JP7247546B2 - 薄膜トランジスタの製造方法 - Google Patents

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本発明は、酸化物半導体層を有する薄膜トランジスタの製造方法に関するものである。特に、プラズマを用いてターゲットをスパッタリングして酸化物半導体層を形成する薄膜トランジスタの製造方法に関するものである。
近年、In-Ga-Zn-O系(IGZO)の酸化物半導体層をチャネル層に用いた薄膜トランジスタの開発が活発に行われている。酸化物半導体層を有する薄膜トランジスタでは、酸化物半導体層中に酸素欠損が存在するとその電気伝導度が変化し、電気的特性が劣化する恐れがある。そのため酸化物半導体層中の酸素欠損の発生を抑制するべく、種々の試みが従来行われている。
例えば特許文献1には、スパッタリングガスの全流量に対する酸素流量の割合を90%以上としてターゲットたる金属酸化物をスパッタリングすることにより、酸化物半導体層中の酸素欠損の低減する薄膜トランジスタの製造方法が開示されている。
特開2012-119672号公報
しかし、特許文献1に開示される方法は、スパッタリングガスとして高濃度の酸素ガスを含むもの用いているため、ターゲットの表面近傍に生成されるプラズマの密度が低下する。そのためスパッタ率が低下して酸化物半導体層の成膜速度が小さくなり、生産性が悪化するという問題がある。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、酸素欠損の少ない酸化物半導体層を有する薄膜トランジスタを生産性良く製造することを主たる課題とするものである。
すなわち本発明は、基板上に、ゲート電極と、ゲート絶縁層と、酸化物半導体層と、ソース電極と、ドレイン電極とを有する薄膜トランジスタの製造方法であって、プラズマを用いてターゲットをスパッタリングすることにより前記ゲート絶縁層の上に前記酸化物半導体層を形成する半導体層形成工程を含み、前記半導体層形成工程は、スパッタリングガスとしてアルゴンガスと酸素ガスの混合ガスを供給してスパッタリングすることにより、前記ターゲットの表面を酸化させるプレスパッタリング工程と、前記プレスパッタリング工程の後、前記プレスパッタリング工程で供給されるスパッタリングガス中の酸素ガス濃度よりも小さい酸素ガス濃度を有するスパッタリングガスを供給してスパッタリングすることにより前記酸化物半導体層を形成する第1成膜工程とを含むことを特徴とする。
このような製造方法であれば、プレスパッタリング工程においてターゲットの表面を過剰に酸化させることができるので、後の第1成膜工程においてターゲットを構成する材料と共にターゲット表面に含まれる過剰な酸素がスパッタリングによりはじき飛ばされて、これが成膜中の酸化物半導体層内に取り込まれることにより、酸素欠損の少ない酸化物半導体層を形成することができる。
さらに、第1成膜工程におけるスパッタリングガス中の酸素濃度をプレスパッタリング工程におけるスパッタリングガス中の酸素濃度よりも小さくすることによって、第1成膜工程におけるターゲットの表面近傍に生成されるプラズマの密度及びスパッタ率を向上させて酸化物半導体層の成膜速度を大きくすることができる。その結果、薄膜トランジスタの生産性を向上することができる。
前記第1成膜工程において、ターゲットの表面近傍に生成されるプラズマの密度及びスパッタ率をより向上させ、成膜速度をより大きくさせる観点から、前記第1成膜工程において供給されるスパッタリングガス中のアルゴンガス濃度は99.9vоl%以上であることが好ましく、99.99%以上であることがより好ましい。当該アルゴンガス濃度は高いほど好ましい。
ターゲットの表面をより酸素過剰な状態にして、第1成膜工程において形成される酸化物半導体層中の酸素欠損をより低減させる観点から、プレスパッタリング工程において供給されるスパッタリングガス中の酸素ガス濃度は5vоl%以上であることが好ましく、10vоl%以上であることがより好ましく、20vоl%以上であることがより一層好ましい。当該スパッタリングガス中の酸素ガス濃度は高いほど好ましい。
前記半導体層形成工程は、前記第1成膜工程の後に、スパッタリングガスとしてアルゴンガスと酸素ガスの混合ガスを供給してスパッタリングを行う第2成膜工程をさらに含むことが好ましい。このようなものであれば、第1成膜工程において形成した酸化物半導体層(第1半導体層)の上に層中の酸素量が大きい酸化物半導体層(第2半導体層)を形成することができるので、熱処理等の後工程において、第1半導体層からの酸素の脱離を抑制することができる。その結果、第1半導体層の酸素欠損をより低減することができ、より電気的特性に優れた薄膜トランジスタを製造することができる。
第2成膜工程において酸素欠損をより低減させる観点から、前記第2成膜工程において供給される前記混合ガス中の酸素ガス濃度が前記第1成膜工程において供給される前記混合ガス中の酸素濃度よりも大きいことが好ましい。
第2成膜工程において供給される前記混合ガス中の酸素ガス濃度が高すぎると成膜速度が低下する恐れがある。ターゲットの表面近傍に生成されるプラズマの密度を大きくして、かつ成膜速度を向上させる観点から、第2成膜工程において混合ガスにおける酸素ガスの濃度が5vоl%以下であることが好ましい。
また酸化物半導体層を形成する工程では、まず第2成膜工程を行い、その後に第1成膜工程行い、その後さらに第2成膜工程を行ってもよい。
このような構成であれば、膜中酸素量が大きい第2半導体層の間に第1半導体層を配置することができる。そのため、後工程である熱処理工程等において、第1半導体層からの酸素の脱離を抑制することができる。さらには、第2半導体層は、第1半導体層の上面側および下面側の両方から、第1半導体層に酸素を供給することができる。その結果、その結果、第1半導体層の酸素欠損を抑制することができ、より電気的特性に優れた薄膜トランジスタを製造することができる。
このように構成した本発明の製造方法によれば、酸素欠損の少ない酸化物半導体層を有する薄膜トランジスタを生産性良く製造することができる。
本実施形態の薄膜トランジスタの構成を模式的に示す縦断面図である。 同実施形態の薄膜トランジスタの製造工程を模式的に示す断面図である。 同実施形態の薄膜トランジスタの半導体層形成工程で用いられるスパッタリング装置の構成を模式的に示す図。 同実施形態の薄膜トランジスタの半導体層形成工程におけるターゲットの状態を模式的に示す図。 実施例のNо.11及びNо.12のサンプルに対する比抵抗値の測定結果を示す図。 実施例のNо.13のサンプルのドレイン電流‐ゲート電圧特性を示す図。 実施例のNо.14のサンプルのドレイン電流‐ゲート電圧特性を示す図。
以下に、本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタおよびその製造方法について説明する。
<1.薄膜トランジスタ>
まず、本発明の実施形態の製造方法により得られる薄膜トランジスタ1の構成について説明する。
本実施形態の薄膜トランジスタ1は所謂ボトムゲート型のものである。具体的には図1に示すように、基板2と、ゲート電極3と、ゲート絶縁層4と、酸化物半導体層5と、ソース電極6およびドレイン電極7と、保護膜8とを有しており、基板2側からこの順に配置(形成)されている。
基板2は光を透過できるような材料から構成されており、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、アクリル、ポリイミド等のプラスチック(合成樹脂)やガラス等によって構成されてよい。
基板2の表面にはゲート電極3が設けられている。ゲート電極3は高い導電性を有する材料から構成されており、例えばSi、Al、Mo、Cr、Ta、Ti、Pt、Au、Ag等から選択される1種以上の金属から構成されてよい。また、Al-Nd、Ag合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)、In-Ga-Zn-O(IGZO)等の金属酸化物の導電膜から構成されてよい。ゲート電極3は、これらの導電膜の単層構造又は2層以上の積層構造から構成されてもよい。
ゲート電極3の上にはゲート絶縁層4が配置されている。ゲート絶縁層4は高い絶縁性を有する材料から構成されており、例えば、SiO、SiN、SiON、Al、Y、Ta、Hf等から選択される1つ以上の酸化物を含む絶縁膜であってよい。ゲート絶縁層4は、これらの導電膜を単層構造又は2層以上の積層構造としたものであってよい。
ゲート絶縁層4の上には酸化物半導体層5が配置されている。酸化物半導体層5は、第1半導体層5aと第2半導体層5bが基板2側から順に配置された二層構造を成している。第1半導体層5aの膜厚は、第2半導体層5bの膜厚よりも大きくなるように構成されている。第1半導体層5aと第2半導体層5bはいずれも、InおよびOを含む酸化物半導体層からなり、例えば、In-Ga-Zn-O、In-Al-Mg-O、In-Al-Zn-O又はIn-Hf-Zn-O等から成ることが好ましい。
酸化物半導体層5の上には、ソース電極6およびドレイン電極7が配置されている。ソース電極6およびドレイン電極7はそれぞれ、電極として機能するように高い導電性を有する材料から構成されている。具体的には、ゲート電極2と同様の材料により構成されてもよい。
酸化物半導体5、ソース電極6およびドレイン電極7の上には、これらを保護するための保護膜8が配置されている。保護膜8は、例えばシリコン酸化膜(SiO)、シリコン窒化膜中にフッ素を含有するフッ素化シリコン窒化膜(SiN:F)等によって構成されてもよい。
<2.薄膜トランジスタの製造方法>
次に、上述した構造の薄膜トランジスタ1の製造方法を、図2を参照して説明する。
本実施形態の薄膜トランジスタ1の製造方法は、ゲート電極形成工程、ゲート絶縁層形成工程、半導体層形成工程、ソース・ドレイン電極形成工程、保護膜形成工程及び熱処理工程を含む。以下、各工程について説明する。
(1)ゲート電極形成工程
まず図2の(a)に示すように、例えば石英ガラスからなる基板2を準備し、基板2の表面にゲート電極3を形成する。ゲート電極3の形成方法は特に制限されず、例えば真空蒸着法、DCスパッタリング法等の既知の方法により形成してよい。
(2)ゲート絶縁層形成工程
次に、図2の(b)に示すように、基板2及びゲート電極3の表面を覆うようにゲート絶縁層4を形成する。ゲート絶縁層4の形成方法は特に限定されず、既知の方法により形成してよい。
(3)半導体層形成工程
次に、図2の(c)及び(d)に示すように、ゲート絶縁層4上にチャネル層としての酸化物半導体層5を形成する。半導体層形成工程は、酸化物半導体層5を成膜する前に行われるプレスパッタリング工程と、酸化物半導体層5を成膜する第1成膜工程及び第2成膜工程とを含んでいる。
なお本実施形態の半導体層形成工程は、図3に示すように、誘導結合型のプラズマPを用いてターゲットTをスパッタリングして成膜するスパッタリング装置100を用いて行われる。スパッタリング装置100は、真空排気され且つガスが導入される真空容器20と、真空容器20内において基板2を保持するための基板保持部30と、真空容器20内において基板2と対向してターゲットTを保持するターゲット保持部40と、基板保持部30に保持された基板2の表面に沿って配列され、プラズマPを発生させる複数のアンテナ50とを備える。スパッタリング装置100を使用することにより、アンテナ50に供給する高周波電圧とターゲットTのバイアス電圧との設定を独立して行うことができる。そのため、バイアス電圧をプラズマPの生成とは独立してプラズマ中のイオンをターゲットに引き込んでスパッタさせる程度の低電圧に設定することができ、そのため、スパッタリング時にターゲットTに印加する負のバイアス電圧を-1kV以上の小さな値に設定することが可能になる。プレスパッタリング工程、第1成膜工程及び第2成膜工程では、ターゲット保持部40にターゲットTを配置し、基板保持部30に基板2を配置して行われる。ターゲットTとして、酸化物半導体5の原料となるInGaZnO等の導電性酸化物焼結体が用いられる。
(3-1)プレスパッタリング工程
プレスパッタリング工程は、第1成膜工程及び第2成膜工程よりも前に行われ、ターゲットTの表面を酸化させる。この工程では、ゲート絶縁層4とターゲットTとの間にシャッターを入れた状態で、真空容器20内にスパッタリングガスを供給してスパッタリングを行う。当該工程によって、図4の(a)に示すように、ターゲットTの表面を酸素過剰な状態にすることができる。
具体的には、真空容器20を3×10-6Torr以下に真空排気した後、50sccm以上200sccm以下のスパッタリングガスを導入しつつ、真空容器20内の圧力を0.5Pa以上3.1Pa以下となるように調整する。そして複数のアンテナ50に1kW以上10kW以下の高周波電力を供給し、誘導結合型のプラズマPを生成・維持する。ターゲットTに直流電圧パルスを印加して、ターゲットTのスパッタリングを行う。ターゲットTに印加する電圧は-1kV以上の負電圧とし、好ましくは-600V以上の負電圧とする。
なお、当該工程における真空容器20内の圧力、スパッタリングガスの流量、ターゲットTに印加する電圧等は、適宜変更してもよい。
当該工程では、アルゴンガスと酸素ガスの混合ガスをスパッタリングガスとして供給する。
ここで、ターゲットTの表面をより酸素過剰な状態にして、第1成膜工程において形成される酸化物半導体層中の酸素欠損をより低減させる観点から、スパッタリングガス中の酸素ガス濃度は5vоl%以上であることが好ましい。当該酸素ガス濃度は10vоl%以上であることがより好ましく、20vоl%以上であることがより一層好ましい。当該スパッタリングガス中の酸素ガス濃度は高いほど好ましい。
ターゲットTを十分に酸素過剰な状態にして、後の第1成膜工程においてより酸素欠損の少ない第1半導体層5aを成膜させる観点から、スパッタリング時間は5分以上であることが好ましく、10分以上がより好ましい。一方、生産性を向上させる観点から、スパッタリング時間は15分以内であることが好ましい。
(3-2)第1成膜工程
プレスパッタリング工程の後、第1成膜工程を行い、図2の(c)に示すようにゲート絶縁層4上に第1半導体層5aを形成(成膜)する。図4の(b)に示すように、当該工程によって、ターゲット材料(ここではIGZO)と共に、プレスパッタリング工程によってターゲットTの表面に過剰に存在する酸素をはじき飛ばし、これが成膜中の第1半導体層5a内に取り込まれることにより、酸素欠損の少ない第1半導体層5aを形成することができる。
第1成膜工程における真空容器20内の圧力、スパッタリングガスの流量、ターゲットTに印加する電圧等の条件は、プレスパッタリング工程と同じであってよく、適宜変更してもよい。
第1成膜工程において供給されるスパッタリングガス中の酸素ガス濃度をプレスパッタリング工程において供給されるスパッタリングガス中の酸素ガス濃度以上とすると、スパッタリングにおけるプラズマ密度が低下し、成膜速度が低下して生産性が悪化する。そのため第1成膜工程では、プレスパッタリング工程で供給されるスパッタリングガス中の酸素ガス濃度よりも小さい酸素ガス濃度を有するガスをスパッタリングガスとして供給する。スパッタリング中のプラズマ密度を高くして成膜速度を大きくする観点から、スパッタリングガス中のアルゴンガス濃度が99.9vоl%以上であることが好ましく、99.99vоl%以上(すなわち、アルゴンガスのみ)であることがより好ましい。
第1成膜工程におけるスパッタリング時間は特に限られず、例えば、0.5分以上1.5分以下でよい。
(3-3)第2成膜工程
第1成膜工程の後、第2成膜工程を行い、図2の(d)に示すように第1半導体層5a上に第2半導体層5bを形成する。なお、他の実施形態において第2成膜工程は省略されてもよい。
第2成膜工程における真空容器20内の圧力、スパッタリングガスの流量、ターゲットTに印加する電圧等の条件は、プレスパッタリング工程及び第1成膜工程と同じであってよく、適宜変更してもよい。
第2成膜工程では、アルゴンガスと酸素ガスの混合ガスをスパッタリングガスとして供給してスパッタリングを行う。ここでスパッタリングガス中の酸素ガス濃度は、第1成膜工程において供給されるスパッタリングガス中の酸素ガス濃度よりも高いことが好ましい。このようにすることで、酸素量が多い第2半導体層5bを第1半導体層5aの上に形成することができる。
一方で、成膜速度を向上する観点から、混合ガスにおける酸素ガスの濃度は5vоl%以下であることが好ましい。
第1半導体層5aの酸素欠損を低減しながらも、酸化物半導体層5の平均的な成膜速度を向上し、生産性を向上させる観点から、第2成膜工程におけるスパッタリング時間は、第1成膜工程におけるスパッタリング時間よりも短いことが好ましい。
(4)ソース・ドレイン電極形成工程
次に、図2の(e)に示すように、酸化物半導体層5上にソース電極6およびドレイン電極7を形成する。ソース電極6およびドレイン電極7の形成は、例えば、DCスパッタリング等を用いた既知の方法により形成することができる。
(5)保護膜形成工程
次に、必要に応じて、図2の(f)に示すように、形成された酸化物半導体層5、ソース電極6およびドレイン電極7の上面を覆うように、例えばプラズマCVD法を用いて保護膜を形成する。
(6)熱処理工程
最後に、酸素を含む大気圧下の雰囲気中で熱処理を行う。熱処理における炉内温度は特に限定されず、例えば150℃以上300℃以下である。また熱処理時間は特に限定されず、例えば1時間以上3時間以下である。なお、本実施形態において熱処理工程を省略してもよい。
以上により、本実施形態の薄膜トランジスタ1を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
<プレスパッタリング工程及び成膜工程におけるスパッタリングガス組成による比抵抗値及び成膜速度の評価>
(サンプル作成)
上記した半導体層形成工程における方法で、IGZO膜(IGZO1114)から成る酸化物半導体層を準備した基板上に成膜し、サンプルNo.1~8を作成した。サンプルNo.1~8は、基板としてガラス基板(Corning社、Eagle-XG)を用いて作成した。サンプルNo.9及び10は、基板としてSi基板もしくは熱酸化膜付きSi基板を用いて作成した。
いずれのサンプルも、上記した図3に示すスパッタリング装置100を用いて酸化物半導体層を形成した。具体的には、真空容器20を3×10-6Torr以下に真空排気した後に、100sccmのスパッタ用ガスを導入しつつ、真空容器内2の圧力を0.9Paとなるように調整した。そして、複数のアンテナ50に7kWの高周波電力を供給し、誘導結合型のプラズマを生成及び維持した。そしてターゲットTに直流電圧パルス(50kHz、Duty97%)を印加して、ターゲットバイアス電圧を-400Vのとしてスパッタリングを行なった。
酸化物半導体層を形成する際のスパッタリング条件(プレスパッタリング工程及び第1・第2成膜工程におけるスパッタリングガス組成、スパッタリング時間、膜厚)は、表1~3に示すとおりである。成膜工程が上下2段で表記されているものは、上段が第1成膜工程の条件、下段が第2成膜工程の条件を示している。スパッタリングガスが「Ar+O(5%)」と表記されているものは、スパッタリングガスとして、ArとOの混合ガスであって、酸素ガス濃度が5vоl%のものを用いたことを表している。スパッタリングガスが「Ar」のように表記されているものは、Arガス濃度が99.9vоl%以上のスパッタリングガスを用いたことを表している。スパッタリングガスが「Ar+O(5%)」のように表記されているものは、スパッタリングガスとして、ArとOの混合ガスであって、酸素ガス濃度が5vоl%のものを用いたことを表している。
(比抵抗測定)
サンプルNo.1~8に対して、成膜した酸化物半導体層の比抵抗値を、高抵抗率計(三菱ケミカルアナリテック社製、MCP-HT800)を用いて測定した。測定結果を表1及び表2に示す。
Figure 0007247546000001
表1から分かるように、プレスパッタリング工程においてアルゴンガスと酸素ガスの混合ガスをスパッタリングガスとして供給したNo.1及び2のサンプルは、プレスパッタリング工程においてアルゴンガスのみをスパッタリングガスとして供給したNo.3及び4のサンプルよりも比抵抗値が大きくなった。スパッタリング工程においてアルゴンガスと酸素ガスの混合ガスを供給することにより、成膜工程において酸素欠損の少ない酸化物半導体層を形成して電気的特性を向上できることが確認できた。
Figure 0007247546000002
表2から分かるように、プレスパッタリング工程において供給するスパッタリングガス中の酸素ガス濃度が高いほど比抵抗値が大きくなった。これより、プレスパッタリング工程において供給するスパッタリングガス中の酸素ガス濃度が高いほど、成膜工程において酸素欠損のより少ない酸化物半導体層を形成することができ、電気的特性をより向上できることが確認できた。
(成膜速度)
サンプルNo.9及び10に対して、分光エリプソメータ(大塚電子株式会社製、FE-5000S)を用いて酸化物半導体の膜厚を測定し、その測定した膜厚と成膜時間から成膜速度を算出した。測定結果を表3に示す。
Figure 0007247546000003
表3から分かるように、プレスパッタリング工程を行ったサンプルNo.9と、プレスパッタリング工程を行わなかったNo.10とでは、成膜速度が同程度であった。すなわち、スパッタリングガスとしてアルゴンガスと酸素ガスの混合ガスを供給してプレスパッタリングを行うことによって、成膜速度は低下しないことがわかる。
<プレスパッタリング工程におけるスパッタリング時間による比抵抗値の評価>
次に、スパッタリング工程及び成膜工程の条件を表4のようにして2種類のサンプルNo.11及び12を作成した。その他の製造条件はサンプルNo.1~8と同じである。サンプルNo.11及び12を、プレスパッタリング工程のスパッタリング時間を変えてそれぞれ複数個作成し、それぞれに対して比抵抗値を測定した。その結果を図5に示す。
Figure 0007247546000004
図5に示すように、プレスパッタリング工程におけるスパッタリング時間が長いほど、成膜工程において酸素欠損のより少ない酸化物半導体層を形成することができ、電気的特性をより向上できることが確認できた。また、プレスパッタリング工程におけるスパッタリング時間が15分を超えると、電気的特性が大きく向上しないことがわかった。これより、電気的特性向上及び生産性向上の両観点から、プレスパッタリング工程におけるスパッタリング時間は5分以上15分以下が好ましいことが確認できた。
<トランジスタ特性評価>
次に、低抵抗Si基板のゲート電極の上に、SiOからなる膜厚100nmのゲート絶縁層を設け、その上にIGZO膜(IGZO1114)からなる酸化物半導体層を設け、その上に、ソース電極、ドレイン電極(Pt:20nm、Mo:80nm)を設け、2種類の薄膜トランジスタのサンプルNo.13及び14を作成した。サンプルNo.13及び14のスパッタリング工程及び成膜工程の条件は以下のとおりである(それぞれ、表3におけるNo.9、No.10の条件と同じである)。表5からわかるように、サンプルNo.14では、プレスパッタリング工程を行っていない。またいずれのサンプルも、上記した熱処理工程を行っていない。その他の製造条件は上記と同じである。
Figure 0007247546000005
サンプルNo.13及び14の薄膜トランジスタに対して、ドレイン電流‐ゲート電圧特性(I-V特性)を評価した。それぞれのサンプルのI-V特性は図6及び図7に示すとおりである。
図6に示すように、プレスパッタリング工程を行った発明例であるサンプルNo.13では、熱処理工程を行っていないにも関わらず、ゲート電圧Vが-20Vから20Vへ変化するに伴い、ドレイン電流Iが10桁以上増加しており、良好なスイッチング特性が得られた。これに対して、図7に示すように、プレスパッタリング工程及び熱処理工程を行わなかったサンプルNo.14では、ゲート電圧Vを-20Vから20Vへ変化させても、良好なスイッチング特性が得られなかった。
1 ・・・薄膜トランジスタ
2 ・・・基板
3 ・・・ゲート電極
4 ・・・ゲート絶縁層
5 ・・・酸化物半導体層
5a ・・・第1半導体層
5b ・・・第2半導体層
6 ・・・ソース電極
7 ・・・ドレイン電極
8 ・・・保護膜

Claims (6)

  1. 基板上に、ゲート電極と、ゲート絶縁層と、酸化物半導体層と、ソース電極と、ドレイン電極とを有する薄膜トランジスタの製造方法であって、
    プラズマを用いてターゲットをスパッタリングすることにより前記ゲート絶縁層の上に前記酸化物半導体層を形成する半導体層形成工程を含み、
    前記半導体層形成工程は、
    スパッタリングガスとしてアルゴンガスと酸素ガスの混合ガスを供給してスパッタリングすることにより、前記ターゲットの表面を酸化させるプレスパッタリング工程と、
    前記プレスパッタリング工程の後、前記プレスパッタリング工程で供給されるスパッタリングガス中の酸素ガス濃度よりも小さい酸素ガス濃度を有するスパッタリングガスを供給してスパッタリングすることにより前記酸化物半導体層を形成する第1成膜工程と
    を含む、薄膜トランジスタの製造方法。
  2. 前記プレスパッタリング工程において供給されるスパッタリングガス中の酸素ガス濃度が5vоl%以上である、請求項1に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  3. 前記半導体層形成工程は、前記第1成膜工程の後に、スパッタリングガスとしてアルゴンガスと酸素ガスの混合ガスを供給してスパッタリングを行う第2成膜工程をさらに含む、請求項1又は2に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  4. 前記第2成膜工程において供給される前記混合ガス中の酸素ガス濃度が前記第1成膜工程において供給される前記混合ガス中の酸素濃度よりも大きい、請求項3に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  5. 前記第2成膜工程において供給される前記混合ガス中の酸素ガス濃度が5vоl%以下である請求項4に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  6. 前記半導体層形成工程において、前記第2成膜工程を行った後に前記第1成膜工程行い、その後さらに前記第2成膜工程を行う、請求項3~5のいずれかに記載の薄膜トランジスタの製造方法。
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