JP7242375B2 - 9,9-ビス[6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル]フルオレンの結晶多形及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、着色がなく、高純度で熱安定性などに優れた9,9-ビス[6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル]フルオレンの新規な多形体(結晶多形及び非晶質多形)及びその製造方法に関する。
9,9-ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン類などのフルオレン骨格を有する化合物は、高屈折率、高耐熱性などの優れた特性を有していることが知られている。例えば、特開2011-68624号公報(特許文献1)には、3-メルカプトプロピオン酸及び硫酸の存在下、9-フルオレノンと、エチレングリコールモノ(2-ナフチル)エーテルとを反応させ、反応混合物を水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、キシレンを添加して蒸留水で洗浄し、冷却することにより結晶を析出させ、濾過して乾燥し、9,9-ビス[6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル]フルオレン(以下、BNEFという場合がある)の結晶を得たこと、HPLCによる純度が98.3%であり、アセトンに10重量%の濃度で結晶を溶解した溶液の色相(APHA)が30であったことが記載されている。また、キシレンに代えてトルエンを用いた例では、純度が99.1%、溶液の色相(APHA)が41であったことが記載されている。このようなフルオレン化合物の結晶は、ガラス転移温度及び屈折率が高く、光学材料などの樹脂を得る上で有用である。
特開2011-68624号公報
しかし、前述の方法で得られるBNEFの結晶は、その純度、着色の程度、残留溶媒の含有量において改善の余地がある。例えば、前述の方法で得られるBNEFの結晶は、溶融などの加熱条件下で着色が進行する傾向があり、前記BNEFの結晶を用いてポリエステル樹脂などを調製すると、調製時の加熱又は溶融により、樹脂の着色の度合いが大きくなりがちである。また、結晶中に残存する溶媒は、安全性の観点から、結晶の用途に制約を生じさせる要因になる。
また、前記BNEFの結晶は、嵩密度も小さく、輸送、保管に大きなスペースを必要とするとともに、計量性及び取り扱い性が低下する。さらには、ナフタレン環が導入されているためか、ベンゼン環が導入された9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンに比べて、前記BNEFの結晶は有機溶媒に対する溶解性が低い。
従って、本発明の目的は、純度が高く、着色の少ないBNEFの新規な多形体(結晶多形体、非晶質多形体)及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、溶媒の残存量が少ないBNEFの新規な多形体及びその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、加熱下での着色が少ないBNEFの新規な多形体及びその製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、嵩密度が高く、しかも有機溶媒に対する溶解性を改善できるBNEFの新規な多形体及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記特許文献1の方法で得られた結晶(以下、単に「結晶C」という)の純度を高めるため、キシレン及びトルエンを用いて再結晶化することを試みた。しかし、前記フルオレン化合物がキシレンなどの溶媒との包接化合物を形成するためか、減圧乾燥しても1~5質量%程度の溶媒が残存し、着色の程度を十分に低減し、純度を向上させることが困難であった。本発明者らは、さらに、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、BNEFには結晶多形体が存在し、特定の晶析溶媒から前記フルオレン化合物を晶析すると、高純度で着色がなく、しかも残存溶媒が少なく、熱安定性が高く、加熱下、例えば、融点以上の温度であっても着色を有効に防止できる結晶形態の多形体Aが得られること、この多形体Aを溶融して冷却すると、非晶質形態の多形体Bが生成することを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、9,9-ビス[6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル]フルオレン(以下、BNEFという場合がある)の結晶形態の多形体(以下、単に多形体Aという場合がある)と、非晶質の多形体(以下、単に多形体Bという場合がある)とを包含する。結晶多形体Aは、粉末X線回折パターンにおいて、回折角度2θ=12.5±0.2°、20.4±0.2°、22.2±0.2°、23.1±0.2°、25.9±0.2°に回折ピークを有している。結晶多形体Aは、さらに、回折角度2θ=14.3±0.2°、15.5±0.2°、17.7±0.2°、18.6±0.2°に回折ピークを有していてもよい。さらには、結晶多形体Aは、回折角度2θ=19.5±0.2°、22.6±0.2°に回折ピークを有していてもよい。また、結晶多形体Aにおいて、回折角度2θ=20.4±0.2°でのピーク強度が最も大きくてもよい。
結晶多形体Aの純度は97%以上、特に99%以上であり、融点は218±3℃である。さらに、結晶多形体Aは溶媒との包接化合物を形成しないためか、溶媒の含有量(残存溶媒量)が極めて少なく、溶媒含有量は0.2質量%以下である。結晶多形体Aは、加熱下での着色も少なく、窒素ガス雰囲気下、280℃で2時間保持したとき、溶融状態での色相(APHA)が50~150である。
このような結晶多形体Aは、水溶性エーテル、水溶性アルコール、水溶性ケトンから選択される少なくとも1種を含む溶媒、なかでも、エーテル及び水溶性アルコールの混合溶媒からBNEFを晶析させることにより製造できる。
前記非晶質の多形体Bは、粉末X線回折パターンにおいて、非晶質に特有のハローピークを示し、融点を示さない。このような非晶質の多形体Bは、BNEFを溶融して冷却することにより調製できる。非晶質の多形体Bも、加熱下での着色が少なく、窒素ガス雰囲気下、280℃で2時間保持したとき、溶融状態での色相(APHA)が50~200である。非晶質の多形体Bは、嵩密度が高く、0.9~1.25g/mlである。
なお、非晶質の多形体Bも、結晶多形体Aと同様に純度が高く残存溶媒の含有量が極めて少なくてもよい。このような非晶質の多形体Bは、溶解性が高く、溶媒を用いる反応系での仕込み及び反応を円滑に行うことができる。
本発明のBNEFの結晶多形体Aは、純度が高く、着色が少ない。また、熱安定性、例えば、高温での保存安定性が高く、加熱下で保存しても、着色を著しく抑制できる。例えば、溶融温度又は融点以上の温度であっても、着色を有効に抑制できる。結晶多形体A及び非晶質多形体Bは、いずれも、溶媒の残存量が少ないため、安全性が高く、広い用途に適用できる。さらに、非晶質多形体Bは、嵩密度が高く、取り扱い性を向上できるとともに、有機溶媒に対する溶解性を改善できる。さらには、非晶質多形体Bは、純度が高く、着色が少なく、加熱下で保存しても、着色を著しく抑制できる非晶質形態の多形体も含んでいる。従って、結晶多形体A及び非晶質多形体Bは、安全性も高く、工業製品、有機化合物、樹脂の原料、樹脂の硬化剤などとして広い範囲に使用できる。
図1は比較例1で得られた結晶Cの粉末X線回折パターンを示すチャートである。 図2は実施例1で得られた結晶多形体A1の粉末X線回折パターンを示すチャートである。 図3は実施例2で得られた非晶質多形体B1の粉末X線回折パターンを示すチャートである。 図4は実施例4で得られた結晶多形体A2の粉末X線回折パターンを示すチャートである。 図5は実施例5で得られた結晶多形体A3の粉末X線回折パターンを示すチャートである。 図6は実施例6で得られた結晶多形体A4の粉末X線回折パターンを示すチャートである。 図7は実施例7で得られた結晶多形体A5の粉末X線回折パターンを示すチャートである。
[多形体]
本発明の結晶形態の多形体Aは、9,9-ビス[6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル]フルオレン(BNEF)の結晶多形体であって、粉末X線回折パターン(XRD)において、回折角度2θ=12.5±0.2°、20.4±0.2°、22.2±0.2°、23.1±0.2°、25.9±0.2°に特徴的な回折ピークを有している。また、好ましくは回折角度2θ=14.3±0.2°、15.5±0.2°、17.7±0.2°、18.6±0.2°に回折ピークを有している。さらに好ましくは、回折角度2θ=19.5±0.2°、22.6±0.2°にも回折ピークを有している。
なお、多形体Aは、さらに、回折角度2θ=7.7±0.2°、8.8±0.2°、11.1±0.2°、11.4±0.2°、12.9±0.2°、13.8±0.2°、16.9±0.2°、17.4±0.2°、21.2±0.2°、24.7±0.2°、25.4±0.2°、26.7±0.2°から選択された少なくとも1つの回折角度2θにも回折ピークを有していてもよい。これらの12個の回折角度2θのうち、好ましくは回折角度2θ=7.7±0.2°、11.1±0.2°、11.4±0.2°、24.7±0.2°、25.4±0.2°、26.7±0.2°から選択された少なくとも1つに回折ピークを有しており、さらに好ましくは回折角度2θ=24.7±0.2°、25.4±0.2°、26.7±0.2°から選択された少なくとも1つに回折ピークを有している。また、これらの12個の回折角度2θのうち、好ましくは、以下段階的に、少なくとも3つ、少なくとも6つ、少なくとも9つの回折角度2θにも回折ピークを有し、さらに好ましくは12個全ての回折角度2θに少なくとも回折ピークを有している。
多形体Aは上記の回折ピークパターンを有していればよく、通常、多形体Aにおいて、回折角度2θ=20.4±0.2°でのピーク強度I15(積分強度I15s及びピーク高さI15h)が最も大きい。次いで、回折角度2θ=12.5±0.2°での積分強度I5s、22.2±0.2°での積分強度I17s、22.6±0.2°での積分強度I18s、23.1±0.2°での積分強度I19s、25.9±0.2°での積分強度I22sから選択された少なくとも1つの回折角度2θでの積分強度が大きい。これらの積分強度のうち、I15sに次いで2番目に大きな積分強度は、I5s、I17s及びI18sから選択されるいずれかの積分強度であることが多く、好ましくはI17s又はI18s、さらに好ましくはI18sである。より純度が高く、着色が少ない点から、積分強度の順序は、I15s≫I18s≧I19s,I17s,I22s,I5sの順序であるのが好ましく、さらに好ましくはI15s≫I18s≧I19s,I17s,I22s≧I5sの順序であり、特に好ましくはI15s≫I18s≧I19s≧I17s≧I22s≧I5sの順序である。なお、前記順序の記載において、例えば「I18s≧I19s,I17s,I22s≧I5s」は、I19s,I17sおよびI22sがいずれもI18s以下であり、かつI5s以上であることを意味し、「,」で区切られたI19s,I17s,I22sの間の順序は特に制限されない。
多形体Aは、通常、回折角度2θ=20.4±0.2°の回折ピーク及び下記表1に記載の回折ピークを少なくとも有していることが多い。さらに、多形体Aにおいて、回折角度2θ=20.4±0.2°での積分強度I15s及びピーク強度(ピーク高さ)I15hを「100」としたとき、各積分強度及びピーク強度(ピーク高さ)は、下記表1に示すことができ、好ましくは図2に示す粉末X線回折パターンを有している。
Figure 0007242375000001
なお、多形体Aは、回折角度2θ=20.4±0.2°の回折ピーク及び上記表1記載の回折ピークを少なくとも有していることが多いが、さらに、回折角度2θ=6.5±0.2°、8.3±0.2°、9.9±0.2°、16.3±0.2°、16.4±0.2°、16.7±0.2°、18.7±0.2°、19.8±0.2°、20.3±0.2°、22.3±0.2°、23.0±0.2°、23.9±0.2°、24.1±0.2°、26.4±0.2°、26.9±0.2°から選択された1又は複数の回折角度2θにも回折ピークを有していてもよい。これらの回折ピークのうち、少なくとも回折角度2θ=16.3±0.2°、18.7±0.2°、20.3±0.2°、22.3±0.2°、23.9±0.2°及び26.9±0.2°から選択された少なくとも1つに回折ピークを有するのが好ましい。
上記粉末X線回折パターンは、慣用の粉末X線回折装置を用いて測定できる。なお、ピークを示す回折角度2θは、測定条件などに応じて、±0.2°又は±0.1°程度変化する場合がある。
本発明の結晶多形体Aは純度も高く、例えば、97%以上、好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。また、結晶多形体Aの純度は、98~100%の範囲から選択でき、好ましい範囲としては、以下、段階的に、98.5~99.95%、99~99.9%、99.3~99.9%、99.5~99.9%である。結晶多形体Aの純度は、通常、99~100%である。なお、純度はHPLC分析により算出できる。
前記結晶多形体Aの融点は、示差走査熱量計(DSC)で測定したとき、例えば、218±4℃、好ましくは218±3℃、さらに好ましくは218±2℃である。融点の高い結晶多形体Aは、保存安定性、特に高温下での保存安定性に優れている。融点は、示差走査熱分析(DSC)での吸熱ピーク(又は融点)に基づいて測定できる。
このような結晶多形体Aは溶媒の含有量(残存量)が少なく、残存溶媒量は、例えば、0.2質量%以下、好ましくは0.15質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である。残存溶媒量は、ガスクロマトグラフィに基づいて測定できる。
結晶多形体Aの嵩密度は、例えば、0.3~1g/ml程度であってもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、0.4~0.9g/ml、0.5~0.8g/ml、0.53~0.7g/ml、さらに好ましくは0.55~0.65g/mlである。嵩密度は、日本薬局方かさ密度測定方法により測定できる。
本発明の結晶多形体Aは、高温下で保存しても着色を有効に抑制でき、実施例に記載のように、窒素ガス雰囲気下、280℃で2時間保持しても、溶融状態での試料の色相(APHA)は、例えば、30~200程度であってもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、40~180、50~150、75~125、80~120である。
なお、前記特許文献1の方法で得られた結晶(結晶C)は、図1に示すように、粉末X線回折パターンにおいて、回折角度2θ=13.8±0.2°、16.4±0.2°、19.5±0.2°、20.5±0.2°、22.5±0.2°、26.2±0.2°に特徴的なピークを示す。回折角度2θ=12.1±0.2°、13.0±0.2°、14.6±0.2°、19.8±0.2°、20.0±0.2°、21.8±0.2°、24.2±0.2°にもピークを示してもよい。また、2θ=13.8±0.2°、20.5±0.2°でのピークが大きいことが多く、なかでも13.8±0.2°のピーク高さが最も大きい場合が多い。このような粉末X線回折パターンは、前記結晶多形体Aの回折パターンと大きく異なる。
前記結晶多形体Aは、エーテル、アルコール、ケトンから選択される少なくとも1種を含む溶媒(晶析溶媒)から9,9-ビス[6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル]フルオレン(BNEF)を晶析させることにより調製できる。晶析溶媒は、極性が高い溶媒で構成されるのが好ましく、通常、晶析溶媒を構成する全ての溶媒が水溶性溶媒(又は水性溶媒)であるのがさらに好ましい。そのため、例えば、水溶性エーテル、水溶性アルコール水溶性ケトンなどの水溶性溶媒(又は水性溶媒)の水に対する溶解度[あるいは晶析溶媒の水に対する溶解度]は、温度25℃において、例えば1g/L以上(例えば10g/L以上)、好ましくは100g/L以上(例えば200g/L以上)、さらに好ましくは300g/L以上(例えば500g/L以上)であり、特に、水に対して任意の割合で(又は自由に)混和可能であるのが好ましい。水に対する溶解度が低すぎると、純度が低下したり、着色し易くなるおそれがある。
前記エーテルとしては、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテルが例示できる。ジオキサンとしては、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサンなどが挙げられる。エーテルとしては水溶性エーテルを用いる場合が多い。これらのエーテルのうち、1,4-ジオキサンなどのジオキサンが好ましい。
前記アルコールとしては、通常、水溶性アルコールが用いられる。水溶性アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどが例示できる。好ましい水溶性アルコールは、メタノール及びエタノールであり、通常、メタノールを使用する場合が多い。
前記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトンなどC3-8ケトンなどが例示できる。ケトンとしては、通常、水溶性ケトンが用いられる。これらのケトンのうち、C3-6ケトンが好ましく、純度が高く、着色が少ない点からC3-5ケトンがより好ましく、アセトン又はMEKがさらに好ましく、アセトンが特に好ましい。
これらの溶媒は、単独でまたは2種以上組み合わせた混合溶媒として使用することもできる。これらの溶媒のうち、水溶性エーテルなどのエーテルの単独溶媒、水溶性ケトンなどのケトンの単独溶媒、エーテルとアルコールとの混合溶媒が好ましく、なかでも、エーテルと水溶性アルコールとの混合溶媒が好ましい。
1,4-ジオキサンなどのエーテルとメタノールなどの水溶性アルコールとの質量割合は、例えば、前者/後者=90/10~10/90、好ましくは80/20~20/80、さらに好ましくは70/30~30/70、特に60/40~40/60である。なお、良溶媒のエーテルと貧溶媒のメタノールなどの水溶性アルコールとの割合を調整することにより、高い収率で高品質の結晶多形体Aを得ることができる。
なお、晶析溶媒が混合溶媒である場合、高い極性又は高い水溶性(又は水との高い混和性)を損なわない限り、前記エーテル、アルコール及びケトンとは異なる他の溶媒を含んでいてもよい。前記他の溶媒としては、慣用の極性溶媒(又は水溶性溶媒)であってもよく、非極性溶媒であってもよい。これらの他の溶媒は単独でまたは2種以上組み合わせて使用することもできる。
前記非極性溶媒としては、例えば、炭化水素類などが挙げられる。炭化水素類としては、例えば、脂肪族炭化水素類、具体的には、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどのC4-12脂肪族炭化水素類;脂環族炭化水素類、具体的には、シクロヘキサンなどのC5-10脂肪族炭化水素類;芳香族炭化水素類、具体的には、ベンゼン、アルキルベンゼンなどのC6-10芳香族炭化水素類などが挙げられる。これらの非極性溶媒は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの非極性溶媒のうち、芳香族炭化水素類が好ましい。
前記アルキルベンゼンとしては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルトルエン、プロピルベンゼン、クメンなどのモノないしテトラC1-4アルキル-ベンゼンなどが挙げられる。これらの芳香族炭化水素類のうち、アルキルベンゼンが好ましく、より好ましくはモノないしトリC1-3アルキル-ベンゼン、さらに好ましくはモノまたはジC1-2アルキル-ベンゼンであり、なかでもトルエンまたはキシレンが好ましく、特にトルエンが好ましい。
芳香族炭化水素類などの前記他の溶媒を含む場合、その割合は晶析溶媒全体に対して、例えば0.1~49.9質量%程度であってもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、1~45質量%、5~40質量%、10~35質量%、15~33質量%、20~30質量%である。なお、純度や着色を抑制し易い観点からは、非極性溶媒などの他の溶媒の割合は少ない方が好ましい。そのため、非極性溶媒などの他の溶媒の割合は晶析溶媒全体に対して、例えば50質量%未満、通常、0~40質量%程度であってもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下であり、さらに好ましくは0質量%、すなわち、実質的に他の溶媒を含まないのが好ましい。
晶析溶媒の割合(又は使用量)は、特に限定されず、フルオレン化合物BNEF(固形分換算)1質量部に対して、0.1~20質量部、好ましくは0.5~15質量部、さらに好ましくは1~10質量部、特に3~8質量部、なかでも4~5質量部である。
前記結晶多形体Aは、前記晶析溶媒に前記フルオレン化合物(BNEF)を過飽和状態に溶解し、冷却することにより析出させることができる。通常、前記BNEFを前記晶析溶媒に、加熱して溶解し、冷却することにより結晶多形体Aを析出又は晶析させることができる。なお、溶解後、必要に応じて溶媒を減圧留去して、晶析溶媒の量を前記割合の範囲に調整してもよい。また、BNEFは、特許文献1に記載の方法で調製してもよく、9,9-ビス[6-ヒドロキシ-2-ナフチル]フルオレンに、エチレンオキサイドを付加させる方法、エチレンカーボネート及び/又は2-クロロエタノールを反応させる方法などの慣用の方法で調製してもよい。また、BNEFは、例えば、従来の方法で調製された結晶Cなどの結晶形態であるか非晶質形態であるかを問わず、単離されたフルオレン化合物を前記晶析溶媒に溶解して晶析してもよく、前記BNEFの合成反応において、反応終了後、反応混合物の溶媒を前記晶析溶媒に置換して結晶多形体Aを晶析してもよい。例えば、反応混合物、分液する場合には、トルエン、キシレンなどを含む有機相から溶媒を除去し、残渣を前記晶析溶媒に溶解して結晶多形体Aを晶析してもよい。
前記BNEFを前記晶析溶媒に溶解する温度は、溶媒の沸点未満の温度、例えば、30~100℃、好ましくは40~80℃である。冷却温度は特に制限されず、到達冷却温度は、例えば、-10℃~30℃、好ましくは1~20℃、さらに好ましくは5~15℃である。なお、急冷してもよいが、通常、放冷又は徐冷する場合が多い。
なお、晶析操作において、必要であれば、種晶を添加してもよく、晶析操作は、一回のみ行ってもよく、複数回繰り返して行ってもよい。特に、本発明では、1回の晶析操作で、高純度で着色のない結晶多形体A、すなわち、前述のAPHAを有する結晶多形体Aを生成できる。
生成した結晶は、通常、濾過、遠心分離などの分離手段により濾別し、乾燥することにより、高純度で着色及び残存溶媒の少ない結晶多形体Aを得ることができる。
本発明の非晶質の多形体Bは、粉末X線回折パターンにおいて、図3に示されるように、非晶質に特有のハローピークを示し、融点を示さない。このような非晶質の多形体Bは、ブロック体又は任意の粒径に粉砕した粉粒体であってもよく、ブロック体は、嵩密度(密度)が高く、例えば、0.9~1.25g/ml、好ましくは0.95~1.22g/ml、さらに好ましくは1~1.2g/mlである。なお、密度は、メスシリンダーを用いてブロック体の排除体積を求め、ブロック体の質量と体積とから算出できる。このように、多形体Bは非晶質又はアモルファスの形態であり、かつ嵩密度が高いため、輸送、保管スペースを小さくできるとともに、計量性及び取り扱い性を向上しつつ、有機溶媒に対する溶解性を向上できる。そのため、溶液反応系に迅速に溶解でき、原料の仕込み及び反応を円滑に行うことができる。なお、粉粒体の嵩密度は、粒径依存性を有し、例えば、前記結晶多形体Aの嵩密度と同様であってもよく、0.1~0.6g/mlであってもよい。粉粒状の非晶質の多形体Bは、有機溶媒に対する溶解性がさらに向上する。
さらに、多形体Bは、多形体Aと同様に、溶媒の含有量(残存量)が少なく、残存溶媒量は、例えば、0.2質量%以下、好ましくは0.15質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である。
このような多形体Bは、下記のように、溶融工程を経て製造しても、多形体Aと同様に、純度が高く、例えば、97%以上、好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。多形体Bの純度は、通常、98~99.99%、好ましくは98.5~99.95%、さらに好ましくは99~99.9%である。多形体Bの純度は、通常、99~100%である。
本発明の多形体Bは、多形体Aと同様に、高温下で保存しても着色を有効に抑制でき、前記のように、窒素ガス雰囲気下、280℃で2時間保持しても、溶融状態での色相(APHA)は、例えば、50~200の範囲であり、好ましい範囲としては、以下、段階的に、70~180、80~170、100~150、110~140である。
なお、非晶質の多形体Bは、結晶形態又は非晶質形態のBNEFを溶融して冷却することにより調製できる。結晶形態のBNEFを用いる場合、非晶質の多形体Bは、前記結晶多形体Aを溶融して冷却することにより調製した多形体B1であってもよく、前記結晶Cを溶融して冷却することにより調製した多形体B2であってもよい。前記多形体B1は、前記のように、高純度で着色(高温下での着色を含む)が少なく、溶媒の含有量(残存量)も少ない。これに対して、多形体B2は、多形体B1よりも純度が低く、高温下で保存したとき、多形体B1よりも着色が大きい傾向がある。
非晶質の多形体Bは、BNEFの結晶を融点以上の温度、例えば、結晶多形体Aでは、220~300℃、特に230~280℃に加熱して溶融し、冷却(又は急冷、放冷、徐冷)することにより調製できる。生成した塊状体は、必要により、粉砕・分級などにより所定のサイズの粉粒体としてもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例及び参考例における各評価方法は以下の通りである。
(X線回折(XRD))
粉末X線回折装置(「全自動多目的水平型X線回折装置Smart Lab」、リガク(株)製)を用いて、出力3kW、線源(Cu管球)、測定角5~70°の条件で測定した。
(融点)
示差走査熱量計(「EXSTAR DSC6200」、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製)を用い、窒素雰囲気下、測定温度30~300℃、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
(純度)
高性能液体クロマトグラフィHPLC装置((株)島津製作所製「LC-2010A HT」)カラム(東ソー(株)製「TSKgel ODS-80TM」)を用い、下記の条件で測定した。
検出方法:UV、検出波長254nm
カラム温度:室温
溶離液(容量比):アセトニトリル/0.1質量%リン酸水溶液=55/45→95/5(グラディエント)
流量:1.0ml/分。
(色相APHA)
試料20gを試験管に入れ、窒素雰囲気下280℃に加熱して2時間保持したサンプル(溶融状態の試料)について、JIS K0071に準拠して、色差濁度計(「COH-300A」、日本電色(株)製)を用いて色相を測定した。
(嵩密度及び密度)
嵩密度は、日本薬局方かさ密度測定方法により測定した。ブロック体の密度は、メスシリンダーを用いてブロック体の排除体積を求め、ブロック体の重量と体積とから算出した。
(残存溶媒量)
試料を120℃で一晩減圧乾燥後、テトラヒドロフランに溶解し、ガスクロマトグラフィGC装置((株)島津製作所製「GC-2014」、カラム:CBP-1、検出器:FID)を用い、測定温度範囲50~290℃の条件で残存溶媒量を測定した。
比較例1:特許文献1の結晶C
特許文献1の実施例13に準じて、結晶Cを得た。すなわち、1000mLのセパラブルフラスコに、9-フルオレノン45g(0.25モル、大阪ガスケミカル(株)製)、エチレングリコールモノ(2-ナフチル)エーテル235g(1モル、明成化学(株)製)、3-メルカプトプロピオン酸1gを投入した後に、60℃まで加温して完全に溶解させた。その後、徐々に硫酸を54g投入して、60℃で維持して6時間攪拌させたところ、HPLCにて9-フルオレノンの転化率が99.5%以上であることを確認できた。得られた反応液に48質量%苛性ソーダ水溶液を投入して中和した後に、キシレン400gを添加して混合し、有機相を蒸留水にて数回洗浄後、冷却することで結晶を析出させた。さらにろ過して120℃にて乾燥させたところ、114g(収率85%)の結晶C(白色)が得られた。得られたサンプルのH-NMRを測定した結果、目的とする9,9-ビス[6-ヒドロキシ(2-ヒドロキシエチル)-2-ナフチル]フルオレンであることを確認した。
得られた結晶Cの粉末X線回折パターンを図1に示す。
X線回折ピーク(括弧内は相対積分強度;相対ピーク高さを示す):回折角度2θ=6.46°(3.5;4.5)、8.33°(16.2;12.2)、10.14°(16.6;11.6)、10.98°(27.2;21.9)、12.06°(30.7;41.4)、13.00°(24.4;31.4)、13.76°(76.9;100.0)、14.59°(29.1;37.1)、16.04°(33.0;12.5)、16.43°(41.1;41.3)、16.73°(13.7;8.2)、17.92°(19.5;21.0)、18.26°(16.9;14.0)、19.53°(41.3;61.6)、19.78°(58.7;58.1)、20.04°(27.1;36.8)、20.46°(100.0;75.2)、21.39°(33.3;40.0)、21.82°(67.9;51.3)、22.59°(63.8;32.5)、24.15°(63.3;51.7)、24.82°(38.4;36.6)、26.27°(71.9;53.1)。
得られた結晶Cの融点は203℃、純度は95.5%、嵩密度は0.4g/mlであり、加熱溶融状態の試料(黄色)の色相(APHA)は500以上であり、残存する溶媒キシレンの量は2.7質量%であった。
実施例1:結晶多形体A1
比較例1において、キシレンを添加混合した後の有機相(キシレン相)を蒸留水にて洗浄後、溶媒を減圧留去した。残渣を1,4-ジオキサン-メタノール混合溶媒(1,4-ジオキサン/メタノール(質量比)=50/50、以下DOX-MeOHと称する場合がある)600gに70℃に加熱して再溶解し、10℃に冷却することで結晶を析出させた。さらに、ろ過して120℃にて乾燥させたところ、94g(収率70%)の結晶A1が得られた。
得られた結晶A1の粉末X線回折パターンを図2に示す。
X線回折ピーク(括弧内は、相対積分強度;相対ピーク高さを示す):回折角度2θ=7.66°(23.9;27.8)、8.83°(14.0;14.4)、11.12°(20.1;17.2)、11.40°(23.2;25.5)、12.48°(41.6;43.4)、12.94°(6.9;7.6)、13.79°(13.6;15.5)、14.29°(36.8;38.9)、15.54°(33.2;37.4)、16.30°(8.3;10.0)、16.89°(18.2;20.4)、17.39°(6.1;12.2)、17.70°(35.7;40.3)、18.55°(29.4;26.2)、18.70°(14.8;24.2)、19.53°(34.7;36.3)、20.28°(22.0;24.3)、20.37°(100.0;100.0)、21.18°(13.4;19.4)、22.17°(48.0;39.7)、22.30°(11.4;19.3)、22.62°(63.0;76.6)、23.13°(49.9;41.5)、23.93°(13.1;11.5)、24.73°(26.1;28.7)、25.38°(28.2;33.0)、25.90°(45.0;38.0)、26.74°(25.7;36.2)、26.94°(17.3;23.0)。
得られた結晶A1の融点は219℃、純度は99.8%、嵩密度は0.6g/mlであり、加熱溶融状態の試料(無色透明)の色相(APHA)は102であり、残存する溶媒量は、0.1質量%以下であった。
実施例2:非晶質の多形体B1
実施例1で得られた結晶多形体Aを三口フラスコに入れ、減圧下250℃に加熱し、溶融し、室温(20~25℃)に急冷したところ、塊状体が得られた。
この塊状体を破砕し、粉末状試料の粉末X線回折パターンを図3に示す。
図3から明らかなように、非晶質に特有のハローピークが認められ、試料は融点を示さなかった。得られた固体の純度は99.8%、嵩密度は1.2g/mlであり、加熱溶融状態の試料(無色透明)の色相(APHA)は131であり、残存溶媒量は0.1%質量以下であった。
実施例3:非晶質の多形体B2
比較例1で得られた結晶Cを三口フラスコに入れ、減圧下250℃に加熱し、溶融し、室温(20~25℃)に急冷したところ、塊状体が得られた。
実施例2と同様に、この塊状体を破砕し、粉末状試料の粉末X線回折パターンを測定したところ、図3と同様にハローピークを示さなかった。また、塊状体は融点も示さなかった。得られた固体の純度は95.5%、嵩密度は1.1g/mlであり、加熱溶融状態の試料(黄色透明)の色相(APHA)は500以上であり、残存溶媒量は0.1%質量以下であった。
実施例4:結晶多形体A2
実施例1において、600gの1,4-ジオキサン-メタノール混合溶媒(1,4-ジオキサン/メタノール(質量比)=50/50)に代えて、420gの1,4-ジオキサンを用いる以外は、実施例1と同様にしてBNEFの結晶A2を81g(収率60%)得た。
得られた結晶A2の粉末X線回折パターンを図4に示す。
X線回折ピーク(括弧内は、相対積分強度;相対ピーク高さを示す):回折角度2θ=7.63°(26.5;35.3)、8.81°(28.0;28.7)、11.06°(13.0;15.5)、11.34°(19.5;22.0)、12.44°(58.8;58.5)、12.90°(5.8;6.7)、13.73°(21.4;24.3)、14.24°(75.1;82.9)、15.47°(29.8;33.4)、16.24°(11.4;14.6)、16.84°(22.6;19.2)、17.36°(16.5;14.7)、17.68°(57.2;68.0)、18.60°(32.0;28.5)、19.48°(59.4;65.0)、20.30°(100.0;100.0)、21.16°(15.4;12.6)、22.09°(99.1;84.4)、22.59°(73.2;77.6)、23.06°(42.4;37.2)、24.10°(19.9;16.8)、24.68°(43.5;46.1)、25.33°(31.8;33.5)、25.86°(42.6;35.7)、26.69°(59.4;67.7)、26.89°(20.5;18.8)。
得られた結晶A2の融点は221℃、純度は99.6%、嵩密度は0.8g/mlであり、加熱溶融状態の試料(無色透明)の色相(APHA)は107であり、残存する溶媒量は、0.1質量%以下であった。
実施例5:結晶多形体A3
実施例1において、600gの1,4-ジオキサン-メタノール混合溶媒(1,4-ジオキサン/メタノール(質量比)=50/50)に代えて、800gのメチルエチルケトン(MEK)を用いる以外は、実施例1と同様にしてBNEFの結晶A3を74g(収率55%)得た。
得られた結晶A3の粉末X線回折パターンを図5に示す。
X線回折ピーク(括弧内は、相対積分強度;相対ピーク高さを示す):回折角度2θ=7.60°(11.6;11.5)、8.79°(18.7;17.4)、11.07°(27.5;23.5)、11.35°(25.2;24.6)、12.44°(59.1;57.3)、12.90°(8.7;9.0)、13.72°(12.5;13.8)、14.24°(45.8;47.7)、15.47°(35.0;37.6)、16.25°(10.1;12.5)、16.82°(22.1;22.2)、17.35°(22.1;17.6)、17.66°(40.0;43.7)、18.54°(29.0;25.8)、18.67°(12.5;20.3)、19.47°(41.7;46.2)、20.29°(100.0;100.0)、21.27°(19.1;11.5)、22.09°(62.0;49.2)、22.30°(11.4;18.4)、22.57°(69.0;80.4)、23.05°(48.8;42.4)、23.89°(10.9;12.4)、24.66°(25.4;28.1)、25.32°(26.4;28.3)、25.86°(47.8;38.7)、26.69°(32.8;39.2)、26.88°(16.8;16.1)。
得られた結晶A3の融点は220℃、純度は99.7%、嵩密度は0.7g/mlであり、加熱溶融状態の試料(やや淡黄色)の色相(APHA)は163であり、残存する溶媒量は、0.1質量%以下であった。
実施例6:結晶多形体A4
実施例1において、600gの1,4-ジオキサン-メタノール混合溶媒(1,4-ジオキサン/メタノール(質量比)=50/50)に代えて、1000gのアセトンを用いて残渣を55℃に加熱して溶解させ、得られた溶液からアセトン400gを減圧留去後、10℃に冷却すること以外は、実施例1と同様にしてBNEFの結晶A4を67g(収率50%)得た。
得られた結晶A4の粉末X線回折パターンを図6に示す。
X線回折ピーク(括弧内は、相対積分強度;相対ピーク高さを示す):回折角度2θ=7.61°(10.7;10.3)、8.80°(17.5;17.2)、11.09°(19.6;17.4)、11.36°(19.4;21.1)、12.45°(61.1;63.0)、12.90°(6.6;7.5)、13.74°(12.0;14.6)、14.25°(51.5;55.7)、15.49°(27.8;31.6)、16.27°(9.2;12.8)、16.83°(18.0;18.8)、17.37°(19.3;14.6)、17.67°(41.6;45.5)、18.54°(12.3;11.0)、18.64°(25.2;29.0)、19.49°(45.8;50.4)、20.32°(100.0;100.0)、21.17°(11.6;13.9)、22.12°(51.4;49.3)、22.27°(25.4;20.5)、22.59°(57.9;74.2)、23.09°(43.2;34.9)、23.91°(9.9;11.0)、24.70°(26.8;29.2)、25.35°(23.3;26.6)、25.87°(40.3;33.3)、26.70°(33.8;42.7)、26.91°(12.5;13.4)。
得られた結晶A4の融点は220℃、純度は99.5%、嵩密度は0.4g/mlであり、加熱溶融状態の試料(淡黄色)の色相(APHA)は141であり、残存する溶媒量は、0.1質量%以下であった。
実施例7:結晶多形体A5
実施例1において、600gの1,4-ジオキサン-メタノール混合溶媒(1,4-ジオキサン/メタノール(質量比)=50/50)に代えて、600gのメチルイソブチルケトン(MIBK)-トルエン混合溶媒(MIBK/トルエン(質量比)=75/25、以下MIBK-トルエンと称する場合がある)を用いること以外は、実施例1と同様にしてBNEFの結晶A5を105g(収率78%)得た。
得られた結晶A5の粉末X線回折パターンを図7に示す。
X線回折ピーク(括弧内は、相対積分強度;相対ピーク高さを示す):回折角度2θ=6.47°(9.9;16.0)、7.61°(33.5;54.8)、8.25°(3.6;3.5)、8.80°(13.9;14.9)、9.87°(6.5;8.5)、11.10°(20.8;19.3)、11.38°(13.1;16.3)、12.45°(45.3;52.3)、12.95°(20.1;22.9)、13.76°(28.3;28.0)、14.28°(41.2;54.0)、15.48°(17.5;24.4)、16.42°(7.7;13.4)、16.85°(14.2;18.0)、17.38°(6.8;12.6)、17.69°(29.1;38.3)、18.55°(26.8;25.7)、19.51°(45.6;51.3)、19.81°(34.5;29.4)、20.31°(100.0;100.0)、21.16°(5.9;10.8)、22.12°(56.7;56.1)、22.29°(18.5;26.0)、22.59°(63.1;83.1)、23.01°(17.1;17.3)、23.11°(18.0;31.2)、24.14°(30.9;26.6)、24.67°(28.6;33.5)、25.35°(24.0;28.7)、25.87°(27.6;27.0)、26.36°(17.0;14.5)、26.72°(45.3;59.1)。
得られた結晶A5の融点216℃、純度は99.3%、嵩密度は0.4g/mlであり、加熱溶融状態の試料(淡黄色)の色相(APHA)は182であり、残存する溶媒量は、0.1質量%以下であった。
比較例1及び実施例1~7で得られた多形体の特性を表2に示す。
Figure 0007242375000002
表2から、結晶多形体A1~5は、融点が高く、高純度で残留溶媒も少ない。また、高温下で加熱溶融した状態での着色も少ない。多形体B1も同様に、高純度で残留溶媒が少なく、高温下で加熱溶融した状態での着色も少ない。しかも、高い嵩密度を有する。なお、多形体B1は、結晶Cに比べて残留溶媒が少なく、高い嵩密度を有する。
本発明の多形体は、着色が少なく、純度も高く、残存する溶媒量も少ない。そのため、工業製品、有機合成、樹脂合成の原料などとして好適に使用できる。また、本発明の多形体は、ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン骨格を有するため、種々の特性(光学特性、耐熱性、耐水性、耐湿性、耐薬品性、電気特性、機械特性、寸法安定性など)に優れている。そのため、本発明の多形体は、樹脂原料や樹脂硬化剤などとして好適に用いることができる。特に、本発明の多形体を、熱硬化性樹脂[エポキシ樹脂(又はその硬化剤)や、アクリル系樹脂(多官能性(メタ)アクリレートなど)など]、熱可塑性樹脂(ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂など)に適用すると、高耐熱性、高架橋性、高屈折率、高透明性、低線膨張率などの優れた特性を効率よく付与できる。前記エポキシ樹脂は、上記のような特性が要求される用途、例えば、半導体封止剤、電装基板などとして好適である。また、前記アクリル系樹脂は、光学材料用途、例えば、光学用オーバーコート剤、ハードコート剤、反射防止膜、眼鏡レンズ、光ファイバー、光導波路、ホログラムなどに有用である。また、前記熱可塑性樹脂は、光学部材、耐熱部材などでの成形材料などとして利用できる。

Claims (9)

  1. 9,9-ビス[6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル]フルオレンの結晶多形体であって、粉末X線回折パターンにおいて、回折角度2θ=12.5±0.2°、20.4±0.2°、22.2±0.2°、23.1±0.2°、25.9±0.2°に回折ピークを有し、
    融点が218±3℃である結晶多形体A。
  2. さらに、回折角度2θ=14.3±0.2°、15.5±0.2°、17.7±0.2°、18.6±0.2°に回折ピークを有する請求項1記載の結晶多形体A。
  3. さらに、回折角度2θ=19.5±0.2°、22.6±0.2°に回折ピークを有する請求項1又は2記載の結晶多形体A。
  4. 回折角度2θ=20.4±0.2°でのピーク強度が最も大きい請求項1~3のいずれか1項に記載の結晶多形体A。
  5. 純度が97%以上である請求項1~4のいずれか1項に記載の結晶多形体A。
  6. 溶媒の含有量が0.2質量%以下である請求項1~5のいずれか1項に記載の結晶多形体A。
  7. 窒素ガス雰囲気下、280℃で2時間保持したとき、溶融状態での色相(APHA)が50~150である請求項1~6のいずれか1項に記載の結晶多形体A。
  8. 水溶性エーテル、水溶性アルコール、水溶性ケトンから選択される少なくとも1種を含む溶媒から9,9-ビス[6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル]フルオレンを晶析させ、請求項1~7のいずれか1項に記載の結晶多形体Aを製造する方法であって、
    前記水溶性エーテルが、環状エーテルを含み、
    前記水溶性アルコールが、メタノール及び/又はエタノールを含む、製造方法
  9. 水溶性エーテル及び水溶性アルコールの混合溶媒から9,9-ビス[6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル]フルオレンを晶析させ、請求項8記載の結晶多形体Aを製造する方法
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