて、Fe-Ni合金以外の金属磁性材を用いる場合について検討する。具体的には、1質量%のFe-Si-Al合金粉末と、99質量%のNi-Znフェライト粉末とを混合することにより、磁性体原料粉末を調製する。その他の点は上記実施例1と同様にして、環状の磁性体を得る。
[比較例5]
Fe-Ni合金以外の金属磁性材として、Fe-Cr合金粉末を用いる場合について検討する。具体的には、1質量%のFe-Cr合金粉末と、99質量%のNi-Znフェライト粉末とを混合することにより、磁性体原料粉末を調製する。その他の点は上記実施例1と同様にして、環状の磁性体を得る。
[比較例6]
Fe-Ni合金以外の金属磁性材として、Fe-Si合金粉末を用いる場合について検討する。具体的には、1質量%のFe-Si合金粉末と、99質量%のNi-Znフェライト粉末とを混合することにより、磁性体原料粉末を調製する。その他の点は上記実施例1と同様にして、環状の磁性体を得る。
(2)性能試験
[性能試験1]
上記実施例2及び比較例1に相当する磁性体を測定対象として、JIS C 2560-2(2006)に準拠して、複素透磁率を測定した。測定には、市販のRFインピーダンス/マテリアル・アナライザ(アジレントテクノロジー社製、E4991A)を使用する。測定環境の雰囲気温度は、恒温槽(エスペック株式会社製、小型環境試験器、SU)を使用して制御する。恒温槽のチャンバー内に試料を収めた冶具を設置し、冶具とRFインピーダンス/マテリアル・アナライザをケーブルで接続する。複素透磁率を測定する際の測定条件は、測定周波数を1MHzとし、雰囲気温度は25℃,65℃,85℃,100℃,110℃,120℃,130℃及び140℃の各温度に設定する。
測定結果を図3A及び図3Bに示す。図3A及び図3Bに示す測定結果からは、測定対象とされた磁性体の複素比透磁率は、実数部μ'r及び虚数部μ"rともに、雰囲気温度110℃~140℃の温度域では、実施例2の方が比較例1よりも高い値を示すことがわかる。すなわち、フェライトにFe-Niを添加することにより、110℃~140℃の範囲で、透磁率特性が改善される。
[性能試験2]
測定周波数を150kHzに変更して、複素透磁率を測定した。測定には、市販のB-Hアナライザ(岩通計測株式会社製、SY-8218)を使用する。他の条件は、上記性能試験1と同様の条件とする。測定結果を図4A及び図4Bに示す。図4A及び図4Bに示す測定結果からは、測定対象とされた磁性体の複素比透磁率は、実数部μ'r及び虚数部μ"rともに、雰囲気温度110℃~140℃の温度域では、実施例2の方が比較例1よりも高い値を示すことがわかる。すなわち、測定周波数を150kHzに変更した場合でも、フェライトにFe-Niを添加すると、110℃~140℃の範囲で透磁率特性が改善される。
[性能試験3]
測定周波数を30MHzに変更し、それ以外は上記性能試験1と同様の条件として、複素透磁率を測定した。測定結果を図5A及び図5Bに示す。図5A及び図5Bに示す測定結果からは、測定対象とされた磁性体の複素比透磁率の実数部μ'rは、25℃~140℃の温度域全てにおいて、実施例2の方が比較例1よりも高い値を示すことがわかる。また、測定対象とされた磁性体の複素比透磁率の虚数部μ"rは、雰囲気温度100℃~140℃の温度域において、実施例2の方が比較例1よりも高い値を示すことがわかる。すなわち、測定周波数を30MHzに変更した場合でも、フェライトにFe-Niを添加すると、110℃~140℃の範囲で透磁率特性が改善される。
[性能試験4]
上記実施例2,比較例1,比較例4,比較例5及び比較例6に相当する磁性体を測定対象として、上記性能試験1と同様の条件で、複素透磁率を測定した。測定結果を図6A及び図6Bに示す。図6A及び図6Bに示す測定結果からは、測定対象とされた磁性体の複素比透磁率は、実数部μ'r及び虚数部μ"rともに、雰囲気温度110℃~140℃の温度域では、実施例2が最も高い値を示すことがわかる。この結果から、Fe-Ni以外の金属磁性材(Fe-Si-Al,Fe-Si,Fe-Cr)を添加しても、耐熱性の改善に寄与しないことがわかる。
[性能試験5]
上記実施例1~実施例6,比較例1及び比較例2に相当する磁性体を測定対象として、上記性能試験1と同様の条件で、複素透磁率を測定した。測定結果を図7A,図7B,図8A及び図8Bに示す。なお、図7Aのグラフは図8Aのグラフの一部を横軸方向へ拡大したグラフに相当する。図7Bのグラフは図8Bのグラフの一部を横軸方向へ拡大したグラフに相当する。図7A,図7B,図8A及び図8Bに示す測定結果からは、測定対象とされた磁性体の複素比透磁率の実数部μ'rは、雰囲気温度110℃~140℃の温度域では、実施例1~実施例6のいずれであっても、比較例1よりも高い値を示すことがわかる。
例えば、温度110℃の場合、実施例1~6のうちで、μ'rが最小となるのは実施例6(μ'r=357.8)、μ'rが最大となるのは実施例4(μ'r=579.9)であるが、これら実施例1~6全てが比較例1のμ'r(μ'r=202.0)を上回る。また、例えば、温度140℃の場合、実施例1~6のうちで、μ'rが最小となるのは実施例1(μ'r=3.1)、μ'rが最大となるのは実施例5(μ'r=515.5)であるが、これら実施例1~6全てが比較例1のμ'r(μ'r=1.6)を上回る。温度120℃の場合や温度130℃の場合も同様な傾向があることは図7Aに示すグラフから明らかである。
測定対象とされた磁性体の複素比透磁率の虚数部μ"rは、雰囲気温度120℃~140℃の温度域では、実施例1~実施例6のいずれであっても、比較例1よりも高い値を示すことがわかる。雰囲気温度110℃の場合、実施例1~実施例3は、比較例1よりも高い値を示すことがわかる。ただし、雰囲気温度110℃の場合、実施例4~6は、比較例1よりも低い値を示す。よって、雰囲気温度110℃前後での使用が想定される場合には、Fe-Ni合金の含有量を実施例1~実施例3に相当する程度まで抑制することが好ましい。その一方、雰囲気温度120℃以上での使用が想定される場合には、Fe-Ni合金の含有量を実施例4~実施例6に相当する程度まで高めてもよい。
Fe-Ni合金の含有量を比較例2に相当する程度まで高めると、測定対象とされた磁性体の複素比透磁率は、実数部μ'r及び虚数部μ"rともに、実施例6よりも低くなる。したがって、費用対効果まで考慮すると、コスト的な観点からFe-Ni合金の含有量の上限は実施例6程度に設定すると好ましい。
以上のように、Ni-ZnフェライトにFe-Niを添加すると、110℃~140℃の温度域で耐熱性が改善され、特に140℃の高温側に近づく用途では、Fe-Niの配合量を5質量%~10質量%程度まで増大させると効果的であることがわかる。
[性能試験6]
上記実施例7及び比較例3に相当する磁性体を測定対象として、上記性能試験1と同様の条件で、複素透磁率を測定した。測定結果を図9A及び図9Bに示す。図9A及び図9Bに示す測定結果からは、測定対象とされた磁性体の複素比透磁率は、実数部μ'r及び虚数部μ"rともに、雰囲気温度110℃~140℃の温度域において、実施例7は比較例3よりも高い値を示すことがわかる。
[性能試験7]
上記実施例2及び比較例1に相当する磁性体を測定対象として、起磁力0.001AT~300ATとなる直流を重畳し、その状態での複素透磁率を測定した。測定結果を図10A及び図10Bに示す。図10A及び図10Bに示す測定結果から、測定対象とされた磁性体の複素比透磁率の実数部μ'rは、直流重畳が3AT~50ATの範囲内にある場合に、実施例2の方が比較例1よりも高い値を示すことがわかる。測定対象とされた磁性体の複素比透磁率の虚数部μ"rは、直流重畳が1.5AT~90ATの範囲内となる場合に、実施例2の方が比較例1よりも高い値を示すことがわかる。したがって、上述のような直流重畳が想定される環境下で磁性体が使用される場合には、実施例2の磁性体を用いることにより、直流重畳に起因する透磁率の低下を抑制することができる。
(3)島部の平均粒径
良好な性能を示した実施例1から実施例6までの各磁性体を対象にして、次のような方法で島部の平均粒径を算出した。まず、SEMによって焼結体の断面を撮影する。撮影されたSEM画像において、焼結体中に存在する島部を任意に20個選択する。選択された島部の長径をそれぞれ測定する。測定された島部の長径の全てを積算して島部の個数で除す。これにより、本開示でいう島部の平均粒径が算出される。各磁性体ともに複数回にわたって異なる範囲を撮影対象として測定を繰り返し、それぞれで平均粒径を算出した。その結果、島部の平均粒径は、最小値が約0.5μm、最大値が約50μmであった。。
(4)効果
以上説明した通り、上記実施例1~実施例6として例示した磁性体によれば、比較例1に比べ、110℃~140℃程度の高温環境で使用される場合でも、透磁率の低下を抑制することができる。また、上記実施例7として例示した磁性体によれば、比較例3に比べ、110℃~140℃程度の高温環境で使用される場合でも、透磁率の低下を抑制することができる。すなわち、上記実施例1~実施例7として例示した磁性体であれば、Fe-Ni合金が配合されているので、高い耐熱性と高い透磁率とを兼ね備えた磁性体となる。
したがって、例えば、110℃~140℃程度の高温環境で使用されるノイズフィルタや電流センサを構成する際には、上記実施例1~7として例示した磁性体と同様な構成を採用することにより、磁性体が磁気飽和に至るのを抑制することができる。よって、例えば、高温環境において著しく透磁率が低下する磁性体とは異なり、多数個の磁性体を併用するような対策をしなくても済む。
(5)他の実施形態
以上、磁性体について、例示的な実施形態を挙げて説明したが、上述の実施形態は本開示の一態様として例示されるものにすぎない。すなわち、本開示は、上述の例示的な実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内において、様々な形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態では、磁性体を構成する成分について、幾つかの配合比を具体的に示したが、配合比については、磁性体の機能を損ねない範囲内で適宜変更可能である。また、成形時の加圧条件、焼成条件なども、常法に従って適宜設定可能である。
(6)補足
なお、以上説明した例示的な実施形態から明らかなように、本開示の磁性体は、更に以下に挙げるような構成を備えていてもよい。
本開示の一態様では、フェライト粉末が、Ni-Znフェライト粉末であってもよい。
本開示の一態様では、測定周波数1MHz、温度110℃の条件下で測定される複素比透磁率の実数部μ'rが357.8-579.9の範囲内となってもよい。
本開示の一態様では、測定周波数1MHz、温度140℃の条件下で測定される複素比透磁率の実数部μ'rが3.1-515.5の範囲内となってもよい。
本開示の一態様では、フェライト粉末が、Mn-Znフェライト粉末であってもよい。

Claims (5)

  1. 90-99.5質量%フェライト粉末と0.5-10質量%のFe-Ni合金粉末とを含有する磁性体原料粉末の焼結体によって構成され、
    前記焼結体は、前記フェライトの連続相によって海部が構成されて前記Fe-Ni合金の非連続相によって粒子状の島部が構成される海島構造を形成しており、
    前記島部の平均粒径が0.5μm以上50μm以下である
    磁性体。
  2. 請求項1に記載の磁性体であって、
    前記フェライト粉末が、Ni-Znフェライト粉末である
    磁性体。
  3. 請求項2に記載の磁性体であって、
    測定周波数1MHz、温度110℃の条件下で測定される複素比透磁率の実数部μ'rが357.8-579.9の範囲内となる
    磁性体。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の磁性体であって、
    測定周波数1MHz、温度140℃の条件下で測定される複素比透磁率の実数部μ'rが3.1-515.5の範囲内となる
    磁性体。
  5. 請求項1に記載の磁性体であって、
    前記フェライト粉末が、Mn-Znフェライト粉末である
    磁性体。
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