JP2000144305A - 薄膜形成用高純度鉄材料及びその製造方法 - Google Patents

薄膜形成用高純度鉄材料及びその製造方法

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JP2000144305A
JP2000144305A JP10321583A JP32158398A JP2000144305A JP 2000144305 A JP2000144305 A JP 2000144305A JP 10321583 A JP10321583 A JP 10321583A JP 32158398 A JP32158398 A JP 32158398A JP 2000144305 A JP2000144305 A JP 2000144305A
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Yuichiro Shindo
裕一朗 新藤
Tsuneo Suzuki
恒男 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スパッタリングの際のガス放出やパーティク
ルの発生が少なく、耐食性に優れ、しかも磁気特性も良
好な磁性薄膜形成用として最適な高純度鉄材料を提供す
ること。 【解決手段】 粗鉄原料を塩酸溶液中で溶解し塩酸濃度
1〜6Nの塩化鉄水溶液とし、該塩化鉄水溶液を酸化さ
せて陰イオン交換樹脂と接触させ不純物金属イオンを分
離した後、得られた液を蒸発乾固または濃縮した後、p
H=0〜3の高純度塩化鉄水溶液とし、さらに活性炭に
より液中の有機物を除去し、該水溶液を電解液として電
解精製により、Co,Ni,Cr各10ppm以下、炭
素20ppm以下、酸素100ppm以下、S,P各1
0ppm以下、残部鉄及び不可避不純物である薄膜形成
用高純度鉄材料を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜形成用高純度
鉄材料及びその製造方法に関する。特に、強磁性薄膜用
Ni−Fe合金スパッタリングターゲット、反強磁性膜
Mn−Fe合金スパッタリングターゲット等の原料とし
て使用することの可能な薄膜形成用高純度鉄材料に関す
る。
【0002】
【従来の技術】コンピュータ用のハードディスクなどの
磁気記録装置は、近年急速に小型大容量化が進み、数年
後にはその記録密度は20Gb/inに達すると予想
される。このため、再生ヘッドとしては従来の誘導型ヘ
ッドが限界に近づき、磁気抵抗効果型(MR)ヘッドが
用いられ始めている。磁気抵抗効果型ヘッドは、パソコ
ン市場等の拡大に伴い世界的規模で今後急成長が見込ま
れている。そして、数年のうちには、さらに高密度が期
待されている巨大磁気抵抗効果型(GMR)ヘッドが実
用化されることが現実的となってきた。GMRヘッドに
使用されるスピンバルブ膜としてFe−Ni合金、Fe
−Mn合金等が検討されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】スピンバルブ膜用の強
磁性膜としてはFe−Ni合金が、反強磁性膜としては
Fe−Mn合金等が検討されている。これらは通常、焼
結あるいは溶解によって製造される。しかし、従来のF
e−Ni、Fe−Mn合金はスパッタリングの際のガス
の放出やパーティクルの発生が多く、耐食性にも問題が
あった。また、薄膜の磁気特性も満足すべきものではな
かった。本発明は、スパッタリングの際のガス放出やパ
ーティクルの発生が少なく、耐食性に優れ、しかも磁気
特性も良好な磁性薄膜形成用として最適な高純度鉄材料
を提供することを目的とした。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに本発明者らは鋭意研究を行った結果、鉄合金中の不
純物元素、特にCo,Ni,Crや炭素及び酸素、S,
P,Clがガス放出やパーティクルの発生に悪影響を与
えており、また、これらの不純物が耐食性低下の原因で
あることを見いだした。さらに磁気特性は主に薄膜の結
晶組織に依存し、結晶が粗大な柱状晶であるほど磁気特
性が向上することを見いだした。
【0005】本発明は、この知見に基づき、 1. Co,Ni,Cr各10ppm以下、炭素20p
pm以下、酸素100ppm以下、S,P各10pm以
下、残部鉄及び不可避不純物であることを特徴とする薄
膜形成用高純度鉄材料
【0006】2. Co,Ni,Cr各1ppm以下、
炭素10ppm以下、酸素20ppm以下、S,P各5
ppm以下残部鉄及び不可避不純物であることを特徴と
する薄膜形成用高純度鉄材料
【0007】3.Si,Bが各10ppm以下であるこ
とを特徴とする上記1または2に記載の薄膜形成用高純
度鉄材料
【0008】4.アルカリ金属が各10ppm以下であ
ることを特徴とする上記1〜3に記載の薄膜形成用高純
度鉄材料
【0009】5.塩素,水素が各5ppm以下であるこ
とを特徴とする上記1〜4に記載の薄膜形成用高純度鉄
材料
【0010】6.粗鉄原料を塩酸溶液中で溶解し塩酸濃
度1〜6Nの塩化鉄水溶液とし、該塩化鉄水溶液を酸化
させて陰イオン交換樹脂と接触させ不純物金属イオンを
分離した後、得られた液を蒸発乾固または濃縮した後、
pH=0〜3の高純度塩化鉄水溶液とし、さらに活性炭
により液中の有機物を除去し、該水溶液を電解液として
電解精製により電析鉄を得ることを特徴とする薄膜形成
用高純度鉄材料の製造方法
【0011】7.電解精製において、アノードとカソー
ドを隔膜あるいは陰イオン交換膜で仕切り、かつ、高純
度塩化鉄水溶液を少なくとも間欠的にカソード側に入れ
るとともにアノライトを少なくとも間欠的に抜き出すこ
とを特徴とする上記6に記載の薄膜形成用高純度鉄材料
の製造方法
【0012】8.抜き出したアノライトの塩酸濃度を3
〜12Nとした後、陰イオン交換樹脂に接触させること
を特徴とする上記6〜7に記載の薄膜形成用高純度鉄材
料の製造方法
【0013】9.活性炭を予め酸で処理することを特徴
とする上記6〜8に記載の薄膜形成用高純度鉄材料の製
造方法
【0014】10.電析鉄をさらに脱ガス溶解すること
を特徴とする上記6〜9に記載の薄膜形成用高純度鉄材
料の製造方法を提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の薄膜形成用高純度鉄材料
は、不純物すなわち鉄以外の元素が極力低減されたもの
である。低減すべき不純物元素は、Co,Ni,Cr,
炭素,酸素,S,Pである。これらは耐食性を悪化さ
せ、パーティクル発生の原因となり、また、磁気的特性
を悪化させる原因となるため極力低減すべきである。C
o,Ni,Crは磁気的特性を悪化させるため各10p
pm以下、好ましくは1ppm以下とすべきである。炭
素はパーティクル発生の原因となるため20ppm以
下、好ましくは10ppm以下とすべきである。酸素,
S,Pは耐食性を悪化させ、特に酸素は結晶を微細化す
るため磁気特性を悪化させる原因となる。このため、酸
素100ppm以下、好ましくは20ppm以下、S,
P含有量各10ppm以下、好ましくは5ppm以下に
低減すべきである。
【0016】さらに好ましくはSi,Bも粒界に偏析し
磁気特性を悪化させるため、10ppm以下にまで低減
すべきである。また、Na,K等のアルカリ金属元素も
耐食性を悪化させるため各10ppm以下にまで低減す
べきである。さらに、塩素、水素も耐食性を悪化させる
ため、5ppm以下にまで低減すべきである。
【0017】不純物元素が上記の含有量を超えるとパー
ティクル発生量の増大、耐食性の著しい低下、磁気特性
不良が顕著になるため好ましくない。本発明者らは鉄中
の不純物が原料の電解鉄に起因するものであるとの知見
を得たことから、原料となる鉄について高純度化を行っ
た。鉄原料の高純度化方法として、イオン交換と電解精
製とを組み合わせ、さらに活性炭処理を施し、さらに必
要に応じて脱ガス処理を行うことによって極めて高純度
な鉄を得ることが可能である。
【0018】例えば下記のような方法を用いることによ
って行うことができる。すなわち、原料の鉄を塩酸で溶
解し塩酸濃度1〜6Nの塩化鉄水溶液とし、該塩化鉄水
溶液を酸化させて陰イオン交換樹脂と接触させ不純物金
属イオンを分離した後、得られた液を蒸発乾固または濃
縮し、その後pH=0〜3の高純度塩化鉄水溶液とし、
さらに活性炭により液中の有機物を除去し、該水溶液を
電解液として電解精製することにより高純度鉄を得るこ
とができる。
【0019】原料として用いる鉄は、特に限定されるも
のではないが、通常市販されている純度3N(99.9
%)程度のものを使用すれば良い。容器に上記の鉄原料
を装入し、塩酸によって溶解する。使用する塩酸は特に
限定されるものではなく工業用の低純度のものでも構わ
ない。この理由は、塩酸中に含まれる不純物も本発明を
実施することによって除去することができるからであ
る。鉄を溶解する装置は、塩酸の有効利用のため冷却筒
や塩化水素ガスの回収装置を設けることが望ましい。材
質は、石英、グラファイト、テフロン、ポリ容器などが
好ましい。溶解する温度は、10〜100℃である。1
0℃未満では、溶解速度が小さく、一方100℃を超え
ると蒸発が激しく水溶液のロスが大きくなるため好まし
くない。
【0020】鉄の溶解液を抜き出し、液を濃縮しさらに
塩酸を添加して塩酸濃度を1〜6Nとなるよう調整す
る。1N未満であるとイオン交換の際にFeがイオン交
換樹脂に吸着しないため好ましくない。一方、6Nを超
えるとCoが吸着するため好ましくない。
【0021】1〜6Nに調整した上記塩化鉄溶液を陰イ
オン交換樹脂に接触させ溶液中の不純物の吸着を行う。
本発明において使用するイオン交換樹脂は、陰イオン交
換樹脂であれば特に限定されないが、DOWEX1×
8、DOWEX2×8(室町化学(株)、ダイヤイオン
SA10A等が例示される。
【0022】鉄,Uは、高濃度の塩酸中では塩化物錯体
を形成し、陰イオンとして存在するため陰イオン交換樹
脂に吸着する。一方、Ni,Co及び不純物であるN
a,K等のアルカリ金属及びThは塩化物錯体を形成し
ないため、吸着せずにカラムより流出する。この際、鉄
とNiとの分離性を良くするために、水溶液の流速をS
V=0.01〜1とするのが良い。ここで、SVとは空
間速度のことであり、1時間当たりの通液量を充填樹脂
の体積で除した値である。SVが0.01未満では生産
性が悪く、1を超えると鉄の吸着が不十分であり高純度
の鉄の回収率が低下するため好ましくない。以上の操作
により、不純物であるNi,Co,Na,Kを分離する
ことができる。なお、陰イオン交換樹脂に吸着している
鉄は1N未満の塩酸を用いることにより容易に溶離する
ことができる。
【0023】イオン交換樹脂から流出した塩化鉄溶液
は、NHOH等を加えpH調整し、pH=0〜3の水
溶液とし、該水溶液を電解液として用いる。また、イオ
ン交換樹脂中の有機物(スチレン、ジビニルベンゼン、
アミン類等)が少しずつ流れだし、それが液中に混入し
てくる可能性がある。そのような有機物を除去するため
に活性炭処理を行う。活性炭には、不純物が含有されて
いる可能性があるため、予め塩酸等の酸で不純物を洗浄
除去する酸処理を行ってから使用することが好ましい。
なお、活性炭処理は、通常はイオン交換した塩化鉄水溶
液を蒸発乾固または濃縮し、水を加えpHを0〜3に調
整した後に行われるが、必ずしもこの順番でなくともイ
オン交換以降、電解精製までの間であればどこで行って
も構わない。
【0024】このようにして得た高純度鉄水溶液からな
る電解液のpHは0〜3、好ましくは0.5〜2とす
る。pHが0未満では水素の発生量が多くなり電流効率
が低下するため好ましくない。pHが3を超えると鉄が
水酸化鉄となり沈殿するので好ましくない。
【0025】電解精製における電解液中の鉄濃度は、5
〜110g/L、好ましくは20〜80g/Lとする。
5g/L未満では。水素の発生量が多くなり電流効率が
低下し、また、電析鉄中の不純物濃度も上がるため好ま
しくない。110g/Lを超えると、塩化鉄が析出して
電析状態に悪影響を及ぼすため好ましくない。
【0026】電流密度の範囲は、0.01〜10A/d
とする。0.01A/dm未満では生産性が低下
し効率的ではない。10A/dmを超えると不純物濃
度が上がりさらに電流効率も低下するため好ましくな
い。
【0027】電解温度は、10〜90℃、好ましくは3
5〜55℃で行う。10℃未満では電流効率が低下し、
90℃を超えると電解液の蒸発が多くなり好ましくな
い。
【0028】また、アノードとしては粗鉄が用いられ
る。カソードとしては、鉄、チタン板等を用いる。電解
槽の材質は塩ビ、ポリプロピレン、ポリエチレン等が好
ましい。電解精製では、カソードとアノードを隔膜ある
いは陰イオン交換膜で仕切り、アノードから溶出した不
純物がカソード側に進入しないように、カソード側にイ
オン交換と活性炭処理により精製した高純度塩化高純度
鉄水溶液(カソライトとなる)を少なくとも間欠的に入
れるとともにアノード側から不純物濃度の高いアノライ
トを少なくとも間欠的に抜き出すことが好ましい。この
時添加するカソライト量は、少なくとも抜き出すアノラ
イト量と同等以上であることが好ましい。
【0029】本発明において、使用できる隔膜あるいは
陰イオン交換膜は特に限定されないが、隔膜としては、
濾布P−2020、PP−100(安積濾紙(株)
製)、テビロン1010、陰イオン交換膜としては、ア
イオナックMA−3475(室町化学(株)製)等が例
示される。そして、抜き出したアノライトは、塩酸濃度
を3〜12Nとした後、陰イオン交換樹脂に接触させる
ことにより循環再利用することができ、これによって電
解精製を連続して行うことができる。なお、本発明にお
いて、少なくとも間欠的とは、連続又は間欠的というこ
とを意味する。
【0030】そして、電解精製によって電解液中のC
r,Si,B,P,酸素を低減することができる。回収
した電析電析鉄は、さらに必要に応じて電子ビーム溶
解、高周波溶解等の真空溶解方法で溶解することによっ
て、塩素、水素等の揮発性不純物元素を取り除くことが
できる。
【0031】電子ビーム溶解は、電極(電析鉄)をまず
作製し、それを再溶解して高純度のインゴットを得る方
法である。電極の高温・高真空下での溶解中に揮発成分
が蒸発する。例えば、溶解量5kgの場合、次のような
条件で電子ビーム溶解を実施する。電流:0.7A、電
圧:20kV、真空度:10−5mmHg、時間:2h
r。上記のような方法で得られた高純度鉄を溶解し高純
度Niや高純度Mnと合金化した後鋳造する。得られた
Fe−Ni、Fe−Mn等の合金インゴットを加工し、
スパッタリングターゲット材とする。基本的には、ター
ゲットの純度はインゴットとほぼ同等であるが、アルカ
リ金属、塩素、水素等の揮発成分はこの溶解工程によっ
てもある程度低減する。
【0032】そしてここで得られたスパッタリングター
ゲットをスパッタリングすることによって磁性薄膜を形
成することが可能である。スパッタリングによって得ら
れる鉄合金磁性薄膜は、ターゲットと同等の純度を有す
るものであり、さらにその結晶組織は柱状晶のものが得
られる。そして、薄膜結晶組織が柱状晶であるため磁気
特性は特に良好なものである。
【0033】
【実施例】以下、実施例に基づいて説明するが、本発明
はこれによって制限されるものではない。
【0034】(実施例1)原料となる粗鉄塊1000g
をアノード室に入れ、約10Lの6Nの塩酸水溶液の容
器に装入した。そして温度を20℃として溶解し、鉄濃
度50g/Lの塩化鉄水溶液を得た。この水溶液 10
Lを陰イオン交換樹脂(室町化学:DOWEX2×8)
12Lを充填したポリプロピレン製のカラム(150m
mφ×1200mmL)にSV=0.2で通液し、鉄を
吸着させCo,Niを除去した。次に純水を流し、鉄を
溶離した。得られた精製塩化鉄水溶液をロータリーエバ
ポレーション装置を用いて温度110℃で蒸発乾固させ
た。これを純水に溶解して10Lとした。この時の鉄濃
度は 50g/Lであった。そして、pHを2に調整し
た後、活性炭により有機物を除去した。この高純度鉄溶
液を電解槽のカソード室に連続的に添加した。なお、活
性炭は予め6Nの塩酸で洗浄し不純物を十分に除去した
ものを用いた。次に、電流密度2A/dm、温度50
℃として、鉄板をカソードとして電解精製を行った。こ
のときアノード側とカソード側は隔膜(安積濾紙(株)
製、PP2020)で区切った。カソード側には、高純
度塩化鉄水溶液を供給速度 1L/hrで供給し、アノ
ード側から同じ速度で抜き出した。40hr後得られた
電析物は、800gであり、収率は80%であった。電
析状態は、表面の凹凸のない平滑なもので電析鉄の剥離
は生じなかった。得られた高純度の電析鉄と純度5Nの
Niとを82:18となるようにして電子ビーム溶解を
行い、合金インゴットを得た。各原料、電析鉄及び電子
ビーム溶解後Fe−Ni合金の不純物含有量を表1に示
す。
【0035】
【表1】
【0036】この合金インゴットを加工して、直径50
mm、厚さ5mmの円盤状のスパッタリングターゲット
とした。このスパッタリングターゲットをIn−Sn合
金はんだを用いて銅製のバッキングプレートと接合し
た。マグネトロンスパッタリング装置を用いて3インチ
Siウエハー上にスパッタリングによりFe−Ni合金
薄膜を形成した。スパッタリングの際に発生したウエハ
ー上の直径0.3μm以上のパーティクル数を測定し
た。さらに、薄膜断面の組織観察を行った。
【0037】(実施例2)原料となる粗鉄塊1000g
をアノード室に入れ、約10Lの6Nの塩酸水溶液の容
器に装入した。そして温度を80℃として溶解し、鉄濃
度50g/Lの塩化鉄水溶液を得た。この水溶液 10
Lを陰イオン交換樹脂(室町化学:DOWEX2×8)
12Lを充填したポリプロピレン製のカラム(150m
mφ×1200mmL)にSV=0.5で通液し、鉄を
吸着させCo,Niを除去した。次に純水を流し、鉄を
溶離した。得られた精製塩化鉄水溶液をロータリーエバ
ポレーション装置を用いて温度110℃で蒸発乾固させ
た。これを純水に溶解して10Lとした。この時の鉄濃
度は 50g/Lであった。そして、pHを1に調整し
た後、活性炭により有機物を除去した。この高純度鉄溶
液を電解槽のカソード室に連続的に添加した。なお、活
性炭は予め1Nの塩酸で洗浄し不純物を十分に除去した
ものを用いた。次に、電流密度2A/dm、温度50
℃として、鉄板をカソードとして電解精製を行った。こ
のときアノード側とカソード側は隔膜(安積濾紙(株)
製、PP2020)で区切った。カソード側には、高純
度塩化鉄水溶液を供給速度 1L/hrで供給し、アノ
ード側から同じ速度で抜き出した。40hr後得られた
電析物は、800gであり、収率は80%であった。電
析状態は、表面の凹凸のない平滑なもので電析鉄の剥離
は生じなかった。得られた生成鉄と生成Niとを82:
18でAlルツボで真空中で高周波溶解し合金化
した。各原料、電析鉄及びFe−Ni合金の不純物含有
量を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】実施例1と同様にスパッタリングターゲッ
トを作製し、スパッタリング試験を行い、ウエハー上の
パーティクル数の測定及び薄膜断面の組織観察を行っ
た。
【0040】(実施例3)実施例1と同様の方法を用い
て高純度鉄を作製した。一方、市販の電解Mnを真空蒸
留することにより得られた純度5NのMnと上記高純度
鉄とを1:1でスカル溶解炉を用いて溶解しFe−Mn
合金を作製した。各原料、電析鉄及びFe−Mn合金の
不純物含有量を表3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】実施例1、2と同様にスパッタリングター
ゲットを作製し、スパッタリング試験を行い、ウエハー
上のパーティクル数の測定及び薄膜断面の組織観察を行
った。
【0043】(比較例1)市販の純度3Nの鉄と市販の
純度3Nの原料Niとを82:18でAlルツボ
を用いてAr雰囲気下で高周波溶解し合金化した。各原
料及び得られたFe−Ni合金の不純物含有量を表4に
示す。
【0044】
【表4】
【0045】実施例と同様にスパッタリングターゲット
を作製し、スパッタリング試験を行い、ウエハー上のパ
ーティクル数の測定及び薄膜断面の組織観察を行った。
【0046】(比較例2)市販の純度3Nの鉄と市販の
純度2〜3Nの原料Mnとを1:1で高周波溶解し合金
化した。各原料及び得られたFe−Mn合金の不純物含
有量を表5に示す。
【0047】
【表5】
【0048】実施例と同様にスパッタリングターゲット
を作製し、スパッタリング試験を行い、ウエハー上のパ
ーティクル数の測定及び薄膜断面の組織観察を行った。
【0049】(結果)実施例1〜3及び比較例1〜2の
スパッタ試験におけるパーティクル数測定結果、および
薄膜の組織観察結果を表6に示す。
【0050】
【表6】
【0051】その結果、本発明の高純度鉄材料を用いた
磁性薄膜形成用Fe−Ni合金及びFe−Mn合金スパ
ッタリングターゲットは、比較例に比べてパーティクル
の発生は少なかった。また、薄膜の結晶組織は粗大ある
いはやや粗大な柱状晶のものを得ることができ、その磁
気特性は良好なものであった。これに対して、比較例の
ターゲットを用いて得られた薄膜はパーティクル発生量
が多く、結晶組織は微細な等軸晶であり、その磁気特性
は不満足なものであった。
【0052】
【発明の効果】本発明のCo,Ni,Cr各10ppm
以下、炭素20ppm以下、酸素100ppm以下、
S,P各10pm以下、残部鉄及び不可避不純物である
ことを特徴とする薄膜形成用高純度鉄材料を原料として
使用した鉄合金スパッタリングターゲットを用いること
によって、パーティクル発生が少なく、磁気特性も良好
な鉄合金磁性膜を形成することが可能であり、磁性薄膜
形成用材料として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 10/14 H01F 10/14 10/16 10/16 Fターム(参考) 4K029 AA06 BA02 BA09 BA26 BB01 BC06 BD11 CA05 DC03 DC04 DC07 DC39 4K058 AA11 BA18 BB03 CA05 CA12 FA05 FC17 FC28 5D034 BA03 DA07 5E049 AA01 AA09 BA12 BA30 GC02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Co,Ni,Cr各10ppm以下、炭
    素20ppm以下、酸素100ppm以下、S,P各1
    0pm以下、残部鉄及び不可避不純物であることを特徴
    とする薄膜形成用高純度鉄材料。
  2. 【請求項2】 Co,Ni,Cr各1ppm以下、炭素
    10ppm以下、酸素20ppm以下、S,P各5pp
    m以下残部鉄及び不可避不純物であることを特徴とする
    薄膜形成用高純度鉄材料。
  3. 【請求項3】 Si,Bが各10ppm以下であること
    を特徴とする請求項1または2に記載の薄膜形成用高純
    度鉄材料。
  4. 【請求項4】 アルカリ金属が各10ppm以下である
    ことを特徴とする請求項1〜3に記載の薄膜形成用高純
    度鉄材料。
  5. 【請求項5】 塩素,水素が各5ppm以下であること
    を特徴とする請求項1〜4に記載の薄膜形成用高純度鉄
    材料。
  6. 【請求項6】粗鉄原料を塩酸溶液中で溶解し塩酸濃度1
    〜6Nの塩化鉄水溶液とし、該塩化鉄水溶液を酸化させ
    て陰イオン交換樹脂と接触させ不純物金属イオンを分離
    した後、得られた液を蒸発乾固または濃縮した後、pH
    =0〜3の高純度塩化鉄水溶液とし、さらに活性炭によ
    り液中の有機物を除去し、該水溶液を電解液として電解
    精製により電析鉄を得ることを特徴とする薄膜形成用高
    純度鉄材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 電解精製において、アノードとカソード
    を隔膜あるいは陰イオン交換膜で仕切り、かつ、高純度
    塩化鉄水溶液を少なくとも間欠的にカソード側に入れる
    とともにアノライトを少なくとも間欠的に抜き出すこと
    を特徴とする請求項6に記載の薄膜形成用高純度鉄材料
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 抜き出したアノライトの塩酸濃度を3〜
    12Nとした後、陰イオン交換樹脂に接触させることを
    特徴とする請求項6〜7に記載の薄膜形成用高純度鉄材
    料の製造方法。
  9. 【請求項9】 活性炭を予め酸で処理することを特徴と
    する請求項6〜8に記載の薄膜形成用高純度鉄材料の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 電析鉄をさらに脱ガス溶解することを
    特徴とする請求項6〜9に記載の薄膜形成用高純度鉄材
    料の製造方法。
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