JP7238163B2 - 紡糸ノズルおよび紡糸装置 - Google Patents
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Description
以下、図面を参照して、本開示の一実施形態に係る紡糸ノズルを説明する。図1Aは本開示の紡糸ノズルの一実施形態を示す正面図、図1BはそのX-X線断面図である。
供給部3は、矢印Aで示す方向に糸が供給される第1通孔2を有する。交絡部6は、中心軸Cに沿って第1通孔2に接続する第2通孔4と外部から第2通孔4に向かって糸を交絡させるための気体を供給する複数の流路5とを有する。排出部8は、中心軸Cに沿って第2通孔4に接続し交絡させた糸を排出する第3通孔7を有する。
流路5は、交絡部6の外周面から排出部8に向かって傾斜している。流路5の傾斜角度は、中心軸Cに対して約40°~56°、好ましくは約43°~53°であるのがよい。
なお、本実施形態では、交絡部6を3つの第1セグメント61から構成したが、これに限定されるものではなく、第1セグメント61の数は、例えば、2~6個の範囲で選択可能である。
断面円形の流路5に代えて、断面矩形状の流路5を形成してもよく、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
側面61aの溝51に代えて、第1セグメント61の内部に、外周面と内周面とを接続する流路5を形成してもよい。これにより、溝51、51同士の位置合わせをしなくても済むので、流路5の軸方向に垂直な断面形状を真円に近くすることができ、流路5内での乱流が生じにくくなる。
上記セラミックスの機械的特性としては、例えば、JIS R 1610:2003に準拠したビッカース硬度が10GPa以上であり、JIS R1601:2008に準拠した3点曲げ強度が310MPa以上である。
第1セグメント61の耐摩耗性が高くなれば、第2通孔4を形成する壁面に長時間接触走行させても、摩耗しにくくなる。
供給部3および排出部8も上述した炭化チタン質セラミックス、炭窒化チタン質セラミックス、窒化チタン質セラミックス、酸化アルミニウム質セラミックス、酸化ジルコニウム質セラミックス、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムの複合セラミックス等のセラミックスからなるのがよい。
ここで、セラミックスを構成する成分は、CuKα線を用いたX線回折装置による測定結果から同定することができ、各成分の含有量は、例えば、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析装置または蛍光X線分析装置により求めることができる。
また、流路5を形成する壁面は、粗さ曲線における算術平均粗さRaが0.2μm以下であるのがよい。
切断レベル差(Rδc)が0.3μm以下あるいは算術平均粗さRaが0.2μm以下であると、壁面の表面性状の凹凸が小さくなるので、流路5内での乱流が生じにくくなる。また、壁面の撥水性が高くなるため、壁面に汚れが付着しにくくなるので、壁面の洗浄を容易にしたり、洗浄の回数を削減したりすることができる。
特に、第2セグメント91、91が炭素鋼(S35C、S45C等)または一般構造用圧延鋼(SS400等)からなると、これらの金属は熱伝導率が高いので、第2通孔4を形成する壁面に糸を長時間接触走行させて、熱が交絡部6に発生したとしても、第2セグメント91、91を介して速やかに放熱することができる。
第2セグメント91、91がプラスチックからなると、プラスチックは比重が小さいので、紡糸ノズル1全体を軽くすることできる。
2つの第2セグメント91の側面91a同士を当接させて形成される貫通孔は、流路5よりも径が大きいのが好ましい。これにより、第1セグメント61および第2セグメント91による交絡部6および外殻部8の組立および分解が容易となる。
頂角αが13°以上であると、糸が供給される側の開口面積が大きくなるので、糸の供給が容易となる。頂角αが19°以下であると、糸が供給される側の端面周辺の厚みを十分確保することができるので、供給部3からのチッピングや欠けが生じにくくなる。
ラッパ状部7aは糸状表面のループや緩みを形成する機能を有するともに、超音速流が第3通孔7a内で発生して、例えば、450m/s以上の空気速度を得ることができるので、ラッパ状部7aがあると、糸の排出速度が上がり生産効率が向上する。
ラッパ状部7aを形成する内周面の曲率半径Rが第2通孔4の直径の4倍以上であると、糸の交絡がさらに効率的に行われる。
例えば、第2通孔4の直径は、1mm以上1.4mm以下であり、内周面の曲率半径Rは、5mm以上7mm以下である。
内周面の発油性が向上するので、糸の表面に付着していた油剤等が付着しにくくなり、タスラン加工の製造効率が長期間に亘って維持される。
第1通孔2、第2通孔4および第3通孔7を形成する内周面の少なくともいずれかは、粗さ曲線における算術平均粗さ(Ra)が0.2μm以下であってもよい。
内周面の算術平均粗さ(Ra)が0.2μm以下であると、糸が内周面に摺接しても糸が切れにくくなるとともに、内周面からも脱粒が生じにくくなるので長期間に亘って用いることができる。
第1通孔2、第2通孔4および第3通孔7を形成する内周面の切断レベル差(Rδc)および算術平均粗さ(Ra)も上述した壁面の切断レベル差(Rδc)および算術平均粗さ(Ra)の測定方法と同じ方法で測定すればよい。
開口縁部10が面取り形状である場合、面取りの大きさは、例えば、0.03mm~0.25mmである。曲面の半径や面取りの大きさが0.03mm以上であると、開口縁部10の欠けをより顕著に抑制することができ、0.25mm以下であると、乱流発生のおそれが低減する。特に、曲面の半径や面取りの大きさは、0.05mm~0.2mmであるとよい。
ここで、第2通孔4の内周面に対して面取りを垂直にした場合、面取りの大きさとは、第2通孔4の内周面からの法線方向の高さである。
また、面取りまたは曲面状は、開口縁部10の全周に形成してもよい。
2 第1通孔
2a 円錐台状部
2b 円柱状部
3 供給部
4 第2通孔
5 流路
51 溝
6 交絡部
61 第1セグメント
61a 側面
7 第3通孔
7a ラッパ状部
8 排出部
9 外殻部
91 第2セグメント
91a 側面
10 開口縁部
11 溝
Claims (14)
- 中心軸に沿って糸が供給される第1通孔を有する供給部と、
前記中心軸に沿って前記第1通孔に接続する第2通孔と外部から前記第2通孔に向か って前記糸を交絡させるための気体を供給する複数の流路とを有する交絡部と、
前記中心軸に沿って前記第2通孔と接続し、交絡させた前記糸を排出する第3通孔を 有する排出部と、を備えてなる紡糸ノズルであって、
前記交絡部は、少なくとも内周面側に、前記交絡部の周方向に配置され、互いに側面 同士を当接させた複数の第1セグメントからなり、
前記第1セグメントは、各側面に前記第1セグメントの外周面と内周面とを接続する 溝を有し、隣接する前記第1セグメントの側面同士が当接した状態で、各側面の前記溝 が前記流路をなしている紡糸ノズル。 - 少なくとも前記交絡部の外周面側に、互いに側面同士を当接させて前記交絡部を囲繞 する複数の第2セグメントからなる外殻部を備える、請求項1に記載の紡糸ノズル。
- 前記第1セグメントはセラミックスからなり、前記第2セグメントは金属またはプラ スチックからなる、請求項2に記載の紡糸ノズル。
- 前記第2セグメントは、前記中心軸に沿って前記供給部の供給側端面および前記排出 部の排出側端面まで延出しており、外周側から前記中心軸に向かって締め付ける締結部 材によって固定され、前記外殻部を形成する、請求項2または3に記載の紡糸ノズル。
- 前記流路を形成する壁面は、粗さ曲線における25%の負荷長さ率での切断レベルと 、前記粗さ曲線における75%の負荷長さ率での切断レベルとの差を表す、前記粗さ曲 線における切断レベル差(Rδc)が0.3μm以下である、請求項1から4のいずれ かに記載の紡糸ノズル。
- 前記流路を形成する壁面は、粗さ曲線における算術平均粗さRaが0.2μm以下で ある、請求項1から5のいずれかに記載の紡糸ノズル。
- 前記交絡部における前記流路は、前記交絡部の外周面から前記排出部に向かって傾斜 しており、前記流路が前記第2通孔に臨む開口縁部のうち、少なくとも、前記流路の内 周面と前記第2通孔の内周面とのなす角度が最小である部位の開口縁部が面取りまたは 曲面状に形成されている、請求項1から6のいずれかに記載の紡糸ノズル。
- 前記第1通孔は、前記糸が供給される側から前記第2通孔に向かって縮径する円錐台 状部と、該円錐台状部に接続する円柱部とを有し、前記円錐台状部の頂角は13°以上 19°以下である、請求項1から7のいずれかに記載の紡糸ノズル。
- 前記第3通孔は、前記糸が排出される側に向かって拡径するラッパ状部を有し、該ラ ッパ状部を形成する前記排出部の内周面の曲率半径は、第2通孔の直径の4倍以上であ る請求項1から8のいずれかに記載の紡糸ノズル。
- 前記第1通孔、前記第2通孔および前記第3通孔を形成する内周面の少なくともいず れかは、粗さ曲線における25%の負荷長さ率での切断レベルと、前記粗さ曲線におけ る75%の負荷長さ率での切断レベルとの差を表す、前記粗さ曲線における切断レベル 差(Rδc)が0.3μm以下(但し、0μmを除く)である、請求項1から9のいず れかに記載の紡糸ノズル。
- 前記第1通孔、前記第2通孔および前記第3通孔を形成する内周面の少なくともいず れかは、粗さ曲線における算術平均粗さRaが0.2μm以下である、請求項1から1 0のいずれかに記載の紡糸ノズル。
- 前記第1通孔および前記第2通孔は、いずれも前記中心軸に垂直な断面形状が円状で あって、前記第2通孔の直径は、前記第1通孔の前記第2通孔に接続する側の直径と等 しいか、それよりも大きい、請求項1から11のいずれかに記載の紡糸ノズル。
- 前記第2通孔および前記第3通孔は、いずれも前記中心軸に垂直な断面形状が円状で あって、前記第3通孔の前記第2通孔に接続する側の直径は、前記第2通孔の直径と等 しいか、それよりも大きい、請求項1から12のいずれかに記載の紡糸ノズル。
- 請求項1から13のいずれかに記載の紡糸ノズルを備えてなる、紡糸装置。
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