JP7202663B2 - スピネル型ナトリウムチタン酸化物 - Google Patents

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Description

本発明は、スピネル型ナトリウムチタン酸化物に関する。より具体的には、本発明は、ナトリウムイオン電池の負極材料として有用な新規のスピネル型ナトリウムチタン酸化物に関する。
現在、リチウムイオン電池は、最も普及した二次電池として知られている。しかしながら、リチウムイオン電池で電荷担体として利用されるリチウム元素がレアメタルであること、及び資源的に偏在していることから、その代替となる新たな二次電池の開発が望まれている。新たな二次電池の候補として、ナトリウムイオン電池が注目されている。ナトリウムイオン電池は、特に、電荷単体として豊富に存在するナトリウム元素を用いる点、及び鉄やマンガン等のベースメタルを含んだ正極材料の候補が多い点などから、資源的制約の少ない電池として魅力的である。
ナトリウムイオン電池は、リチウムイオン電池に比べて正極材料の候補が多い一方で、負極材料の候補は限られている。特に、リチウム電池で有効とされている炭素系材料がナトリウムイオン電池では十分に機能しない点で課題が大きい。このため、新たな負極材料の探索が試みられてきた。
スピネル型構造を有するリチウムチタン酸化物(Li4Ti512)は、従来よりリチウムイオン電池の負極材料として利用されてきたが、近年になってナトリウムイオン電池の負極材料としても機能することが報告された(非特許文献1)。このリチウムチタン酸化物は安定な酸化物であり、且つ比較的高いナトリウム吸蔵-脱離電位を有することから、金属ナトリウムのデンドライト生成が起こらない、安全な負極材料として注目を集めている(非特許文献2)。
しかしながら、スピネル型構造を有するリチウムチタン酸化物(Li4Ti512)負極は、リチウム電池ですでに実用化されている一方で、ナトリウムイオン電池では未だ実用化に至っていない。その主な理由としては、以下に説明するように、ナトリウムの吸蔵-脱離の際に起こりうる、格子体積の大きな変化が挙げられる。これは、ナトリウムのイオン半径(RNa+=102pm)は、リチウムのイオン半径(RLi+=76pm)に比べて大きいことに起因する。
現在提案されているLi4Ti512負極のリチウムイオン電池及びナトリウムイオン電池における充電反応機構はそれぞれ下記(式a)及び(式b)に示す通りである。ナトリウムイオン電池の充電反応においては、ナトリウムは負極に均一にドープされず、その結果、リチウム濃縮相とナトリウム濃縮相とが生じる(非特許文献3、4)。
リチウムイオン電池:
Li4Ti512+3Li++3e-→Li7Ti512(式a)
ナトリウムイオン電池:
2Li4Ti512+6Na++6e-→Li7Ti512+Na6LiTi512(式b)
ここで、リチウムイオン電池の充電前のLi4Ti512相および放電後に生じるリチウム吸蔵相(Li7Ti512相)の格子定数aはいずれもおよそ8.36Åである。つまり、リチウム吸蔵相は、リチウム吸蔵前に比べて格子定数aの変化はない。したがって、リチウムイオン電池の電池動作においては、リチウムの吸蔵及び脱離によっても負極の格子体積の膨張-収縮はほとんど起こらない(非特許文献5)。
一方で、ナトリウムイオン電池の充電後に生じるナトリウム濃縮相(Na6LiTi512相)の格子定数aは例えば8.72Åとされている。つまり、ナトリウム濃縮相は、ナトリウム吸蔵前に比べ、格子定数aにして4%以上の増大、体積にして14%以上という顕著な膨張を伴う。したがって、ナトリウムイオン電池の電池動作においては、ナトリウムの吸蔵及び脱離によって負極の格子体積の顕著な膨張-収縮を伴う。このため、ナトリウムイオン電池におけるLi4Ti512負極の動作は本質的に不安定で電極の劣化が早く、サイクル安定性及び充放電レート特性の点で実用化の妨げとなっている。
ナトリウムイオン電池のLi4Ti512負極に関する上述のような問題に対する取り組みとして、Li4Ti512格子へナトリウムを予めドープさせておくことが考えられている。この取り組みは、リチウムよりイオン半径の大きなナトリウムを格子内のリチウムと置き換えて、より格子定数の大きなナトリウム吸蔵相(NaxLi4-xTi512相)を予め生成しておくことで、ナトリウムの吸蔵及び脱離による格子体積の変化を軽減することを目的とする。
このようなナトリウム吸蔵相を生成するために様々な検討がなされており、これまでに、格子定数aが8.45~8.50Åのナトリウム吸蔵相が報告されている(非特許文献6~12)。
Chin. Phys, B 21 (2012) 028201. Electrochemistry 83 (2015) 989. Nat. Commun. 4 (2013) 1870. Phys Chem Chem Phys 18 (2016) 19888. J. Electrochem. Soc. 142 (1995) 1431. ACS Appl. Mater. Interfaces 8 (2016) 13721. Int. J. Hydron. Enegy 39 (2014) 16569. Solid State Sci. 44 (2015) 39. RSC Adv. 6 (2016) 90455. J. Power Sources 248 (2014) 323. J. Power Sources 246 (2014) 505. J. Electrochem. Soc. 163 (2016) A690.
より格子定数の大きなナトリウム吸蔵相(NaxLi4-xTi512相)を生成することは、リチウムよりはるかにイオン半径の大きなナトリウムを格子内に安定にドーピングさせることであり、本質的な困難性をはらんでいる。このため、非特許文献6~12で報告されているように、いくらかナトリウムをドープできたとしても、格子定数aとしてはせいぜい8.45~8.50Å、吸蔵量としては組成式NaxLi4-xTi512におけるxの値としてせいぜい0<x≦0.2であり、より大きな格子定数又はx値を有する化合物は報告されていない。また、報告されている上述の化合物はナトリウムドープ量が少ないため、その結晶構造解析において、ドープされたナトリウムが占有するサイトの正確な帰属はいまだされていない。
そこで、本発明の目的は、ナトリウムイオン電池の負極材料として有用な新規のスピネル型ナトリウムチタン酸化物を提供することにある。
本発明者は鋭意検討の結果、ナトリウムが8aサイトを占有するスピネル型ナトリウムチタン酸化物を新たに合成することに成功した。本発明は、この知見に基づいてさらに検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. X線回折プロファイルにおいてスピネル型結晶構造の(220)面の回折ピークを有する、スピネル型ナトリウムチタン酸化物。
項2. 下記組成式(式1):
(NaxLi3-x8a(LiTi516d(O1232e (式1)
(式中、xは1.5~3.0である。)で示される、項1に記載のスピネル型ナトリウムチタン酸化物。
項3. (111)面の回折ピークの積分強度I111に対する前記(220)面の回折ピークの積分強度I220の比率I220/I111が7%以上である、項1又は2に記載のスピネル型ナトリウムチタン酸化物。
項4. 格子定数aが8.55Å以上且つ(Na616c(LiTi516d(O1232eの格子定数aNa6LTOÅ以下である、項1~3のいずれかに記載のスピネル型ナトリウムチタン酸化物。
項5. (Li616c(LiTi516d(O1232e相及び(Na616c(LiTi516d(O1232e相を含むナトリウム吸蔵リチウムチタン酸化物を、ナトリウムを脱離させる放電反応に供する工程を含み、
前記放電反応を、全放電容量CFに対する、リチウム脱離電位超の放電電位における放電容量CELiの割合CELi/CF(つまりCELi/CF×100(%))が、75%以上となる条件で行う、スピネル型ナトリウムチタン酸化物の製造方法。
項6. 前記条件が、3Cレート以上の放電電流密度を含む、項5に記載の製造方法。
項7. 項1~4のいずれかのスピネル型ナトリウムチタン酸化物を負極活物質として含む、ナトリウムイオン電池用負極。
項8. 項7に記載のナトリウムイオン電池用負極を含む、ナトリウムイオン電池。
本発明によれば、ナトリウムイオン電池の負極材料として有用な新規のスピネル型ナトリウムチタン酸化物が提供される。また、本発明によれば、ナトリウムイオン電池の負極材料として有用な新規のスピネル型ナトリウムチタン酸化物の製造方法が提供される。
ナトリウム吸蔵リチウムチタン酸化物(Li4Ti512相及びNa6LiTi512相の二相)に対して様々な放電条件で放電反応を行った場合の模式的説明図を示す。図1(c)が本発明の製造方法における放電反応である。 試験例1で得られた粉末X線回折(XRD)スペクトルである。 試験例1における放電電圧プロファイルを示す。 試験例2における放電電圧プロファイル(a)及び得られた粉末X線回折(XRD)スペクトル(b)を示す。 試験例3における放電電圧プロファイルを示す。 試験例3で得られた粉末X線回折(XRD)スペクトルである。 試験例4で得られた粉末X線回折(XRD)スペクトルである。 試験例5で得られた充電レート特性の試験結果である。 試験例5で得られた電池の充電曲線である。 試験例5で得られた実施例3の電池の、各サイクル数における充電プロファイル(a)及びサイクル数に対する充電容量のグラフ(b)を示す。 試験例6で得られた実施例4及び実施例5に関する粉末X線回折(XRD)スペクトルである。
[1.スピネル型ナトリウムチタン酸化物]
本発明のスピネル型ナトリウムチタン酸化物は、X線回折プロファイルにおいてスピネル型結晶構造の(220)面の回折ピークを有する。当該ピークを検出するX線回折の線源としては特に限定されないが、例えばCu-Kα1線(λ1=1.54059Å)を用いることができる。Cu-Kα1線を線源として用いた場合、本発明で提供されるスピネル型化合物の(220)面の回折ピークは、角度2θが28.8°以上29.5°以下の位置において検出される。本明細書においては、Cu-Kα1線を線源として用い、測定条件として、管電圧40kV、管電流15mA、走査範囲(2θ)15°~75°とし、走査条件として、ステップ走査、ステップ幅0.03°、走査速度1°/分として測定を行うものとする。
本発明のスピネル型ナトリウムチタン酸化物は、スピネル(Fd-3m)空間群のWyckoffサイトの1つである8aサイトがナトリウムで占有されている。スピネル型結晶構造の220回折線の起源は、8aサイトを占有する元素のみに由来する。例えば、リチウムが8aサイトを占有しているスピネル型リチウムチタン酸化物の場合、リチウムのX線散乱強度が小さいため、(220)面の回折ピークはほとんど検出されない。ここで、8aサイトにおいてリチウムがナトリウムに置換されている割合を、(111)面の回折ピークの検出強度(積分強度)に対する(220)面の回折ピークの検出強度(積分強度)として示すことができる。(111)面の回折ピークは、Cu-Kα1線(λ1=1.54059Å)を用いた場合、角度2θが17.95°以下の位置において検出される。(111)面回折ピークの強度は主にチタン原子の並びで決まるため、8aサイトのナトリウム置換量に対してあまり変化しない。一方で、(220)面回折ピークは、8aサイトを置換するナトリウム原子の並びに依存する。このため、(111)面回折ピークの強度に対する(220)面回折ピークの相対強度は、8aサイトのナトリウム置換量が多くなるにつれて高くなる傾向を示す。具体的には、上述のリチウムが8aサイトを占有しているスピネル型リチウムチタン酸化物の(220)面の回折ピークの検出強度(積分強度)は、(111)面の回折ピークの積分強度の僅か0.7%程度である。
一方、本発明のスピネル型ナトリウムチタン酸化物は、8aサイトを占有しているナトリウムのX線散乱強度が大きいため、これに由来する(220)面の回折ピークが明確に検出される。本発明のスピネル型ナトリウムチタン酸化物の(220)面の回折ピークの積分強度I220は、(111)面の回折ピークの積分強度I111に対する比率I220/I111として例えば7%以上である。比率I220/I111が7%以上となる(220)面の回折ピーク強度を確保することで、8aサイトの多くがナトリウムで置換されたスピネル型ナトリウムチタン酸化物となり、後述の本発明の効果(負極活物質として用いられた場合の安定性、サイクル安定性及び充放電レート特性の向上効果)を良好に得ることができる。当該効果をより良好に得る観点から、比率I220/I111は、好ましくは16%以上である。ここで、8aサイトにおけるナトリウム置換量(モル基準)が50%である場合の理論的な比率I220/I111は7%、8aサイトにおけるナトリウム置換量(モル基準)が80%である場合の理論的な比率I220/I111は16%である。従って、測定された比率I220/I111が7%以上の場合、8aサイトの約50%以上がナトリウムで置換され、測定された比率I220/I111が16%の場合、8aサイトの約80%以上がナトリウムで置換されているといえる。なお、測定された比率I220/I111の上限値としては特に限定されないが、8aサイトにおけるナトリウム置換量(モル基準)が100%である場合の理論的な比率I220/I111が26.9%であることを考慮すると、約26.9%が事実上の上限となる。従って、具体的な比率I220/I111の範囲としては、例えば7~26.9%、好ましくは16~26.9%が挙げられる。なお、8aサイトにナトリウムがいくらか置換されていても、その置換量が僅かであれば、そのような相は単一の格子定数aを持たず、様々な格子定数aを有する固溶体様の相を形成する。この場合、(220)面の回折ピークは検出が困難となる。
本発明のスピネル型ナトリウムチタン酸化物は、スピネル型の結晶構造を有し、ナトリウム、チタン及び酸素を必須元素として含み、且つ上述の(220)面の回折ピークを与える程度に8aサイトがナトリウムで占有されていればよい。具体的なスピネル型ナトリウムチタン酸化物の組成式は、下記式(式1)で示される。
Figure 0007202663000001
(式1)において、8a、16dおよび32eの上付き文字は、スピネル(Fd-3m)空間群のWyckoffサイトを表し、本明細書においてはこれらのサイトの表示を省略する場合もある。他の組成についても同様である。また、上記(式1)において、xは1.5~3.0を表す。xの範囲が1.5~3.0であることは、8aサイトの50~100%がナトリウムで置換されていることを示す。これによって、後述の本発明の効果(負極活物質として用いられた場合の安定性、サイクル安定性及び充放電レート特性の向上効果)を良好に得ることができる。当該効果をより良好に得る観点から、xの範囲は、好ましくは2.0~3.0であり、より好ましくは2.4~3.0(8aサイトの80~100%がナトリウムで置換されていることを示す。)であり、一層好ましくは2.5~3.0、さらに好ましくは2.7~3.0である。なお、xが3.0を超えると、結晶構造が不安定となり、スピネル型の結晶構造を維持することが困難となる。
本発明のスピネル型ナトリウムチタン酸化物は、ナトリウムイオン電池の負極活物質として有用である。本発明のスピネル型ナトリウムチタン酸化物(ここではNa3LiTi512と記述する。)を負極に用いたナトリウムイオン電池における充電反応は、以下の(式c)のように示される。
Figure 0007202663000002
ここで、本発明のスピネル型ナトリウムチタン酸化物は、上述のとおり、8aサイトの多くがイオン半径の大きいナトリウムで占有されているため、従前よりナトリウムイオン電池の負極材料として知られてきた、格子定数a=8.36ÅであるLi4Ti512(上記式(b)、非特許文献3、4)及び格子定数a=8.45~8.50ÅであるNaxLi4-xTi512(0<x≦0.2)(非特許文献6~12)よりも大きい格子定数aを有する。
上述のとおり、従前のナトリウムイオン電池の負極材料を充電反応(式b)に供すると、ナトリウムの吸蔵によって格子定数aが増大した(例えば4%以上の増大)異なる相を生じるため、格子体積の顕著な膨脹(例えば14%以上の増大)を伴う。つまり、従前のナトリウムイオン電池の負極材料は、ナトリウムの吸蔵及び脱離によって負極の格子体積の顕著な膨張-収縮を伴うため、負極の動作は本質的に不安定で電極の劣化が早く、サイクル安定性及び充放電レート特性の点で問題がある。
一方で、本発明のスピネル型ナトリウムチタン酸化物は従前の負極材料よりも大きな格子定数を有するため、充電反応(式c)に供しても、ナトリウムの吸蔵による格子定数a及び格子体積の変化はより小さくなる(例えば、後述試験例4では格子定数は僅か0.22%の増大、格子体積差にして僅か1%の増大)。つまり、ナトリウムの吸蔵及び脱離によって負極の格子体積の体積変化が低減され負極電極が安定であるため、サイクル安定性及び充放電レート特性が向上する。
本発明のスピネル型ナトリウムチタン酸化物の格子定数aは、これまでナトリウムイオン電池の負極材料として知られてきたスピネル型結晶材料の格子定数よりも大きい限り(具体的には格子定数aが8.50Å超である限り)特に限定されないが、負極活物質として用いられた場合の安定性、サイクル安定性及び充放電レート特性の向上効果を良好に得る観点から、例えば、8.55Å以上、好ましくは8.60Å以上、より好ましくは8.65Å以上、さらに好ましくは8.67Å以上である。格子定数aの範囲の上限は、(Na616c(LiTi516d(O1232eの格子定数a(Å)(「aNa6LTO」とも記載する。)以下である。つまり、aは、8.50Å超aNa6LTO以下、例えば8.55Å~aNa6LTO、好ましくは8.60Å~aNa6LTO、より好ましくは8.65~aNa6LTO、さらに好ましくは8.67Å~aNa6LTOである。なお、(Na616c(LiTi516d(O1232eの具体的な格子定数aNa6LTOは公知であり、例えば8.71~8.76Åと報告されている。
[2.スピネル型ナトリウムチタン酸化物の製造方法]
本発明のスピネル型ナトリウムチタン酸化物の製造方法は、上述の本発明のスピネル型ナトリウムチタン酸化物の製造に適用できる方法である。本発明のスピネル型ナトリウムチタン酸化物の製造方法では、電気化学的手法を用いる。通常、電気化学的手法を用いて結晶中のリチウムをナトリウムに置換するためには、まず、最初に放電によりリチウムを脱離させることでリチウムサイトを空にして、その後、電極を洗浄し、ナトリウムイオン電池に組み替えてナトリウムを吸蔵させる操作を行うことが考えられる。しかしながら、本発明の製造方法で原材料に用いるLi4Ti512は、チタンの価数が既に4価に達しておりそれ以上の酸化が不可能であるため、リチウムを予め脱離させることができない。従って、本発明では、通常の電気化学的手法とは異なり、Li4Ti512にナトリウムを吸蔵させた後に、特殊条件によってリチウムとナトリウムとを両方脱離することによって上述の本発明のスピネル型ナトリウムチタン酸化物を得る。
本発明の製造方法では、(Li616c(LiTi516d(O1232e相及び(Na616c(LiTi516d(O1232e相を含むナトリウム吸蔵リチウムチタン酸化物を用意する。このナトリウム吸蔵リチウムチタン酸化物は、Li4Ti512((Li3)8a(LiTi5)16d(O12)32e)を下記の充電反応(式b)に供することによって得ることができる。(式b)の充電反応は公知であり、当該反応を生じさせる具体的な条件には特に制約は無く、ナトリウムイオン電池を組み立てることによって当業者が適宜決定することができる。たとえば、金属ナトリウムの析出及び/又は電解液の反応を回避する観点から、電圧としては例えば0.3V以上であることが好ましい。なお、(式b)の内容についてはすでに言及しているが、ここではWyckoffサイトを明記した式を再度示す。
Figure 0007202663000003
上記(式b)の反応によって、原材料のLi4Ti512に局所的にナトリウムが吸蔵され、リチウム濃縮相(Li6)16c(LiTi5)16d(O12)32eとナトリウム濃縮相(Na6)16c(LiTi5)16d(O12)32eとの二相分離状態が生じる。この二相分離状態は、高分解能透過電子顕微鏡によって容易に観察することができる。
次に、(Li616c(LiTi516d(O1232e相及び(Na616c(LiTi516d(O1232e相を含むナトリウム吸蔵リチウムチタン酸化物を、ナトリウムを脱離させる放電反応に供する。当該放電反応における対極としては、金属ナトリウム又はナトリウムイオン電池において適当な正極材料を用いればよい。この放電反応を、以下の(式d)に示す機構で進行させることにより、本発明のスピネル型ナトリウムチタン酸化物(Na3)8a(LiTi5)16d(O12)32eを得る。
Figure 0007202663000004
上記(式d)に示すように、放電反応ではリチウムとナトリウムとの両方が脱離される必要がある。リチウム脱離電位は、ナトリウム脱離電位よりも高い。従って、リチウムとナトリウムとの両方を脱離させるには、放電工程において、リチウム脱離電位を超える電位を十分に維持する必要がある。具体的には、全放電容量CFに対する、リチウム脱離電位超の放電電位における放電容量CELiの割合CELi/CF(つまりCELi/CF×100(%))が、75%以上となる条件で放電反応を行う。これによって、ナトリウム吸蔵リチウムチタン酸化物のリチウム濃縮相(Li6)16c(LiTi5)16d(O12)32eからリチウムが脱離され、ナトリウム濃縮相(Na6)16c(LiTi5)16d(O12)32eからナトリウムが脱離され、結果として、放電前におけるナトリウム吸蔵リチウムチタン酸化物のリチウム濃縮相とナトリウム濃縮相との相境界位置を保ったまま、(Li3)8a(LiTi5)16d(O12)32eと新たなナトリウム置換相、つまり本発明のスピネル型ナトリウムチタン酸化物相(Na3)8a(LiTi5)16d(O12)32eとが二相分離状態で得られる。CELi/CFが75%以上の範囲においては、CELi/CFが大きいほど8aサイトにナトリウムが置換されやすくなる。このため、CELi/CFが75%に近いほど上記(式1)におけるxが1.5に近いスピネル型ナトリウムチタン酸化物が得られる傾向にあり、CELi/CFが大きくなるほど(つまり100%に近いほど)上記(式1)におけるxが3に近いスピネル型ナトリウムチタン酸化物が得られる傾向にある。このため、合成すべきスピネル型ナトリウムチタン酸化物の上記(式1)におけるxの調整は、CELi/CFの割合が75%~100%となる範囲内で適宜調整することによって行うことができる。
例えば、より好ましいスピネル型ナトリウムチタン酸化物を得る観点から、CELi/Cとしては、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、一層好ましくは92%以上、特に好ましくは93%以上が挙げられる。上記(式1)におけるxが例えば2.4~3.0、好ましくは2.5~3.0である特に好ましいスピネル型ナトリウムチタン酸化物を得る観点からは、CELi/Cとしては、例えば90%以上、好ましくは92%以上、さらに好ましくは93%以上が挙げられる。割合CELi/CFの上限としては、上述のとおり100%に近いほど好ましいが、例えば100%未満、99%以下、98%以下も挙げられる。具体的な割合CELi/CFの範囲としては、75%~100%(75%以上100%以下)、75%以上100%未満、75~99%、75~98%、80%~100%(80%以上100%以下)、80%以上100%未満、80~99%、80~98%、85%~100%(85%以上100%以下)、85%以上100%未満、85~99%、85~98%、90%~100%(90%以上100%以下)90%以上100%未満、90~99%、90~98%、92%~100%(92%以上100%以下)、92%以上100%未満、92~99%、92~98%、93%~100%(93%以上100%以下)、93%以上100%未満、93~99%、93~98%が挙げられる。
放電条件としては、CELi/CFが上述の割合となる条件である限り、放電速度、リチウム脱離電位超での電圧固定保持時間、及び放電工程中に放電電圧がリチウム脱離電位超となる回数は限定されず、適宜決定することができる。上述の割合CELi/CFを所定の割合とするのに容易な放電速度の条件としては、例えば3C以上が挙げられる(1Cは、60分で電池の放電又は充電を完了させる電流量をいう。たとえば10Cは、6分で電池の放電又は充電を完了させる電流量となる)。具体的には、リチウム脱離電位超まで放電速度3C以上で放電することが好ましい。放電速度3C以上の範囲においては、放電速度が大きいほど8aサイトにナトリウムが置換されやすくなる。このため、放電速度が3C近いほど上記(式1)におけるxが1.5に近いスピネル型ナトリウムチタン酸化物が得られる傾向にあり、放電速度が大きくなるほど上記(式1)におけるxが3に近いスピネル型ナトリウムチタン酸化物が得られる傾向にある。放電速度の範囲の上限としては上述のとおり大きいほど好ましい傾向にあるため特に限定されないが、たとえば30C以下が挙げられる。このため、合成すべきスピネル型ナトリウムチタン酸化物の上記(式1)におけるxの調整は、放電速度が3~30Cとなる範囲内で適宜調整することによって行うことができる。
例えば、より好ましいスピネル型ナトリウムチタン酸化物を得る観点から、放電速度としては、好ましくは4C以上、より好ましくは5C以上、さらに好ましくは8C以上、一層好ましくは10C以上が挙げられる。上記(式1)におけるxが例えば2.4~3.0、好ましくは2.5~3.0である特に好ましいスピネル型ナトリウムチタン酸化物を得る観点からは、放電速度としては、例えば5C以上、好ましくは8C以上、より好ましくは10C以上が挙げられる。また、放電速度の範囲の上限としては、20C以下であってもよい。具体的な放電速度の範囲としては、3~30C、3~20C、4~30C、4~20C、5~30C、5~20C、8~30C、8~20C、10~30C、10~20Cが挙げられる。上述の割合CELi/CFを所定の割合とするのに容易な電圧固定保持時間の条件は、放電速度に応じて当業者が適宜決定することができる。例えば、5時間以上、好ましくは12時間以上が挙げられる。また、割合CELi/CFが75%以上と高いため、放電工程中に放電電圧がリチウム脱離電位超となる回数は1回であることが好ましい。
全放電容量に対する、リチウム脱離電位超の放電電位における放電容量の割合が、全放電容量に対して不足する条件で放電反応を行うと、放電後に上述のような二相分離状態を得ることも、本発明のスピネル型ナトリウムチタン酸化物(Na3)8a(LiTi5)16d(O12)32eも得ることも困難となる。
ここで、ナトリウム吸蔵リチウムチタン酸化物に対して様々な放電条件で放電反応を行った場合の模式的説明図を図1に示す。図1(a)及び図1(b)は、全放電容量に対する、リチウム脱離電位超の放電電位における放電容量の割合が、全放電容量に対して不足する条件で放電反応を行った場合を示す。図1(c)は、本発明による製造方法を行った場合を示す。
図1(a)に示す放電工程は、たとえば、放電電流密度を0.1Cとした低速放電によって行われる。この場合、放電工程全体のうちほとんどにおいて放電電圧がリチウム脱離電位よりも低くなるため、放電容量の大部分がナトリウム脱離に基づく。つまりナトリウム吸蔵電極(還元状態)において、最初のナトリウム濃縮相(Na6)16c(LiTi5)16d(O12)32e(図中、Na6として略称する。)からナトリウムイオンが脱離され、リチウムイオンはリチウム濃縮相(Li6)16c(LiTi5)16d(O12)32e(図中、Li6として略称する。)からナトリウム濃縮相側へ移動する。最終的にすべての相が放電状態(酸化状態)(Li3)8a(LiTi5)16d(O12)32e(図中、Li3として略称する。)に戻る。つまり、(式b)の逆反応が起る。
Figure 0007202663000005
図1(b)に示す放電工程は、例えば、放電電流密度を1Cとした中速放電によって行われる。この場合、放電工程の前半では放電電圧がリチウム脱離電位よりも低い一方、当該工程の後半では放電電圧がリチウム脱離電位を超える。つまり、当該工程の前半ではナトリウム脱離が支配的に生じる一方、当該工程の後半ではナトリウムイオンとリチウムイオンの両方が脱離する。図1(a)とは異なり、ナトリウムイオンが最初のナトリウム濃縮相に残存することで、固溶体様の相[(Na,Li)3]8a(LiTi5)16d(O12)32eが生じる一方、最初のリチウム濃縮相は、リチウムイオンの脱離又はナトリウム含有相への移動により、酸化相(Li3相)となる。固溶体様の相においては、残存したナトリウムイオンの分布は不均質であり、化学組成が定まらない。このため、固溶体様の相では格子定数は一つの値に定まらず幅を有し、本発明のようにxも特定の値として決定することができない。従って、本明細書では、格子定数の定まらない固溶体様の相を[(Na,Li)3]8a(LiTi5)16d(O12)32eと記載し、本発明のスピネル型ナトリウムチタン酸化物(NaxLi3-x8a(LiTi516d(O1232e(1.5≦x≦3.0)と区別する。
図1(c)に示す放電工程は、例えば、放電電流密度を10Cとした高速放電によって行われる。この場合、放電工程の最初の時点から当該工程のほぼ全体に亘って放電電圧がリチウム脱離電位を超える。つまり、リチウムイオンとナトリウムイオンとの両方がそれぞれLi6相及びNa6相から脱離され、最初の二相状態の分布を保ったまま、Li3相と(Na3)8a(LiTi5)16d(O12)32e相(図中、Na3相として略称する。)とを生じる。この生成物は、Li3相とNa3相とに明瞭に分かれた二相状態であり、それぞれの相は、当該生成物のXRDスペクトルで明確に分離された状態で検出される。
なお、本発明のスピネル型ナトリウムチタン酸化物の製造方法では、充電反応(ナトリウム吸蔵)及び放電反応(ナトリウム及びリチウムの脱離)からなるサイクルを1回行うことで、図1(c)に模式的に示したように、本発明のスピネル型ナトリウムチタン酸化物の相を含む二相分離状態の材料を得ることができる。さらに、上述の充電反応及び放電反応を繰り返すことで、得られる材料における本発明のスピネル型ナトリウムチタン酸化物の相が占める割合を増やし、純度を高めることができる。本発明の製造方法においては、当該サイクル数は1サイクル以上であれば特に限定されない。サイクル数の増加に伴い負極活物質の純度が高められていくため、負極材料として用いられた場合の性能(レート特性)を良好に得ることができる。例えば、好ましくは2サイクル以上、より好ましくは3サイクル以上又は4サイクル以上が挙げられる。当該サイクル数の範囲の上限は特に限定されないが、電解液の分解反応抑制及び電極層の劣化抑制の観点、並びに負極材料として用いられた場合の性能と負極活物質の純度を高める効率とを両立する観点からは、例えば10サイクル以下が挙げられ、好ましくは8サイクル以下、より好ましくは7サイクル以下、さらに好ましくは6サイクル以下、一層好ましくは5サイクル以下が挙げられる。具体的なサイクルの範囲としては、2~8サイクル、2~7サイクル、2~6サイクル、2~5サイクル、3~8サイクル、3~7サイクル、3~6サイクル、3~5サイクル、4~8サイクル、4~7サイクル、4~6サイクル、4~5サイクルが挙げられる。
なお、理論的には、1サイクルで材料の約50%が本発明のスピネル型ナトリウムチタン酸化物に変換される。2サイクル目以降において、より理論量に近い割合で本発明のスピネル型ナトリウムチタン酸化物変換することで高純度化の効率を上げるためには、サイクル毎に電極を新鮮な電解液で洗浄し、洗浄後の電極と新鮮な電解液を用いて再組立てした電池で引き続くサイクルを行うことが好ましい。
[3.ナトリウムイオン電池用負極]
上述の本発明のスピネル型ナトリウムチタン酸化物は、負極活物質として有用である。従って、本発明は、ナトリウムイオン電池用負極も提供する。本発明のナトリウムイオン電池用負極は、上述のスピネル型ナトリウムチタン酸化物を含む限り特に限定されるものではないが、通常、負極活物質、導電剤、結着剤等を含む負極活物質層を集電体表面に設けたものである。
本発明のナトリウムイオン電池用負極に含まれる負極活物質は、上述のスピネル型ナトリウムチタン酸化物を含むものであれば、本発明の効果を阻害しない範囲で、その他の公知の負極活物質を含むものであってもよい。例えばナトリウムイオンを吸蔵・脱離することのできる天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、ハードカーボン、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維、有機高分子化合物焼成体等の炭素材料から選択される1種又は複数種が挙げられる。炭素材料の形状としては、例えば天然黒鉛のような薄片状、メソカーボンマイクロビーズのような球状、黒鉛化炭素繊維のような繊維状、又は微粉末の凝集体等のいずれでもよい。ここで炭素材料は、導電剤としての役割を果たす場合もある。負極活物質層中のスピネル型ナトリウムチタン酸化物の含有量は特に限定されないが、負極活物質層の安定性、サイクル安定性及び充放電レート特性の向上効果を良好に得る観点から、80質量%以上、好ましくは90質量%以上、具体的には、80~100質量%、好ましくは90~100質量%が挙げられる。導電助剤の添加は任意であり、導電助剤フリーの電極でもかまわない。
導電剤としては、上述の炭素材料の他、KB、AB、VGCF、Cu粉、Al粉、Ni粉等の一般によく利用されている導電剤から選択される1種または複数種が挙げられる。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体、ポリイミド等から選択される1種または複数種が挙げられる。
集電体としては、Cu、Al、Ni、Cr、Ti、Fe及びこれらの合金等の導電性の材料を用いた、箔、メッシュ、エキスパンドグリッド(エキスパンドメタル)、パンチドメタル等の形態のものが挙げられる。箔の厚み、メッシュの目開き、線径、メッシュ数、及び集電体の大きさは、当業者が適宜決定することができる。
負極を製造する方法としては例えば次の方法が挙げられる。本発明のスピネル型ナトリウムチタン酸化物を含む負極活物質と導電剤と結着剤と有機溶媒とを混合させて負極活物質スラリーを調製する。ここで使用可能な有機溶剤としては、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルトリアミン等のアミン系;エチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のエーテル系;メチルエチルケトン等のケトン系;酢酸メチル等のエステル系、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
次いで、上記負極活物質スラリーを負極集電体上に塗工し、乾燥後プレスする等して固着する。ここで、負極活物質スラリーを負極集電体上に塗工する方法としては、例えばスリットダイ塗工法、スクリーン塗工法、カーテン塗工法、ナイフ塗工法、グラビア塗工法、静電スプレー法等が挙げられる。
なお、負極を製造する別の方法として、リチウムチタン酸化物Li4Ti512を含む電極を用いて、ナトリウムイオン電池を組んだ後、充電反応(式b)及び本発明の製造方法で示した放電反応(式d)に供することもできる。
[4.ナトリウムイオン電池]
本発明は、上述のナトリウムイオン電池用負極を用いたナトリウムイオン電池用負極も提供する。本発明のナトリウムイオン電池は、上述のナトリウムイオン電池用負極を含む限り特に限定されない。通常、本発明のナトリウムイオン電池は、上述のナトリウムイオン電池用負極のほか、ナトリウムイオンを吸蔵及び脱離することができる正極と、電解質とを含む。
正極は、集電体と、その集電体の表面に設けられた正極活物質層とを含む。正極活物質層は、正極活物質、導電剤、及び結着剤を含む。
正極活物質としては、ナトリウムイオン電池に使用できるものであれば特に限定されない。例えば、層状活物質、スピネル型活物質、オキソ酸塩活物質等が挙げられる。具体的には、NaFeO2、NaNiO2、NaCoO2、NaMnO2、NaVO2、Na(NiyMn1-y)O2(0<y<1)、Na(FezMn1-z)O2(0<z<1)、NaVPO4F、Na2FePO4F、Na32(PO43、及びこれらの固溶体、等が挙げられる。さらに、正極活物質として適用可能である限り、これら化合物の任意の元素置換体も挙げられる。正極における導電剤、結着剤等の種類、並びに正極活物質層を集電体上に形成する方法は、負極における各成分及び方法と同様である。
電解質としては特に限定されず、ナトリウム二次電池に一般的に使用される塩を用いることができる。例えば、NaPF6、NaBF4、NaClO4、NaTiF4、NaVF5、NaAsF、NaSbF6、NaCF3SO3、Na(C25SO22N、NaB(C242、NaB10Cl10、NaB12Cl12、NaCF3COO、Na224、NaNO3、Na2SO4、NaPF3(C253、NaB(C654、及びNa(CF3SO23C等が挙げられる。これらの塩は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。中でも、放電容量及びサイクル寿命の観点から、電解質としてはNaPF6が好ましい。電解液中の電解質の濃度(溶媒中の塩の濃度)は、特に限定されないが、0.1~3mol/Lであることが好ましく、0.5~2mol/Lであることが更に好ましい。
電解質を溶解する溶媒は特に限定されないが、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネートのような環状カーボネート系、テトラヒドロフランなどのエーテル系、ヘキサンなどの炭化水素系、γ-ブチルラクトンなどのラクトン系、などを用いることができる。中でも、サイクル寿命の観点から、電解液溶媒としてはECを含有する溶媒が好ましい。通常、ECは常温では固体であるため、EC単独では電解液としての機能を果たさない。しかし、PC、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)などとの混合溶媒とすることで、常温でも使用可能な電解液として機能する。
本発明のナトリウムイオン電池によれば、例えば以下の式に示す充放電反応により、二次電池として機能する。以下の例においては、正極としてNaFeO2を用いた例を一例として挙げているのみであり、正極としてはナトリウムイオン電池に適用可能である限り制限はない。以下において、nの範囲は0<n≦1であり、好ましくは0<n≦0.3である。
Figure 0007202663000006
本発明のナトリウム二次電池の構造としては特に限定されず、形態・構造の観点からは、積層型(扁平型)電池、捲回型(円筒型)電池等、従来公知のいずれの形態・構造にも適用することができる。また、ナトリウムイオン二次電池内の電気的な接続形態(電池構造)の観点からは、(内部並列接続タイプ)電池及び双極型(内部直列接続タイプ)電池のいずれにも適用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[試験例1]
[1-1.粉末X線回折(粉末XRD)]
電極材料であるLi4Ti512(LTO)は石原産業株式会社より購入したENERMIGHT(登録商標)LT-106を用いた。当該活物質LTO、アセチレンブラック(AB)およびポリビニリデンジフロライド(PVDF)を90:5:5の重量比で混合し、N-メチル-ピロリドン溶媒に分散させ、電極スラリーを形成した。このスラリーをアルミホイルに載せ、乾燥空気充填ボックス(-80℃ d.p.)で3日間乾燥させた。このLTO電極シートをφ16mmのディスク状に打ち抜いた。ナトリウムイオン電池(SIB)を、LTO電極シートを正極とし、ナトリウム金属箔を負極とする試験型電池(HSセル、宝泉株式会社製)として組み立てた。電解液としては、混合炭酸塩溶媒[エチレンカーボネート(EC):ジエチルカーボネート(DEC)=1:1]に溶解した1MのNaPF6液を用いた。電極は、微多孔性のポリプロピレンフィルムとガラスフィルターとによって分離した。電池組み立てにおけるすべての工程は、乾燥空気雰囲気(-80℃ d.p.)下で行った。
電気化学的試験は、「電池性能評価装置」BLSシステム(株式会社計測器センター製)を用いて行った。組立てられた電池は、2.2~2.5Vの開放電位を示した。次いで、電池を0.1Cの定電流(CC)で0.3Vまで充電(ナトリウム吸蔵)し、充電容量が150mAhg-1に至るまで0.3Vの定電圧(CV)で保持することで、ナトリウム吸蔵を完了させた。ここで、電気容量(C)は充電電流値(I)の時間(t)積分、つまりC=∫I(t)dt、の式によって算出した。充電(ナトリウム吸蔵)の反応機構を以下に示す。
Figure 0007202663000007
ナトリウム脱離実験では、下記表1に示す、放電条件が異なる3タイプの放電条件を試験した。なお、全ての電池について、放電全容量の150mAhg-1に達した(放電終了)。ここで、電気容量(C)は放電電流値(I)の時間(t)積分、つまりC=∫I(t)dt、の式によって算出した。
Figure 0007202663000008
電気化学実験後、電池を乾燥空気雰囲気中で解体し、LTO電極をジメチルカーボネート(DMC)溶媒で洗浄して電解質成分を除去した。次に、LTO電極をよく乾燥させ、XRD測定の試料ホルダーに貼り付けた。XRD実験は、デスクトップ型X線回折装置(MiniFlex 600R、Rigaku製)を用い、0.03°の走査ステップでCu-Kα線源(λ1=1.54059Åおよびλ2=1.54432Å)を用い、管電圧40kV、管電流15mAで行った。出力は600Wであった。測定は、空気雰囲気中で、15°~75°の走査範囲を走査速度1°/分で20サイクル行った。すべてのXRDデータは、20サイクル走査を平均した。また、Li4Ti512及びNa3LiTi512について、これらの結晶構造を仮定した粉末回折シミュレーションを、VESTAプログラム(J. Appl. Cryst. 44 (2011) 1272-1276.)によって行った。粉末回折シミュレーションのために用いたLi4Ti512(つまり (Li3)8a(LiTi5)16d(O12)32e)及びNa3LiTi512(つまり(Na3)8a(LiTi5)16d(O12)32e)の結晶データのパラメータを表2に示す。なお、Na3LiTi512の格子定数(a=8.69Å)は、実施例1で得られたXRDスペクトル(後述図2)から導出した。
Figure 0007202663000009
得られたナトリウム脱離LTO電極のCuKα1線による回折パターンを示すXRDスペクトルを図2に示す。図2中、実施例1、比較例1及び比較例2によるスペクトルとともに「Li4Ti512シミュレーション」及び「Na3LiTi512シミュレーション」で示されたスペクトルは、粉末回折シミュレーションによって得られたシミュレーションスペクトルである。すべてのスペクトルは、Al-220回折ピーク(a=4.049Å)の角度2θの位置を基準としてピークシフトを校正した。
図2に示されるように、実施例1、比較例1及び比較例2の全てにおいて、一般的なLTO相(つまりLi4Ti512相)を示す鋭いピークが同様の回折角で観察された。つまり、実施例1、比較例1及び比較例2で得られたナトリウム脱離LTO電極全てにおいて、同じ格子定数a(8.36Å)を有するLi4Ti512相が含まれていた。実施例1、比較例1及び比較例2におけるLi4Ti512相を示すピークの位置は、Li4Ti512シミュレーションスペクトルにおけるピークの位置と良好な一致を示している。
一方、実施例1で得られたナトリウム脱離LTO電極では、Li4Ti512相の各ピークの低角側に明確なピーク(図中、矢印で示す。)も併せて観察された。矢印で示したこれらの明確なピークは、Li4Ti512より大きな格子定数を有するスピネル型結晶構造相に由来し、それらのピーク位置をスピネルFd-3mパターンフィッティングに供した結果、格子定数aが8.69Åとして正確に計算された。このように、明らかに大きく且つ一定の格子定数の値を有していることは、実施例1によって得られた相が、固定された組成を有する多くの量のナトリウムを含有した相であることを示している。
特筆すべきは、実施例1によるXRDスペクトルにおいて、(220)面の回折ピークが明確に観察されていることにある。Li4Ti512のスペクトルでは、(220)面の回折ピークはほとんど観察できない。スピネル構造の220回折は、8aサイトを占有する元素のみに由来する。したがって、実施例1によるXRDスペクトルにおいて(220)面の回折ピークが新たに観察されたことは、実施例1で得られた新たな相において、スピネル8aサイトが、リチウムに代わり、より大きなX線散乱強度を有する元素によって占有されたことを示す。ここで、一般にチタン原子は8aサイトを占有しない。したがって、実施例1において得られた新たな相のスピネル8aサイトはナトリウムによって占有されており、当該の新たな相は、(Na38a(LiTi516d(O1232eであることが結論付けられた。実施例1における新たな相(Na38a(LiTi516d(O1232eを示すピークの位置が、Na3LiTi512シミュレーションスペクトルにおけるピークの位置と良好な一致を示していることも、当該の新たな相が(Na38a(LiTi516d(O1232eとして実際に形成されていることを証明している。
なお、実施例1において検出された(220)面の回折ピークの積分強度I220は、(111)面の回折ピークの積分強度I111に対する比率I220/I111として19%であった。つまり、8aサイトの86%程度がナトリウムで置換されていることが分かった。実施例1で得られたスピネル型ナトリウムチタン酸化物を(NaxLi3-x8a(LiTi516d(O1232e の組成式で表すと、(220)面の回折ピークの積分強度I220より、xは厳密には2.5~2.6程度となる。本明細書の実施例において得られたスピネル型ナトリウムチタン酸化物はこのようにxがほぼ3であるため、便宜上、それらの組成は(Na38a(LiTi516d(O1232e又はNa3LiTi512と記載する。
実施例1(放電速度10c)で得られた低角側のピークは、比較例2(放電速度0.1c)では全く観察されない。この結果から、比較例2のように、0.1Cの放電速度でナトリウム吸蔵電極からナトリウム脱離すると、ほぼ純粋なLi4Ti512相の回収に帰結することを表している。
一方、比較例1(放電速度1C)では、いくつかの主ピークの低角に幅広い肩部が観察される。これら幅広い肩部のピークは、比較例1のように放電速度が1Cにおいてナトリウム含有スピネル相が生じ得ることを示している。しかしながら、これら肩部の幅広いピークは、a=8.48~8.67Å付近の様々な格子定数を有するナトリウム含有スピネル相であって、局所的に変化したナトリウムイオン含量に起因する結晶格子の不均一な膨張を示している。つまり、これら肩部の幅広いピークは、実施例1(放電速度10C)で認められる格子定数a=8.69ÅのNa3LiTi512の相に由来するものとは明らかに異なる。つまり、比較例1のように、1Cの放電速度でナトリウム吸蔵LTO電極からナトリウム脱離すると、[(Na,Li)3]8a(LiTi516d(O1232eとして表されるような、固溶体様の相を形成すると考えられる。
[1-2.放電電圧プロファイル]
実施例1、比較例1及び比較例2に示されるように、ナトリウム脱離によって得られる相が放電速度に依存して変化することは、最初の2相からなるナトリウム吸蔵電極の酸化工程に関与している。酸化工程では、電子が脱離し、各相の全チタンイオンの60%の3価チタンが4価チタンに変化すると共に、ナトリウムイオン又はリチウムイオンが脱離する。脱離されたナトリウムイオン又はリチウムイオンの全量が、脱離された電子の量に相当する。このように、もし実質的な量のリチウムイオンが脱離されると、それに等しい分量のナトリウムイオンを含有するLTO相を得ることができる。ナトリウム吸蔵LTO電極からのリチウム脱離は、リチウム脱離反応の電気化学的ポテンシャルによって支配される。リチウム抽出電位は、リチウムイオン電池において1.5~1.6V vs Li+/Liであり、ナトリウムイオン電池における場合1.2~1.3V vs Na+/Naと同等である。ここで、リチウム及びナトリウムの標準電極電位はそれぞれELi=-3.03V及びENa=-2.713V (対標準電極電位) であり、電極材料の電気化学的電位は、ナトリウムイオン電池で、リチウムイオン電池におけるそれよりも0.32V低い。従って、放電電圧プロファイルが1.2Vよりも高い場合には、リチウムイオンとナトリウムイオンの両方が競合的に脱離することになる。
図3に、実施例1(放電速度10C)、比較例1(放電速度1C)及び比較例2(放電速度0.1C)による放電電圧プロファイルを示す。図3においては、ナトリウムイオン電池におけるリチウム脱離電位である1.2Vを破線で示している。
比較例2(放電速度0.1C)のプロファイルでは、全放電容量の大部分の領域で1.2V(リチウム脱離電位)よりも低い。従って、比較例2の放電速度(0.1C)では、ナトリウム吸蔵LTO電極から主にナトリウムイオンが脱離され、下記の反応(式bの逆反応)が起こった結果、図2で示されたように、ナトリウム吸蔵相はほぼ無くなり、純粋なLTO電極(Li3)8a(LiTi5)16d(O12)32eが回収される。
Figure 0007202663000010
比較例1(放電速度1C)のプロファイルでは、全放電容量のおよそ半分の領域で1.2V(リチウム脱離電位)より低く、残りのおよそ半分の領域で当該電位を超える。従って、比較例1の放電速度(1C)では、放電時間の前半部分で主にナトリウムイオンが脱離し、後半部分でナトリウムイオンとリチウムイオンとが競合的に脱離する。その結果、図2で示されたように、(Li3)8a(LiTi5)16d(O12)32e相とともに[(Na,Li)3]8a(LiTi516d(O1232eとして表されるような固溶体相が得られる。
実施例1(放電速度10C)のプロファイルでは、全放電容量のほとんどの領域で1.2V(リチウム脱離電位)を超える。従って、実施例1の放電速度(10C)では、ナトリウム吸蔵LTO電極からナトリウムイオンとリチウムイオンとが両方脱離され、下記の反応が起こった結果、初めの(Li6)16c(LiTi5)16d(O12)32e相及び(Na6)16c(LiTi5)16d(O12)32e相からなるナトリウム吸蔵LTO電極から、それぞれ、(Li3)8a(LiTi5)16d(O12)32e相及び (Na3)8a(LiTi5)16d(O12)32e相からなるナトリウム置換LTO電極が得られる。
Figure 0007202663000011
[試験例2]
下記表3に示す比較例3の放電条件で試験例1と同様に試験を行い、放電電圧プロファイルとXRDスペクトルとを実施例1と比較した。
Figure 0007202663000012
放電電圧プロファイルを図4(a)に、XRDスペクトルを図4(b)に示す。実施例1のプロファイルでは、全放電容量のほとんどの領域で1.2V(リチウム脱離電位)を超えることに対し、比較例3のプロファイルでは、全放電容量の大部分の領域を1.2V(リチウム脱離電位)よりも低い電位で固定した。従って、比較例3の放電条件では、上述の比較例2と同様に、ナトリウム吸蔵LTO電極から主にナトリウムイオンのみが脱離される。その結果、図4(b)で示されるように、実施例1ではナトリウム置換相である(Na3)8a(LiTi5)16d(O12)32e相(矢印で示されるピーク)が新たに生成することに対し、比較例3ではナトリウム吸蔵相は消失し、純粋なLTO相(Li3)8a(LiTi5)16d(O12)32eが回収される。
このように、(Na3)8a(LiTi5)16d(O12)32e相の生成には、全放電容量に対するリチウム放電電位を超える放電容量の割合が重要であることが示された。なお、全放電容量に対するリチウム放電電位を超える放電容量の割合について、後述の試験例3でさらに詳しく述べる。
[試験例3]
下記表4に示す実施例2及び比較例4の放電条件で試験例1と同様に試験を行い、放電電圧プロファイルとXRDスペクトルとを実施例1と比較した。
Figure 0007202663000013
実施例2(5C)及び比較例4(2C)の充電電圧プロファイル及びXRDスペクトルを、実施例1(10C)、比較例1(1C)及び比較例2(0.1C)と共にそれぞれ図5及び図6に示す。図5に示すように、全放電容量(150mAhg-1)に対するリチウム放電電位(1.2V)を超える放電容量の割合は、実施例1(10C)で94%、実施例2(5C)で93%、比較例4(2C)で72%、比較例1(1C)で55%、比較例2(0.1C)で25%であった。図6に示すように、全放電容量CF(100%)に対するリチウム放電電位を超える放電容量CELiの割合(CELi/CF)が75%以上である実施例1及び実施例2によると、(220)面の回折ピークが明瞭に認められ、ナトリウム置換相である(Na3)8a(LiTi5)16d(O12)32e相の新たな生成が確認された。また、当該割合が75%未満である比較例1、比較例2及び比較例4によると、(220)面の回折ピークが認められず、ナトリウム置換相である(Na3)8a(LiTi5)16d(O12)32e相の十分な生成は確認されなかった。これらのうち、比較例1及び比較例4によると固溶体様の相の生成が確認され、比較例2によると最初の(Li3)8a(LiTi5)16d(O12)32e相の回収が確認された。
なお、図示していないが、放電速度20Cで充電反応を行った場合も、実施例1及び実施例2と同様に、ナトリウム置換相である(Na3)8a(LiTi5)16d(O12)32e相の新たな生成が確認された。
[試験例4]
実施例1で得られたナトリウム置換LTO電極(Li4Ti512+Na3LiTi512)と、実施例1の原料に用いたナトリウム吸蔵LTO電極(Li7Ti512+Na6LiTi512)(比較例5とする)とを、空気中に放置した。その間、1時間ごとにXRD測定を行った。得られたXRDスぺクトルを図7に示す。図7において、実施例1及び比較例5のスペクトルは、下に示されるものほど放置時間が短く、上に示されるものほど放置時間が長い。
比較例5のナトリウム吸蔵相(Na6LiTi512)が3価チタン及び4価チタン両方を含む還元相であることとは対照的に、実施例1のナトリウム置換相(Na3LiTi512)は、4価チタンのみを含む酸化相である。このため、実施例1のナトリウム置換相(下向き矢印で示すピークに相当するNa3LiTi512相、格子定数a=8.69Å)は、いずれの時点のスペクトルでも、明確に観察された。つまり、4価チタンのみを含む酸化相である実施例1のナトリウム置換相は、空気中で安定であることが示された。
一方、比較例5のナトリウム吸蔵相(下向き矢印で示すピークに相当するNa6LiTi512相、格子定数a=8.71Å)が確認されたのは、最初の1回の走査(一番下のスペクトル)のみであった。このことは、ナトリウム吸蔵相が空気中で速やかに消失し、ナトリウム含有固溶LTO相に変換されることを意味する。つまり、還元相であるナトリウム吸蔵相が容易に酸化されることで、電子とナトリウムイオンとを失うとともにすべてのチタンイオンが4価に酸化される。この酸化反応がほぼ1時間で完了したため、2回目の走査(下から二番目のスペクトル)以降ではナトリウム吸蔵相は観察されなかった。
ここで、実施例1のナトリウム置換相の格子定数a=8.69Åは、比較例5のナトリウム吸蔵相の格子定数a=8.71Åと非常に近い値であり、格子定数は僅か0.22%の差、格子体積差にして僅か1%である。このことは、実施例1のNa3LiTi512相が、リチウムイオン電池におけるLi4Ti512相と同様に、ナトリウムイオン電池において格子の実質的な膨張-収縮を伴わないナトリウム吸蔵-脱離を行う電極として有用であることを示している。そして、本試験例で観察された、互いに同様の格子体積を有する酸化相のNa3LiTi512相と還元相のNa6LiTi512相との関係は、リチウムイオン電池における酸化相のLi4Ti512相と還元相のLi7Ti512相との関係と高い類似性を有する。このことも、実施例1のNa3LiTi512相が、リチウムイオン電池におけるLi4Ti512相と同様に、ナトリウムイオン電池における電極として有用であることを示している。
[試験例5]
試験例1と同様に、ナトリウムイオン電池(Na|1M NaPF6 EC/DEM=1 |LTO)を組み立てた。このナトリウム電池(負極はLi4Ti512、0 cycle、比較例6)において、充電速度をそれぞれ0.2C、0.5C、1C、2C、及び5Cとして、(式b)の充電反応を行った。
また、充電速度を0.1Cとして(式b)の充電反応を行った電池を、1回(1 cycle)、放電速度10Cで、(式d)の放電反応に供した。このナトリウム電池(負極はLi4Ti512+Na3LiTi512、実施例3)において、同様に、充電速度をそれぞれ0.2C、0.5C、1C、2C、及び5Cとして、(式c)の充電反応を行った。
Figure 0007202663000014
実施例3及び比較例6の電池における充電特性を評価するため、充電レート特性(電流密度と、当該電流密度の電流によって取得された充電容量との関係)を、図8に示す。図8の左図においては、実施例3(黒の白抜き円)及び比較例6(グレーの円)それぞれのレート特性を示す。図8の右図では、実施例3の電池における1cycle放電電極の特性を、比較例6の電池における初期電極の特性で規格化した値を、レートごとに示す。これらの図が示すように、特に0.5C~1Cレートにおいて、容量維持率の顕著な改善が確認できた。例えば実施例3の電池における1Cレートでは、比較例6の電池に比べ約2倍の特性の改善が確認できた。
さらに、実施例3及び比較例6の電池の充電曲線を図9に示す。図9に示すように、どの充電速度で比較しても、実施例3の電池における充電電極は、ナトリウムイオン電池の電極としてより良好に機能していることが理解できる。なお、図9においては、充電-放電を2サイクル及び3サイクル繰り返した場合の結果も併せて示している(充電速度ごとに3本の曲線を示している)。また、図9においては、比較例6に関する情報については下線を付して示している。
さらに、実施例3の電池で10C充放電を繰り返すことによって、充電レート特性が向上することも確認した。具体的には、以下に示す条件での充電と放電とを合計10サイクル行った際のサイクル経過に対する充電電圧プロファイルを調べた。
充電:10Cレートの電流密度で0.3Vまで定電流、その後0.3Vで電位固定。
放電:10Cレートの電流密度で2.0Vまで定電流、その後2.0Vで電位固定。
その結果を図10に示す。図10(a)は各サイクル数における充電プロファイルを示し、図10(b)は、図10(a)に基づき、サイクル数に対する充電容量のグラフを示す。図10(b)に示すように、上記の充放電を3~6サイクル、好ましくは3~4サイクル、特に4サイクルでレート特性が最大級に良好になることを確認した。
[試験例6]
充電反応及び放電反応のサイクルを1回行った後、更に充電反応及び放電反応のサイクルを行うことでナトリウム置換相の純度を高める(つまり精製する)際に、更なるサイクルを行う前に電極を洗浄する場合(実施例4)と洗浄しない場合(実施例5)とで電気化学的精製の効率がどのように異なるか比較した。
構築した電池の構成は以下の通りである。
電極 LT-106 : AB : PVdF = 90 : 5 : 5
対極 金属 Li
電解液 1M NaPF6 (EC/DEC = 1)
(実施例4の精製条件)
工程A:0.3Vvs.Na+/Naまで0.1Cレートで定電流充電し、その後48時間0.3Vで電位固定した。
工程B:工程Aの後、2.0Vvs.Na+/Naまで10Cレートで定電流放電し、その後24時間2.0Vで電位固定した。
工程C:工程Bの作業の後に一旦電池を解体し、電極を新鮮な電解液で洗浄する。その後、洗浄後の電極と新鮮な電解液を用いて、再度電池を組みなおした。
工程D:組み直した電池に対して、上記工程A→工程Bのサイクルをもう一度行った。
(実施例5の精製条件)
電解液を交換する上記工程Cを行わず、連続して上記の工程A及び工程Bのサイクルを合計2回行った(つまり、連続して工程A→工程B→工程A→工程Bを行った)。
図11に、実施例4及び実施例5のXRDプロファイルを比較して示す。図11においては、Li4Ti5O12相に相当するピーク位置を点線で、Na3LiTi5O12相に相当するピーク位置を向き下矢印で示した。図示されるとおり、Na3LiTi5O12相のピーク強度は実施例5に対して実施例4のほうで優位に強くなっていることが理解できる。一方、Li4Ti5O12相のピーク強度は、実施例5で未だ明瞭に確認できるのに対して、実施例4では僅かなショルダーピークが観察される程度であった。以上より、実施例4で得られた電極は、実施例5で得られた電極に比べてNa3LiTi5O12の純度がより高いと考えられる。
このように実施例4及び実施例5から、電気化学試験の条件が等しいにもかかわらず電極洗浄と電解液の交換の有無によって、Na3LiTi5O12の精製度合いが有意に異なることが分かった。本発明においては電気化学的にNa3LiTi5O12相を生成するため、放電反応式(上記式(d))に従ってLiを脱離させる必要がある。従って、1サイクル目の放電を終えた段階で、電池セル内部には幾分かのLiイオンが存在する。ここで、セルを組み直すことなく2サイクル目の充電反応を行うと、脱離したLiイオンが再度電極へ吸蔵されるため、結果的に精製度合いが低下すると考えられる。一方、1サイクル目の放電後に電極の洗浄と電解液の交換を行った場合、2サイクル目の充電の際には、充電反応式(上記式(b))に従った純粋なNaイオンの挿入のみが実現可能となるため、結果的にNa3LiTi5O12相の精製効率が向上したと考えられる。

Claims (9)

  1. X線回折プロファイルにおいてスピネル型結晶構造の(220)面の回折ピークを有し、スピネル型結晶構造の(111)面の回折ピークの積分強度I 111 に対する前記(220)面の回折ピークの積分強度I 220 の比率I 220 /I 111 が7%以上である、スピネル型ナトリウムチタン酸化物。
  2. 格子定数aが8.55Å以上且つ(Na 6 16c (LiTi 5 16d (O 12 32e の格子定数a以下である、請求項1に記載のスピネル型ナトリウムチタン酸化物。
  3. X線回折プロファイルにおいてスピネル型結晶構造の(220)面の回折ピークを有し、格子定数aが8.55Å以上且つ(Na 6 16c (LiTi 5 16d (O 12 32e の格子定数a以下である、スピネル型ナトリウムチタン酸化物。
  4. スピネル型結晶構造の(111)面の回折ピークの積分強度I 111 に対する前記(220)面の回折ピークの積分強度I 220 の比率I 220 /I 111 が7%以上である、請求項3に記載のスピネル型ナトリウムチタン酸化物。
  5. 下記組成式(式1):
    (NaxLi3-x8a(LiTi516d(O1232e (式1)
    (式中、xは1.5~3.0である。)で示される、請求項1~4のいずれかに記載のスピネル型ナトリウムチタン酸化物。
  6. (Li616c(LiTi516d(O1232e相及び(Na616c(LiTi516d(O1232e相を含むナトリウム吸蔵リチウムチタン酸化物を、ナトリウムを脱離させる放電反応に供する工程を含み、
    前記放電反応を、全放電容量CFに対する、リチウム脱離電位超の放電電位における放電容量CELiの割合CELi/CFが、75%以上となる条件で行う、スピネル型ナトリウムチタン酸化物の製造方法。
  7. 前記条件が、3Cレート以上の放電電流密度を含む、請求項に記載の製造方法。
  8. 請求項1~のいずれかのスピネル型ナトリウムチタン酸化物を負極活物質として含む、ナトリウムイオン電池用負極。
  9. 請求項に記載のナトリウムイオン電池用負極を含む、ナトリウムイオン電池。
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