JP7229434B1 - ヒドロキシチエノイミダゾール誘導体、ビニルスルフィド誘導体、n-ブチリデンスルフィド誘導体、及び飽和直鎖炭化水素置換チエノイミダゾール誘導体の製造方法 - Google Patents

ヒドロキシチエノイミダゾール誘導体、ビニルスルフィド誘導体、n-ブチリデンスルフィド誘導体、及び飽和直鎖炭化水素置換チエノイミダゾール誘導体の製造方法 Download PDF

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Abstract

ヒドロキシチエノイミダゾール誘導体、ビニルスルフィド誘導体、n-ブチリデンスルフィド誘導体、及び飽和直鎖炭化水素置換チエノイミダゾール誘導体の高収率な製造方法の提供を課題とし、かかる課題を解決するために、一実施形態に係る製造方法は、式(I)に表されるチオラクトン誘導体と、式(1)又は(2)に表されるグリニャール試薬とを、銅塩の存在下で混合して、式(II)又は(IV)に表されるヒドロキシチエノイミダゾール誘導体を得る工程を含む。

Description

本発明は、ヒドロキシチエノイミダゾール誘導体、ビニルスルフィド誘導体、n-ブチリデンスルフィド誘導体、及び飽和直鎖炭化水素置換チエノイミダゾール誘導体の製造方法に関する。
下記に表されるビオチンは、動物飼料や医薬品として有用なビタミンの一種と考えられている。
Figure 0007229434000001
非特許文献1には、グリニャール試薬ClMg(CHOMeを用いたビオチンの合成法が記載されている。具体的には、下記に示すように、チオラクトン化合物(A)と上記グリニャール試薬とを付加反応させ、次いで、生成物を加水分解することにより得た中間体(B)を脱水して化合物(C)を得た後、この化合物(C)を水素化することにより化合物(D)を得、最後に、この化合物(D)を、マロン酸エステルとのカップリング、及び脱保護に付すことによりビオチンを得ることが記載されている。なお、「Bn」はベンジル基を表し、「Me」はメチル基を表す。
Figure 0007229434000002
本発明の目的は、ヒドロキシチエノイミダゾール誘導体、ビニルスルフィド誘導体、n-ブチリデンスルフィド誘導体、及び飽和直鎖炭化水素置換チエノイミダゾール誘導体の高収率な製造方法を提供することにある。
一実施形態によると、下記式(II)に表されるヒドロキシチエノイミダゾール誘導体の製造方法が提供される。この製造方法は、下記式(I)に表されるチオラクトン誘導体、下記式(1)に表されるグリニャール試薬、及び銅塩を混合して、下記式(II)に表されるヒドロキシチエノイミダゾール誘導体を得る工程を含む。
Figure 0007229434000003
式(I)において、R及びRは、それぞれ独立して、アルキル基、置換基を有するアルキル基、アリール基、又は、置換基を有するアリール基である。
Figure 0007229434000004
式(1)において、Rは、アルキル基、置換基を有するアルキル基、アリール基、又は、置換基を有するアリール基である。Xは、ハロゲン原子である。
Figure 0007229434000005
式(II)において、R及びRは、式(I)におけるものと同義である。Rは、式(1)におけるものと同義である。
他の実施形態によると、下記式(IV)に表されるヒドロキシチエノイミダゾール誘導体の製造方法が提供される。この製造方法は、上記式(I)に表されるチオラクトン誘導体、下記式(2)に表されるグリニャール試薬、及び銅塩を混合して、下記式(IV)に表されるヒドロキシチエノイミダゾール誘導体を得る工程を含む。
Figure 0007229434000006
式(2)において、Xは、それぞれ独立して、ハロゲン原子である。
Figure 0007229434000007
式(IV)において、R及びRは、式(I)におけるものと同義である。
他の実施形態によると、下記式(III)に表されるビニルスルフィド誘導体の製造方法が提供される。この製造方法は、上記実施形態に係る方法で上記式(II)に表されるヒドロキシチエノイミダゾール誘導体を得る工程と、得られたヒドロキシチエノイミダゾール誘導体を脱水して、下記式(III)に表されるビニルスルフィド誘導体を得る工程とを含む。
Figure 0007229434000008
式(III)において、R及びRは、式(I)におけるものと同義である。Rは、式(1)におけるものと同義である。
他の実施形態によると、下記式(VI)に表される飽和直鎖炭化水素置換チエノイミダゾール誘導体の製造方法が提供される。この製造方法は、上記実施形態に係る方法で上記式(III)に表されるビニルスルフィド誘導体を得る工程と、触媒存在下で得られたビニルスルフィド誘導体と水素とを接触させて、下記式(VI)に表される飽和直鎖炭化水素置換チエノイミダゾール誘導体を得る工程とを含む。
Figure 0007229434000009
式(VI)において、R及びRは、式(I)におけるものと同義である。Rは、式(1)におけるものと同義である。
他の実施形態によると、下記式(V)に表されるn-ブチリデンスルフィド誘導体の製造方法が提供される。この製造方法は、上記実施形態に係る方法で上記式(IV)に表されるヒドロキシチエノイミダゾール誘導体を得る工程と、得られたヒドロキシチエノイミダゾール誘導体を脱水して、下記式(V)に表されるn-ブチリデンスルフィド誘導体を得る工程とを含む。
Figure 0007229434000010
式(V)において、R及びRは、式(I)におけるものと同義である。
本発明によると、ヒドロキシチエノイミダゾール誘導体、ビニルスルフィド誘導体、n-ブチリデンスルフィド誘導体、及び飽和直鎖炭化水素置換チエノイミダゾール誘導体の高収率な製造方法が提供される。
一実施形態に係る製造方法は、上記式(I)に表されるチオラクトン誘導体と、上記式(1)又は(2)に表されるグリニャール試薬とを、銅塩の存在下で混合して、上記式(II)又は(IV)に表されるヒドロキシチエノイミダゾール誘導体を得る工程を含む。ヒドロキシチエノイミダゾール誘導体は、例えば、上記ビオチン、及びビオチン誘導体の合成のための中間体として使用し得る。
この方法によると、ヒドロキシチエノイミダゾール誘導体を高収率で得ることができる。すなわち、銅(Cu)は、硫黄(S)との親和性が高い。したがって、銅塩のCuは、チオラクトン誘導体のS原子に配位し易く、その結果、チオラクトン誘導体のS原子部位を活性化させる。これにより、チオラクトン誘導体のS原子に隣接するカルボニル基を有する炭素原子に、グリニャール試薬が反応し易くなると考えられる。この製造方法によると、例えば、銅塩を添加しない従来法と比較して、必要最低限量のグリニャール試薬を用いて、低温かつ短時間で反応が完結し、また、パラジウム触媒等の高価な触媒を使用せずとも、高収率でヒドロキシチエノイミダゾール誘導体が得られる。それゆえ、低コストで効率的にビオチンを製造できる。
以下、実施形態に係る製造方法について、詳細に説明する。
<式(I)に表されるチオラクトン誘導体>
チオラクトン誘導体は、下記式(I)に表される。チオラクトン誘導体は、上述したビオチン合成のための中間体として用い得る。
Figure 0007229434000011
式(I)において、R及びRは、それぞれ独立して、アルキル基、置換基を有するアルキル基、アリール基、又は、置換基を有するアリール基である。R及びRは、互いに同一の官能基であってもよく、互いに異なる種類の官能基であってもよい。R及びRは、それぞれ独立して、置換基を有するアルキル基であることが好ましく、フェニル基を有するアルキル基であることがより好ましく、ベンジル基であることがより一層好ましい。
又はRで表されるアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。R又はRで表されるアルキル基の炭素数は、例えば1以上20以下、好ましくは1以上10以下、より好ましくは1以上8以下、より一層好ましくは1以上6以下、より一層好ましくは1以上4以下、より一層好ましくは1以上3以下、より一層好ましくは1又は2、より一層好ましくは1である。
又はRで表されるアルキル基は、置換基を有していてもよい。R又はRで表されるアルキル基が有し得る置換基としては、例えば、炭素数3以上20以下(好ましくは6以上20以下、より好ましくは6以上14以下、より一層好ましくは6以上10以下)のアリール基、炭素数1以上6以下(好ましくは1以上4以下、より好ましくは1以上3以下、より一層好ましくは1又は2)のアルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。アリール基は、単環式、二環式又は三環式の芳香族炭化水素環基であり得る。アリール基は、3員環以上8員環以下の単環式であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。アルコキシ基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選択することができる。R又はRで表されるアルキル基が有し得る置換基としては、炭素数3以上8以下のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。R又はRで表されるアルキル基が置換基を有する場合、置換基の数は、例えば1以上5以下、好ましくは1以上3以下、より好ましくは1又は2、より一層好ましくは1である。
又はRで表されるアリール基は、単環式、二環式又は三環式の芳香族炭化水素環基であり得る。R又はRで表されるアリール基は、3員環以上8員環以下の単環式であることが好ましい。R又はRで表されるアリール基の炭素数は、例えば3以上30以下、好ましくは3以上20以下、より好ましくは6以上20以下、より一層好ましくは6以上14以下、より一層好ましくは6以上10以下である。R又はRで表されるアリール基は、フェニル基であることが好ましい。
又はRで表されるアリール基は、置換基を有していてもよい。R又はRで表されるアリール基が有し得る置換基としては、例えば、炭素数1以上6以下(好ましくは1以上4以下、より好ましくは1以上3以下、より一層好ましくは1又は2)のアルキル基、炭素数1以上6以下(好ましくは1以上4以下、より好ましくは1以上3以下、より一層好ましくは1又は2)のアルコキシ基、カルボキシル基、ハロゲン原子等が挙げられる。アルキル基及びアルコキシ基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選択することができる。R又はRで表されるアリール基が置換基を有する場合、置換基の数は、例えば1以上5以下、好ましくは1以上3以下、より好ましくは1又は2、より一層好ましくは1である。
<第1グリニャール試薬>
第1グリニャール試薬は、下記式(1)に表される。
Figure 0007229434000012
式(1)において、Rは、アルキル基、置換基を有するアルキル基、アリール基、又は、置換基を有するアリール基である。R又はRで表される、アルキル基、置換基を有するアルキル基、アリール基、及び、置換基を有するアリール基に関する上記説明は、Rで表される、アルキル基、置換基を有するアルキル基、アリール基、及び、置換基を有するアリール基にも適用される。Rで表される、アルキル基、置換基を有するアルキル基、アリール基、及び、置換基を有するアリール基としては、R及びRで挙げたものと同様のものが挙げられる。Rは、炭素数1以上6以下のアルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
は、ハロゲン原子である。ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選択することができるが、塩素原子又は臭素原子であることが好ましい。
第1グリニャール試薬は、例えば、下記式(1a)に表される有機ハロゲン誘導体を、マグネシウムと接触させることにより得られる。
Figure 0007229434000013
上記式(1a)において、R及びXは、式(1)におけるものと同義である。
マグネシウムとしては、単体のマグネシウムを用いる。マグネシウムは、粉末状であってもよく、短冊状であってもよい。
上記式(1a)に表される有機ハロゲン誘導体とマグネシウムとの接触温度は、例えば40℃以上150℃以下、好ましくは60℃以上100℃以下である。上記式(1a)に表される有機ハロゲン誘導体とマグネシウムとの接触時間は、例えば10分以上10時間以下、好ましくは1時間以上5時間以下である。
1モルのマグネシウムに対する式(1a)に表される有機ハロゲン誘導体の量は、例えば0.1モル以上2モル以下、好ましくは0.5モル以上1.5モル以下である。
上記式(1a)に表される有機ハロゲン誘導体とマグネシウムとの接触は、マグネシウム活性剤の存在下で行われることが好ましい。マグネシウム活性剤としては、例えば、1,2-ジブロモエタン、臭素、ヨウ素、及びトリメチルシリルクロリドからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。1モルのマグネシウムに対するマグネシウム活性剤の量は、例えば0.01モル以上1.5モル以下、好ましくは0.2モル以上0.8モル以下である。
上記式(1a)に表される有機ハロゲン誘導体とマグネシウムとの接触は、第1反応溶媒存在下で行われることが好ましい。第1反応溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチル-テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、tert-ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメチルオキシエタン、ジグライム、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン及びヘプタンからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
第1グリニャール試薬の製造において用いられる第1反応溶媒の量は、1mgのマグネシウムに対して、例えば0.001mL以上10mL以下であり、好ましくは0.01mL以上1mL以下である。
第1反応溶媒を用いる場合、以下の方法で第1グリニャール試薬を調製することが好ましい。先ず、式(1a)に表される有機ハロゲン誘導体と半量の第1反応溶媒とを混合して有機ハロゲン誘導体溶液を調製する。次に、マグネシウム、マグネシウム活性剤、及び半量の第1反応溶媒を混合して第1混合物を得る。この第1混合物に有機ハロゲン誘導体溶液を滴下して、第2混合物を得る。第2混合物を上記接触温度まで加熱した後、上記接触時間にわたって攪拌して第1グリニャール試薬を得る。
<銅塩>
銅塩に含まれる銅原子の価数は、1価又は2価であることが好ましく、1価であることがより好ましい。銅原子の価数が1価である銅塩は、触媒作用が優れている。銅塩としては、例えば、塩化銅(I)(CuCl)、塩化銅(II)(CuCl)、臭化銅(I)(CuBr)、臭化銅(II)(CuBr)、シアン化銅(I)(CuCN)、3-メチルサリチル酸銅(I)、メシチレン銅(I)(MesCu)、イソプロポキシ銅(I)(iPrOCu)、ヨウ化銅(I)(CuI)、ヨウ化銅(II)(CuI)、酢酸銅(I)(CuOAc)、酢酸銅(II)(Cu(OAc))、硫酸銅(II)(CuSO)、酸化銅(I)(CuO)、酸化銅(II)(CuO)、ピバル酸銅(I)(CuOPiv)、ピバル酸銅(II)(Cu(OPiv))、硫黄含有銅塩等から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。硫黄含有銅塩としては、銅(I)チオフェン-2-カルボン酸塩を用いることが好ましい。銅原子の価数が1価である銅塩のうち、CuCl、CuI又はCuBrが特に好ましい。CuCl、CuI及びCuBrは、触媒作用が特に優れている。
<式(II)に表されるヒドロキシチエノイミダゾール誘導体を製造する方法>
式(II)に表されるヒドロキシチエノイミダゾール誘導体を製造する方法は、式(I)に表されるチオラクトン誘導体と、第1グリニャール試薬と、銅塩とを混合する工程を含む。
式(I)に表されるチオラクトン誘導体と式(1)に表されるグリニャール試薬とを、銅塩の存在下で混合すると、付加反応が進行し、下記式(Ia)に表される中間体が生成する。次いで、このものの加水分解を経て、上記式(II)に表されるヒドロキシチエノイミダゾール誘導体が得られると考えられる。この加水分解反応は、水又は酸を用いて処理することにより実施できる。酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、塩化アンモニウム、シリカゲル等から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
Figure 0007229434000014
銅塩の使用量は、第1グリニャール試薬 1モルに対して、0.05モル以上1モル以下であることが好ましい。銅塩の使用量は、第1グリニャール試薬 1モルに対して、より好ましくは、0.5モル以上0.8モル以下であり、より一層好ましくは、0.6モル以上0.72モル以下である。
銅塩の使用量は、チオラクトン誘導体 1モルに対して、通常0.1モル以上10モル以下、好ましくは0.5モル以上5モル以下、より好ましくは0.5モル以上2モル以下である。
第1グリニャール試薬の使用量は、チオラクトン誘導体 1モルに対して、通常0.5モル以上10モル以下、好ましくは1.0モル以上5モル以下、より好ましくは1.0モル以上2.0モル以下である。
チオラクトン誘導体と、第1グリニャール試薬と、銅塩との混合は、第2反応溶媒存在下で行われてもよい。第2反応溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチル-テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム、塩化メチレン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン等から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。第2反応溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて混合溶媒として使用してもよい。第2反応溶媒は、好ましくは、THF、トルエン又はこれらの混合溶媒である。
第2反応溶媒の使用量は、チオラクトン誘導体 1gに対して、例えば、1mL以上100mL以下、好ましくは2mL以上50mL以下である。
チオラクトン誘導体と、第1グリニャール試薬と、銅塩とを混合する際の温度は、例えば、-40℃以上100℃以下の範囲内である。混合の際の温度は、好ましくは-20℃以上40℃以下、より好ましくは-10℃以上20℃以下の範囲内である。この温度範囲内であると、ヒドロキシチエノイミダゾール誘導体の収率がより高まる傾向にある。
チオラクトン誘導体と第1グリニャール試薬と銅塩とを混合する際の時間は、通常0.5~72時間、好ましくは1~48時間である。
チオラクトン誘導体と第1グリニャール試薬と銅塩との混合は、以下の方法で行われることが好ましい。
先ず、第1グリニャール試薬及び銅塩を混合して有機銅試薬を得る。第1グリニャール試薬としては、第1グリニャール試薬を第1又は第2反応溶媒に溶解させた第1グリニャール試薬溶液を用いてもよい。また、銅塩としては、銅塩を第2反応溶媒に溶解させた銅塩溶液を用いてもよい。第1グリニャール試薬及び銅塩の混合温度は、上記のチオラクトン誘導体、第1グリニャール試薬、及び銅塩の混合温度の範囲内であればよい。第1グリニャール試薬及び銅塩の混合時間は、例えば、1分以上1時間以下とする。
この有機銅試薬において、第1グリニャール試薬と銅塩とは、下記式(3)に表される銅錯体を形成していると考えられる。
Figure 0007229434000015
式(3)において、R及びXは、式(1)におけるものと同義である。Yは、銅塩の陰イオンを表す。m及びnは、それぞれ、1以上3以下の整数である。
次に、この有機銅試薬と式(I)に表されるチオラクトン誘導体とを接触させる。式(I)に表されるチオラクトン誘導体としては、このチオラクトン誘導体を第2反応溶媒に溶解させたチオラクトン誘導体溶液を用いてもよい。有機銅試薬及びチオラクトン誘導体の接触温度は、上記のチオラクトン誘導体、第1グリニャール試薬、及び銅塩の混合温度の範囲内であればよい。有機銅試薬及びチオラクトン誘導体の接触時間は、上記のチオラクトン誘導体、第1グリニャール試薬、及び銅塩の混合時間の範囲内であればよい。
<式(II)に表されるヒドロキシチエノイミダゾール誘導体>
ヒドロキシチエノイミダゾール誘導体は、下記式(II)に表される。ヒドロキシチエノイミダゾール誘導体は、上述したビオチン合成のための中間体として用い得る。
Figure 0007229434000016
式(II)において、R及びRは、式(I)におけるものと同義である。Rは、式(1)におけるものと同義である。
ヒドロキシチエノイミダゾール誘導体は公知の方法でビオチンへと誘導される。
例えば、先ず、式(II)に表されるヒドロキシチエノイミダゾール誘導体を脱水することにより、下記式(III)に表されるビニルスルフィド誘導体が得られる。
Figure 0007229434000017
式(III)において、R及びRは、式(I)におけるものと同義である。Rは、式(1)におけるものと同義である。
ヒドロキシチエノイミダゾール誘導体の脱水方法としては、例えば、酸処理又は加熱処理が挙げられる。酸処理は、例えば、式(II)に表されるヒドロキシチエノイミダゾール誘導体と酸触媒とを接触させることを含む。酸触媒としては、例えば、硫酸、塩酸、又はこれらの混合物が挙げられる。加熱処理の温度は、例えば-20~120℃、好ましくは0~70℃である。酸処理と加熱処理とを組み合わせてもよい。
次に、式(III)に表されるビニルスルフィド誘導体を、例えば、Pd触媒存在下で水素付加し、下記式(VI)に表される化合物を得る。得られた式(VI)に表される化合物と臭化水素とを反応させて下記式(VIII)に表される化合物を得た後、得られた化合物とCH(COOEt)とを反応させて下記式(XI)に表される化合物を得る。得られた化合物を脱ベンジル化した後、例えば臭化水素で処理することにより、ビオチンが得られる。なお、「Et」はエチル基を表す。
Figure 0007229434000018
<式(VI)に表される飽和直鎖炭化水素置換チエノイミダゾール誘導体>
飽和直鎖炭化水素置換チエノイミダゾール誘導体は、下記式(VI)に表される。飽和直鎖炭化水素置換チエノイミダゾール誘導体は、上述したビオチン合成のための中間体として用い得る。
Figure 0007229434000019
式(VI)において、R及びRは、式(I)におけるものと同義である。Rは、式(1)におけるものと同義である。
この飽和直鎖炭化水素置換チエノイミダゾール誘導体は、例えば、上記実施形態に係る方法で得られた式(III)に表されるビニルスルフィド誘導体を、触媒存在下、水素(H)と接触させることにより得られる。
触媒としては、白金炭素、酸化白金などの白金触媒;パラジウムブラック、パラジウム炭素、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、酸化パラジウムなどのパラジウム触媒;ラネーニッケルなどのニッケル触媒、ラネーコバルトなどのコバルト触媒、塩化ルテニウムなどのルテニウム触媒、塩化イリジウムなどのイリジウム触媒、鉄粉などの鉄触媒を用い得る。好ましくは、ラネーニッケル及びパラジウム炭素の少なくとも一方である。
触媒の量は、基質であるビニルスルフィド誘導体に対して、例えば0.001~1000mol%、好ましくは0.1~800mol%である。
触媒存在下での式(III)に表されるビニルスルフィド誘導体と水素との接触の際には、水素圧は、例えば1~150気圧とし、好ましくは1~50気圧とする。
また、触媒存在下での式(III)に表されるビニルスルフィド誘導体と水素との接触の際には、接触温度を、例えば10~200℃とし、好ましくは25~150℃とする。
触媒存在下での式(III)に表されるビニルスルフィド誘導体と水素との接触の際には、接触時間を、例えば0.5~100時間とし、好ましくは1~72時間とする。
触媒存在下での式(III)に表されるビニルスルフィド誘導体と水素との接触は、溶媒存在下で行われてもよい。溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、2-ブタノール、エチレングリコール、1,2-ジメトキシエタン、メチルセロソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、THF、シクロペンチルメチルエーテル、1,4-ジオキサン、酢酸、水、又は、これらの混合溶媒を用い得る。好ましくは、メタノール、又はメタノールと水の混合溶媒を用いる。
溶媒の使用量は、基質であるビニルスルフィド誘導体1gに対して、例えば1~200mLとし、好ましくは3~100mLとする。
<式(IV)に表されるヒドロキシチエノイミダゾール誘導体を製造する方法>
式(IV)に表されるヒドロキシチエノイミダゾール誘導体は、第1グリニャール試薬の代わりに第2グリニャール試薬を用いること以外は、上述した式(II)に表されるヒドロキシチエノイミダゾール誘導体の製造方法と同一の方法で製造できる。
すなわち、式(IV)に表されるヒドロキシチエノイミダゾール誘導体を製造する方法は、式(I)に表されるチオラクトン誘導体と、式(2)に表されるグリニャール試薬と、銅塩とを混合する工程を含む。
式(I)に表されるチオラクトン誘導体と式(2)に表されるグリニャール試薬とを、銅塩の存在下で混合すると、付加反応が進行し、下記式(Ib)に表される中間体を生成する。次いで、このものの加水分解を経て、上記式(IV)に表されるヒドロキシチエノイミダゾール誘導体が得られると考えられる。この加水分解反応は、水又は酸を用いて処理することにより実施できる。酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、塩化アンモニウム、シリカゲル等から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
Figure 0007229434000020
式(Ib)において、R及びRは、式(I)におけるものと同義である。Xは、式(2)におけるものと同義である。
<第2グリニャール試薬>
第2グリニャール試薬は、下記式(2)に表される。
Figure 0007229434000021
式(2)において、Xは、それぞれ独立して、ハロゲン原子である。ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選択することができるが、塩素原子又は臭素原子であることが好ましい。2個のXは、同一種類のハロゲン原子であってもよいし、異なる種類のハロゲン原子であってもよい。
第2グリニャール試薬は、例えば、上記式(1a)に表される有機ハロゲン誘導体の代わりに、下記式(2a)に表される有機ハロゲン誘導体を用いること以外は、上述した第1グリニャール試薬の製造方法と同一の方法で製造できる。
Figure 0007229434000022
上記式(2a)において、Xは、式(2)におけるものと同義である。
なお、式(IV)に表されるヒドロキシチエノイミダゾール誘導体の製造においても、式(II)に表されるヒドロキシチエノイミダゾール誘導体の製造方法と同様に、第2グリニャール試薬及び銅塩を混合して得られた有機銅試薬を用いることが好ましい。
この有機銅試薬において、第2グリニャール試薬と銅塩とは、下記式(4)に表される銅錯体を形成していると考えられる。
Figure 0007229434000023
式(4)において、Xは、式(2)におけるものと同義である。Zは、銅塩の陰イオンを表す。p及びqは、それぞれ、1以上3以下の整数である。
銅塩の使用量は、第2グリニャール試薬 1モルに対して、0.1モル以上2モル以下であることが好ましい。銅塩の使用量は、第2グリニャール試薬 1モルに対して、より好ましくは0.5モル以上1.5モル以下であり、より一層好ましくは0.6モル以上1.2モル以下である。
銅塩の使用量は、チオラクトン誘導体 1モルに対して、通常0.1モル以上10モル以下、好ましくは0.5モル以上5モル以下、より好ましくは0.5モル以上2モル以下である。
第2グリニャール試薬の使用量は、チオラクトン誘導体 1モルに対して、通常0.5モル以上10モル以下、好ましくは1.0モル以上5モル以下、より好ましくは1.0モル以上2モル以下である。
<式(IV)に表されるヒドロキシチエノイミダゾール誘導体>
ヒドロキシチエノイミダゾール誘導体は、下記式(IV)に表される。このヒドロキシチエノイミダゾール誘導体は、ビオチン誘導体の合成のための中間体として用い得る。
Figure 0007229434000024
式(IV)において、R及びRは、式(I)におけるものと同義である。
このヒドロキシチエノイミダゾール誘導体を脱水することにより、下記式(V)に表されるn-ブチリデンスルフィド誘導体が得られる。このn-ブチリデンスルフィド誘導体は、ビオチン合成のための中間体として用い得る。
Figure 0007229434000025
式(V)において、R及びRは、式(I)におけるものと同義である。
ヒドロキシチエノイミダゾール誘導体の脱水方法としては、例えば、酸処理又は加熱処理が挙げられる。酸処理は、例えば、式(IV)に表されるヒドロキシチエノイミダゾール誘導体と酸触媒とを接触させることを含む。酸触媒としては、例えば、硫酸、塩酸、又はこれらの混合物が挙げられる。加熱処理の温度は、例えば-20~120℃、好ましくは0~70℃である。酸処理と加熱処理とを組み合わせてもよい。
<実施例1>
下記反応式に示すように、式(I’)に表される化合物から、式(III’)に表される化合物を得た。なお、「Bn」はベンジル基を表し、「Me」はメチル基を表す。
Figure 0007229434000026
(第1グリニャール試薬の調製)
先ず、以下の方法で第1グリニャール試薬を準備した。Mg(24.3mg、1.00mmol、2.0当量)にTHF(1.00mL)、1,2-ジブロモエタン(0.05mL)を加えて活性化させた後、1-クロロ-3-メトキシプロパン(54.3mg、0.500mmol、1.00当量)のTHF(1.00mL)溶液をゆっくり滴下した。すべて加え終わった後、80℃で3時間撹拌した。
(ヒドロキシチエノイミダゾール誘導体の製造)
CuCl(24.8mg、0.250mmol、1.0当量)の乾燥THF(1.50mL)懸濁液に、上記の方法で得られた第1グリニャール試薬(0.25M)のTHF溶液(1.50mL、0.375mmol、1.5当量)を0℃の温度下で5分間にわたって滴下した後、0℃の温度で10分間攪拌して有機銅試薬を得た。この有機銅試薬に、式(I’)に表される化合物(84.6mg、0.250mmol、1.0当量)のTHF溶液(2.00mL)を0℃の温度下で5分間にわたって滴下した後、0℃の温度で2時間にわたって攪拌して反応物を得た。反応物を薄層クロマトグラフィー(TLC)で展開し、反応終了を確認した。展開溶媒としては、酢酸エチルとn-ヘキサンと1:1の体積比で混合した混合溶媒を用いた。式(II’)に表される化合物のRf値は0.11であった。なお、TLCで使用されるプレートにはシリカゲルが塗布されており、このシリカゲルが酸として働き、中間体(式(Ia)参照)の加水分解により、式(II’)に表される化合物が生じる。反応物に10%HSO溶液(2mL)とトルエン(5mL)とを0℃の温度下で加えた後、室温で30分にわたって攪拌し、水層と有機層とに分離させて有機層を得た。
なお、式(II’)に表される化合物のNMR結果は下記のとおりであった。
H NMR (400MHz,CDCl,30℃) δ 7.35-7.22(m,10H),5.16-5.10(m,1H),4.86-4.78(m,1H),4.43(s,1H),4.17-3.96(m,3H),3.67(dd,J=15.7,9.3Hz,1H),3.61-3.32(m,5H),3.04-2.77(m,2H),2.38-2.31(m,1H),2.01-1.67(m,3H)。
(ビニルスルフィド誘導体の製造)
次に、この有機層に1滴(触媒量)の濃硫酸を加えた後、60℃で1時間にわたって攪拌して混合物を得た。この混合物を上記と同様の方法でTLCで展開した。式(III’)に表される化合物のRf値は0.50であった。混合物を5mLの1M塩酸で3回洗浄し、更に5mLの食塩水で洗浄した後、NaSOを用いて乾燥させて残留物を得た。この残留物についてNMRを用いて分析して、上記式(III’)に表される化合物を含むことを確認した。収率は97%であった。式(III’)に表される化合物のNMR結果は下記のとおりであった。
H NMR (400MHz,CDCl,30℃) δ 7.36-7.27(m,10H),5.51(t,J=7.0Hz,1H),4.93(d,J=15.6Hz,1H),4.79(d,J=15.3Hz,1H),4.30(d,J=7.7Hz,1H),4.23(d,J=15.3Hz,1H),4.10-4.04(m,2H),3.36(dt,J=12.9,2.1Hz,2H),3.32(s,3H),3.00-2.92(m,2H),2.41-2.23(m,2H)。
<実施例2>
1,2-ジブロモエタンの量を0.025mLとしたこと、CuClの量を18.6mg(0.188mmol、0.75当量)としたこと、及び、第1グリニャール試薬のTHF溶液の量を1.10mL(0.275mmol、1.1当量)としたこと以外は、実施例1に記載したのと同様の方法で、式(I’)に表される化合物から式(III’)に表される化合物を得た。式(III’)に表される化合物の収率は100%であった。
<実施例3>
下記反応式に示すように、式(I’)に表される化合物から、式(V’)に表される化合物を得た。なお、「Bn」はベンジル基を表す。
Figure 0007229434000027
(第2グリニャール試薬の調製)
先ず、以下の方法で第2グリニャール試薬を準備した。Mg(48.6mg、2.00mmol、4.0当量)にTHF(1.00mL)、1,2-ジブロモエタン(0.05mL、0.58mmol)を加えて活性化させた後、1,4-ジクロロブタン(63.5mg、0.500mmol、1.00当量)のTHF(1.00mL)溶液をゆっくり滴下した。すべて加え終わった後、80℃で3時間撹拌した。
(ヒドロキシチエノイミダゾール誘導体の製造)
CuCl(27.2mg、0.275mmol、1.1当量)の乾燥THF(2.00mL)懸濁液に、上記の方法で得られた第2グリニャール試薬(0.25M)のTHF溶液(1.10mL、0.275mmol、1.1当量)を0℃の温度下で5分間にわたって滴下した後、0℃の温度で10分間攪拌して有機銅試薬を得た。この有機銅試薬に、式(I’)に表される化合物(84.6mg、0.250mmol、1.0当量)のTHF溶液(2.00mL)を0℃の温度下で5分間にわたって滴下した後、0℃の温度で1時間にわたって攪拌して反応物を得た。反応物を薄層クロマトグラフィー(TLC)で展開し、反応終了を確認した。展開溶媒としては、酢酸エチルとn-ヘキサンとを1:1の体積比で混合した混合溶媒を用いた。式(IV’)に表される化合物のRf値は0.15であった。なお、TLCで使用されるプレートにはシリカゲルが塗布されており、このシリカゲルが酸として働き、中間体(式(Ib)参照)の加水分解により、式(IV’)に表される化合物が生じる。反応物に10%HSO溶液(2mL)とトルエン(5mL)とを0℃の温度下で加えた後、室温で30分にわたって攪拌し、水層と有機層とに分離させて有機層を得た。
(ビニルスルフィド誘導体の製造)
次に、この有機層に1滴(触媒量)の濃硫酸を加えた後、60℃で1時間にわたって攪拌して混合物を得た。この混合物を上記と同様の方法でTLCで展開した。式(V’)に表される化合物のRf値は0.6であった。混合物を5mLの1M塩酸で3回洗浄し、更に5mLの食塩水で洗浄した後、NaSOを用いて乾燥させて残留物を得た。この残留物についてNMRを用いて分析して、上記式(V’)に表される化合物を含むことを確認した。収率は36%であった。式(V’)に表される化合物のNMR結果は下記のとおりであった。
H NMR (400MHz,CDCl,30℃) δ 7.36-7.24(m,10H),5.46(t,J=7.2Hz,1H),4.97(d,J=15.8Hz,1H),4.81(d,J=15.2Hz,1H),4.31-4.20(m,2H),4.15-4.01(m,2H),3.00-2.92(m,2H),2.04(hept,J=8.0Hz,2H),1.39(sext,J=7.3Hz,1H),1.26(t,J=7.1Hz,1H),0.91(t,J=7.3Hz,3H)。
<実施例4>
下記反応式に示すように、下記式(III’)に表される化合物から、式(VI’)に表される化合物を得た。なお、「Bn」はベンジル基を表し、「Me」はメチル基を表す。
Figure 0007229434000028
ラネーニッケル(92.5質量%(水中)、100mg、1.58mmol、6.7当量)をオートクレーブ用ガラス試験管に手早く量り取り、メタノール(5.00mL)を加えた。式(III’)に表される化合物(92.6mg、0.235mmol、1.0当量)のメタノール溶液(5.00mL)を加えた後、水素圧20atm下、40℃で20時間撹拌した。反応物を薄層クロマトグラフィー(TLC)で展開し、反応終了を確認した。展開溶媒としては、酢酸エチルとn-ヘキサンと1:1の体積比で混合した混合溶媒を用いた。式(VI’)に表される化合物のRf値は0.51であった。氷で冷却後、大気開放し、セライト濾過(酢酸エチル、5mL×4)によりラネーニッケルを乾燥させないように注意しながら除いた。有機層を1M HCl水溶液(20mL×3)、食塩水(5mL×1)で洗浄後、NaSOで乾燥した。溶媒留去により、式(VI’)に表される化合物を収量90.8mg、収率97%で得た。なお、式(III’)に表される化合物は痕跡量のみ含まれていた。式(VI’)に表される化合物のNMRの分析結果は下記のとおりであった。
H NMR (400 MHz,CDCl,30°C) δ 7.34-7.24(m,10H),5.10(d,J=15.2Hz,1H),4.75(d,J=15.1Hz,1H),4.14(d,J=15.2Hz,1H),3.99-3.95(m,2H),3.87(dd,J=9.5,5.6Hz,1H),3.43-3.35(m,2H),3.34(s,3H),3.335-3.25(m,1H),3.17-3.11(m,1H),2.77-2.66(m,1H),1.90-1.74(m,2H),1.61-1.45(m,2H);13C{H} NMR (100MHz,CDCl,30℃) δ 161.1,137.1,137.0,128.8,128.80,128.4,127.8,72.2,62.7,61.3,58.7,54.2,47.9,46.8,34.9,29.2,25.6; HRMS (FAB) m/z calcd. for C2329S 397.1950 ([M+H]) found 397.1946。

Claims (9)

  1. 下記式(I):
    Figure 0007229434000029
    [式中、R及びRは、それぞれ独立して、アルキル基、置換基を有するアルキル基、アリール基、又は、置換基を有するアリール基である。]
    に表されるチオラクトン誘導体、
    下記式(1):
    Figure 0007229434000030
    [式中、Rは、アルキル基、置換基を有するアルキル基、アリール基、又は、置換基を有するアリール基であり、Xは、ハロゲン原子である。]
    に表されるグリニャール試薬、及び
    銅塩
    を混合して、下記式(II):
    Figure 0007229434000031
    [式中、R及びRは、前記式(I)におけるものと同義であり、Rは、前記式(1)におけるものと同義である。]
    に表されるヒドロキシチエノイミダゾール誘導体を得る工程を含む、ヒドロキシチエノイミダゾール誘導体の製造方法。
  2. 前記工程において、前記式(1)に表されるグリニャール試薬及び前記銅塩を混合して有機銅試薬を形成させた後、前記有機銅試薬と前記式(I)に表されるチオラクトン誘導体とを接触させて、前記式(II)に表されるヒドロキシチエノイミダゾール誘導体を得る、請求項1に記載のヒドロキシチエノイミダゾール誘導体の製造方法。
  3. 1モルの前記式(1)に表されるグリニャール試薬に対する前記銅塩の量は、0.05モル以上1モル以下である、請求項1に記載のヒドロキシチエノイミダゾール誘導体の製造方法。
  4. 請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法で前記ヒドロキシチエノイミダゾール誘導体を得る工程と、
    前記ヒドロキシチエノイミダゾール誘導体を脱水して、下記式(III):
    Figure 0007229434000032
    [式中、R及びRは、式(I)におけるものと同義であり、Rは、式(1)におけるものと同義である。]
    に表されるビニルスルフィド誘導体を得る工程と
    を含む、ビニルスルフィド誘導体の製造方法。
  5. 請求項4に記載の方法で前記ビニルスルフィド誘導体を得る工程と、
    触媒存在下で前記ビニルスルフィド誘導体と水素とを接触させて、下記式(VI):
    Figure 0007229434000033
    [式中、R及びRは、式(I)におけるものと同義であり、Rは、式(1)におけるものと同義である。]
    に表される飽和直鎖炭化水素置換チエノイミダゾール誘導体を得る工程と
    を含む、飽和直鎖炭化水素置換チエノイミダゾール誘導体の製造方法。
  6. 下記式(I):
    Figure 0007229434000034
    [式中、R及びRは、それぞれ独立して、アルキル基、置換基を有するアルキル基、アリール基、又は、置換基を有するアリール基である。]
    に表されるチオラクトン誘導体、
    下記式(2):
    Figure 0007229434000035
    [式中、Xは、それぞれ独立して、ハロゲン原子である。]
    に表されるグリニャール試薬、及び
    銅塩
    を混合して、下記式(IV):
    Figure 0007229434000036
    [式中、R及びRは、前記式(I)におけるものと同義である。]に表されるヒドロキシチエノイミダゾール誘導体を得る工程を含む、ヒドロキシチエノイミダゾール誘導体の製造方法。
  7. 前記工程において、前記式(2)に表されるグリニャール試薬及び前記銅塩を混合して有機銅試薬を形成させた後、前記有機銅試薬と前記式(I)に表されるチオラクトン誘導体とを接触させて、前記式(IV)に表されるヒドロキシチエノイミダゾール誘導体を得る、請求項6に記載のヒドロキシチエノイミダゾール誘導体の製造方法。
  8. 1モルの前記式(2)に表されるグリニャール試薬に対する前記銅塩の量は、0.1モル以上2モル以下である、請求項6に記載のヒドロキシチエノイミダゾール誘導体の製造方法。
  9. 請求項6乃至8の何れか一項に記載の方法で前記ヒドロキシチエノイミダゾール誘導体を得る工程と、
    前記ヒドロキシチエノイミダゾール誘導体を脱水して、下記式(V):
    Figure 0007229434000037
    [式中、R及びRは、前記式(I)におけるものと同義である。]に表されるn-ブチリデンスルフィド誘導体を得る工程と
    を含む、n-ブチリデンスルフィド誘導体の製造方法。
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WARM, A. ET AL.: "Process Development Implications of Biotin Production Scale-Up", ORGANIC PROCESS RESEARCH & DEVELOPMENT, vol. 7(3), JPN6022034624, 2003, pages 272 - 284, ISSN: 0004968874 *
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伊坂一郎ら: "Biotinの合成研究(第3報) 3,4-(1',3'-Dibenzyl-2'-oxoimidazolido)-2-oxothiophaneのGrignard 反応", 薬学雑誌, vol. 88(8), JPN6022034622, 1968, pages 1068 - 1073, ISSN: 0004968872 *

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