以下、半導体装置の実施形態を図面に基づいて説明する。図1の模式的分解斜視図に示すように、半導体装置10は、主基板5と、負荷モジュール1とを備えて構成されている。主基板5には、少なくとも負荷モジュール1と電源モジュール6とが実装されている。負荷モジュール1は、主基板5の一方側の面である主基板第1面5aの負荷モジュール実装領域R1に実装され、電源モジュール6は、主基板第1面5aの反対側の主基板第2面5bの電源モジュール実装領域R6に実装されている。以後、図1において矢印“V”で示す方向を主基板5に直交する方向とし、主基板第1面5aの側からの主基板5に直交する方向視を「V方向視」と称して説明する。
負荷モジュール1は、システムLSI2(主半導体素子)と、システムLSI2と協働するメモリ3と、システムLSI2及びメモリ3が実装されたモジュール基板4とを備えた半導体モジュールである。本実施形態では、図2の部品配置図に示すように、モジュール基板第1面4aには、システムLSI2としてのSoC(System on a Chip)と、メモリ3としての2つのSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)が実装されている。SDRAMは、例えば、DDR3(Double Data Rate3)SDRAM、DDR4(Double Data Rate4)SDRAM等であると好適である。
システムLSI2は、CPU(Central Processing Unit)コア、GPU(Graphic Processing Unit)コア、オーディオ信号処理や画像処理を行うDSP(Digital Signal Processor)などの複数の演算ユニットを備えている。これらの演算ユニットは、それぞれの演算を実行する際にメモリ3と協働する。つまり、負荷モジュール1は、システムLSI2と、システムLSIと協働するメモリ3と、これらが実装されたモジュール基板4とを備えたマルチチップモジュールとして構成されている。
ここでは、システムLSI2としてSoCを例示しているが、SiP(System in a Package)であってもよい。また、SoCには、セミカスタムLSIのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、汎用LSIのASSP(Application Specific Standard Processor)等も含む。また、ASICは、ゲートアレイやセルベースIC(スタンダードセル)に限らず、FPGA(Field Programmable Gate Array)、PLA(Programmable Logic Array)などのPLD(Programmable Logic Device)も含む。
また、電源モジュール6は、単一の電源IC(PIC:Power IC)であってもいいが、負荷モジュール1と同様に、複数の電源ICを備えた構成、或いは、単一の電源ICと周辺回路等を備えた構成のマルチチップモジュールであってもよい。電源モジュール6がマルチチップモジュールの場合、素子は電源モジュール第1面6aの側に配置される。
負荷モジュール1及び電源モジュール6は、共に主基板5に直交する方向に見た平面視(V方向視)で矩形状である。また、図3及び図4に示すように、負荷モジュール1及び電源モジュール6には、それぞれ主基板5に対向する対向面(モジュール基板第2面4b,電源モジュール第2面6b)の側に矩形環状の3周以上の接続端子Tが配置されている。ここで、矩形環状とは、内側に空白部分のない環状形状も含む。例えば、図4に示すように、電源モジュール6は、4周の矩形環状の接続端子Tを備え、最も内側の矩形環は、内側に空白部分を有することなく4つの接続端子Tで形成されている。また、図3に示すように、負荷モジュール1は、大きく2グループの矩形環状端子群を有しており、2つの矩形環状端子群の間には1周分以上の空白が形成されている(図3では1周分の空白が形成されている。)。外側の矩形環状端子群は、内側に空白部分を有して3周の矩形環状の接続端子Tによって形成され、内側の矩形環状端子群は、内側に空白部分を有することなく3周の接続端子Tで形成されている。尚、本実施形態において、負荷モジュール1及び電源モジュール6は、共にBGA(Ball Grid Array)タイプであり、接続端子Tは、図5に示すように半球状の端子である。
ここで、図3に示すように、負荷モジュール1の4つの角部の内の1つの角部を第1対象角部TE1とし、負荷モジュール1の4つの角部の内、第1対象角部TE1とは異なる3つの角部を第1非対象角部NE1とする。また、図4に示すように、電源モジュール6の4つの角部の内の1つの角部を第2対象角部TE2とし、電源モジュール6の4つの角部の内、第2対象角部TE2とは異なる3つの角部を第2非対象角部NE2とする。図5に示すように、より詳しくは図6から図10に示すように、負荷モジュール1と電源モジュール6とは、第1対象角部TE1が電源モジュール6と平面視(V方向視)で重複すると共に第1非対象角部NE1が電源モジュール6と平面視で重複せず、第2対象角部TE2が負荷モジュール1と平面視で重複すると共に第2非対象角部NE2が負荷モジュール1と平面視で重複しないように、主基板5に配置されている。ここで、負荷モジュール1と電源モジュール6とが平面視で重複する領域“R”を重複領域RLと称する。
上述したように、システムLSI2は複数の演算ユニットを備えており、システムLSI2を含む負荷モジュール1も複数の演算ユニットを備えている。演算ユニットは、それぞれの電気的特性に応じた電力を供給されて動作する。ここで「電力」とは、「電圧」及び「電流」を含み、理想的には安定した「電圧」で負荷によって大きく変動しない「電流」を与えることが可能な「電源(電源回路)」から供給されるものである。
例えば、CPUコア、GPUコア、DSPは、定格電圧1.0[V]の電力を供給されて動作し、メモリ3、メモリインターフェースは、定格電圧1.5[V]や1.35[V]の電力を供給されて動作する。周辺回路と接続されるシステムLSI2の信号入出力端子は、例えばシステムLSI2の内部でI/Oパッドに接続されており、このI/Oパッドに供給される電力の定格電圧は3.3[V]や1.8[V]である。また、定格電圧が同一の演算ブロックやI/Oパッドなどの機能ブロックであっても、合計の消費電力が多い場合には電源回路の負荷も考慮すると別の電力として供給されることが望ましい場合がある。また、定格電圧が同じ機能ブロックであっても、ある機能ブロックの動作によって生じる電源ノイズが、別の機能ブロックへ影響することを抑制するために、複数のそれぞれ別の電力によって動作する方が好ましい場合もある。このように、負荷モジュール1には、複数種類の電力が供給される場合があり、本実施形態においても、少なくとも2種類の電力が電源モジュール6から供給される。
図5及び図7に示すように、電源モジュール6の電源出力端子TOは重複領域RLに配置されている。具体的には、電源モジュール6から供給される電力の内の1つである第1電力を出力する第1電源出力端子TO1と、第1電力とは異なる第2電力を出力する第2電源出力端子TO2とは、共に重複領域RLに配置されている。本実施形態では、第1電源出力端子TO1及び第2電源出力端子TO2は、図4に示すように複数本設けられ、図7に示すように主基板5に実装された状態でその全てが重複領域RLと重複する。但し、第1電源出力端子TO1及び第2電源出力端子TO2の全てが、重複領域RLに配置されていなくてもよい。
図4に示すように、本実施形態では、第1電源出力端子TO1は、矩形環状の最外周において、第2対象角部TE2を形成する2つの辺に沿って4本ずつ、合計7本割り当てられている(角部の1本は両辺で重複)。第2電源出力端子TO2は、矩形環状の最外周よりも内側に、第2対象角部TE2から扇状(デルタ状)に複数本(ここでは11本)、割り当てられている。
また、図5及び図6に示すように、負荷モジュール1の電源入力端子TIもその少なくとも一部が重複領域RLに配置されている。具体的には、第1電力が供給される第1電源入力端子TI1及び第2電力が供給される第2電源入力端子TI2の少なくとも一部が重複領域RLに配置されている。図5には、第2電源入力端子TI2が重複領域RLに配置されている形態を例示している。重複領域RLは、第1対象角部TE1を含む領域に形成されており、負荷モジュール1の電源入力端子(第1電源入力端子TI1,第2電源入力端子TI2)は、第1対象角部TE1を含む領域に配置されている。
図3に示すように、第1電源入力端子TI1は、3周の矩形環状の接続端子Tで形成された内側の矩形環状端子群の内の中央部の20本に割り当てられている。第2電源入力端子TI2は、3周の矩形環状の接続端子Tで形成された外側の矩形環状端子群の内の第1対象角部TE1から扇状(デルタ状)に複数本(ここでは17本)と、内側の矩形環状端子群の内の第1対象角部TE1の側の角部を含む2つの辺に沿って6本ずつの合計11本(角部の1本は両辺で重複)と、第1対象角部TE1の側の角部とは反対側の角部の側の3本との合計31本に割り当てられている。
図6は、主基板第1面5aのランドL及び配線(WS,W,TH)のパターンの一例を示すV方向視の平面図である。また、図7は、主基板第2面5bのランドL及び配線(WS,W,TH,J)のパターンの一例を示すV方向視の透視図である。上述したように、電源モジュール6は、少なくとも2種類の電力を負荷モジュール1に供給する。電源モジュール6から負荷モジュール1に供給される2種類の電力の内、消費電流が大きい方の電力を第1電力とし、消費電流が小さい方の電力を第2電力とする。そして、主基板5において第1電力を伝達する配線(電力配線W)を第1電力配線W1とし、第2電力を伝達する配線(電力配線W)を第2電力配線W2とする。
図7に示すように、主基板第2面5bにおける重複領域RLには、第1電源出力端子TO1が接続されるランドLである第1電源出力端子接続ランドL61が形成されている。また、主基板第2面5bには、第1電源出力端子接続ランドL61を含み、或いは第1電源出力端子接続ランドL61と電気的に接続されて、第1電力を伝達する第1電力配線W1が形成されている。第1電力配線W1は、第1対象角部TE1を通る負荷モジュール1の対角線の方向である第1対角線方向D1(=第2対角線方向D6)に沿って形成されている(図8参照)。上述したように、第1電源入力端子TI1は、負荷モジュール1の内側の矩形環状端子群の内の中央部の20本に割り当てられている。また、第1電源出力端子TO1は、第2対象角部TE2を含む矩形環状の最外周に割り当てられている。第1電力配線W1は、主基板第2面5bにおいて、第1電源入力端子TI1(負荷モジュール1の内側の矩形環状端子群)をV方向視で重複する領域と、第1電源出力端子TO1とを結ぶように形成されている。第1電源出力端子TO1は、重複領域RLにおける第1電力配線W1に、全ての第1電源出力端子TO1がV方向視で重複するように配置されている。
図6に示すように、主基板第1面5aには、負荷モジュール1の接続端子Tが接続されるランドLが形成されている。第1電源入力端子TI1が接続されるランドLである第1電源入力端子接続ランドL11は、V方向視で第1電力配線W1と重複する位置に形成されている。そして、第1電源入力端子接続ランドL11には、スルーホールTH(第1スルーホールTH1)が形成され、第1電源入力端子接続ランドL11と第1電力配線W1とが電気的に接続されている。このようにして、主基板第2面5bの側に接続される第1電源出力端子TO1と、主基板第1面5aの側に接続される第1電源入力端子TI1とが、第1電力配線W1及び第1スルーホールTH1を介して電気的に接続されている(図5参照)。
図7に示すように、主基板第2面5bにおける重複領域RLには、第2電源出力端子TO2が接続されるランドLである第2電源出力端子接続ランドL62も形成されている。第2電源出力端子接続ランドL62と電気的に接続されて、第2電力を伝達する第2電力配線W2は、主基板第1面5aに形成されている(図6参照)。第1電力配線W1とは異なり、主基板第2面5bには、負荷モジュール1へ向けて、例えば第1対角線方向D1に沿って延びる第2電力配線W2は形成されていない。その代わりに、主基板5における重複領域RLには、複数の第2スルーホールTH2が形成され、それぞれの第2スルーホールTH2は、主基板第2面5bにおいて第2電源出力端子接続ランドL62とジャンパ配線Jを介して接続されている。また、それぞれの第2スルーホールTH2は、主基板第1面5aにおいて、第2電力配線W2と電気的に接続されている。
第2電力配線W2は、第1電力配線W1と同様に、第1対角線方向D1(図8参照)に沿って形成されている。上述したように、第2電源入力端子TI2は、3周の矩形環状の接続端子Tで形成された外側の矩形環状端子群の内の第1対象角部TE1から扇状(デルタ状)に複数本(ここでは17本)と、内側の矩形環状端子群の内の第1対象角部TE1の側の角部を挟む外周側の2辺の複数本(ここでは11本)と、第1対象角部TE1の側の角部とは反対側の角部の側の複数本(ここでは3本)との合計31本に割り当てられている。第2電力配線W2は、主基板第1面5aにおいて、負荷モジュール1の内側の矩形環状端子群が接続されるランドLを全て含む矩形状の領域と、負荷モジュール1の外側の矩形環状端子群の内の第1対象角部TE1から扇状(デルタ状)の複数本(ここでは17本)の第2電源入力端子TI2が接続されるランドLである第2電源入力端子接続ランドL12を全て含む領域とを結んで、第1対角線方向D1に沿って形成されている。
負荷モジュール1の内側の矩形環状端子群が接続される36個のランドLには、14本の第2電源入力端子TI2が接続される14個の第2電源入力端子接続ランドL12の他、20本の第1電源入力端子TI1が接続される20個の第1電源入力端子接続ランドL11と、その他の2本の接続端子Tが接続される2個のランドLとがある。第2電力配線W2は、主基板第1面5aにおいて、第2電源入力端子TI2が接続される14個の第2電源入力端子接続ランドL12と電気的に接続されている。その他の22個のランドLと、第2電力配線W2との間には、絶縁領域Zが形成されている。つまり、例えば第1電力配線W1(第1電源入力端子接続ランドL11)と、第2電力配線W2とが短絡することがないように形成されている。
このように、電源モジュール6から負荷モジュール1に供給される2種類の電力の内の少なくとも一方の電力である第2電力は、負荷モジュール1と電源モジュール6とがV方向視で重複する重複領域RLにおいて主基板5に形成されたスルーホールTH(第2スルーホールTH2)を介して供給されている。本実施形態では、第2電力が、重複領域RLにおいて主基板5に形成された第2スルーホールTH2を介して供給されている形態を例示したが、第1スルーホールTH1が重複領域RLにおいて主基板5に形成されて、第1電力を伝達する形態であってもよい。
但し、図4に示すように、第1電源出力端子TO1は、電源モジュール6の最外周を含む外周側の接続端子Tに割り当てられている。このように第1電源出力端子TO1を、矩形環状の最外周において第2対象角部TE2を形成する2つの辺に沿って割り当てた場合には、第1電力配線W1が負荷モジュール1へ延在する方向(ここでは第1対角線方向D1)に直交する方向における第1電力配線W1の配線幅(第1電力配線幅WD1)を、当該直交する方向(第1対角線方向D1に直交する方向)における第1電源出力端子TO1の配列幅に相当する幅まで広げることができる。上述したように、本実施形態では、電源モジュール6から負荷モジュール1に供給される2種類の電力の内、消費電流が大きい方の電力が第1電力である。従って、第2電力配線W2の配線幅に比べて、第1電力配線W1の配線幅(第1電力配線幅WD1)方が広いことが好ましい。負荷モジュール1の接続端子Tが接続されるランドLが設けられない主基板第2面5bでは、このように幅の広い第1電力配線W1を短い配線距離で設け易く、電力配線Wのインピーダンス(特にインダクタンス)を低減することができる。
尚、第1電力配線幅WD1は、第1電力の消費電流に応じて設定されると好適である。そして、例えば電源モジュール6が、マルチチップモジュールの場合には、電源モジュール6の接続端子Tもユーザー側で割り当てることができる。例えば、第1電力の消費電流に応じて設定された第1電力配線幅WD1を有する第1電力配線W1に、重複領域RLにおいて全ての第1電源出力端子TO1がV方向視で重複するように、第1電源出力端子TO1が割り当てられると好適である。
上述したように、本実施形態では、電源モジュール6から負荷モジュール1に供給される2種類の電力をそれぞれ伝達する電力配線W(第1電力配線W1、第2電力配線W2)は、それぞれ主基板5において異なる配線層(主基板第1面5a、主基板第2面5b)に設けられる。これにより、第1電力配線W1及び第2電力配線W2の双方を比較的短い距離で形成することができる。つまり、第1電力配線W1及び第2電力配線W2の双方のインピーダンス(特にインダクタンス)を低減することができる。
ところで、図示は省略するが、負荷モジュール1に搭載されるシステムLSI2(主半導体素子)のチップ端子は、システムLSI2がQFP(Quad Flat Gull Wing Leaded Package)タイプの場合には、パッケージの周囲に設けられ、システムLSI2がBGA(Ball Grid Array)タイプの場合には、パッケージの下部(モジュール基板第1面4aと対向する面)に設けられている。チップ端子は、信号入出力端子と電源端子とを含むが、電源端子は、モジュール基板4内で少なくとも第1電源入力端子TI1と接続される。システムLSI2が複数種類の電源端子を有する場合、素子第1電源入力端子2T(図2参照)が第1電源入力端子TI1と接続される。
図1及び図2に示すように、主半導体素子としてのシステムLSI2は、モジュール基板4の中央ではなく、矩形状のモジュール基板4の4つの角部の内の1つの側に寄って配置されている。負荷モジュール1の第1対象角部TE1は、4つの角部の内、V方向視において素子第1電源入力端子2Tに最も近い角部であると好適である。尚、図2には、V方向視でシステムLSI2のほぼ中央に素子第1電源入力端子2Tが配置され、V方向視でモジュール基板4の中央から何れかの角部に寄った位置にシステムLSI2が配置されている場合を例示している。しかし、V方向視でモジュール基板4の中央にシステムLSI2が配置され、素子第1電源入力端子2TがV方向視でシステムLSI2の中央から何れかの角部に寄った位置に配置されている場合に、負荷モジュール1の4つの角部の内でV方向視において素子第1電源入力端子2Tに最も近い角部を第1対象角部TE1としてもよい。
図6から図8に示すように、本実施形態では、負荷モジュール1及び電源モジュール6の外形が正方形であり、重複領域RLがV方向視で正方形(負荷モジュール1及び電源モジュール6の相似形)である。また、第1対象角部TE1を通る負荷モジュール1の外形の対角線の方向である第1対角線方向D1と、第2対象角部TE2を通る電源モジュール6の対角線の方向である第2対角線方向D6とが、V方向視で重複している。そして、第1電力配線W1及び第2電力配線W2の双方が、第1対角線方向D1(=第2対角線方向D6)に沿って延在するように形成される。本実施形態では、矩形状の負荷モジュール1の外形の重心(第1重心P1)と矩形状の電源モジュール6の外形の重心(第2重心P6)とを結ぶ線である重心線LPも、第1対角線方向D1及び第2対角線方向D6とV方向視で重複する。従って、第1電力配線W1及び第2電力配線W2は、第1重心P1と第2重心P6とを結ぶ重心線LPに沿って延在しているということができる。
尚、重複領域RLは、V方向視で正方形(負荷モジュール1及び電源モジュール6の相似形)である場合には限らず、図9に示すように長方形状(非相似形)であってもよい。この場合、第1対角線方向D1と第2対角線方向D6とはV方向視で平行であるが、何れも重心線LPとは重複しない。このような場合、第1対角線方向D1及び第2対角線方向D6に沿って、第1電力配線W1及び第2電力配線W2を形成すると、配線距離が長くなったり、電力用の接続端子Tの配置が複雑になったりする可能性がある。従って、重複領域RLがこのように長方形状の場合には、重心線LPに沿って第1電力配線W1及び第2電力配線W2を形成すると好適である。
また、重複領域RLは、図10に示すような平行な辺のない四角形状であることを妨げるものでもない。重複領域RLがこのような形状の場合、第1対角線方向D1及び第2対角線方向D6も互いに平行ではない。従って、重複領域RLがこのように長方形状の場合には、重心線LPに沿って第1電力配線W1及び第2電力配線W2を形成すると好適である。
図8から図10に示すように、電源モジュール6から負荷モジュール1に供給される2種類の電力をそれぞれ伝達する電力配線Wは、それぞれ主基板5において異なる配線層(5a,5b)に設けられると共に、矩形状の負荷モジュール1の外形の第1重心P1と矩形状の電源モジュール6の外形の第2重心P6とを結ぶ重心線LPに沿って延在するように形成されているとよい。そして、より好適には、図8及び図9に示すように、第1対象角部TE1を通る第1対角線方向D1と、第2対象角部TE2を通る第2対角線方向D6とが、V方向視で平行であるとよい。さらに、図8に示すように、第1対角線方向D1及び第2対角線方向D6は、V方向視で重複していると好適である。
図11から図14は、上述した本実施形態に対する比較例を示している。図11は、図3と対比される比較例の負荷モジュール1の端子配置を示すV方向視の透視図である。図12は、図4と対比される比較例の電源モジュール6の端子配置を示すV方向視の平面図である。図13は、図6と対比される比較例の主基板第1面5aのランドL及び配線(WS,W,TH)のパターンを示すV方向視の平面図である。図14は、図7と対比される比較例の主基板第2面5bのランドL及び配線(WS,W,TH,J)のパターンを示すV方向視の透視図である。
図13及び図14に示すように、比較例においては、第1対象角部TE1及び第2対象角部TE2の概念はなく、負荷モジュール1の4つの辺の内の1つを第1対象辺TS1(図11参照)とし、電源モジュール6の4つの辺の内の1つを第2対象辺TS2(図12参照)とする。
図12に示すように、比較例においては、第1電源出力端子TO1は、矩形環状の最外周において、第2対象辺TS2に沿って6本割り当てられている。第2電源出力端子TO2は、矩形環状の最外周よりも内側に複数本(ここでは11本)割り当てられている。
また、図11に示すように、第1電源入力端子TI1は、3周の矩形環状の接続端子Tで形成された内側の矩形環状端子群の内の中央部の20本に割り当てられている。第2電源入力端子TI2は、3周の矩形環状の接続端子Tで形成された外側の矩形環状端子群の内において、第1対象辺TS1の側の最外周から最内周まで連続する複数本(ここでは12本)と、内側の矩形環状端子群の内の第1対象辺TS1の側の全てと、それに連続して第1対象辺TS1とは反対側へ向けて連続する複数本(ここでは10本)と、内側の矩形環状端子群の内の第1対象辺TS1とは反対側の複数本(ここでは4本)との合計26本に割り当てられている。
負荷モジュール1と電源モジュール6とは、第1対象辺TS1がV方向視で電源モジュール6に重複し、第2対象辺TS2がV方向視で負荷モジュール1に重複するように、主基板5に配置される。比較例においても、負荷モジュール1と電源モジュール6とがV方向視で重複する領域を重複領域RLと称する。
図14に示すように、比較例においても、主基板第2面5bにおける重複領域RLには、第1電源出力端子TO1が接続される第1電源出力端子接続ランドL61が形成されている。また、比較例においても、主基板第2面5bには、第1電源出力端子接続ランドL61を含み、或いは第1電源出力端子接続ランドL61と電気的に接続されて、第1電力を伝達する第1電力配線W1が形成されている。第1電力配線W1は、主基板第2面5bにおいて、第1電源入力端子TI1(負荷モジュール1の内側の矩形環状端子群)をV方向視で重複する領域と、第1電源出力端子TO1とを結ぶように形成されている。第1電源出力端子TO1は、重複領域RLにおける第1電力配線W1に、全ての第1電源出力端子TO1がV方向視で重複するように配置されている。
図13に示すように、比較例においても、主基板第1面5aには、負荷モジュール1の第1電源入力端子TI1が接続される第1電源入力端子接続ランドL11は、V方向視で第1電力配線W1と重複する位置に形成されている。そして、第1電源入力端子接続ランドL11には、スルーホールTH(第1スルーホールTH1)が形成され、第1電源入力端子接続ランドL11と第1電力配線W1とが電気的に接続されている。このようにして、主基板第2面5bの側に接続される第1電源出力端子TO1と、主基板第1面5aの側に接続される第1電源入力端子TI1とが、第1電力配線W1及び第1スルーホールTH1を介して電気的に接続されている。
図14に示すように、比較例においても、主基板第2面5bにおける重複領域RLには、第2電源出力端子TO2が接続される第2電源出力端子接続ランドL62も形成されている。また、比較例においても、図13に示すように、第2電源出力端子接続ランドL62と電気的に接続されて、第2電力を伝達する第2電力配線W2は、主基板第1面5aに形成されている。主基板5における重複領域RLには、複数の第2スルーホールTH2が形成され、それぞれの第2スルーホールTH2は、主基板第2面5bにおいて第2電源出力端子接続ランドL62とジャンパ配線Jを介して接続されている。また、それぞれの第2スルーホールTH2は、主基板第1面5aにおいて、第2電力配線W2と電気的に接続されている。
図7及び比較例の図14に示すように、電源モジュール6において矩形環状の接続端子Tの外周側から3周目及び4周目に配置された接続端子Tには、信号用ランドLS及び第3スルーホールTH3を介して主基板第1面5aの側に信号配線WSが延伸するものがある。重複領域RLでは、主基板第1面5aの側に負荷モジュール1の接続端子Tが存在するため、第3スルーホールTH3を介して主基板第1面5aの側に信号配線WSを引き出すことができない。しかし、重複領域RL外では、このように主基板第1面5aの側に信号配線WSを引き出すことができる。
ここで、比較例を示す図14において黒塗りで示すランドLは、主基板第2面5bにおいて信号配線WSを引き出すことができない未接続ランドLNである。未接続ランドLNは重複領域RLに位置しているため、第3スルーホールTH3を介して主基板第1面5aの側に信号配線WSを引き出すこともできない。図12に黒塗りで示す端子は、未接続ランドLNに接続される未接続端子TNである。比較例(図13及び図14)においては重複領域RLの大きさが、上述した本実施形態(図6及び図7)に比べて大きくなる。このため、信号配線WSを引き出すことができない未接続端子TNが生じ易くなる。しかし、本実施形態によれば、重複領域RLを適切な大きさとすることができ、充分な配線幅を有する電力配線Wを設けると共に、未接続ランドLN及び未接続端子TNの発生を抑制することができる。
〔実施形態の概要〕
以下、上記において説明した半導体装置(10)の概要について簡単に説明する。
主基板(5)と、前記主基板(5)の第1面(5a)に実装された負荷モジュール(1)と、前記主基板(5)の前記第1面(5a)とは反対側の第2面(5b)に実装された電源モジュール(6)と、を備えた半導体装置(10)は、1つの態様として、前記負荷モジュール(1)及び前記電源モジュール(6)は、前記主基板(5)に直交する方向(V)に見た平面視で矩形状であると共に、それぞれ前記主基板(5)に対向する対向面(4b、6b)の側に矩形環状の3周以上の接続端子(T)が配置され、前記負荷モジュール(1)の4つの角部の内の1つの角部を第1対象角部(TE1)とし、前記電源モジュール(6)の4つの角部の内の1つの角部を第2対象角部(TE2)とし、前記負荷モジュール(1)の4つの角部の内、前記第1対象角部(TE1)とは異なる3つの角部を第1非対象角部(NE1)とし、前記電源モジュール(6)の4つの角部の内、前記第2対象角部(TE2)とは異なる3つの角部を第2非対象角部(NE2)として、前記第1対象角部(TE1)が前記電源モジュール(6)と前記平面視で重複すると共に前記第1非対象角部(NE1)が前記電源モジュール(6)と前記平面視で重複せず、前記第2対象角部(TE2)が前記負荷モジュール(1)と前記平面視で重複すると共に前記第2非対象角部(NE2)が前記負荷モジュール(1)と前記平面視で重複しないように、前記負荷モジュール(1)と前記電源モジュール(6)とが前記主基板(5)に配置され、前記電源モジュール(6)から前記負荷モジュール(1)に供給される2種類の電力の内の一方の電力が、前記負荷モジュール(1)と前記電源モジュール(6)とが前記平面視で重複する重複領域(RL)において前記主基板(5)に形成されたスルーホール(TH2)を介して供給されている。
本構成によれば、例えば負荷モジュール(1)と電源モジュール(6)との何れか一方における1つの辺の全体が平面視で他方に重複するように、負荷モジュール(1)と電源モジュール(6)とが主基板(5)に配置される場合に比べて、重複領域(RL)を適切な大きさに抑えることができる。重複領域(RL)では、主基板(5)の両側の面にモジュールの接続端子(T)が存在するため、スルーホール(TH)を介して配線(WS)を重複領域(RL)の外へ引き出すことは困難である。このため、重複領域(RL)を設けた場合には、配線(WS)が困難な接続端子(T)、或いは配線(WS)が不可能な接続端子(TN)を生じさせる。しかし、重複領域(RL)の大きさを適切な大きさに抑えることで、このような接続端子(T,TN)の数を抑制することができる。このように、本構成によれば、適切に重複領域(RL)を設けることで、電力を伝送するための配線(W)の幅が確保し易くすることができると共に、重複領域(RL)にスルーホール(TH2)を設けて第2面(5b)から第1面(5a)に電力を伝送しても接続な困難或いは不可能な接続端子(LN)の数を抑制することができる。即ち、本構成によれば、基板(5)に負荷となる部品(1)と電力を供給する部品(6)とを実装する場合に、それぞれの部品(1,6)の端子からの配線(WS)の引き出しを妨げることなく、基板(5)のコストの上昇を抑制することができる。
ここで、前記負荷モジュール(1)の電源入力端子(TI2)は、前記第1対象角部(TE1)を含む領域に配置されていると好適である。
第1対象角部(TE1)は、平面視で重複領域(RL)と重複する。このため、重複領域(RL)に形成されたスルーホール(TH2)を介して短い配線距離で電源モジュール(6)と負荷モジュール(1)の電源入力端子(TI2)とを接続することができる。
また、前記電源モジュール(6)から前記負荷モジュール(1)に供給される2種類の電力の内、消費電流が大きい方の電力を第1電力として、前記第1電力を供給する前記電源モジュール(6)の前記接続端子(T)である第1電源出力端子(TO1)は、前記電源モジュール(6)の最外周を含む外周側の前記接続端子(T)に割り当てられていると好適である。
この構成によれば、電源モジュール(6)が実装されている第2面(5b)において、最外周を含む外周側の接続端子(T)に割り当てられている第1電源出力端子(TO1)から負荷モジュール(1)に向かって短い配線距離で第1電力を伝送することができる。また、相対的に広い配線幅が求められる第1電力の配線(W)の配線幅(WD)を適切に確保し易くなる。
ここで、前記主基板(5)において前記第1電力を伝達する配線を第1電力配線(W1)として、前記第1電力配線(W1)の配線幅(WD)は前記第1電力の消費電流に応じて設定され、前記第1電源出力端子(TO1)は、前記重複領域(RL)における前記第1電力配線(W1)に、全ての前記第1電源出力端子(TO1)が前記平面視で重複するように配置されていると好適である。
この構成によれば、全ての第1電源出力端子(TO1)が平面視で電力配線(W1)に重複するので、第1電力の消費電流に応じて適切に配線幅(WD)が設定された第1電力配線(W1)に対して、適切に第1電源出力端子(TO1)を接続することができる。
また、1つの態様として、前記電源モジュール(6)から前記負荷モジュール(1)に供給される2種類の電力の内、消費電流が大きい方の電力を第1電力として、前記負荷モジュール(1)が、前記第1電力が供給される素子第1電源入力端子(2T)を備えた少なくとも1つの主半導体素子(2)と、前記主半導体素子(2)が実装されるモジュール基板(4)とを備え、前記第1対象角部(TE1)が、4つの角部の内、前記平面視において前記素子第1電源入力端子(2T)に最も近い角部であると好適である。
この構成によれば、素子第1電源入力端子(2T)に対して、短い配線距離で電力を供給することができる。
また、前記電源モジュール(6)から前記負荷モジュール(1)に供給される2種類の電力をそれぞれ伝達する電力配線(W)は、それぞれ前記主基板(5)において異なる配線層(5a,5b)に設けられると共に、矩形状の前記負荷モジュール(1)の外形の重心(P1)と矩形状の前記電源モジュール(1)の外形の重心(P6)とを結ぶ線(LP)に沿って延在するように形成されていると好適である。
この構成によれば、負荷モジュール(1)と電源モジュール(6)との平面視における位置関係に拘わらず、負荷モジュール(1)と電源モジュール(6)との間に、短い配線距離で電力配線(W)を設けることができる。
ここで、前記第1対象角部(TE1)を通る前記負荷モジュール(1)の対角線の方向である第1対角線方向(D1)と、前記第2対象角部(TE2)を通る前記電源モジュール(6)の対角線の方向である第2対角線方向(D6)とは、前記平面視で平行であると好適である。
この構成によれば、対角線(D1,D6)を基準として、適切に電力の入出力用の接続端子(T)を設けることができる。例えば、対角線(D1,D6)を対称軸としてバランス良く電力の入出力用の接続端子(T)を設けることができる。
また、前記第1対角線方向(D1)及び前記第2対角線方向(D6)は、前記平面視で重複していると好適である。
この構成によれば、対角線(D1,D6)を基準として、適切に電力の入出力用の接続端子(T)を設けることができると共に、短い配線距離で電力配線(W)を設けることができる。