JP2004156162A - 空気噴射式織機の緯入れノズル及びこれ用のパイプ - Google Patents
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Abstract
【課題】緯糸搬送力を維持しつつ織物欠点の発生を防止すること。
【解決手段】空気噴射式織機の緯入れノズル用パイプは、流体出口に向けて連続的に拡大するテーパー部を内面に有するパイプであって流体出口側の流体速度が流体入口側の流体速度より大きくなる内面形状を有するパイプであって、該パイプの長さ寸法は150mm以下とされている。前記テーパー部の内面は、流体出口側に向けて漸次増大する直径寸法を有している。前記テーパー部は、3mm以上の流体入口側の直径寸法と、5mm以下の流体出口側の直径寸法とを有している。前記テーパー部の傾斜角度は、0°を超えかつ1°以下である。
【選択図】 図2
【解決手段】空気噴射式織機の緯入れノズル用パイプは、流体出口に向けて連続的に拡大するテーパー部を内面に有するパイプであって流体出口側の流体速度が流体入口側の流体速度より大きくなる内面形状を有するパイプであって、該パイプの長さ寸法は150mm以下とされている。前記テーパー部の内面は、流体出口側に向けて漸次増大する直径寸法を有している。前記テーパー部は、3mm以上の流体入口側の直径寸法と、5mm以下の流体出口側の直径寸法とを有している。前記テーパー部の傾斜角度は、0°を超えかつ1°以下である。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気を緯入れ用流体として用いる空気噴射式織機の緯入れノズル(メインノズル)に関する。
【0002】
【従来の技術】
空気噴射式織機の緯入れノズルの1つとして、特許文献1に記載の技術が知られている。この従来技術は、緯糸が挿通される導通穴を有する緯糸ガイドと、導通穴を取り囲むように配置されて流体流路を形成する本体と、噴射穴の噴射先にあって圧力流体を整流する整流穴を有する整流管とを備えている。整流穴は、パイプのような管材で構成されている。整流穴は、断面積が流体出口の箇所ほど段階的に大きくなる、階段状の断面形状とされている。
【0003】
導通穴に挿通された緯糸は、整流穴の先端(流体出口)から突出した状態で待機し、緯入れ時に圧力流体が流体流路から整流穴に吹き込まれることにより、その圧力流体によって整流穴の先端から噴き出されて経糸の開口に緯入れされる。
【0004】
緯糸は、所定量噴き出されて筬打ちされた後、緯入れノズルと織布との間において切断される。圧力流体は、整流穴内の緯糸領域に噴き当てられる。換言すれば、整流穴内に通されている緯糸に整流穴への流体入口側(反噴射側)から流体出口側(噴射側)に向けて噴出される。
【0005】
【特許文献1】
特公平2−42930号公報(第2頁、第1図、第4図)
【0006】
【解決しようとする課題】
しかし、上記の従来技術においては、緯入れ開始の際に、整流穴内に静止していた緯糸先端部が静止状態から急激に加速されることから、緯入れ開始時点に緯入れノズル内に存在していた緯糸先端部が整流穴内で暴れて損傷しまい、緯入れ後の織布の反給糸側に緯節やビリなどの織物欠点が発生しやすい。
【0007】
また、整流穴の断面積が段階的に大きくなるように構成されていることから、内径が段階的に大きくなっている箇所の境界の急拡大部付近で、圧力流体の流れの剥離による渦が発生しやすい。このため、その渦によって圧力流体の流れ損失が大きくなり、搬送力(流体が緯入れノズル内で緯糸を搬送する力)が小さくなってしまう。
【0008】
本発明の目的は、緯糸の搬送力を維持しつつ織物の欠点の発生を防止することにある。
【0009】
【解決手段、作用、効果】
本発明者等は、精力的に研究を重ねた結果、緯入れノズルのパイプの長さ寸法や内面の形状を改良することにより、本発明の目的を達成することができることを突き止めた。
【0010】
本発明に係る緯入れノズル用パイプは、流体出口に向けて連続的に拡大するテーパー部を内面に有するパイプであって流体出口側の流体速度が流体入口側の流体速度より大きくなる内面形状を有するパイプであり、該パイプの長さ寸法は150mm以下とされている。
【0011】
パイプの長さ寸法が150mm以下であると、パイプ内で暴れて傷んだ緯糸の先端部の大部分が織布の反給糸側の房耳部に使用され、織布内に残存する損傷部の量が少なくなるから、織布に発生する織物欠点の量が少なくなり、織布の品質が向上する。
【0012】
また、パイプの内面に形成されたテーパー部が流体出口の向けて連続的に拡大し、しかもテーパー部に流れる緯入れ用圧力流体の流速が流体出口側ほど速くなる形状を有する(以下、そのような形状を有するパイプ部分を「ラバール(laval)パイプ部分」と称す。)と、パイプの長さ寸法が150mm以下と短いことに起因する緯入れノズルによる緯糸搬送力の低下が補われる。したがって、所定の値の緯糸搬送力を維持しながら、織物欠点の発生を防止することができる。
【0013】
ここで、「連続的に拡大するテーパー部」とは、従来技術のように、テーパー部の範囲内において、内面が、段階的に拡大するのではなく、すなわち、パイプの軸線と平行の面や直交する面のように、パイプの軸線と大きな角度で交差する面(急拡大部)を介することなく、無段階に拡大することをいう。
【0014】
また、「流体出口側の流体速度が流体入口側の流体速度より大きくなる内面形状を有するパイプ」は、その一部にテーパー部を有していればよい。例えば、流体が流入される流体入口側又は流体が流出する流体出口側にストレート部が存在していても、緯入れ用圧力流体の流速が流体出口に向けて連続的に速くなるテーパー部が存在するならば、そのようなパイプであってもよい。
【0015】
前記テーパー部の内面は流体出口側に向けて漸次増大する直径寸法を有していてもよい。そのようなテーパー部を有することにより、従来技術における急拡大部付近での圧力流体の流れの剥離による渦の発生を抑えることができる。
【0016】
前記テーパー部は、3mm以上の流体入口側の直径寸法と、5mm以下の流体出口側の直径寸法とを有していてもよい。また、前記テーパー部の傾斜角度は、0°を超えかつ1°以下であってもよい。そのようにすれば、従来技術における渦による流れ損失を招くことなく、テーパー部に流れる緯入れ用圧力流体の流速が流体出口側の箇所ほど確実に速くなる。
【0017】
本発明に係る緯入れノズルは、前記パイプの流体入口側が挿入された貫通穴を有するノズル本体と、前記貫通穴に緯糸入口側から挿入にされた緯糸ガイドであって前記テーパー部の軸線と同一の軸線を有するニードル部を前記パイプ側に有する緯糸ガイドと、前記テーパー部と前記ニードル部との間隔を調整する調整機構と、少なくとも前記ニードル部の先端部の周りにオリフィス部を形成すべく前記貫通穴に配置されたノズル部であって前記パイプの側ほど小さい直径寸法を有する内周面とされたノズル部と、前記緯入れノズル用パイプとを含む。
【0018】
そのようにすれば、テーパー部とニードル部との間隔を調整することにより、オリフィス部へのニードル部の挿入量を調整することができるから、そのような挿入量をこれが小さく(又は、大きく)なるように調整して、オリフィス部からの圧力流体の流出量を多く(又は、少なく)して、緯糸搬送力を大きく(又は、小さく)することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1から図4を参照するに、本発明に係る緯入れノズル10は、圧力流体として圧縮空気を用いる空気噴射式織機のメインノズルとして用いられる。
【0020】
図1に示すように、緯入れノズル10は、織布12の緯入れ側に位置されている。緯糸貯留装置14から伸びる緯糸16は、緯入れノズル10に、その後端(反織布側)から先端側(織布側)に通されている。
【0021】
緯入れノズル10はL0の長さ寸法を有している。このため、織布12においては、長さL0に対応する緯糸先端領域の大部分が反緯入れ側の房耳部18として用いられ、織布12内に残存する緯糸先端領域はわずかである。
【0022】
図2に示すように、緯入れノズル10は、貫通穴が形成された円筒状のノズル本体20と、ノズル本体20の貫通穴の後端領域(反織布側の領域)に挿入された緯糸ガイド22と、ノズル本体20の貫通穴の中央前半領域に配置された整流器24と、ノズル本体20の貫通穴の中央後半領域に配置された筒状のノズル部26と、一部がノズル本体20の貫通穴の先端領域(織布側の領域)に挿入されたパイプ28とを含む。
【0023】
ノズル本体20の貫通穴は、緯糸16の通過を許すように、ノズル本体20をその軸線方向に貫通している。ノズル本体20の貫通穴は、後端領域、中央前半領域及び中央後半領域として作用する収納穴30と、パイプ28の後端部(織布側の端部)が嵌合された先端領域として作用するパイプ穴32とを同軸的に備えている。
【0024】
収納穴30及びパイプ穴32は、緯糸ガイド22、整流器24、ノズル部26及びパイプ28共通の軸線を有しており、また前者の直径寸法が後者の直径寸法より大きい円形の断面形状を有している。
【0025】
ノズル本体20は、また、圧縮空気のような圧力流体を緯入れノズル10に供給するノズルホルダ(図示せず)に螺合するねじ穴34と、このねじ穴34に連通された流体導入路36とを有している。
【0026】
緯糸ガイド22は、後端側からノズル本体20の収納穴30に同軸的に挿入されたベース部40と、ベース部40から先端側へ同軸的に伸びる中間部42と、中間部42から先端側へ同軸的に伸びるニードル部44と、ベース部40の後端に設けられたフランジ部46と、緯糸ガイド22をその軸線方向に貫通する導糸穴48とを同軸的に有しており、またニードルとして作用する。
【0027】
緯糸ガイド22は、フランジ部46がノズル本体20の後端面に接触した状態に、ベース部40、中間部42及びニードル部44を収納穴30に挿入されて、ベース部40の雄ねじ部50において収納穴30の後端部に螺合されている。
【0028】
ベース部40は、収納穴30とほぼ同じ直径寸法を有する円形の断面形状を有している。中間部42は収納穴30の直径寸法より小さい直径寸法を有する円形の断面形状を有しており、これにより、中間部42の周りを伸びる環状室52がノズル本体20と共同して緯糸ガイド22に形成されている。環状室52は、流体導入路36に連通されている。
【0029】
ニードル部44は、細い円筒状に形成されている。ニードル部44の外周面は、圧力流体を案内する外向き誘導面として作用するように、直径寸法が中間部42の後端部から先端に向けて連続して漸次減少する形状を有している。
【0030】
整流器24は、収納穴30の内径寸法とほぼ同じ外径寸法を有する筒状に形成されており、また前後方向へ伸びる複数の整流フィン54を内周面の少なくとも後半部に有している。周方向に隣り合う整流フィン54の間の空間は、圧力流体を整流する整流路として作用する。
【0031】
ノズル部26は、収納穴30の内径寸法とほぼ同じ外径寸法を有する筒状に形成されている。ノズル部26の内周面は、後端においてはパイプ28の後端の内周面の直径寸法より大きい直径寸法とされ、前端においてはパイプ28の後端の内周面の直径寸法とほぼ同じ直径寸法とされている。
【0032】
しかし、ノズル部26の内周面は、直径寸法がパイプ28の側ほど連続して漸次減少するほぼ截頭円錐形状の形状を有している。これにより、圧力流体を漸次絞って加速してパイプ28内に噴出するオリフィス56が形成されている。ノズル部26は、ノズル本体20又は整流器24に一体的に形成してもよい。
【0033】
図3に示すように、パイプ28の内面は、内径(φa及びφb)が流体流出側(前方側)に向けて連続的に漸次増大する(内径φa<内径φb)截頭円錐形状のテーパー部とされたいわゆるラバール形状を有している。
【0034】
しかし、パイプ28の内面は、直径寸法が流体流出側に向けて連続的に斬増することなく一定とされて圧力流体が加速されないいわゆる直線部をテーパー部の先端側及び後端側の少なくとも一方に含んでいてもよいし、断面が弧状とされていてもよい。以下、図4に示すように、流体流出側に向けて連続的に斬増する角度を傾斜角度θすなわちラバール角度θという。
【0035】
緯入れノズル10において、圧縮空気のような圧力流体は、図示しないノズルホルダにより流体導入路36に供給される。流体導入路36に供給された圧力流体は、環状室52から整流器24を介してノズル部26の供給され、ノズル部26からパイプ28内に噴出され、さらにパイプ28から経糸開口に向けて噴出される。
【0036】
パイプ28の長さ寸法L(図2参照)は150mm以下とされている。このため、例え緯糸16が緯入れノズル10のパイプ28内で暴れて損傷しても、その緯糸16の先端領域の大部分は、織布12の反給糸側の房耳部18に使用され、織布12に残存する量はわずかになる。これにより、織布12の織物欠点の発生が少なくなり、織布12の品質が向上する。
【0037】
緯入れノズル10に供給された圧力流体は、整流器24において整流され、ノズル部26において絞られて加速される。これに対し、パイプ28の長さ寸法Lが150mm以下と短い、緯入れノズル10による緯糸の搬送力が低下する。
【0038】
しかし、緯入れノズル10においては、パイプ28の内面のテーパー部が流体出口の向けて連続的に拡大しており、しかもパイプ28が、テーパー部に流れる圧力流体の流速が流体出口側ほど速くなる形状を有するから、パイプ28の長さ寸法Lが150mm以下と短いことに起因する緯入れノズル10の緯糸搬送力の低下は圧力流体がパイプ28のテーパー部において加速されることにより補われる。したがって、緯入れノズル10によれば、所定の値の緯糸搬送力を維持しながら、織物欠点の発生を防止することができる。
【0039】
上記の緯入れノズル10において、本願発明者等は、以下の試験を行い、緯入れノズル10、特にパイプ28の形状に関する最適値を見出した。以下のいずれの試験においても、製織条件として、織物幅を1675mmにし、織機の主軸の回転数を700rpmにした。
【0040】
[試験1:ストレートタイプのパイプとラバールタイプのパイプとの比較]
【0041】
表1に示す寸法を有する各種のパイプ28の試験体1,2,6を製作し、織機に組み込み、製織を行った。
【0042】
【表1】
【0043】
表1に、それぞれの試験体によって製織された織布の1mあたりの緯節(織物欠点)の数と、緯入れノズル(メインノズルのみ)の圧力(以下MPと記する。)を測定した値とを示す。ここで、MP値は、同じ所定の緯糸飛走速度を得るために必要な圧力を示すものであり、MP値が低いほど搬送力が高いことを示す。
【0044】
表1より、ラバールタイプの試験体2は、試験体1,6に比べてMP値が一番低い(搬送力が一番高い)が、緯節数が一番多いことが認められる。また、ストレートタイプの試験体1は、緯節数が0であるが、MP値が最も高い(搬送力が一番低い)ことが認められる。
【0045】
[試験2:ラバータイプのパイプの長さ寸法の対比]
【0046】
試験2は、試験1の結果のうち、最良の結果を有するラバールタイプの試験体2のパイプの長さ寸法Lを表1に示す値(160mm、135mm、110mm)に変化させた試験体3,4,5を標準長さ寸法が220mmのラバールタイプから製作し、これを用いた緯入れノズルで製織し、それぞれについて緯節数及びMP値を測定した。
【0047】
試験結果を表1に示す。試験1で使用した試験体2及び試験2で使用した試験体3から5の試験結果を参照するに、パイプの長さ寸法Lを短くすると緯糸搬送力が減少することが認められ、またパイプの長さ寸法を長くすると緯糸搬送力が増加することが認められる。
【0048】
以上の試験1及び試験2の結果から、緯入れノズルのパイプの形状と緯節数及び搬送力(MP値)の関係を表2に示す。また、パイプの長さ寸法Lに対する緯節数及び搬送力(MP値)の変化をグラフにしたものを、それぞれ図5及び図6に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
図5より、パイプの長さ寸法Lを大きくすると緯節の発生数が多くなることが認められる。換言すると、パイプの長さ寸法Lを小さくすることにより緯節の発生数が激減することが認められる。ここで、織布1mあたりの緯節数の判定基準は、数個程度以内であることが、経験則から導き出されている。このことから、図5を参照するに、パイプの長さ寸法Lの上限は、150mm以下にすることが好ましいことが認められる。
【0051】
図6より、パイプの長さ寸法Lを150mm以下にしても緯糸搬送力すなわちMP値はほとんど低下しないことが認められる。このことは、ラバールタイプの試験体5のMP値が、試験体6のMP値よりも低く、緯糸搬送力がそれほど減少していないことからも明らかである。
【0052】
表2、図5及び図6より、ラバールタイプのパイプを用いることによって、一方では、緯糸搬送力が大きくなるが、他方では、緯節の発生数が多くなることが認められる。ストレートタイプのパイプを用いた場合では、緯糸搬送力が頭打ちとなることから、パイプの長さ寸法Lを大きくしたり、パイプの内径寸法を大きくしたりしても、チョーク現象により緯糸搬送力の増加に限界がある、と考えられる。したがってラバール角度θ及びパイプの長さ寸法Lから、緯節が発生しにくいラバール形状を特定することができる。
【0053】
また、緯糸が筬溝に入りやすいこと、及び2色以上の多色織機に使用されることを考慮すると、パイプの流体出口(緯糸出口)側の端部の内径φbは小さい方が好ましく、パイプの流体出口側の内径φbはφ5mm以下、より好ましくは、φ4mm〜φ5mmに設定することが適当である。ラバールタイプのパイプの流体入口(緯糸入口)側の内径φaは、パイプの流体出口側の内径φbとの関係から、φ3mm以上、より好ましくは、φ3mm〜φ4mmに設定することが適当であることが認められる。
【0054】
[試験3:ラバール角度θの比較]
【0055】
試験1及び試験2の試験結果から、表1に示す試験体7,8,9の3種類の緯入れノズルを試作し、それぞれに対して緯節数及びMP値を測定した。
【0056】
ここで、試験体7は、試験2でもっとも緯節数が少ない試験体2のパイプの長さ寸法を110mmとし、ラバール角度θを0.38°から0.29°にしたパイプである。
【0057】
試験体8は、試験体1のパイプにおいて、出口側の内径をφ3mmからφ3.5mmに拡大することにより、ラバールタイプにしたパイプである。
【0058】
試験体9は、試験体6のパイプの長さ寸法Lを220mmから110mmに短くしたパイプである。
【0059】
試験結果を表1に示す。表1より、試験体7が最も緯節数が少ないことが認められる。これは、パイプの長さ寸法の短縮とラバール角度θが適当であったこと、及びMP値が低かったことが要因として考えられる。
【0060】
また、試験体7を用いて、織機の主軸の回転数を850rpmに高くして別途追加試験をした結果、緯節数が6、MP値が0.437MPaとなり、織機の主軸の回転数を比較的高くても緯節の発生数が合格レベルに達していることが認められる。
【0061】
以上の試験結果から明らかなように、緯入れノズルは、そのパイプの長さ寸法Lを150mm以下にされており、テーパー部の内径寸法を流体出口に向けて連続的に斬増しており、テーパー部内に緯糸が導入される入口側におけるテーパー部の内径寸法は直径3mm以上であるとともに、出口側におけるテーパー部の内径寸法は直径5mm以下でありテーパー部の傾斜角度は、0°を超えかつ1°以下であることにより、緯糸の搬送力を維持しつつ織物の欠点の発生を防止することができる。しかし、テーパー部の傾斜角度が1°を超えるパイプは、圧力流体の剥離現象により、良好な結果を得ることができなかった。
【0062】
図7を参照するに、上記の緯入れノズル10においては、ノズル部26に対するニードル部44の先端部の位置は、例えば、緯糸ガイド22のベース部40とノズル本体20との螺合の量を調整することにより、変更することができる。したがって、ベース部40とノズル本体20との螺合箇所は、テーパー部とニードル部との間隔を調整する調整機構として作用する。
【0063】
そのような調整機構を備えると、そのようにすれば、テーパー部とニードル部との間隔を調整することにより、オリフィス56へのニードル部44の挿入量を調整することができるから、そのような挿入量をこれが小さく(又は、大きく)なるように調整して、オリフィス56からの圧力流体の流出量を多く(又は、少なく)して、緯糸搬送力を大きく(又は、小さく)することができる。また、緯糸ガイド22を、オリフィス56への挿入量が短く(又は、長くなる)なるものに取り替えることによっても、オリフィス56からの圧力流体の流出量及び緯糸搬送力を変更することができる。
【0064】
パイプ28は、その内径(φa及びφb)が流体出口に向けて連続的に斬増する(内径φa<内径φb)形状として、図8に示すように、流体出口に向けて連続的に斬増する量が指数関数的すなわち連続的にかつ曲線的に傾斜していてもよいことはいうまでもない。
【0065】
ノズル部26は、ノズル本体20又は整流器24に一体的に形成してもよい。
【0066】
本発明は、上記実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない限り、種々に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る緯入れノズルの第1の実施例を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す緯入れノズルの縦断面図である。
【図3】図2に示すパイプの拡大断面図である。
【図4】図3に示すパイプのラバール角度を説明するための拡大断面図である。
【図5】パイプの長さ寸法と1mあたりの緯節の個数との関係を示すグラフである。
【図6】パイプの長さ寸法と搬送力との関係を示すグラフである。
【図7】図2に示すオリフィスの拡大断面図である。
【図8】パイプの他の実施例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
10 緯入れノズル
12 織布
14 緯糸貯留装置
16 緯糸
18 房耳部
20 ノズル本体
22 ニードル
24 整流器
26 ノズル部
28 パイプ
30 ノズル本体の収納穴(貫通穴)
32 ノズル本体のパイプ穴(貫通穴)
40 緯糸ガイドのベース部
42 緯糸ガイドの中間部
44 緯糸ガイドのニードル部
48 導糸穴
50 緯糸ガイドの雄ねじ部
52 環状室
54 整流フィン
56 オリフィス
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気を緯入れ用流体として用いる空気噴射式織機の緯入れノズル(メインノズル)に関する。
【0002】
【従来の技術】
空気噴射式織機の緯入れノズルの1つとして、特許文献1に記載の技術が知られている。この従来技術は、緯糸が挿通される導通穴を有する緯糸ガイドと、導通穴を取り囲むように配置されて流体流路を形成する本体と、噴射穴の噴射先にあって圧力流体を整流する整流穴を有する整流管とを備えている。整流穴は、パイプのような管材で構成されている。整流穴は、断面積が流体出口の箇所ほど段階的に大きくなる、階段状の断面形状とされている。
【0003】
導通穴に挿通された緯糸は、整流穴の先端(流体出口)から突出した状態で待機し、緯入れ時に圧力流体が流体流路から整流穴に吹き込まれることにより、その圧力流体によって整流穴の先端から噴き出されて経糸の開口に緯入れされる。
【0004】
緯糸は、所定量噴き出されて筬打ちされた後、緯入れノズルと織布との間において切断される。圧力流体は、整流穴内の緯糸領域に噴き当てられる。換言すれば、整流穴内に通されている緯糸に整流穴への流体入口側(反噴射側)から流体出口側(噴射側)に向けて噴出される。
【0005】
【特許文献1】
特公平2−42930号公報(第2頁、第1図、第4図)
【0006】
【解決しようとする課題】
しかし、上記の従来技術においては、緯入れ開始の際に、整流穴内に静止していた緯糸先端部が静止状態から急激に加速されることから、緯入れ開始時点に緯入れノズル内に存在していた緯糸先端部が整流穴内で暴れて損傷しまい、緯入れ後の織布の反給糸側に緯節やビリなどの織物欠点が発生しやすい。
【0007】
また、整流穴の断面積が段階的に大きくなるように構成されていることから、内径が段階的に大きくなっている箇所の境界の急拡大部付近で、圧力流体の流れの剥離による渦が発生しやすい。このため、その渦によって圧力流体の流れ損失が大きくなり、搬送力(流体が緯入れノズル内で緯糸を搬送する力)が小さくなってしまう。
【0008】
本発明の目的は、緯糸の搬送力を維持しつつ織物の欠点の発生を防止することにある。
【0009】
【解決手段、作用、効果】
本発明者等は、精力的に研究を重ねた結果、緯入れノズルのパイプの長さ寸法や内面の形状を改良することにより、本発明の目的を達成することができることを突き止めた。
【0010】
本発明に係る緯入れノズル用パイプは、流体出口に向けて連続的に拡大するテーパー部を内面に有するパイプであって流体出口側の流体速度が流体入口側の流体速度より大きくなる内面形状を有するパイプであり、該パイプの長さ寸法は150mm以下とされている。
【0011】
パイプの長さ寸法が150mm以下であると、パイプ内で暴れて傷んだ緯糸の先端部の大部分が織布の反給糸側の房耳部に使用され、織布内に残存する損傷部の量が少なくなるから、織布に発生する織物欠点の量が少なくなり、織布の品質が向上する。
【0012】
また、パイプの内面に形成されたテーパー部が流体出口の向けて連続的に拡大し、しかもテーパー部に流れる緯入れ用圧力流体の流速が流体出口側ほど速くなる形状を有する(以下、そのような形状を有するパイプ部分を「ラバール(laval)パイプ部分」と称す。)と、パイプの長さ寸法が150mm以下と短いことに起因する緯入れノズルによる緯糸搬送力の低下が補われる。したがって、所定の値の緯糸搬送力を維持しながら、織物欠点の発生を防止することができる。
【0013】
ここで、「連続的に拡大するテーパー部」とは、従来技術のように、テーパー部の範囲内において、内面が、段階的に拡大するのではなく、すなわち、パイプの軸線と平行の面や直交する面のように、パイプの軸線と大きな角度で交差する面(急拡大部)を介することなく、無段階に拡大することをいう。
【0014】
また、「流体出口側の流体速度が流体入口側の流体速度より大きくなる内面形状を有するパイプ」は、その一部にテーパー部を有していればよい。例えば、流体が流入される流体入口側又は流体が流出する流体出口側にストレート部が存在していても、緯入れ用圧力流体の流速が流体出口に向けて連続的に速くなるテーパー部が存在するならば、そのようなパイプであってもよい。
【0015】
前記テーパー部の内面は流体出口側に向けて漸次増大する直径寸法を有していてもよい。そのようなテーパー部を有することにより、従来技術における急拡大部付近での圧力流体の流れの剥離による渦の発生を抑えることができる。
【0016】
前記テーパー部は、3mm以上の流体入口側の直径寸法と、5mm以下の流体出口側の直径寸法とを有していてもよい。また、前記テーパー部の傾斜角度は、0°を超えかつ1°以下であってもよい。そのようにすれば、従来技術における渦による流れ損失を招くことなく、テーパー部に流れる緯入れ用圧力流体の流速が流体出口側の箇所ほど確実に速くなる。
【0017】
本発明に係る緯入れノズルは、前記パイプの流体入口側が挿入された貫通穴を有するノズル本体と、前記貫通穴に緯糸入口側から挿入にされた緯糸ガイドであって前記テーパー部の軸線と同一の軸線を有するニードル部を前記パイプ側に有する緯糸ガイドと、前記テーパー部と前記ニードル部との間隔を調整する調整機構と、少なくとも前記ニードル部の先端部の周りにオリフィス部を形成すべく前記貫通穴に配置されたノズル部であって前記パイプの側ほど小さい直径寸法を有する内周面とされたノズル部と、前記緯入れノズル用パイプとを含む。
【0018】
そのようにすれば、テーパー部とニードル部との間隔を調整することにより、オリフィス部へのニードル部の挿入量を調整することができるから、そのような挿入量をこれが小さく(又は、大きく)なるように調整して、オリフィス部からの圧力流体の流出量を多く(又は、少なく)して、緯糸搬送力を大きく(又は、小さく)することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1から図4を参照するに、本発明に係る緯入れノズル10は、圧力流体として圧縮空気を用いる空気噴射式織機のメインノズルとして用いられる。
【0020】
図1に示すように、緯入れノズル10は、織布12の緯入れ側に位置されている。緯糸貯留装置14から伸びる緯糸16は、緯入れノズル10に、その後端(反織布側)から先端側(織布側)に通されている。
【0021】
緯入れノズル10はL0の長さ寸法を有している。このため、織布12においては、長さL0に対応する緯糸先端領域の大部分が反緯入れ側の房耳部18として用いられ、織布12内に残存する緯糸先端領域はわずかである。
【0022】
図2に示すように、緯入れノズル10は、貫通穴が形成された円筒状のノズル本体20と、ノズル本体20の貫通穴の後端領域(反織布側の領域)に挿入された緯糸ガイド22と、ノズル本体20の貫通穴の中央前半領域に配置された整流器24と、ノズル本体20の貫通穴の中央後半領域に配置された筒状のノズル部26と、一部がノズル本体20の貫通穴の先端領域(織布側の領域)に挿入されたパイプ28とを含む。
【0023】
ノズル本体20の貫通穴は、緯糸16の通過を許すように、ノズル本体20をその軸線方向に貫通している。ノズル本体20の貫通穴は、後端領域、中央前半領域及び中央後半領域として作用する収納穴30と、パイプ28の後端部(織布側の端部)が嵌合された先端領域として作用するパイプ穴32とを同軸的に備えている。
【0024】
収納穴30及びパイプ穴32は、緯糸ガイド22、整流器24、ノズル部26及びパイプ28共通の軸線を有しており、また前者の直径寸法が後者の直径寸法より大きい円形の断面形状を有している。
【0025】
ノズル本体20は、また、圧縮空気のような圧力流体を緯入れノズル10に供給するノズルホルダ(図示せず)に螺合するねじ穴34と、このねじ穴34に連通された流体導入路36とを有している。
【0026】
緯糸ガイド22は、後端側からノズル本体20の収納穴30に同軸的に挿入されたベース部40と、ベース部40から先端側へ同軸的に伸びる中間部42と、中間部42から先端側へ同軸的に伸びるニードル部44と、ベース部40の後端に設けられたフランジ部46と、緯糸ガイド22をその軸線方向に貫通する導糸穴48とを同軸的に有しており、またニードルとして作用する。
【0027】
緯糸ガイド22は、フランジ部46がノズル本体20の後端面に接触した状態に、ベース部40、中間部42及びニードル部44を収納穴30に挿入されて、ベース部40の雄ねじ部50において収納穴30の後端部に螺合されている。
【0028】
ベース部40は、収納穴30とほぼ同じ直径寸法を有する円形の断面形状を有している。中間部42は収納穴30の直径寸法より小さい直径寸法を有する円形の断面形状を有しており、これにより、中間部42の周りを伸びる環状室52がノズル本体20と共同して緯糸ガイド22に形成されている。環状室52は、流体導入路36に連通されている。
【0029】
ニードル部44は、細い円筒状に形成されている。ニードル部44の外周面は、圧力流体を案内する外向き誘導面として作用するように、直径寸法が中間部42の後端部から先端に向けて連続して漸次減少する形状を有している。
【0030】
整流器24は、収納穴30の内径寸法とほぼ同じ外径寸法を有する筒状に形成されており、また前後方向へ伸びる複数の整流フィン54を内周面の少なくとも後半部に有している。周方向に隣り合う整流フィン54の間の空間は、圧力流体を整流する整流路として作用する。
【0031】
ノズル部26は、収納穴30の内径寸法とほぼ同じ外径寸法を有する筒状に形成されている。ノズル部26の内周面は、後端においてはパイプ28の後端の内周面の直径寸法より大きい直径寸法とされ、前端においてはパイプ28の後端の内周面の直径寸法とほぼ同じ直径寸法とされている。
【0032】
しかし、ノズル部26の内周面は、直径寸法がパイプ28の側ほど連続して漸次減少するほぼ截頭円錐形状の形状を有している。これにより、圧力流体を漸次絞って加速してパイプ28内に噴出するオリフィス56が形成されている。ノズル部26は、ノズル本体20又は整流器24に一体的に形成してもよい。
【0033】
図3に示すように、パイプ28の内面は、内径(φa及びφb)が流体流出側(前方側)に向けて連続的に漸次増大する(内径φa<内径φb)截頭円錐形状のテーパー部とされたいわゆるラバール形状を有している。
【0034】
しかし、パイプ28の内面は、直径寸法が流体流出側に向けて連続的に斬増することなく一定とされて圧力流体が加速されないいわゆる直線部をテーパー部の先端側及び後端側の少なくとも一方に含んでいてもよいし、断面が弧状とされていてもよい。以下、図4に示すように、流体流出側に向けて連続的に斬増する角度を傾斜角度θすなわちラバール角度θという。
【0035】
緯入れノズル10において、圧縮空気のような圧力流体は、図示しないノズルホルダにより流体導入路36に供給される。流体導入路36に供給された圧力流体は、環状室52から整流器24を介してノズル部26の供給され、ノズル部26からパイプ28内に噴出され、さらにパイプ28から経糸開口に向けて噴出される。
【0036】
パイプ28の長さ寸法L(図2参照)は150mm以下とされている。このため、例え緯糸16が緯入れノズル10のパイプ28内で暴れて損傷しても、その緯糸16の先端領域の大部分は、織布12の反給糸側の房耳部18に使用され、織布12に残存する量はわずかになる。これにより、織布12の織物欠点の発生が少なくなり、織布12の品質が向上する。
【0037】
緯入れノズル10に供給された圧力流体は、整流器24において整流され、ノズル部26において絞られて加速される。これに対し、パイプ28の長さ寸法Lが150mm以下と短い、緯入れノズル10による緯糸の搬送力が低下する。
【0038】
しかし、緯入れノズル10においては、パイプ28の内面のテーパー部が流体出口の向けて連続的に拡大しており、しかもパイプ28が、テーパー部に流れる圧力流体の流速が流体出口側ほど速くなる形状を有するから、パイプ28の長さ寸法Lが150mm以下と短いことに起因する緯入れノズル10の緯糸搬送力の低下は圧力流体がパイプ28のテーパー部において加速されることにより補われる。したがって、緯入れノズル10によれば、所定の値の緯糸搬送力を維持しながら、織物欠点の発生を防止することができる。
【0039】
上記の緯入れノズル10において、本願発明者等は、以下の試験を行い、緯入れノズル10、特にパイプ28の形状に関する最適値を見出した。以下のいずれの試験においても、製織条件として、織物幅を1675mmにし、織機の主軸の回転数を700rpmにした。
【0040】
[試験1:ストレートタイプのパイプとラバールタイプのパイプとの比較]
【0041】
表1に示す寸法を有する各種のパイプ28の試験体1,2,6を製作し、織機に組み込み、製織を行った。
【0042】
【表1】
【0043】
表1に、それぞれの試験体によって製織された織布の1mあたりの緯節(織物欠点)の数と、緯入れノズル(メインノズルのみ)の圧力(以下MPと記する。)を測定した値とを示す。ここで、MP値は、同じ所定の緯糸飛走速度を得るために必要な圧力を示すものであり、MP値が低いほど搬送力が高いことを示す。
【0044】
表1より、ラバールタイプの試験体2は、試験体1,6に比べてMP値が一番低い(搬送力が一番高い)が、緯節数が一番多いことが認められる。また、ストレートタイプの試験体1は、緯節数が0であるが、MP値が最も高い(搬送力が一番低い)ことが認められる。
【0045】
[試験2:ラバータイプのパイプの長さ寸法の対比]
【0046】
試験2は、試験1の結果のうち、最良の結果を有するラバールタイプの試験体2のパイプの長さ寸法Lを表1に示す値(160mm、135mm、110mm)に変化させた試験体3,4,5を標準長さ寸法が220mmのラバールタイプから製作し、これを用いた緯入れノズルで製織し、それぞれについて緯節数及びMP値を測定した。
【0047】
試験結果を表1に示す。試験1で使用した試験体2及び試験2で使用した試験体3から5の試験結果を参照するに、パイプの長さ寸法Lを短くすると緯糸搬送力が減少することが認められ、またパイプの長さ寸法を長くすると緯糸搬送力が増加することが認められる。
【0048】
以上の試験1及び試験2の結果から、緯入れノズルのパイプの形状と緯節数及び搬送力(MP値)の関係を表2に示す。また、パイプの長さ寸法Lに対する緯節数及び搬送力(MP値)の変化をグラフにしたものを、それぞれ図5及び図6に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
図5より、パイプの長さ寸法Lを大きくすると緯節の発生数が多くなることが認められる。換言すると、パイプの長さ寸法Lを小さくすることにより緯節の発生数が激減することが認められる。ここで、織布1mあたりの緯節数の判定基準は、数個程度以内であることが、経験則から導き出されている。このことから、図5を参照するに、パイプの長さ寸法Lの上限は、150mm以下にすることが好ましいことが認められる。
【0051】
図6より、パイプの長さ寸法Lを150mm以下にしても緯糸搬送力すなわちMP値はほとんど低下しないことが認められる。このことは、ラバールタイプの試験体5のMP値が、試験体6のMP値よりも低く、緯糸搬送力がそれほど減少していないことからも明らかである。
【0052】
表2、図5及び図6より、ラバールタイプのパイプを用いることによって、一方では、緯糸搬送力が大きくなるが、他方では、緯節の発生数が多くなることが認められる。ストレートタイプのパイプを用いた場合では、緯糸搬送力が頭打ちとなることから、パイプの長さ寸法Lを大きくしたり、パイプの内径寸法を大きくしたりしても、チョーク現象により緯糸搬送力の増加に限界がある、と考えられる。したがってラバール角度θ及びパイプの長さ寸法Lから、緯節が発生しにくいラバール形状を特定することができる。
【0053】
また、緯糸が筬溝に入りやすいこと、及び2色以上の多色織機に使用されることを考慮すると、パイプの流体出口(緯糸出口)側の端部の内径φbは小さい方が好ましく、パイプの流体出口側の内径φbはφ5mm以下、より好ましくは、φ4mm〜φ5mmに設定することが適当である。ラバールタイプのパイプの流体入口(緯糸入口)側の内径φaは、パイプの流体出口側の内径φbとの関係から、φ3mm以上、より好ましくは、φ3mm〜φ4mmに設定することが適当であることが認められる。
【0054】
[試験3:ラバール角度θの比較]
【0055】
試験1及び試験2の試験結果から、表1に示す試験体7,8,9の3種類の緯入れノズルを試作し、それぞれに対して緯節数及びMP値を測定した。
【0056】
ここで、試験体7は、試験2でもっとも緯節数が少ない試験体2のパイプの長さ寸法を110mmとし、ラバール角度θを0.38°から0.29°にしたパイプである。
【0057】
試験体8は、試験体1のパイプにおいて、出口側の内径をφ3mmからφ3.5mmに拡大することにより、ラバールタイプにしたパイプである。
【0058】
試験体9は、試験体6のパイプの長さ寸法Lを220mmから110mmに短くしたパイプである。
【0059】
試験結果を表1に示す。表1より、試験体7が最も緯節数が少ないことが認められる。これは、パイプの長さ寸法の短縮とラバール角度θが適当であったこと、及びMP値が低かったことが要因として考えられる。
【0060】
また、試験体7を用いて、織機の主軸の回転数を850rpmに高くして別途追加試験をした結果、緯節数が6、MP値が0.437MPaとなり、織機の主軸の回転数を比較的高くても緯節の発生数が合格レベルに達していることが認められる。
【0061】
以上の試験結果から明らかなように、緯入れノズルは、そのパイプの長さ寸法Lを150mm以下にされており、テーパー部の内径寸法を流体出口に向けて連続的に斬増しており、テーパー部内に緯糸が導入される入口側におけるテーパー部の内径寸法は直径3mm以上であるとともに、出口側におけるテーパー部の内径寸法は直径5mm以下でありテーパー部の傾斜角度は、0°を超えかつ1°以下であることにより、緯糸の搬送力を維持しつつ織物の欠点の発生を防止することができる。しかし、テーパー部の傾斜角度が1°を超えるパイプは、圧力流体の剥離現象により、良好な結果を得ることができなかった。
【0062】
図7を参照するに、上記の緯入れノズル10においては、ノズル部26に対するニードル部44の先端部の位置は、例えば、緯糸ガイド22のベース部40とノズル本体20との螺合の量を調整することにより、変更することができる。したがって、ベース部40とノズル本体20との螺合箇所は、テーパー部とニードル部との間隔を調整する調整機構として作用する。
【0063】
そのような調整機構を備えると、そのようにすれば、テーパー部とニードル部との間隔を調整することにより、オリフィス56へのニードル部44の挿入量を調整することができるから、そのような挿入量をこれが小さく(又は、大きく)なるように調整して、オリフィス56からの圧力流体の流出量を多く(又は、少なく)して、緯糸搬送力を大きく(又は、小さく)することができる。また、緯糸ガイド22を、オリフィス56への挿入量が短く(又は、長くなる)なるものに取り替えることによっても、オリフィス56からの圧力流体の流出量及び緯糸搬送力を変更することができる。
【0064】
パイプ28は、その内径(φa及びφb)が流体出口に向けて連続的に斬増する(内径φa<内径φb)形状として、図8に示すように、流体出口に向けて連続的に斬増する量が指数関数的すなわち連続的にかつ曲線的に傾斜していてもよいことはいうまでもない。
【0065】
ノズル部26は、ノズル本体20又は整流器24に一体的に形成してもよい。
【0066】
本発明は、上記実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない限り、種々に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る緯入れノズルの第1の実施例を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す緯入れノズルの縦断面図である。
【図3】図2に示すパイプの拡大断面図である。
【図4】図3に示すパイプのラバール角度を説明するための拡大断面図である。
【図5】パイプの長さ寸法と1mあたりの緯節の個数との関係を示すグラフである。
【図6】パイプの長さ寸法と搬送力との関係を示すグラフである。
【図7】図2に示すオリフィスの拡大断面図である。
【図8】パイプの他の実施例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
10 緯入れノズル
12 織布
14 緯糸貯留装置
16 緯糸
18 房耳部
20 ノズル本体
22 ニードル
24 整流器
26 ノズル部
28 パイプ
30 ノズル本体の収納穴(貫通穴)
32 ノズル本体のパイプ穴(貫通穴)
40 緯糸ガイドのベース部
42 緯糸ガイドの中間部
44 緯糸ガイドのニードル部
48 導糸穴
50 緯糸ガイドの雄ねじ部
52 環状室
54 整流フィン
56 オリフィス
Claims (5)
- 流体出口に向けて連続的に拡大するテーパー部を内面に有するパイプであって流体出口側の流体速度が流体入口側の流体速度より大きくなる内面形状を有するパイプであり、該パイプの長さ寸法は150mm以下とされている、空気噴射式織機の緯入れノズル用パイプ。
- 前記テーパー部の内面は流体出口側に向けて漸次増大する直径寸法を有している、請求項1に記載の緯入れノズル用パイプ。
- 前記テーパー部は、3mm以上の流体入口側の直径寸法と、5mm以下の流体出口側の直径寸法とを有する、請求項1又は2に記載の緯入れノズル用パイプ。
- 前記テーパー部の傾斜角度は、0°を超えかつ1°以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の緯入れノズル用パイプ。
- 前記パイプの流体入口側が挿入された貫通穴を有するノズル本体と、
前記貫通穴に緯糸入口側から挿入にされた緯糸ガイドであって前記テーパー部の軸線と同一の軸線を有するニードル部を前記パイプ側に有する緯糸ガイドと、
前記テーパー部と前記ニードル部との間隔を調整する調整機構と、
少なくとも前記ニードル部の先端部の周りにオリフィス部を形成すべく前記貫通穴に形成されたノズル部であって前記パイプの側ほど小さい直径寸法を有する内周面とされたノズル部と、
請求項1から4のいずれか1項に記載の緯入れノズル用パイプとを含む、緯入れノズル。
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