JP6637783B2 - 薄膜トランジスタ - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、ドレイン電流が大きくでき、(チャネル幅W/チャネル長L)依存性がある、移動度の高い薄膜トランジスタを提供することを目的とする。
従来の薄膜トランジスタの場合、薄膜トランジスタのオン電流はチャネル長に反比例し、チャネル幅には比例する関係を示すが、高移動度アモルファス酸化物半導体を用いた場合では、特に高移動度を示す場合に、前記の関係が成り立たないことが分かった。
これに対し、本発明者らは、酸化物半導体層とソース−ドレイン電極の導体領域との接続面積を一定以上にすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1] 基板上に少なくともゲート電極、ゲート絶縁膜、酸化物半導体層、ソース−ドレイン電極、および保護膜をこの順序で有する薄膜トランジスタであって、
前記酸化物半導体層は、同一面内に半導体領域と導体領域とを有し、
前記ソース−ドレイン電極の少なくとも一部が前記導体領域と面で接続され、かつ
前記導体領域と接続された領域の面積が、薄膜トランジスタのチャネル長およびチャネル幅の積から導出されるチャネル面積の10倍以上である薄膜トランジスタ。
[2] 前記酸化物半導体層のチャネル抵抗Rchと、前記ソース−ドレイン電極と前記酸化物半導体層とのコンタクト抵抗Rctが、Rct≦0.1×Rchの関係を満たす、前記[1]に記載の薄膜トランジスタ。
[3] 前記ソース−ドレイン電極における前記酸化物半導体層との接続面が、Mo、Ti、Ta、W、Nb及びこれらの合金からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む組成である、前記[1]又は[2]に記載の薄膜トランジスタ。
[4] 前記酸化物半導体層がIn、Ga及びSnからなる群より選ばれる少なくとも1種から構成される酸化物からなる、前記[1]〜[3]のいずれか1に記載の薄膜トランジスタ。
[5] 前記酸化物半導体層は、In、Ga、Sn、及びOから構成される酸化物からなり、各金属元素の原子数比は、
0.30≦In/(In+Ga+Sn)≦0.50
0.20≦Ga/(In+Ga+Sn)≦0.30
0.25≦Sn/(In+Ga+Sn)≦0.45
の関係を満たし、かつ、前記保護膜はSiNxを含む、前記[1]〜[4]のいずれか1に記載の薄膜トランジスタ。
[6] 前記酸化物半導体層は、In、Ga、Sn、及びOから構成される酸化物からなり、InおよびGaの原子数比は、
0.60≦In/(In+Ga)≦0.75
の関係を満たし、かつ、前記保護膜はSiNxを含む、前記[1]〜[5]のいずれか1に記載の薄膜トランジスタ。
酸化物半導体層は同一面内に半導体領域と導体領域とを有し、前記導体領域と、ソース−ドレイン電極の少なくとも一部が面で接続されている。導体領域と接続された領域の面積は、薄膜トランジスタのチャネル長及びチャネル幅の積から導出されるチャネル面積の10倍以上である。
本発明における酸化物半導体層は、同一面内で半導体領域と導体領域とを形成する。導体領域を形成する手法としては、真空チャンバー内でアルゴンやハロゲン系ガスを含むプラズマを照射する方法や、レーザーの照射、酸化物半導体に含まれる金属イオンを還元する酸性の薬液処理などがある。
酸化物半導体層とオーミック接触が可能な電極として、膜厚100nmのMo電極を用い、4つの電極を等間隔で並べて、電極間距離(伝送距離)が異なる二つの電極の組み合わせで抵抗値を測定した。このとき、電極間の距離と抵抗の関係性をグラフ化すると、図3に示すように、傾きがチャネル抵抗Rch、切片がコンタクト抵抗Rctの2倍(2Rct)になるため、チャネル抵抗Rchとコンタクト抵抗Rctをそれぞれ導出することができる。
まずガラス基板上にスパッタリングを用いて、膜厚100nmの酸化物半導体層を成膜する。次に大気中350℃で1時間の熱処理を行い、プラズマCVD装置を用いてシリコン酸化膜を成膜する。そしてフォトリソグラフィによってスルーホールパターンを形成し、RIEプラズマエッチング装置にてシリコン酸化膜にスルーホールを形成する。次いで、膜厚100nmのMo電極を成膜し、フォトリソグラフィにてTLMパターンを形成し、リン硝酢酸(燐酸、硝酸、及び酢酸の混合液)によるウェットエッチングによって電極を形成する。
薄膜トランジスタの移動度を更に向上させるためには、酸化物半導体層とソース−ドレイン電極のコンタクト抵抗Rctを、酸化物半導体層のチャネル抵抗Rchに対して、1/10以下に制御することが効果的である。すなわち、チャネル抵抗Rchとコンタクト抵抗Rctとが、Rct≦0.1×Rchの関係を満たすことがより好ましい。
すなわち、酸化物半導体層はIn、Ga、Sn及びOから構成される酸化物がより好ましい。
すなわち、各金属元素の原子数比が下記関係を満たすことがより好ましい。
0.30≦In/(In+Ga+Sn)≦0.50、
0.20≦Ga/(In+Ga+Sn)≦0.30、かつ
0.25≦Sn/(In+Ga+Sn)≦0.45。
0.60≦In/(In+Ga)≦0.75
Inは電気伝導性の向上に寄与する元素である。In原子数比が大きくなるほど、即ち、金属元素に占めるIn量が多くなるほど、酸化物半導体層の導電性が向上するため電界効果移動度は増加する。
上記作用を有効に発揮させるには、上記In原子数比を0.30以上とすることが好ましく、より好ましくは0.31以上、さらに好ましくは0.35以上、よりさらに好ましくは0.40以上である。一方、In原子数比が大き過ぎると、キャリア密度が増加しすぎてしきい値電圧が負電圧に低下する場合などがある。そのため、上限は好ましくは0.50以下であり、より好ましくは0.48以下、さらに好ましくは0.45以下である。
上記作用を更に有効に発揮させるには、Ga原子数比を0.20以上とすることが好ましく、より好ましくは0.22以上、さらに好ましくは0.25以上である。一方、Ga原子数比が大き過ぎると、酸化物半導体層の導電性が低下して電界効果移動度が低下しやすくなる。よってGa原子数比は、0.30以下が好ましく、より好ましくは0.28以下である。
上記作用を更に有効に発揮させるには、Sn原子数比は0.25以上とすることが好ましく、より好ましくは0.30以上、さらに好ましくは0.31以上、よりさらに好ましくは0.35以上である。一方、Sn原子数比が大き過ぎると、酸化物半導体層の電界効果移動度が低下すると共に、酸エッチング液に対する耐性が必要以上に高まり、酸化物半導体層自体の加工が困難になる場合がある。よってSn原子数比は0.45以下が好ましく、より好ましくは0.40以下、さらに好ましくは0.38以下である。
上述の酸化物半導体層を用いた本発明に係る薄膜トランジスタは、移動度50cm2/Vsを超える高い移動度を示す。従来用いられてきたIn−Ga−Zn−O(IGZO)系酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタは移動度10cm2/Vs程度であることに鑑みると、本発明に係る薄膜トランジスタの移動度は非常に高い。
一方、該移動度の向上に伴い、ソース−ドレイン電極間に流れるドレイン電流も増加する。これは上記酸化物半導体層が、IGZO系酸化物半導体層と比べて高いキャリア濃度を有するためである。
このときにキャリア濃度の増加とチャネル抵抗の低下が生じ、同等のゲートバイアスを加えた場合であってもドレイン電流が更に増加するため、高移動度が得られる。
本発明に係る薄膜トランジスタ(TFT)の製造方法を以下に示す。
ゲート電極とゲート絶縁膜を形成した基板上に、ガス圧1〜5mTorrの範囲に制御して酸化物半導体層を形成する。ガス圧が1mTorr未満では膜密度が不十分になる。ガス圧の好ましい下限は2mTorr以上である。但し、ガス圧が5mTorrを超えると、TFTの信頼性が得られるほど十分な膜質が得られない。ガス圧の好ましい上限は4mTorr以下であり、より好ましくは3mTorr以下である。
このような移動度向上作用は、本発明に係るTFTにおいて初めて得られるものであり、例えば、前述した特許文献1などに記載のIGZO系酸化物半導体を用いたTFTでは該向上作用は見られない。
まず基板1上にゲート電極2およびゲート絶縁膜3を形成する。これらの形成方法は特に限定されず、通常用いられる方法を採用することができる。また、ゲート電極2およびゲート絶縁膜3の種類も特に限定されず、汎用されているものを用いることができる。
例えばゲート電極2として、電気抵抗率の低いAlやCuの金属、耐熱性の高いMo、Cr、Tiなどの高融点金属、又はこれらの合金を好ましく用いることができる。また、ゲート絶縁膜3としては、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜などが代表的に例示される。そのほか、Al2O3やY2O3などの酸化物や、これらを積層したものを用いることもできる。
スパッタリング法によれば、成分や膜厚の膜面内均一性に優れた薄膜を容易に形成することができる。また、塗布法などの化学的成膜法によって酸化物を形成しても良い。
酸素添加量は、半導体として動作を示すよう、前記酸化物半導体層のキャリア密度が1×1015〜1017/cm3の範囲内となるように酸素量を添加することが好ましい。最適な酸素添加量はスパッタリング装置、ターゲットの組成、薄膜トランジスタ作製プロセスなどに応じて、適切に制御すれば良い。後記する実施例では、添加流量比で100×O2/(Ar+O2)=4体積%とした。
成膜時の基板温度は、おおむね室温〜200℃の範囲内に制御することが推奨される。
成膜後の熱処理条件は、例えば、大気雰囲気下にて、おおむね、250〜400℃で10分〜3時間行うことが推奨される。上記熱処理として、例えば、後述するプレアニール処理(酸化物半導体層をウェットエッチングした後のパターニング直後に行われる熱処理)が挙げられる。
エッチストップ層9はパターニングを行い、チャネル部分にエッチストップ層を残すようにする。
SiNxを含む保護膜として、具体的には、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜などが挙げられ、これらは単独で用いても良いし、併用しても良い。また、後述する実施例に示すように上層をSiNx、下層をSiOx(シリコン酸化膜)等とした積層膜を用いても良い。
保護膜6を形成した後、前述したポストアニールを行う。すなわち、200℃以上の温度で熱処理を行う。
[実施例]
本発明に係る薄膜トランジスタを下記手順により作製した。
まずガラス基板1(コーニング社製イーグルXG、直径101.6mm×厚さ0.7mm)上に、ゲート電極2として純Mo薄膜を100nm、およびゲート絶縁膜3としてSiOx膜(膜厚250nm)を順次成膜した。上記ゲート電極2は、純Moスパッタリングターゲットを使用し、DCスパッタリング法により、成膜温度:室温、成膜パワー:300W、キャリアガス:Ar、ガス圧:2mTorrの条件で成膜した。また、ゲート絶縁膜3は、プラズマCVD法を用い、キャリアガス:SiH4とN2Oの混合ガス、成膜パワー:300W、成膜温度:350℃の条件で成膜した。
スパッタリングに使用した装置は、株式会社アルバック社製「CS−200」であり、スパッタリング条件は下記のとおりである。
基板温度:室温
成膜パワー:DC 200W
ガス圧:1mTorr
酸素分圧:100×O2/(Ar+O2)=4%
最後にポストアニール処理を行った。ポストアニール処理は、窒素雰囲気下にて250℃で30分間行った。以上の手順によりTFTを製造した。
2 ゲート電極
3 ゲート絶縁膜
4 酸化物半導体層
5 ソース−ドレイン電極
6 保護膜
8 スルーホール
9 エッチストップ層
Claims (5)
- 基板上に少なくともゲート電極、ゲート絶縁膜、酸化物半導体層、ソース−ドレイン電極、および保護膜をこの順序で有する薄膜トランジスタであって、
前記酸化物半導体層は、同一面内に半導体領域と導体領域とを有し、
前記ソース−ドレイン電極の少なくとも一部が前記導体領域と面で接続され、かつ
前記導体領域と接続された領域の面積が、薄膜トランジスタのチャネル長およびチャネル幅の積から導出されるチャネル面積の10倍以上であり、
前記酸化物半導体層のチャネル抵抗Rchと、前記ソース−ドレイン電極と前記酸化物半導体層とのコンタクト抵抗Rctが、Rct≦0.1×Rchの関係を満たし、
キャリア移動度が40cm 2 /Vs以上である薄膜トランジスタ。 - 前記ソース−ドレイン電極における前記酸化物半導体層との接続面が、Mo、Ti、Ta、W、Nb及びこれらの合金からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む組成である、請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
- 前記酸化物半導体層がIn、Ga及びSnからなる群より選ばれる少なくとも1種から構成される酸化物からなる、請求項1又は2に記載の薄膜トランジスタ。
- 前記酸化物半導体層は、In、Ga、Sn、及びOから構成される酸化物からなり、各金属元素の原子数比は、
0.30≦In/(In+Ga+Sn)≦0.50
0.20≦Ga/(In+Ga+Sn)≦0.30
0.25≦Sn/(In+Ga+Sn)≦0.45
の関係を満たし、かつ、前記保護膜はSiNxを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。 - 前記酸化物半導体層は、In、Ga、Sn、及びOから構成される酸化物からなり、InおよびGaの原子数比は、
0.60≦In/(In+Ga)≦0.75
の関係を満たし、かつ、前記保護膜はSiNxを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
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