JP7245303B2 - Fe-Pt-Ag系ターゲット及びその製造方法 - Google Patents

Fe-Pt-Ag系ターゲット及びその製造方法 Download PDF

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ここに開示された技術は、Fe-Pt-Ag系ターゲット及びその製造方法に関し、特に、磁気記録媒体のためのFe-Pt-Ag系ターゲット及びその製造方法に関する。
磁気記録媒体の記録容量増大の要求が高まっているので、磁気記録媒体の記録密度を高める方法は、関連分野における研究の主眼となっている。
一般に、垂直磁気記録(PMR)媒体は、底から上面に向かって、基板と、接着層と、軟質下部層と、シード層と、中間層と、磁気記録層と、カバー層と、潤滑層とを備え、磁気記録層は、通常、コバルト-クロム-白金系(Co-Cr-Pt系)を主成分として採用する。しかしながら、PMR媒体の発展が徐々に成熟するにつれて、Co-Cr-Pt系磁気記録層を採用するPMR媒体も、記録密度の限界に近付いている。
したがって、PMR媒体のさらなる記憶密度を追求するために、熱アシスト磁気記録(HAMR)媒体に適した磁気記憶層の形成に鉄-白金系(Fe-Pt系)が採用される。簡単に言うと、HAMRシステムにおいては、記憶中、記録ビットの磁性粒子が磁性粒子のキュリー温度を超えた温度まで加熱され、それにより、磁性粒子の保持力が一時的に低減でき、それによりデータ記録が達成される。
しかしながら、記憶層の材料は、Fe-Pt系合金によって形成されるので、規則構造を有する記録層のFe-Pt系合金を形成するために高温の焼きなましが必要になる。しかし、熱処理の後に、Fe-Pt系合金粒子は、集合して大きな粒子となり、それにより、記憶層の磁気特性を要求に合わなくさせる。したがって、記憶層の秩序化温度を低減するために、銀が従来のFe-Pt系に追加的に加えられる。
しかしながら、銀は、Fe-Pt系において容易に堆積する。そのため、銀をFe-Pt系に直接加えると、銀が多く集合した大きな領域がFe-Pt-Ag系ターゲットの金属組織において観測され、それにより、Fe-Pt-Ag系ターゲットの相対密度の不足につながる。そのうえ、Fe-Pt-Ag系ターゲットのスパッタリング中に、大量の落下粒子が生成され、磁気記録層の表面に落下し、磁気記録層の品質及び歩留まりに不利に影響を与える。さらに、Fe-Pt-Ag系ターゲットは、耐酸化性が低いので、適当でない条件下に置かれたときに変色しやすくなり、それにより、生成された記録層の次の適用が厳しく制限される。
特開2020-180365号公報
従来技術の欠点を解消するために、本発明の目的は、Fe-Pt-Ag系ターゲットの相対密度を高め、スパッタリング中の落下粒子の数を低減し、Fe-Pt-Ag系ターゲットの耐酸化性能を同時に向上させ、それにより、Fe-Pt-Ag系ターゲットのから生成される磁気記録層の品質及び歩留まりを簡単に維持及び改善できるFe-Pt-Ag系ターゲットを生成することにある。
前述の目的を達成するために、本発明は、鉄(Fe)と白金(Pt)と銀(Ag)と非磁性成分とを含むFe-Pt-Ag系ターゲットを提供する。前記Fe-Pt-Ag系ターゲットの全原子数に基づいて、Ptの含有量は、5原子%(at%)以上で且つ40at%以下であり、Agの含有量は、1at%以上で且つ15at%以下であり、前記Fe-Pt-Ag系ターゲットの硫黄(S)の含有量は、50百万分率(ppm)より小さい。前記Fe-Pt-Ag系ターゲットの金属微細組織における銀相(silver phase)の最大面積は、10μmよりも小さい。
前記Fe-Pt-Ag系ターゲットは、以下の技術的特徴を有している。(I)Ptの含有量は、5at%以上で且つ40at%であり、(II)Agの含有量は、1at%以上で且つ15at%以下であり、(III)Sの含有量は、50ppmであり、(IV)金属微細組織における銀相の最大面積は、10μmよりも小さい。この技術的特徴によれば、AgがFe-Pt-Ag系ターゲット中に均一に分散し、Agが多く集合した大きな領域が回避される。さらに、Fe-Pt-Ag系ターゲットは、相対密度だけでなく耐酸化性も改善され、スパッタリング中の落下粒子を少量しか生成しない。
本発明によれば、「銀相の最大面積」は、Fe-Pt-Ag系ターゲットの金属微細組織中に分散した複数の銀相のうち最大の銀相の個別の面積を示す。
本発明によれば、前記Fe-Pt-Ag系ターゲットの全原子数に基づいて、Feの含有量は、5at%以上で且つ85at%以下である。好ましくは、前記Fe-Pt-Ag系ターゲットの全原子数に基づいて、Feの含有量は、20at%以上で且つ85at%以下である。より好ましくは、前記Fe-Pt-Ag系ターゲットの全原子数に基づいて、Feの含有量は、25at%以上で且つ84at%以下である。
好ましくは、前記Fe-Pt-Ag系ターゲットのSの含有量は、40ppmより小さい。より好ましくは、前記Fe-Pt-Ag系ターゲットのSの含有量は、36ppmより小さい。さらに好ましくは、前記Fe-Pt-Ag系ターゲットのSの含有量は、20ppmより小さい。
一実施形態では、前記Fe-Pt-Ag系ターゲットのSの含有量は、0.1ppm以上で且つ50ppmより小さい。別の実施形態では、前記Fe-Pt-Ag系ターゲットのSの含有量は、0.1ppm以上で且つ40ppmより小さい。別の実施形態では、前記Fe-Pt-Ag系ターゲットのSの含有量は、0.1ppm以上で且つ36ppmより小さい。別の実施形態では、前記Fe-Pt-Ag系ターゲットのSの含有量は、0.1ppm以上で且つ20ppmより小さい。
好ましくは、前記Fe-Pt-Ag系ターゲットの前記金属微細組織における銀相の最大面積は、9μmよりも小さい。より好ましくは、前記Fe-Pt-Ag系ターゲットの前記金属微細組織における銀相の最大面積は、8.7μmよりも小さい。さらに好ましくは、前記Fe-Pt-Ag系ターゲットの前記金属微細組織における銀相の最大面積は、4μmよりも小さい。さらに一層好ましくは、前記Fe-Pt-Ag系ターゲットの前記金属微細組織における銀相の最大面積は、3.5μmよりも小さい。
一実施形態では、前記Fe-Pt-Ag系ターゲットの前記金属微細組織における銀相の最大面積は、0.1μm以上で且つ10μmよりも小さい。別の実施形態では、前記Fe-Pt-Ag系ターゲットの前記金属微細組織における銀相の最大面積は、0.1μm以上で且つ9μmよりも小さい。別の実施形態では、前記Fe-Pt-Ag系ターゲットの前記金属微細組織における銀相の最大面積は、0.1μm以上で且つ8.7μmよりも小さい。別の実施形態では、前記Fe-Pt-Ag系ターゲットの前記金属微細組織における銀相の最大面積は、0.1μm以上で且つ4μmよりも小さい。別の実施形態では、前記Fe-Pt-Ag系ターゲットの前記金属微細組織における銀相の最大面積は、0.1μm以上で且つ3.5μmよりも小さい。
好ましくは、前記Fe-Pt-Ag系ターゲットの全原子数に基づいて、非磁性成分の含有量は、5at%以上で且つ40at%以下である。
好ましくは、非磁性成分は、炭素(C)、カーバイド、窒化物、酸化物、及び、それらの混合物からなる群から選択され得る。前記Fe-Pt-Ag系ターゲットの全原子数に基づいて、Cの含有量は、1at%以上で且つ40at%以下であり、カーバイドの含有量は、2at%以上で且つ30at%以下であり、窒化物の含有量は、1at%以上で且つ40at%以下であり、酸化物の含有量は、1at%以上で且つ35at%以下である。より好ましくは、前記Fe-Pt-Ag系ターゲットの全原子数に基づいて、Cの含有量は、8at%以上で且つ30at%以下であり、カーバイドの含有量は、3at%以上で且つ20at%以下であり、窒化物の含有量は、2at%以上で且つ32at%以下であり、酸化物の含有量は、2at%以上で且つ30at%以下である。
一実施形態では、カーバイドは、それに限定されないが、炭化ケイ素(SiC)、炭化ホウ素(BC)、炭化チタン(TiC)、炭化タングステン(WC)、炭化タンタル(TaC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化クロム(Cr)、炭窒化チタン(TiCN)又はそれらの混合物であり得る。別の実施形態では、窒化物は、それらに限定されないが、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化チタン(TiN)、窒化クロム(CrN)、窒化ジルコニウム(ZrN)、窒化タンタル(TaN)、窒化ハフニウム(HfN)、窒化ケイ素(Si)、炭窒化チタン(TiCN)、窒化タングステン(WN)、窒化バナジウム(VN)又はそれらの混合物であり得る。別の実施形態では、酸化物は、それらには限定されないが、酸化ケイ素(IV)(SiO)、酸化チタン(IV)(TiO)、酸化クロム(III)(Cr)、酸化タンタル(V)(Ta)、酸化コバルト(II)(CoO)、酸化マンガン(III)(Mn)、酸化ホウ素(III)(B)、酸化ハフニウム(IV)(HfO)、酸化マグネシウム(II)(MgO)、酸化アルミニウム(III)(Al)、酸化ジルコニウム(IV)(ZrO)、酸化ニオブ(V)(Nb)、酸化バナジウム(V)(V)、酸化タングステン(VI)(WO)、酸化鉄(III)(Fe)、酸化亜鉛(II)(ZnO)又はそれらの混合物であり得る。
好ましくは、非磁性成分は、C、SiC、BC、TiC、WC、TaC、HfC、ZrC、VC、NbC、Cr、BN、AlN、TiN、CrN、ZrN、TaN、HfN、Si、TiCN、WN、VN、SiO、TiO、Cr、Ta、CoO、Mn、B、HfO、MgO、Al、ZrO、Nb、V、WO、Fe、ZnO又はそれらの混合物である。
好ましくは、前記Fe-Pt-Ag系ターゲットの相対密度は、98%以上である。
それに加えて、本発明は、Ptの原材料及びAgの原材料でPt-Ag予合金化原材料を製造する工程であって、Ptの前記原材料のSの含有量が50ppmより小さい工程(a)と、前記Pt-Ag予合金化原材料と、Feの原材料と、非磁性成分の原材料とを混合して混合物を得る工程(b)と、前記混合物に熱処理を施して、Fe-Pt-Ag混合原材料を得る工程(c)と、前記Fe-Pt-Ag混合原材料を焼結させてFe-Pt-Ag系ターゲットを得る工程(d)とを含むFe-Pt-Ag系ターゲットの製造方法をさらに提供する。前記Fe-Pt-Ag混合原材料の全原子数に基づいて、Ptの前記原材料の含有量は、5at%以上で且つ40at%以下であり、Agの前記原材料の含有量は、1at%以上で且つ15at%以下であり、前記Fe-Pt-Ag系ターゲットにおけるSの含有量は、50ppmよりも小さい。そのうえ、前記Fe-Pt-Ag系ターゲットの金属微細組織における銀相の最大面積は、10μmよりも小さい。
したがって、前記Fe-Pt-Ag系ターゲットの製造方法は、次の技術的手段を採用している。(1)Ptの前記原材料及びAgの前記原材料の含有量を制御すること、(2)Ptの前記原材料中のSの含有量を制御すること、(3)Pt-Ag予合金化原材料を製造すること、(4)焼結の前に熱処理を実施すること。そのため、この方法によって製造されたFe-Pt-Ag系ターゲットは、Sの含有量がより少なく、そこに含まれるAgが均一に分散して、大きな銀相の集合が防止される。一方、Fe-Pt-Ag系ターゲットは、耐酸化性と同様に相対密度が改善されるだけでなく、スパッタリング中に落下する粒子をほとんど生成しない。
Ag、Fe、又は非磁性成分の前記原材料中のSの含有量は、通常、20ppmより小さい、又は、10ppmよりも小さい一方で、Ptの前記原材料中のSの含有量は、通常、より大きいと考えられている。そのため、PtのSの含有量を前述の特定範囲である50ppmより小さく制御することによって、前記Fe-Pt-Ag系ターゲット中のSの含有量を前述の特定範囲である50ppmより小さく効果的に制御することができる。
本発明によれば、原材料を均一に混合できる任意の方法が工程(b)に採用され得る。例えば、それに限定されないが、原材料は、均一に原材料を混合するために1時間から4時間の間、高速粉砕機に入れられてもよい。
本発明によれば、工程(c)において、前記Fe-Pt-Ag混合原材料が得られた後にプリプレス工程が実施されてもよい。前記Fe-Pt-Ag混合原材料を一定の形状にプレスできる任意の方法が採用され得る。例えば、前記Fe-Pt-Ag混合原材料は、それに限定されないが、約100barから200barの圧力下でプレスするために油圧プレスに入れられてもよい。
好ましくは、前記Fe-Pt-Ag混合原材料の全原子数に基づいて、前記非磁性成分の前記原材料の含有量は、5at%以上で且つ40at%以下である。
本発明によれば、前記Fe-Pt-Ag混合原材料の全原子数に基づいて、Feの前記原材料の含有量は、5at%以上で且つ85at%以下である。好ましくは、前記Fe-Pt-Ag混合原材料の全原子数に基づいて、Feの前記原材料の含有量は、20at%以上で且つ85at%以下である。より好ましくは、前記Fe-Pt-Ag混合原材料の全原子数に基づいて、Feの前記原材料の含有量は、25at%以上で且つ84at%以下である。
好ましくは、前記非磁性成分の前記原材料は、Cの原材料、カーバイドの原材料、窒化物の原材料、酸化物の原材料、及び、それらの混合物からなる群から選択されてもよい。カーバイドの前記原材料は、それに限定されないが、SiCの原材料、BCの原材料、TiCの原材料、WCの原材料、TaCの原材料、HfCの原材料、ZrCの原材料、VCの原材料、NbCの原材料、Crの原材料、TiCNの原材料、又は、それらの混合物であり得る。窒化物の前記原材料は、それに限定されないが、BNの原材料、AlNの原材料、TiNの原材料、CrNの原材料、ZrNの原材料、TaNの原材料、HfNの原材料、Siの原材料、TiCNの原材料、WNの原材料、VNの原材料、又は、それらの混合物であり得る。酸化物の前記原材料は、それに限定されないが、SiOの原材料、TiOの原材料、Crの原材料、Taの原材料、CoOの原材料、Mnの原材料、Bの原材料、HfOの原材料、MgOの原材料、Alの原材料、ZrOの原材料、Nbの原材料、Vの原材料、WOの原材料、Feの原材料、ZnOの原材料、又は、それらの混合物であり得る。
好ましくは、前記非磁性成分の前記原材料は、Cの原材料、SiCの原材料、BCの原材料、TiCの原材料、WCの原材料、TaCの原材料、HfCの原材料、ZrCの原材料、VCの原材料、NbCの原材料、Crの原材料、BNの原材料、AlNの原材料、TiNの原材料、CrNの原材料、ZrNの原材料、TaNの原材料、HfNの原材料、Siの原材料、TiCNの原材料、WNの原材料、VNの原材料、SiOの原材料、TiOの原材料、Crの原材料、Taの原材料、CoOの原材料、Mnの原材料、Bの原材料、HfOの原材料、MgOの原材料、Alの原材料、ZrOの原材料、Nbの原材料、Vの原材料、WOの原材料、Feの原材料、ZnOの原材料、又は、それらの混合物を含んでいる。
好ましくは、工程(a)において、前記Pt-Ag予合金化原材料は、Ptの前記原材料とAgの前記原材料とで粉砕又は原子化することによって製造される。前記粉砕は、異なる金属材料の粒子をそれぞれ衝突させるための高速粉砕によって、異なる金属材料の粒子の原子が互いに拡散して、予合金化原材料を形成することを意味する。例えば、Ptの前記原材料及びAgの前記原材料は、それに限定されないが、Pt-Ag予合金化原材料を形成するために1時間から5時間の間、高速粉砕機に入れられ得る。前記原子化は、異なる金属材料が原子化の温度まで加熱された後、前記予合金化原材料を得るための原子化が行われることを意味する。例えば、Ptの前記原材料及びAgの前記原材料は、それに限定されないが、10―5barから10-4barの圧力の真空雰囲気又はアルゴン雰囲気下に置かれ、1500℃から2000℃の原子化温度で加熱された後、前記予合金化原材料を得るための原子化が行われる。
好ましくは、工程(c)では、前記熱処理は、水素雰囲気下で実施される。例えば、工程(c)では、前記混合物は、それに限定されないが、水素雰囲気を伴う環境下に置かれ、600℃から800℃で2時間から4時間加熱され、Fe-Pt-Ag混合原材料が得られる。
好ましくは、工程(d)では、焼結温度は、600℃以上で且つ1200℃以下であり、焼結圧力は、350bar以上で且つ1800bar以下である。
本発明によれば、前記焼結は、ホットプレス焼結(HP)、放電プラズマ焼結(SPS)又は熱間等方圧加圧焼結(HIP)であってもよい。例えば、前記焼結がHPによって実施される場合は、焼結温度は、それに限定されないが、800℃から1200℃の範囲であってもよく、焼結圧力は、それに限定されないが、350barから400barの範囲であってもよく、焼結時間は、それに限定されないが、1時間から4時間の範囲であってもよい。前記焼結がSPSによって実施される場合は、焼結温度は、それに限定されないが、700℃から1200℃の範囲であってもよく、焼結圧力は、それに限定されないが、1100barから1200barの範囲であってもよく、焼結時間は、それに限定されないが、5分から1時間の範囲であってもよい。前記焼結がHIPによって実施される場合は、焼結温度は、それに限定されないが、700℃から1200℃の範囲であってもよく、焼結圧力は、それに限定されないが、1700barから1800barの範囲であってもよく、焼結時間は、それに限定されないが、1時間から4時間の範囲であってもよい。
本明細書では、「下限値から上限値」と表現される範囲は、特段の断りがない場合は、該範囲は、下限値以上で且つ上限値以下であることを示す。例えば、1時間から4時間の粉砕は、粉砕時間が、「1時間以上で且つ4時間以下」であることを示す。
本発明のその他の目的、効果、及び新規な特徴は、添付図面と併せて考慮して、下記の詳細の説明からより明らかになるだろう。
図1は、実施例1のFe-Pt-Ag系ターゲットの2000倍の倍率で走査電子顕微鏡(SEM)によって得られた金属組織画像である。 図2は、比較例3のFe-Pt-Ag系ターゲットの2000倍の倍率でSEMによって得られた金属組織画像である。 図3Aは、実施例1のFe-Pt-Ag系ターゲットの外観図である。 図3Bは、実施例1のFe-Pt-Ag系ターゲットの100倍の倍率で光学顕微鏡(OM)によって得られた画像である。 図4Aは、96時間の耐酸化性実験を行った後の実施例1のFe-Pt-Ag系ターゲットの外観図である。 図4Bは、96時間の耐酸化性実験を行った後の実施例1のFe-Pt-Ag系ターゲットの100倍の倍率で光学顕微鏡(OM)によって得られた画像である。 図5Aは、比較例2のFe-Pt-Ag系ターゲットの外観図である。 図5Bは、比較例2のFe-Pt-Ag系ターゲットの100倍の倍率でOMによって得られた画像である。 図6Aは、24時間の耐酸化性実験を行った後の比較例2のFe-Pt-Ag系ターゲットの外観図である。 図6Bは、24時間の耐酸化性実験を行った後の比較例2のFe-Pt-Ag系ターゲットの100倍の倍率でOMによって得られた画像である。 図7Aは、比較例3のFe-Pt-Ag系ターゲットの外観図である。 図7Bは、比較例3のFe-Pt-Ag系ターゲットの100倍の倍率でOMによって得られた画像である。 図8Aは、13時間の耐酸化性実験を行った後の比較例3のFe-Pt-Ag系ターゲットの外観図である。 図8Bは、13時間の耐酸化性実験を行った後の比較例3のFe-Pt-Ag系ターゲットの100倍の倍率でOMによって得られた画像である。
Fe-Pt-Ag系ターゲットの構成物がFe-Pt-Ag系ターゲットの金属微細組織における銀相の最大面積に与える影響を確かめるために、いくつかのFe-Pt-Ag系ターゲットが例として以下に提供され、本発明の実施が説明される。当業者は、本明細書の内容に従って、本発明の利点及び効果を容易に実現できる。本発明の本質及び範囲から逸脱しないように本発明を実行又は提供するために様々な変更及び変化がなされ得る。
〈実施例1~15(E1~E15):Fe-Pt-Ag系ターゲット〉
表1に記載されたFe-Pt-Ag系ターゲットの構成物によれば、Pt-Ag予合金化粉末を形成するために、適量の平均粒子サイズ15ミクロン(μm)未満のPt粉末及び平均粒子サイズ20μm未満のAg粉末が採用された。種々の実施例におけるPt粉末に含まれるSの含有量が表1に記載され、種々の実施例におけるAg粉末に含まれるSの含有量は全て10ppmより小さかった。E1~E3,E5,E7~E9,E13は、Pt-Ag予合金化粉末を得るために粉砕を採用した。詳しくは、Pt粉末及びAg粉末は、高速粉砕機に入れられ、粉砕媒体と材料の比が1:3で400rpmから900rpmの回転速度で1時間から5時間、粉砕され、Pt-Ag予合金化粉末が得られた。E4,E6,E10~E12,E14,E15は、Pt-Ag予合金化粉末を得るために原子化を採用した。詳しくは、Pt粉末及びAg粉末は、1500℃から2000℃の原子化温度で原子化され、Pt-Ag予合金化粉末が得られた。
次に、表1に記載されたFe-Pt-Ag系ターゲットの構成物によれば、適量の平均粒子サイズ250μm未満のFe粉末と平均粒子サイズ10μm未満の非磁性成分粉末が採用された。採用されたFe粉末に含まれるSの含有量は、全て30ppmより小さく、採用された非磁性成分粉末に含まれるSの含有量も、全て30ppmより小さかった。そして、Fe粉末、非磁性成分粉末及びPt-Ag予合金化粉末は、高速粉砕機に入れられた後、粉砕媒体と材料の比が1:3で400rpmから900rpmの回転速度で1時間から4時間、均一に混合され、粉末混合物が得られた。その後、粉末混合物は、水素雰囲気で且つ700℃で3時間加熱され、Fe-Pt-Ag-混合粉末が得られた。
次に、Fe-Pt-Ag-混合粉末は、油圧プレスによって約103barの圧力でプリプレスされた後、焼結され、E1~E15のFe-Pt-Ag系ターゲットが得られた。焼結方法及び焼結温度は、表1に記載されている。焼結がHPによって実施された場合は、焼結圧力は380barで、焼結時間は約1時間から4時間であった。焼結がSPSによって実施された場合は、焼結圧力は1188barで、焼結時間は約5分から60分であった。焼結がHIPによって実施された場合は、焼結圧力は1750barで、焼結時間は約1時間から4時間であった。
表1では、E1~E15のFe-Pt-Ag系ターゲット(以下「ターゲット」と称する)の構成物は、一般式「aFe-bPt-cAg-d1C-d2TiCN-e1Cr-e2BC-e3SiC-e4TaC-e5NbC-e6WC-e7VC-e8TiC-f1BN-f2AlN-f3VN-f4ZrN-f5HfN-f6CrN-f7Si-g1TiO-g2MgO-g3HfO-g4SiO-g5Cr-g6CoO-g7Ta-g8WO-g9Al-g10B-g11ZrO-g12Fe-g13ZnO」によって表現することができる。ここで、「a」は、ターゲットの全原子数に対する原子百分率におけるFeの含有量を表す。「b」は、ターゲットの全原子数に対する原子百分率におけるPtの含有量を表す。「c」は、ターゲットの全原子数に対する原子百分率におけるAgの含有量を表す。「d1」は、ターゲットの全原子数に対する原子百分率におけるCの含有量を表す。「d2」は、ターゲットの全原子数に対する原子百分率におけるTiCNの含有量を表す。「e1」、「e2」、「e3」、「e4」、「e5」、「e6」、「e7」及び「e8」はそれぞれ、ターゲットの全原子数に対する原子百分率におけるCr、BC、SiC、TaC、NbC、WC、VC及びTiCの含有量を表す。「f1」、「f2」、「f3」、「f4」、「f5」、「f6」及び「f7」はそれぞれ、ターゲットの全原子数に対する原子百分率におけるBN、AlN、VN、ZrN、HfN、CrN及びSiの含有量を表す。「g1」、「g2」、「g3」、「g4」、「g5」、「g6」、「g7」、「g8」、「g9」、「g10」、「g11」、「g12」及び「g13」はそれぞれ、ターゲットの全原子数に対する原子百分率におけるTiO、MgO、HfO、SiO、Cr、CoO、Ta、WO、Al、B、ZrO、Fe及びZnOの含有量を表す。
〈比較例1及び2(CE1及びCE2):Fe-Pt-Ag系ターゲット〉
CE1及びCE2の製造方法は、実施例と同様である。つまり、表1に記載されたFe-Pt-Ag系ターゲットの構成物によれば、適量の異なる種類の粉末が採用され、Pt-Ag予合金化粉末がそれぞれ製造された。Pt-Ag予合金化粉末は、CE1では粉砕によって得られ、CE2では原子化によって得られた。その後、実施例と同様の製造工程が実行され、CE1及びCE2のFe-Pt-Ag系ターゲットが得られた。CE1及びCE2と実施例との主な違いは、CE1及びCE2では、Pt粉末に含まれるSの含有量が同時に調整されておらず、粉末混合物に加熱処理がなされていないことである。CE1及びCE2のPt粉末に含まれるSの含有量、焼結方法及び焼結温度は、表1に記載されている。
〈比較例3~12(CE3~CE12):Fe-Pt-Ag系ターゲット〉
CE3~CE12の製造方法は、CE1及びCE2と同様である。主な違いは、CE3~CE12では、Pt-Ag予合金化粉末は製造されず、その一方で、Fe粉末、Pt粉末、Ag粉末及び非磁性成分粉末は、均一に混合するために1時間から4時間、拘束粉砕機に入れられ、粉末混合物が得られた。その後、CE1及びCE2と同様の製造方法が実行され、CE3~CE12のFe-Pt-Ag系ターゲットが得られた。CE3~CE12のPt粉末に含まれるSの含有量、焼結方法及び焼結温度は、表1に記載されている。
CE1~CE12のFe-Pt-Ag系ターゲットの構成物、及び、CE1~CE12のFe-Pt-Ag系ターゲットの各成分の原子百分率での含有量は、表1に記載されている。CE1~CE12のFe-Pt-Ag系ターゲットも、実施例で示されたように一般式で表すことができ、一般式における各成分の含有量の表現は、実施例の定義と同じである。
本明細書において、「非磁性成分の含有量」は、「d1」、「d2」、「e1」~「e8」、「f1」~「f7」及び「g1」~「g13」の合計で示される。
Figure 0007245303000001
Figure 0007245303000002
〈分析1:金属微細組織における銀相の最大面積〉
E1~E15及びCE1~CE12のFe-Pt-Ag系ターゲットは、さらにワイヤカット及び研磨が施され、外径209mmで厚さ6mmのディスク形状のFe-Pt-Ag系ターゲットが得られた。その後、E1~E15及びCE1~CE12のディスク形状のFe-Pt-Ag系ターゲットのそれぞれの半径の半分の位置から10mm×10mmの試料が取り出された。
次に、試料の金属組織画像がそれぞれSEM(製造メーカー:HITACHI、モデル:SE-3400)によって2000倍の倍率で取得され、それから、「マッピング」と呼ばれる元素分布を分析するためにSEMに組み込まれた機能によって画像が分析され、各試料の金属組織画像における銀相の分布が得られた。それから、分析された各試料の金属組織画像が、「面積」と呼ばれる面積を測定するためのIamge Jという組み込まれた機能によってさらに分析され、銀相の面積の複数のデータが取得され、複数のデータのうちの最大値が採用され、Fe-Pt-Ag系ターゲットの金属微細組織における銀相の最大面積を表す。E1~E15及びCE1~CE12の最大面積の結果は、表2に記載されている。
また、実施例と比較例との違いを示すために、E1及びCE3のFe-Pt-Ag系ターゲットの金属組織画像が例示の説明のために選ばれ、図1及び図2にそれぞれ示されている。図1及び図2の結果を比較すると、E1のFe-Pt-Ag系ターゲットの金属組織画像には、Agの集合の堆積による銀相の大きな領域は、観測されない。しかしながら、CE3のFe-Pt-Ag系ターゲットの金属組織画像には、銀相の大きな領域が明らかに観測され、これは、CE3のFe-Pt-Ag系ターゲットにおいて明らかなAgの集合の堆積が発生していることを示す。
〈分析2:Fe-Pt-Ag系ターゲットのSの含有量〉
E1~E15及びCE1~CE12のFe-Pt-Ag系ターゲットは、外径210mmのディスク形状のFe-Pt-Ag系ターゲットへワイヤカットが施される。その後、ワイヤカットによって炭化した領域を取り除くために研磨が実施され、ディスク形状のFe-Pt-Ag系ターゲットを切断することによって、0.2gを超える重さのE1~E15及びCE1~CE12のFe-Pt-Ag系ターゲットの試料が得られた。その後、E1~E15及びCE1~CE12の試料が赤外線炭素硫黄分析器(製造メーカー:LECO、モデル:CS-600)に入れられ、Sの含有量が測定された。測定されたE1~E15及びCE1~CE12のSの含有量は、表2に記載されている。
〈分析3:Fe-Pt-Ag系ターゲットの相対密度〉
E1~E15及びCE1~CE12のFe-Pt-Ag系ターゲットは、さらにワイヤカット及び研磨が施され、外径209mmで厚さ6mmのディスク形状のFe-Pt-Ag系ターゲットが得られた。その後、E1~E15及びCE1~CE12のFe-Pt-Ag系ターゲットの相対密度がアルキメデスの原理によって求められ、その結果が表2に記載されている。
〈分析4:Fe-Pt-Ag系ターゲットのスパッタリング中の品質〉
E1~E15及びCE1~CE12のFe-Pt-Ag系ターゲットは、さらにワイヤカット及び研磨が施され、外径209mmで厚さ6mmのディスク形状のFe-Pt-Ag系ターゲットが得られた。それから、ターゲットは、磁気スパッタ装置(製造メーカー:Kao Duen Technology Corporation)に入れられ、磁気スパッタ装置は、50sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)でアルゴンが継続的に供給され、0.001torrから0.01torrの圧力の真空環境を有していた。その後、ターゲットは、ターゲットの表面からゴミを除去するために200Wの出力で600秒間、プレスパッタされ、スパッタリング中の品質を評価するための準備が整った清浄なターゲットが提供された。
次に、清浄なターゲットが0.001torrから0.01torrのスパッタリング環境に置かれ、50sccmでアルゴンが継続的に供給され、その後、1000Wの出力で300秒スパッタされた。スパッタリング中、0.5μmより大きな粒子サイズを有する落下粒子がKLA-Tencor Surfsacn 6420によって検出され、該サイズの落下粒子の個数が計測され、表2に記載されている。
〈分析5:Fe-Pt-Ag系ターゲットの耐酸化性能〉
E1~E15及びCE1~CE12のFe-Pt-Ag系ターゲットは、さらにワイヤカット及び研磨が施され、外径209mmで厚さ6mmのディスク形状のFe-Pt-Ag系ターゲットが得られた。それから、再びワイヤカットが施され、5cm×5cmの試料がE1~E15及びCE1~CE12のディスク形状のFe-Pt-Ag系ターゲットのそれぞれから取り出された。
次に、E1~E15及びCE1~CE12の試料は、温度60℃で相対密度90%の高温且つ高湿環境に置かれた。耐酸化性を評価するために試料の表面の外観が毎時間繰り返し視覚的に観察された。試料の表面に目立つ変色が現れ、視覚的にひとたび観察されると、開始から変色が観測されるまでの期間が「変色出現時間」として記録された。変色出現時間が長いほど、Fe-Pt-Ag系ターゲットの耐酸化性能が高く、変色出現時間が短いほど、Fe-Pt-Ag系ターゲットの耐酸化性能が低い。高温高湿でのE1~E15及びCE1~CE12の変色出現時間は、表2に記載されている。
それに加えて、酸化によって生じた、Fe-Pt-Ag系ターゲットの表面の変色状態を詳しく示すために、耐酸性実験前に、E1、CE2及びCE3のFe-Pt-Ag系ターゲットの試料の外観画像が取得され、図3A、5A及び7Aに示される。それらの試料の画像は、100倍の倍率でOMによっても取得され、図3B、5B及び7Bに示される。図3A、3B、5A、5B、7A及び7Bにおいて、耐酸化性実験前は、E1、CE2及びCE3の試料の表面は同様であり、変色は観測されていなかった。
それから、前述の耐酸化性実験に従って、E1、CE2及びCE3の試料がそれぞれ96時間、24時間及び13時間、耐酸化性実験を受け、それらの試料の表面は視覚的に観測可能な変色を示した。E1、CE2及びCE3の試料の外観画像が取得され、図4A、6A及び8Aに示され、OMによって100倍の倍率で取得された、それらの試料の画像が図4B、6B及び8Bに示される。E1の変色出現時間は、CE2及びCE3の変色出現時間よりも明らかに長かった。言い換えると、CE2及びCE3のFe-Pt-Ag系ターゲットと比較すると、E1のFe-Pt-Ag系ターゲットは、より高い耐酸化性を明らかに有している。
Figure 0007245303000003
Figure 0007245303000004
〈実験結果の検討〉
実施例の製造方法及び表2に記載された結果によれば、(1)Pt及びAgの原材料の含有量を制御すること、(2)Ptの原材料のSの含有量を制御すること、(3)Pt-Ag予合金化原材料を製造すること、(4)焼結前に熱処理を施すことという技術的手段を適用することによって、製造されたFe-Pt-Ag系ターゲットは、(I)Ptの含有量が5at%以上で且つ40at%であること、(II)Agの含有量が1at%以上で且つ15at%であること、(III)Fe-Pt-Ag系ターゲットのSの含有量が50ppm未満であること、(IV)Fe-Pt-Ag系ターゲットの金属微細組織における銀相の最大面積が10μm未満であることという技術的特徴を同時に有することができる。それに対し、CE1~CE12は、技術的手段(1)~(4)を同時に採用しておらず、そのため、製造されたFe-Pt-Ag系ターゲットは、技術的特徴(I)~(IV)のそれぞれを同時に有していない。したがって、CE1~CE12と比較すると、E1~E15のFe-Pt-Ag系ターゲットは、98%以上の相対密度、同一のスパッタリング条件で200個未満の落下粒子、及び、48時間以上の変色出現時間を有することができる。そのため、本発明によって提供される技術的手段は、相対密度を向上させ、落下粒子を減少させ、耐酸化性能を向上させるという有利な効果を同時に満たすことができる。
さらに、E1及びCE3の結果を参照すると、E1及びCE3のFe-Pt-Ag系ターゲットの構成物は同じであるが、CE3のFe-Pt-Ag系ターゲットの金属微細組織における銀相の最大面積及びSの含有量は、それぞれ10μm未満という特定範囲内及び50ppm未満という特定範囲内に制御できていない。そのため、E1の相対密度(99.14%)、落下粒子(96個)の軽減又は変色の遅い出現(96時間)は全てCE3のそれら(相対密度が95.92%、落下粒子の個数が742個、変色出現時間が13時間)よりも優れている。したがって、Fe-Pt-Ag系ターゲットの金属微細組織における銀相の最大面積及びSの含有量を特定範囲内に制御することは、実際にFe-Pt-Ag系ターゲットの相対密度を向上させ、落下粒子の個数を低減し、耐酸化性能を向上させることができる。
さらに、CE2及びCE12の結果を参照すると、CE2及びCE12のPt及びAgの含有量及び銀相の最大面積が全て特定範囲内であるのに、CE2及びCE12のFe-Pt-Ag系ターゲットのSの含有量は、それぞれ65ppm及び106ppmであり、50ppmという特定範囲内に制御できていない。そのため、CE2及びCE12において、Fe-Pt-Ag系ターゲットの相対密度は、それぞれ97.99%及び98.72%であり、落下粒子の個数は、それぞれ74個及び112個であり、変色出現時間は、それぞれ24時間及び11時間である。つまり、Fe-Pt-Ag系ターゲットのSの含有量だけが特定範囲内でないが、CE2及びCE12のFe-Pt-Ag系ターゲットは、相対密度が98%であり、落下粒子が20個未満であり、変色出現時間が48時間以上であるという効果を同時に有することはできない。
さらに、CE10の結果を参照すると、CE10のFe-Pt-Ag系ターゲットのPt、Ag及びSの含有量は、全て特定範囲内である一方、CE10の銀相の最大面積は、16.215μmであり、上限(10μm)よりも明らかに大きい。つまり、CE10のFe-Pt-Ag系ターゲットの相対密度は、97.31%であり、落下粒子の個数は、854個に及んでいる。したがって、銀相の最大面積が本発明の制限に従っていないだけなのに、CE10のFe-Pt-Ag系ターゲットは、やはり高い相対密度、少ない落下粒子、及び改良された耐酸化性能という効果を同時に有することはできない。
また、CE1及びCE2の結果をさらに参照すると、CE1及びCE2は、Pt-Ag予合金化原材料を製造するという技術的手段を採用しているけれども、CE1及びCE2は、Pt及びAgの原材料の含有量、並びに、Ptの原材料のSの含有量をさらに制御しておらず、焼結前の熱処理も実施していない。そのため、CE1及びCE2のFe-Pt-Ag系ターゲットは、やはり高い相対密度、少ない落下粒子、及び改良された耐酸化性能という効果を同時に有することはできない。
さらに、CE3~CE12の結果を参照すると、CE3~CE12は、Pt-Ag予合金化原材料を製造する、及び、焼結前に熱処理を実施するという技術的手段を採用することも、Pt及びAgの原材料の含有量並びにPtの原材料のSの含有量を制御することも行っていない。そのため、CE3~CE12は、高い相対密度、少ない落下粒子、及び改良された耐酸化性能を同時に有することはできない。
結論として、Fe-Pt-Ag系ターゲットのPt、Ag及びSの含有量、並びに、Fe-Pt-Ag系ターゲットの金属微細組織における銀相の最大面積を特定範囲内に制御することによって、Fe-Pt-Ag系ターゲットの相対密度を向上させ、スパッタリング中の落下粒子の個数を低減させ、Fe-Pt-Ag系ターゲットの耐酸化性能を向上させることが同時にできる。そのため、本発明によって提供されたFe-Pt-Ag系ターゲットは、Fe-Pt-Ag系ターゲットから形成された磁気記録層の品質及び歩留まりを改善するだけでなく、酸化によって容易に変色する問題を回避し、それにより、産業における価値を高めることができる。
本発明の多数の特質及び利点を、本発明の詳細な構造及び特徴と共に、前述の詳細な説明において説明してきたけれども、本開示は例示に過ぎない。添付の請求の範囲が表現されている、用語の広い一般的な意味によって示される本発明の原理の全範囲内で、特に寸法等の詳細において変更がなされ得る。

Claims (11)

  1. 鉄と白金と銀と非磁性成分とを含むFe-Pt-Ag系ターゲットであって、
    前記Fe-Pt-Ag系ターゲットの全原子数に基づいて、
    白金の含有量は、5原子%以上で且つ40原子%以下であり、
    銀の含有量は、1原子%以上で且つ15原子%以下であり、
    前記Fe-Pt-Ag系ターゲットの硫黄の含有量は、50ppmより小さく、
    前記Fe-Pt-Ag系ターゲットの金属微細組織における銀相の最大面積は、10μmよりも小さいFe-Pt-Ag系ターゲット。
  2. 請求項1に記載のFe-Pt-Ag系ターゲットにおいて、
    前記Fe-Pt-Ag系ターゲットの全原子数に基づいて、
    前記非磁性成分の含有量は、5原子%以上で且つ40原子%以下であるFe-Pt-Ag系ターゲット。
  3. 請求項1又は2に記載のFe-Pt-Ag系ターゲットにおいて、
    前記非磁性成分は、炭素、カーバイド、窒化物、酸化物、及び、それらの混合物からなる群から選択されるFe-Pt-Ag系ターゲット。
  4. 請求項1又は2に記載のFe-Pt-Ag系ターゲットにおいて、
    前記非磁性成分は、炭素ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化タングステン、炭化タンタル、炭化ハフニウム、炭化ジルコニウム、炭化バナジウム、炭化ニオブ、炭化クロム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化クロム、窒化ジルコニウム、窒化タンタル、窒化ハフニウム、窒化ケイ素、炭窒化チタン、窒化タングステン、窒化バナジウム、酸化ケイ素(IV)、酸化チタン(IV)、酸化クロム(III)、酸化タンタル(V)、酸化コバルト(II)、酸化マンガン(III)、酸化ホウ素(III)、酸化ハフニウム(IV)、酸化マグネシウム(II)、酸化アルミニウム(III)、酸化ジルコニウム(IV)、酸化ニオブ(V)、酸化バナジウム(V)、酸化タングステン(VI)、酸化鉄(III)、酸化亜鉛(II)又はそれらの混合物を含むFe-Pt-Ag系ターゲット。
  5. 請求項1乃至4の何れか1つに記載のFe-Pt-Ag系ターゲットにおいて、
    前記Fe-Pt-Ag系ターゲットの相対密度は、98%以上であるFe-Pt-Ag系ターゲット。
  6. Fe-Pt-Ag系ターゲットの製造方法であって、
    白金の原材料及び銀の原材料でPt-Ag予合金化原材料を製造する工程であって、白金の前記原材料の硫黄の含有量が50ppmより小さい工程(a)と、
    前記Pt-Ag予合金化原材料と、鉄の原材料と、非磁性成分の原材料とを混合して混合物を得る工程(b)と、
    前記混合物に熱処理を施して、Fe-Pt-Ag混合原材料を得る工程(c)と、
    前記Fe-Pt-Ag混合原材料を焼結させてFe-Pt-Ag系ターゲットを得る工程(d)とを含み、
    前記Fe-Pt-Ag混合原材料の全原子数に基づいて、
    白金の前記原材料の含有量は、5原子%以上で且つ40原子%以下であり、
    銀の前記原材料の含有量は、1原子%以上で且つ15原子%以下であり、
    前記Fe-Pt-Ag系ターゲットの硫黄の含有量は、50ppmより小さく、
    前記Fe-Pt-Ag系ターゲットの金属微細組織における銀相の最大面積は、10μmよりも小さいFe-Pt-Ag系ターゲットの製造方法。
  7. 請求項6に記載のFe-Pt-Ag系ターゲットの製造方法において、
    前記Fe-Pt-Ag混合原材料の全原子数に基づいて、前記非磁性成分の前記原材料の含有量は、5原子%以上で且つ40原子%以下であるFe-Pt-Ag系ターゲットの製造方法。
  8. 請求項6又は7に記載のFe-Pt-Ag系ターゲットの製造方法において、
    前記非磁性成分の前記原材料は、炭素の原材料、カーバイドの原材料、窒化物の原材料、酸化物の原材料、及び、それらの混合物からなる群から選択されるFe-Pt-Ag系ターゲットの製造方法。
  9. 請求項6乃至8の何れか1つに記載のFe-Pt-Ag系ターゲットの製造方法において、
    前記工程(a)において、前記Pt-Ag予合金化原材料は、粉砕又は原子化によって、白金の前記原材料及び銀の前記原材料で製造されるFe-Pt-Ag系ターゲットの製造方法。
  10. 請求項6乃至9の何れか1つに記載のFe-Pt-Ag系ターゲットの製造方法において、
    前記工程(c)において、前記熱処理は、水素雰囲気下で実施されるFe-Pt-Ag系ターゲットの製造方法。
  11. 請求項6乃至10の何れか1つに記載のFe-Pt-Ag系ターゲットの製造方法において、
    前記工程(d)において、
    焼結温度は、600℃以上で且つ1200℃以下であり、
    焼結圧力は、350bar以上で且つ1800bar以下であるFe-Pt-Ag系ターゲットの製造方法。
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